特許第6912086号(P6912086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912086
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20210715BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   F24F7/06 101Z
   F24F13/20 205
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-172693(P2017-172693)
(22)【出願日】2017年9月8日
(65)【公開番号】特開2019-49369(P2019-49369A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592017286
【氏名又は名称】株式会社トーヨーキッチンスタイル
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(72)【発明者】
【氏名】清本 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】波多野 和広
(72)【発明者】
【氏名】中村 光一
(72)【発明者】
【氏名】神野 涼
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207876(JP,A)
【文献】 特開2014−206296(JP,A)
【文献】 特開2013−195049(JP,A)
【文献】 特開2005−098618(JP,A)
【文献】 特開2017−090006(JP,A)
【文献】 特開2001−004181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井から吊下げられるとともに、横向きに配置される長方形状の天板と、前記天板の一対の長辺部を基端側としてそれぞれ下向きに延び出す一対の側壁とを有し、前記天板の下側が開放形状とされたフード本体と、
前記フード本体の内部に入れ子状に配置されるように前記天板に取り付けられるとともに、前記天板に対して平行に対向する長方形状の底板と、前記天板の一対の長辺部と対応する前記底板の一対の辺部を基端側としてそれぞれ上向きに延び出し、前記フード本体の対応する側壁に対して対向配置される一対の側壁とを有することにより、対応する前記フード本体の側壁と自身の側壁との間には長手方向に沿って第一の流路が形成され、かつ前記天板の裏面と自身の側壁の上端との間には前記第一の流路と連通しながら長手方向に沿って第二の流路が形成される整流板と、
前記フード本体の外部に配置されるように前記天板に取り付けられるとともに前記整流板の下方側の空気を前記第一の流路及び前記第二の流路を経由して前記フード本体の内部に導き、さらに前記天板の長手方向の中央部に形成された貫通孔を介して吸引可能な吸引装置と、を備え、
前記第一の流路における横方向の流路幅は、前記天板の長手方向に沿ってほぼ同じに設定される一方、
前記第二の流路における上下方向の流路幅は、前記天板の長手方向に沿って該天板の中央部の貫通孔から両端部側へ遠ざかるに従い、連続的に広くなるように設定されていることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記整流板の側壁は、前記天板の貫通孔に対応する中央位置にて、同じ壁高さに形成された水平部と、前記天板の貫通孔の孔縁から長手方向の両端部側へ遠ざかるに従い、前記水平部の壁高さから直線状に減少するようにそれぞれ形成された傾斜部とを有する請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記整流板は、前記天板の長手方向に沿って複数のものが隣接して配置され、前記各整流板に形成された側壁の上端が前記天板の長手方向に沿って直線状に連なるよう、前記各整流板の側壁の高さが設定されている請求項2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記天板の一対の短辺部側が開放形状とされており、前記整流板は、前記天板の一対の短辺部に対応する側が開放形状とされ、前記天板の全長が前記整流板の全長に比して長く設定されることで、前記整流板の各端部と前記天板の各端部との間の前記フード本体の内部に側方空間が確保され、前記側方空間には、複数の矩形状の板部材が正面視にてそれぞれ前記フード本体の側壁から水平外向きに突出しないように、異なる高さ位置で水平状かつ互いに平行となるように配置されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記フード本体の側壁の両端は、正面視にて前記天板における長手方向の端から中央側へと下向きに凸となるように湾曲する湾曲縁とされ、前記各板部材は、上側から下側に位置するものほど、前記天板の長手方向における端側から中央側へと近づくように階段状に配置され、底面視にて前記各板部材の下面が下方へ露出するように配置されている請求項4に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記整流板の底板の長手方向の両端部が、前記各板部材の最下段に位置する板部材を構成する請求項5に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードは、例えば加熱機器の上方に配置され、下方から上昇してくる煙や湯気などを含む空気を吸引し、ダクト等を介して室外へ排出する(例えば下記特許文献1参照)。下記特許文献1に記載されたレンジフードでは、フードの厚さを薄く設定しつつも、煙や湯気等を含む空気の捕集効率が低下するのを回避するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−94483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば業務用のレンジフードには、フード本体の間口(長手寸法)が2000mmを超える長尺仕様のものがある。このような仕様のものでは、吸引装置の吸引力を強く設定したとしても、フード本体の端部に近づく程、吸引装置の吸引力が著しく減少してしまうため、フード本体による空気の捕集効率が低下し、ひいては室内の換気効果が十分ではなかった。
【0005】
本発明の課題は、フード本体の端部側にも、吸引装置の吸引力を及ぼし得るレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のレンジフードは、
天井から吊下げられるとともに、横向きに配置される長方形状の天板と、前記天板の一対の長辺部を基端側としてそれぞれ下向きに延び出す一対の側壁とを有し、前記天板の下側が開放形状とされたフード本体と、前記フード本体の内部に入れ子状に配置されるように前記天板に取り付けられるとともに、前記天板に対して平行に対向する長方形状の底板と、前記天板の一対の長辺部と対応する前記底板の一対の辺部を基端側としてそれぞれ上向きに延び出し、前記フード本体の対応する側壁に対して対向配置される一対の側壁とを有することにより、対応する前記フード本体の側壁と自身の側壁との間には長手方向に沿って第一の流路が形成され、かつ前記天板の裏面と自身の側壁の上端との間には前記第一の流路と連通しながら長手方向に沿って第二の流路が形成される整流板と、前記フード本体の外部に配置されるように前記天板に取り付けられるとともに前記整流板の下方側の空気を前記第一の流路及び前記第二の流路を経由して前記フード本体の内部に導き、さらに前記天板の長手方向の中央部に形成された貫通孔を介して吸引可能な吸引装置と、を備え、
前記第一の流路における横方向の流路幅は、前記天板の長手方向に沿ってほぼ同じに設定される一方、前記第二の流路における上下方向の流路幅は、前記天板の長手方向に沿って該天板の中央部の貫通孔から両端部側へ遠ざかるに従い、連続的に広くなるように設定されていることを特徴とする
こで、「第二の流路上下方向の流路幅が両端部側へ遠ざかるに従い連続的に広くなるとは、例えば、整流板の側壁の上端が所定の一次関数に従うことで、その傾きに応じて直線的に広くなったり、所定の二次関数に従うことで、その曲率に応じて曲線的に広くなったりすることを意味し、「整流板の側壁の高さが両端部側へ遠ざかるに従い連続的に低くなる」ことと同義である。
【0007】
本発明に係るレンジフードでは、整流板の下方側の空気が、フード本体の側壁と整流板の側壁との間に形成される第一の流路、天板の裏面と整流板の側壁の上端との間に形成される第二の流路、及び天板に形成された貫通孔を通してフード本体の内部を経由して吸引装置により吸引される。そして、上記第二の流路の流路幅は、天板の長手方向に沿って該天板の貫通孔から遠ざかるに従い、連続的に広くなるように設定されている。このため、フード本体の端部に近づく程、整流板から下方の領域に及ぶように吸引装置の吸引力を作用させることが可能となる。ひいては、フード本体の長手方向の全体にわたって均一な大きさの吸引力を作用させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係るレンジフードの取り付け状態を示す斜視図。
図2図1のレンジフードを斜め上側から見た斜視図。
図3図1のレンジフードを斜め下側から見た斜視図。
図4図1のレンジフードを側方かつ斜め下側から見た斜視図。
図5図1のレンジフードの正面図。
図6図1のレンジフードの平面図。
図7図1のレンジフードの底面図。
図8図7のVIII−VIII断面図。
図9図8の部分拡大図。
図10図9のX−X部分拡大図。
図11図4のXI−XI部分拡大正面図。
図12図7のXII−XII断面図。
図13図3のレンジフードにおいて、中央の整流板が開いた状態を示す斜視図。
図14図3のレンジフードにおいて、左右の整流板が開いた状態を示す斜視図。
図15】フード本体の長手方向に沿った空気の流入態様を模式的に示す説明図。
図16】ルーバーにおいて、空気の流入態様を模式的に示す説明図。
図17】実施例1の変形例に係り、整流板の側壁を示す概略図。
図18】実施例1の変形例に係り、フード本体の端部を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明に係るレンジフードを適用した厨房用レンジフード1(以下、単にレンジフード1という)を示す。レンジフード1は、例えば室内に配置された加熱、電磁調理器などの上方に配置され、調理により発生する油煙や湯気などを含む空気(排出対象)を吸引し、室外へ排出するものである。レンジフード1は、フード本体10、整流板20、ルーバー30及び吸引装置40を備えている。
【0011】
フード本体10は、空気を捕集する機能を果たし、例えば底板が長方形状とされた薄型のトレイにおいて、底板の短辺部側に位置する一対の側壁が取り除かれて開放形状とされた扁平容器状のものを上下逆さまに引っ繰り返した態様をなす。具体的には、図2図7に示すように、フード本体10は、長方形状の天板11と、天板11の一対の辺部としての一対の長辺部11aを基端側としてそれぞれ下向きに延び出す一対の側壁12とを有し、天板11の一対の短辺部11b側が開放されている。
【0012】
天板11の中央には、吸引装置40に対応して上下に貫通する長方形状の貫通孔11cが形成されている(図13参照)。また、天板11の裏面には、天板11の短辺部11bと平行に延び出し、貫通孔11cを2等分するように横断する仕切り壁11dが立設されている。仕切り壁11dは、フード本体10の内部を2室に区画し、各室を2等分された貫通孔11cの互いに異なる側へ連通させる機能を果たす。
【0013】
各側壁12は、図4の側方斜視図に示すように、下向きに凹となるように湾曲する湾曲状、より具体的には下方へ向かうに従って両側壁12間の距離が緩やかに拡がる程度の曲率を有する円弧状に形成されている。また、各側壁12の長手方向の両端は、図5の正面図に示すように、天板11における長手方向の端から中央側へと下向きに凸となるように湾曲する湾曲縁12aとされている。
【0014】
整流板20は、天板11の長辺部11a側から吸引される空気の流れを整える機能を果たし、フード本体10と同様、扁平容器状に形成されている。整流板20は、フード本体10の内部に配置されるように天板11に取り付けられている。本実施例1では、図3図7図13図14に示すように、整流板20として、複数の整流板20A,20B,20Cが天板11の長手方向に沿って隣接して配置されている。
【0015】
整流板20A,20B,20Cは、いずれも天板11に対向する長方形状の底板21と、天板11の一対の長辺部11aと対応する底板21の一対の辺部21aを基端側としてそれぞれ上向きに延び出し、フード本体10の対応する側壁12に対して対向配置される一対の側壁22とを有する。底板21の他方の一対の辺部21b側は、いずれも開放されている。
【0016】
整流板20B,20Cの各底板21は、同じ大きさの長方形状に形成されている。一方、整流板20Aの底板21は、整流板20B,20Cの底板21に比して大きな長方形状に形成されている。整流板20Aは、フード本体10の中央部に対応して配置され、整流板20B,20Cは、整流板20Aを間に挟んで図示左右に配置されている。
【0017】
整流板20Aは、図13に示すように、天板11に対し、取り付けブラケットを含むヒンジ部材23により背面側の側壁22の近傍にて天板11の長辺部11aと平行に延びる軸線周りに回転可能に支持されている。整流板20Aの天板11に対する回転に応じて、フード本体10の中央部が開状態(図13参照)又は閉状態(図3参照)となる。なお、整流板20Aは、2本のワイヤー25によりフード本体10の天板11に連結されており、整流板20Aの開度が45°程度となるように設定されている。整流板20Aは、取り付けブラケットを含む固定部材24により天板11に固定され、これにより、フード本体10の中央部が閉状態となる。
【0018】
これに対し、整流板20B,20Cは、図14に示すように、天板11に対し、取り付けブラケットを含むヒンジ部材23により整流板20Aと隣り合う辺部21bの近傍にて天板11の短辺部11bと平行に延びる軸線周りに回転可能に支持されている。整流板20B,20Cの天板11に対する回転に応じて、フード本体10の左右端部がそれぞれ開状態(図14参照)又は閉状態(図3参照)となる。整流板20B,20Cは、取り付けブラケットを含む固定部材24により天板11に固定され、これにより、フード本体10の各端部が閉状態となる。
【0019】
整流板20A,20B,20Cが天板11に固定されたフード本体10の閉状態では、フード本体10の内部空間が仕切り壁11dにより2室に区画され(図13参照)、フード本体10内において、整流板20B側から整流板20Aを経由した整流板20C側への空気の流れ、及び整流板20C側から整流板20Aを経由した整流板20B側への空気の流れがいずれも阻止される。すなわち、空気は、整流板20B側から整流板20Aを経て貫通孔11cの一方を通って吸引装置40側へ流れるか、整流板20C側から整流板20Aを経て貫通孔11cの他方を通って吸引装置40側へ流れることとなる。
【0020】
また、整流板20A,20B,20Cが天板11に固定されたフード本体10の閉状態では、図4図7に示すように、フード本体10の側壁12と整流板20A,20B,20Cの側壁22との間に、天板11の長手方向に沿ってほぼ同じ流路幅の流路D1が形成される。流路D1が本発明の第一の流路に相当する。
【0021】
整流板20Aの側壁22は、図9図12図13に示すように、天板11の貫通孔11cに対応する位置にて、同じ壁高さに形成された水平部22aと、天板11の貫通孔11cの孔縁から遠ざかるに従い、水平部22aの壁高さから直線状に減少するように形成された傾斜部22bとを有する。
【0022】
具体的に、水平部22aは、天板11の貫通孔11cに対応して設けられ、貫通孔11cの孔内の所定位置で傾斜部22bに接続されている。これにより、天板11の裏面と整流板20Aの側壁22の上端との間には、水平部22aに対応する部位に形成される、ほぼ同じ流路幅W1を有する流路D2と、傾斜部22bに対応する部位に形成される、天板11の長手方向に沿って貫通孔11cから遠ざかるに従い、流路幅W2が連続的に広くなる流路D3とが形成されている。当然のことながら、流路D3の流路幅W2(平均)は、流路D2の流路幅W1に比べて広い。流路D2において、その流路幅W1がほぼ同じ大きさに形成されているのは、整流板20Aの側壁22の水平部22aは、吸引装置40に最も近く、水平部22aの全体にわたって、ほぼ同じ大きさの強い吸引力が作用するため、ほぼ同じ流路幅W1としつつ、その幅長の絞り度合いを高めたものである。
【0023】
整流板20B,20Cの側壁22は、図9図12図14に示すように、整流板20Aの側壁22の傾斜部22bとほぼ直線状に連なり、天板11の貫通孔11cの孔縁から遠ざかるに従い壁高さが連続的に低くなるような下り勾配の傾斜部22cを有する。このように、天板11の裏面と整流板20B,20Cの各側壁22の上端との間には、天板11の長手方向に沿って貫通孔11cから遠ざかるに従い、連続的に広くなる流路幅W3を有する流路D4がそれぞれ形成されている。
【0024】
整流板20Aの側壁22の傾斜部22b、及び整流板20B,20Cの側壁22の傾斜部22cは、流路D2〜D4を通る空気の流入量がフード本体10の長手方向の全体にわたってほぼ均一となるように所定の下り勾配に設定されている(例えば、2°〜30°程度、より好ましくは5°〜20°程度)。流路D3,D4が本発明の第二の流路に相当する。
【0025】
ルーバー30は、天板11の短辺部11b側から吸引される空気の流れを整え、かつフード本体10の内部を外側から見えにくくする機能を果たし、複数の矩形状の板部材31(本実施例では2つの場合を例示)を有し、図3図10図14に示すように、天板11の各端部と、対応する整流板20B,20の各端部間におけるフード本体10の内部に配置されるように、取り付けブラケット32により天板11に取り付けられている。天板11の全長が整流板20の全長に比して長く設定されることで、整流板20B,20Cの各端部と天板11の各端部との間のフード本体10の内部に側方空間S1が確保され(図10参照)、この側方空間S1内にルーバー30が配置されるようになっている。
【0026】
各板部材31は、図10の正面視にてそれぞれフード本体10の側壁12から水平外向きに突出しないように、異なる高さ位置で水平状かつ互いに平行となるように配置されている。各板部材31は、上側から下側に位置するものほど、天板11の長手方向における端側から中央側へと近づくように階段状に配置され、図3に示すように、各板部材31の下面が下方へ露出するように配置されている。
【0027】
また、本実施例1では、図10に示すように、整流板20B,20Cの各底板21の端部には、水平外向きに延び出す延長部21cが一体的に形成され、この延長部21cが各板部材31の最下段に位置する新たな板部材として機能するように構成されている。
【0028】
吸引装置40は、図1図2図5図6図8に示すように、ファン41、カバー42、ダクト43などを備える。ファン41は、フード本体10の外部に配置されるように天板11の中央部に取り付けられている。本実施例1では、フード本体10の全長が比較的長い仕様であるため、2台のファン41が使用されている。一方のファン41は、仕切り壁11dを境として、整流板20B側から整流板20Aを経て貫通孔11cの一方を通して空気を吸引する。他方のファン41は、整流板20C側から整流板20Aを経て貫通孔11cの他方を通して空気を吸引する。
【0029】
カバー42は、両ファン41の四方を覆うように、フード本体10の天板11に取り付けられている。カバー42は、例えば寸切りボルトなどの取り付け部材51により天井2に取り付けられる(図1参照)。なお、フード本体10自身は、例えばワイヤーなどの取り付け部材52により天井2に取り付けられる。カバー42は、平面視にて楕円形状、レーストラック形状あるいは小判形状をなす段付き筒状部材で形成され、長軸がフード本体10の長手方向と一致する向きに配置されている(図6参照)。
【0030】
また、カバー42は、その全高の1/8〜1/6程度の長さに相当する基端側の部位が小径部42bとされ、残りの部位が大径部42aされている。このような小径部42bを設けることで、カバー42の高さが見かけ上、小径部42bの高さ分だけ低くなったかのような視覚上の効果を得ることができる。ダクト43は、一端がファン41の排出口に接続され、中間部がカバー42内を通り、天井2を経て、他端が室外に直接連通するように配置されるか、換気通路を経て室外に間接的に連通するように配置される。
【0031】
以上のように構成されたレンジフード1では、図4図9図15に示すように、整流板20の下方側の空気が、フード本体10の側壁12と整流板20の側壁22との間に形成される流路D1、天板11の裏面と整流板20の側壁22の上端との間に形成される流路D2〜D4、及び天板11に形成された貫通孔11cを通してフード本体10の内部を経由して各ファン41により吸引される。そして、流路D3,D4の流路幅W2,W3は、天板11の長手方向に沿って天板11の貫通孔11cから遠ざかるに従い、連続的に広くなるように設定されている。
【0032】
これにより、フード本体10の端部に近づく程、整流板20から下方の領域に及ぶように各ファン41の吸引力を作用させることができ、フード本体10の長手方向の全体にわたってほぼ均一な大きさの吸引力を作用させることができる(図15参照)。その結果、フード本体10が長尺仕様のものであっても、室内の換気効果を高めることができる。
【0033】
また、上記実施例1では、整流板20として、整流板20A,20B,20Cが天板11の長手方向に沿って隣接して配置され、整流板20A,20B,20Cに形成された各側壁22の上端が天板11の長手方向に沿って直線状に連なるよう、各側壁22の高さが設定されている。これにより、フード本体10内の清掃やメンテナンスの向上を図りつつ、上記のようにフード本体10の長手方向の全体にわたってほぼ均一な大きさの吸引力を作用させることができる。
【0034】
また、上記実施例1では、ルーバー30の各板部材31は、上側から下側に位置するものほど、天板11の長手方向における端側から中央側へと近づくように階段状に配置され、各板部材31の下面が下方へ露出するように配置されている。これにより、例えば図16に示すように、各ファン41の作動時にフード本体10に発生する負圧を側方空間S1の全域に効果的に及ぼすことができ、フード本体10の短辺部11b側の側方を上昇する空気をほぼ漏れなく捕集することができる。
【0035】
また、上記実施例1では、整流板20B,20Cの各底板21の端部には、水平外向きに延び出す延長部21cが一体的に形成され、この延長部21cが各板部材31の最下段に位置する新たな板部材として機能するように構成されている。これにより、ルーバー30の構成が簡略化され、見た目にシンプルな印象を与えることができる。
【0036】
上記実施例1では、整流板20Aの側壁22が同じ壁高さに形成された水平部22aと、水平部22aの壁高さから直線状に減少するように形成された傾斜部22bとを有するように構成され、整流板20B,20Cの側壁22が傾斜部22bと直線状に連なり、壁高さが連続的に低くなるような下り勾配の傾斜部22cを有するように構成されていた。しかし、整流板20の側壁22の形状は、上記実施例1の場合に限らず、例えば図17の変形例に示すように、整流板120A,120Cの各側壁122の全体にわたって曲線状に緩やかに減少する湾曲部22d,22eとしてもよい。
【0037】
また、上記実施例1では、複数の整流板20A,20B,20Cを使用したが、一つの整流板のみを使用して、その側壁の壁高さが連続的に小さくなるように構成してもよい。
【0038】
また、上記実施例1では、フード本体10を構成する各側壁12の長手方向の両端が、天板11における長手方向の端から中央側へと下向きに凸となるように湾曲する湾曲縁12aとされるのに対応して、ルーバー30を構成する各板部材31が、上側から下側に位置するものほど、天板11の長手方向における端側から中央側へと近づくように階段状に配置される構成とされていた。しかし、例えば図18の変形例に示すように、天板111から下方へ延び出す各側壁112の長手方向の両端を鉛直方向に延びる直線縁112aとし、ルーバー130を構成する各板部材131と、底板の延長部121cとを、その直線縁112aに沿って上側から下側に段違いに配置するように構成してもよい。
【0039】
なお、上記実施例1のようにルーバー30を備えた態様から、ルーバー30を省略した態様としてもよい。この場合、上記実施例1や図18の変形例で示したように、天板11,111の一対の短辺部11b,111b側が、開放される形状であってもよいし、閉鎖される形状であってもよい。天板の一対の短辺部側が閉鎖される形状の場合は、天板の一対の長辺部に対応して設けられた流路D1〜D4を通して、フード本体10内に空気が吸い込まれ、あるいは底板の延長部121cと天板の一対の短辺部との間に流路となる隙間が形成される場合は、その流路をも通して、フード本体10内に空気が吸い込まれることとなる。
【0040】
以上、本実施例1及びその変形例について説明したが、本発明は上記記載の態様に限定して解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 レンジフード
10 フード本体
11,111 天板
11a 長辺部(辺部)
11b,111b 短辺部(辺部)
11c 貫通孔
11d 仕切り壁
12,112 側壁
12a 湾曲縁
20(20A,20B,20C) 整流板
21 底板
21a,21b 辺部
21c,121c 延長部(整流板の端部)
22,122 側壁
22a 水平部
22b,22c 傾斜部
22d,22e 湾曲部
30,130 ルーバー
31,131 板部材
40 吸引装置
41 ファン
42 カバー
43 ダクト
D1 流路(第一の流路)
D2 流路
D3,D4 流路(第二の流路)
W1 流路D2の流路幅
W2 流路D3の流路幅
W3 流路D4の流路幅
S1 側方空間
図1
図2
図3
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