特許第6912138号(P6912138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6912138-磁性流体シール装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6912138
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】磁性流体シール装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/43 20060101AFI20210715BHJP
【FI】
   F16J15/43
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2021-76872(P2021-76872)
(22)【出願日】2021年4月28日
【審査請求日】2021年4月28日
(31)【優先権主張番号】202011626792.5
(32)【優先日】2020年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーツァィ・リー
(72)【発明者】
【氏名】チーシエン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユイミン・ワン
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/017250(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/069403(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/005202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/40−15/453
F16C 19/00−19/56
F16C 33/30−33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性流体シール装置であって、
内部にはチャンバーを有する筐体と、
前記チャンバー内に回転可能に設けられる回転軸と、
前記回転軸に嵌められ、前記回転軸と共に回転する軸スリーブと、
前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置される複数のポールピースであって、前記ポールピースは、前記軸スリーブの外面に嵌められ、前記ポールピースの内周面に当該ポールピースの周方向に延びる複数の極歯が設けられ、複数の前記極歯が当該ポールピースの軸方向に間隔をあけて配置され、前記極歯の内周面と前記軸スリーブの外周面とは、前記回転軸の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、前記シール隙間内には前記極歯に吸着する磁性流体を有するポールピースと、
前記回転軸の外面に嵌められ、且つ前記回転軸の軸方向において、隣接するポールピースの間に設けられる永久磁石と、を含み、
前記軸スリーブの外周面に周方向の溝が設けられ、前記軸スリーブは、前記周方向の溝と前記ポールピースの極歯面とを対向またはずれさせるように、前記回転軸の軸方向に位置調整可能である、
ことを特徴とする磁性流体シール装置。
【請求項2】
前記周方向の溝は複数であり、且つ複数の前記ポールピースに1対1で対応している、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体シール装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記チャンバー内に設けられた複数のベアリングによって回転可能に支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体シール装置。
【請求項4】
前記軸スリーブの外面に嵌められ、互いに隣接する前記ベアリングと前記ポールピースとの間に位置する磁気スペーサリングをさらに含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の磁性流体シール装置。
【請求項5】
前記周方向の溝の前記回転軸の軸方向における幅は、前記ポールピースの前記回転軸の軸方向における幅以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体シール装置。
【請求項6】
前記筐体は、筒状ボディと、第1の端蓋と、第2の端蓋と、を含み、前記第1の端蓋は、前記筒状ボディの一端に設けられ、前記第2の端蓋は、前記筒状ボディの他端に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の磁性流体シール装置。
【請求項7】
前記回転軸の外面に嵌められ、前記ベアリングと前記第2の端蓋との間に位置するスペーサをさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の磁性流体シール装置。
【請求項8】
前記軸スリーブ及び前記ポールピースのそれぞれは、磁性材料からなり、前記磁気スペーサリング、前記筐体及び前記スペーサのそれぞれは、非磁性材料からなる、
ことを特徴とする請求項7に記載の磁性流体シール装置。
【請求項9】
前記軸スリーブに接続され、前記軸スリーブを前記回転軸の軸方向に移動駆動して前記軸スリーブの位置を調整するための調整部材をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の磁性流体シール装置。
【請求項10】
前記回転軸にフランジが設けられ、前記フランジに前記回転軸の軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記軸スリーブの端面内にねじ穴が設けられ、前記調整部材はボルトであり、前記ボルトが前記貫通孔を通過して前記ねじ穴に嵌合される、
ことを特徴とする請求項9に記載の磁性流体シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学シールの技術分野に関し、特に磁性流体シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、磁性流体を用いてシールする場合、作動状況の需要のため、磁性流体シール装置が長期間保管されたり、長期間放置されたりした後に再び使用される場合、磁性流体が磁場の作用で徐々に沈下し、最終的に磁性流体の磁性粒子がキャリア流体から分離して、シール装置の故障につながる。したがって、磁性流体シールの長時間保管や駐車による磁性流体の安定性の低下という問題はまだ解決されていないままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以下の事実及び問題点に対する発明者の発見及び認識に基づいてなされたものである。
既存の磁性流体シール装置は、組立完了後に長期間にわたって保管されると、シール隙間の強い磁場の作用で、磁性流体に層化や凝集が発生する可能性があるため、シール部材の始動トルクが増大し、シール能力が低下し、さらにシールが故障するおそれがある。
【0004】
本発明は、関連技術における技術的課題の少なくとも1つをある程度解決することを目的とする。そのため、本発明の実施例は、磁性流体の層化または凝集を効果的に防止することができる磁性流体シール装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例に係る磁性流体シール装置は、内部にはチャンバーを有する筐体と、前記チャンバー内に回転可能に設けられる回転軸と、前記回転軸に嵌められ、前記回転軸と共に回転する軸スリーブと、前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置される複数のポールピースであって、前記ポールピースは、前記軸スリーブの外面に嵌められ、前記ポールピースの内周面に当該ポールピースの周方向に延びる複数の極歯が設けられ、複数の前記極歯が当該ポールピースの軸方向に間隔をあけて配置され、前記極歯の内周面と前記軸スリーブの外周面とは、前記回転軸の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、前記シール隙間内には前記極歯に吸着する磁性流体を有するポールピースと、前記回転軸の外面に嵌められ、且つ前記回転軸の軸方向において、隣接するポールピースの間に設けられる永久磁石と、を含み、前記軸スリーブの外周面に周方向の溝が設けられ、前記軸スリーブは、前記周方向の溝と前記ポールピースの極歯面とを対向またはずれさせるように、前記回転軸の軸方向に位置調整可能である。
【0006】
本発明の実施例に係る磁性流体シール装置は、磁性流体を用いて、極歯と回転軸との間に形成されたシール隙間を充填して、シール効果を実現することができ、安全で信頼性が高く、応答が速く、長時間にわたって保管することができるという利点がある。
【0007】
一部の実施例において、前記周方向の溝は複数であり、且つ複数の前記ポールピースに1対1で対応している。
【0008】
一部の実施例において、前記回転軸は、前記チャンバー内に設けられた複数のベアリングによって回転可能に支持される。
【0009】
一部の実施例において、前記磁性流体シール装置は、前記軸スリーブの外面に嵌められ、互いに隣接する前記ベアリングと前記ポールピースとの間に位置する磁気スペーサリングをさらに含む。
【0010】
一部の実施例において、前記周方向の溝の前記回転軸の軸方向における幅は、前記ポールピースの前記回転軸の軸方向における幅以上である。
【0011】
一部の実施例において、前記筐体は、筒状ボディと、第1の端蓋と、第2の端蓋と、を含み、前記第1の端蓋は、前記筒状ボディの一端に設けられ、前記第2の端蓋は、前記筒状ボディの他端に設けられる。
【0012】
一部の実施例において、前記磁性流体シール装置は、前記回転軸の外面に嵌められ、前記ベアリングと前記第2の端蓋との間に位置するスペーサをさらに含む。
【0013】
一部の実施例において、前記軸スリーブ及び前記ポールピースのそれぞれは、磁性材料からなり、前記磁気スペーサリング、前記筐体及び前記スペーサのそれぞれは、非磁性材料からなる。
【0014】
一部の実施例において、前記磁性流体シール装置は、前記軸スリーブに接続され、前記軸スリーブを前記回転軸の軸方向に移動駆動して前記軸スリーブの位置を調整するための調整部材をさらに含む。
【0015】
一部の実施例において、前記回転軸にフランジが設けられ、前記フランジに、前記回転軸の軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記軸スリーブの端面内にねじ穴が設けられ、前記調整部材はボルトであり、前記ボルトが前記貫通孔を通過して前記ねじ穴に嵌合される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る磁性流体シール装置の保管状態の概略構造図である。
図2】本発明の実施例に係る磁性流体シール装置の通常作動状態の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。前記実施例における例は、図面に示されている。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示するものであり、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものと理解してはならない。
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る磁性流体シール装置を説明する。
【0019】
本発明の実施例に係る磁性流体シール装置は、筐体1と、回転軸2と、軸スリーブ3と、複数のポールピース4と、永久磁石5と、を含む。筐体1内にはチャンバーを有し、回転軸2はチャンバー内に回転可能に設けられ、軸スリーブ3は回転軸2に嵌められ、回転軸2と共に回転する。複数のポールピース4は、回転軸2の軸方向に間隔をあけて配置され、ポールピース4は軸スリーブ3の外面に嵌められ、ポールピース4の内周面に、当該ポールピース4の周方向に延びる複数の極歯41が設けられ、複数の極歯41が当該ポールピース4の軸方向に間隔をあけて配置され、極歯41の内周面と軸スリーブ3の外周面とは、回転軸2の径方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、シール隙間内には極歯41に吸着する磁性流体を有する。永久磁石5は、回転軸2の外面に嵌められ、且つ回転軸2の軸方向において、隣接するポールピース4の間に設けられる。ここで、軸スリーブ3の外周面には周方向の溝31が設けられ、軸スリーブ3は、周方向の溝31とポールピース4の極歯41面とを対向またはずれさせるように、回転軸2の軸方向に位置調整可能である。
【0020】
図1〜2に示すように、筐体1の内部のチャンバーには回転可能な回転軸2が貫設され、回転軸2の外面に軸スリーブ3が嵌められ、軸スリーブ3が回転軸2の回転と共に回転し、軸スリーブ3の外面に複数のポールピース4が嵌められる。複数のポールピース4は、軸スリーブ3に左右に間隔をあけて配置され、ポールピース4の内周面に複数の極歯41が左右方向に間隔をあけて配置される。極歯41の内周面と回転軸2の外周面とは、図1の上下方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、シール隙間内には磁性流体を有し、磁性流体が極歯41に吸着し、さらに回転軸2の外面に永久磁石5が嵌められ、永久磁石5が、隣接するポールピース4の間に位置する。軸スリーブ3の外周面に周方向の溝31が設けられ、軸スリーブ3は、回転軸2上で左右に位置調整可能である。周方向の溝31とポールピース4の極歯41面とが対向する場合、極歯41面と軸スリーブ3の外周面との間の隙間が大きくなり、この場合、磁性流体が受ける磁場が弱くなり、磁性流体シール装置を長時間にわたって保管することができる。周方向の溝31とポールピース4の極歯41面とがずれる場合、極歯41面と軸スリーブ3の外周面との間の隙間が小さくなり、この場合、磁性流体が受ける磁場が強くなり、磁性流体シール装置が作動する。
【0021】
本発明の実施例に係る磁性流体シール装置は、磁性流体を用いて、極歯41と回転軸2との間に形成されたシール隙間を充填して、シール効果を実現することができ、安全で信頼性が高く、応答が速く、長時間にわたって保管することができるという利点がある。
【0022】
一部の実施例において、周方向の溝31は複数であり、且つ複数のポールピース4に1対1で対応している。図1〜2に示すように、各周方向の溝31がそれぞれ1つのポールピース4に対応することにより、各ポールピース4の極歯41に吸着した磁性流体を長時間にわたって保管することができる。
【0023】
一部の実施例において、回転軸2は、チャンバー内に設けられた複数のベアリング6によって回転可能に支持される。図1〜2に示すように、チャンバー内には複数のベアリング6が設けられ、複数のベアリング6は、回転軸2の外面に嵌められ、回転軸2を回転可能に支持している。
【0024】
一部の実施例において、磁性流体シール装置は、軸スリーブ3の外面に嵌められ、且つ互いに隣接するベアリング6とポールピース4との間に位置する磁気スペーサリング7をさらに含む。図1〜2に示すように、ベアリング6をポールピース4から離間させて、ベアリング6がポールピース4の磁場に影響を与えることを防止するように、互いに隣接するベアリング6とポールピース4との間には磁気スペーサリング7が設けられる。
【0025】
一部の実施例において、周方向の溝31の回転軸2の軸方向における幅は、ポールピース4の回転軸2の軸方向における幅以上である。図1〜2に示すように、極歯41に吸着した磁性流体がすべて周方向の溝31内に位置することを確保して、長時間保管に有利であるように、周方向の溝31の回転軸2の軸方向における幅をポールピース4の回転軸2の軸方向における幅以上にする必要がある。
【0026】
一部の実施例において、筐体1は、筒状ボディ11と、第1の端蓋12と、第2の端蓋13と、を含み、第1の端蓋12は、筒状ボディ11の一端に設けられ、第2の端蓋13は、筒状ボディ11の他端に設けられる。
【0027】
図1〜2に示すように、筒状ボディ11の左端が第1の端蓋12に接続され、筒状ボディ11の右端が第2の端蓋13に接続され、第1の端蓋12と第2の端蓋13とは、筒状ボディ11内のチャンバーを閉鎖して、チャンバー内のポールピース4、ベアリング6及び永久磁石5を固定することにより、磁性流体シール装置のシール効果がより優れる。
【0028】
一部の実施例において、磁性流体シール装置は、回転軸2の外面に嵌められ、ベアリング6と第2の端蓋13との間に位置するスペーサ8をさらに含む。図1〜2に示すように、スペーサ8は、ベアリング6と第2の端蓋13との間に位置し、ベアリング6と第2の端蓋13とを離間させて隙間を形成することにより、軸スリーブ3が左右にスライド可能となる。
【0029】
一部の実施例において、軸スリーブ3及びポールピース4のそれぞれは、磁性材料からなり、磁気スペーサリング7、筐体1及びスペーサ8は、非磁性材料からなる。軸スリーブ3及びポールピース4は、良好な磁気伝導性能を有する必要があるため、磁性材料を用いて作られる。磁気スペーサリング7、筐体1及びスペーサ8は、永久磁石5の磁場に影響を与えやすいため、非磁性材料を用いて作られ、シール効果に影響を与えることを防止する。
【0030】
一部の実施例において、磁性流体シール装置は、軸スリーブ3に接続され、軸スリーブ3を回転軸2の軸方向に移動駆動して軸スリーブ3の位置を調整するための調整部材9をさらに含む。図1〜2に示すように、軸スリーブ3が調整部材9に接続され、調整部材9の作用により、軸スリーブ3が回転軸2上で左右に位置移動可能である。
【0031】
一部の実施例において、回転軸2にはフランジ21が設けられ、フランジ21に回転軸2の軸方向に貫通する貫通孔211が設けられ、軸スリーブ3の端面内にはねじ穴32が設けられ、調整部材9はボルトであり、ボルトが貫通孔211を通過してねじ穴32に嵌合される。図1〜2に示すように、回転軸2の右端にはフランジ21が設けられ、フランジ21に左右に貫通する貫通孔211が設けられ、貫通孔211にボルトが貫設され、ボルトの左端が軸スリーブ3の右端面上のねじ穴32に嵌合され、ボルトを回してねじ穴32内のボルトの長さを変更することにより、軸スリーブ3を左右に位置移動させる。
【0032】
以下、図1〜2を参照して、本発明の磁性流体シール装置の一部の具体的な例を説明する。
【0033】
本発明の実施例に係る磁性流体シール装置は、筐体1と、回転軸2と、軸スリーブ3と、調整部材9と、複数のポールピース4と、永久磁石5と、ベアリング6と、磁気スペーサリング7と、スペーサ8と、を含む。
【0034】
図1〜2に示すように、筐体1はチャンバーを有し、回転軸2は、チャンバー内にベアリング6によって回転可能に支持され、回転軸2の右端にフランジ21が設けられ、回転軸2の外面に軸スリーブ3が嵌められ、軸スリーブ3は、回転軸2に沿って左右に位置移動可能であり、軸スリーブ3の右端とフランジ21とは調整部材9を介して接続され、調整部材9は、軸スリーブ3を左右に位置移動するように駆動可能である。
【0035】
軸スリーブ3の外面には複数のポールピース4が嵌められ、ポールピース4がチャンバー内に位置し、隣接するポールピース4の間に永久磁石5が設けられ、隣接するポールピース4の両側にそれぞれ磁気スペーサリング7が設けられる。隣接する磁気スペーサリング7の外側にはベアリング6が設けられ、磁気スペーサリング7、ポールピース4及び永久磁石5のそれぞれは2つのベアリング6の間に位置する。ポールピース4の内周面には複数の極歯41が左右方向に間隔をあけて配置され、極歯41の内周面と回転軸2の外周面とは、図の上下方向に間隔をあけてシール隙間を形成し、シール隙間内には磁性流体を有し、磁性流体が極歯41に吸着する。
【0036】
図1〜2に示すように、筒状ボディ11の左端が第1の端蓋12に接続され、筒状ボディ11の右端が第2の端蓋13に接続され、第1の端蓋12と第2の端蓋13とは、筒状ボディ11内のチャンバーを閉鎖する。スペーサ8は、ベアリング6と第2の端蓋13との間に位置し、ベアリング6と第2の端蓋13とを離間させて隙間を形成することにより、軸スリーブ3が左右に移動可能となる。
【0037】
本発明の説明において、なお、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を便利に又は簡潔に説明するためのものであり、指定された装置又は部品が必ず特定の方位にあり、特定の方位に構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明を限定するものと理解してはいけない。
【0038】
また、「第1の」、「第2の」の用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。そこで、「第1の」、「第2の」が限定されている特徴は1つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、2つまたは3つなど、2つ以上のことを意味する。
【0039】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、用語「取り付け」、「連なる」、「接続」、「固定」などの用語は広義の理解を意味するものとし、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になっていてもよく、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよいし、互いに通信可能であってもよく、直接接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、特に明示的に限定されない限り、2つの要素の内部の連通または2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者にとっては、上記用語の本発明における具体的な意味は具体的な状況に基づいて理解できる。
【0040】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1と第2の特徴が直接接触していてもよいし、第1と第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」および「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあってもよいし、第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことのみを示していてもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」および「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下または斜め下にあってもよいし、第1の特徴の水平高さが第2の特徴より小さいことのみを示していてもよい。
【0041】
本発明において、「一実施例」、「一部の実施例」、「例」、「具体的な例」、或いは「一部の例」などの用語とは、当該実施例或いは例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料或いは特性が、本発明の少なくとも1つの実施例或いは例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例的な説明は、必ずしも同じ実施例或いは例を示すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料或いは特性は、いずれか1つ或いは複数の実施例又は例において適切に結合することができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は本明細書で説明する異なる実施例または例ならびに異なる実施形態または例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0042】
以上に本発明の実施例を示して説明したが、上記実施例は例示するものであり、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明の範囲内で上記実施例に対して変化、修正、置き換え及び変形を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体
11 筒状ボディ
12 第1の端蓋
13 第2の端蓋
2 回転軸
21 フランジ
211 貫通孔
3 軸スリーブ
31 周方向の溝
32 ねじ穴
4 ポールピース
41 極歯
5 永久磁石
6 ベアリング
7 磁気スペーサリング
8 スペーサ
9 調整部材
【要約】
【課題】本発明の磁性流体シール装置は、構造が簡単で信頼性が高く、長時間にわたって保管することができるという利点がある。
【解決手段】本発明は、筐体と、回転軸と、軸スリーブと、複数のポールピースと、永久磁石と、を含み、前記筐体内にはチャンバーを有し、前記回転軸は、前記チャンバー内に回転可能に設けられ、前記軸スリーブは前記回転軸に嵌められ、前記回転軸と共に回転し、前記複数のポールピースは、前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置され、前記ポールピースは、前記軸スリーブの外面に嵌められ、前記ポールピースの内周面に当該ポールピースの周方向に延びる複数の極歯が設けられ、複数の前記極歯が当該ポールピースの軸方向に間隔をあけて配置され、前記永久磁石は、前記回転軸の外面に嵌められ、前記軸スリーブの外周面に周方向の溝が設けられ、前記軸スリーブは、前記周方向の溝と前記ポールピースの極歯面とを対向またはずれさせるように、前記回転軸の軸方向に位置調整可能である磁性流体シール装置を開示する。
【選択図】図1
図1
図2