特許第6912269号(P6912269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912269
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】回転電機ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20210727BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20210727BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20210727BHJP
【FI】
   H02K5/20
   H02K9/02 B
   H02K11/33
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-94208(P2017-94208)
(22)【出願日】2017年5月10日
(65)【公開番号】特開2018-191477(P2018-191477A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】金井 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】萩村 将巳
(72)【発明者】
【氏名】土屋 勇一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 俊史
(72)【発明者】
【氏名】引頭 徹
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−072358(JP,A)
【文献】 特開2009−214813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
H02K 9/02
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが巻回されたステータ、及び前記ステータに対向し内燃機関の回転駆動軸に固定されるロータを有するモータ部と、
前記ステータの通電を制御する制御基板を有する制御部と、を備え、
前記内燃機関の駆動用として用いられる回転電機ユニットであって、
前記制御部は、前記内燃機関の前記回転駆動軸を収容する駆動軸ケースに固定される板状のベース部を有し、
前記ベース部は、前記駆動軸ケースと前記モータ部との間の位置に配置され、前記駆動軸ケース側の面に形成された凹部内に前記制御基板が設けられ、
前記ベース部は、前記駆動軸ケースの端部から前記内燃機関のシリンダと対向する位置まで延びており、前記シリンダに吹き付けられる冷却風の通路を形成する壁部の一部を成していることを特徴とする回転電機ユニット。
【請求項2】
前記制御基板は、外部のハーネスに設けられたコネクタが接続される基板側コネクタを有し、
前記基板側コネクタの端部は、前記ベース部の前記駆動軸ケース側の面から突出していることを特徴とする請求項1に記載の回転電機ユニット。
【請求項3】
前記ベース部は、前記回転駆動軸が挿通される挿通孔と、前記駆動軸ケース側の面に形成された複数の凹状の肉抜き部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機ユニット。
【請求項4】
前記ベース部は、前記冷却風の通路を形成する壁部の一部となっている部分に設けられた複数のフィンを有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の回転電機ユニット。
【請求項5】
前記制御基板に実装されたターミナル端子が前記ベース部を貫通して前記モータ部側に突出しており、前記ターミナル端子に前記モータ部の前記コイルが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の回転電機ユニット。
【請求項6】
前記回転駆動軸の回転方向の位置を検出するセンサが前記ベース部に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の回転電機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車等の車両に用いられる回転電機として、エンジン始動機能と回生エネルギーによる回生発電機能との2つの機能を備えたものが知られている。この種の回転電機ユニットは、ステータ及びロータを備えるモータ部と、ステータへの通電を制御する制御部と、を備えている。
【0003】
このような回転電機において、モータ部と制御部とを一体的に設けてユニット化することも考えられるが、制御部がモータ部等に近付くこともあり、制御部の冷却性を考慮する必要がある。
これに対し、モータ部と制御部とを備え、内燃機関の駆動用として用いられる回転電機ユニットにおいて、制御部を、内燃機関の冷却風通路内に配置する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−111909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたような構成においては、冷却風通路内に配置された制御部が、冷却風の流路抵抗となる場合がある。このような場合、制御部を効果的に冷却できるものの、内燃機関の冷却効率が低下してしまう可能性があった。
また、冷却風通路内に配置される制御部と、内燃機関の回転駆動軸に同軸に設けられるモータ部とを電気的に接続するため、回路基板や配線が必要となる。このため、回転電機ユニットの部品点数の増加により、コスト低減やユニットのコンパクト化の妨げになる。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、制御部の冷却効率を低下させることなく、内燃機関の冷却効率を向上させるとともに、部品点数の増加を抑え、コスト低減やユニットのコンパクト化を図ることのできる回転電機ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の回転電機ユニットは、コイルが巻回されたステータ、及び前記ステータに対向し内燃機関の回転駆動軸に固定されるロータを有するモータ部と、前記ステータの通電を制御する制御基板を有する制御部と、を備え、前記内燃機関の駆動用として用いられる回転電機ユニットであって、前記制御部は、前記内燃機関の前記回転駆動軸を収容する駆動軸ケースに固定される板状のベース部を有し、前記ベース部は、前記駆動軸ケースと前記モータ部との間の位置に配置され、前記駆動軸ケース側の面に形成された凹部内に前記制御基板が設けられ、前記ベース部は、前記駆動軸ケースの端部から前記内燃機関のシリンダと対向する位置まで延びており、前記シリンダに吹き付けられる冷却風の通路を形成する壁部の一部を成していることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、制御部は、内燃機関とモータ部との間に配置されることになる。これにより、制御基板が発する熱を、冷却風通路内に放熱することができる。また、内燃機関からの熱も、制御部を介して冷却風通路内に放熱することができる。このように、制御部が、内燃機関の冷却要素として機能する。この結果、制御部の冷却効率を低下させることなく、内燃機関の冷却効率を向上できる。
【0009】
また、本発明の回転電機ユニットは、前記制御基板は、外部のハーネスに設けられたコネクタが接続される基板側コネクタを有し、前記基板側コネクタの端部は、前記ベース部の前記駆動軸ケース側の面から突出しているのが好ましい。
【0011】
また、本発明の回転電機ユニットは、前記ベース部は、前記回転駆動軸が挿通される挿通孔と、前記駆動軸ケース側の面に形成された複数の凹状の肉抜き部とを有することが好ましい
【0013】
また、本発明の回転電機ユニットは、前記ベース部は、前記冷却風の通路を形成する壁部の一部となっている部分に設けられた複数のフィンを有することが好ましい
【0025】
また、本発明の回転電機ユニットは、前記制御基板に実装されたターミナル端子が前記ベース部を貫通して前記モータ部側に突出しており、前記ターミナル端子に前記モータ部の前記コイルが電気的に接続されていてもよい。
【0026】
このような構成は、凹部の底面を貫通するターミナル端子によって、制御基板とステータのコイルとがダイレクトに接続される。これに対し、ターミナル端子を用いずに、ハウジングの凹部内に収容される制御基板と、ステータのコイルとを接続しようとすると、ハウジングを迂回する接続配線を用いる必要がある。したがって、ターミナル端子を介して制御基板とステータのコイルとを接続することで、このような接続配線を用いることなくなる。
【0027】
また、本発明の回転電機ユニットは、前記回転駆動軸の回転方向の位置を検出するセンサが前記ベース部に固定されていてもよい。
【0028】
通常は、センサをモータ部のステータに固定することが多い。センサをステータに固定した場合、センサは、ロータの回転方向の位置を検出するので、回転駆動軸の回転方向の位置を間接的に検出する。このため、センサと回転軸同軸との位置関係には、モータ部のステータ、制御部等の製造誤差、組み付け誤差が影響する。
これに対し、センサを制御部のハウジングに固定することで、製造誤差や組み付け誤差を抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、制御部の冷却効率を低下させることなく、内燃機関の冷却効率を向上させるとともに、部品点数の増加を抑え、コスト低減やユニットのコンパクト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態における回転電機ユニットを備えたエンジンユニットの配置構造を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態における回転電機ユニットの断面図である。
図3】本発明の実施形態における回転電機ユニットの制御部をモータ部から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態における回転電機ユニットの制御部を、絶縁樹脂を省略した状態でエンジン側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態における回転電機ユニットの制御部をエンジン側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態の変形例における回転電機ユニットの制御部をモータ部から見た斜視図である。
図7】本発明の実施形態の他の変形例における回転電機ユニットの制御部をモータ部から見た図である。
図8】本発明の実施形態の他の変形例における回転電機ユニットの制御部およびステータを、ステータの径方向外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態に係る回転電機ユニットについて、図面を参照して説明をする。
【0032】
図1は、本発明の実施形態における回転電機ユニット1を備えたエンジンユニットの配置構造を示す説明図である。
図1に示すように、回転電機ユニット1は、コイル11が巻回されるステータ12、及びステータ12に対向しエンジン50のクランクシャフト52に固定されるロータ13を備えるモータ部10と、ステータ12の通電を制御する制御部30と、を備える。図中線C1はクランクシャフト52の中心軸を示す。
【0033】
モータ部10は、例えば自動二輪車等の車両に用いられ、エンジン50の始動時においてはスタータモータとして機能し、エンジン50の始動後においては発電機として機能するアウターロータ型である。
【0034】
エンジン50は、クランクケース51内にクランクシャフト52を回転自在に有する。
クランクケース51にはシリンダ53が接続され、シリンダ53には不図示のピストンが収容される。ピストンは、同じく不図示のコンロッドを介してクランクシャフト52に連結される。
【0035】
エンジン50は、クランクケース51、シリンダ53及び回転電機ユニット1を覆うエンジンカバー54を有する。エンジンカバー54には、シリンダ53冷却用の冷却風取入口56が設けられる。冷却風取入口56は、ロータ13とともにクランクシャフト52の軸端部に取り付けられた冷却用の旋回翼55と軸方向で対向する。
【0036】
旋回翼55は、例えばシロッコファンであり、クランクシャフト52の回転に伴って回転し、冷却風取入口56からエンジンカバー54内に空気を導入する。エンジンカバー54内に導入された空気は、冷却風取入口56からシリンダ53の周囲に至る冷却風通路Aを流通し、その後に不図示の排気口よりエンジンカバー54外に排気される。
【0037】
図2は、本発明の実施形態における回転電機ユニットの断面図である。
図2に示すように、ステータ12は、電磁鋼板を積層して成るステータ鉄心14と、ステータ鉄心14に不図示のインシュレータを介して巻回される複数のコイル11と、を備えている。ステータ鉄心14は、円環状に形成された本体部15と、この本体部15の外周面から径方向外側に向かって放射状に突出する複数のティース16と、を有している。ティース16はステータ12の軸方向平面視で略T字状に形成されたものである。ティース16は、ステータ12の径方向に沿って延在されており、コイル11が巻回されている。
【0038】
ロータ13は、ステータ12を外側から覆うよう有底円筒状に形成された磁性材料からなるロータヨーク17と、このロータヨーク17の底部に有するボス部18と、を備える。ボス部18には、エンジン50のクランクシャフト52が一体回転可能に結合される。
【0039】
ロータ13の内周面には、複数のマグネット19が周方向に沿って等間隔に取り付けられている。これらマグネット19は、内側面がN極とS極のいずれかに着磁されている。
【0040】
コイル11は、所定の線径及び所定の巻き数でステータ鉄心14に巻回されており、3系統に纏められてステータ12から引き出され、後述する3相のターミナル端子71A,71B,71Cを介して制御部30にそれぞれ電気的に接続される。
【0041】
図1に示すように、制御部30は、中心軸C1方向において、エンジン50と、モータ部10との間に配置されている。すなわち、制御部30は、エンジン50のクランクケース51に固定されている。モータ部10は、制御部30を挟んでエンジン50とは反対側に配置されている。
制御部30は、エンジン50の始動時には、所定のタイミングでコイル11の通電を制御することによってロータ13とクランクシャフト52とを回転させる。これとは異なり、制御部30は、エンジン50の始動後には、ロータ13の回転に伴う発電電力を図示しないバッテリ等の補機に充電し、若しくは、ライト等の点灯機器に直接使用する。
【0042】
図2に示すように、制御部30は、ハウジング31と、不図示の各種電子素子が実装された制御基板32と、を備えている。
【0043】
図3は、本発明の実施形態における回転電機ユニットの制御部をモータ部から見た斜視図である。
図2図3に示すように、ハウジング31は、エンジン50のクランクケース51から離間したモータ部10側に、クランクシャフト52の中心軸C1に直交する面内に位置するベース部34を有している。このベース部34は、板状で、そのほぼ中央部に、クランクシャフト52が挿通されるシャフト挿通孔34hが、ベース部34を中心軸C1方向に貫通して形成されている。
【0044】
図4は、本発明の実施形態における回転電機ユニットの制御部を、絶縁樹脂を省略した状態でエンジン側から見た斜視図である。
図2図4に示すように、ハウジング31は、制御基板32を収容するため、エンジン50のクランクケース51側に開口した凹部33を有している。この凹部33は、ハウジング31において、エンジン50から離間した側、つまりモータ部10側に設けられた上記ベース部34の一部と、凹部33の外周側でベース部34からエンジン50側に立ち上がる周壁部35と、を有している。このようにして、凹部33は、ベース部34の一部と周壁部35とに囲まれて形成されている。
【0045】
ハウジング31の外周部には、外方に向かって突出するステー31sが複数個所に設けられている。各ステー31sに形成された挿通穴31hに挿通させたボルト(図示無し)をクランクケース51に締結することで、制御部30のハウジング31は、クランクケース51に固定される。
また、ハウジング31のベース部34において、周壁部35よりも外方に延びる部分には、エンジン50側を向く面に、エンジン50側から離間する方向に窪んだ肉抜き部38が複数形成されている。これにより、ベース部34には、互いに隣り合う肉抜き部38同士の間に、エンジン50側に立ち上がるリブ39が形成されている。各リブ39は、ハウジング31に形成されたシャフト挿通孔34hから放射状に径方向外側に延びている。
【0046】
図1図2に示すように、上記ハウジング31は、エンジン50とモータ部10とに挟み込まれた主部31Mと、主部31Mからクランクシャフト52の径方向外側に向かって突出した露出部31Eと、を備える。露出部31Eにおいて、ベース部(平面部)34は、冷却風通路Aに露出し、冷却風通路Aの内壁面Awの一部を形成している。
【0047】
図2図3に示すように、制御基板32は、凹部33内に収容されている。この実施形態において、凹部33内には、複数枚(2枚)の制御基板32が、中心軸C1方向に間隔をあけて積層されている。
これら制御基板32は、凹部33内において、エンジン50から離間した側のベース部34側に配置されている。
【0048】
図5は、本発明の実施形態における回転電機ユニットの制御部をエンジン側から見た斜視図である。
図2図5に示すように、制御基板32の凹部33内には、絶縁樹脂36が充填され、制御基板32は絶縁樹脂36によって覆われている。
また、凹部33内には、外部のハーネス(図示無し)の先端に設けられたコネクタが接続されるコネクタ受容部37が設けられている。コネクタ受容部37は、凹部33内で、制御基板32に電気的に接続されている。
【0049】
コネクタ受容部37は、周壁部35によって囲まれた凹部33において、シャフト挿通孔34hから径方向外側に離間した露出部31Eに配置されている。
また、コネクタ受容部37と、制御基板32に実装されたコンデンサのカバー40は、周壁部35及び絶縁樹脂36よりも、中心軸C1方向においてエンジン50側に突出して設けられている。
このように、コネクタ受容部37がエンジン50側に突出することで、ハーネス先端に設けられたコネクタを、エンジン50側からコネクタ受容部37に対して容易に接続することができる。
【0050】
図3に示すように、ハウジング31のベース部34には、エンジン50から離間したモータ部10側を向く表面34fに、モータ部10のステータ12が固定されるボス41が、シャフト挿通孔34hの外周側に突出形成されている。これにより、モータ部10のステータ12とハウジング31とを直接固定することができる。
【0051】
また、ベース部34の表面34fにおいて、ボス41の外周側には、3相のターミナル端子71A,71B,71Cがインシュレータ70を介してステータと絶縁されて設けられている。各ターミナル端子71A,71B,71Cは、それぞれベース部34を貫通し、その一端が凹部33内の制御基板32に電気的に接続され、他端がベース部34からモータ部10側に突出してモータ部10のコイル11に電気的に接続される。
このようなターミナル端子71A,71B,71Cによれば、制御基板32とステータ12のコイル11とがダイレクトに接続される。これに対し、ターミナル端子71A,71B,71Cを用いずに、凹部33内の制御基板32とコイル11とを接続する場合、接続配線を、ハウジング31を迂回して配線する必要がある。これに対し、上記ターミナル端子71A,71B,71Cを用いることで、接続配線を用いることなく、制御基板32とステータ12のコイル11とが各ターミナル端子71A,71B,71Cを介して接続される。
【0052】
また、制御部30には、クランクシャフト52の回転方向の位置を検出する3相の位置検出センサ80が設けられている。この位置検出センサ80は、ハウジング31に設けられたボス41の周方向の一部を切り欠くことで形成した凹部41aに嵌め込まれている。クランクシャフト52には、位置検出センサ80に対向する位置に、センサマグネット(図示無し)を備えている。
位置検出センサ80は、クランクシャフト52の回転にともなうセンサマグネットの磁束変化を検出することで、クランクシャフト52の回転位置を検出する。位置検出センサ80によって検出されたクランクシャフト52の回転位置信号は、制御部30に取り込まれ、この制御部30によってエンジン50の点火タイミングを制御したり、コイル11の転流タイミングを制御したりする。
【0053】
通常、位置検出センサは、モータ部10のステータ12に固定することが多い。位置検出センサをステータ12に設けた場合、位置検出センサは、ロータ13の回転方向の位置を検出することで、クランクシャフト52の回転方向の位置を間接的に検出することになる。このため、位置検出センサ80とクランクシャフト52との位置関係には、モータ部10のステータ12、制御部30等の製造誤差、組み付け誤差が影響する。これに対し、上記のように位置検出センサ80を制御部30のハウジング31に固定することで、製造誤差や組み付け誤差を抑えることができる。
【0054】
上記したような制御部30は、エンジン50とモータ部10との間に配置されている。これにより、制御基板32が発する熱やエンジン50から伝達される熱を、ハウジング31を介して冷却風通路A内に放熱する。
ここで、ハウジング31の凹部33がエンジン50側を向いているので、ハウジング31のベース部34がエンジン50に接触せず、ハウジング31とエンジン50との接触面積が抑えられる。これにより、エンジン50から制御部30への熱伝達が抑えられ、エンジン50からの熱による制御基板32の温度上昇を抑えることができる。
このようにして、制御部30の冷却効率を低下させることなく、エンジン50のの冷却効率を向上させることができる。
また、制御部30をエンジン50とモータ部10との間に配置することで、制御部30をモータ部10に接続するための配線等の部材が不要となる。したがって、部品点数の増加を抑え、コスト低減やユニットのコンパクト化を図ることが可能となる。
【0055】
このように、上述の回転電機ユニット1は、制御部30が、エンジン50とモータ部10との間に配置されるとともに、エンジン50の冷却風通路Aに少なくとも一部が露出して設けられている。これにより、エンジン50からの熱、及び制御基板32が発する熱を冷却風通路A内に放熱することができる。このように、制御部30が、エンジン50の冷却要素として機能するので、制御部30の冷却効率を低下させることなく、エンジン50の冷却効率を向上させることができる。
【0056】
また、ハウジング31の凹部33がエンジン50側を向くことで、ハウジング31の凹部33のベース部34がエンジン50に接触せず、ハウジング31とエンジン50との接触面積を抑えることができる。これにより、エンジン50から制御部30への熱伝達を抑え、エンジン50からの熱による制御基板32の温度上昇を抑えることができる。
【0057】
また、制御基板32は、凹部33内において、エンジン50から離間した側に配置されているので、エンジン50の熱が制御基板32に及ぶのを抑えることができる。また、凹部33に絶縁樹脂36を充填することで、エンジン50の熱伝達を抑えることができる。このようにして、エンジン50からの熱による制御基板32の温度上昇を抑えることができる。
【0058】
さらに、コネクタ受容部37を凹部33内に設けることで、コネクタ受容部37と制御基板32とを、ハウジング31の凹部33内で電気的に接続することができる。このように、コネクタ受容部37を凹部33内に制御基板32とともに配置することで、配線や端子等を凹部33のベース部34を貫通させることなく、コネクタ受容部37と制御基板32とを電気的に接続することができる。
また、コネクタ受容部37は、凹部33の開口方向、すなわちエンジン50側を向くことになるので、コネクタ受容部37に対し、ハーネス先端のコネクタを、エンジン50側から容易に接続することができる。
【0059】
また、コネクタ受容部37が、ハウジング31の周壁部35よりもエンジン50側に突出させることで、ハーネス先端のコネクタを、コネクタ受容部37に対してエンジン50側から容易かつ確実に接続することができる。
【0060】
さらに、ハウジング31は、エンジン50側を向く面に、肉抜き部38を形成することで、ユニットの軽量化を図るとともに、ハウジング31の表面積を増大させて、ハウジング31における熱の放熱性を高めることができる。また、リブ39を形成することで、エンジン50に対するハウジング31の接触面積を抑え、エンジン50からの伝熱量を抑えることができる。
【0061】
また、制御部30のハウジング31は、その一部を構成する露出部31Eが、冷却風通路A内に露出することで、エンジン50や制御基板32からハウジング31に伝達される熱を、冷却風通路A内に放射させることができる。これにより、回転電機ユニット1の冷却効率が高まる。
【0062】
さらに、露出部31Eは、冷却風通路Aの内壁面Awの一部を形成することで、エンジン50からハウジング31に伝達される熱を、冷却風通路A内に効率よく放射させることができる。また、制御部30が、冷却風通路A内に突出するのを抑え、冷却風の流路抵抗の増大を抑えることができる。
【0063】
さらに、ベース部34を貫通するターミナル端子71A,71B,71Cを備えることで、制御基板32とステータ12のコイル11とがダイレクトに接続される。したがって、他の接続配線を用いることなく、制御基板32とステータ12のコイル11とを各ターミナル端子71A,71B,71Cを介して接続することができる。
【0064】
また、位置検出センサ80を、ハウジング31に固定することで、モータ部10のステータ12に固定する場合に比較し、位置検出センサ80は、クランクシャフト52の回転方向の位置を直接的に検出することができる。これにより、製造誤差や組み付け誤差を抑えることができる。
【0065】
(実施形態の変形例)
なお、上記実施形態において、制御部30のハウジング31は露出部31Eにおいて冷却風通路Aに露出し、冷却風通路Aの内壁面Awの一部を形成しているが、ハウジング31のベース部34の表面34f等は、平滑面でなくてもよい。
【0066】
図6は、本発明の実施形態の変形例における回転電機ユニットの制御部をモータ部から見た斜視図である。
例えば、図6に示すように、露出部31Eにおいて冷却風通路Aに露出したハウジング31のベース部34の表面34fや、ハウジング31の周壁部35の外側面35fに、フィン60,61を設けるようにしてもよい。
このような構成によれば、フィン60,61により、冷却風を整流し、冷却風の流路抵抗の増大を抑え、制御部30の冷却効率を低下させることなく、エンジン50の冷却効率をさらに向上させることができる。また、フィン60,61により、ハウジング31が冷却風と接触する表面積が増大し、制御部30の冷却効果もさらに高めることができる
【0067】
(実施形態の他の変形例)
また、上記実施形態では、位置検出センサ80は、クランクシャフトに設けられたセンサマグネット(図示無し)の磁束変化を検出するようにしたが、これに限らない。
図7は、本発明の実施形態の他の変形例における回転電機ユニットの制御部をモータ部から見た図である。図8は、本発明の実施形態の他の変形例における回転電機ユニットの制御部およびステータを、ステータの径方向外側から見た図である。
例えば、図7図8に示すように、位置検出センサ80Bで、ロータ13に設けられたマグネット19の磁束変化を検出することによって、ロータ13の回転位置を検出するようにしてもよい。
【0068】
図8に示すように、位置検出センサ80Bは、ステータ12のステータ鉄心14の外周部に配置される。位置検出センサ80Bは、樹脂製のセンサケース81と、このセンサケース81内に収納される3つの回路基板82A,82B,82Cとにより構成されている。
【0069】
各回路基板82A,82B,82Cは、それぞれ略T字状に形成されており、ステータ12の周方向に延びる基部83と、基部83から中心軸C1方向に延び、センサケース81内に挿入される挿入部(図示無し)と、を有している。
回路基板82A,82B,82Cは、それぞれの挿入部に、ホールIC(図示無し)が実装されている。
【0070】
回路基板82A,82B,82Cの基部83は、ハウジング31のベース部34を貫通し、凹部33内の制御基板32に電気的に接続される。
【0071】
センサケース81は樹脂により形成されており、各回路基板82A,82B,82Cが収納されるセンサホルダ84A,84B,84Cを備えている。
ステータ12において、一部のティース16には、切り欠き部20が形成されている。切り欠き部20は、円周方向で隣接する二つのティース16に跨って略長方形状の嵌合溝を形成するように形成されている。そして、この嵌合溝を形成する切り欠き部20の対が円周方向に連続して合計3箇所に配置されている。
センサホルダ84A,84B,84Cは、ステータ12に設けられた切り欠き部20に嵌合される。
【0072】
図2に示したように、ロータ13の内周面には、複数のマグネット19が円周方向に沿って等間隔に取り付けられている。図8に示す各回路基板82A,82B、82CのホールICは、ロータ13の回転にともなうマグネット19の磁束の切り替わりを検出する。位置検出センサ80によって検出されたロータ13の回転位置信号は、制御部30に取り込まれ、この制御部30によってエンジン50の点火タイミングを制御したり、コイル11の転流タイミングを制御したりする。
【0073】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、回転電機ユニット1は、自動二輪車等の車両に用いられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、エンジンを有するさまざまな車両等に回転電機ユニット1を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…回転電機ユニット
10…モータ部
11…コイル
12…ステータ
13…ロータ
30…制御部
31…ハウジング
31E…露出部
31M…主部
32…制御基板
33…凹部
34…ベース部(底面、平面部)
34f…表面
34h…シャフト挿通孔(挿通孔)
35…周壁部
36…絶縁樹脂
37…コネクタ受容部(基板側コネクタ)
38…肉抜き部
39…リブ
50…エンジン(内燃機関)
51…クランクケース(駆動軸ケース)
52…クランクシャフト(回転駆動軸)
53…シリンダ
60,61…フィン
71A,71B,71C…ターミナル端子
80、80B…位置検出センサ(センサ)
A 冷却風通路
Aw…内壁面(壁部)
C1…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8