特許第6912074号(P6912074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6912074新規な軸封装置を備えたロータリーバルブ、及びその軸封装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912074
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】新規な軸封装置を備えたロータリーバルブ、及びその軸封装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20210715BHJP
   F16J 15/18 20060101ALI20210715BHJP
   F16J 15/20 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   B65G65/48 G
   B65G65/48 L
   F16J15/18 C
   F16J15/20
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-17424(P2017-17424)
(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公開番号】特開2018-122976(P2018-122976A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】309042967
【氏名又は名称】株式会社片桐鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(74)【代理人】
【識別番号】100201248
【弁理士】
【氏名又は名称】田伏 克成
(72)【発明者】
【氏名】片桐 敏郎
【審査官】 山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−201610(JP,A)
【文献】 特開2015−129533(JP,A)
【文献】 特開平08−269221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−65/48
F16J 15/16−15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転により微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフトを左右のスタッフィングボックスにより回転可能に支持した軸封装置を備えた微粉体を供給するロータリーバルブであって、
前記各スタッフィングボックスには軸封材充填用空間を形成し、該軸封材充填用空間内には微細繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材としての複数のグランドパッキンを収容しており、
当該夫々のグランドパッキンは、フィルタ状のグランドパッキンの空隙を油性材料により満たすように浸漬処理をして空隙率を5%以下として、当該グランドパッキンの濾過性をなくして気体成分の通過を阻止するように構成し、
前記複数のグランドパッキンのすべてが、前記軸封材充填用空間内で油脂に浸されていることを特徴とする軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【請求項2】
前記複数のグランドパッキンは、夫々複数の第1グランドパッキン群と第2グランドパッキン群とから構成されており、前記複数の第1グランドパッキンと前記複数の第2グランドパッキンとの間に、油脂留めのためのランタンリングを設けていることを特徴とする請求項1記載の軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【請求項3】
前記複数のグランドパッキンの外側に複数のVパッキンを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【請求項4】
回転により微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフトを左右のスタッフィングボックスにより回転可能に支持した軸封装置を備えた微粉体を供給するロータリーバルブの軸封装置に用いるグランドパッキンに油性材料を含浸する方法であって、
前記複数のグランドパッキンは、前記スタッフィングボックスに形成された軸封材充填用空間内に収納された微細繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材として構成され、前記複数のグランドパッキンのすべてが、前記軸封材充填用空間内で油脂に浸されるものであり、
夫々のグランドパッキンを加熱されたシリコンオイル内に浸漬させて、フィルタ状のグランドパッキンの空隙内にシリコンオイルを含浸させて、空隙率を5%以下として濾過性をなくし、気体性物質の通過を阻止するようにしたことを特徴とするグランドパッキンの油性材料の含浸方法。
【請求項5】
前記夫々のグランドパッキンを加熱されたシリコンオイル内に浸漬させて、フィルタ状のグランドパッキンの空隙内にシリコンオイルを含浸させる際には、加熱シリコンオイル内に浸漬させるグランドパッキンを複数回上下反転させて空隙率を5%以下として濾過性をなくし、気体性物質の通過を阻止するようにしたことを特徴とする請求項4記載のグランドパッキンの油性材料の含浸方法。
【請求項6】
回転により微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフトの左右のグランドパッキン摺動部を左右のスタッフィングボックスにより回転可能に支持した軸封装置を備えた微粉体を供給するロータリーバルブであって、
前記主軸中空シャフトには、冷却水を流すための中空部が形成されており、該中空部は、仕切板により流路が二つの冷却水路に分割されており、
前記左右のスタッフィングボックス内には、夫々軸封材充填用空間を形成し、該軸封材充填用空間内には微細繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材としての複数のグランドパッキンを収容しており、
前記分割された一方の冷却水路は、左右何れか一方のスタッフィングボックス内の一方のグランドパッキン摺動部において一方の複数のグランドパッキンを冷却し、前記分割された他方の冷却水路は、左右何れか他方のスタッフィングボックス内の他方のグランドパッキン摺動部において他方の複数のグランドパッキンを冷却するように構成されたことを特徴とする軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【請求項7】
前記分割された一方の冷却水路は、左右何れか一方のスタッフィングボックス内の一方のグランドパッキン摺動部において一方の複数のグランドパッキンを冷却し、前記分割された他方の冷却水路は、左右何れか他方のスタッフィングボックス内の他方のグランドパッキン摺動部において他方の複数のグランドパッキンを冷却するために、前記左右のスタッフィングボックス内には、夫々スリーブを設けており、該何れかのスリーブ内に何れか一方の冷却水が流れ込む構成としたことを特徴とする請求項6記載の軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【請求項8】
前記何れかのスリーブ内に前記何れか一方の冷却水が流れ込む構成とするために、前記仕切板により二つの冷却水路に分割された流路の一方を閉塞手段により閉塞したことを特徴とする請求項記載の軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【請求項9】
前記スリーブ内を流れる冷却水を円周状に螺旋を形成して流すように螺旋案内板を設けたことを特徴とする請求項7又は8に記載の軸封装置を備えたロータリーバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な軸封装置を備えたロータリーバルブ、及びその軸封装置の製造方法に
関し、特に、微粉炭、コークス、クリンカー等の摩耗性の強い微粉体を供給するロータリ
ーバルブ、及びその軸封装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、既に先の発明として、特開2011−201610号公報(特許文献1)
及び特開2016−37341号公報(特許文献2)において、同様の用途のロータリー
バルブ、及びその軸封装置の構成を開示している。これらの先行技術においては、ロータ
ー軸への微粉体の侵入を抑制してローター軸のシール性の劣化を防止できるようにするこ
とを課題とし(特許文献1)、また、ケーシングとローターとの隙間へ侵入した微粉体を
効果的に逃がし、微粉体による磨耗を効果的に抑制できるようにすることを課題とし(特
許文献2)ている。
【0003】
本発明は、従来の一般的な構成の軸封装置を備えたロータリーバルブに対しても、上記
特許文献1及び2記載の軸封装置を備えたロータリーバルブに対しても適用が可能なもの
である。このように、本発明は、軸封装置を備えたロータリーバルブ全般に適用可能なも
のであるので、ロータリーバルブとして共通する全体的な構造的特徴は、本願出願人の特
許文献1の記載を参酌しながら説明する。なお、本明細書において上下左右の方向は図1
及び図6に示された方向により説明する。
【0004】
ロータリーバルブ1の全体構成は、図5図6(特許文献1の図2図3)に示されて
いる。ケーシング2は、上側開口部を供給口3とし、下側開口部を排出口4とし、その供
給口3と排出口4の間にローター10が回転する円筒状のローター室5を形成している。
また、ケーシング2の左右両側面(図6)には、回転軸であるローター軸11の軸受部と
して円盤状のスタッフィングボックス6とベアリングボックス7及びベアリング座8が固
定され、スタッフィングボックス6の内周には後述するローター10のローター軸11の
軸封材を配置するために軸封材充填用空間6aがグランドパッキン室として形成されると
ともに、ベアリング座8にはローター軸11を軸支するベアリングユニット9が固定され
ている。
【0005】
ロータリーバルブ1の回転軸であるローター軸11は、内部に冷却水が通る貫通孔12
を有する中空状であり、そのローター軸11にローター10を構成する複数のブレード1
3が放射状に固定されている。このブレード13がローター室5内において回転するよう
に、ローター軸11は、その軸芯を水平方向(図6の左右方向)とし、そのローター軸1
1の両端部をローター室5から突出させてベアリング座8に設けたベアリングユニット9
によって軸支されている。また、ローター軸11はローター室5から突出した部分におい
てスリーブ16が一体的に固定され、このスリーブ16がスタッフィングボックス6の軸
受孔17を通っている(図6は、左側の一方のみが断面を図示)。また、ローター軸11
の一端部は、中空状のシャフト18が一体的に固定され、このシャフト18をベアリング
ユニット9によって軸支するとともに、シャフト18をベアリングユニット9から外部に
突出させ、その一方の先端部(図6では左側)にモータ等の駆動源19と接続するスプロ
ケット19aを固定している。
【0006】
次に、主に図6及び図7を参照して、本発明が適用されるロータリーバルブの軸封構造
について説明する。スタッフィングボックス6の軸受孔17は、スタッフィングボックス
6の外端部側において径が大きな軸封材充填用空間6aを段差状に形成して、この軸封材
充填用空間6aをスタッフィングボックス6の外面(図6の左側面)に開口させており、
その軸封材充填用空間6aの内側に軸封部材として複数のグランドパッキン群を配置して
いる。
【0007】
ここで、微粉体のロータリーバルブにおいてグランドパッキンを用いる理由は、それが
微細繊維の網み組み構造であるために柔軟に成形できることや、復元性を有することや、
濾過性を有することである。ところが、このグランドパッキンは、上述したように、微細
繊維の網み組み構造であるために必然的に濾過性を有しており、軸封止部材として使用し
た場合には、微粉体自体の封止は期待できるが、気体性物質の封止は完全とはいかずに、
長時間の使用によっては漏れが発生する危険性がある。本発明は、この課題を解決するも
のである。
【0008】
また、本発明のロータリーバルブにおいては、特許文献1記載のロータリーバルブと同
様に、スリーブ外周に複数のVパッキンを用いるものである。このVパッキンについては
、グランドパッキンとは相違して、成形品であり濾過性は低く、形状から自己封止機能は
備えるものであるが、回転部分の軸封止部材として使用した場合には、気体又はガス性の
粉塵の封止は期待できるが、経年による摺動部分の摩耗等により微小の漏れが発生してく
る。その場合には増し締めにより再機能させる必要がある。本発明は、この課題について
も新規な構成により解決するものである。
【0009】
特許文献1の発明においては、グランドパッキン押え23の外側(図7の左側)には、
ローター軸11に外端に固定した中空状のスリーブ16の外周に空隙部25(グランドパ
ッキン室)が形成され、この空隙部25内にスペーサー用のブッシュ24を介在させ、こ
のブッシュ24の外側(図7の左側)に生じた空隙部25内に複数のVパッキン26が挿
入され保持されている。この複数のVパッキン26は、軸封材充填用空間6aに供給され
る加圧気体Sの漏れを防止するためのものである。これらVパッキン26は、各グランド
パッキン20,21の保持方法と同様に、グランドパッキン押え23の外面に締め付けボ
ルト27によって固定されるパッキン押え28によって抜け止め保持される。
【0010】
特許文献1の発明においては、第1及び第2グランドパッキン20,21は、紐状のも
のを適切な長さに切ってローター軸11とスタッフィングボックス6の内周面との間にロ
ーター軸11を取り巻く形で詰め込み、グランド押え23で蓋をし、締め付けボルト22
で圧縮力を与えてシールするものである。具体的には、予め第1及び第2グランドパッキ
ン20,21を所定の治具(図示無し)に押し込めてから所定の圧力率で圧縮して成形す
る。また、この成形の際に、第2グランドパッキン21を第1グランドパッキン20より
強く圧縮形成させることにより、より有効な軸封効果を得るようにしていた。
【0011】
特許文献1の発明の実施例では、一つの第1グランドパッキン20に対して三つの第2
グランドパッキン21を配置しており、これら第1グランドパッキン20と第2グランド
パッキン21との間に、加圧気体供給用のランタンリング33aが設けられ、複数設けら
れたグランドパッキン21,21の間に設けられたランタンリング33bには、グリスを
供給するグリスニップル34が接続されている。以上のように構成される実施例において
は、第1グランドパッキン20と第2グランドパッキン21との間に配置した供給管30
から加圧気体S(この実施例においては窒素ガス)を、ランタンリング33aの供給孔3
3dから軸封材充填用空間6aに供給する。そして、軸封材充填用空間6aに供給される
加圧気体Sは成形圧縮率の低い第1グランドパッキン20に向かう気流が生じ、ケーシン
グ2内から漏れ出そうとする有毒ガス及び微粉炭を遮断する安全気体によるガスシールと
なる。
【0012】
この加圧気体Sは、第2グランドパッキン21側にも向かうが、加圧気体S自体は毒性
のない安全気体である。そして、この気体Sが第2グランドパッキン21のエリアに滞留
する。すなわち、第1グランドパッキン20と第2グランドパッキン21を、ほぼ1個対
3個の割合で軸封材充填用空間6aに配置することによって、毒性のない安全な気体Sが
滞留するエリアを広く確保でき、仮にその第2グランドパッキン21に滞留する安全な加
圧気体Sが外部に漏れ出たとしても環境的に全く問題ないものである。さらに、これら第
2グランドパッキン21の外側に複数のVパッキン26がローター軸11の軸線方向に押
し付けられ、第2グランドパッキン21から僅かに外部に漏れようとする気体(安全気体
)をシールするとともに、このVパッキン26から漏れ出ようとするごく僅かな気体(安
全気体)も前記パッキン押え28のローター軸11との摺動面に形成する断面鋸歯状の乱
流発生部29によって渦巻き状の乱流が生じ、外部への漏洩を可及的に防止することがで
きる。また、本実施例(設計温度450℃)では、ローター軸11の貫通孔12に冷却水
を通して循環させ、ローター軸11を冷却することによってローター軸11に圧接させる
第1グランドパッキン20,第2グランドパッキン21,Vパッキン26の熱による劣化
を防止することができる。
【0013】
以上のように、特許文献1の発明では、ローター室5から漏れ出してローター軸11の
軸封部の隙間に入り込もうとする微粉炭及び有毒ガスを、複数の第1及び第2グランドパ
ッキン20,21を配置し、第1グランドパッキン20と第2グランドパッキン21の間
に環境に悪影響を与えない加圧気体S(安全気体)を供給することでガスシールすること
が可能である。また、第1グランドパッキン20と第2グランドパッキン21によりシー
ル性を保つとともに、たとえ、これら第1及び第2グランドパッキン20,21のグラン
ドパッキン部とローター軸11との隙間に微粉炭及び有毒ガスが入り込んだとしても、そ
の外側に配置したVパッキン26及び乱流発生部29によって多段階に渡って効果的にシ
ールすることができるものである。
【0014】
しかしながら、一般に、グランドパッキンは繊維質で構成されることが多いので、実質
的には濾過性を有しており、軸封止部材として使用した場合には、
微粉体自体の封止は期待できるが、例え、複数設けられたグランドパッキン21,21の
間に設けられたランタンリング33bにグリスを供給できるような構成を採用したとしも
、気体の封止は完全とは言えずに漏れが発生するものである。また、加圧気体Sの圧力が
十分に維持されない場合には、漏洩の危険性もさらに出てくるものである。本発明は、以
上で説明したと同様のロータリーバルブにおいて、従来の微細繊維の編み組み構造のグラ
ンドパッキンを用いた軸封装置でありながら、簡単な構成により、飛躍的に軸封効果を高
めたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2011−201610号公報
【特許文献2】特開2016−37341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ロータリーバルブの軸封装置の漏洩を封止して長時間の連続運転を可能にす
ることを目的とするものである。例えば、微粉炭を燃料とした火力発電設備においては、
2万時間程度の長時間を無停止で連続運転するために、燃料となる微粉炭等を連続して供
給できるロータリーバルブの提供が求められているが、現在では、軸封装置の軸封効果の
観点から6千時間程度の連続運転に止まっている。その一つの課題としては、ロータリー
バルブの軸封装置による微粉体の封止能力に加えて気体成分の封止能力に課題があり、現
状の封止装置では気体成分の封止に不十分な点がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブは、
回転により微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフトを左右のスタッフィングボックスにより回転可能に支持した軸封装置を備えた微粉体を供給するロータリーバルブであって、
前記各スタッフィングボックスには軸封材充填用空間を形成し、該軸封材充填用空間内には微細繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材としての複数のグランドパッキンを収容しており、
当該夫々のグランドパッキンは、フィルタ状のグランドパッキンの空隙を油性材料により満たすように浸漬処理をして空隙率を5%以下として、当該グランドパッキンの濾過性をなくして気体成分の通過を阻止するように構成し、
前記複数のグランドパッキンのすべてが、前記軸封材充填用空間内で油脂に浸されていることを特徴とする。
【0018】
さらに本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブにおいては、
前記複数のグランドパッキンは、夫々複数の第1グランドパッキン群と第2グランドパ
ッキン群とから構成されており、前記複数の第1グランドパッキンと前記複数の第2グラ
ンドパッキンとの間に、油脂留めのためのランタンリングを設けていることを特徴とする
【0019】
さらに本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブにおいては、
前記複数のグランドパッキンの外側に複数のVパッキンを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブの軸封装置に用いるグランドパッキンの油性材料の含浸方法は、
回転により微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフトを左右のスタッフィングボックスにより回転可能に支持した軸封装置を備えた微粉体を供給するロータリーバルブの軸封装置に用いるグランドパッキンに油性材料を含浸させる方法であって、
前記複数のグランドパッキンは、前記スタッフィングボックスに形成された軸封材充填用空間内に収納された微細繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材として構成され、前記複数のグランドパッキンのすべてが、前記軸封材充填用空間内で油脂に浸されるものであり、
夫々のグランドパッキンを加熱されたシリコンオイル内に浸漬させて、フィルタ状のグランドパッキンの空隙内にシリコンオイルを含浸させて、空隙率を5%以下として濾過性をなくし、気体性物質の通過を阻止するようにしたことを特徴とする。
【0021】
さらに本発明のグランドパッキンの油性材料の含浸方法は、
前記夫々のグランドパッキンを加熱されたシリコンオイル内に浸漬させて、フィルタ状のグランドパッキンの空隙内にシリコンオイルを含浸させる際には、加熱シリコンオイル内に浸漬させるグランドパッキンを複数回上下反転させて空隙率を5%以下として濾過性をなくし、気体性物質の通過を阻止するようにしたことを特徴とする。
【0022】
本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブは、
回転により微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフ
トの左右のグランドパッキン摺動部を左右のスタッフィングボックスにより回転可能に支
持した軸封装置を備えた微粉体を供給するロータリーバルブであって、
前記主軸中空シャフトには、冷却水を流すための中空部が形成されており、該中空部は
、仕切板により流路が二つの冷却水路に分割されており、
前記左右のスタッフィングボックス内には、夫々軸封材充填用空間を形成し、該軸封材
充填用空間内には微細繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材としての複数のグランドパ
ッキンを収容しており、
前記分割された一方の冷却水路は、左右何れか一方のスタッフィングボックス内の一方
のグランドパッキン摺動部において一方の複数のグランドパッキンを冷却し、前記分割さ
れた他方の冷却水路は、左右何れか他方のスタッフィングボックス内の他方のグランドパ
ッキン摺動部において他方の複数のグランドパッキンを冷却するように構成されたことを
特徴とする。
【0023】
さらに本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブは、
前記分割された一方の冷却水路は、左右何れか一方のスタッフィングボックス内の一方
のグランドパッキン摺動部において一方の複数のグランドパッキンを冷却し、前記分割さ
れた他方の冷却水路は、左右何れか他方のスタッフィングボックス内の他方のグランドパ
ッキン摺動部において他方の複数のグランドパッキンを冷却するために、前記左右のスタ
ッフィングボックス内には、夫々中空のスリーブを設けており、該何れかのスリーブ内に
何れか一方の冷却水が流れ込む構成としたことを特徴とする。
【0024】
さらに本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブは、
前記何れかのスリーブ内に前記何れか一方の冷却水が流れ込む構成とするために、前記
仕切板により二つの冷却水路に分割された流路の一方を閉塞手段により閉塞したことを特
徴とする。
【0025】
さらに本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブは、
前記スリーブ内を流れる冷却水を円周状に螺旋を形成して流すように螺旋案内板を設け
たことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブの構成により、単純な構造の部品であるグ
ラドパッキンにより軸封装置を構成することが可能であり、長時間連続運転をしても微粉
体やガス流(気体成分)の漏洩はなく、また、経年による封止能力の低下も抑制される軸
封装置を備えたロータリーバルブを提供できるものである。
【0027】
そして、本発明の軸封装置を備えたロータリーバルブよれば、グランドパッキンと回転
軸との隙間に侵入しようとする微細な微粉体が封止されると共に、グランドパッキンを介
してのガス漏れ(気体成分の封止漏れ)も封止することができ、グランドパッキンにより
高度なシール性を保つことができるものである。さらに、グランドパッキンの外側に、回
転軸に圧接するVパッキンを効果的に冷却することにより、軸封部から漏れ出る気体を2
万時間以上の長時間に渡って効果的にシールすることができるものである。
【0028】
このように、極めて細かな粒子の粉体を効果的にシールすることで、微粉体による軸封
部の損傷を防止すると共に、ガス性の粉塵の封止も可能であり、さらには、経年による軸
封部の損傷による気体(有毒ガス)の漏洩も長時間に渡って効果的に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例である一対の軸封装置を備えたロータリーバルブの構造を示した断面図である。
図2】本発明の実施例である軸封装置を備えたロータリーバルブの一方の軸封装置の詳細を示した一部拡大断面図である。
図3】ロータリーバルブに設けられた軸封装置の構成を示すための図2のB−B断面図である。
図4】本発明の別実施例である軸封装置を備えたロータリーバルブの一方の軸封装置の詳細を示した一部拡大断面図である。
図5】ロータリーバルブの全体的な構成を示すための一部断面図である。
図6図5のA−A線断面図である。
図7】ロータリーバルブにおける軸封部分の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
本発明の新規な実施例の構成による軸封装置を備えたロータリーバルブは、要素部材と
してのグランドパッキン及びVシールは、既に知られているものを用いながらも、新規な
構成のロータリーバルブにより、予期し得ない顕著な効果を奏するロータリーバルブ及び
その軸封装置を提供するものである。
【0031】
本発明においては、微細な繊維素材を圧縮成形した軸封装置としての新規な構成の複数
のグランドパッキンを用い、さらに、Vパッキンを備えて長時間の連続使用に耐える構成
のロータリーバルブとして、良好な軸封効果を奏する簡単な軸封止手段を考え出したもの
である。
【0032】
本発明のロータリーバルブ100は、図1にその軸封部分の断面図を示すものであるが
、全体的な構成は図5乃至7に示した既知のロータリーバルブの構成と概略同一であるの
で、共通する部分の機能・構成については詳細な説明を省略する部分もある。
【0033】
本実施例の微粉体を供給するロータリーバルブ100は、回転により微粉体を供給する
ために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフト51を左右のスタッフィング
ボックス56,56により回転可能に支持している。該左右のスタッフィングボックス5
6,56には夫々軸封材充填用空間56aを形成し、該軸封材充填用空間56aには微細
繊維を編み組みしたフィルタ状の軸封材としての複数のグランドパッキン59a,59b
を収容している。夫々のグランドパッキン59a,59bは、フィルタ状のグランドパッ
キンの空隙を油性材料により満たすように浸漬処理をして、濾過性をなくし気体の通過を
阻止するように構成されている。
【0034】
ここで、グランドパッキンの単位体積当たりの空隙の割合を空隙率と称すれば、5%以
下、好ましくは3%以下の空隙率が望ましい。そのグランドパッキンの単処理方法は後述
する。本発明においては、空隙率とは、グランドパッキンの単位体積当たりに保持されて
いる空気を含んだ空間の割合を示し、空隙率0%とはグランドパッキン内に空気を保持し
ている空間はなく、全ての空間内は、空気に置き換わって油脂材料が含浸されていること
を意味する。この空隙率は、未処理のグランドパッキンの単位面積当たりの重量と、処理
済みのグランドパッキンの単位面積当たりの重量と含浸させる油脂の比重によって算出さ
れるものであり、油脂による含浸処理がされていない場合の空隙率を100%とし、全て
の空隙が含浸油脂により置き換えられた場合の空隙率は0%とする。
【0035】
さらに、本実施例の微粉体を供給するロータリーバルブ100の軸封装置においては、
複数のグランドパッキン59が、夫々複数の第1グランドパッキン59a及び第2グラン
ドパッキン59bから構成されており、複数の第1グランドパッキン59aと複数の第2
グランドパッキン59bの間に油脂留めのためのランタンリング58を設けている。ラン
タンリング58は、詳細構造は図示しないが、軸封材充填用空間56a内に収まり、主軸
中空シャフト51の外周を取り巻く環状部材であり、断面がH型或いはI型の環状部材で
あり、複数の第1グランドパッキン59aと複数の第2グランドパッキン59bの間に十
分な油脂溜まりを形成している。このランタンリング58は、円筒部材の外周と内周に溝
を形成して断面をH形状とし、疎と溝から内溝に向けて複数個の孔部を形成したものであ
る。これにより、ランタンリング58は、外溝部と内溝部に油脂を溜め、摺動による摩擦
熱や稼働による負荷熱により流出した油脂を回転するスリーブの外周に均一に補うことが
できる構造となっている。
【0036】
本実施例の微粉体を供給するロータリーバルブ100に用いる軸封装置は、回転により
微粉体を供給するために複数のブレードを設けたローターの主軸中空シャフト51を左右
のスタッフィングボックス56,56により回転可能に支持しており、スタッフィングボ
ックス66には軸封材充填用空間56aを形成し、該軸封材充填用空間56aには微細繊
維を編み組みしたフィルタ状の軸封材としての複数のグランドパッキン59a,59bを
収容しており、グランドパッキン59a,59bの内側には、グランドパッキン摺動部6
1を包むように、左右の中空のスリーブA52,B53が設けられており、夫々のスリー
ブA52,B53内には、主軸中空シャフト51から冷却水が流れ込む構成とされている
。また、夫々のグランドパッキン59a,59bは、フィルタ状のグランドパッキンの空
隙を加熱されたシリコンオイル内に浸漬させてグランドパッキンの濾過性をなくし、気体
性物質の通過を阻止するように構成されている。
【0037】
本実施例の軸封装置のフィルタ状のグランドパッキン59a,59bは、加熱されたシ
リコンオイル内に浸漬させて、グランドパッキンの油性材料の含浸率が空隙率を5%以下
、好ましくは3%以下として濾過性をなくし、気体の通過を阻止するようにした。
【0038】
以下、さらに詳細に実施例を説明する。図1乃至4には図示はしていないが、ロータリ
ーバルブ100のケーシングは、従来のものと同様に、上側開口部を微粉体の供給口とし
、下側開口部をその排出口として、供給口と排出口の間にローターが回転する円筒状のロ
ーター室を形成している。また、ケーシングの左右両側面には、回転軸であるローター軸
としての主軸中空シャフト51の軸受部としてスタッフィングボックス56,56が固定
されている。各スタッフィングボックス56の内周には主軸中空シャフト51の軸封材と
して複数のグランドパッキン59を収納するための軸封材充填用空間56aがグランドパ
ッキン室として形成されている。従来同様に、複数のグランドパッキン59は、成形され
た微細繊維の網み組み構造であり、軸封材充填用空間56a内に、ボルト締めで進退する
グランドパッキン押え60により押さえ付けられている。
【0039】
左右のスタッフィングボックス56,56部に対応して左右に中空のスリーブA52及
びスリーブB53が設けられている。これらの左右の中空のスリーブA52及びスリーブ
B53は左右のスタッフィングボックス56,56部において主軸中空シャフト51を包
み込むようにしてOリング等の封止手段を介して取り付けられている。左右のスリーブA
52及びスリーブB53の内部は、冷却水が流れるように中空状であり、主軸中空シャフ
ト51に形成された冷却水路A63又は冷却水路B64に連通する流入口A67及び流出
口B68が形成されており、グランドパッキン摺動部61を冷却している。
【0040】
本実施例においては、後述される油脂が含浸された複数のグランドパッキン59は、さ
らに、軸封用の油脂を貯留する断面H形又はI型の環状のランタンリング58(図示は断
面I型)を挟んで4個組の第1のグランドパッキン59a群と4個組の第2のグランドパ
ッキン59b群で構成されている。グランドパッキン59に対しては、ランタンリング5
8により油脂が供給される構成を備えており、給脂口57を介して油脂が供給され、ラン
タンリング58の周りに油脂を貯留させ、全グランドパッキン59は油脂により浸されて
いる。
【0041】
主軸中空シャフト51の左右スタッフィングボックス56に対応する外周部分には、グ
ランドパッキン摺動部61を囲むように、夫々、中空のスリーブA52(左側スリーブ)
及びスリーブB53(右側スリーブ)が備えられている。
ロータリーバルブ100の回転軸である主軸中空シャフト51は、内部に冷却水が通る
貫通孔を有する中空状であり、冷却水が通る貫通孔は、仕切板62により上下に冷却水路
A63と冷却水路B64に分けられている。勿論、主軸中空シャフト51は回転するので
、冷却水路A63と冷却水路B64の上下関係は交互に反転する。
【0042】
図1の上流側から下流側に向かう冷却水路A63を流れる冷却水は、左側のスリーブA
52に対応して形成された流入口A67から主軸中空シャフト51の外周と左側のスリー
ブA52の内周の間の中空部に流れ込み、スリーブA52のグランドパッキン摺動部61
を冷却し、冷却水路B64を流れる冷却水は、別流水路が構成されているために、左側の
スリーブA52には流入せず、右側のスリーブB53に対応して形成された流入口から主
軸中空シャフト51の外周と左側のスリーブB53の内周の間に流れ込み、スリーブB5
3内のグランドパッキン摺動部61を冷却し、各グランドパッキン59を冷却しその過熱
を防いでいる。
【0043】
流入口A67から左側のスリーブA52内に流入した冷却水は、スリーブA52の中空
部の内周部に形成された螺旋案内板66により螺旋状に流れて流出口B68から冷却水路
A63に戻される。冷却水路A63の冷却水を、流入口A67から主軸中空シャフト51
の外周と左側のスリーブA52の内周の間の中空部に流し込むために冷却水路A63を閉
塞して流れを左側のスリーブA52内に導く半月形塞止板66が設けられている。
【0044】
右側の中空スリーブB53は、右側のスタッフィングボックス56に対応する位置に設
けられており、冷却水路B64からの冷却水が流入するように、半月形塞止板66は仕切
板62の反対側に設けられている。その他は、左側のスリーブA52と同様の構成を備え
ている。このような構成により、左側のスリーブA52部分と右側のスリーブB53部分
のグランドパッキン摺動部61を夫々別水路の冷却水により冷却するので、効果的な冷却
手段として構成することができる。
【0045】
本発明のロータリーバルブ100の軸封装置の別実施例として、図4に示すように、左
側のスリーブA52及び右側のスリーブB53の外周で各グランドパッキン摺動部61の
外側に複数のVパッキン70を、ボルト締めにて進退可能なVパッキン押え71により固
定している。これにより、より確実な封止が可能とされるものである。
【0046】
既に述べたように、従来、微粉体のロータリーバルブにおいてグランドパッキンを用い
る理由は、それが網み組み構造であるために柔軟に成形できることや、復元性を有するこ
とや、及び濾過性を有することである。ところが、従来のグランドパッキンは、網み組み
構造であるために必然的に濾過性を有しており、如何に、給脂口57を介して油脂を供給
し、ランタンリング58の周りに油脂を貯留させて、全グランドパッキン59を油脂によ
り浸したとしても、ロータリーバルブの軸封止部材として長時間使用した場合には、微粉
体自体の封止は期待できるが、気体成分の封止は完全ではなく、長時間の使用によっては
漏れが発生する危険性がある。
【0047】
そこで、本発明は、このような課題を解決するものである。本発明においては、フィル
タ状のグランドパッキン59内に微細繊維により形成されている空隙を油性材料により略
完全に満たすように浸漬処理をして、グランドパッキン59の空隙に油性材料を含浸させ
、空隙率を5%以下、好ましくは3%以下として濾過性をなくし気体の通過を阻止するよ
うに構成したものである。
【0048】
以下、本発明の油脂含浸グランドパッキン59を得るための処理手順を説明する。
(1)従来と同様の網み組みグランドパッキンを準備する。
(2)浸漬槽にシリコンオイルを充填し、100℃以上で200℃以下、好ましくは17
0〜180℃となるように加熱する。
(3)上記(1)で準備されたグランドパッキンを上記(2)の加熱シリコンオイルの浸
漬槽中に12〜15分程度浸漬する。
(4)浸漬槽内に浸漬したグランドパッキンから気泡が上がらないようになるのを確認し
て、グランドパッキンの上下をひっくり返す。
(5)上記(3)(4)の手順を数回繰り返す。
(6)グランドパッキンを浸漬槽から取出し、15〜20分程度冷却し、外周にシリコン
グリースを塗布する。
(7)軸封材充填用空間56a内に所定数のグランドパッキンを装着する。
(8)真空状態を確保しながら、グランドパッキンを装着した軸封材充填用空間56a内
部の空間に、更にシリコンオイルを流し込む。
(9)グランドパッキン押え60により、複数のグランドパッキンを締め込んで押さえる
【0049】
以上のようにして構成された軸封装置により、グランドパッキンの濾過性は油性材料に
より阻止され、微粉体は勿論、ガス流も阻止されて良好な軸封効果が達成されるものであ
る。
【0050】
さらに本発明は、別実施例(図4)として説明したVパッキンを有効に冷却することに
より、経年による軸等の損傷による軸封効果の毀損を避けることができる。
【0051】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は、記載した実施例に限定されるもので
はなく、本願発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、
ロータリーバルブの用途として、微粉炭を処理して気体燃料に変換する石炭ガス化炉にお
ける微粉炭の供給機構(排出機構)に用いた場合を例として説明したが、各種のロータリ
ーバルブや軸封部を備えた各種微粉体処理機械に広く利用可能である。例えば、ロータリ
ーバルブに限らずスクリューコンベアやバタフライバルブ、ゲートバルブ、フラップダン
パーといった各種微粉体搬送装置の軸封として広く適用可能である。さらに、ロータリー
バルブの基本的構造についても実施例に限定されるものはなく、適宜選定すればよい。ま
た、グランドパッキンの圧縮率についても、圧縮率の異なる複数組のグランドパッキンを
配列し、複数組のグランドパッキンによる圧縮率の低い領域と複数組のグランドパッキン
による圧縮率の高い領域とを形成してもよく、また、ローター側から外側に向かって次第
に圧縮率が高くなるように個々のグランドパッキンの圧縮率を調整してもよい。さらに、
圧縮率の異なるグランドパッキンの比率も1個対3個に限るものではない。
【符号の説明】
【0052】
100 ロータリーバルブ
51 主軸中空シャフト
52 スリーブA
53 スリーブB
54 シーリング
55 六角穴付止ネジ
56 スタッフィングボックス
56a 軸封材充填用空間
57 給脂口
58 ランタンリング
59(59a,59b) グランドパッキン
60 グランドパッキン押え
61 グランドパッキン摺動部
62 仕切板
63 冷却水路A
64 冷却水路B
65 半月形塞止板
66 螺旋案内板
67 流入口A
68 流出口B
70 Vパッキン
71 Vパッキン押え
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7