(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アスファルトを含む防水層と、この防水層の少なくとも一方の面に積層され、かつ非多孔質である中間層と、この中間層の上に積層され、かつ繊維構造体である繊維層とを含む積層シートであって、前記繊維構造体が前記防水層側に複数のエンボス凹部を有する疎水性不織布である積層シート。
【背景技術】
【0002】
従来から、日本家屋における屋根は、通常、合板や野地板などの屋根下地材と、瓦などの屋根材との間に、防水目的で、屋根下葺材としてアスファルトルーフィングが介在した構造を有している。この屋根下葺材に利用されるアスファルトルーフィングとしては、JIS A 6005アスファルトルーフィングフェルトに規定されるアスファルトルーフィング940が汎用されている。特に、このアスファルトルーフィング940は、こう配屋根を二次防水するために使用されるが、単位面積質量が0.94kg/m
2以上であり、1巻21mで流通されるロール体では、19.7kg以上の重量物となる。さらに、改質アスファルトを用いた屋根下葺材も、同様な構成を有する屋根下葺材が多く、アスファルトを用いた屋根下葺材で15kg以下の製品は見受けられない。近年、我が国では、人口の減少とともに、高齢化社会を迎えており、建築現場における作業者の実働年齢も上昇している。そのため、高所での作業を要求される屋根下葺材の施工現場では、重量物を扱う作業の危険性が指摘されており、より軽量のアスファルトルーフィングが求められている。
【0003】
これに対して、特開2012−167451号公報(特許文献1)には、軽量かつ施工性が改善された屋根下葺材として、2液型付加型液状シリコーンゴム及び無機充填材を含むポリエステル長繊維不織布で形成された表面層と、メルトブロー法で得られたポリエステル極細繊維不織布で形成された中間層と、改質アスファルトを含むポリエステル長繊維不織布で形成された裏面層とを、熱圧着により一体化した積層不織布からなる屋根下葺材が開示されている。
【0004】
しかし、この屋根下葺材は、軽量であるものの、層構造が複雑であり、生産性が低い上に、防水性が十分でなく、例えば、釘を打った場合のシーリング性も低かった。
【0005】
一方、特開2013−100648号公報(特許文献2)には、釘穴シーリング性に優れた防水シートとして、ポリエチレン系樹脂フィルム及び/又はアスファルト含浸紙で形成された耐水圧4kPa以上の防水層の少なくとも一方の面に、目付120〜300g/m
2であり、前記防水層側の面に、複数のエンボス凹部が縦横に間隔をおいて形成された疎水層が積層した防水シートが開示されている。この文献には、透明性、軽量性、折曲加工性などの点からは、防水層はポリエチレン系樹脂フィルム単独で形成するのが好ましいと記載されている。この文献の実施例では、防水層として、ポリエチレン気密フィルム、ポリエチレン透湿フィルム、又はアスファルトフェルトが使用されている。
【0006】
しかし、流動性の低いポリエチレン系樹脂フィルムやアスファルト含浸紙は、釘穴シーリング性が十分でないため、釘穴シーリング性を向上させるためには、疎水層の厚みが大きくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[積層シート]
本発明の積層シートは、アスファルトを含む防水層と、この防水層の少なくとも一方の面に積層され、かつ非多孔質である中間層と、この中間層の上に積層され、かつ繊維構造体である繊維層とを含む。本発明では、前記防水層と前記繊維層との間に中間層が介在しているため、防水層のアスファルトが繊維層に含浸するのを抑制できる。そのため、防水層の厚みを均一に保持でき、防水層の厚みが薄く、軽量であっても、防水性及び釘穴シーリング性を向上できる。
【0017】
(防水層)
防水層は、主成分としてアスファルトを含んでいる。アスファルトとしては、例えば、天然アスファルト(レイクアスファルト、ロックアスファルト、オイルサンド、アスファルトタイトなど)、石油アスファルト(ストレートアスファルト、ブローンアスファルトなど)などが挙げられる。これらのアスファルトは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ストレートアスファルトなどの石油アスファルトなどが汎用される。
【0018】
アスファルトの針入度(1/10mm)は、JIS K2207−1996に準拠した方法において、0〜300程度の範囲から選択でき、例えば5〜200、好ましくは10〜150、さらに好ましくは20〜100程度である。針入度が小さすぎると、均一な薄膜を形成するのが困難となる虞があり、逆に大きすぎると、中間層に対する接着性が低下するとともに、釘穴シーリング性が低下する虞がある。
【0019】
前記アスファルトは、改質剤と組み合わせることにより、改質アスファルトとして使用してもよい。改質剤には、有機系改質剤、無機系改質剤が含まれる。
【0020】
有機系改質剤としては、例えば、ポリオレフィン、ビニル系重合体(ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)、ポリアミド、ポリエステル、合成ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体など)、天然ゴム、ロジン系樹脂(天然ロジン、変性ロジンなど)などが挙げられる。これらの有機系改質剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機系改質剤のうち、熱可塑性エラストマー、特に、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン−ジエン系共重合体が好ましい。
【0021】
無機系改質剤としては、例えば、鉄、銅、錫、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼などの金属粒子(粉末);酸化鉄、三二酸化鉄、四三酸化鉄、フェライト、酸化錫、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化銅、酸化アルミニウムなどの金属酸化物粒子;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウムなどの金属塩粒子;製鋼スラグ、マイカ、クレー、タルク、ウォラストナイト、けい藻土、けい砂、軽石粉などの鉱物粒子;ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの無機系改質剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機系改質剤のうち、鉄粒子、各種酸化鉄粒子、製鋼スラグ粒子、(重)炭酸カルシウム粒子などの粒子状改質剤が好ましい。粒子状改質剤の平均粒径は0.01〜0.5mm(特に0.05〜0.2mm)程度である。
【0022】
有機系改質剤と無機系改質剤とは、接着性及び遮光性を向上させるために、両者を組み合わせて用いてもよい。本発明では、中間層に対する接着性を向上できる点から、少なくとも有機系改質剤を含むのが好ましい。
【0023】
アスファルトと改質剤との割合は、例えば、アスファルト/改質剤=100/0〜30/70程度の範囲から選択でき、例えば、99/1〜40/60、好ましくは98/2〜50/50、さらに好ましくは95/5〜60/40程度の範囲から選択できる。改質剤が有機系改質剤の場合は、両者の割合は、例えば、アスファルト/有機系改質剤=100/0〜70/30、好ましくは99/1〜80/20、さらに好ましくは95/5〜85/15程度である。改質剤の割合が少なすぎると、改質効果が発現せず、多すぎると、粘性が上がり加工が困難となる上に、経済性も低下する虞がある。
【0024】
防水層は、主成分であるアスファルト(又は改質アスファルト)の特性を損なわない範囲であれば、他の成分、例えば、慣用の添加剤や繊維を含んでいてもよいが、屋根下葺材などの汎用の防水シートに含まれる繊維(特に繊維構造体)を含まないのが好ましい。本発明では、繊維構造体を含んでいなくても、中間層により防水層のアスファルトを固定でき、表面へのアスファルトの滲出も抑制できる。
【0025】
防水層中のアスファルト(又は改質アスファルト)の割合は50質量%以上であってもよく、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%であり、100質量%(アスファルトのみ)であってもよい。
【0026】
本発明では、防水層と繊維層との間に中間層が介在するため、防水層は、繊維層の形状に影響を受けず、均一な厚みを保持できるため、薄肉であっても防水性を維持できる。防水層の平均厚みは1mm以下(特に500μm以下)であってもよいが、例えば50〜500μm、好ましくは100〜450μm(例えば150〜400μm)、さらに好ましくは200〜350μm(特に250〜320μm)程度であってもよい。防水層の平均厚みが大きすぎると、軽量性が低下する虞がある。
【0027】
(中間層)
中間層は、前記防水層のアスファルトが繊維層に含浸するのを抑制でき、防水層の厚みを均一に保持できるとともに、アスファルトが表面に滲出するのも抑制できる。
【0028】
中間層は、前記防水層のアスファルトが侵入を防止できる非多孔質であればよい。そのため、中間層の材質は、特に限定されないが、軽量性及び取り扱い性などの点から、樹脂を含むのが好ましい。
【0029】
樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、成形性や柔軟性などの点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
【0030】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、柔軟性や防水性などの点から、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂やポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂)が好ましく、軽量性や施工性などの点から、ポリエチレン系樹脂が特に好ましい。
【0031】
ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体であってもよく、エチレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、エチレン以外のα−オレフィン[例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へプテン、1−オクテンなどのα−C
3−10オレフィン(特にα−C
3−6オレフィン)など]、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C
1−6アルキルエステルなど]、不飽和カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。これらの共重合性単量体のうち、プロピレンなどのα−オレフィン、酢酸ビニルなどのビニルエステル類が好ましい。
【0032】
エチレン系共重合体において、エチレンと共重合性単量体(例えば、エチレン以外のα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=50/50〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.5/0.5、さらに好ましくは70/30〜99/1程度である。
【0033】
ポリエチレン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなど)、分岐鎖状ポリエチレン、アイオノマー、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などであってもよい。
【0034】
中間層は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、安定剤(耐光安定剤、耐熱安定剤など)、着色剤、充填剤、可塑剤、滑剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、防虫剤(防蟻剤など)、防腐剤(防カビ剤など)などが例示できる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤の割合は、中間層層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
【0035】
中間層は、通常、樹脂シート又は樹脂フィルムである。中間層における樹脂の割合は、50質量%以上であってもよく、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%(樹脂のみ)であってもよい。
【0036】
中間層は、非多孔質であるため、通気度は低く、孔径20μm以上(好ましくは15μm以上、さらに好ましくは10μm以上、特に5μm以上)の孔を有さない層であるのが好ましく、実質的に孔を有さない層であってもよく、例えば、ISO5636−5に準拠したISO透気度の測定方法において、空気を通過しない程度の層であってもよい。
【0037】
中間層の平均厚みは、5μm以上であってもよく、例えば5〜100μm、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは12〜30μm(特に15〜25μm)程度である。中間層の厚みが薄すぎると、アスファルトが繊維層に含浸する虞がある。
【0038】
(繊維層)
繊維層は、繊維構造体で形成されており、前記中間層を介して防水層の表面を被覆することにより、積層シートの防水性及び機械的強度を向上でき、さらに防水層のアスファルトの滲出も抑制でき、積層シートの取り扱い性を向上できる。
【0039】
繊維構造体を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(綿、麻などのセルロース繊維など)、再生繊維(レーヨンなど)、半合成繊維(セルロースエステル繊維など)、合成繊維[ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維、ポリテトラフルオロエチレン系繊維、アクリル系繊維、ビニルアルコール系繊維(エチレンビニルアルコール系繊維など)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC
2−4アルキレンアリレート系繊維、液晶ポリエステル繊維などの全芳香族ポリエステル系繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維、アラミド繊維などの全芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリウレタン系繊維など]、無機繊維(炭素繊維やガラス繊維など)などが例示できる。前記合成繊維は、異種の樹脂成分を組み合わせた複合繊維であってもよい。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、ポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維などの合成繊維や無機繊維などが汎用されるが、防水性の点から、表面が疎水性である繊維が好ましい。
【0040】
表面が疎水性である繊維は、撥水加工された親水性繊維(撥水加工されたポリエチレンテレフタレート繊維など)や、鞘部が疎水性樹脂で形成され、かつ芯部が親水性樹脂で形成された芯鞘型複合繊維などであってもよいが、耐久性などの点から、疎水性繊維が汎用される。
【0041】
疎水性繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維(ポリスチレン繊維、スチレン−アクリロニトリル共重合体繊維など)、フッ素樹脂繊維(テトラフルオロエチレン系繊維など)、(メタ)アクリル系繊維などの有機繊維;炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの疎水性繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの疎水性繊維のうち、柔軟性や耐水性などの点から、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリエチレン繊維などのポリエチレン系繊維やポリプロピレン繊維などのポリプロピレン系繊維)が好ましく、耐熱性や危機的特性に優れる点から、ポリプロピレン系繊維が特に好ましい。
【0042】
ポリプロピレン系繊維を構成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、プロピレン以外のα−オレフィン類[例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのα−C
2−16オレフィン(特にエチレンやブテンなどのα−C
2−6オレフィン)など]などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0043】
プロピレン系共重合体において、プロピレンと共重合性単量体(例えば、エチレンなどのα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
【0044】
さらに、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよく、非結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
【0045】
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体などが挙げられる。
【0046】
これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、剛性や耐熱性などの点から、結晶性ポリプロピレン系樹脂、特に、ポリプロピレンホモポリマー(結晶性ポリプロピレンホモポリマー)が好ましい。
【0047】
ポリプロピレン系樹脂は、アタクチック重合体であってもよく、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒を用いて得られるポリプロピレン系樹脂などの立体規則性を有する構造であってもよい。これらのうち、結晶性や簡便性などの点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0048】
繊維構造体も、繊維内部や繊維表面に添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、前記中間層の項で例示された添加剤などを利用できる。添加剤の割合は、繊維構造体全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
【0049】
繊維構造体には、織布、編布、不織布、ネット、紙などが含まれる。繊維構造体は、これらの複合体(積層体)であってもよい。これらのうち、機械的特性などの点から、不織布が好ましい。
【0050】
繊維構造体を構成する繊維の平均繊度は0.1デニール以上程度であり、例えば0.1〜5デニール、好ましくは0.2〜4デニール、さらに好ましくは0.5〜3デニール程度であってもよい。繊度が小さすぎると、機械的特性の向上効果が低下する虞がある。
【0051】
平均繊維長は、強度などの機械的特性を向上できる点から、長繊維が好ましく、150mmを超えてもよく、例えば200mm以上、好ましくは500mm以上、さらに好ましくは1000mm以上であり、無限長であってもよい。長繊維不織布は、慣用の方法、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法などの直接紡糸法などにより製造できる。これらのうち、経済性などの点から、スパンボンド法で得られた不織布が汎用される。
【0052】
繊維構造体の目付は10g/m
2以上(例えば10〜500g/m
2程度)であってもよく、例えば10〜300g/m
2、好ましくは30〜200g/m
2、さらに好ましくは50〜150g/m
2(特に60〜80g/m
2)程度である。目付が小さすぎると、強度などの機械的特性の向上効果が低下する虞がある。
【0053】
繊維構造体(特に、長繊維不織布などの不織布)は、慣用の方法、例えば、前記繊維を含むウェブの形成工程と、ウェブの接着工程とを経て調製でき、具体的には、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、熱エンボス加工法、スパンレース法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などにより調製できる。これらのうち、簡便性などの点から、熱エンボス加工法が好ましい。
【0054】
繊維構造体は、前記熱エンボス加工法などにより形成されたエンボス凹部を有していてもよい。エンボス凹部を有する繊維構造体は、アスファルトの変形及び繊維層への含浸によって防水層の厚みが不均一になり易く、特に、防水層側に複数のエンボス凹部を有する繊維構造体では、その傾向が大きいため、本発明の効果が大きい。
【0055】
複数のエンボス凹部は、繊維構造体(繊維層)の表面において、互いに間隔をおいて規則的に配置されていてもよく、例えば、等間隔で縦横方向に配置されていてもよく、等間隔で互い違い(千鳥状)に配置されていてもよい。また、エンボス凹部は、少なくとも防水層側に形成されているのが好ましく、両側(防水層側及び表面側)に形成されていてもよい。
【0056】
エンボス凹部の平面形状は、特に制限されず、例えば、多角形、円形、楕円形などが例示できる。エンボス凹部のエンボス径(平均径)は、例えば10〜3000μm、好ましくは20〜2500μm、さらに好ましくは50〜2000μm程度であってもよい。エンボス凹部の底部の面積(又は開口部の面積)は、例えば5×10
−4〜5mm
2、好ましくは1×10
−3〜4mm
2程度であってもよい。エンボス凹部の深さは、繊維層の厚み未満であればよく、繊維層の厚みに対して、例えば0.1〜0.9倍、好ましくは0.2〜0.8倍、さらに好ましくは0.3〜0.7倍程度であってもよい。繊維層のエンボス面積率は、例えば5〜50%、好ましくは10〜40%程度であってもよい。
【0057】
繊維層の平均厚み(エンボス凹部以外の領域の平均厚み)は100μm以上であってもよく、例えば100〜1000μm、好ましくは150〜800μm、さらに好ましくは200〜500μm(特に250〜350μm)程度であってもよい。繊維層の厚みが薄すぎると、積層シートの機械的特性が低下する虞がある。
【0058】
(積層シートの特性)
本発明の積層シートは、前記防水層の少なくとも一方の面に、前記中間層を介在して前記繊維層が積層されていればよいが、取り扱い性に優れ、ロール体におけるブロッキングを防止できる点から、前記防水層の両面に、それぞれ前記中間層を介して前記繊維層を積層するのが好ましい。両面に中間層及び繊維層を積層する場合、2層の中間層及び繊維層は、それぞれ異なっていてもよく、同一であってもよいが、生産性などの点から、通常、同一である。
【0059】
本発明の積層シートの各層間には、接着層(又は粘着層)がさらに介在していてもよい。接着層としては、慣用の接着剤や粘着剤、例えば、オレフィン系接着剤又は粘着剤、(メタ)アクリル系接着剤又は粘着剤、ポリエステル系接着剤又は粘着剤、ウレタン系接着剤又は粘着剤、エポキシ系接着剤、アスファルト系接着剤、ゴム系粘着剤などで形成された接着層であってもよい。接着層は、中間層と繊維層との間に介在するのが好ましい。
【0060】
接着層の平均厚みは、例えば2〜60μm、好ましくは4〜30μm、さらに好ましくは10〜20μm程度であってもよい。
【0061】
本発明の積層シートは、防水性(耐水性)が高く、JIS L1092の耐水度試験に準拠した方法において、耐水圧が1kPa以上であってもよく、例えば5〜200kPa、好ましくは10〜150kPa、さらに好ましくは15〜100kPa程度である。
【0062】
本発明の積層シートは、軽量であり、単位面積当たりの質量(単位面積質量)が0.9kg/m
2以下(特に0.8kg/m
2以下)であってもよく、例えば0.2〜0.8kg/m
2、好ましくは0.3〜0.7kg/m
2(例えば0.35〜0.65kg/m
2)、さらに好ましくは0.4〜0.6kg/m
2(特に0.45〜0.55kg/m
2)程度である。
【0063】
本発明の積層シートは、薄肉であり、例えば0.3〜3mm、好ましくは0.5〜2mm、さらに好ましくは0.6〜1.5mm(特に0.8〜1.2mm)程度である。
【0064】
[積層シートの製造方法]
本発明の積層シートは、各層間を接着して一体化できればよく、慣用の接着方法を利用できるが、防水層のアスファルトは、ホットメルト接着性を有しているため、防水層と中間層との接着方法としては、例えば、熱ラミネート法を利用するのが好ましい。熱ラミネート法では、防水層のアスファルトを熱融着可能な状態で中間層と接触して固化する方法であればよく、アスファルトが冷却されて固化する前に中間層と熱ラミネートすることにより両層を一体化できる。具体的には、中間層の上に、加熱溶融したアスファルトを塗布した後、冷却して固化してもよい。
【0065】
アスファルトを加熱溶融するための加熱温度は、例えば80〜250℃、好ましくは150〜240℃、さらに好ましくは180〜200℃程度である。
【0066】
アスファルトの塗布方法としては、慣用のコーティング法、例えば、バーコーティング法、スピンコーティング法、コンマコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
【0067】
防水層の両面に中間層(中間層及び繊維層)を積層する場合は、第1の中間層の上に塗布されたアスファルトが冷却されて固化する前に、アスファルトの上に、第2の中間層をさらに積層すればよい。積層後は、冷却して固化してもよいが、通常、放置して固化することにより積層シートが得られる。
【0068】
中間層と繊維層との接着方法も特に限定されず、防水層を積層した中間層に繊維層を接着してもよいが、中間層は薄肉であるため、中間層と繊維層とを予め接着して一体化した後、前述の熱ラミネート法で防水層と一体化する方法が好ましい。中間層と繊維層との接着方法としては、慣用の方法、接着層を介して両層を接着する接着方法、繊維層と溶融状態の中間層とを熱ラミネートする熱ラミネート方法などが挙げられる。中間層と繊維層との接着方法としても、熱ラミネート方法が好ましい。また、中間層と繊維層とが一体化した市販品も利用できる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例で用いた材料、実施例における各物性値の測定方法を以下に示す。
【0070】
[用いた材料]
ポリプロピレン(PP)長繊維不織布−ポリエチレン(PE)フィルム積層体A:目付70g/m
2のPP長繊維不織布(PT. Multi Spunindo JAYA社製「品番PRPW070」)に、ポリエチレンを厚み20μmになるように熱ラミネートした積層体
PP長繊維不織布B:目付70g/m
2のPP長繊維不織布(PT. Multi Spunindo JAYA社製「品番PRPW070」)
ポリエステル長繊維不織布−エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム積層体C:ヤスハラケミカル(株)製「スパンボンドHDラミ」、目付30g/m
2のポリエステル長繊維不織布と厚み20μmのEVAフィルムとの積層体
改質アスファルト:93質量部のストレートアスファルト60−80と、7質量部のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体との混合物
防水工事用アスファルト3種:JIS K 2207に準拠した防水工事用アスファルト3種
【0071】
[釘穴シーリング性]
釘穴シーリング性は、アスファルトルーフィング工業会「改質アスファルトルーフィング下葺き材 ARK 04s−03:2006」の「7.8釘穴シーリング性試験」に準じて評価した。具体的には、100mm×100mmの耐水合板(厚さ12mm)の上に、実施例及び比較例で得られた積層シートを載置し、釘頭が積層シートの約10mm上方にくるまで、リング釘(軸部の平均径:3.2mm、足部の長さ:32mm)を真っ直ぐ打って固定したリング釘用試験体と、釘頭が積層シートの直上にくるまでステープルを真っ直ぐ打って固定したステープル用試験体とを10個ずつ用意した。積層シートの上に40mmに切断したポリ塩化ビニル製管(内径40mm)を、釘穴の位置が前記管の切断面中央部に位置するように置いた。ポリ塩化ビニル製管と防水シートの接触部分をシーリング材でシールし、シーリング材を硬化させて試験体を作製した。試験体のポリ塩化ビニル製管に水を注入し(水頭30mm)、24時間静置した後、漏水の有無を確認した。10個の試験体のうち、漏水が生じた試験体の数(漏水個数)をカウントすることにより、釘穴シーリング性を以下の基準で評価した。なお、評価「〇」が、ARK 04s−03:2006規格で漏水が認められない条件である。
【0072】
〇:漏れが2個以下である
△:3〜4個の漏れがある
×:5個以上の漏れがある。
【0073】
[アスファルト湿潤性]
表面におけるアスファルトの湿潤の有無を目視で観察し、その有無を評価した。
【0074】
[耐水度]
JIS L 1092に準拠し、高水圧耐水度試験機((株)大栄科学精器製作所製「WP−1000K」)を用い、A法(低水圧法)で測定した。
【0075】
実施例1
第1のPP長繊維不織布−PEフィルム積層体AのPEフィルム側に、ダイコーターを用いて、温度160℃で加熱して溶融した改質アスファルトを平均厚み0.1mmで塗工し、塗工した改質アスファルトが接着性を有しているうちに、さらに第2のPP長繊維不織布−PEフィルム積層体AのPEフィルム側を塗工した改質アスファルトの上に貼り合わせて、積層シートを得た。
【0076】
実施例2
改質アスファルトの平均厚み0.2mmに変更する以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。
【0077】
実施例3
改質アスファルトの平均厚み0.3mmに変更する以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。
【0078】
実施例4
第1のPP長繊維不織布−PEフィルム積層体AのPEフィルム側に、ダイコーターを用いて、温度160℃で加熱して溶融した防水工事用アスファルト3種を平均厚み0.3mmで塗工し、塗工した防水工事用アスファルト3種が接着性を有しているうちに、さらに第2のPP長繊維不織布−PEフィルム積層体AのPEフィルム側を塗工した防水工事用アスファルト3種の上に貼り合わせて、積層シートを得た。
【0079】
実施例5
PP長繊維不織布−PEフィルム積層体AのPEフィルム側に、ダイコーターを用いて、温度160℃で加熱して溶融した防水工事用アスファルト3種を平均厚み0.3mmで塗工し、塗工した防水工事用アスファルト3種が接着性を有しているうちに、さらにポリエステル長繊維不織布−EVAフィルム積層体CのEVAフィルム側を塗工した防水工事用アスファルト3種の上に貼り合わせて、積層シートを得た。得られた積層シートは、PP長繊維不織布−PEフィルム積層体Aを上面として各種特性の試験に供した。
【0080】
実施例6
実施例5で得られた積層シートについて、ポリエステル長繊維不織布−EVAフィルム積層体Cを上面として各種特性の試験に供した。
【0081】
比較例1
2枚のPP長繊維不織布−PEフィルム積層体Aを、PEフィルム同士を接触させて重ね合わせ、熱圧着により貼り合わせて積層シートを得た。
【0082】
比較例2
PP長繊維不織布−PEフィルム積層体Aとポリエステル長繊維不織布−EVAフィルム積層体Cとを、PEフィルムとEVAフィルムとを接触させて重ね合わせ、熱圧着により貼り合わせて積層シートを得た。得られた積層シートは、PP長繊維不織布−PEフィルム積層体Aを上面として各種特性の試験に供した。
【0083】
比較例3
比較例2で得られた積層シートについて、ポリエステル長繊維不織布−EVAフィルム積層体Cを上面として各種特性の試験に供した。
【0084】
比較例4
第1のPP長繊維不織布Bに、ダイコーターを用いて、温度160℃で加熱して溶融した改質アスファルトを平均厚み0.2mmで塗工し、塗工した改質アスファルトが接着性を有しているうちに、さらに第2のPP長繊維不織布Bを塗工した改質アスファルトの上に貼り合わせて、積層シートを得ようと試みたが、塗工した改質アスファルトの第PP長繊維不織布Bへの湿潤が多いため、第2のPP長繊維不織布Bは接着して一体化していない積層体が得られた。第2のPP長繊維不織布Bを含む積層体(接着しない状態で第2のPP長繊維不織布Bが積層された積層体)を各種試験に供した。
【0085】
比較例5
JIS A 6005 アスファルトルーフィングフェルトに規定するアスファルトルーフィング940を各種特性の試験に供した。
【0086】
実施例及び比較例で得られた積層シートを評価した結果を表1に示す。なお、耐水度については、一部の実施例及び比較例についてのみ評価した。
【0087】
【表1】
【0088】
表1の結果から明らかなように、実施例で得られた積層シートの釘穴シーリング性は、単位面積質量が小さいにも拘わらず、比較例5のアスファルトルーフィング940と同等を合格にした場合、いずれも合格であった。さらに、アスファルト湿潤性も低く、耐水度も高かった。
【0089】
実施例3で得られた積層シートのエンボス凹部の走査型電子顕微鏡写真を
図1に示すが、アスファルトは、ポリエチレン(PE)フィルムによって支えられているため、エンボス凹部はアスファルトで埋まらず、エンボス凹部を備えた不織布にアスファルトが含浸していない。一方、比較例4で得られた積層シートのエンボス凹部の走査型電子顕微鏡写真を
図2に示すが、エンボス凹部がアスファルトで埋まり、エンボス凹部を備えた不織布にアスファルトが含浸している。