特許第6912232号(P6912232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912232
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】粉体化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20210727BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20210727BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20210727BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20210727BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   A61K8/25
   A61K8/73
   A61Q1/10
   A61Q1/12
   A61Q1/08
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-62457(P2017-62457)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-186316(P2017-186316A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-71345(P2016-71345)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】三宅 亮次
(72)【発明者】
【氏名】増渕 祐二
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−199703(JP,A)
【文献】 特開2014−129279(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/102862(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/102863(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)を含有し、
(A)下記一般式(1)で示される両末端反応性ジオルガノポリシロキサン(a)
SiO−(RSiO)−SiR (1)
(式中、各Rは水酸基を表し、各Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Lは3〜10,000のいずれかの整数を表す)及び、
下記一般式(2)で示されるアミノ基含有シラン化合物(b)
SiX(3−m) (2)
(式中、Rは少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、mは0または1である)により表面被覆された粉体
(B)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
前記成分(A)の配合量が10〜90質量%、前記成分(B)の配合量が0.5〜10質量%であり、
前記成分(A)における、粉体と、表面被覆処理剤(a)及び(b)との含有質量比が99.9:0.1〜90:10であり、
前記成分(A)における、表面被覆処理剤(a)と(b)との質量比が100:0.1〜100:35である、
粉体化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルがASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しない請求項1記載の粉体化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が、表面被覆処理剤(a)と(b)とを縮合反応させた、シリコーンの微三次元架橋構造を有する重合物により表面被覆された粉体である、請求項1又は2記載の粉体化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の両末端反応性ジオルガノポリシロキサン及び特定のアミノ基含有シラン化合物により表面被覆された粉体、及び特定のデキストリン脂肪酸エステルを含有する粉体化粧料に関するものであり、更に詳しくは、密着性が高く、表情や瞼の動きによる化粧膜のヨレが生じにくい粉体化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体化粧料はアイシャドウやファンデーション、白粉、チーク、アイブロウ等のメイクアップ化粧料やボディパウダー等に使用されている剤型である。特にメイクアップ化粧料においては、時間が経っても化粧を施した直後の状態が維持される化粧持ちの機能は非常に重要な品質である。化粧崩れについては、肌から分泌される汗や皮脂により化粧膜が油光りする現象(いわゆるテカリ)や、汗や皮脂により粉体がぬれることにより明度が下がったり色相が変化したりする現象(いわゆるくすみ)、表情の動き等によりしわや毛穴に化粧膜が局在化する現象(いわゆるヨレ・毛穴落ち)等が挙げられる。
更に、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料を肌に塗布した際の重要な品質として、伸び広がりに優れ、均一な化粧膜を有するものが求められている。
そこで近年、塗布時の伸び広がりや化粧持ちを向上させるために様々な表面処理粉体が開発されており、例えば、やわらかく、しっとりとした使用感と滑らかな伸び広がりを向上させるために、シリコーンレジンを媒体としてシリコーンエラストマーを付着してなる複合粒子を用いる技術(例えば、特許文献1)や、肌への親和性が高いアミノ酸変性オルガノポリシロキサンで処理した粉体を用いる技術(例えば、特許文献2)等が提案されている。また、しっとり感があり、滑らかな感触で肌への密着性に優れた表面処理粉体として、シリコーンゲルで表面処理した粉体(例えば、特許文献3)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−1332号公報
【特許文献2】特開2012−102320号公報
【特許文献3】WO2014/102862号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、しっとりとした使用感と滑らかな伸び広がりは得られるものの、肌への密着性が十分ではなく、特許文献2の技術では、軽い伸び広がりや肌への密着性には優れるが、しっとり感や化粧持ちが十分ではなかった。また、特許文献3の技術では、感触や化粧持ちに優れるものの、化粧持ち、特に、動きの激しい目周りや口周りへ塗布した際の化粧膜のヨレに関して、十分な化粧持続効果を得られない場合があった。このため、滑らな伸び広がりとしっとり感に優れ、更に表情や瞼の動きにより化粧膜がヨレることがなく、密着性、化粧持続効果に優れた粉体化粧料の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記実状に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定の両末端反応性ジオルガノポリシロキサン及び、特定のアミノ基含有シラン化合物により表面被覆された粉体と、特定のデキストリン脂肪酸エステルとを組み合わせることにより、比較的吸油量の多い前記粉体が、肌への親和性、付着性の高い前記デキストリン脂肪酸エステルを効率よく粉体表面に保持することで、前記粉体の有するしっとり感と、滑らかな伸び広がりを損なうことなく、更に表情や瞼の動きで化粧膜がヨレることがなく、密着性、化粧持続効果に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)下記一般式(1)で示される両末端反応性ジオルガノポリシロキサン(a)
SiO−(RSiO)−SiR (1)
(式中、各Rは水酸基を表し、各Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Lは3〜10,000のいずれかの整数を表す)及び、
下記一般式(2)で示されるアミノ基含有シラン化合物(b)
SiX(3−m) (2)
(式中、Rは少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、mは0または1である)により表面被覆された粉体
(B)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種
以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
を含有し、
前記成分(A)の配合量が10〜90質量%、前記成分(B)の配合量が0.5〜10質量%であり、
前記成分(A)における、粉体と、表面被覆処理剤(a)及び(b)との含有質量比が99.9:0.1〜90:10であり、
前記成分(A)における、表面被覆処理剤(a)と(b)との質量比が100:0.1〜100:35である、
粉体化粧料に関するものである。
【0007】
前記成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルがASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しない粉体化粧料に関するものである。
【0011】
前記成分(A)が、表面被覆処理剤(a)と(b)とを縮合反応させた、シリコーンの微三次元架橋構造を有する重合物により表面被覆された粉体である粉体化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粉体化粧料は、滑らな伸び広がりとしっとり感に優れ、更に顔や瞼の動きにより化粧膜がヨレることがなく、密着性、化粧持続効果に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における粉体化粧料とは、粉体を主成分として含有し、必要に応じて、油性成分、水性成分、界面活性剤等を粉体中に分散させたものを意味し、具体的には、粉体とその他の化粧料用成分とを混合した粉末状、それを固形状にしたもの等が挙げられ、いずれの性状でもよい。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、%で表記する数値は、特に記載した場合を除き、質量を基準にした値である。
【0014】
本発明の粉体化粧料は、次の成分(A)及び(B);
(A)下記一般式(1)で示される両末端反応性ジオルガノポリシロキサン(a)
SiO−(RSiO)−SiR (1)
(式中、各Rは水酸基を表し、各Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Lは3〜10,000のいずれかの整数を表す)及び、
下記一般式(2)で示されるアミノ基含有シラン化合物(b)
SiX(3−m) (2)
(式中、Rは少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、mは0または1である)により表面被覆された粉体
(B)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
を含有するものである。
【0015】
本発明に使用される成分(A)の表面被覆された粉体とは、下記一般式(1)で示される両末端反応性ジオルガノポリシロキサン(a)
SiO−(RSiO)−SiR (1)
(式中、各Rは水酸基を表し、各Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基でを表し、Lは3〜10,000のいずれかの整数を表す)と、下記一般式(2)で示されるアミノ基含有シラン化合物(b)
SiX(3−m) (2)
(式中、Rは少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜4アルコキシ基を表し、mは0または1である)とを、同時に被覆することにより得られるものである。
【0016】
本発明に用いられる表面被覆処理剤のうち(a)は、両末端反応性ジオルガノポリシロキサンであり、下記一般式(1)で示される両末端ヒドロキシシリル基変性シリコーンである。
SiO−(RSiO)−SiR (1)
(式中、各Rは水酸基を表し、各Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基でを表し、Lは3〜10,000のいずれかの整数を表す)
【0017】
上記(a)は、液状のオイル様化合物であるが、本発明においては、水サスペンションまたは水エマルジョンの形態で用いることが、成分(A)の感触等を良好にする点で好ましい。該(a)の水エマルジョンを調製する方法としては、通常公知の方法でよく、低分子環状シロキサンを出発原料として乳化重合する方法や、オイル状の両末端反応性ジオルガノポリシロキサンを乳化する方法等が例示される。
【0018】
本発明に用いられる表面被覆処理剤のうち(b)は、アミノ基含有シラン化合物であり、下記一般式(2)で示されるものである。
SiX(3−m) (2)
(式中、Rは少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはそれぞれ独立して、炭素数1〜4アルコキシ基を表し、mは0または1である)
【0019】
上記(b)の好ましい例としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を例示できる。
【0020】
また、本発明に使用される成分(A)の好ましい様態としては、上記の表面被覆処理剤である(a)と(b)とを縮合反応させた、シリコーンの微三次元架橋構造を有する重合物(以下、「シリコーン微架橋物」と称する)により、表面を被覆された粉体である。該シリコーン微架橋物は、ゴム弾性を有しない化合物であればよく、(a)と(b)との含有質量比が、概ね100:0.1〜100:35の範囲で得ることができる。(b)が0.1質量%より少ないと、粘性を有するシリコーンオイルまたはガム状であり、35質量%より多いと弾性を有するシリコーンエラストマー状となり、表面被覆された粉体の撥水性が低下する傾向がある。
【0021】
また、上記シリコーン微架橋物とは、ゴム弾性すなわちゴム硬度を有しない重合体であり、ISO7619−1に規定されるデュロメータタイプAOによる測定法(軟質ゴム硬度測定)の測定値が10未満であり、より好ましくは5未満、さらに好ましくは0のものである。
【0022】
さらに、上記シリコーン微架橋物のレオロジー特性は、動的粘弾性測定(25℃、歪み率17%、剪断周波数4Hz)における複素弾性率が3,000〜100,000Pa、損失係数tanδ(損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’)が1.0〜2.5であることが好ましい。より好ましくは、複素弾性率が10,000〜100,000Paであり、損失係数tanδが1.0〜2.0である。前記複素弾性率が3,000Paより小さいと、シリコーンオイルとしての性質を示し、表面被覆粉体の使用感が低下する傾向にある。複素弾性率が100,000より大きいと、弾性体の性質を示し、撥水性と肌への密着性が低下する傾向にある。損失係数tanδが1.0未満であると、弾性体の性質を示し、撥水性と肌への密着性が低下する傾向にある。損失係数tanδが2.5より大きいと、シリコーンオイルとしての性質を示し、表面被覆粉体の使用感が低下する傾向にある。
【0023】
前記シリコーン微架橋物のレオロジー特性は、以下のようにして測定することができる。
動的粘弾性測定装置:Rheosol−G3000(UBM社製)
測定治具:直径20mmのパラレルプレート
測定周波数:4Hz
測定温度:25±1.0℃
測定歪の設定:歪み率17%に設定し、自動測定モードにて測定を行う。
測定試料厚み(ギャップ):1.0mm
ここで剪断周波数を4Hzとしたのは、人にとって一般的な物理的動作速度の範囲であり、化粧料を肌へ塗布する際速度に近似している理由による。
【0024】
本発明に使用される成分(A)において、表面被覆されうる粉体としては、通常の化粧料に用いられる粉体であれば、特に限定されず、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、光輝性粉体、色素粉体、複合粉体等が挙げられ、その粒子形状(球状、針状、板状等)、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)等を問わず、何れのものも使用することができる。
【0025】
無機粉体として、具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカ、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン酸化スズ被覆合成雲母、酸化チタン被覆ガラスパール等が挙げられる。
【0026】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、シリコーンパウダー、ポリエチレンテレフタレートパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプン、ラウロイルリジン等が挙げられる。
【0027】
これらの粉体の中でも、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化鉄、紺青、群青、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンテレフタレートパウダー、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン酸化スズ被覆合成雲母、酸化チタン被覆ガラスパール等を選択すると、より化粧効果が高い表面被覆粉体を得ることができるため特に好ましい。これらの粉体の平均粒径は特に限定されないが、化粧効果の観点から3〜200μm程度のものが好ましい。
【0028】
本発明に使用される成分(A)において、これらの粉体に上記の表面被覆処理剤である(a)と(b)とを表面被覆する方法としては、特に限定されないが、例えば、表面被覆処理剤と粉体とを直接混合し(加熱して)被覆する乾式被覆方法、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン等の溶媒に表面被覆処理剤を溶解又は分散し、この溶液又は分散液に粉体を添加し、混合後、前記溶媒を乾燥等により除去、加熱、粉砕する湿式被覆方法、メカノケミカル方法等が挙げられる。
【0029】
また成分(A)は、国際公開2014/102863号パンフレットに記載された方法に基づいて得ることができる。例えば、粉体と上記シリコーン微架橋物をミキサー等で単純混合して被覆することも可能である。また、より好ましくは、in-situ法にて粉体の存在下でシリコーン微架橋物を粉体粒子表面に析出させた後、加熱することで、粒子表面にシリコーン微架橋物を固着する方法を用いることができる。この方法により、粉体粒子表面への被覆の均一性が高まり、より良好な軽い使用感で、肌への密着性により優れる、表面被覆された粉体を得ることができる。
【0030】
このようにして得られる成分(A)は、粉体表面が表面被覆処理剤である(a)及び(b)により被覆されたものであり、その被覆量は、特に制限されないが、粉体と表面被覆処理剤との含有質量比が、99.99:0.01〜70:30が好ましく、99.9:0.1〜90:10が特に好ましい。この範囲であれば、より滑らかな軽い感触でしっとり感があり、肌への密着性に優れた表面被覆粉体が得られる。
【0031】
本発明の粉体化粧料への成分(A)の含有量は、特に限定されないが、1〜90%が好ましく、より好ましくは、10〜90%である。この範囲であれば、本発明の粉体化粧料が、よりしっとり感や滑らかな伸び広がり、密着感に優れるようになるため好ましい。
【0032】
本発明に使用される成分(B)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8であるデキストリン脂肪酸エステルである。
この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
【0033】
また、成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルは、次の特性を有する。
(1)液状油に混合したときに液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
【0034】
(2)成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルが形成する皮膜が特定範囲のタック性を有する。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
【0035】
成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルに用いられるデキストリンは、グルコース平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコース平均重合度が2以下では、得られたデキストリン脂肪酸エステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコース平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、又は溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0036】
成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を必須とし、さらに炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸、及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これら炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸以外の脂肪酸をまとめて表すときは「その他の脂肪酸」という)を含有してもよいものである。
【0037】
脂肪酸の組成割合は、全脂肪酸に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上が50mol%より多く100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、その他の脂肪酸は、0mol%以上50mol%未満、好ましくは、0mol%以上45mol%以下である。
【0038】
炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコサン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、炭素数12〜22のものが好ましく、特にイソステアリン酸が好ましく、構造の違い等の限定は特にない。
【0039】
本発明において、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。例えば5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは例えば日産化学工業社より市販されている。2−ヘプチルウンデカン酸はノニルアルコールをガーベット反応(GuErBEt反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、酸化することにより製造することができ、これは例えば三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学社より市販されている(以下総じて「ガーベット反応型」と略す)。また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えばオレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので〔例えばJ.AmEr.Oil ChEm.SoC.,51,522(1974)に記載〕、例えば米国エメリー社等から市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては特にこのエメリー型がより好ましい。
【0040】
また、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜、選択又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、炭素数8〜22のものが好ましく、特に炭素数12〜22のものが好ましい。
【0041】
炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸としては、例えば、モノエン不飽和脂肪酸としては、シス−4−デセン(オブツシル)酸、9−デセン(カプロレイン)酸、シス−4−ドデセン(リンデル)酸、シス−4−テトラデセン(ツズ)酸、シス−5−テトラデセン(フィセテリン)酸、シス−9−テトラデセン(ミリストレイン)酸、シス−6−ヘキサデセン酸、シス−9−ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、シス−9−オクタデセン(オレイン)酸、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン(アスクレピン)酸、シス−11−エイコセン(ゴンドレイン)酸、シス−17−ヘキサコセン(キシメン)酸、シス−21−トリアコンテン(ルメクエン)酸等が挙げられ、ポリエン不飽和脂肪酸としては、ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、プニカ酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、EPA、イワシ酸、DHA、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸等が挙げられる。
【0042】
炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸は、環状構造を基本骨格の少なくとも一部に有する炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸を意味し、例えば9,10−メチレン−9−オクタデセン酸;アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸、α−シクロヘキシルメチル酸、ω−シクロヘキシル酸、5(6)−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、ショールムーグリン酸等が挙げられる。
【0043】
本発明において、成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸単独の場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリンイソ酪酸エステル
デキストリンエチルメチル酢酸エステル
デキストリンイソヘプタン酸エステル
デキストリン2−エチルヘキサン酸エステル
デキストリンイソノナン酸エステル
デキストリンイソデカン酸エステル
デキストリンイソパルミチン酸エステル
デキストリンイソステアリン酸エステル
デキストリンイソアラキン酸エステル
デキストリンイソヘキサコサン酸エステル
デキストリン(イソ吉草酸/イソステアリン酸)エステル
【0044】
本発明において、成分(B)デキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸とその他の脂肪酸との混合脂肪酸を用いた場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリン(イソ酪酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(エチルメチル酢酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(イソヘプタン酸/ラウリン酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(イソヘキサコサン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/イソ吉草酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/パルミチン酸/カプロン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソデカン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチル酪酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/アラキドン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ステアリン酸/オレイン酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/パルミチン酸/ショールムーグリン酸)エステル
【0045】
(デキストリン脂肪酸エステルの製造方法)
次に、成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0046】
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
【0047】
(2)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物とその他の脂肪酸誘導体とを反応させる。
その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
【0048】
本発明において、上記デキストリンとのエステル化反応に使用される脂肪酸誘導体としては、例えば、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等が用いられる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
【0049】
製造にあたり、これらのうちの好ましい方法を採用することができる。反応溶媒にはジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のホルムアミド系;アセトアミド系;ケトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系;ジオキサン等の溶剤を適宜使用することができる。反応触媒としてはピリジン、ピコリン等の3級アミノ化合物等を用いることができる。反応温度は原料脂肪酸等により適宜選択されるが、0℃〜100℃の温度が好ましい。
【0050】
このような成分(B)の市販品としては、「ユニフィルマHVY」(千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0051】
本発明の粉体化粧料への成分(B)の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10%が好ましく、より好ましくは、0.5〜5%である。この範囲であれば、本発明の粉体化粧料が、より滑らかな伸び広がり、密着感、経時での動きに対するヨレのなさに優れるようになるため好ましい。
【0052】
また、本発明の粉体化粧料には、上記必須成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、成分(B)以外の油剤、界面活性剤、成分(A)以外の粉体、一価アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を適宜、含有することができる。
【0053】
油剤としては、成分(B)以外で、通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、固形油、半固形油、液状油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、有機溶剤等が例示される。
固形油としてはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸等を例示することができる。
液状油で、天然動植物油及び半合成油としては、具体的にアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
グリセライド油としては、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
高級アルコールとしてはオレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等が挙げられる
高級脂肪酸としてはオレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
有機溶剤としてはn−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等の非芳香族系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系化合物、ジオキサン、テトラハイドロフラン等のエーテル系化合物、2−プロパノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、カービトール類、セロソルブ類、ポリブテン、スピンドル油等が挙げられる。
【0054】
粉体の分散性向上を目的とする界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればよく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、大豆リン脂質等が挙げられる。
【0055】
粉体としては、前記表面被覆されうる粉体で挙げた粉体を本発明の効果を損なわない範
囲で、未処理で使用することもでき、また、油剤やシリコーン、フッ素化合物等で表面被覆したものを使用することもできる。本発明における成分(A)を含む粉体の含有量は、特に限定されないが、1〜99.5%が好ましい。
【0056】
本発明の粉体化粧料の製造方法としては、特に限定されないが、成分(A)及びその他の粉体を含む粉体成分と、成分(B)及びその他の油剤を含む油剤成分を混合した後、粉砕し、ルースパウダーとして容器に充填する方法、成分(A)及びその他の粉体を含む粉体成分と、成分(B)及びその他の油剤を含む油剤成分を混合した後、粉砕し、乾式で圧縮成型する方法、また、成分(A)及びその他の粉体を含む粉体成分と、成分(B)及びその他の油剤を含む油剤成分と揮発性溶媒とを混合してスラリー状とし、これを充填成型した後、該揮発性溶媒を除去して成型する湿式成型方法等が挙げられる。
【0057】
本発明の粉体化粧料は、特に限定されないが、ファンデーション、頬紅、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー等のメーキャップ化粧料に好適に用いられる。本発明の効果が顕著に発揮される化粧料は、アイシャドウ、ファンデーション等のメーキャップ化粧料である。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
(成分(A)の製造方法)
1.シリコーン微架橋物サンプルの調製
サンプル1:
PP製300ml容器にて、イオン交換水100gにラウロイルメチルタウリンナトリウム0.1gを溶解後、(a)両末端反応性ジオルガノポリシロキサン(粘度30mPa・s)10gを、ホモミキサー6000rpm攪拌下に徐添する。常温にて10分間攪拌し、乳化して(a)の水系エマルジョンを得た。これをスターラーで攪拌しながら、(b)アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903:信越化学工業社製)の25wt%IPA溶液4gを添加する。次いで1N−NaOH水溶液にて、pHを10.5に調整して15分間攪拌した後、アルミ皿に移し、105℃で24時間、乾燥させてシリコーン微架橋物を得た。得られたシリコーン微架橋物の、デュロメータAOによる測定はNA(測定限界以下)、複素弾性率は23000Pa、tanδは1.091であった。
【0060】
サンプル2:
(a)両末端反応性ジオルガノポリシロキサン(粘度30mPa・s)500gを容量2リットルのポリエチレンビーカーに仕込み、ラウロイルメチルタウリンナトリウム22.5gおよびイオン交換水50gをホモミキサーで5000rpmで攪拌しながら徐々に滴下して転相させた。増粘させた後、攪拌速度を7000rpmに上げて15分間攪拌し、イオン交換水を450g加えて希釈した。次いで、卓上加圧ホモジナイザー(APVゴーリン製)で70MPaにて1回乳化分散して、(a)の水エマルジョン(1)を得た。この水エマルジョン(1)を105℃で3時間乾燥して水を揮発除去した固形分について、GPCによるPS換算の分子量を求めたところ6000であった。固形分は51.0%であった。
【0061】
PP製300ml容器にて、上記のエマルション(1)19.6gに、イオン交換水90.4gを加え、常温にて、ホモミキサーを用いて6000rpm、10分間攪拌した。これをスターラーで攪拌しながら、(b)アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903:信越化学工業社製)の25wt%IPA溶液4gを添加する。次いで1N−NaOH水溶液にて、pHを10.5に調整して15分間攪拌した後、アルミ皿に移し、105℃で24時間、乾燥させてシリコーン微架橋物を得た。得られたシリコーン微架橋物の、デュロメータAOによる測定はNA(測定限界以下)、複素弾性率は39500Pa、tanδは1.187であった。
【0062】
サンプル3:
容量2リットルのポリエチレンビーカーにオクタメチルシクロテトラシロキサン450gとイオン交換水500g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム6.75gを仕込み、ホモミキサー撹拌2000rpmにより予備混合した後、クエン酸4gを添加して、70℃に昇温してホモミキサー5000rpmにより24時間乳化重合した。卓上加圧ホモジナイザー(APVゴーリン製)で50MPaにて1回乳化分散することにより高分子量の(a)の水エマルジョンを得た。次いで10%炭酸ナトリウムを加えてpH7に調整して(a)の水エマルジョン(2)を得た。この水エマルジョン(2)を105℃で3時間乾燥して水を揮発除去した固形分について、GPCによるPS換算の分子量を求めたところ10000であった。固形分は46.5%であった。
【0063】
PP製300ml容器にて、上記のエマルション(2)21.5gに、イオン交換水88.5gを加え、常温にて、ホモミキサーを用いて6000rpm、10分間攪拌した。これをスターラーで攪拌しながら、(b)アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903:信越化学工業社製)の25wt%IPA溶液4gを添加する。次いで1N−NaOH水溶液にて、pHを10.5に調整して15分間攪拌した後、アルミ皿に移し、105℃で24時間、乾燥させてシリコーン微架橋物を得た。得られたシリコーン微架橋物の、デュロメータAOによる測定はNA(測定限界以下)、複素弾性率は17500Pa、tanδは1.353であった。
【0064】
(デュロメーターAOによる測定)
スチロール角型ケース(タテ36×ヨコ36×高さ14mm)に、シリコーン微架橋物を面より僅かに出るように仕込み、表面を平たんにして試験面とする。デュロメーターの加圧板を試験面上20mm位置に置き、試験面表面と加圧板が平行になるように維持された状態で、加圧板を試験片に押し当てて針の目盛りを読み取る。この操作を5回行い平均値を測定値とした。なお、測定により針が動かなかった場合はNA(Not Applicable)とした。
【0065】
(動的粘弾性測定)
下記に示す条件によりG’(貯蔵弾性率)およびG”(損失弾性率)を求め複素弾性率とtanδを求めた。
【数1】
粘弾性測定装置:Rheosol−G3000(UBM社製)
測定治具:直径20mmのパラレルプレート
測定周波数:4Hz
測定温度:25±1.0℃
測定歪の設定:歪み率17%に設定し、自動測定モードにて測定を行う。
測定試料厚み(ギャップ):1.0mm
【0066】
2.表面被覆された粉体(A)の製造
製造例1:((a)/(b)=100/10)5%表面被覆マイカ
容量20リットルのPE製容器に、水7LとY−2300(ヤマグチマイカ社製)1kgを仕込み、ディスパーミキサー(プライムミクス社;AM−40)にて2000rpmで5分間分散した。前記の水エマルジョン(2)103gを添加して2500rpmにて5分間攪拌した。次いで、架橋剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903;信越化学工業社製)5質量%水溶液を96g添加した。1N−NaOH水溶液にてpHを10.3に調整した後、3000rpmにて30分間攪拌反応させた。遠心脱水機にてろ過して7Lの水にて洗浄した後、脱水ケーキを乾燥機中120℃にて16時間乾燥した。この時ケーキ中に温度センサーを挿入して温度を記録したところ、115℃以上で7時間加熱されていた。乾燥したケーキをパルベライザーで粉砕して、5%表面被覆マイカを得た。
【0067】
製造例2:((a)/(b)=100/10)0.1%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)とアミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ2.0gと1.8gに換えた以外は、製造例1に準じて、0.1%表面被覆マイカを得た。
【0068】
製造例3:((a)/(b)=100/10)10%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ196gと182gに換えた以外は、製造例1に準じて、10%表面被覆マイカを得た。
【0069】
製造例4:((a)/(b)=100/10)0.05%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ1.0gと0.9gに換えた以外は、製造例1に準じて、0.05%表面被覆マイカを得た。
【0070】
製造例5:((a)/(b)=100/10)15%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ293gと272gに換えた以外は、製造例1に準じて、15%表面被覆マイカを得た。
【0071】
製造例6:((a)/(b)=100/0.1)5%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ108gと1.0gに換えた以外は、製造例1に準じて、5%表面被覆マイカを得た。
【0072】
製造例7:((a)/(b)=100/35)5%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ80gと259gに換えた以外は、製造例1に準じて、5%表面被覆マイカを得た。
【0073】
製造例8:((a)/(b)=100/0.05)5%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ107gと0.5gに換えた以外は、製造例1に準じて、5%表面被覆マイカを得た。
【0074】
製造例9:((a)/(b)=100/50)5%表面被覆マイカ
製造例1の水エマルジョン(2)と、アミノプロピルトリエトキシシラン5質量%水溶液の仕込み量を、それぞれ72gと333gに換えた以外は、製造例1に準じて、5%表面被覆マイカを得た。
【0075】
製造例10:((a)/(b)=100/10)5%表面被覆タルク
製造例1の粉体をタルクJA−13R(浅田製粉社製)に換えた以外は、製造例1に準じて、5%表面被覆タルクを得た。
【0076】
(成分(B)の製造方法)
製造例11:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%) 尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。
置換度は2.2、イソステアリン酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
【0077】
実施例1、参考例2、実施例3、参考例4、5、実施例6、7、参考例8、9、実施例10、11、参考例12、13、14、実施例15、参考例16、17及び比較例1〜10 アイシャドウ
表1〜3に示す組成のアイシャドウを下記製造方法に従って調製した。得られたアイシャドウについて、下記評価方法により「しっとり感」、「滑らかな伸び広がり」、「密着感」、「化粧持ち(経時でのヨレのなさ)」の評価を行ったその結果を併せて表1〜3に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
(製造方法):実施例1、参考例2、実施例3、参考例4、5、実施例6、7、参考例8、9、実施例10、11、参考例12、13、14、実施例15、参考例16、17、比較例1〜10
A.成分(9)〜(29)をスーパーミキサーで均一混合する。
B.成分(1)〜(8)を75℃に加熱し、均一混合する。
C.Aに、Bを添加混合する。
D.Cを粉砕処理する。
F.Dを容器に充填し、プレス後、固形粉末状のアイシャドウを得た。
【0082】
<評価方法(しっとり感、滑らかな伸び広がり、密着感、化粧持ち)>
化粧品評価専門パネル20名に前記実施例、参考例及び比較例のアイシャドウを使用してもらい、塗布時の「滑らかな伸び広がり」、化粧の仕上がりとしての「しっとり感」、「密着感」、表情や瞼等の動きに対する「化粧持ち(経時でのヨレのなさ)」について、各自が以下の基準に従って5段階評価し、アイシャドウ毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。なお、表情や瞼等の動きに対する「化粧持ち(経時でのヨレのなさ)」については、アイシャドウ塗布から6時間後(日常生活)の状態を評価した。
<評価基準>
(評価結果):(評点)
非常に良好:5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
4.5以上 :◎
3.5以上〜4.5未満:○
1.5以上〜3.5未満:△
1.5未満 :×
【0083】
(結果)
表1〜3の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1、参考例2、実施例3、参考例4、5、実施例6、7、参考例8、9、実施例10、11、参考例12、13、14、実施例15、参考例16、17のアイシャドウは、「しっとり感」、「滑らかな伸び広がり」、「密着感」、「化粧持ち(経時でのヨレのなさ)」の全ての項目に優れたアイシャドウであった。一方、成分(B)のデキストリン脂肪酸エステルを含有しない、もしくは成分(B)の代わりに、成分(B)以外のデキストリン脂肪酸エステルを含有した比較例1〜3では、肌への密着感が劣り、粘稠性の高い油剤を含有する比較例4、5では滑らかな伸び広がりや肌への密着性に劣り、いずれの油剤でも動きによる化粧膜のヨレが生じ、十分な化粧持続効果が得られなかった。また、成分(A)特定の両末端反応性ジオルガノポリシロキサン及び、特定のアミノ基含有シラン化合物により表面被覆された粉体の代わりに、未処理の粉体を用いた比較例6では全ての項目を満足させるものは得られなかった。また、成分(A)を含有せず、ジメチコノール表面被覆マイカ及びシリコーンゲル表面被覆マイカを含有する比較例7、10では密着感に劣り、アミノプロピルトリエトキシシラン表面被覆マイカ及びメチルハイドロジェン/アシル化グルタミン酸表面被覆マイカを含有する比較例8、9ではしっとり感と滑らかな伸び広がりに劣る結果となった。
【0084】
実施例18 ファンデーション
下記の処方および製法によりファンデーションを製造した。
(処方)
(%)
(1)製造例11のデキストリン脂肪酸エステル 2
(2)流動パラフィン 3
(3)ジメチルポリシロキサン(平均重合度:10) 3
(4)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
(5)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
(5)製造例10の表面被覆タルク 30
(6)セリサイト 残量
(7)酸化チタン 15
(8)窒化ホウ素 5
(9)メタクリル酸メチルクロスポリマー末*10 7
(10)ポリエチレン末*11 5
(11)ベンガラ 1
(12)黄酸化鉄 2
(13)黒酸化鉄 0.3
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
*10:マツモトマイクロスフェアM−305(松本油脂製薬社製)
*11:ミペロンPM−200(三井化学社製)
【0085】
(製造方法)
A.成分(5)〜(14)をスーパーミキサーで均一混合する。
B.成分(1)〜(4)を75℃に加熱し、均一混合する。
C.Aに、Bを添加混合する。
D.Cを粉砕処理する
E.Dを容器に充填し、プレス後、固形粉体状のファンデーションを得た。
【0086】
(結果)
得られたファンデーションは、しっとり感と密着感に優れ、塗布時の滑らかな伸び広がりを有し、化粧持ち(経時でのヨレのなさ)にも優れた固形粉体状のファンデーションであった。
【0087】
実施例19 粉体状白粉
下記の処方および製法により粉体状白粉を製造した。
(処方)
(%)
(1)製造例11のデキストリン脂肪酸エステル 0.5
(2)流動パラフィン 0.5
(3)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.5
(4)香料 0.1
(5)製造例1の表面被覆マイカ 50
(6)セリサイト 残量
(7)雲母チタン 15
(8)メタクリル酸メチルクロスポリマー末*10 10
(9)赤色226号 0.5
(10)ベンガラ 1
(11)黄酸化鉄 2
(12)黒酸化鉄 0.3
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
【0088】
(製造方法)
A.成分(5)〜(13)をスーパーミキサーで均一混合する。
B.成分(1)〜(4)を75℃に加熱し、均一混合する。
C.Aに、Bを添加混合する。
D.Cを粉砕処理し、粉体状白粉を得た。
【0089】
(結果)
得られた白粉は、しっとり感と密着感に優れ、塗布時の滑らかな伸び広がりを有し、化粧持ち(経時でのヨレのなさ)にも優れた粉末状白粉であった。
【0090】
実施例20 固形粉体状頬紅
下記の処方および製法により固形粉体状頬紅を製造した。
(処方)
(%)
(1)製造例11のデキストリン脂肪酸エステル 2
(2)トリ2‐エチルヘキサン酸グリセリル 5
(3)リンゴ酸ジイソステアリル*12 2
(4)ジメチルポリシロキサン(平均重合度:15) 10
(5)流動パラフィン 5
(6)製造例1の表面被覆マイカ 35
(7)合成金雲母 5
(8)オキシ塩化ビスマス 5
(9)雲母チタン 20
(10)セリサイト 残量
(11)ポリエチレン末*11 5
(12)赤酸化鉄 0.1
(13)赤色226号 0.1
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
*12:コスモール222(日清オイリオ社製)
【0091】
(製造方法)
A.成分(6)〜(14)をスーパーミキサーで均一混合する。
B.成分(1)〜(5)を75℃に加熱し、均一混合する。
C.Aに、Bを添加混合する。
D.C100部に対して、揮発性油剤(軽質流動イソパラフィン))50部を
添加し、均一混合し、スラリー状とする。
E.Dを酸化アルミニウム製金皿に充填し、表面に吸い取り紙を置き加圧して溶剤の一部
を除去する。
F.Eを70℃の恒温槽に10時間放置し、溶剤を完全に除去して、頬紅を得た。
【0092】
(結果)
得られた頬紅は、しっとり感と密着感に優れ、塗布時の滑らかな伸び広がりを有し、化粧持ち(経時でのヨレのなさ)にも優れた固形粉体状の頬紅であった。