特許第6912077号(P6912077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6912077-型枠装置 図000002
  • 特許6912077-型枠装置 図000003
  • 特許6912077-型枠装置 図000004
  • 特許6912077-型枠装置 図000005
  • 特許6912077-型枠装置 図000006
  • 特許6912077-型枠装置 図000007
  • 特許6912077-型枠装置 図000008
  • 特許6912077-型枠装置 図000009
  • 特許6912077-型枠装置 図000010
  • 特許6912077-型枠装置 図000011
  • 特許6912077-型枠装置 図000012
  • 特許6912077-型枠装置 図000013
  • 特許6912077-型枠装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912077
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】型枠装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/02 20060101AFI20210715BHJP
   B28B 7/06 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   B28B7/02
   B28B7/06
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-80992(P2017-80992)
(22)【出願日】2017年4月15日
(65)【公開番号】特開2018-176584(P2018-176584A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】593059429
【氏名又は名称】トヨタ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153442
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真季
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康生
【審査官】 松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−094421(JP,A)
【文献】 特開2001−018213(JP,A)
【文献】 米国特許第05125617(US,A)
【文献】 特開平03−156066(JP,A)
【文献】 米国特許第04729541(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00− 7/46
21/00−23/22
E04G 9/00−19/00
25/00−25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品と接する成型面を有すると共に、凹状又は凸状の反り変形を可能とし、コンクリート製品を挟んで内外両側に設けられた変形板と、
該変形板の成型面の反対側の面に設けられ、変形板の凸状の反り変形を規制するため、所定間隔で配置された複数の変形規制部と、
該変形規制部間に形成される空間であって、変形規制部の移動を許容する可撓許容部と、
前記変形規制部に取り付けられた一対の支持部、及び該支持部間の距離を調整する操作部を備え、前記変形板を凹状又は凸状に反らせる複数の変形操作機構とよりなり、
該変形操作機構による前記変形板の反り変形により、少なくとも一部がアーチ状、又は直線状、或いはくの字状のコンクリート製品を製造すること特徴とする型枠装置。
【請求項2】
前記変形操作機構の支持部間、又は前記可撓許容部に着脱可能に設けられ、前記変形板の曲げ角度が7度以下となるように変形板の変形量を制限するストッパーを備えたことを特徴とする請求項1記載の型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状、くの字状、更にはアーチなどの曲線状のコンクリート製品を製造するための型枠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の型枠装置として、例えば特公平6−60497号公報(特許文献1)には、コンクリート造アーチカルバートの製造方法において、底部内外型枠、側部内外およびアーチ部内外型枠を用いて、底部内型枠面およびアーチ部外型枠の両側面が開閉可能で、アーチ部外型枠頂部にコンクリート注入孔を有する型枠を組み立て、この型枠を底部型枠下にして配置して、先ず、底部内型枠を開き、ここから底部型枠内にコンクリートを注入し密に充填し、内型枠を閉鎖した後、アーチ部頂部からコンクリートを注入し、側部型枠内にコンクリートを充填し、次いで頂部の注入孔からコンクリートを注入しアーチ部型枠内にコンクリートを充填するものが開示されている。
【0003】
しかしながら、この特許文献1に示されるような技術の型枠は、アーチの幅員やアーチの曲率半径を変更することができなかったため、幅員や曲率半径の異なる製品毎に型枠を作る必要があり、特にトンネルや橋などの大型建造物の場合、型枠の製造のみならず処分も高コストとなり問題となっていた。
【0004】
このため、特開2000−337092号公報(特許文献2)では、頂部相互を接合してアーチ形構を形成するプレキャストコンクリートアーチ形ユニット板の製造方法において、前記アーチ形ユニット板の頂部に接合部材を挿通するダクトを設け、前記アーチ形構の幅員に合わせて前記頂部の幅員方向の寸法を調整して成型するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−60497号公報
【特許文献2】特開2000−337092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この特許文献2に示されるような特許技術でも、幅員に対応した成型用型枠の共通化は図れるものの、曲率半径が異なる製品を製造するには、やはりその製品毎に型枠を作る必要があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、一つの型枠装置でありながら、様々な幅員、曲率半径のアーチなどの曲線状コンクリート製品に対応することができると共に、厚みや角度などの変更を可能とすることで、所望の直線状やくの字状のコンクリート製品にも対応することができる型枠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1にかかる型枠装置は、コンクリート製品と接する成型面7を有すると共に、凹状又は凸状の反り変形を可能とし、コンクリート製品を挟んで内外両側に設けられた変形板2(外型2A、内型2B)と、
この変形板2の成型面の反対側の面に設けられ、変形板2の凸状の反り変形を規制するため、所定間隔で配置された複数の変形規制部8と、
この変形規制部8間に形成される空間であって、変形規制部8の移動を許容する可撓許容部9と、
前記変形規制部8に取り付けられた一対の支持部11、及びこの支持部11間の距離を調整する操作部12を備え、前記変形板2を凹状又は凸状に反らせる複数の変形操作機構10とよりなり、
この変形操作機構10による前記変形板2の反り変形により、少なくとも一部がアーチ状、又は直線状、或いはくの字状のコンクリート製品を製造すること特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2にかかる型枠装置は、請求項1において、前記変形操作機構10の支持部11間、又は前記可撓許容部9に着脱可能に設けられ、前記変形板2の曲げ角度が7度以下となるように変形板2の変形量を制限するストッパー6A、6Bを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる型枠装置では、コンクリート製品を製造する場合、複数の変形操作機構の操作部を操作することで、この操作部を支持している一対の支持部が近接方向又は引き離す方向に移動し、変形板が凹状又は凸状の反り変形する。また、前記変形操作機構は複数設けられているため、変形板の複数個所で凹状、凸状いずれにも変形板を曲げることができ、一つの型枠装置で種々の幅、曲率半径、形状のコンクリート製品を製造することができるものである。
【0011】
また、本発明にかかる型枠装置では、変形操作機構の支持部間に着脱可能なストッパーを取り付けることにより、変形板の必要以上の変形を制限することができる。即ち、変形板の曲げ角度を耐久性等を考慮した7度以下に制限することができるものである。
【0012】
更に、本発明にかかる型枠装置では、前記変形板の成型面の反対側の面に、変形板の凸状の反り変形を規制する複数の変形規制部と、この変形規制部間に形成される空間であって、変形規制部の移動を許容する可撓許容部とを形成し、前記変形操作機構の支持部を変形規制部に設け、前記可撓許容部間に着脱可能なストッパーを取り付ける。そして、このストッパーを取り付けることにより、変形板の必要以上の変形を制限することができる。即ち、変形板の曲げ角度を耐久性等を考慮した7度以下に制限することができるものである。
【0013】
尚、本発明にかかる型枠装置は、アーチ状、又は直線状、或いはくの字状のコンクリート製品を製造するものである。
【0014】
即ち、アーチ状のコンクリート製品を製造する場合、アーチの外側に位置する型枠の変形板を、前記変形操作機構の支持部間又は前記可撓許容部にストッパーを取り付けることにより、所定の曲率半径の凹状に反り変形させることができ、更にアーチの内側に位置する変形板を同様に所定の曲率半径の凸状に反り変形させることで、所望のアーチ状コンクリート製品を得ることができるものである。
【0015】
また、直線状やくの字状のコンクリート製品を製造する場合、前記変形操作機構の支持部間又は前記可撓許容部にストッパーを取り付けることにより、変形板の必要以上の変形を防止できるため、コンクリート製品の厚みを一定にすることができる。ストッパーの大きさを変えることで、コンクリート製品の一部を厚くすることも、薄くすることも可能となるものである。
【0016】
このように、一つの型枠装置でありながら、種々の寸法、形状のコンクリート製品に対応することができるものであるため、コンクリート製品毎に様々な種類の型枠を用意する必要が無くなり、要望にあったアーチなどの曲線状、直線状、くの字状など種々のコンクリート製品を低コストで提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は曲率半径の大きいアーチ状コンクリート製品を製造するための型枠装置の斜視図である。
図2図2は曲率半径の小さいアーチ状コンクリート製品を製造するための型枠装置の斜視図である。
図3図3は変形板の一部をくの字形状とした直線状コンクリート製品を製造するための型枠装置の斜視図である。
図4図4は直線状態を示す変形板の斜視図である。
図5図5は凹状に反り変形させた状態を示す変形板の斜視図である。
図6図6は凸状に反り変形させた状態の変形板を示す斜視図である。
図7図7は型枠装置を構成する部品の斜視図である。
図8図8は内外ストッパーを多数枚積み上げた状態を示す斜視図である。
図9図9は変形板の一部を拡大した斜視図である。
図10図10は変形板の裏面の一部を拡大した斜視図である。
図11図11は変形板の裏面に設けられ変形操作機構を示す斜視図である。
図12図12は変形操作機構を示す斜視図である。
図13図13は可撓許容部に用いられる内外ストッパーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一つの型枠装置でありながら、異なる曲率半径の曲線状コンクリート製品、例えばアーチ状コンクリート製品の製造を可能とすると共に、直線状やくの字状コンクリート製品の製造、更には、これらコンクリート製品の厚みをも所望の位置で変更可能とする。これにより、顧客要望や規格などにあったコンクリート製品を製造するに際して、様々な種類の型枠を用意する必要が無くなり、コンクリート製品の製造コストを大幅に削減することができる型枠装置を実現した。以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1乃至図3は本発明の型枠装置1を示し、図1は曲率半径が大きい、即ち緩やかなカーブのアーチ状コンクリート製品を製造するための型枠装置1で、図2が曲率半径が小さい、即ち急なカーブのアーチ状コンクリート製品を製造するための型枠装置1を示したものである。更に、図3は変形板2の一部をくの字形状とした直線状コンクリート製品を製造するための型枠装置1を示したものである。
【0020】
先ず、アーチ状コンクリート製品を製造するための型枠装置1について説明する。図1及び図2に示すアーチ状コンクリート製品を製造する型枠装置1は、図5に示す凹状に反り変形させた変形板2を外型2A、図6に示す凸状に反り変形させた変形板2を内型2Bとして用い、更に、コンクリート製品の端部を形成するための妻板3、3とを備えているものである。
【0021】
更に、図7に示す如く、外型2Aを所望の曲率半径とするための外ゲージ4Aと、内型2Bを所望の曲率半径とするための内ゲージ4Bと、コンクリート製品の正面又は裏面を成型する座板5と、前記変形板2を内外ゲージ4A、4Bに合わせた曲率半径に保持するための内外ストッパー6A、6Bとを備えているもので、これら妻板3、3、内外ゲージ4A、4B、座板5、内外ストッパー6A、6Bは都度必要になる部品である。
【0022】
図8には、内外ストッパー6A、6Bを多数枚積み上げた状態を示し、所望の曲率半径を得るため、外ストッパー6A、内ストッパー6Bそれぞれで同じ寸法のものを多数枚用意する必要がある。
【0023】
次に、変形板2の構成について図9乃至図12を用いて説明する。
前記変形板2は一面にコンクリート製品と接する成型面7を有すると共に、この成型面7の反対側の面には、所定間隔で複数の変形規制部8が配置されている。この変形規制部8は下方開口した桝状であり、隣り合う変形規制部8間には、この変形規制部8の近接方向又は引き離す方向の移動を許容する可撓許容部9が形成されている。
【0024】
また、図10乃至図12に示す如く、前記変形規制部8には、変形操作機構10が設けられており、この変形操作機構10は、変形規制部8に溶接にて取り付けられた支持部11と、隣り合う支持部11間に設けられ、支持部11同士を近接方向又は引き離す方向に移動させる操作部12とよりなるものである。
【0025】
前記支持部11は前記変形規制部8に取り付けられた2枚の側板13を備えており、この側板13間には、前記支持部11間の近接方向の移動を規制するための内外ストッパー6A、6Bを着脱可能に取り付けるストッパー取付部14が設けられている。
【0026】
更に、前記操作部12は、前記側板13間に回動可能に取り付けられた回動部15A、15Bと、この回動部15A、15Bを挿通する調整ボルト16と、調整ボルト16のヘッド18の前記回動部15Aを挟んだ反対側に設けられたナット17とよりなるものである。
【0027】
このナット17は調整ボルト16の螺子部19に溶接固定され、前記回動部15Aには通し穴を形成することで、調整ボルト16を所定位置で回転自在としている。また、相対向する側の回動部15Bには、調整ボルト16の螺子部19が螺合する雌螺子加工が施されている。
【0028】
このような変形操作機構10は、直線状に配置しても良いが、調整ボルト16を回す際に作業しやすいよう、1セット毎に互い違いに配置することが望ましい。
【0029】
以上の構成にして、アーチ状コンクリート製品を製造する場合、外型2Aを形成するため、図4の直線状の変形板2を図5に示す凹状に反り変形させる。この際、所望の曲率半径とするため外ゲージ4Aに合わせて曲げていくものである、
【0030】
変形板2を外ゲージ4Aに合わせて曲げるため、即ち、凹状の反り変形させるため、操作部12の調整ボルト16を前記支持部11、11間が離れる方向に回し、十分に引き離したところで前記外ストッパー6Aをストッパー取付部14に取り付ける。その後、操作部12の調整ボルト16を、前記支持部11、11間が外ストッパー6Aで規制させるまで近づく方向に回すことで、前記変形板2が適切な角度となる。
【0031】
以上の操作により、支持部11と共に変形規制部8同士が離れる方向に移動し、変形板2は所定の角度で曲がることとなる。この曲げ角度は変形板2の耐久性等を考慮して7度以下とすることが望ましい。そして、複数の変形操作機構10でこのような操作を行うことにより、変形板2は所望の凹状に反り変形し、外型2Aとして用いることができるようになる。
【0032】
また、内型2Aを形成するためには、図4の直線状の変形板2を図6に示す凸状に反り変形させる。この際、所望の曲率半径とするため内ゲージ4Bに合わせて曲げていくものである、
【0033】
変形板2を内ゲージ4Bに合わせて曲げるため、即ち、凸状の反り変形させるため、一度、操作部12の調整ボルト16を前記支持部11、11間が離れる方向に回し、十分に引き離したところで前記内ストッパー6Bをストッパー取付部14に取り付ける。その後、操作部12の調整ボルト16を、前記支持部11、11間が内ストッパー6Bで規制させるまで近づく方向に回すことで、前記変形板2が適切な角度となる。
【0034】
以上の操作により、支持部11と共に変形規制部8同士が近づく方向に移動し、変形板2は所定の角度で凸状に曲がることとなる。この曲げ角度は変形板2の耐久性等を考慮して7度以下とすることが望ましい。そして、複数の変形操作機構10でこのような操作を行うことにより、変形板2は所望の凸状に反り変形し、内型2Bとして用いることができるようになる。
【0035】
このように変形板2を凹状、凸状に反り変形させ外型2A、内型2Bを形成し、これら内外型2A、2Bを床板20にマグネット固定やボルト止めで固定し、座板5、妻板3を設置することで型枠装置1を構成するものである。そして、これら型枠装置1の内外型2A、2B、妻板3、座板5により囲われた空間に生コンクリートを流し込んで、インナーバイブで締め固めてアーチ状コンクリート製品を製造するものである。
【0036】
尚、23は前記内外型2A、2Bの直立を保持するための直立保持板であり、この直立保持板23は、内外型2A、2Bを座板5に合わせる、胴締めする、下支えするなどと共に前記内外型2A、2Bのねじれ防止に貢献するものである。
【0037】
以上の説明では、内外ストッパー6A、6Bを変形操作機構10のストッパー取付部14に取り付けていたが、隣り合う変形規制部8間に形成された可撓許容部9に図13に示す如き可撓許容部用の内外ストッパー21A、21Bを取り付けても良い。この可撓許容部用の内外ストッパー21A、21Bも、前述した内外ストッパー6A、6B同様に変形規制部8の移動を規制するものである。
【0038】
また、この可撓許容部用の内外ストッパー21A、21Bには、脱落防止のためボルトが挿通する挿通穴22が形成されており、取り付ける場合には、前記変形規制部8と共にボルトで固定されるものである。
【0039】
次に、図3に示す、変形板2の一部がくの字形状をした直線状コンクリート製品を製造するための型枠装置1について説明する。この直線状の型枠装置1は、図4に示す変形板2の一部を凹状、又は凸状に変形させて内外型2A、2Bとして用いるもので、コンクリート製品の端部を形成するためのL字型の端板22を備えているものである。
【0040】
更に、コンクリート製品の正面又は裏面を成型する座板と、前記変形板2を所定形状にするための図示しないゲージと、曲線部分を形成する内外ストッパー6A、6Bとを備えているもので、これら端板22、ゲージ、座板、内外ストッパー6A、6Bは都度必要になる部品である。
【0041】
以上の構成にして、図3に示すコンクリート製品の如く、変形板2の一部をくの字形状とすることにより、板厚の厚い箇所と薄い箇所を形成した直線状コンクリート製品を製造する場合、先のアーチ状コンクリート製品と異なり、図4に示す変形板2の一部のみを変形させ、それ以外を直線とした外型2A、内型2Bを用いる。
【0042】
外型2Aの変形については、変形操作機構10を用いて変形板2の曲げたい部分のみ凹状に反り変形させることとなる。即ち、操作部12の調整ボルト16を前記支持部11、11間が離れる方向に回し、十分に引き離したところで前記外ストッパー6Aをストッパー取付部14に取り付ける。その後、操作部12の調整ボルト16を、前記支持部11、11間が外ストッパー6Aで規制させるまで近づく方向に回すことで、前記変形板2が適切な角度となる。以上の操作により、支持部11と共に変形規制部8同士が離れる方向に移動し、変形板2は所定の角度で曲がることとなる。
【0043】
尚、前記内外ストッパー6A、6Bを支持部11間に取り付ける代わりに、隣り合う変形規制部8間に形成された可撓許容部9に図13に示す如き可撓許容部用の内外ストッパー21A、21Bを取り付けても良い。この可撓許容部用の内外ストッパー21A、21Bも、前述した内外ストッパー6A、6B同様に変形規制部8の移動を規制するものである。
【0044】
そして、先の説明同様、変形板2をゆるい凸状に反り変形させ内型2Bを形成し、これら内外型2A、2Bを床板20にマグネット固定やボルト止めで固定し、座板5、L字型の端板22を設置することで型枠装置1を構成するものである。そして、これら型枠装置1の内外型2A、2B、端板22、座板5により囲われた空間に生コンクリートを流し込んで、インナーバイブで締め固めて直線状コンクリート製品を製造するものである。
【0045】
このように、本発明では前述した変形操作機構10を操作することで変形板2を所望の形状に変形させることができるため、直線状、くの字状やアーチ状のみならず、S字状などの曲線状コンクリート製品も製造することが可能である。
【0046】
更に、本発明の型枠装置1は分解してコンクリート製品の施工現場に持っていき、現場でコンクリート製品を製造しても良い。この場合、型枠装置1の変形板2は隣り合う変形箇所間の中央、即ち、隣り合う前記変形操作機構10の間などで切断しておき、現場にてボルト等の接続具で接続する。
【0047】
以上詳述した如く本発明によれば、型枠装置1は、コンクリート製品と接する成型面7を有すると共に、凹状又は凸状の反り変形を可能とする変形板2と、この変形板2の成型面7の反対側の面に設けられ、変形板2を凹状又は凸状に反らせる複数の変形操作機構10と、この変形操作機構10は、前記変形板2に設けられた一対の支持部11と、この支持部11間の距離を調整する操作部12とよりなるものである。
【0048】
これにより、コンクリート製品を製造する場合、複数の変形操作機構10の操作部12を操作することで、この操作部12を支持している一対の支持部11が近接方向又は引き離す方向に移動し、変形板2が凹状又は凸状の反り変形する。また、前記変形操作機構10は複数設けられているため、変形板2の複数個所で凹状、凸状いずれにも変形板2を曲げることができ、一つの型枠装置1で種々の幅、曲率半径、形状のコンクリート製品を製造することができるものである。
【0049】
また、変形操作機構10の支持部11間に着脱可能なストッパー6A、6Bを取り付けることにより、変形板2の必要以上の変形を制限することができる。
【0050】
更に、前記変形板2の成型面7の反対側の面に、変形板2の凸状の反り変形を規制する複数の変形規制部8と、この変形規制部8間に形成される空間であって、変形規制部8の移動を許容する可撓許容部9とを形成し、前記変形操作機構10の支持部11を変形規制部8に設け、前記可撓許容部9間に着脱可能なストッパー21A、21Bを取り付ける。そして、このストッパー21A、21Bを取り付けることにより、変形板2の必要以上の変形を制限することができる。
【0051】
そして、アーチ状のコンクリート製品を製造する場合、アーチの外側に位置する型枠の変形板2(外型2A)を、前記変形操作機構10の支持部11間、又は前記変形規制部8間の可撓許容部9にストッパー6A、6B、21A、21Bを取り付けることにより、所定の曲率半径の凹状に反り変形させることができ、更にアーチの内側に位置する変形板2(内型2B)を同様に所定の曲率半径の凸状に反り変形させることで、所望のアーチ状コンクリート製品を得ることができるものである。
【0052】
また、直線状やくの字状のコンクリート製品を製造する場合、前記変形操作機構10の支持部11間、又は前記変形規制部8間の可撓許容部9にストッパー6A、6B、21A、21Bを取り付けることにより、変形板2の必要以上の変形を防止できるため、コンクリート製品の厚みを一定にすることができる。更にストッパー6A、6B、21A、21Bの大きさを変えることで、コンクリート製品の一部を厚くすることも、薄くすることも可能となるものである。
【0053】
このように、一つの型枠装置1でありながら、種々の寸法、形状のコンクリート製品に対応することができるものであるため、コンクリート製品毎に様々な種類の型枠を用意する必要が無くなり、要望にあったアーチ、S字などの曲線状、直線状、くの字状など種々のコンクリート製品を低コストで提供できるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 型枠装置
2 変形板
2A 外型
2B 内型
6A 外ストッパー
6B 内ストッパー
7 成型面
8 変形規制部
9 可撓許容部
10 変形操作機構
11 支持部
12 操作部
16 調整ボルト
21A 可撓許容部用外ストッパー
21B 可撓許容部用内ストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13