特許第6912257号(P6912257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912257
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】屋外構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20210727BHJP
【FI】
   E04B1/00 501A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-79490(P2017-79490)
(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公開番号】特開2018-178528(P2018-178528A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 英明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 竜治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 仁一
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−303300(JP,A)
【文献】 特開2007−170137(JP,A)
【文献】 実開昭63−177513(JP,U)
【文献】 特開2003−013564(JP,A)
【文献】 特開2002−235396(JP,A)
【文献】 実開平01−151501(JP,U)
【文献】 実開平05−042441(JP,U)
【文献】 米国特許第05729933(US,A)
【文献】 米国特許第06343450(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0248818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00
E04B 9/30
E04D 13/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の外面から突出するように設けられた一対の妻梁と、該一対の妻梁の前端部間に連結された前桁と、前記妻梁及び前記前桁によって支持された上板材と、該上板材より下方で前記妻梁及び前記前桁によって支持された天井材とを備える屋外構造物であって、
前記前桁の下面側に連結され、前記天井材の前端部を覆う前部アタッチメント部材と、前記一対の妻梁の下面側にそれぞれ連結され、前記天井材の側端部を覆う側部アタッチメント部材とを備え、
前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材のうち少なくとも一方の下面には、その長手方向に延在し、被装着部品を係合可能な係合溝が設けられており、
前記前桁及び前記一対の妻梁の下面には、その長手方向に延在し、前記係合溝と略同一形状に形成されることで前記被装着部品を係合可能な本体側係合溝が設けられており、
前記前部アタッチメント部材は、前記前桁の本体側係合溝に係合される係合片を有し、
前記側部アタッチメント部材は、前記妻梁の本体側係合溝に係合される係合片を有することを特徴とする屋外構造物。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外構造物において、
前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材は、前記天井材を支持する支持部を有することを特徴とする屋外構造物。
【請求項3】
建物躯体の外面から突出するように設けられた一対の妻梁と、該一対の妻梁の前端部間に連結された前桁と、前記妻梁及び前記前桁によって支持された上板材と、該上板材より下方で前記妻梁及び前記前桁によって支持された天井材とを備える屋外構造物であって、
前記前桁の下面側に連結され、前記天井材の前端側を支持する支持部を有する前部アタッチメント部材と、前記一対の妻梁の下面側にそれぞれ連結され、前記天井材の側端側を支持する支持部を有する側部アタッチメント部材とを備え、
前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材のうち少なくとも一方の下面には、その長手方向に延在し、被装着部品を係合可能な係合溝が設けられており、
前記前桁及び前記一対の妻梁の下面には、その長手方向に延在し、前記係合溝と略同一形状に形成されることで前記被装着部品を係合可能な本体側係合溝が設けられており、
前記前部アタッチメント部材は、前記前桁の本体側係合溝に係合される係合片を有し、
前記側部アタッチメント部材は、前記妻梁の本体側係合溝に係合される係合片を有することを特徴とする屋外構造物。
【請求項4】
請求項3に記載の屋外構造物において、
前記前部アタッチメント部材は、前記天井材の前端部を覆っており、
前記側部アタッチメント部材は、前記天井材の側端部を覆っていることを特徴とする屋外構造物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の屋外構造物において、
前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材は、その長手方向に延在する中空部を有し、
前記係合溝は、前記中空部の下壁部に設けられていることを特徴とする屋外構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上板材と天井材とを妻梁と前桁とで支持した屋外構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や店舗等の建物は、躯体の外面から張り出すようにバルコニーや屋根体等の屋外構造物が設けられることがある。このような屋外構造物は、2階以上に設置されることが多く、その下方に日除けや目隠し用のシェードやスクリーン等の機能商品を後付けで設置したいという要望がある。例えば特許文献1には、前桁の下面に被装着部品を係合可能な係合溝を設けたバルコニーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−209870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような屋外構造物は、その外観品質や意匠性に関する要望も大きく、床材や屋根材といった上板材の下方に天井材が設置される場合もある。
【0005】
天井材は、その端部が露出した状態では外観品質を損なうため、屋外構造物には天井材の端部をカバー部材で覆う構成がある。また天井材は、その端部ががたつくと製品品質を損なうため、屋外構造物には天井材端部を支持部材によって支持する構成もある。ところが、これらカバー部材や支持部材は、通常前桁等の下面側に装着されるため、上記したような機能商品を後付けするための係合溝を塞ぐことになる。その結果、屋外構造物は、製品としての汎用性や拡張性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、高い外観品質を確保しつつ、汎用性や拡張性を確保することができる屋外構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る屋外構造物は、建物躯体の外面から突出するように設けられた一対の妻梁と、該一対の妻梁の前端部間に連結された前桁と、前記妻梁及び前記前桁によって支持された上板材と、該上板材より下方で前記妻梁及び前記前桁によって支持された天井材とを備える屋外構造物であって、前記前桁の下面側に連結され、前記天井材の前端部を覆う前部アタッチメント部材と、前記一対の妻梁の下面側にそれぞれ連結され、前記天井材の側端部を覆う側部アタッチメント部材とを備え、前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材のうち少なくとも一方の下面には、その長手方向に延在し、被装着部品を係合可能な係合溝が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、当該屋外構造物は、上板材の下方に軒天となる天井材を設けたことで、高い外観品質を確保できる。また当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材で天井材の端部を覆う構成により、外観品質を一層向上することができる。しかも当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材のうち少なくとも一方の下面に係合溝を備える。このため、当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材や側部アタッチメント部材の係合溝を利用して、機能商品等の被装着部品を容易に後付けすることができ、汎用性や拡張性を確保することができる。
【0009】
本発明に係る屋外構造物において、前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材は、前記天井材を支持する支持部を有する構成であってもよい。そうすると、当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材で天井材を支持することができ、天井材のがたつきを抑えて製品品質を一層向上できる。しかも前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材は、天井材を覆うカバー部材としての機能と天井材を支持する支持部材としての機能とを備えるため、各機能にそれぞれ対応する部品を個別に設ける必要がなく、部品点数やコストを低減できる。
【0010】
本発明に係る屋外構造物は、建物躯体の外面から突出するように設けられた一対の妻梁と、該一対の妻梁の前端部間に連結された前桁と、前記妻梁及び前記前桁によって支持された上板材と、該上板材より下方で前記妻梁及び前記前桁によって支持された天井材とを備える屋外構造物であって、前記前桁の下面側に連結され、前記天井材の前端側を支持する支持部を有する前部アタッチメント部材と、前記一対の妻梁の下面側にそれぞれ連結され、前記天井材の側端側を支持する支持部を有する側部アタッチメント部材とを備え、前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材のうち少なくとも一方の下面には、その長手方向に延在し、被装着部品を係合可能な係合溝が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、当該屋外構造物は、上板材の下方に軒天となる天井材を設けたことで、高い外観品質を確保できる。また当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材で天井材を支持する構成により、天井材のがたつきを抑えて製品品質を一層向上できる。しかも当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材のうち少なくとも一方の下面に係合溝を備える。このため、当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材や側部アタッチメント部材の係合溝を利用して、機能商品等の被装着部品を容易に後付けすることができ、汎用性や拡張性を確保することができる。
【0012】
本発明に係る屋外構造物において、前記前部アタッチメント部材は、前記天井材の前端部を覆っており、前記側部アタッチメント部材は、前記天井材の側端部を覆っている構成であってもよい。そうすると、当該屋外構造物は、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材で天井材の端部を覆うことができ、外観品質を一層向上することができる。しかも前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材は、天井材を支持する支持部材としての機能と天井材を覆うカバー部材としての機能とを備えるため、各機能にそれぞれ対応する部品を個別に設ける必要がなく、部品点数やコストを低減できる。
【0013】
本発明に係る屋外構造物において、前記前桁及び前記一対の妻梁の下面には、その長手方向に延在し、前記被装着部品を係合可能な本体側係合溝が設けられており、前記前部アタッチメント部材は、前記前桁の本体側係合溝に係合される係合片を有し、前記側部アタッチメント部材は、前記妻梁の本体側係合溝に係合される係合片を有する構成であってもよい。そうすると、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材は、その係合片を利用して容易に且つ安定して前桁及び妻梁に装着することができる。また前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材は、前桁及び妻梁への装着のためのねじを削減し或いはなくすことができ、ねじが外観上で目立つことを抑制でき、屋外構造物の外観品質が一層向上する。
【0014】
本発明に係る屋外構造物において、前記前部アタッチメント部材及び前記側部アタッチメント部材は、その長手方向に延在する中空部を有し、前記係合溝は、前記中空部の下壁部に設けられた構成であってもよい。そうすると、前部アタッチメント部材及び側部アタッチメント部材は、中空部を有することで十分な剛性を確保できるため、天井材を一層安定して多い隠すことができ、或いは天井材を一層安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る屋外構造物は、高い外観品質を確保しつつ、汎用性や拡張性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る屋外構造物の側面図である。
図2図2は、図1に示す屋外構造物の側面断面図である。
図3図3は、図1に示す屋外構造物の正面断面図である。
図4図4は、前部アタッチメント部材及びその周辺部を拡大した側面断面図である。
図5図5は、側部アタッチメント部材及びその周辺部を拡大した正面断面図である。
図6図6は、図4に示す前部アタッチメント部材に後付けの機能商品を装着した構成例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る屋外構造物について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る屋外構造物10の側面図である。図2は、図1に示す屋外構造物10の側面断面図である。図3は、図1に示す屋外構造物10の正面断面図である。
【0019】
本実施形態では、住宅や店舗等の建物躯体11の外面11aから張り出すように設置されるバルコニーとしての屋外構造物10を例示する。屋外構造物10は、外面11aに開口する躯体開口部11bの下部から屋外側へと突出しており、例えば躯体開口部11bに設置された窓を通って人が屋内外に出入り可能な屋外スペースを形成する。屋外構造物10は、例えば玄関庇のような屋根体等でもよい。
【0020】
以下、バルコニーである屋外構造物10を屋外側から屋内側に向かって見た方向を正面とし、正面から見て屋外構造物10の手前側を前、奥側を後、上方を上、下方を下、左方を左、右方を右、と呼んで説明する。また屋外構造物10の中央側を内側、外周側を外側と呼ぶ。さらに各図においては、前後方向を矢印Zで示し、上下方向を矢印Yで示し、左右方向を矢印Xで示す。
【0021】
図1図3に示すように、屋外構造物10は、デッキ部12と、手摺部14とを備える。
【0022】
手摺部14は、外面11aから突出したデッキ部12の外周を囲むように、該デッキ部12の前縁部及び左右の側縁部の上面に立設されている。手摺部14は、デッキ部12の前面及び左右両面の上部を囲む複数枚の格子パネル16と、格子パネル16の上部に亘って延在する笠木17とを備える。格子パネル16及び笠木17は、デッキ部12から立脚した支柱18によって支持されている。
【0023】
デッキ部12は、左右一対の妻梁20,20と、前桁22と、デッキ材24と、天井材26とを備える。
【0024】
デッキ部12は、ブラケット28及び取付部材30を介して建物躯体11の外面11aに取り付けられている。ブラケット28は、デッキ部12と外面11aとの間を連結する構造体である。ブラケット28は、例えば鋼材によって形成され、互いに接合された取付板28aと支持アーム28bとを有する。取付部材30は、ブラケット28の取付板28aと外面11aとの間に介在する部材である。取付部材30は、アルミニウム合金等の金属によって形成され、ブラケット28と共に固定ねじ32を介して躯体の外面11aに固定される。
【0025】
取付部材30には、根太34が取り付けられている。根太34は、その上面がブラケット28の上面と略同位置となるように配設されている。根太34は、ブラケット28と共にその上面でデッキ材24を支持している。
【0026】
各妻梁20は、アルミニウム合金等の金属の押出形材である。各妻梁20は、中空部20aを有する角筒形状である(図3参照)。各妻梁20は、デッキ部12の左右側部で前後方向に亘って延在している。左右の妻梁20,20は、互いに左右対称構造となっている。各妻梁20は、その前端部に前桁22が連結される。各妻梁20は、その後端部が取付部材30を介して建物躯体11に連結されている。各妻梁20には、長手方向に亘って延在する本体側係合溝36が設けられている。本体側係合溝36は、中空部20aの下壁部となる下面20bに設けられている。各妻梁20の下面20bには、側部アタッチメント部材37が装着されている。
【0027】
前桁22は、アルミニウム合金等の金属の押出形材である。前桁22は、中空部22aを有する角筒形状である(図2参照)。前桁22は、左右の妻梁20,20の前端部間に亘るように左右方向に延在し、その左右端部がそれぞれ左右の妻梁20,20の前端部内面に連結されている。前桁22には、長手方向に亘って延在する本体側係合溝38が設けられている。本体側係合溝38は、中空部22aの下壁部となる下面22bに設けられている。前桁22の下面22bには、前部アタッチメント部材40が装着されている。
【0028】
デッキ材(上板材)24は、樹脂や金属等で形成されて左右方向に延びたパネル体であり、バルコニーである当該屋外構造物10の床材となる。デッキ材24は、ブラケット28及び根太34の上面に略水平に載置されている。デッキ材24の左右の側端部は、それぞれ左右の妻梁20,20の内側側面に沿って固定された妻樋部材42,42に連結されている(図3参照)。各妻樋部材42は、上面が開口した凹形状を有する。各妻樋部材42は、その下面が排水管44に連結している。妻樋部材42は、デッキ材24上への降雨等による水を地表面で開口した排水管44へと排水する樋となる。
【0029】
天井材26は、樹脂や金属等の薄板で形成されて前後方向に延びたパネル体である。天井材26は、左右の側部アタッチメント部材37,37間に亘るように左右方向に複数枚並んでいる。左右両端の天井材26の側端部26aは、側部アタッチメント部材37に支持されている。天井材26の前端部26bは、前部アタッチメント部材40によって支持されている。天井材26の後端部26cは、後部アタッチメント部材46に支持されている。後部アタッチメント部材46は、取付部材30に連結されて排水管44を支持する排水管保持部材47の前面に連結されている。
【0030】
図4は、前部アタッチメント部材40及びその周辺部を拡大した側面断面図である。
【0031】
図4に示すように、前部アタッチメント部材40は、前桁22の下面22bに連結される。前部アタッチメント部材40は、中空部40aと、支持片48と、係合片50と、係合溝52と、カバー片54とを有する。前部アタッチメント部材40は、アルミニウム合金等の金属の押出形材である。前部アタッチメント部材40は、天井材26の前端部26bを覆うカバー部材としての機能と、天井材26の前端側(前端部26b付近)を支持する支持部材としての機能とを有する。
【0032】
支持片48は、中空部40aの上壁部となる上面40bの後端から後方へと突出している。支持片48は、上面40bから後方へと水平に突出し、斜め下方へと屈曲した後、さらに水平に屈曲することで略クランク形状に形成された突出片である。支持片48は、先端側(後端側)の水平部分が天井材26の支持部48aとなる。支持部48aは、天井材26の上面に当接配置され、該上面と取付ねじ55を用いて締結される。さらに支持片48は、基端側(前端側)の水平部分が前桁22の下面22bに対する固定部48bとなる。固定部48bは、下面22bに当接配置され、該下面22bと固定ねじ56を用いて締結される。前桁22は、固定部48bが締結される下面22bを他の部分よりも厚肉に形成し、十分な強度を確保している。
【0033】
係合片50は、上面40bから上方に突出した後、前方へと屈曲することでフック形状に形成された突出片である。係合片50は、前桁22の下面22bに形成された本体側係合溝38に係合される。本体側係合溝38は、下面22bを中空部22a内へと凹ませた形状を有し、前桁22の長手方向に延在している。本体側係合溝38は、下面側の開口38aと、開口38aの前後縁部となる前縁片38b及び後縁片38cを有する。係合片50は、本体側係合溝38内に挿入され、前縁片38bを包含するように該前縁片38bに係合される。
【0034】
係合溝52は、中空部40aの下壁部となる下面40cに設けられている。係合溝52は、前桁22の本体側係合溝38と略同一形状を有し、前部アタッチメント部材40の長手方向に延在している。係合溝52は、下面40cを中空部40a内へと凹ませた形状である。係合溝52は、下面側の開口52aと、開口52aの前後縁部となる前縁片52b及び後縁片52cを有する。
【0035】
カバー片54は、係合溝52の後縁片38cの後端から後方へと突出した後、上方に屈曲することで略L字形状に形成された突出片である。カバー片54は、天井材26の前端部26bの下方を覆うように配置される。
【0036】
前部アタッチメント部材40は、その前面40dの下部に水切り部58を有する。水切り部58は、前面40dを流れ落ちた雨水等が下面40c側へと伝うことを防止するための縁切り部である。なお、前桁22についても前部アタッチメント部材40の水切り部58と同様に機能する水切り部59を有する。
【0037】
このような前部アタッチメント部材40は、係合片50を前桁22の本体側係合溝38に係合させ、支持片48の固定部48bを固定ねじ56で前桁22の下面22bに締結することで、前桁22の下面22bに対して強固に連結される。これにより、前部アタッチメント部材40は、中空部40a及びカバー片54によって天井材26の前端部26bを前方及び下方から覆い隠すカバー部材として機能する。なお、天井材26の前端部26bの上方は、前桁22及び支持片48によって覆われる。前部アタッチメント部材40は、支持片48の支持部48aによって天井材26の前端部26b付近を支持する支持部材としても機能する。
【0038】
なお、前部アタッチメント部材40は、天井材26の前端部26bを覆うカバー部材としての機能のみを有し、天井材26を支持する支持部材としての機能を持たない構成であってもよく、逆に支持部材としての機能のみを有し、カバー部材としての機能を持たない構成であってもよい。但し、前部アタッチメント部材40は、カバー部材としての機能と支持部材としての機能を両方有する方が、部品点数やコストの点で有利である。
【0039】
ところで、前部アタッチメント部材40は、前桁22への装着によって覆い隠した前桁22の本体側係合溝38の代替として機能する係合溝52を有する。このため、図6に示すように、当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40の係合溝52を用いて後付けの機能商品60を装着可能であるが、詳細は後述する。
【0040】
図5は、側部アタッチメント部材37及びその周辺部を拡大した正面断面図である。
【0041】
図5に示すように、側部アタッチメント部材37は、各妻梁20の下面20bに連結される。側部アタッチメント部材37は、中空部37aと、支持部62と、固定部64と、係合片66と、カバー片68とを有する。側部アタッチメント部材37は、アルミニウム合金等の金属の押出形材である。側部アタッチメント部材37は、天井材26の側端部26aを覆うカバー部材としての機能と、天井材26の側端側(側端部26a付近)を支持する支持部材としての機能とを有する。
【0042】
支持部62は、中空部37aの下面37bを形成する下壁部の一部である。支持部62は、中空部37aの下壁部の後端側部分を他の部分よりも厚肉に形成した部分である。支持部62は、天井材26の上面に当接配置され、該上面と取付ねじ70を用いて締結される。
【0043】
固定部64は、中空部37aの上壁部となる上面37cの内端から内側へと突出した突出片である。固定部64は、妻梁20の下面20bに当接配置され、該下面20bと固定ねじ71を用いて締結される。妻梁20は、固定部64が締結される中空部20aの下壁部の内端側部分を他の部分よりも厚肉に形成し、十分な強度を確保している。
【0044】
係合片66は、上面37cから上方に突出した後、内側へと屈曲することでフック形状に形成された突出片である。係合片66は、妻梁20の下面20bに形成された本体側係合溝36に係合される。本体側係合溝36は、下面20bを中空部20a内へと凹ませた形状を有し、妻梁20の長手方向に延在している。本体側係合溝36は、下面側の開口36aと、開口36aの左右縁部となる外縁片36b及び内縁片36cを有する。係合片66は、本体側係合溝36内に挿入され、内縁片36cを包含するように該内縁片36cに係合される。
【0045】
カバー片68は、中空部37aの外側の側壁部となる外面37dから下方へと突出し、水切り部72を介して水平に屈曲した後、さらに上方から水平に屈曲することで略L字形状に形成された突出片である。カバー片68は、天井材26の側端部26aの側方から下方にかかる位置までを覆うように配置される。なお、水切り部72は、上記した前部アタッチメント部材40の水切り部58と同様に機能する。妻梁20についても側部アタッチメント部材37の水切り部72と同様に機能する水切り部73を有する。
【0046】
カバー片68は、先端側(内側)の水平部分が下カバー74の連結部68aとなる。連結部68aは、カバー片68の他の部分よりも厚肉に形成されている。下カバー74は、天井材26の側端部26aの下方を覆う略U字形状のカバー部74aと、カバー片68の連結部68aと連結される連結部74bとを有する。連結部74bは、連結ねじ76を用いて連結部68aと締結される。
【0047】
このような側部アタッチメント部材37は、係合片66を妻梁20の本体側係合溝36に係合させ、固定部64を固定ねじ71で妻梁20の下面20bに締結することで、妻梁20の下面20bに対して強固に連結される。これにより、側部アタッチメント部材37は、カバー片68及び下カバー74によって天井材26の側端部26aを側方及び下方から覆い隠すカバー部材として機能する。なお、天井材26の側端部26aの上方は、中空部37aによって覆われる。側部アタッチメント部材37は、支持部62によって天井材26の側端部26a付近を支持する支持部材としても機能する。この際、支持部62と天井材26とを締結する取付ねじ70は、下カバー74によって隠される。また、カバー片68と下カバー74とを締結する連結ねじ76の頭部は、カバー片68及び下カバー74の下面から一段凹んだ凹状部78の内部に隠される。このため、取付ねじ70を隠す下カバー74を固定するための連結ねじ76が当該屋外構造物10の外観上で目立つことを抑えており、特に連結ねじ76は正面側からは全く見えない配置となっている。
【0048】
なお、側部アタッチメント部材37は、天井材26の側端部26aを覆うカバー部材としての機能のみを有し、天井材26を支持する支持部材としての機能を持たない構成であってもよく、逆に支持部材としての機能のみを有し、カバー部材としての機能を持たない構成であってもよい。但し、側部アタッチメント部材37は、カバー部材としての機能と支持部材としての機能を両方有する方が、部品点数やコストの点で有利である。
【0049】
図6は、図4に示す前部アタッチメント部材40に後付けの機能商品60を装着した構成例を示す側面断面図である。
【0050】
上記のような屋外構造物10は、その製品バリエーションとして天井材26を設けない構成が採用される場合もあり、この構成の場合は、側部アタッチメント部材37及び前部アタッチメント部材40も省略される。このため、妻梁20及び前桁22は、その下面20b,22bが露出し、それぞれの本体側係合溝36,38も露出する。その結果、図6に示す機能商品60と同様な機能商品を本体側係合溝36,38に装着して利用することができる。
【0051】
一方、本実施形態の屋外構造物10は、側部アタッチメント部材37及び前部アタッチメント部材40を設けているため、妻梁20及び前桁22の本体側係合溝36,38を利用できなくなっている。そこで、図6に示すように、当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40に係合溝52を設けることで、機能商品60の装着を可能となっている。
【0052】
図6に示すように、機能商品60は、例えば巻取装置80と、巻取装置80で巻取可能なロール式のシェード82とを有する。機能商品60は、巻取装置80のハウジング80aに連結した2つのブラケット84,85を介して前部アタッチメント部材40に装着される。ブラケット84は、ハウジング80aとブラケット85との間を連結している。ブラケット85は、略逆L字形状を有し、その上辺となる水平部分の装着片85aが装着ねじ86,87を用いて前部アタッチメント部材40の下面40cに装着される。装着ねじ86は、装着片85aの後側部分とカバー片54との間を締結する。装着ねじ87は、装着片85aの前側部分と係合溝52内に係合保持された裏板88との間を締結する。
【0053】
このように屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40の下面40cに係合溝52を有するため、後加工等の作業を行うことなく係合溝52を利用して機能商品60を容易に後付けできる。勿論、側部アタッチメント部材37を前部アタッチメント部材40と同様に係合溝52を有する構成とし、側部アタッチメント部材37の下方に機能商品60を設置可能な構成としてもよい。例えば側部アタッチメント部材37は、係合溝52を有する構成とする場合、前部アタッチメント部材40と略同一形状に構成されてもよいし、カバー片68の下面68bに係合溝52を設けた構成としてもよい。
【0054】
なお、機能商品60は、例えば屋外構造物10の下方に吊下支持されて下の階や地表面等までロール式に引き出されるシェードやスクリーン、或いは屋外構造物10の下方で吊下支持される物干し棒等を例示できる。さらに機能商品60は、屋外構造物10の下方に水平設置される庇等の屋根やパネル状の硬質のスクリーンや目隠し壁等も例示できる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る屋外構造物10は、建物躯体11の外面11aから突出するように設けられた一対の妻梁20,20と、一対の妻梁20,20の前端部間に連結された前桁22と、妻梁20及び前桁22によって支持された上板材となるデッキ材24と、デッキ材24より下方で妻梁20及び前桁22によって支持された天井材26とを備える。さらに屋外構造物10は、前桁22の下面22b側に連結され、天井材26の前端部26bを覆う前部アタッチメント部材40と、一対の妻梁20,20の下面20b側にそれぞれ連結され、天井材26の側端部26aを覆う側部アタッチメント部材37とを備え、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37のうち少なくとも一方の下面40c(68b)には、その長手方向に延在し、被装着部品となる機能商品60を係合可能な係合溝52が設けられている。なお、本実施形態の場合、天井材26は、妻梁20及び前桁22に対して前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37を介して間接的に支持された構成を例示したが、天井材26は妻梁20及び前桁22に対して直接的に支持されてもよい。同様に、デッキ材24は、妻梁20及び前桁22に対して直接的ではなく間接的に支持されてもよい。
【0056】
また本実施形態に係る屋外構造物10は、建物躯体11の外面11aから突出するように設けられた一対の妻梁20,20と、一対の妻梁20,20の前端部間に連結された前桁22と、妻梁20及び前桁22によって支持された上板材となるデッキ材24と、デッキ材24より下方で妻梁20及び前桁22によって支持された天井材26とを備える。さらに屋外構造物10は、前桁22の下面22b側に連結され、天井材26の前端側を支持する支持部48aを有する前部アタッチメント部材40と、一対の妻梁20,20の下面20b側にそれぞれ連結され、天井材26の側端側を支持する支持部62を有する側部アタッチメント部材37とを備え、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37のうち少なくとも一方の下面40c(68b)には、その長手方向に延在し、被装着部品となる機能商品60を係合可能な係合溝52が設けられている。
【0057】
従って、当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37を設けたことで、天井材26の端部を覆い隠し或いは支持することができる。これにより当該屋外構造物10は、デッキ材24の下方に軒天となる天井材26を設けたことで、高い外観品質を確保できる。また当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37で天井材26の端部を覆う構成により、外観品質を一層向上することができる。さらに当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37で天井材26の端部を支持する構成により、天井材26のがたつきを抑えて製品品質を一層向上できる。しかも当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37のうち少なくとも一方の下面40c(68b)に係合溝52を備える。このため、当該屋外構造物10は、仮に前桁22や妻梁20に設けられた本体側係合溝38,36が前部アタッチメント部材40や側部アタッチメント部材37で使用不能となった場合であっても、前部アタッチメント部材40や側部アタッチメント部材37の係合溝52を利用できる。その結果、当該屋外構造物10は、機能商品60を容易に後付けすることができ、汎用性や拡張性を確保することができる。
【0058】
当該屋外構造物10において、前桁22及び一対の妻梁20,20の下面22b,20bには、その長手方向に延在し、機能商品60を係合可能な本体側係合溝38,36が設けられている。そして、前部アタッチメント部材40は、前桁22の本体側係合溝38に係合される係合片50を有し、側部アタッチメント部材37は、妻梁20の本体側係合溝36に係合される係合片66を有する。これにより、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37は、その係合片50,66を利用して容易に且つ安定して前桁22及び妻梁20に装着することができる。しかも、図4及び図5に示すように、当該屋外構造物10では、係合片50,66と本体側係合溝38,36との係合部が、固定ねじ56,71による前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37と前桁22及び妻梁22との締結部より外側に位置している。このため、当該屋外構造物10は、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37を前桁22及び妻梁20に装着するための固定ねじ56,71が外部に露出することがなく、外観品質を一層向上させている。
【0059】
当該屋外構造物10において、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37は、その長手方向に延在する中空部40a,37aを有し、係合溝52は中空部40a,37aの下壁部となる下面40c(68b)に設けられている。これにより、前部アタッチメント部材40及び側部アタッチメント部材37は、中空部40a,37aを有することで十分な剛性を確保できるため、天井材26を一層安定して多い隠すことができ、或いは天井材26を一層安定して支持することができる。
【0060】
当該屋外構造物10は、図3に示すようにデッキ材24を支持する根太34やブラケット28から天井材26が離間している。このため、人がデッキ材24の上面を歩いて根太34等が撓んだり振動したりしても、天井材26が撓んだり振動したりすることが防止され、高い製品品質が得られる。
【0061】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0062】
上記した通り、屋外構造物10は、例えば玄関庇のような屋根体等でもよく、この構成の場合はデッキ材24に代えた上板材として屋根材を用いるとよい。
【符号の説明】
【0063】
10 屋外構造物、11 建物躯体、11a 外面、12 デッキ部、20 妻梁、20a,22a,37a,40a 中空部、20b,22b,37b,40c,68b 下面、22 前桁、24 デッキ材、26 天井材、26a 側端部、26b 前端部、36,38 本体側係合溝、37 側部アタッチメント部材、40 前部アタッチメント部材、48a,62 支持部、50,66 係合片、52 係合溝、60 機能商品
図1
図2
図3
図4
図5
図6