特許第6912191号(P6912191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アサヒ飲料株式会社の特許一覧

特許6912191割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法
<>
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000002
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000003
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000004
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000005
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000006
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000007
  • 特許6912191-割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912191
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20210727BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20210727BHJP
   B65B 57/08 20060101ALI20210727BHJP
   B67C 7/00 20060101ALI20210727BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   B65B57/02 D
   B65B57/00 A
   B65B57/08
   B67C7/00
   G01N21/90 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-238328(P2016-238328)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-95263(P2018-95263A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久本 達格
(72)【発明者】
【氏名】竹内 良典
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−221746(JP,A)
【文献】 特開2008−213905(JP,A)
【文献】 特開2005−112417(JP,A)
【文献】 特開平01−110222(JP,A)
【文献】 実開昭60−019957(JP,U)
【文献】 特開2016−121971(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0007148(US,A1)
【文献】 独国実用新案第202008018361(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
B65B 57/00
B65B 57/08
B67C 7/00
G01N 21/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体入り瓶を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアを挟んで配置された投光器及び受光器と、受光器が受けた光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する制御部とを備え、
投光器が投光し受光器が受ける光は、赤外線であり、
閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、
制御部は、液体入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、一回も所定の閾値を越えて減衰していなかった場合には割れ瓶であると判定することを特徴とする割れ瓶検出装置。
【請求項2】
液体入り瓶を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアを挟んで配置された投光器及び受光器と、受光器が受けた光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する制御部とを備え、
投光器が投光し受光器が受ける光は、赤外線であり、
閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、
制御部は、液体入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、1回又は2回所定の閾値を越えて減衰した場合には割れ瓶でないと判定することを特徴とする割れ瓶検出装置
【請求項3】
投光器から受光器に投光する光は、瓶内の液面と胴部の印刷部又はラベルとの間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の割れ瓶検出装置。
【請求項4】
制御部は、光の強度が2回閾値を越えて減衰した場合には、割れ瓶でないと判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の割れ瓶検出装置。
【請求項5】
液体入り瓶の液体は、炭酸飲料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の割れ瓶検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の割れ瓶検出装置と、瓶に飲料を充填すると共に充填後の瓶に王冠を被せるフィラーとを備え、
割れ瓶検出装置の搬送コンベアは、王冠を被せた後の飲料入り瓶を搬送しており、制御部は、破損瓶を検出したときに搬送コンベア及びフィラーを停止することを特徴とする飲料製造装置。
【請求項7】
搬送コンベアは、投光器及び受光器からなる組を複数組備え、投光器が投光し受光器が受ける光の高さが各組ごとに異なることを特徴とする請求項に記載の飲料製造装置。
【請求項8】
飲料入り瓶を搬送する搬送工程と、搬送されてくる飲料入り瓶に向けて投光器から投光した赤外線を受光器で受光する受光工程と、受光工程で受光した赤外線の強度又は量を測定する測定工程と、測定した光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する判定工程とを備え、
閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、
判定工程は、飲料入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、一回も閾値を越えて減衰していなかった場合には割れ瓶であると判定することを特徴とする割れ瓶検出方法。
【請求項9】
飲料入り瓶を搬送する搬送工程と、搬送されてくる飲料入り瓶に向けて投光器から投光した赤外線を受光器で受光する受光工程と、受光工程で受光した赤外線の強度又は量を測定する測定工程と、測定した光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する判定工程とを備え、
閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、
判定工程は、飲料入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、1回又は2回所定の閾値を越えて減衰した場合には割れ瓶でないと判定することを特徴とする割れ瓶検出方法
【請求項10】
投光器から投光し受光器が受ける赤外線は、瓶内の液面と胴部の印刷部又はラベルとの間であることを特徴とする請求項8又は9に記載の割れ瓶検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飲料等の液体入り瓶の割れ検知する割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、瓶を赤外線カメラで撮影して、その撮影画像を画像信号に変換して画像処理し、予め登録した瓶の画像パターンと比較して、瓶の種類を仕分けする空き瓶仕分け装置が開示されている。
特許文献2には、瓶又は樹脂製ボトル等の飲料入り容器を赤外線カメラで撮影して、撮影した画像から表面温度分布を測定することで、液面高さを計測する計測装置が開示されている。
一方、飲料入り瓶を製造する飲料製造装置において、リターナブル瓶(回収瓶)を使用することがあり、リターナブル瓶に小さな傷や損傷がある場合に、飲料、特に炭酸飲料を充填した後、被せた王冠を残したまま瓶が割れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−206700号公報
【特許文献2】特開2001−116611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、王冠を残したまま割れた瓶が搬送されると、飲料充填後の王冠検出装置では検出されずにそのまま次工程に搬送されてしまう場合がある。かかる場合には、割れ瓶を早期に発見しないと割れた破片等の捜索に手間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、早期に割れ瓶を発見できると共に、簡易で且つ安価な割れ瓶検出装置、飲料製造装置及び割れ瓶検出方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、液体入り瓶を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアを挟んで配置された投光器及び受光器と、受光器が受けた光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する制御部とを備え、投光器が投光し受光器が受ける光は、赤外線であり、制御部は、液体入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、一回も所定の閾値を越えて減衰していなかった場合には割れ瓶であると判定することを特徴とする割れ瓶検出装置である。
請求項2に記載の発明は、液体入り瓶を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアを挟んで配置された投光器及び受光器と、受光器が受けた光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する制御部とを備え、投光器が投光し受光器が受ける光は、赤外線であり、閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、制御部は、液体入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、1回又は2回所定の閾値を越えて減衰した場合には割れ瓶でないと判定することを特徴とする割れ瓶検出装置である。
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、投光器から受光器に投光する光は、瓶内の液面と胴部の印刷部又はラベルとの間であることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、制御部は、光の強度が2回閾値を越えて減衰した場合には、割れ瓶でないと判定することを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、液体入り瓶の液体は、炭酸飲料であることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の割れ瓶検出装置と、瓶に飲料を充填すると共に充填後の瓶に王冠を被せるフィラーとを備え、割れ瓶検出装置の搬送コンベアは、王冠を被せた後の飲料入り瓶を搬送しており、制御部は、破損瓶を検出したときに搬送コンベア及びフィラーを停止することを特徴とする飲料製造装置である。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、搬送コンベアは、投光器及び受光器からなる組を複数組備え、投光器が投光し受光器が受ける光の高さが各組ごとに異なることを特徴とする飲料製造装置である。
【0013】
請求項に記載の発明は、飲料入り瓶を搬送する搬送工程と、搬送されてくる飲料入り瓶に向けて投光器から投光した赤外線を受光器で受光する受光工程と、受光工程で受光した赤外線の強度又は量を測定する測定工程と、測定した光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する判定工程とを備え、閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、判定工程は、飲料入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、一回も閾値を越えて減衰していなかった場合には割れ瓶であると判定することを特徴とする割れ瓶検出方法である。
請求項9に記載の発明は、飲料入り瓶を搬送する搬送工程と、搬送されてくる飲料入り瓶に向けて投光器から投光した赤外線を受光器で受光する受光工程と、受光工程で受光した赤外線の強度又は量を測定する測定工程と、測定した光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する判定工程とを備え、閾値は、正常瓶と割れ瓶とのサンプルで行った実験に基づいて得た値であり、正常瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰するが、割れ瓶の場合には透過した光の強度又は量がこの値を越えて減衰しない値であり、判定工程は、飲料入り瓶が投光器と受光器との間を通過中に、1回又は2回所定の閾値を越えて減衰した場合には割れ瓶でないと判定することを特徴とする割れ瓶検出方法である。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の発明において、投光器から投光し受光器が受ける赤外線は、瓶内の液面と胴部の印刷部又はラベルとの間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2及び8、9に記載の発明によれば、液体入り瓶に液体が充填されている場合には、投光した光が透過すると瓶の厚みと液体による光の吸収と反射を受けて、受光器で受ける光の強度又は量が減衰して所定の閾値を越えて小さくなる。
一方、液体入り瓶が割れて、瓶内の液体の水位が下がったり、無くなった場合には、投光した光は瓶の厚み部分のみを透過するので、受光器で受ける光の強度又は量は、液体があるときよりも高くなり、所定の閾値を越えて減衰しない(閾値以上の値になる)。
したがって、液体入り瓶を透過した光を受光したときに、受光した光の強度又は量が閾値を一度も越えて減衰しなかった場合には、割れ瓶であると判定する。
本発明の割れ瓶検出装置によれば、投光器と受光器との間を通過している液体入り瓶について、透過した光の強度又は量が所定の閾値を越えたか否かを判定するだけで、液体入り瓶の割れを判定できるので、早期に割れ瓶を発見できると共に、簡易で且つ安価である。
赤外線は赤色等の他の色の光に比較して、波長が長く、光の散乱がし難いので、瓶や液体に対する透過性に優れ、透過した光の強度や量の変化を容易に測定できる。また、赤外線用の投光器や受光器は汎用性が高いので、入手し易い。
【0016】
請求項及び10に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、瓶の胴部に印刷されている模様や文字等の印刷部や瓶に添付されているラベルが投光器から投光された光の透過を阻害するおそれがあるが、係る部分を避けて投光器から投光する光を透過して測定することにより、検出精度を高めることができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、瓶の種類や瓶の揺れ等の状態によって、液体入り瓶を透過した光の検出精度に誤差やばらつきが生じる場合があるので、閾値を2回越えて透過光の減衰があった場合に割れ瓶でないと判定することにより、かかる誤差やばらつきによる誤検知を防止できる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、液体入り瓶の割れは、内部圧力が高まる炭酸飲料で生じ易いので、割れ瓶の検出に有効である。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜5に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、飲料製造装置において、割れ瓶を検出したときに、直ぐに搬送コンベア及びフィラーを停止することで、割れ瓶の特定や、割れ瓶により飛散した破片の除去やメンテナンスをスムーズに行うことができる。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、瓶の種類やサイズがかわった場合でも、製造ラインがそのままの状態で対応でき、利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】割れた液体入り瓶が投光器と受光器の間を通過するタイミングと受光強度との関係を示す図であり、(a)は割れた液体入り瓶が投光器と受光器の間を通過する状態を概略的に示す水平断面図であり、(b)は経過時間ごとの受光強度を示すグラフである。
図2】正常な液体入り瓶が投光器と受光器の間を通過するタイミングと受光強度との関係を示す図であり、(a)は正常な液体入り瓶が投光器と受光器の間を通過する状態を概略的に示す水平断面図であり、(b)は経過時間ごとの受光強度を示すグラフである。
図3】別の正常な液体入り瓶が投光器と受光器の間を通過するタイミングと受光強度との関係を示す図であり、(a)は正常な液体入り瓶が投光器と受光器の間を通過する状態を概略的に示す水平断面図であり、(b)は経過時間ごとの受光強度を示すグラフである。
図4】正常な液体入り瓶と割れた液体入りと、各瓶の測定位置を示す図であり、(a)は正常な液体入り瓶の図であり、(b)は割れた液体入りの図である。
図5】飲料製造装置の構成を示すブロック図である。
図6】制御部のフローチャートである。
図7】投光器と受光器とを設けた搬送コンベアの図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図7に示すように、本実施の形態にかかる飲料製造装置1は、瓶2に飲料(液体)を充填して王冠5を被せるフィラー7と、フィラー7から排出された飲料入り瓶3を次工程に搬送する搬送コンベア9とを備えている。
搬送コンベア9には、連続的に搬送されてくる飲料入り瓶3が割れ瓶でないか否かを検出する割れ瓶検出装置11が設けてある。割れ瓶検出装置11は、フィラー7の出口側近くに設けてある。
飲料入り瓶3に充填される飲料は、透明無色の炭酸飲料である。瓶2は、透明無色のリターナブル瓶である。
尚、以下の説明において、瓶2内に液体(飲料)4が充填されているものを総称して用いる場合には飲料入り瓶3とし、図4に示すように、飲料入り瓶3を正常瓶(正常な飲料入り瓶)3aと割れ瓶(割れた飲料入り瓶)3bと区別して用いる場合にはそのような名称及び符号を付する。
【0024】
割れ瓶検出装置11は、図5に示すように、上述した搬送コンベア9と、搬送コンベア9を挟んで配置された投光器13及び受光器15と、受光器15が受けた光の強度又は量が所定の閾値を越えて減衰したか否かを判定する制御部17とから構成されている。
図7に示すように、搬送コンベア9において、投光器13及び受光器15がある位置には対応して、搬送されてくる飲料入り瓶3の検知器19が設けてあり、この検知器19で検知された飲料入り瓶3の検知信号を制御部17が受けて、投光器13と受光器15との間を通過する時間をタイミング制御21(図5参照)で演算している。
投光器13から投光される光は、赤外線であり、ピーク波長は870nmである。光源にはLED(Light Emitting Device)を用いている。
受光器15は、赤外線の強度を検知する赤外線センサである。
投光器13及び受光器15の組は、図7に示すように、複数組、本実施の形態では3組設けており、それぞれ飲料入り瓶3を透過する赤外線の高さを変えている。高さの異なる投光器13及び受光器15の組を複数設けているのは、搬送されてくる飲料入り瓶3の種類で高さやラベルの位置が異なる為、各種の飲料入り瓶3に対応するためであり、使用されるのはいずれかの一組である。
即ち、図4に示すように、飲料入り瓶3を透過する赤外線の高さは、瓶2内に充填されている飲料4の液面Gと模様等の印刷部Hとの間である。
【0025】
図5に示すように、制御部17は、上述のタイミング制御部21の他に、比較部23、判定部25を備えていると共に、表示部27及び警報器29に接続してある。
比較部23では、飲料入り瓶3についての正常瓶3aと割れ瓶3bとのサンプルで行った実験に基づいて得た閾値Fが格納されている。この閾値Fは、瓶2の種類や充填する飲料の種類に応じて予めおこなった実験に基づいて定めた値である。
判定部25は、受光器15から受けた光の強度値が比較部23に格納されている閾値を越えて減衰(閾値よりも小さい)しているかいないかを判定する。判定部25では、光強度の判定において、検知器19で検知した飲料入り瓶3がタイミング制御部21で演算した投光器13及び受光器15間を通過する時間内に閾値Fを何回越えて減衰したかを判定する。
制御部17では、1つの飲料入り瓶3が投光器13及び受光器15間を通過している時間内に閾値Fを越えて減衰した回数を、表示部27に表示すると共に、飲料入り瓶3を透過した赤外線が一回も閾値Fを越えて減衰していない場合には、警報器29に警報発生信号を送ると共にフィラー7及び搬送コンベア9に駆動停止信号を送る。
【0026】
ここで、図4に示すような正常な飲料入り瓶3aと割れた飲料入り瓶3bとについて、赤外線の透過位置と、受光器15で受光した受光強度との関係について説明する。
図1に割れ瓶3b(図4(b)参照)の場合について説明する。(ア)に示すように、測定開始時には、瓶2の肉厚部分を赤外線Sが透過し、その透過光を受光器15で受ける。その時の受光強度は、瓶2の肉厚部分の為に減衰された強度になるが、瓶2内に飲料(液体)がない為、飲料の影響を受けないので減衰される強度が小さく、閾値Fを越えるほど減衰されない。
(イ)では、赤外線Sが瓶2の肉厚及び瓶2の内部を透過するが、瓶2の内部に飲料がない為、減衰される強度は小さい、このため受光強度は閾値Fよりも大きい。
(ウ)では、瓶2の割れ部分を赤外線Sが透過しているため、受光強度は更に大きくなり、閾値Fよりも大きい。
このように、図4に示す割れ瓶3bでは、赤外線Sの透過している間では、閾値Fを越えることが一度もない。
【0027】
図2に正常瓶3a(図4(a)参照)の場合について説明する。(ア)に示すように、測定開始時には、瓶2の肉厚部分を赤外線Sが透過し、その透過光を受光器15で受ける。その時の受光強度は、瓶2の肉厚部分の為に減衰された強度になると共に飲料4の影響を受けた減衰も加わった受光強度になり、図1に示す割れ瓶3bに比較して大きく減衰され、閾値Fを越えた減衰となる。
(イ)では、赤外線Sが瓶2の肉厚及び飲料4を透過するが、赤外線が透過する肉厚部分が(ア)の場合よりも小さく且つ飲料による減衰の影響は小さい。したがって、(ア)の場合よりも、減衰される強度は小さく、受光強度は閾値Fよりも大きい。
(ウ)では、(ア)と同様に赤外線が透過しており、(ア)と同様に、閾値Fを越えた減衰となる。
このように、図4に示す正常瓶3aでは、赤外線の透過している間では、閾値Fを越えた減衰が2回生じている。
【0028】
図3に他の正常瓶3a(図4(a)参照)の場合について説明する。この例では、正常瓶3aにもかかわらず、測定誤差や瓶の状況(揺れ等)により図2に示すように2回閾値を越えた減衰がない例である。
(ア)に示すように、測定開始時には、瓶2の肉厚部分を赤外線Sが透過し、その透過光を受光器15で受ける。その時の受光強度は、瓶2の肉厚の為に減衰された強度になるが及び飲料による減衰も加わった受光強度になり、図1に示す割れ瓶3bに比較して大きく減衰され、図2と同様に閾値Fを越えた減衰となる。
(イ)では、赤外線が瓶2の肉厚及び飲料を透過するが、飲料による減衰は小さく、(ア)の場合よりも、減衰される強度は小さい、このため受光強度は閾値Fよりも大きい。
(ウ)では、上述した測定誤差や瓶の移動状況等のなんらかの理由により、(ア)と同様に赤外線が透過しているにもかかわらず、受光強度は閾値Fを越えた減衰とならずに、閾値Fよりも高い値となった。
【0029】
図2及び図3に示す実験結果から明らかなように、正常瓶3aであっても、閾値Fを1回だけ越えて減衰する場合と、2回越えて減衰する場合があることがわかる。
したがって、閾値Fに対して1回も越える減衰がない場合には、割れ瓶3bと判定することで、確実に割れ瓶であると判定できる。さらに、閾値Fに対して2回越える減衰があった場合には、正常瓶3aと判定することで、確実に正常瓶であると判定できる。
【0030】
次に、制御部17における制御フローについて説明する。
ステップS1でタイミング制御部21による計測開始信号を受けると、比較部23では、受光器15で受光した赤外線強度を、格納している閾値Fと比較し、赤外線強度が閾値Fを越えて減衰したか否かを比較する。
ステップS2では、判定部25では、比較部で赤外線強度が閾値Fを越えて減衰した回数をカウントし、1回でも閾値Fを越えた減衰があれば、OK(正常瓶)であると判定する。
ステップS3では、計測時間が終了したか否かを判定し、計測時間が終了した時点で、閾値Fを越えた受光強度の減衰がない場合には、NG(割れ瓶)であると判定する。
【0031】
制御部17で割れ瓶3bであると判定した場合には、図5に示すように、制御部17は、警報器29に警報信号を発し、フィラー7及び搬送コンベア9に停止信号を発する。
これにより、飲料製造装置の作業員は、直ぐに停止した搬送コンベア9から割れ瓶3bを探し、搬送コンベア9及びフィラー7に残っている割れた破片を除去する。また、必要に応じて搬送コンベア9及びフィラー7のメンテナンスをする。
【0032】
本実施の形態によれば、上述した作用効果の他に以下の作用効果をも奏することができる。
制御部17では、飲料入り瓶3を透過した光を受光したときに、受光した光の強度が閾値Fを一度も越えて減衰しなかった場合には、割れ瓶3bであると判定するから、投光器13と受光器15との間を通過している飲料入り瓶3について、透過した光の強度を測定するだけで、飲料入り瓶3の割れを判定できるので、早期に割れ瓶3bを発見できると共に、光の強度を検出するだけであるから、簡易で且つ安価である。
【0033】
飲料入り瓶3の胴部に印刷されている印刷部Hと液面Gとの間で飲料入り瓶3に赤外線光を透過して測定しているので、検出精度を高めることができる。
【0034】
赤外線Sは赤色等の他の色の光に比較して、波長が長く、光の散乱がし難いので、瓶2や液体4に対する透過性に優れ、透過した光の強度や量の変化を容易に側的できる。また、赤外線用の投光器13や受光器15は汎用性が高いので、汎用品を用いることができる。
内部圧力により割れが生じ易い炭酸飲料入り瓶3の割れを検知しているので、割れ瓶3bの検出に有効である。
制御部17は、割れ瓶3bを検出したときに、直ぐに搬送コンベア9及びフィラー7を停止することで、割れ瓶3bの特定や、割れ瓶3bにより飛散した破片の除去をスムーズに行うことができる。
搬送コンベア9には、高さが異なる複数組の投光器13及び受光器15を配置しているので、飲料入り瓶3の種類やサイズがかわった場合でも、製造ラインがそのままの状態で対応でき、利便性が高い。
【0035】
本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、受光器15は赤外線の強度を検知することに限らず、赤外線の量を検知するものであっても良い。
印刷部Hはラベルであっても良い。
制御部17は、閾値を2回越えて透過光の減衰があった場合にのみ割れ瓶3bでないと判定しても良い。上述した図2及び図3の結果から明らかなように、正常瓶3aでも飲料入り瓶3の種類や瓶の状態等によって、液体入り瓶3を透過した光の検出精度に誤差やばらつきが生じる場合があるので、閾値を2回越えて透過光の減衰があった場合にのみ割れ瓶3bでない(正常瓶3a)と判定することで、かかる誤差やばらつきによる誤検知を防止できる。
液体入り瓶3に充填されている液体4は、無色透明に限らず、色付きの透明飲料であっても良いし、ジュースや乳飲料等であっても良い。
瓶2は、無色透明であることに限らず、青色透明等の色付き透明であっても良い。
投光器13及び受光器15間で飲料入り瓶3に透過する光は、赤外線に限らず、赤色等の他の波長の光であっても良い。
投光器13及び受光器15の組は、1組のみを設けるものであっても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 飲料製造装置
2 瓶
3 飲料入り瓶
3a 正常な飲料入り瓶
3b 割れた飲料入り瓶
7 フィラー
9 搬送コンベア
11 割れ瓶検出装置
13 投光器
15 受光器
17 制御部
F 閾値
G 液面
H 印刷部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7