(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上面突起には、前記上面突起の内側に沿って設けられた環状部と、前記環状部の内周側を塞ぐ薄肉部を破断することで形成された前記第1ケーブルを通過させる孔と、を備
えた弾性素材よりなる栓部材が設けられている
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の説明]
まず最初に実施形態の内容を列記して説明する。
(1)一実施形態である電源システムは、パワーコンディショナと、前記パワーコンディショナに接続された電源装置と、を備えた電源システムであって、前記電源装置は、電源装置本体を収容する第1筐体を備え、前記パワーコンディショナは、前記第1筐体の上面に設置されている。
【0011】
上記のように構成された電源システムによれば、パワーコンディショナが第1筐体の上面に設置されているので、例えば、パワーコンディショナ及び蓄電ユニットを横に並べて設置した場合と比較して、設置スペースを抑えることができる。さらに、電源システムを設置する際、電源装置を設置した後、パワーコンディショナを設置することができるので、電源装置と、パワーコンディショナとを別々に設置場所まで運搬することができる。このため、一度に運搬する運搬重量を抑制でき、設置作業を容易とすることができる。
【0012】
(2)上記電源システムにおいて、パワーコンディショナを電源装置の第1筐体の上面に設置したことによってパワーコンディショナと電源装置とを接続する必要が生じる。
よって、前記パワーコンディショナと前記電源装置とを接続するための第1ケーブルをさらに備えている場合、前記パワーコンディショナは、前記第1筐体の上面に設置され、パワーコンディショナ本体を収容した第2筐体を備え、前記第2筐体は、前記第2筐体の側面が前記第1筐体の側面よりも外側へ突出することで前記第2筐体の下面が下方向に向けて露出した露出部を有し、前記露出部には、前記第1ケーブルを接続するための接続部が設けられていることが好ましい。
この場合、第2筐体の下面が下方向に向けて露出した露出部に接続部を設けたので、風雨等の外部環境に対して接続部を容易に隔離でき、防水性を高めつつパワーコンディショナと電源装置とを接続することができる。
【0013】
(3)上記電源システムにおいて、前記パワーコンディショナと、外部に設置された電気機器とを接続するための第2ケーブルをさらに備え、前記露出部には、前記第2ケーブルを前記第2筐体の内部から外部へ導く開口が設けられていてもよい。
この場合、露出部に開口を設けたので防水性を高めつつパワーコンディショナと外部の電気機器とを接続することができる。
【0014】
(4)また、上記電源システムにおいて、前記開口に設けられ、前記第2ケーブルが通される電線管の管端部と接続される電線管ジョイントと、前記電線管ジョイントと前記電線管の管軸方向の端面との間に挟み込まれた状態で、前記第2ケーブルを挿通させる孔を除き、前記管端部を塞ぐ円板状の封止板と、をさらに備えていてもよい。
【0015】
(5)上記(1)の電源システムにおいて、前記パワーコンディショナと前記電源装置とを接続するための第1ケーブルをさらに備え、前記パワーコンディショナは、パワーコンディショナ本体を収容し、前記第1筐体の上面に積み重ねられた底板を有する第2筐体を備え、前記第1筐体の上面には、前記第2筐体から延びる前記第1ケーブルを前記第1筐体の内部に導くための上面開口と、前記上面開口に沿って前記上面から上方に立設された筒状の上面突起と、が形成され、前記底板には、前記上面突起が挿入されるとともに前記第1ケーブルを前記第2筐体の内部から前記第1筐体の内部へ導く底板開口と、前記底板開口に沿って前記底板の上面から上方に立設された筒状の底板突起が形成されていることが好ましい。
この場合、第1筐体と第2筐体との間に水分が侵入し、さらにその水分が上面開口及び底板開口から第1筐体及び第2筐体の内部側に侵入しようとしたとしても、上面突起と底板突起とが水分を堰き止める。この結果、水分の侵入を防止することができる。また、上面突起は底板突起に挿入されるので、上面突起と底板突起とは、第1筐体と第2筐体との間の位置決めとしても機能する。
【0016】
(6)さらに、前記上面突起と、前記底板突起との間には、防水シール層が形成されていることが好ましい。
この場合、上面突起及び底板突起の間から第1筐体及び第2筐体の内部側に侵入しようとする水分を確実に遮断することができる。
【0017】
(7)前記防水シール層は、低分子シロキサンが低減された樹脂材料を用いることができ、これにより、パワーコンディショナ及び電源装置の接点障害を防止することができる。
【0018】
(8)上記電源システムにおいて、前記上面突起には、前記上面突起の内側に沿って設けられた環状部と、前記環状部の内周側を塞ぐ薄肉部を破断することで形成された前記第1ケーブルを通過させる孔と、を備えた弾性素材よりなる栓部材が設けられていてもよい。
この場合、環状部によって、第1ケーブルを上面突起の接触から保護することができる。
また、第1ケーブルを通過させる孔は、環状部の内周側を塞ぐ薄肉部を破断又は除去することで形成されているので、パワーコンディショナを設置する前の第1筐体においては、薄肉部を破断せず、パワーコンディショナを設置する際に破断することができる。このため、栓部材の薄肉部によって、パワーコンディショナを設置する前の第1筐体における上面開口を塞いでおくことができる。これにより、電源システムを設置する際に、上面開口から水分等が侵入するのを防止することができる。
【0019】
(9)上記電源システムにおいて、前記パワーコンディショナは、前記第1筐体の上面に設置され、パワーコンディショナ本体を収容した第2筐体を備え、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部をさらに備え、前記連結部は、前記第1筐体を構成する外板部材及び前記第2筐体を構成する外板部材の少なくともいずれか一方に内外を連通する孔部が形成され、この孔部に対応する位置に雌ねじ部が配置されるように前記外板部材の内側面に全周溶接された袋ナットと、前記孔部に挿通されるとともに前記袋ナットの雌ねじ部に螺合され、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結しているボルトと、を備えている。
この場合、孔部を通じて第1筐体及び第2筐体の内部に水分が侵入するのを防止することができる。
【0020】
[実施形態の詳細]
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
〔全体構成について〕
図1は、一実施形態に係る電源システムの斜視図である。この電源システム1は、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3(電源装置)とを備えている。
蓄電ユニット3は充放電可能な蓄電池を備えている。蓄電ユニット3はパワーコンディショナ2から供給される直流電力を蓄電するとともに、蓄電した直流電力をパワーコンディショナ2へ供給する。
【0021】
パワーコンディショナ2は、直流電力を交流電力に変換するとともに交流電力を直流電力に変換する機能を有している。パワーコンディショナ2は、負荷(図示せず)及び蓄電ユニット3に接続されており、蓄電ユニット3との間で直流電力の授受を行い、蓄電ユニット3へ電力を供給するとともに、負荷に対して蓄電ユニット3に蓄電された電力の供給を行う。
また、パワーコンディショナ2は、図示しない太陽光発電装置に接続されるとともに商用電力系統に系統連系している。
【0022】
図2は、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とを分離した状態を示す斜視図である。
図2及び
図1を参照して、蓄電ユニット3は、内部に蓄電池等を収容している蓄電ユニット筐体4(第1筐体)を有している。蓄電ユニット筐体4は、圧延鋼板等の金属板によって形成されており、ほぼ直方体状の箱体である本体部5と、本体部5の前面開口を塞ぐ前面カバー6とによって構成されている。なお、
図2では、前記蓄電池及び前面カバー6を省略して示している。
本体部5の下面側には、電源システム1の設置スペースに設けられた基礎面(図示せず)に固定される固定脚7が設けられている。
【0023】
パワーコンディショナ2は、内部にパワーコンディショナ本体9を収容しているパワーコンディショナ筐体10(第2筐体)を有している。パワーコンディショナ筐体10は、圧延鋼板等の金属板によって形成されており、ほぼ直方体状の箱体である本体部11と、本体部11の前面開口を塞ぐ前面カバー12と、本体部11の後面から露出されているパワーコンディショナ本体9のヒートシンクをカバーしている後部カバー13とによって構成されている。なお、
図2では前面カバー12を省略して示している。
【0024】
パワーコンディショナ筐体10は、蓄電ユニット筐体4の上面4a(
図2)に積み重ねて連結固定されている。これにより、パワーコンディショナ2は、蓄電ユニット筐体4の上面4aに設置されている。
【0025】
パワーコンディショナ筐体10と蓄電ユニット筐体4とは、前後方向の寸法はほぼ同じとされている。
一方、電源システム1を前面側から見たときのパワーコンディショナ筐体10の幅方向寸法は、蓄電ユニット筐体4の幅方向寸法よりも長くなっている。さらに、パワーコンディショナ筐体10の一側面10bと、蓄電ユニット筐体4の一側面4bとは面一とされている。
このため、パワーコンディショナ筐体10の他側面10cは、蓄電ユニット筐体4の他側面4cよりも幅方向に突出している。よって、パワーコンディショナ筐体10の下面10aの内、パワーコンディショナ筐体10の他側面10cが蓄電ユニット筐体4の他側面4cよりも幅方向外側へ突出している部分は、下方向に向けて露出している。
【0026】
図3は、パワーコンディショナ筐体10の他側面側の下面の一部を示す図であり、
図4は、電源システム1の他側面側を下方から見たときの斜視図である。
図3中の破線Hは、蓄電ユニット筐体4の他側面4cの位置を示している。
破線Hより紙面左側では、パワーコンディショナ筐体10の下面10aは、蓄電ユニット筐体4に当接している。
一方、破線Hより紙面右側(幅方向外側)では、パワーコンディショナ筐体10の他側面10cが蓄電ユニット筐体4の他側面4cよりも幅方向外側へ突出しているため、パワーコンディショナ筐体10の下面10aは、下方向に向けて露出している。
【0027】
このように、パワーコンディショナ筐体10は、下面10aが蓄電ユニット筐体4に当接している当接部を有している。
さらに、パワーコンディショナ筐体10は、パワーコンディショナ筐体10の他側面10cが蓄電ユニット筐体4の他側面4cよりも幅方向外側へ突出することでパワーコンディショナ筐体10の下面10aが下方向に向けて露出した露出部15を有している。
【0028】
露出部15には、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とを接続するための第1ケーブルC1を接続するためのコネクタ16(接続部)が設けられている。
パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とは、複数(図例では2本)の第1ケーブルC1によって接続されている。複数の第1ケーブルC1には、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とを電気的に接続するための電線や、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3との間の通信に用いる通信線が含まれる。
【0029】
蓄電ユニット筐体4の他側面には、第1ケーブルC1が接続されるコネクタ18が設けられている。第1ケーブルC1は、一端がパワーコンディショナ筐体10のコネクタ16に接続され、他端が蓄電ユニット筐体4のコネクタ18に接続される。これによって、第1ケーブルC1は、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とを接続する。
なお、第1ケーブルC1、及びコネクタ16,18は、パワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4の内部に水分が侵入しないように防水仕様のものが用いられる。
【0030】
また、
図4に示すように、露出部15には、複数の電線管17が延ばされている。各電線管17の内部には、パワーコンディショナ2と、太陽光発電装置等の外部に設置された電気機器とを接続するための第2ケーブルC2が通されている。
複数の第2ケーブルC2は、パワーコンディショナ筐体10の内部から外部に導かれ、複数の電線管17に通されている。複数の第2ケーブルC2には、パワーコンディショナ2を制御するための制御装置に接続される通信線や、太陽光発電装置に接続される電線、商用電力系統に接続される電線が含まれる。
【0031】
電線管17は、露出部15に設けられた電線管ジョイント20によってパワーコンディショナ2に接続されている。
露出部15には、後述するように、複数の第2ケーブルC2をパワーコンディショナ筐体10の内部から外部に導くための開口が設けられている。
電線管ジョイント20は、この開口に取り付けられている。
【0032】
図1に示すように、第1ケーブルC1及び電線管17は、露出部15から蓄電ユニット3の側面に沿って下方向に延ばされ、その後必要な方向に曲げられている。
蓄電ユニット3の側面には、第1ケーブルC1やコネクタ16,18、電線管ジョイント20を外部環境から保護するための保護カバー19が取り付けられる。
【0033】
このように本実施形態では、下方向に向けて露出した露出部15にコネクタ16及び電線管ジョイント20(開口)を設けたので、保護カバー19等を容易に装着できる等、風雨等の外部環境に対してコネクタ16及び電線管ジョイント20を容易に隔離でき、防水性を高めつつパワーコンディショナ2と蓄電ユニット3を含む他の装置とを接続することができる。
【0034】
また、本実施形態では、下方向に露出した露出部15に電線管ジョイント20を設けたので、第2ケーブルC2の取り回しの自由度を高めることができる。すなわち、電線管17は、下方向に延びているので、パワーコンディショナ2の前面側、背面側、及び側面側のいずれの側にも引き回すことができる。
【0035】
〔電線管ジョイントについて〕
図5は、露出部15に設けられた電線管ジョイント20の断面図であり、
図6は、電線管17を電線管ジョイント20に接続する際の状態を示す斜視図である。
電線管17は、電気工事用として広く用いられている汎用部品の例えばPF管であり、自在な曲げに対応する可撓性を有する。可撓性を持たせるために、電線管17は、蛇腹状になっている。
【0036】
一方、電線管ジョイント20も、電気工事用として広く用いられている汎用部品の例えばPF管ジョイントである。電線管ジョイント20は、ジョイント本体21と、ジョイント本体21に螺着される外周リング22と、ゴムワッシャ23と、ロックナット24とを備えている。
ジョイント本体21の上部を、パワーコンディショナ筐体10の露出部15に設けた開口15aに通し、パワーコンディショナ筐体10内からゴムワッシャ23を装着してロックナット24を締め付けることで、電線管ジョイント20は露出部15に固定されている。
外周リング22の内周側に折り返した電線管17との係合部22aは、櫛状(若しくはフィンガー状)に分かれた小片の筒状集合体となっており、先端の突起部22bが径方向内方へ、かつ、ジョイント本体21の奥(図の上方向)へ向けて斜めに、突出している。
【0037】
外周リング22の突起部22bは僅かに内方へ突出する程度であり、また、係合部22aが櫛状であることにより径方向への弾性も与えられている。
従って、電線管17を電線管ジョイント20に挿入する際において、
図6に示すように、外周リング22にジョイント本体21(の内周エッジ21a)が干渉しない状態の場合、突起部22bは、電線管17に押されると、径方向外方に逃げることができ、電線管17の挿入を妨げない。
一方、外周リング22を締め込むと、
図5に示すように、突起部22bは、ジョイント本体21の内周エッジ21aと干渉する。そのため、突起部22bは、電線管17に押されても、径方向外方に逃げられなくなる。
【0038】
電線管17をジョイント本体21内の所定位置まで挿入した後、外周リング22を締め付けると、蛇腹のくびれ17aに突起部22bが食い込む。一旦食い込むと、突起部22bが斜め向きであることから、電線管17を抜く方向へ引っぱるとさらに食い込むことになり、電線管17は電線管ジョイント20から抜けなくなる。
【0039】
図5及び
図6に示すように、電線管17には、第2ケーブルC2が通されている。
第2ケーブルC2は、パワーコンディショナ筐体10の内部から開口15a及び電線管ジョイント20を通じて外部に導かれている。パワーコンディショナ筐体10の外部に導かれた第2ケーブルC2は、電線管17によって外部環境から保護される。
【0040】
図5に示すように、電線管ジョイント20のストッパ面21bと電線管17の管軸方向の端面17bとの間には、封止板30が介在している。
封止板30は、電線管17の管軸方向(直管として見た場合の軸Aの方向)の端面17bと、ジョイント本体21内のストッパ面21bとの間に挟み込んで固定されている。
【0041】
図7及び
図8はそれぞれ、使用前の封止板30を上面側及び下側面から見た斜視図である。
図7,
図8において、封止板30は樹脂製(例えばABS樹脂)であり、全体形状は、円板状である。
図8において、封止板30は、電線管17と同等の外径を有する上部の大径部30aと、電線管17の内径と同等の外径を有する下部の小径部30bとが、一体に形成されている。大径部30aは、電線管17と電線管ジョイント20とに挟み込まれる対象部となり、小径部30bは後述の位置決めの役割を果たす。
【0042】
大径部30aの外縁にあるフランジ部30fは、電線管17の端面17bに当接する。封止板30の大径部30aの外径は、電線管17の外径と同等であるので、封止板30の外縁すなわち大径部30aのフランジ部30fは、確実に端面17bに当接する。これにより、封止板30を、端面17bと、電線管ジョイント20のストッパ面21bとの間に確実に挟み込むことができる。
【0043】
図8における小径部30bの下面を基準として見ると、上方向に、複数(この例では9個)の凹部30gが形成されている。図示の状態では、全ての凹部30gには天井面30eがあり、抜けていない。天井面30eを打ち抜くと、孔が形成される。
図8の天井面30eの反対側には、
図7の上段に示すように、円形溝30cと、その内側の十字状溝30dとが形成されている。これらの溝が形成された部分は、打ち抜き用の薄肉部30hとなり、例えばドライバー等の工具で突くと、十字状溝30dが中心から割れ拡がり、円形溝30cの所までが除去される(
図7の下段)。こうして、容易に孔30j(天井面30eが打ち抜かれた後の孔)を開けることができる。孔30jの内径は、電線管17の中を通す第2ケーブルC2の外径に合わせてある。従って、開けた孔30jに、第2ケーブルC2を通すことができる。孔30jは、電線管17内を通す第2ケーブルC2の本数分だけ形成し、不要な孔は作らない。
【0044】
このような構成によれば、薄肉部30hを、例えばドライバー等の工具で突き破ることにより、必要な孔30jを容易に形成することができる。また、孔30jが、第2ケーブルC2の1本分に相当する輪郭であることにより、第2ケーブルC2の外周面と孔30jの内周縁との間に隙間ができることを防止し、封止板30による密封性を高めることができる。
【0045】
図5及び
図6に示すように、上記封止板30は、電線管ジョイント20のストッパ面21bと電線管17の端面17bとの間に挟み込まれ、第2ケーブルC2を通過させつつ電線管17の管端部17cを塞いでいる。
このように第2ケーブルC2を通す孔を有する封止板30が、電線管17の管端部17cを塞ぎ、これにより、外部から電線管17を通って水分や塵埃がパワーコンディショナ筐体10内に侵入することを、防止することができる。封止板30は、単に挟み込まれている状態であるので、汎用の電線管17及び電線管ジョイント20の接続構造に、簡単に組み入れることができる。
【0046】
さらに、
図5に示すように、ジョイント本体21の内部であって封止板30上側には、シール層31が形成されている。
このシール層31は、低分子シロキサンが低減されたシリコン系のコーキング材を用いて形成されている。
封止板30を受け皿としてジョイント本体21の内部に前記コーキング材を充填することで、シール層31は形成されている。よってシール層31は、ジョイント本体21の内壁及び封止板30の上面に密着している。このシール層31によって、管端部17cの封止(防水性)をさらに確実にしている。
【0047】
〔パワーコンディショナ筐体と蓄電ユニット筐体との連結について〕
パワーコンディショナ筐体10と、蓄電ユニット筐体4とは、パワーコンディショナ筐体10の内部側から締結される複数の内部ボルト35を含む内部連結部、及び連結板36、及び連結板36を固定する外部ボルト37を含む外部連結部を用いて連結固定されている。
【0048】
図9は、内部連結部、及び外部連結部を示す断面図である。
図9に示すように、パワーコンディショナ筐体10は、蓄電ユニット筐体4の上面4aに積み重ねられており、パワーコンディショナ筐体10の底板38と、蓄電ユニット筐体4の上板39とは互いに当接している。
パワーコンディショナ筐体10、及び蓄電ユニット筐体4は、両筐体4,10の内部側で連結する内部連結部40と、外部側で連結する外部連結部41とによって連結されている。
【0049】
内部連結部40は、上板39に固定された袋ナット43と、内部ボルト35とによって構成されている。
パワーコンディショナ筐体10の底板38には、孔部38aが形成されている。
また、蓄電ユニット筐体4の上板39には、パワーコンディショナ筐体10における底板38の孔部38aに対応する位置に孔部39aが形成されている。
袋ナット43は、孔部39aに対応する位置に雌ねじ部43aが配置されるように上板39の内側面39bに固定されている。
【0050】
内部ボルト35は、孔部38a及び孔部39aに挿通され、袋ナット43の雌ねじ部43aに螺合している。これにより、内部連結部40を構成する袋ナット43及び内部ボルト35は、底板38と、上板39とを締め付けて両者を連結固定している。
【0051】
外部連結部41は、パワーコンディショナ筐体10の背面板45に固定された袋ナット46と、蓄電ユニット筐体4の背面板47に固定された袋ナット48と、連結板36と、一対の外部ボルト37とによって構成されている。
パワーコンディショナ筐体10の背面板45には、孔部45aが形成されている。
袋ナット46は、孔部45aに対応する位置に雌ねじ部46aが配置されるように背面板45の内側面45bに固定されている。
また、蓄電ユニット筐体4の背面板47には、孔部47aが形成されている。
袋ナット48は、孔部47aに対応する位置に雌ねじ部48aが配置されるように背面板47の内側面47bに固定されている。
【0052】
連結板36には、長手方向両端のそれぞれに孔部36aが形成されている。一方の孔部36aはパワーコンディショナ筐体10の孔部45aに対応している。また、他方の孔部36aは蓄電ユニット筐体4の孔部47aに対応している。
【0053】
外部ボルト37は、孔部36aそれぞれに挿通されている。
一方の孔部36aに挿通されている外部ボルト37は、パワーコンディショナ筐体10の孔部45aに挿通され、袋ナット46の雌ねじ部46aに螺合している。これにより、一方の孔部36aに挿通されている外部ボルト37は、袋ナット46との間で背面板45と、連結板36とを締め付けている。
【0054】
また、他方の孔部36aに挿通されている外部ボルト37は、蓄電ユニット筐体4の孔部47aに挿通され、袋ナット48の雌ねじ部48aに螺合している。これにより、他方の孔部36aに挿通されている外部ボルト37は、袋ナット48との間で背面板47と、連結板36とを締め付けている。
【0055】
このように、一対の外部ボルト37を袋ナット46,48に螺合させ締め付けることで、連結板36は、パワーコンディショナ筐体10の背面板45及び蓄電ユニット筐体4の背面板47に当接した状態で固定されている。これによって、外部連結部41を構成する袋ナット46,48、連結板36、及び一対の外部ボルト37は、パワーコンディショナ筐体10と、蓄電ユニット筐体4とを連結している。
さらに、袋ナット46,48、連結板36、及び外部ボルト37の材質にステンレス鋼を選択することにより、塗装を無くし、各部品を直接接触させ導通させることができる。これにより、パワーコンディショナ筐体10と、蓄電ユニット筐体4とを電気的に通電させ、パワーコンディショナ筐体10と、蓄電ユニット筐体4を短絡するアース配線を省くことが可能となる。
【0056】
上記内部連結部40は、パワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4の底板38に複数箇所設けられている。また、外部連結部41は、パワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4の背面側に複数箇所設けられている。
【0057】
ここで、袋ナット43,46,48の周囲には、溶接部43b,46b,48bが全周に亘って形成されている。このように、袋ナット43,46,48は、内側面39b,45b,47bに全周溶接することにより固定されている。これにより孔部39a,45a,47aを通じてパワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4の内部に水分が侵入するのを防止することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態の電源システム1は、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とを別々の筐体とした上で、上述の内部連結部40及び外部連結部41によって連結し、パワーコンディショナ2を蓄電ユニット筐体4の上面4aに設置したので、例えば、パワーコンディショナ及び蓄電ユニットを横に並べて設置した場合と比較して、設置スペースを抑えることができる。
さらに、電源システム1を設置する際、蓄電ユニット3を設置した後、パワーコンディショナ2を設置することができるので、蓄電ユニット3と、パワーコンディショナ2とを別々に設置場所まで運搬することができる。このため、一度に運搬する運搬重量を抑制でき、設置作業を容易とすることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、パワーコンディショナ筐体10の他側面10cが蓄電ユニット筐体4の他側面4cよりも幅方向外側へ突出することでパワーコンディショナ筐体10の下面10aが露出した露出部15を有している場合を例示したが、パワーコンディショナ筐体10の前後方向の寸法を、蓄電ユニット筐体4の前後方向の寸法よりも大きい値に設定し、パワーコンディショナ筐体10の背面(後側面)が、蓄電ユニット筐体4の背面(後側面)よりも前後方向外側となるようにすることで、露出部15を蓄電ユニット筐体4の背面側(後側面側)に設けてもよい。さらに、露出部15を蓄電ユニット筐体4の前面側(前側面側)に設けてもよいし、蓄電ユニット筐体4の周囲全域に亘るように露出部15を設けてもよい。
【0060】
〔他の実施形態について〕
図10は、他の実施形態に係る電源システム1であって、パワーコンディショナ2と、蓄電ユニット3とを分離した状態を示す斜視図である。
本実施形態の電源システム1は、パワーコンディショナ筐体10の幅方向寸法と、蓄電ユニット筐体4の幅方向寸法とがほぼ同じ値に設定されており、パワーコンディショナ筐体10の下面が露出部を有していない点、及び、パワーコンディショナ2と蓄電ユニット3とを接続するための第1ケーブルC1を通すための開口がパワーコンディショナ筐体10の底板38及び蓄電ユニット筐体4の上板39に設けられている点において上記実施形態と相違している。
【0061】
パワーコンディショナ筐体10の底板38には、第1ケーブルC1をパワーコンディショナ筐体10の内部から蓄電ユニット筐体4の内部へ導く底板開口51が2つ形成されている。
また、蓄電ユニット筐体4の上面4aを構成している上板39には、パワーコンディショナ筐体10から延びる第1ケーブルC1を蓄電ユニット筐体4の内部に導くための上板開口52が2つ形成されている。
【0062】
底板開口51及び上板開口52は、それぞれ円形に形成されており、パワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4を連結固定したときに互いに一致する位置に形成されている。第1ケーブルC1は、互いに一致する位置に形成された底板開口51及び上板開口52を通過することによって、パワーコンディショナ筐体10の内部から蓄電ユニット筐体4の内部へ導かれる。
【0063】
図11(a)は、パワーコンディショナ筐体10と蓄電ユニット筐体4とを連結したときの底板開口51及び上板開口52の断面図である。
パワーコンディショナ筐体10の底板38には、底板開口51の端縁に沿って底板38の上面から上方に立設された円筒状の底板突起55が形成されている。
蓄電ユニット筐体4の上板39には、上板開口52の端縁に沿って上板39の上面から上方に立設された円筒状の上板突起56が形成されている。
【0064】
上板突起56の外径寸法は、底板突起55の内径寸法よりも小さく設定されている。このため、底板38と、上板39とを当接させた状態で、底板突起55の内周側に上板突起56が挿入されている。
【0065】
この場合、パワーコンディショナ筐体10の底板38と蓄電ユニット筐体4の上板39との間に水分が侵入し、さらにその水分が上板開口52及び底板開口51からパワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4の内部側に侵入しようとしたとしても、上板突起56と底板突起55とが水分を堰き止める。これにより、パワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4の内部側に水分が侵入するのを防止することができる。
【0066】
また、上板突起56は底板突起55に挿入されるので、上板突起56と底板突起55とは、パワーコンディショナ筐体10と蓄電ユニット筐体4との間の位置決めとしても機能する。
【0067】
また、上板突起56と、底板突起55との間には、シール層57が形成されている。
シール層57は、低分子シロキサンが低減されたシリコン樹脂系のコーキング材を用いて形成されている。
上板突起56と、底板突起55との間の環状のすき間に前記コーキング材を充填することで、シール層57は形成されている。よってシール層57は、上板突起56と、底板突起55に密着している。
【0068】
パワーコンディショナ筐体10の底板38及び蓄電ユニット筐体4の上板39には、水分を堰き止める底板突起55と上板突起56とが設けられているので、シール層57はなくてもよい。しかし、このシール層57によって、水分の侵入をより確実に防止することができる。
また、シール層57を低分子シロキサンが低減されたシリコン樹脂系のコーキング材を用いて形成したので、パワーコンディショナ2の接点障害を防止することができる。
【0069】
上板突起56の上端には、径方向内側に延びている環状のリブ60が形成されている。
リブ60には、栓部材61が取り付けられている。
栓部材61は、ゴム等の弾性素材で形成されており、上板突起56の内側に沿って設けられた環状部61aを備えている。環状部61aの内周側には、第1ケーブルC1が通過する孔部61bが形成されている。
この場合、環状部61aは、第1ケーブルC1と上板突起56との間に介在する。よって、環状部61aは、第1ケーブルC1を上板突起56の接触から保護することができる。
【0070】
環状部61aの外周面には、リブ60が嵌め込まれた環状溝61cが形成されている。環状溝61cは、上板39と環状部61aとの間から水分等が侵入しないように、リブ60に密着するように形成されている。
環状部61aの内周側の孔部61bは、第1ケーブルC1を通過させる際に、環状部61aの内周側を塞ぐ薄肉部を破断又は除去することで形成されている。
【0071】
図11(b)は、薄肉部を有している状態の栓部材61を示す断面図である。
図11(b)中の栓部材61は、環状部61aと、環状部61aの内周側を塞ぐ薄肉部61dとを有している。
この薄肉部61dは、パワーコンディショナ筐体10と蓄電ユニット筐体4とを連結し、第1ケーブルC1を通過させるときに破断又は除去される。
薄肉部61dが除去されると、環状部61aの内周側には、孔部61b(
図11(a))が形成される。
【0072】
すなわち、パワーコンディショナ2を設置する前の蓄電ユニット筐体4においては、薄肉部61dを破断せず、パワーコンディショナ2を設置する際に破断することができる。このため、栓部材61の薄肉部61dによって、パワーコンディショナ2を設置する前の蓄電ユニット筐体4における上板開口52を塞いでおくことができる。これにより、電源システム1を設置する際に、上板開口52から水分等が侵入するのを防止することができる。
【0073】
〔3. その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、上記各実施形態では、パワーコンディショナ2と、電源装置としての蓄電ユニット3とによって電源システム1を構成した場合を例示したが、電源装置として燃料電池ユニットパワーコンディショナ2に接続してもよいし、パワーコンディショナ2に必要な配電盤を配置してもよい。この場合、パワーコンディショナ2は、燃料電池ユニット又は配電盤を収容した筐体の上面に設置される。
【0074】
また、
図10及び
図11にて示した底板開口51及び上板開口52を、
図1にて示した電源システム1のパワーコンディショナ筐体10及び蓄電ユニット筐体4に設けてもよい。この場合、パワーコンディショナ2と蓄電ユニット3とを接続するために、露出部15に設けられたコネクタ16に接続された第1ケーブルC1と、底板開口51及び上板開口52を通過させた第1ケーブルC1とを併用することができる。
【0075】
本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。