特許第6912092号(P6912092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912092
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】粉末床溶融結合造形物及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20210715BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210715BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20210715BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20210715BHJP
【FI】
   B29C64/153
   B33Y10/00
   B33Y80/00
   B33Y40/00
【請求項の数】5
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2018-66722(P2018-66722)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-177503(P2019-177503A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2020年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】398018962
【氏名又は名称】株式会社アスペクト
(74)【代理人】
【識別番号】100159547
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴谷 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091672
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 啓三
(72)【発明者】
【氏名】萩原 正
(72)【発明者】
【氏名】木村 友星
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特公平7−57532(JP,B2)
【文献】 特開平6−270265(JP,A)
【文献】 特開2000−280359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00
B33Y 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粉末の層を形成する工程と、前記樹脂粉末の層を形成した後に前記樹脂粉末の層の造形領域にレーザ光を照射して、前記造形領域の前記樹脂粉末を溶融結合し、固化して、固化層を形成する工程とを繰り返すことにより、n(nは3以上の整数)層の前記樹脂粉末の層を形成すると共に、前記n層の樹脂粉末の層内に前記n層の前記固化層を積層して造形物を作製する粉末床溶融結合造形物の作製方法であって、
前記樹脂粉末の層にレーザ光を照射する工程では、
前記n層の樹脂粉末の層のうち、下から第1層目の前記樹脂粉末の層の前記造形領域に前記レーザ光を第1のエネルギーで照射し、
第2層目乃至第n−1層目の前記樹脂粉末の層の各々の前記造形領域のうち、上下に隣接する前記樹脂粉末の層の前記造形領域のうちの少なくとも一方から外側にはみ出しているはみ出し部、及び前記隣接する樹脂粉末の層の前記造形領域と重なる前記はみ出し部の内側の少なくとも前記樹脂粉末の層の厚さ分の幅の重なり部に前記レーザ光を前記第1のエネルギーで照射し、前記はみ出し部及び前記重なり部の内側の中央部に前記レーザ光を前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーで照射し、
第n層目の前記樹脂粉末の層の前記造形領域に前記レーザ光を前記第1のエネルギーで照射することを特徴とする粉末床溶融結合造形物の作製方法。
【請求項2】
前記第2層目乃至前記第n−1層目の前記樹脂粉末の層の各々は、所定の幅の外周部を有し、
前記樹脂粉末の層にレーザ光を照射する工程では、
前記外周部の一部に前記はみ出し部が重なっている場合には、前記はみ出し部及び前記重なり部と共に、前記外周部のうちの前記はみ出し部が重なっていない部分に前記レーザ光を前記第1のエネルギーで照射することを特徴とする請求項に記載の粉末床溶融結合造形物の作製方法。
【請求項3】
前記樹脂粉末の層にレーザ光を照射する工程の後に、前記n層の樹脂粉末の層から積層された前記n層の固化層を取り出し、前記積層されたn層の固化層を等方的に加圧することを特徴とする請求項又は請求項に記載の粉末床溶融結合造形物の作製方法。
【請求項4】
前記造形物の作成の間、前記樹脂粉末を、該樹脂粉末の表面が該樹脂粉末の融点よりも10℃〜15℃程度低い温度に維持されるように、予備加熱することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末床溶融結合造形物の作製方法。
【請求項5】
前記樹脂粉末の層にレーザ光を照射する工程では、前記第2層目乃至前記第n−1層目の前記樹脂粉末の層のうち、前記はみ出し部がない前記樹脂粉末の層における前記造形領域の所定の幅の外周部に、前記レーザ光を前記第1のエネルギーで照射することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の粉末床溶融結合造形物の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末床溶融結合造形物及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機能試験用試作部品や少量多品種の製品に使用される部品等を造形する造形装置への要望が増えてきている。
【0003】
このような造形装置として、光造形装置や粉末床溶融結合装置などがある。
【0004】
これらの造形装置のうち、粉末床溶融結合装置では、収納容器内に粉末材料を収納している。その粉末材料をリコータによって収納容器から作製容器に運搬して、作製容器内の造形用テーブルの上に粉末材料の薄層を形成する。次に、その粉末材料の薄層の所定の領域にレーザ光を照射することにより、この領域の粉末材料を溶融結合し、固化して、固化層を形成する。
【0005】
このような粉末材料の薄層の形成、及びこの薄層での固化層の形成を繰り返し行うことにより、造形用テーブルの上に固化層を積層していき、3次元造形物を作製する。
【0006】
造形物の作製で使用される粉末材料としては、樹脂粉末、金属粉末、セラミック粉末、及びこれらの混合粉末がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2015/145844号
【特許文献2】特表平8−504139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
樹脂粉末を使用して粉末床溶融結合装置で造形物を作製した場合、その造形物は、同じ種類の樹脂を使用して射出成型装置で作製された造形物に比べると、金型を作製する必要がないため短期間で作製することができるものの、作製時に圧力が加えられていないために強度が低くなってしまう。
【0009】
以上より、粉末床溶融結合造形物及びその作製方法において、造形物の強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術の一観点によれば、樹脂の固化層がn(nは3以上の整数)層積層された粉末床溶融結合造形物であって、前記n層の固化層のうち、下から第1層目の前記固化層は、第1のエネルギーで溶融固化され、第2層目乃至第n−1層目の前記固化層の各々は、上下に隣接する前記固化層のうちの少なくとも一方から外側にはみ出しているはみ出し部、及び前記隣接する固化層と重なる前記はみ出し部の内側の少なくとも前記固化層の厚さ分の幅の重なり部が前記第1のエネルギーで溶融固化され、前記はみ出し部及び前記重なり部の内側の中央部が前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーで溶融固化され、第n層の前記固化層は、前記第1のエネルギーで溶融固化された粉末床溶融結合造形物が提供される。
【0011】
開示の技術の他の観点によれば、樹脂粉末の層を形成する工程と、前記樹脂粉末の層を形成した後に前記樹脂粉末の層の造形領域にレーザ光を照射して、前記造形領域の前記樹脂粉末を溶融結合し、固化して、固化層を形成する工程とを繰り返すことにより、n(nは3以上の整数)層の前記樹脂粉末の層を形成すると共に、前記n層の樹脂粉末の層内に前記n層の前記固化層を積層して造形物を作製する粉末床溶融結合造形物の作製方法であって、前記樹脂粉末の層にレーザ光を照射する工程では、前記n層の樹脂粉末の層のうち、下から第1層目の前記樹脂粉末の層の前記造形領域に前記レーザ光を第1のエネルギーで照射し、第2層目乃至第n−1層目の前記樹脂粉末の層の各々の前記造形領域のうち、上下に隣接する前記樹脂粉末の層の前記造形領域のうちの少なくとも一方から外側にはみ出しているはみ出し部、及び前記隣接する樹脂粉末の層の前記造形領域と重なる前記はみ出し部の内側の少なくとも前記樹脂粉末の層の厚さ分の幅の重なり部に前記レーザ光を前記第1のエネルギーで照射し、前記はみ出し部及び前記重なり部の内側の中央部に前記レーザ光を前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーで照射し、第n層目の前記樹脂粉末の層の前記造形領域に前記レーザ光を前記第1のエネルギーで照射する粉末床溶融結合造形物の作製方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術の一観点によれば、n層の樹脂粉末の層のうち、下から第1層目の樹脂粉末の層の造形領域にレーザ光を第1のエネルギーで照射し、第2層目乃至第n−1層目の樹脂粉末の層の各々の造形領域のうち、上下に隣接する樹脂粉末の層の造形領域のうちの少なくとも一方から外側にはみ出しているはみ出し部、及び隣接する樹脂粉末の層の造形領域と重なるはみ出し部の内側の少なくとも樹脂粉末の層の厚さ分の幅の重なり部にレーザ光を第1のエネルギーで照射し、はみ出し部及び重なり部の内側の中央部にレーザ光を第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーで照射し、第n層目の樹脂粉末の層の造形領域にレーザ光を第1のエネルギーで照射している。
【0013】
このため、第1層目の樹脂粉末の層の造形領域、第2層目乃至第n−1層目の樹脂粉末の層の各々の造形領域のうちのはみ出し部及び重なり部、及び第n層目の樹脂粉末の層の造形領域の樹脂粉末を強固に溶融結合させることができる。
【0014】
この結果、大気に曝される第1層目の固化層の表面、第2層目乃至第n−1層目の固化層の各々の表面のうちのはみ出し部の部分、及び第n層目の固化層の表面、つまり粉末床溶融結合造形物の表面の全体に形成される開放気孔を、n層の樹脂粉末の層の造形領域の全体にレーザ光を第2のエネルギーで照射した場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0015】
更に、重なり部がはみ出し部の余地となり、大気に曝される可能性がある第2層目乃至第n−1層目の固化層の各々の表面のうちのはみ出し部の中央部側の端の部分に、開放気孔が形成されるのを抑制することができる。
【0016】
これらにより、造形物に応力が印加されたときに開放気孔に応力が集中して、その開放気孔を起点にして造形物が破断し易くなるのを抑制することができ、造形物の靭性(強度)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、樹脂粉末を使用して粉末床溶融結合装置で作製された造形物の構造の一例を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る粉末床溶融結合装置の構成の一例を説明する図である。
図3図3(a)は、粉末床溶融結合装置の筐体以外の構成を示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のI−I線における断面図である。
図4図4は、レーザ光出射部の構成を説明するブロック図である。
図5図5は、作製する造形物を4つの層に分割した場合における、造形物の下から第1層目(最下層)のスライスデータの構成の一例を説明する図である。
図6図6は、作製する造形物を4つの層に分割した場合における、造形物の下から第2層目(中間層)のスライスデータの構成の一例を説明する図である。
図7図7は、作製する造形物を4つの層に分割した場合における、造形物の下から第3層目(中間層)のスライスデータの構成の一例を説明する図である。
図8図8は、作製する造形物を4つの層に分割した場合における、造形物の下から第4層目(最上層)のスライスデータの構成の一例を説明する図である。
図9図9(a),(b)は、レーザ光の走査方法の一例としてのジグザグ走査の方法を説明する図である。
図10図10は、粉末材料のバッファ層の形成途中の断面図(その1)である。
図11図11は、粉末材料のバッファ層の形成途中の断面図(その2)である。
図12図12は、粉末材料のバッファ層の形成途中の断面図(その3)である。
図13図13は、粉末材料のバッファ層の形成途中の断面図(その4)である。
図14図14は、造形物の作製途中の断面図(その1)である。
図15図15は、造形物の作製途中の断面図(その2)である。
図16図16は、造形物の作製途中の断面図(その3)である。
図17図17は、造形物の作製途中の断面図(その4)である。
図18図18は、造形物の作製途中の断面図(その5)である。
図19図19は、造形物を作製する際に制御部において行う、n(nは3以上の整数)層の粉末材料の薄層の造形領域に照射するレーザ光のエネルギー密度の調整方法を説明するフローチャート(その1)である。
図20図20は、造形物を作製する際に制御部において行う、n(nは3以上の整数)層の粉末材料の薄層の造形領域に照射するレーザ光のエネルギー密度の調整方法を説明するフローチャート(その2)である。
図21図21(a)は、最下層としての下から第1層目の固化層の構成を示す上面図であり、図21(b)は、図21(a)のII−II線における断面図である。
図22図22は、中間層の一例としての第2層目のスライスデータに、直下の第1層目のスライスデータと、直上の第3層目のスライスデータとを重ねたときの第2層目のスライスデータの構成を説明する図である。
図23図23は、中間層の別例としての第3層目のスライスデータに、直下の第2層目のスライスデータと、直上の第4層目のスライスデータとを重ねたときの第3層目のスライスデータの構成を説明する図である。
図24図24は、外周部の一部にはみ出し部が重なっている場合の中間層の一例としての第n−1層目のスライスデータに、直下の第n−2層目のスライスデータと、直上の第n層目のスライスデータとを重ねたときの第n−1層目のスライスデータの構成を説明する図である。
図25図25(a)は、中間層の一例としての第2層目の固化層の構成を示す上面図であり、図25(b)は、図25(a)のIII−III線における断面図である。
図26図26(a)は、中間層の別例としての第3層目の固化層の構成を示す上面図であり、図26(b)は、図26(a)のIV−IV線における断面図である。
図27図27(a)は、外周部の一部にはみ出し部が重なっている場合の中間層の一例としての第n−1層目の固化層の構成を示す上面図であり、図27(b)は、図27(a)のV−V線における断面図であり、図27(c)は、図27(a)のVI−VI線における断面図である。
図28図28(a)は、最上層としての第4層目の固化層の構成を示す上面図であり、図28(b)は、図28(a)のVII−VII線における断面図である。
図29図29は、本実施形態に係る粉末床溶融結合造形物の高さ方向の断面構造を示す図である。
図30図30は、造形領域にはみ出し部がない場合の中間層の一例としての第n−1層目のスライスデータに、直下の第n−2層目のスライスデータと、直上の第n層目のスライスデータとを重ねたときの第n−1層目のスライスデータの構成を説明する図である。
図31図31は、造形領域にはみ出し部がない場合の中間層の別例としての第n−1層目のスライスデータに、直下の第n−2層目のスライスデータと、直上の第n層目のスライスデータとを重ねたときの第n−1層目のスライスデータの構成を説明する図である。
図32図32(a)は、造形領域にはみ出し部がない場合の中間層の一例としての第n−1層目の固化層の構成の一例を示す上面図であり、図32(b)は、図32(a)のVIII−VIII線における断面図である。
図33図33(a)は、造形領域にはみ出し部がない場合の中間層の別例としての第n−1層目の固化層の構成を示す上面図であり、図33(b)は、図33(a)のIX−IX線における断面図である。
図34図34は、比較例に係る粉末床溶融結合造形物の高さ方向の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が検討した事項について説明する。
【0019】
造形物の強度を表す性質の一つとして、例えば、粘り強さを示す靭性がある。この靭性が小さいと、造形物が破断し易くなる。
【0020】
本願発明者は、樹脂粉末を使用して粉末床溶融結合装置で造形物を作製した場合に靭性が小さくなる原因を調べたところ、その原因は造形物に形成される気孔(pore)にあることを見出した。
【0021】
図1は、樹脂粉末を使用して粉末床溶融結合装置で作製された造形物の構造の一例を示す断面図である。
【0022】
図1に示すように、樹脂粉末を使用して粉末床溶融結合装置で作製された造形物には気孔が形成されていることがある。このような気孔には、造形物100の表面(上面100a,下面100b,及び側面100c)に形成される開いた空間の開放気孔(open pore)OPと、造形物100の内部に形成される閉じた空間の閉鎖気孔(closed pore)CPとがある。
【0023】
例えば、造形物100の表面100a〜100cに開放気孔OPが形成されている場合には、造形物100に応力が印加されたときに開放気孔OPに応力が集中して、その開放気孔OPを起点にして造形物100が破断し易くなると考えられる。
【0024】
このような検討を踏まえて、本実施形態では、以下のようにして造形物の表面に開放気孔が形成されるのを抑制して、造形物の靭性(強度)を向上させる。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態に係る粉末床溶融結合造形物を、その作製方法及び作製装置と共に説明する。
【0026】
まず、造形物の作製装置としての粉末床溶融結合装置の構成について説明する。
【0027】
図2は、粉末床溶融結合装置の構成の一例を説明する図である。また、図3(a)は、粉末床溶融結合装置の筐体以外の構成を示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のI−I線における断面図である。
【0028】
図2に示すように、粉末床溶融結合装置1は、その筐体2内に、粉末材料を収納する2つの収納容器3,4と、収納容器3,4の粉末材料を使用して造形物が作製される作製容器5とが収容される。
【0029】
その粉末材料の種類は特に限定されない。例えば、粉末材料として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン6,ナイロン11,及びナイロン12(ナイロンは登録商標)等のポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、及びエラストマ(EL)などの熱可塑性の樹脂粉末を使用し得る。
【0030】
図3に示すように、これらの容器3〜5のうち、収納容器3,4は、例えば、鋼板を曲げ及び溶接等の加工を行うことによって形成され、上から見たときに矩形状に開口した筒状の容器である。
【0031】
収納容器3,4の内側には、それぞれ供給用テーブル6,7が配置されている。その供給用テーブル6,7の上に外部から粉末材料8が供給される。また、供給用テーブル6,7の下面には、図示しないドライバに接続された支持棒9,10が取り付けられている。これらのドライバによって支持棒9,10を駆動することにより、支持棒9,10を介して供給用テーブル6,7が収納容器3,4の内側を昇降する。
【0032】
一方、作製容器5は、例えば、鋼板を曲げ及び溶接等の加工を行うことによって形成され、上から見たときに正方形状に開口した筒状の容器である。
【0033】
作製容器5の内側には、造形用テーブル11が配置されている。その造形用テーブル11の上に収納容器3,4の粉末材料8が供給される。また、造形用テーブル11の下面には、図示しないドライバに接続された支持棒12が取り付けられている。このドライバによって支持棒9,10を駆動することにより、支持棒12を介して造形用テーブル11が作製容器5の内側を昇降する。
【0034】
収納容器3,4及び作製容器5の上には、運搬板13が設置されている。その運搬板13の上にはリコータ14が設けられている。
【0035】
運搬板13は、上面13a及び下面13bが平坦な鋼板であり、3つの貫通孔13c〜13eが設けられている。
【0036】
これらの貫通孔13c〜13eのうち、図3では左側の貫通孔13c及び右側の貫通孔13eは、収納容器3,4の上側の開口と同じ形状及び大きさとなっている。また、中央の貫通孔13dは、作製容器5の上側の開口と同じ形状及び大きさとなっている。
【0037】
このため、貫通孔13cの下に収納容器3が配置され、貫通孔13dの下に作製容器5が配置され、貫通孔13eの下に収納容器4が配置されたときに、貫通孔13c、貫通孔13d、及び貫通孔13eが、それぞれ収納容器3の上側の開口、作製容器5の上側の開口、及び収納容器4の上側の開口に連通するようになる。
【0038】
また、リコータ14は、運搬板13の上面13aに対して垂直な方向に立てられた細長い金属板であり、図示しないドライバに接続されている。このドライバによってリコータ14を駆動することにより、リコータ14は運搬板13の上面13a上を左方向又は右方向に移動する。
【0039】
粉末床溶融結合装置1では、供給用テーブル6,7及び造形用テーブル11を昇降させると共に、リコータ14を左右に移動させることにより、収納容器3又は収納容器4の粉末材料8が運搬板13の上面13a及び貫通孔13c〜13eを介して作製容器5に運搬される。このようにして、収納容器3,4の粉末材料8を作製容器5に供給する。
【0040】
このため、収納容器3,4、供給用テーブル6,7、運搬板13、及びリコータ14によって粉末材料8の供給部(樹脂材料供給部)が構成されていると言える。
【0041】
図2に示すように、運搬板13の上方の筐体2内の空間には、上部加熱部15〜17及び反射板18,19が設けられている。
【0042】
図3に示すように、上部加熱部15〜17のうち、上部加熱部15は、収納容器3の上方に配置され、2本の棒状のヒータ20,21を備えている。また、上部加熱部16は、収納容器4の上方に配置され、2本の棒状のヒータ22,23を備えている。
【0043】
これらのヒータ20〜23は、赤外線ヒータ又は抵抗加熱型ヒータであり、上から見たときに収納容器3,4の長手側の側部の内側においてこれらの側部の各々と平行に配置されている。ヒータ20〜23により、収納容器3,4の粉末材料8は上から加熱される。
【0044】
一方、上部加熱部17は、作製容器5の上方に配置され、4本の棒状のヒータ24〜27を備えている。
【0045】
これらのヒータ24〜27は、赤外線ヒータ又は抵抗加熱型ヒータであり、上から見たときに作製容器5の全ての側部の内側においてこれらの側部の各々と平行に設置されている。これにより、作製容器5の粉末材料8は上から加熱される。
【0046】
また、反射板18,19は、図示しない筐体2内の支柱に取り付けられ、運搬板13の上面13aに対して垂直な方向に立てられた金属板であり、収納容器3と作製容器5との間、及び作製容器5と収納容器4との間に配置されている。
【0047】
また、図3では左側の反射板18は、作製容器5側の表面(右側の表面)が鏡面仕上げされ、右側の反射板19は、作製容器5側の表面(左側の表面)が鏡面仕上げされている。
【0048】
これにより、反射板18,19はヒータ24〜27の熱(赤外線)を反射して、作製容器5の粉末材料8を加熱することができる。このため、上部加熱部17は、少ない消費電力で作製容器5の粉末材料8を所定の温度まで昇温させると共に、その温度を維持することができる。
【0049】
また、反射板18,19は、前述の筐体2内の支柱に固定された上部18a,19aと、蝶番18b,19bを介して上部18a,19aに接続され、左右にスイング可能となっている下部18c,19cからなる。このような反射板18,19の構造により、リコータ14は下部18c,19cを介して反射板18,19を通過可能となっている。
【0050】
なお、図示していないものの、粉末床溶融結合装置1には、上部加熱部15〜17とは別の加熱部も設けられている。
【0051】
例えば、作製容器5の側部には、横から作製容器5の粉末材料8を加熱する側部加熱部が設けられている。更に、造形用テーブル11と支持棒12との間には、下から作製容器5の粉末材料8を加熱する下部加熱部が設けられている。また、運搬板13の下面13bには、運搬板13に接する粉末材料8を加熱する運搬板加熱部が設けられている。これらの加熱部は、いずれも温度センサ付きの板状の抵抗加熱型ヒータを備えている。
【0052】
以上の収納容器3,4、作製容器5、運搬板13、リコータ14、上部加熱部15〜17、及び反射板18,19等が筐体2内に配置されている。
【0053】
一方、図2に示すように、筐体2の上部には、2つのガラスの窓2a,2bが嵌め込まれている。これらの窓2a,2bのうち、一方の窓2aの上方には温度検出部28が設けられている。
【0054】
図3に示すように、温度検出部28は、赤外線によって温度を検出する機器であり、上から見たときに作製容器5の側部の内側に配置されている。これにより、温度検出部28は、作製容器5の開口と連通する運搬板13の貫通孔13d内の粉末材料8の表面温度を検出することが可能となっている。
【0055】
なお、温度検出部28を複数用意して、これらの温度検出部28の各々が、上から見たときに作製容器5の側部の内側において互いに異なる位置に配置されていてもよい。これにより、粉末材料8の表面温度をより高精度に検出することができる。
【0056】
また、図示していないものの、粉末床溶融結合装置1には、温度検出部28の他に、収納容器3,4の開口と連通する運搬板13の貫通孔13c,13e内の粉末材料8の表面温度をそれぞれ検出する温度検出部も設けられている。
【0057】
また、他方の窓2bの上方にはレーザ光出射部29が設けられている。
【0058】
レーザ光出射部29は、レーザ光を出射して走査する機器であり、上から見たときに作製容器5の側部の内側に配置されている。そのレーザ光出射部29の構成は以下のようになっている。
【0059】
図4は、レーザ光出射部29の構成を説明するブロック図である。
【0060】
図4に示すように、レーザ光出射部29は、光源30、ミラー31、レンズ32、及びドライバ33を備えている。
【0061】
これらの部分30〜33のうち、光源30は、例えば、波長10.6μmのレーザ光を出射するCOレーザ光源である。なお、光源30は、COレーザ光源に限定されず、波長1.07μmのレーザ光を出射するファイバレーザ光源であってもよい。
【0062】
ミラー31は、Xミラー31aとしてのガルバノメータミラーと、Yミラー31bとしてのガルバノメータミラーとを有し、Xミラー31a及びYミラー31bの角度を変えることによって光源30から出射されたレーザ光の角度を変える。
【0063】
レンズ32は、光源30から出射されたレーザ光の動きに従って移動して、レーザ光の焦点距離を変える。
【0064】
そして、ドライバ33は、Xミラー31a及びYミラー31bの角度を変えると共に、レンズ32を移動させる。
【0065】
レーザ光出射部29において、光源30から出射されたレーザ光は、レンズ22、Xミラー31a、及びYミラー31bをこの順序で通過する。このとき、ドライバ33の駆動によってXミラー31a及びYミラー31bの角度を変えることにより、レーザ光がX方向及びY方向に走査されて、貫通孔13d内の粉末材料8の表面の特定の領域に照射されるようになる。更に、ドライバ33の駆動によってレンズ32を移動させることにより、レーザ光の焦点が粉末材料8の表面で合うようになる。
【0066】
また、図2に示すように、筐体2の外には制御部34が配置されている。
【0067】
制御部34は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを備えたコンピュータによって構成されている。そのメモリには、造形物の作製に関する種々の処理を行うためのプログラムが格納されていて、制御部34は、そのプログラムに基づいて粉末床溶融結合装置1の種々の機器を制御する。
【0068】
例えば、制御部34は、支持棒9,10,12のドライバに制御信号を出力して、収納容器3,4の供給用テーブル6,7及び作製容器5の造形用テーブル11を昇降させる。更に、制御部34は、リコータ14のドライバに制御信号を出力して、リコータ14を運搬板13の上面13a上を左右に移動させる。
【0069】
また、制御部34は、造形物の作製で使用する粉末材料8の種類と、温度検出部28及びその他の温度検出部から出力された運搬板13の貫通孔13c,13d,13e内の粉末材料8の表面温度のデータとに基づいて、上部加熱部15〜17のヒータ20〜27に制御信号を出力して、貫通孔13c,13d,13e内の粉末材料8の表面温度をそれぞれ調整する。
【0070】
更に、制御部34は、その他の加熱部については、ヒータの温度センサから出力された温度のデータに基づいて、そのヒータに制御信号を出力して、作製容器5内の粉末材料8の温度、及び運搬板13上の粉末材料8の温度を調整する。
【0071】
更にまた、制御部34は、前述した粉末材料8の種類と、作製する3次元造形物のスライスデータ(描画パターン)とに基づいて、レーザ光出射部29に制御信号を出力して、貫通孔13d内の粉末材料8の表面の薄層のうちのレーザ光を照射する領域、及びレーザ光のエネルギー密度を調整する。
【0072】
ここで、造形物のスライスデータについて説明する。
【0073】
スライスデータは、作製する3次元造形物を高さ方向(Z方向)に所定の間隔(例えば、0.1mm)でスライスして複数の層に分割したときの、各層の平面方向(X方向及びY方向)の位置等を含むデータである。
【0074】
図5図8は、作製する造形物を4つの層に分割した場合における各層のスライスデータの構成の一例を説明する図である。図5図8のうち、図5のスライスデータは造形物の下から第1層目(最下層)のスライスデータであり、図6のそれは第2層目(中間層)のスライスデータであり、図7のそれは第3層目(中間層)のスライスデータであり、図8のそれは第4層目(最上層)のスライスデータである。
【0075】
例えば、図5に示すように、第1層目のスライスデータSDは、造形物の第1層目となる造形領域maのデータを含んでいる。その造形領域maを含めてスライスデータSD内の点の位置はX方向及びY方向の座標で表される。なお、スライスデータSDの外周は運搬板13の貫通孔13d(又は、作製容器5の開口)の外周に対応している。
【0076】
残りの第2層目〜第4層目のスライスデータSD〜SDについても、第1層目のスライスデータSDと同様の構成となっている。
【0077】
また、レーザ光の走査方法について説明する。図9は、レーザ光の走査方法の一例としてのジグザグ走査方法を説明する図である。
【0078】
ジグザグ走査方法では、まず、図9(a)に示すように、スライスデータSDの造形領域maの外周線olよりも若干内側の部分に対して、レーザ光の移動距離及び移動方向を示す走査線sc〜scをジグザグ状に配置する。具体的には、X方向に伸びる奇数本目の走査線sc,sc,sc,sc,scを間隔をおいて平行に配置し、更にX方向に対して鋭角の角度の方向に伸びる偶数本目の走査線sc,sc,sc,scを間隔を置いて平行に配置する。そして、走査線sc〜scの端点同士を接続する。
【0079】
更に、図9(b)に示すように、スライスデータSDの造形領域maの外周線ol上に走査線sc10〜sc13を配置する。そして、走査線sc10〜sc13の端点同士を接続する。
【0080】
制御部34は、前述したスライスデータSD〜SD及びジグザグ走査方法に基づいて、レーザ光出射部29を制御して、スライスデータSD〜SDの造形領域ma〜maに対応する運搬板13の貫通孔13d内の粉末材料8の薄層の領域(造形領域)に、レーザ光を出射させ走査させる。このようにして、粉末材料8の薄層の造形領域にレーザ光を照射する。
【0081】
レーザ光の走査方法はジグザグ走査方法に限定されない。
【0082】
例えば、レーザ光の走査方法として、スライスデータSDの造形領域maに対して、同じ方向(例えば、X方向やY方向)に伸びる走査線scを間隔をおいて平行に配置するラスター走査方法や、走査線scを外周線olに沿って間隔をおいて渦巻き状に配置する走査方法を使用してもよい。
【0083】
また、レーザ光のエネルギー密度について説明する。そのエネルギー密度は以下の式(1)で表される。
【0084】
E=P/(V・SS・e) …(1)
式(1)において、Eはレーザ光のエネルギー密度(J/m)であり、Pはレーザ光の出力(W)であり、Vはレーザ光の走査速度(m/s)であり、SSはレーザ光の走査間隔(m)であり、eは粉末材料8の薄層の厚さ(m)である。
【0085】
式(1)から分かるように、例えば、粉末材料8の薄層の厚さeが同じである場合には、出力Pを大きくする、走査速度Vを遅くする、又は走査間隔SSを狭くすることにより、粉末材料8の薄層の造形領域にレーザ光を照射するときに、その造形領域が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを高くすることができる。
【0086】
エネルギー密度Eのパラメータのうち、粉末材料8の薄層の厚さe以外のレーザ光の出力P、走査速度V、及び走査間隔SSは、レーザ光出射部29を制御することによって変更可能なパラメータである。
【0087】
制御部34は、レーザ光出射部29を制御して、レーザ光の出力P、走査速度V、及び走査間隔SSのいずれかを変えることにより、粉末材料8の薄層の造形領域が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを調整する。
【0088】
粉末床溶融結合装置1は以上のように構成されている。
【0089】
次に、粉末床溶融結合装置1を使用した造形物の作製方法を説明する。
【0090】
ここでは、説明を簡単にするために、粉末床溶融結合装置1の筐体2内に作製容器5、及び粉末材料8が供給された収納容器3,4が収容された後に、粉末床溶融結合装置1が図3(b)に示す状態となっているものとする。
【0091】
すなわち、収納容器3,4の粉末材料8の上面が運搬板13の上面13aと同じ高さになっている。また、作製容器5の造形用テーブル11の上面が運搬板13の上面13aと同じ高さになっている。そして、リコータ14が運搬板13の上面13aのうちの収納容器3の左側に配置されている。
【0092】
粉末床溶融結合装置1がこのような状態となっているときに、まず、制御部34は、装置1の外部から入力された造形物の3次元データ及び粉末材料8の種類に基づいて造形物のスライスデータSDを作成し、メモリに記憶する。
【0093】
次に、制御部34は、収納容器3の支持棒9のドライバ、収納容器4の支持棒10のドライバ、作製容器5の支持棒12のドライバ、及びリコータ14のドライバを制御して、作製容器5の造形用テーブル11の上に粉末材料8のバッファ層を形成する。
【0094】
粉末床溶融結合装置1では、作製容器5で作製される造形物が造形用テーブル11の上面に固着しないようにするために、造形物の作製を開始する前に、造形用テーブル11の上に粉末材料8のバッファ層を形成しておく。
【0095】
そのバッファ層の形成方法について説明する。図10図13は、バッファ層の形成途中の断面図である。
【0096】
まず、図10(a)に示すように、制御部34は、左側の収納容器3の支持棒9のドライバを制御して、供給用テーブル6を上昇させる。これにより、収納容器3の粉末材料8を貫通孔13cを介して運搬板13の上面13aよりも上に突出させる。
【0097】
更に、制御部34は、作製容器5の支持棒12のドライバを制御して、造形用テーブル11を粉末材料8の薄層の一層分の厚さ、例えば0.1mmだけ下降させると共に、右側の収納容器4の支持棒10のドライバを制御して、供給用テーブル7を下降させる。
【0098】
続いて、図10(b)に示すように、制御部34は、リコータ14のドライバを制御して、リコータ14を運搬板13の上面13a上を右方向に移動させる。これにより、リコータ14に上面13aから突出した収納容器3の粉末材料8を掻き取らせ、上面13a及び貫通孔13dを介して作製容器5に運搬させる。
【0099】
このようにして、収納容器3の粉末材料8を作製容器5に供給して、造形用テーブル11の上に第1層目の粉末材料8の薄層35を形成する。
【0100】
更に、図11(a)に示すように、制御部34は、リコータ14を右方向に移動させる。これにより、リコータ14に、薄層35の形成に使用されずに残った粉末材料8を上面13a及び貫通孔13eを介して収納容器4に運搬させる。
【0101】
このようにして、残った粉末材料8を収納容器4に収納する。
【0102】
そして、制御部34は、リコータ14を収納容器4の右側の位置で停止させる。
【0103】
次に、図11(b)に示すように、制御部34は、収納容器4の供給用テーブル7を上昇させる。これにより、収納容器4の粉末材料8を貫通孔13eを介して運搬板13の上面13aよりも上に突出させる。
【0104】
更に、制御部34は、作製容器5の造形用テーブル11を前述した粉末材料8の薄層の一層分の厚さだけ下降させると共に、収納容器3の供給用テーブル6を下降させる。
【0105】
続いて、図12(a)に示すように、制御部34は、リコータ14を運搬板13の上面13a上を左方向に移動させる。これにより、リコータ14に上面13aから突出した収納容器4の粉末材料8を掻き取らせ、上面13a及び貫通孔13dを介して作製容器5に運搬させる。
【0106】
このようにして、収納容器4の粉末材料8を作製容器5に供給して、造形用テーブル11の上に第2層目の粉末材料8の薄層36を形成する。
【0107】
更に、図12(b)に示すように、制御部34は、リコータ14を左方向に移動させる。これにより、リコータ14は、薄層36の形成に使用されずに残った粉末材料8を上面13a及び貫通孔13cを介して収納容器3に運搬する。
【0108】
このようにして、残った粉末材料8を収納容器3に収納する。
【0109】
そして、制御部34は、リコータ14を収納容器3の左側で停止させる。
【0110】
その後、作製容器5において、第1層目の薄層35の形成と同じようにして、第2層目の薄層36の上に第3層目の粉末材料8の薄層37を形成し、更に第2層目の薄層36の形成と同じようにして、第3層目の薄層37の上に第4層目の粉末材料8の薄層38を形成する。
【0111】
このような粉末材料8の薄層の形成を繰り返すことにより、図13に示すように、作製容器5の造形用テーブル11の上に粉末材料8の薄層36〜38を積層していき、所定の厚さ(例えば、10mmの厚さ)のバッファ層39を形成する。
【0112】
なお、図13では、便宜上、4層の粉末材料8の薄層36〜38をバッファ層39として示しているが、実際の粉末材料8の薄層の層数はバッファ層39の厚さに応じた層数となる。
【0113】
次に、制御部34は、上部加熱部15〜17のヒータ20〜27を制御して、収納容器3,4の粉末材料8と作製容器5の粉末材料8とを予備加熱する。
【0114】
粉末床溶融結合装置1では、後述するように粉末材料8の薄層の造形領域にレーザ光を照射することにより、粉末材料8を溶融結合し、固化して、固化層を形成する。このとき、粉末材料8の薄層のうちのレーザ光が照射される造形領域とその周辺の領域との温度差が大きいと、レーザ光を照射した後に固化層に過度な収縮が生じて、固化層に反りが生じることがある。
【0115】
このような固化層の反りを抑制するために、造形物の作製を開始する前に、収納容器3,4の粉末材料8と作製容器5の粉末材料8とを予備加熱しておく。その予備加熱の方法を説明する。
【0116】
まず、制御部34は、バッファ層39の形成開始と同時に、上部加熱部15〜17のヒータ20〜27と、その他の加熱部(側部加熱部、下部加熱部、及び運搬板加熱部)のヒータとをオンにする。
【0117】
次に、制御部34は、粉末材料8の種類と、温度検出部28及びその他の温度検出部から出力された運搬板13の貫通孔13c,13d,13e内の粉末材料8の表面温度のデータとに基づいて、ヒータ20〜27の発熱量を調整する。更に、制御部34は、その他の加熱部については、ヒータの温度センサから出力された温度のデータに基づいて、ヒータの発熱量を調整する。
【0118】
これらにより、運搬板13の貫通孔13c、貫通孔13d、及び貫通孔13e内の粉末材料8の表面は所定の温度まで上げられ、その温度に維持される。
【0119】
特に、作製容器5の開口に連通する貫通孔13d内の粉末材料8の表面は、造形物の作製を開始するのに適した温度、例えば、粉末材料8の融点よりも10℃〜15℃程度低い温度に維持される。
【0120】
例えば、粉末材料8としてポリプロピレンの粉末を使用する場合には、ポリプロピレンの融点は約130℃であるので、貫通孔13d内の粉末材料8の表面は適温として約115℃〜120℃の温度に維持される。
【0121】
このようにして、粉末材料8に対する予備加熱を行う。そして、このような予備加熱を、バッファ層39を形成する間だけでなく、後述するバッファ層39の上で造形物を作製する間も継続して行う。
【0122】
なお、予備加熱を行うために、バッファ層39の形成開始と同時に粉末床溶融結合装置1の全てのヒータをオンにしているが、バッファ層39の形成開始よりも前に粉末床溶融結合装置1の全てのヒータをオンにしてもよい。例えば、粉末床溶融結合装置1の筐体2内に収納容器3,4及び作製容器5が収容された直後に、粉末床溶融結合装置1の全てのヒータをオンにしてもよい。
【0123】
続いて、造形物の作製方法について説明する。図14図18は、造形物の作製途中の断面図である。
【0124】
バッファ層39の形成、及び粉末材料8に対する予備加熱を行った後、図14(a)に示すように、制御部34は、左側の収納容器3の供給用テーブル6を上昇させる。これにより、収納容器3の粉末材料8を貫通孔13cを介して運搬板13の上面13aよりも上に突出させる。
【0125】
更に、制御部34は、造形用テーブル11を前述した粉末材料8の薄層の一層分の厚さ(0.1mm)だけ下降させると共に、右側の収納容器4の供給用テーブル7を下降させる。
【0126】
続いて、図14(b)に示すように、制御部34は、リコータ14を運搬板13の上面13a上を右方向に移動させる。これにより、リコータ14に上面13aから突出した収納容器3の粉末材料8を掻き取らせ、上面13a及び貫通孔13dを介して作製容器5に運搬させる。
【0127】
このようにして、バッファ層39の上に造形物作製用としては第1層目の粉末材料8の薄層40を形成する。
【0128】
更に、図15(a)に示すように、リコータ14を右方向に移動させることにより、リコータ14に、薄層40の形成に使用されずに残った粉末材料8を上面13a及び貫通孔13eを介して収納容器4に運搬させる。
【0129】
このようにして、残った粉末材料8を収納容器4に収納する。
【0130】
そして、制御部34は、リコータ14を収納容器4の右側で停止させる。
【0131】
次に、図15(b)に示すように、制御部34は、第1層目のスライスデータSDに基づいてレーザ光出射部29を制御して、スライスデータSDの造形領域maに対応する第1層目の薄層40の領域(造形領域)にレーザ光を出射させ走査させる。
【0132】
このようにして、第1層目の薄層40の造形領域にレーザ光を照射する。これにより、この造形領域の粉末材料8を溶融結合し、固化して、第1層目の固化層40aを形成する。
【0133】
そして、制御部34は、レーザ光の出射及び走査を停止させる。
【0134】
次に、図16(a)に示すように、制御部34は、右側の収納容器4の供給用テーブル7を上昇させる。これにより、収納容器4の粉末材料8を貫通孔13eを介して運搬板13の上面13aよりも上に突出させる。
【0135】
更に、制御部34は、造形用テーブル11を粉末材料8の薄層の一層分の厚さだけ下降させると共に、左側の収納容器3の供給用テーブル6を下降させる。
【0136】
続いて、図16(b)に示すように、制御部34は、リコータ14を運搬板13の上面13a上を左方向に移動させる。これにより、リコータ14に上面13aから突出した収納容器4の粉末材料8を掻き取らせ、上面13a及び貫通孔13dを介して作製容器5に運搬させる。
【0137】
このようにして、固化層40aが形成された第1層目の薄層40の上に第2層目の粉末材料8の薄層41を形成する。
【0138】
更に、図17(a)に示すように、制御部34は、リコータ14を左方向に移動させることにより、リコータ14に、薄層41の形成に使用されずに残った粉末材料8を上面13a及び貫通孔13cを介して収納容器3に運搬させる。
【0139】
このようにして、残った粉末材料8を収納容器3に収納する。
【0140】
そして、制御部34は、リコータ14を収納容器3の左側で停止させる。
【0141】
次に、図17(b)に示すように、制御部34は、第2層目のスライスデータSDに基づいてレーザ光出射部29を制御して、スライスデータSDの造形領域maに対応する第2層目の薄層41の領域(造形領域)にレーザ光を出射させ走査させる。
【0142】
このようにして、第2層目の薄層41の造形領域にレーザ光を照射する。これにより、この造形領域の粉末材料8を溶融結合し、固化して、第2層目の固化層41aを形成する。
【0143】
そして、制御部34は、レーザ光の出射及び走査を停止させる。
【0144】
その後、作製容器5において、第1層目の薄層40及び固化層40aの形成と同じようにして、第2層目の薄層41及び固化層41aの上に第3層目の粉末材料8の薄層42及び固化層42aを形成し、更に第2層目の薄層41及び固化層41aの形成と同じようにして、第3層目の薄層42及び固化層42aの上に第4層目の粉末材料8の薄層43及び固化層43aを形成する。
【0145】
このような粉末材料8の薄層の形成、及びこの薄層での固化層の形成を繰り返すことにより、図18に示すように、作製容器5において、バッファ層39の上に固化層40a〜43aを積層していき、3次元造形物44を作製する。
【0146】
その造形物44を作製する際に、制御部34は、以下のように薄層40〜43の造形領域に照射するレーザ光のエネルギー密度Eを調整する。
【0147】
図19及び図20は、造形物を作製する際に制御部34において行う、n(nは3以上の整数)層の粉末材料8の薄層の造形領域に照射するレーザ光のエネルギー密度Eの調整方法を説明するフローチャートである。
【0148】
図19に示すように、まず、ステップS11において、制御部34は、前述したように造形物の3次元データ及び粉末材料8の種類に基づいて、作製する造形物のスライスデータSDを作成し、メモリに記憶する。
【0149】
例えば、図18に示した4層の固化層40a〜43aからなる造形物44を作製する場合には、このステップS11では、制御部34は、造形物のスライスデータとして図5図8に示すスライスデータSD〜SDを作成し、メモリに記憶する。
【0150】
その後、制御部34は、支持棒9,10,12及びリコータ14を制御して、図10図13に示すようにバッファ層39を形成すると共に、ヒータ20〜27を制御して、粉末材料8を予備加熱する。
【0151】
次に、ステップS12に移行して、制御部34は、メモリから造形物の下から第1層目のスライスデータSDを読み出す。
【0152】
その後、制御部34は、支持棒9,10,12及びリコータ14を制御して、図14(a)〜図15(a)に示すように第1層目の粉末材料8の薄層40を形成する。
【0153】
次に、ステップS13に移行して、制御部34は、第1層目のスライスデータSDに基づいてレーザ光出射部29を制御して、このスライスデータSDの造形領域maに対応する第1層目の薄層40の造形領域の全体に対して、レーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射する。
【0154】
ここで、通常のエネルギー密度Eとは、粉末材料8の種類に応じて設定され、予備加熱されている粉末材料8が必要最低限溶融結合するエネルギー密度Eのことである。エネルギー密度Eは、その通常のエネルギー密度Eよりも高い。
【0155】
例えば、制御部34は、レーザ光出射部29を制御して、第1層目の薄層40の造形領域の全体に対して、光源30に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の出力Pよりも大きい出力Pでレーザ光を出射させると共に、ドライバ33に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の走査速度V及び走査線間隔SSと同じ走査速度V及び走査線間隔SSでレーザ光を図9(a),(b)に示すようにジグザグ走査させる。
【0156】
このようにして、第1層目の薄層40の造形領域の全体が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにする。
【0157】
ステップS13の結果、図15(b)に示すように第1層目の粉末材料8の薄層40の造形領域に第1層目の固化層40aが形成される。
【0158】
図21(a)は、最下層としての下から第1層目の固化層40aの構成を示す上面図であり、図21(b)は、図21(a)のII−II線における断面図である。
【0159】
図21(a)に示すように、ステップS13の結果、第1層目の薄層40の造形領域MAに固化層40aが形成される。
【0160】
図21(a),(b)において網目で示した造形領域MAの全体には、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、造形領域MAの粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0161】
この結果、固化層40aの表面(上面40b,下面40c及び側面40d)の全体に形成される開放気孔(図1の開放気孔OPを参照)を、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0162】
更に、固化層40aの内部に形成される閉鎖気孔(図1の閉鎖気孔CPを参照)も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0163】
具体的には、固化層40aに形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0164】
但し、エネルギー密度Eが通常のエネルギー密度Eよりも過度に高いと、溶融した粉末材料8内に気泡が生じてしまい、固化層40aに形成される開放気孔や閉鎖気孔を少なくすることができなくなる可能性がある。
【0165】
このため、エネルギー密度Eはエネルギー密度Eの1.2倍〜2倍程度の大きさに設定する。
【0166】
次に、ステップS14に移行して、制御部34は、メモリから造形物の第n−1層目のスライスデータSDn−1を読み出す。
【0167】
その後、制御部34は、造形物の第n−1層が中間層の1つであると認識し、支持棒9,10,12及びリコータ14を制御して、例えば、図16(a)〜図17(a)に示すように中間層としての第2層目の粉末材料8の薄層41を形成したり、図18に示すように第3層目の粉末材料8の薄層42を形成したりする。
【0168】
次に、ステップS15に移行して、制御部34は、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1の外周部opan−1を抽出する。
【0169】
このステップS15では、制御部34は、外周部opan−1として、造形領域man−1の外周線から内側に所定の幅、例えば、粉末材料8の薄層の厚さ分の幅(0.1mm)の部分を抽出する。
【0170】
次に、ステップS16に移行して、制御部34は、メモリ内の造形物の第n−2層目のスライスデータ及び第n層目のスライスデータを参照して、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1のはみ出し部pan−1を検出する。
【0171】
このステップS16では、まず、制御部34は、第n−1層目のスライスデータSDn−1に、その直下の第n−2層目のスライスデータを重ねて、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1のうち、下から見たときに第n−2層目のスライスデータの造形領域man−2から外側にはみ出している部分を検出する。
【0172】
続いて、制御部34は、第n−1層目のスライスデータSDn−1に、その直上の第n層目のスライスデータを重ねて、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1のうち、上から見たときに第n層目のスライスデータの造形領域maから外側にはみ出している部分を検出する。
【0173】
そして、制御部34は、第n−1層目の造形領域man−1のはみ出し部pan−1として、下から見たときに造形領域man−2から外側にはみ出している部分であり、且つ上から見たときに造形領域maから外側にはみ出している部分である部分を検出する。
【0174】
図22は、中間層の一例としての第2層目のスライスデータSDに、直下の第1層目のスライスデータSDと、直上の第3層目のスライスデータSDとを重ねたときの第2層目のスライスデータSDの構成を説明する図である。
【0175】
この図22では、第2層目のスライスデータSDの造形領域maを実線で示している。一方、第1層目のスライスデータSDの造形領域maを一点鎖線で示し、第3層目のスライスデータSDの造形領域maを二点鎖線で示している。
【0176】
ステップS15において、制御部34は、第2層目の造形領域maの外周部opaとして、造形領域maのうちの外周線から内側に所定の幅の部分(図22では、梨地の部分)を抽出する。
【0177】
また、図22に示すように、第2層目の造形領域maは、直上の第3層目の造形領域maよりも小さく、反対に直下の第1層目の造形領域maよりも大きい。このため、第2層目の造形領域maには、上から見たときに第3層目の造形領域maから外側にはみ出している部分はないものの、下から見たときに第1層目の造形領域maから外側にはみ出している部分がある。
【0178】
図22の例では、ステップS16において、制御部34は、第2層目の造形領域maのはみ出し部paとして、下から見たときに造形領域maから外側にはみ出している部分のみ(図22では、右上がりの斜線の部分)を検出する。
【0179】
また、図23は、中間層の別例としての第3層目のスライスデータSDに、直下の第2層目のスライスデータSDと、直上の第4層目のスライスデータSDとを重ねたときの第3層目のスライスデータSDの構成を説明する図である。
【0180】
この図23では、第3層目のスライスデータSDの造形領域maを実線で示している。一方、第2層目のスライスデータSDの造形領域maを一点鎖線で示し、第4層目のスライスデータSDの造形領域maを二点鎖線で示している。
【0181】
ステップS15において、制御部34は、第3層目の造形領域maの外周部opaとして、造形領域maのうちの外周線から内側に所定の幅の部分(図23では、梨地の部分)を抽出する。
【0182】
また、図23に示すように、第3層目の造形領域maは、直上の第4層目の造形領域maよりも大きく、更に直下の第2層目の造形領域maよりも大きい。このため、第3層目の造形領域maには、上から見たときに第4層目の造形領域maから外側にはみ出している部分と、下から見たときに第2層目の造形領域maから外側にはみ出している部分とがある。
【0183】
図23の例では、ステップS16において、制御部34は、第3層目の造形領域maのはみ出し部paとして、上から見たときに造形領域maから外側にはみ出している部分であり、且つ下から見たときに造形領域maから外側にはみ出している部分である部分(図23では、右上がりの斜線の部分)を検出する。
【0184】
次に、ステップS17に移行して、制御部34は、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1にはみ出し部分pan−1があるか否かを判定する。
【0185】
ステップS17において、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1にはみ出し部pan−1がないと判定した場合(NOの場合)には、ステップS25(図20参照)に移行する。
【0186】
一方、ステップS17において、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1にはみ出し部pan−1があると判定した場合(YESの場合)には、ステップS18に移行する。
【0187】
ところで、図22及び図23の例では、中間層の外周部opa,opaの全体にはみ出し部pa,paが重なっている。
【0188】
一方、中間層の外周部の一部だけにはみ出し部が重なっている場合もある。
【0189】
図24は、外周部の一部にはみ出し部が重なっている場合の中間層の一例としての第n−1層目のスライスデータSDn−1に、直下の第n−2層目のスライスデータと、直上の第n層目のスライスデータとを重ねたときの第n−1層目のスライスデータSDn−1の構成を説明する図である。
【0190】
この図24では、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1を実線で示している。一方、第n−2層目のスライスデータの造形領域man−2を一点鎖線で示し、第n層目のスライスデータの造形領域maを二点鎖線で示している。
【0191】
図24に示すように、中間層としての第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1のうち、外周線から内側に所定の幅の部分が外周部opan−1図24では、梨地の部分)となっている。
【0192】
また、その造形領域man−1には、上から見たときに直上の第n層目の造形領域maから外側にはみ出している部分はないものの、下から見たときに直下の第n−2層目の造形領域man−2から外側にはみ出しているはみ出し部分pan−1図24では、右上がりの斜線の部分)がある。
【0193】
そして、そのはみ出し部pan−1は、造形領域man−1のY方向の両端部の全体にあるものの、X方向の両端部の全体にはない。
【0194】
つまり、図24の例では、中間層の外周部opan−1の一部だけにはみ出し部pan−1が重なっている。
【0195】
このような場合も、ステップS16において、制御部34は、第n−1層目の造形領域man−1のはみ出し部pan−1として、下から見たときに造形領域man−1から外側にはみ出している部分である部分(図24では、右上がりの斜線の部分)を検出する。
【0196】
そして、ステップS17において、造形領域man−1にはみ出し部pan−1があると判定し、ステップS18に移行する。
【0197】
そのステップS18において、制御部34は、メモリ内の第n−2層目のスライスデータ及び第n層目のスライスデータを参照して、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1の重なり部oan−1を検出する。
【0198】
このステップS18では、制御部34は、重なり部oan−1として、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1のうち、上下に隣接する第n−2層目のスライスデータの造形領域man−2及び第n層目のスライスデータの造形領域maと重なる、はみ出し部pan−1の内側の所定の幅、例えば、粉末材料8の薄層の厚さ分の幅(0.1mm)の部分を検出する。
【0199】
重なり部oan−1の幅は粉末材料8の薄層の厚さ分の幅に限定されない。例えば、重なり部oan−1の幅を、粉末材料8の種類(硬度)に応じて粉末材料8の薄層の厚さよりも大きい幅としてもよい。
【0200】
図22の例では、ステップS18において、制御部34は、第2層目の造形領域maの重なり部oaとして、第1層目の造形領域ma及び第3層目の造形領域maと重なるはみ出し部paの内側の所定の幅の部分(図22では、右下がりの斜線の部分)を検出する。
【0201】
また、図23の例では、制御部34は、第3層目の造形領域maの重なり部oaとして、第2層目の造形領域ma及び第4層目の造形領域maと重なるはみ出し部paの内側の所定の幅の部分(図23では、右下がりの斜線の部分)を検出する。
【0202】
更にまた、図24の例では、制御部34は、第n−1層目の造形領域man−1の重なり部oan−1として、第n−2層目の造形領域man−2及び第n層目の造形領域maと重なるはみ出し部pan−1の内側の所定の幅の部分(図24では、右下がりの斜線の部分)を検出する。
【0203】
次に、ステップS19に移行して、制御部34は、中間層としての第n−1層目のスライスデータSDn−1に基づいてレーザ光出射部29を制御して、このスライスデータSDn−1の造形領域man−1に対応する第n−1層目の薄層の造形領域のうち、はみ出し部pan−1及び重なり部oan−1に対応する部分(はみ出し部及び重なり部)に対して、レーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射すると共に、はみ出し部pan−1及び重なりoan−1の内側の部分に対応する部分(中央部)に対して、レーザ光を通常のエネルギー密度Eで照射する。
【0204】
例えば、制御部34は、レーザ光出射部29を制御して、第n−1層目の薄層の造形領域のうちのはみ出し部及び重なり部に対して、光源30に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の出力(通常の出力)Pよりも大きい出力Pでレーザ光を出射させると共に、ドライバ33に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の走査速度(通常の走査速度)V及び走査線間隔(通常の走査線間隔)SSと同じ走査速度V及び走査線間隔SSでレーザ光をジグザグ走査させる。
【0205】
続いて、制御部34は、第n−1層目の薄層の造形領域のうちの中央部に対して、光源30に通常の出力Pでレーザ光を出射させると共に、ドライバ33に通常の走査速度V及び走査線間隔SSでレーザ光をジグザグ走査させる。
【0206】
レーザ光の出射及び走査の順序はこれに限定されない。例えば、中央部にレーザ光を出射させ走査させた後に、はみ出し部及び重なり部にレーザ光を出射させ走査させてもよい。
【0207】
このようにして、中間層としての第n−1層目の薄層の造形領域のうち、はみ出し部及び重なり部が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにすると共に、中央部が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eにする。
【0208】
ステップS19の結果、例えば、図17(b)に示すように第2層目の粉末材料8の薄層41の造形領域に第2層目の固化層41aが形成されたり、図18に示すように第3層目の粉末材料8の薄層42の造形領域に第3層目の固化層42aが形成されたりする。
【0209】
図25(a)は、中間層の一例としての第2層目の固化層41aの構成を示す上面図であり、図25(b)は、図25(a)のIII−III線における断面図である。
【0210】
この図25では、第2層目の固化層41aを実線で示している。また、参照として、固化層41aの直下に形成される第1層目の固化層40aを一点鎖線で示し、その直上に形成される第3層目の固化層42aを二点鎖線で示している。
【0211】
図25(a)に示すように、ステップS19の結果、第2層目の薄層41の造形領域MAに固化層41aが形成される。
【0212】
その造形領域MAのうち、図25(a),(b)において無地で示した中央部CAには、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。
【0213】
一方、図25(a),(b)において網目で示したはみ出し部PA及び重なり部OAには、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、はみ出し部PA及び重なり部OAの粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0214】
この結果、固化層41aの表面(上面41b,下面41c及び側面41d)のうちのはみ出し部PA及び重なり部OAの部分に形成される開放気孔を、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0215】
更に、固化層41aの内部のうちのはみ出し部PA及び重なり部OAの部分に形成される閉鎖気孔も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0216】
具体的には、固化層41aのはみ出し部PA及び重なり部OAに形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0217】
また、図26(a)は、中間層の別例としての第3層目の固化層42aの構成を示す上面図であり、図26(b)は、図26(a)のIV−IV線における断面図である。
【0218】
この図26では、第3層目の固化層42aを実線で示している。また、参照として、固化層42aの直下に形成される第2層目の固化層41aを一点鎖線で示し、その直上に形成される第4層目の固化層43aを二点鎖線で示している。
【0219】
図26(a)に示すように、ステップS19の結果、第3層目の薄層42の造形領域MAに固化層42aが形成される。
【0220】
その造形領域MA3のうち、図26(a),(b)において無地で示した中央部CAには、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。
【0221】
一方、図26(a),(b)において網目で示したはみ出し部PA及び重なり部OAには、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、はみ出し部PA及び重なり部OAの粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0222】
この結果、固化層42aの表面(上面42b,下面42c及び側面42d)のうちのはみ出し部PA及び重なり部OAの部分に形成される開放気孔を、通常のエネルギー密度E2でレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0223】
更に、固化層42aの内部のうちのはみ出し部PA及び重なり部OAの部分に形成される閉鎖気孔も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0224】
具体的には、固化層42aのはみ出し部PA及び重なり部OAに形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0225】
更にまた、図27(a)は、外周部の一部にはみ出し部が重なっている場合の中間層の一例としての第n−1層目の固化層の構成を示す上面図である。図27(b)は、図27(a)のV−V線における断面図であり、図27(c)は、図27(a)のVI−VI線における断面図である。
【0226】
図27(a)に示すように、ステップS19の結果、第n−1層目の薄層45の造形領域MAn−1に固化層45aが形成される。
【0227】
この図27では、第n−1層目の固化層45aを実線で示している。また、参照として、固化層45aの直下に形成される第n−2層目の固化層46aを一点鎖線で示し、その直上に形成される第n層目の固化層47aを二点鎖線で示している。
【0228】
その造形領域MAn−1のうち、図27(a)〜(c)において無地で示した中央部CAn−1には、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。
【0229】
一方、図27(a)〜(c)において網目で示した外周部OPAn−1やはみ出し部PAn−1及び重なり部OAn−1には、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、外周部OPAn−1やはみ出し部PAn−1及び重なり部OAn−1の粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0230】
この結果、固化層45aの表面(上面45b,下面45c及び側面45d)のうちの外周部OPAn−1やはみ出し部PAn−1及び重なり部OAn−1の部分に形成される開放気孔を、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0231】
更に、固化層45aの内部のうちの外周部OPAn−1やはみ出し部PAn−1及び重なり部OAn−1の部分に形成される閉鎖気孔も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0232】
具体的には、固化層45aの外周部OPAn−1やはみ出し部PAn−1及び重なり部OAn−1に形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0233】
次に、ステップS20に移行して、制御部34は、メモリから造形物の第n層目のスライスデータを読み出す。
【0234】
次に、ステップS21に移行して、制御部34は、メモリ内のスライスデータSDを参照して、造形物の第n層が最上層であるか否かを判定する。
【0235】
例えば、制御部34は、造形物の第n層目のスライスデータを読み出したときに、メモリに第n+1層目のスライスデータがない場合には、造形物の第n層が最上層であると判定する。一方、メモリに第n+1層目のスライスデータがある場合には、制御部34は、造形物の第n層は最上層ではないと判定する。
【0236】
ステップS21において、造形物の第n層は最上層ではないと判定した場合(NOの場合)には、ステップS15に戻る。
【0237】
その後、制御部34は、造形物の第n層は中間層の1つであると認識し、その第n層の薄層の造形領域に対してステップS15からステップS19までの処理を行う。続いて、ステップS20に移行して、制御部34は、メモリから造形物の第n+1層目のスライスデータを読み出す。
【0238】
一方、ステップS21において、造形物の第n層が最上層であると判定した場合(YESの場合)には、ステップS22に移行する。
【0239】
その後、制御部34は、支持棒9,10,12及びリコータ14を制御して、例えば、図18に示すように最上層としての第4層目の粉末材料8の薄層43を形成する。
【0240】
ステップS22において、制御部34は、最上層としての第n層目のスライスデータに基づいてレーザ光出射部29を制御して、このスライスデータの造形領域maに対応する第n層目の薄層の造形領域の全体に対して、レーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射する。
【0241】
例えば、制御部34は、レーザ光出射部29を制御して、最上層としての第4層目の薄層43の造形領域の全体に対して、光源30に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の出力Pよりも大きい出力Pでレーザ光を出射させると共に、ドライバ33に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の走査速度V及び走査線間隔SSと同じ走査速度V及び走査線間隔SSでレーザ光をジグザグ走査させる。
【0242】
このようにして、第4層目の薄層43の造形領域の全体が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにする。
【0243】
ステップS22の結果、例えば、図18に示すように第4層目の粉末材料8の薄層43の造形領域に第4層目の固化層43aが形成される。
【0244】
図28(a)は、第4層目の固化層43aの構成を示す上面図であり、図28(b)は、図28(a)のVII−VII線における断面図である。
【0245】
図28(a)に示すように、ステップS22の結果、最上層としての第4層目の薄層43の造形領域MAに固化層43aが形成される。
【0246】
図28(a),(b)において梨地で示した造形領域MAの全体には、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、造形領域MAの粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0247】
この結果、固化層43aの表面(上面43b,下面43c及び側面43d)に形成される開放気孔を、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0248】
更に、固化層43aの内部に形成される閉鎖気孔も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0249】
具体的には、固化層43aに形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0250】
また、固化層43aが形成されたことにより、図18に示すように第1層目(最下層)の固化層40a、第2層目(中間層)の固化層41a、第3層目(中間層)の固化層42a、及び第4層目(最上層)の固化層43aからなる造形物44が完成する。
【0251】
図29は、本実施形態に係る粉末床溶融結合造形物(造形物44)の高さ方向(Z方向)の断面構造を示す図である。
【0252】
図29において網目で示すように、造形物44のうち、最下層の固化層40aの全体、中間層の固化層41a,42aのうちのはみ出し部PA,PA、及び最上層の固化層43aの全体が、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eのレーザ光で強固に溶融固化されている。
【0253】
このため、大気に曝される最下層の固化層40aの表面(下面40c及び側面40d)の全体、中間層の固化層41aの表面(下面41c及び側面41d)のうちのはみ出し部PAの部分、同じく中間層の固化層42aの表面(上面42b、下面42c及び側面42d)のうちのはみ出し部PAの部分、及び最上層の固化層43aの表面(上面43b及び側面43d)の全体、つまり造形物44の表面の全体に形成される開放気孔を、固化層40a〜43aの全体が通常のエネルギー密度Eのレーザ光で溶融固化された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0254】
更に、図29において網目で示すように、中間層の固化層41a,42aにおいては、はみ出し部PA,PAの内側の重なり部OA,OAも、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eのレーザ光で強固に溶融固化されている。
【0255】
このため、重なり部OA,OAがはみ出し部PA,PAの余地となり、大気に曝される可能性がある固化層41aの表面(下面41c)のうちのはみ出し部PAの中央部CA側の端CEの部分、及び固化層42aの表面(上面42b)のうちのはみ出し部PAの中央部CA側の端CEの部分に、開放気孔が形成されるのを抑制することができる。
【0256】
また、はみ出し部PAの端CEは、固化層41aから直下の固化層40aに段差が生じる箇所であり、はみ出し部PAの端CEは、固化層42aから直上の固化層43aに段差が生じる箇所でもある。これらの端CE,CEは、造形物44に応力が印加されたときに応力が集中して、固化層40a〜43aが変形したり、固化層40a〜43aが剥離するときの起点となり得る。
【0257】
このような端CE,CEの周辺を、強固に溶融固化された重なり部OA,OAによって補強することもできる。
【0258】
ステップS22の処理を行った後、制御部34は、レーザ光のエネルギー密度Eの調整に係る処理を終了する。
【0259】
一方、前述したように、ステップS17において、中間層としての第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1にはみ出し部pan−1がないと判定した場合(NOの場合)には、ステップS25に移行する。
【0260】
図30は、造形領域man−1にはみ出し部pan−1がない場合の中間層の一例としての第n−1層目のスライスデータSDn−1に、直下の第n−2層目のスライスデータと、直上の第n層目のスライスデータとを重ねたときの第n−1層目のスライスデータSDn−1の構成を説明する図である。
【0261】
この図30では、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1を実線で示している。一方、第n−2層目のスライスデータの造形領域man−2を一点鎖線で示し、第n層目のスライスデータの造形領域maを二点鎖線で示している。
【0262】
図30に示すように、第n−1層目の造形領域man−1は、直下の第n−2層目の造形領域man−2と同じ大きさであり、また直上の第n層目の造形領域maとも同じ大きさである。このため、第n−1層目の造形領域man−1には、下から見たときに第n−2層目の造形領域man−2から外側にはみ出している部分はなく、また上から見たときに第n層目の造形領域maから外側にはみ出している部分もない。
【0263】
従って、図30の例では、制御部34は、ステップS15及びステップS16の処理を行った結果として、第n−1層目の造形領域man−1の外周部opan−1のみ(図30では、梨地の部分)を抽出する。
【0264】
そして、ステップS17において、制御部34は、造形領域man−1にはみ出し部pan−1がないと判定して、ステップS25に移行する。
【0265】
また、図31は、造形領域man−1にはみ出し部pan−1がない場合の中間層の別例としての第n−1層目のスライスデータSDn−1に、直下の第n−2層目のスライスデータと、直上の第n層目のスライスデータとを重ねたときの第n−1層目のスライスデータSDn−1の構成を説明する図である。
【0266】
この図31では、第n−1層目のスライスデータSDn−1の造形領域man−1を実線で示している。一方、第n−2層目のスライスデータの造形領域man−2を一点鎖線で示し、第n層目のスライスデータの造形領域maを二点鎖線で示している。
【0267】
図31に示すように、第n−1層目の造形領域man−1は、直下の第n−2層目の造形領域man−2よりも小さく、また直上の第n層目の造形領域maよりも小さい。このため、第n−1層目の造形領域man−1には、下から見たときに第n−2層目の造形領域man−2から外側にはみ出している部分はなく、また上から見たときに第n層目の造形領域maから外側にはみ出している部分もない。
【0268】
従って、図31の例では、ステップS15及びステップS16の処理を行った結果として、制御部34は、第n−1層目の造形領域man−1の外周部opan−1のみ(図31では、梨地の部分)を抽出する。
【0269】
そして、ステップS17において、制御部34は、造形領域man−1にはみ出し部pan−1がないと判定して、ステップS25に移行する。
【0270】
図20に示すように、そのステップS25において、制御部34は、中間層としての第n−1層目のスライスデータSDn−1に基づいてレーザ光出射部29を制御して、このスライスデータSDn−1の造形領域man−1に対応する第n−1層目の薄層の造形領域のうち、外周部opan−1に対応する部分(外周部)に対して、レーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射すると共に、外周部opan−1の内側の部分に対応する部分(中央部)に対して、レーザ光を通常のエネルギー密度Eで照射する。
【0271】
例えば、制御部34は、レーザ光出射部29を制御して、第n−1層目の薄層の造形領域のうちの外周部に対して、光源30に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の出力(通常の出力)Pよりも大きい出力Pでレーザ光を出射させると共に、ドライバ33の通常のエネルギー密度Eで照射する場合の走査速度(通常の走査速度)V及び走査線間隔(通常の走査線間隔)SSと同じ走査速度V及び走査線間隔SSでレーザ光をジグザグ走査させる。
【0272】
続いて、制御部34は、第n−1層目の薄層の造形領域のうちの中央部に対しては、光源30に通常の出力Pでレーザ光を出射させると共に、ドライバ33に通常の走査速度V及び走査線間隔SSでレーザ光をジグザグ走査させる。
【0273】
レーザ光の出射及び走査の順序はこれに限定されない。例えば、中央部にレーザ光を出射させ走査させた後に、外周部にレーザ光を出射させ走査させてもよい。
【0274】
このようにして、中間層としての第n−1層目の薄層の造形領域のうち、外周部が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにすると共に、外周部の内側の中央部が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eにする。
【0275】
ステップS25の結果、第n−1層目の薄層の造形領域に第n−1層目の固化層が形成される。
【0276】
図32(a)は、造形領域にはみ出し部がない場合の中間層の一例としての第n−1層目の固化層の構成を示す上面図であり、図32(b)は、図32(a)のVIII−VIII線における断面図である。
【0277】
図32(a)に示すように、ステップS25の結果、中間層としての第n−1層目の薄層48の造形領域MAn−1に固化層48aが形成される。
【0278】
この図32では、第n−1層目の固化層48aを実線で示している。また、参照として、固化層48aの直下に形成される第n−2層目の固化層49aを一点鎖線で示し、その直上に形成される第n層目の固化層50aを二点鎖線で示している。
【0279】
第n−1層目の薄層48の造形領域MAn−1のうち、図32(a),(b)において無地で示した中央部CAn−1には、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。
【0280】
一方、図32(a),(b)において網目で示した外周部OPAn−1には、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、外周部OPAn−1の粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0281】
この結果、固化層48aの表面(上面48b,下面48c及び側面48d)のうちの外周部OPAn−1の部分に形成される開放気孔を、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0282】
更に、固化層48aの内部のうちの外周部OPAn−1の部分に形成される閉鎖気孔も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0283】
具体的には、固化層48aの外周部OPAn−1に形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0284】
また、図33(a)は、造形領域にはみ出し部がない場合の中間層の別例としての第n−1層目の固化層の構成を示す上面図であり、図33(b)は、図33(a)のIX−IX線における断面図である。
【0285】
図33(a)に示すように、ステップS25の結果、中間層としての第n−1層目の薄層51の造形領域MAn−1に固化層51aが形成される。
【0286】
この図33では、第n−1層目の固化層51aを実線で示している。また、参照として、固化層51aの直下に形成される第n−2層目の固化層52aを一点鎖線で示し、その直上に形成される第n層目の固化層53aを二点鎖線で示している。
【0287】
第n−1層目の薄層51の造形領域MAn−1のうち、図33(a),(b)において無地で示した中央部CAn−1には、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。
【0288】
一方、図33(a),(b)において網目で示した外周部OPAn−1には、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eでレーザ光が照射されている。このため、外周部OPAn−1の粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0289】
この結果、固化層51aの表面(上面51b,下面51c及び側面51d)のうちの外周部OPAn−1の部分に形成される開放気孔を、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0290】
更に、固化層51aの内部のうちの外周部OPAn−1の部分に形成される閉鎖気孔も、通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される閉鎖気孔よりも少なくすることができる。
【0291】
具体的には、固化層51aの外周部OPAn−1に形成される気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。
【0292】
このようにしてステップS25の処理を行った後、前述したステップS20に移行する。
【0293】
以上説明したように、本実施形態では、粉末材料8の薄層40〜43の造形領域MA〜MAにレーザ光を照射する際に、下から第1層目(最下層)の薄層40の造形領域MAの全体にレーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射し、第2層目及び第3層目(共に、中間層)の薄層41,42の造形領域MA,MAのうち、はみ出し部PA,PA及び重なり部OA,OAにレーザ光を高いエネルギー密度Eで照射し、中央部CA,CAにレーザ光を通常のエネルギー密度Eで照射し、そして第4層目(最上層)の薄層43の造形領域MAの全体にレーザ光を高いエネルギー密度Eで照射している。
【0294】
このため、最下層の薄層40の造形領域MAの全体、中間層の薄層41,42の造形領域MA,MAのうちのはみ出し部PA,PA及び重なり部OA,OA、及び最上層の薄層43の造形領域MAの全体の粉末材料8を強固に溶融結合させることができる。
【0295】
この結果、大気に曝される最下層の固化層40aの表面の全体、中間層の固化層41a,42aの表面のうちのはみ出し部PA,PAの部分、及び最上層の固化層43aの表面の全体、つまり造形物44の表面の全体に形成される開放気孔を、固化層40a〜43aの全体に通常のエネルギー密度Eでレーザ光が照射された場合に形成される開放気孔よりも少なくすることができる。
【0296】
更に、重なり部OA,OAがはみ出し部PA,PAの余地となり、大気に曝される可能性がある固化層41aの表面のうちのはみ出し部PAの中央部CA側の端CEの部分、及び固化層42aの表面のうちのはみ出し部PAの中央部CA側の端CEの部分に、開放気孔が形成されるのを抑制することができる。
【0297】
これらにより、造形物44に応力が印加されたときに開放気孔に応力が集中して、その開放気孔を起点にして造形物44が破断し易くなるのを抑制することができ、造形物の靭性(強度)を向上させることができる。
【0298】
また、中間層の固化層41aから直下の固化層40aに段差が生じているはみ出し部PAの中央部CA側の端CEの周辺、及び中間層の固化層42aから直上の固化層43aに段差が生じているはみ出し部PAの中央部CA側の端CEの周辺を、強固に溶融固化された重なり部OA,OAによって補強することもできる。
【0299】
これにより、造形物44に応力が印加されたときにこれらの端CE,CEに応力が集中したとしても、固化層40a〜43aが変形したり、固化層40a〜43aが剥離したりするのを抑制することができ、造形物の強度を向上させることができる。
【0300】
ところで、本実施形態の作製方法と異なり、粉末材料8の薄層40〜43の造形領域MA〜MAにレーザ光を照射する際に、造形領域MA〜MAのうち、外周部に対してレーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射し、外周部の内側の中央部に対してレーザ光を通常のエネルギー密度Eで照射して、造形物を作製することも考えられる。
【0301】
比較例としてこのようにレーザ光を照射した場合の造形物の構造について説明する。
【0302】
図34は、比較例に係る造形物の高さ方向(Z方向)の断面構造を示す図である。
【0303】
図34に示すように、比較例に係る造形物54は、図29に示した本実施形態に係る造形物44の固化層40a〜43aと同じ大きさ及び形状の固化層55a〜58aからなる。
【0304】
一方、図34において網目で示すように、その造形物54のうち、最下層の固化層55aのうちの外周部OPA、中間層の固化層56a,57aのうちの外周部OPA,OPA、及び最上層の固化層58aのうちの外周部OPAが、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eのレーザ光で強固に溶融固化されている。
【0305】
このため、比較例に係る造形物54では、大気に曝される最下層の固化層55aの表面(下面55c及び側面55d)のうちの外周部OPAの部分、及び最上層の固化層58aの表面(上面58c及び側面58d)のうちの外周部OPAの部分に形成される開放気孔しか少なくすることができない。
【0306】
これに対し、本実施形態に係る造形物44では、最下層の固化層40aの表面(下面40c及び側面40d)の全体、及び最上層の固化層43aの表面(上面43c及び側面43d)の全体に形成される開放気孔を少なくすることができる。
【0307】
また、比較例に係る造形物54では、大気に曝される中間層の固化層56aの表面(下面56c及び側面56d)のうちの外周部OPAの部分、及び同じく中間層の固化層57aの表面(上面57b、下面57c及び側面57d)のうちの外周部OPAの部分に形成される開放気孔を少なくすることはできるものの、はみ出し部PA,PAから外周部OPA,OPAを除いた残部RA,RAの部分に形成される開放気孔を少なくすることはできない。
【0308】
これに対し、本実施形態に係る造形物44では、中間層の固化層41aの表面(下面41c及び側面41d)のうちの前述したような残部を含むはみ出し部PAの部分、及び同じく中間層42aの表面(上面42b、下面42c及び側面42d)のうちの残部を含むはみ出し部PAの部分に形成される開放気孔を少なくすることができる。
【0309】
従って、比較例のように、複数の薄層の造形領域のうち、単に外周部に対してレーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射するのではなく、本実施形態のように、造形物の表面となる部分を検出して、これらの部分に対してレーザ光を高いエネルギー密度Eで照射することが、高い靭性(強度)の造形物を作製するのに有効である。
【0310】
前述した本実施形態では、制御部34が、式(1)に基づいて光源30に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の出力Pよりも大きい出力Pでレーザ光を出射させることにより、粉末材料8の薄層の造形領域が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにしているが、レーザ光のエネルギー密度Eを高くする方法はこれに限定されない。
【0311】
例えば、制御部34が、ドライバ33に通常のエネルギー密度Eで照射する場合の走査速度Vよりも遅い走査速度Vでレーザ光を走査させる、又は通常のエネルギー密度Eで照射する場合の走査線間隔SSよりも狭い走査線間隔SSでレーザ光を走査させることにより、粉末材料8の薄層の造形領域が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにしてもよい。
【0312】
また、制御部34が、例えば、レーザ光の出力Pを若干小さくしながら、走査速度Vを大幅に遅くするように、エネルギー密度Eのパラメータ(レーザ光の出力P,走査速度V及び走査線間隔SS)のうちの2以上のパラメータを変えることにより、粉末材料8の薄層の造形領域が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにしてもよい。
【0313】
また、本実施形態では、中間層の薄層の造形領域のうちのはみ出し部及び重なり部が受けるレーザ光のエネルギー密度Eを、1回のジグザグ走査で通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにしているが、2回のジグザグ走査でそのようにしてもよい。
【0314】
例えば、制御部34が、レーザ光出射部29を制御して、1回目のジグザグ走査では、はみ出し部及び重なり部を含む中間層の薄層の造形領域の全体に対してレーザ光を通常のエネルギー密度E2で照射し、2回目のジグザグ走査では、はみ出し部及び重なり部のみに対してレーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも低いエネルギー密度Eで照射することにより、はみ出し部及び重なり部が受けるレーザ光のエネルギー密度Eの合計(=E+E)を、通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eにしてもよい。
【0315】
この場合、エネルギー密度Eはエネルギー密度Eの0.2倍〜1倍程度の大きさに設定する。
【0316】
更にまた、本実施形態では、制御部34が、中間層の薄層の造形領域のはみ出し部及び重なり部と中央部との両方に対して、ジグザグ走査方法でレーザ光を走査させているが、レーザ光の走査方法の組み合わせはこれに限定されない。
【0317】
例えば、制御部34は、中央部に対してはジグザグ走査方法でレーザ光を走査させ、はみ出し部及び重なり部に対しては、これらの部分の形状や大きさに応じてジグザグ走査方法よりも走査時間を短縮することが可能な走査方法、例えば、前述した同じ方向に伸びる走査線scを平行に配置するラスター走査方法や、走査線scを外周線olに沿って渦巻き状に配置する走査方法でレーザ光を走査させてもよい。
【0318】
(第2実施形態)
第1実施形態では、n層の粉末材料の薄層の造形領域にレーザ光を照射する際に、n層の粉末材料の薄層のうち、最下層の薄層の造形領域の全体、中間層の薄層の造形領域のうちのはみ出し部及び重なり部、及び最上層の薄層の造形領域の全体に対してレーザ光を通常のエネルギー密度Eよりも高いエネルギー密度Eで照射して造形物を作製しているので、造形物を構成するn層の固化層のうち、最下層の固化層、中間層の固化層のはみ出し部及び重なり部、及び最上層の固化層に形成される開放気孔及び閉鎖気孔が少なくなる。
【0319】
一方、第1実施形態では、中間層の薄層の造形領域のうちのはみ出し部及び重なり部の内側の中央部に対してはレーザ光を通常のエネルギー密度Eで照射しているので、中間層の固化層の中央部に形成される開放気孔及び閉鎖気孔は少なくならない。
【0320】
そこで、本実施形態では、以下のようにして中間層の固化層の中央部に形成される気孔を少なくする。
【0321】
まず、前述した第1実施形態の作製方法によって作製された造形物(例えば、造形物44)を、粉末床溶融結合装置の作製容器の粉末材料の層(図18参照)から取り出す。
その後、その造形物を、例えば、日機装株式会社製の冷間等方圧プレス機の圧力容器内の常温(例えば、20℃)の水等の液体に入れて、100MPa程度の圧力で等方的に加圧する。このような加圧方法はCIP(Cold Isostatic Press)法とも呼ばれる。
これにより、造形物のうちの中間層の固化層の中央部に形成された開放気孔及び閉鎖気孔が潰れたり、完全に潰れないとしてもこれらの気孔が小さくなって、造形物が均等に圧縮される。
この結果、中間層の固化層の中央部に形成された気孔を少なくすることができる。
【0322】
具体的には、中間層の固化層の中央部に形成された気孔(開放気孔及び閉鎖気孔)の気孔率を0.1%〜5%の範囲、好ましくは0.1%〜1%の範囲まで低減することができる。つまり、この気孔率の範囲を、最下層の固化層、中間層の固化層のはみ出し部及び重なり部、及び最上層の固化層に形成された気孔の気孔率の範囲と同じにすることができる。
【0323】
その後、冷間等方圧プレス機から圧縮された造形物を取り出す。
【0324】
本実施形態によれば、第1実施形態の作製方法によって作製された造形物をCIP法によって等方的に加圧している。このため、造形物の形状を維持しながら、造形物のうちの中間層の固化層の中央部に形成された気孔を少なくすることができる。
【0325】
これにより、造形物に応力が印加されたときに中間層の固化層の中央部に形成された気孔に応力が集中して、その気孔を起点にして造形物が破断し易くなるのを抑制することができ、造形物の靭性(強度)をより一層向上させることができる。この結果、射出成型装置で作製された造形物に近い強度を得ることができる。
【0326】
なお、本実施形態では、加圧によって造形物が圧縮されるので、圧縮後に設計上の寸法になるように、第1実施形態の作製方法で設計上の寸法よりも大きく作製した造形物を用意する必要がある。どの程度設計上の寸法よりも大きく作製するかについては、粉末材料の種類(硬度)に応じて設定する。
【0327】
ところで、本実施形態では、CIP法で造形物を等方的に加圧したときに、圧力容器内の液体が開放気孔内に入ることによって開放気孔の内側から造形物に向かって圧力が加わるので、開放気孔は少なくならない。このため、第1実施形態の作製方法で作製した造形物、すなわち開放気孔を少なくした造形物を用意することが有用である。
【0328】
また、本実施形態では、CIP法で造形物を等方的に加圧したときに、圧力によって造形物が変形する可能性がある。このため、第1実施形態の作製方法で作製した造形物、すなわち中間層の固化層においてはみ出し部の中央部側の端の周辺を重なり部で補強した造形物を用意することが有用である。
【0329】
前述した本実施形態では、CIP法によって造形物を等方的に加圧しているが、造形物の加圧方法はこれに限定されない。例えば、造形物の加圧方法として、造形物の材料に応じて90℃程度の水や120℃程度の油を用いて等方的に加圧するWIP(Warm Isostatic Press)法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0330】
1…粉末床溶融結合装置、2…筐体、3,4…収納容器、5…作製容器、6,7…供給用テーブル、8…粉末材料、9,10,12…支持棒、11…造形用テーブル、13…運搬板、13a…運搬板の上面、13c〜13e…運搬板の貫通孔、14…リコータ、15〜17…上部加熱部、18,19…反射板、20〜27…ヒータ、28…温度検出部、29…レーザ光出射部、30…光源、31…ミラー、31a…Xミラー、31b…Yミラー、32…レンズ、33…ミラー及びレンズのドライバ、34…制御部、35〜38,40〜43,45,48,51…粉末材料の薄層、39…粉末材料のバッファ層、40a〜43a,45a〜53a,55a〜58a…固化層、40b〜43b,45b,48b,51b,58b,100a…固化層の上面、40c〜43c,45c,48c,51c,55c〜57c,100b…固化層の下面、40d〜43d,45d,48d,51d,55d〜58d,100c…固化層の側面、44,54,100…造形物、OP…開放気孔、CP…閉鎖気孔、SD〜SD,SDn−1…スライスデータ、ma〜ma,man−2,man−1、ma…スライスデータの造形領域、ol…スライスデータの造形領域の外周線、sc〜sc13…走査線、opa,opa,opan−1…スライスデータの造形領域の外周部、pa,pa,pan−1…スライスデータの造形領域のはみ出し部、oa,oa,oan−1…スライスデータの造形領域の重なり部、MA〜MA,MAn−1…粉末材料の薄層の造形領域、OPA,OPA,OPAn−1…薄層の造形領域の外周部、PA,PA,PAn−1…薄層の造形領域のはみ出し部、OA,OA,OAn−1…薄層の造形領域の重なり部、CA,CA,CAn−1…薄層の造形領域の中央部、CE,CE…はみ出し部の中央部側の端、RA,RA…薄層の造形領域の残部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
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図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34