特許第6912305号(P6912305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912305
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20210727BHJP
【FI】
   H01R13/42 B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-142572(P2017-142572)
(22)【出願日】2017年7月24日
(65)【公開番号】特開2019-23959(P2019-23959A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2020年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 直樹
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−102348(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/125963(WO,A1)
【文献】 特開2014−216256(JP,A)
【文献】 米国特許第05839925(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面に突設された一対のガイド突起を有する端子と、
前記端子を端子収容室の弾性係止片が設けられた内壁面に対向する対向内壁面に対して前記対向内壁面に向かい合う前記端子の一面との間に隙間を空けた位置から、前記弾性係止片によって係止され、かつ、前記一面が前記対向内壁面に当接する位置に前記端子収容室内への挿入方向に沿って移動するように前記一対のガイド突起の各ガイド突起をガイドする一対のガイド溝が前記端子収容室内に設けられたコネクタハウジングと、
を有し、
前記対向内壁面は、前記端子収容室の前記端子が挿入される端子挿入口から前記端子収容室の相手端子が挿入される相手端子挿入口まで直線状に設けられ、
前記一対のガイド溝は、前記端子収容室の両側部の内壁面に設けられ且つ当該内壁面から両側に向けて窪む溝であり、
前記一対のガイド突起の各ガイド突起の上下の面には、
前記端子の前記端子収容室への挿入方向に平行な上側被ガイド面および下側被ガイド面が形成されており、
前記一対のガイド溝の各ガイド溝は、
溝の幅方向の上下で向かい合う上側ガイド内縁面、および、下側ガイド内縁面を有し、
前記上側ガイド内縁面は、
前記対向内壁面と上下に一定の間隔をあけて前記端子収容室の前記端子挿入口から溝終端まで直線状に設けられ、
前記下側ガイド内縁面は、
前記端子挿入口から前記弾性係止片による係止完了位置周辺まで溝幅が大きい区間を形成し、係止完了位置周辺で溝幅が一段小さく変化されて溝終端まで溝幅が小さい区間を形成するように端子の挿入方向に向けて上り傾斜状のガイド傾斜面が形成され、
前記端子が前記一対のガイド溝の前記溝幅が小さい区間で前記弾性係止片によって係止され、かつ、前記一面が前記対向内壁面に当接される
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記一対のガイド溝は、
前記溝幅が小さい区間での溝幅が前記一対のガイド突起の厚さよりも僅かに大きい幅である
ことを特徴とする請求項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングに設けられた端子収容室内に弾性係止片によって端子が係止されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタは、端子収容室内に収容された端子を弾性係止片によって所定位置に係止するようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フロントリテーナの一部が、端子収容室内に設けられた弾性係止片の周辺で端子と端子収容室の内壁面との間の隙間を塞ぐように配置されることによって端子収容室内での端子のガタツキが抑えられたコネクタが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、端子が弾性係止片の撓み方向へ移動するのを規制するように支持する支持突起が設けられたコネクタ、あるいは、端子から突設した被支持突部が、端子収容室のうち弾性係止片の撓み方向に沿った内壁面に凹み形成した支持溝部に嵌合されることで、端子が弾性係止片の撓み方向へ傾動するのを規制するコネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−228203号公報
【特許文献2】特開2004−63078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のコネクタは、コネクタハウジングとは別部品のフロントリテーナが必要となり部品点数が増え、結果的にコストが増加してしまう問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載のコネクタは、支持突起が端子収容室の内面の前端角部に配置され、あるいは、被支持突起が端子の側壁の一部に設けられ、支持突起、および、被支持突起ともに端子の一部という狭い部分でしか支持できないため、端子のガタツキを確実に抑えることが難しく、結果的に、相手端子を端子に接続する際、相手端子を端子との接触部分とは異なる部分にぶつけてしまい、端子を損傷させてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コネクタハウジングに別部品を追加することなく端子収容室内での端子のガタツキを確実に抑え、端子の損傷を防ぐことができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るコネクタは、両側面に突設された一対のガイド突起を有する端子と、前記端子を端子収容室の弾性係止片が設けられた内壁面に対向する対向内壁面に対して前記対向内壁面に向かい合う前記端子の一面との間に隙間を空けた位置から、前記弾性係止片によって係止され、かつ、前記一面が前記対向内壁面に当接する位置に前記端子収容室内への挿入方向に沿って移動するように前記一対のガイド突起の各ガイド突起をガイドする一対のガイド溝が前記端子収容室内に設けられたコネクタハウジングと、を有し、前記対向内壁面は、前記端子収容室の前記端子が挿入される端子挿入口から前記端子収容室の相手端子が挿入される相手端子挿入口まで直線状に設けられ、前記一対のガイド溝は、前記端子収容室の両側部の内壁面に設けられ且つ当該内壁面から両側に向けて窪む溝であり、前記一対のガイド突起の各ガイド突起の上下の面には、前記端子の前記端子収容室への挿入方向に平行な上側被ガイド面および下側被ガイド面が形成されており、前記一対のガイド溝の各ガイド溝は、溝の幅方向の上下で向かい合う上側ガイド内縁面、および、下側ガイド内縁面を有し、前記上側ガイド内縁面は、前記対向内壁面と上下に一定の間隔をあけて前記端子収容室の前記端子挿入口から溝終端まで直線状に設けられ、前記下側ガイド内縁面は、前記端子挿入口から前記弾性係止片による係止完了位置周辺まで溝幅が大きい区間を形成し、係止完了位置周辺で溝幅が一段小さく変化されて溝終端まで溝幅が小さい区間を形成するように端子の挿入方向に向けて上り傾斜状のガイド傾斜面が形成され、前記端子が前記一対のガイド溝の前記溝幅が小さい区間で前記弾性係止片によって係止され、かつ、前記一面が前記対向内壁面に当接されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項に係るコネクタは、上記の発明において、前記一対のガイド溝が、前記溝幅が小さい区間での溝幅が前記一対のガイド突起の厚さよりも僅かに大きい幅であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係るコネクタは、前記端子に設けた前記一対のガイド突起を前記コネクタハウジングに設けた一対のガイド溝によってガイドして前記端子収容室内への挿入方向に沿って移動することによって、前記端子を端子収容室の弾性係止片が設けられた内壁面に対向する対向内壁面に対して前記対向内壁面に向かい合う前記端子の一面との間に隙間を空けた位置から、前記弾性係止片によって係止され、かつ、前記一面が前記対向内壁面に当接する位置に配置される。このため、前記端子は、前記一対のガイド突起を介して、前記一面という広い範囲を前記対向内壁面に当接させることができるので、ガタツキのない高い安定度で係止完了位置に保持される。これにより、前記端子収容室の開口から挿入された相手端子の挿入方向前方側には前記端子の開口を構成する壁が干渉されず、相手端子は、前記端子にぶつかることなく前記端子との接続部分まで挿入される。従って、本発明の請求項1に係るコネクタは、コネクタハウジングに別部品を追加することなく端子収容室内での端子のガタツキを確実に抑え、端子の損傷を防ぐことができる。
【0013】
更に、本発明の請求項に係るコネクタは、一対のガイド突起の前記上側被ガイド面および前記下側被ガイド面が前記端子の挿入方向に平行な面に形成されている。また、前記一対のガイド溝の前記上側ガイド内縁面が前記端子収容室の端子挿入口から溝終端まで直線状に設けられている。さらに、前記一対のガイド溝の前記下側ガイド内縁面に傾斜状のガイド傾斜面が形成されることによって溝幅が大きい区間と、係止完了位置周辺で溝幅が一段小さく変化された溝幅が小さい区間とを形成され、前記端子が前記一対のガイド溝の前記溝幅が小さい区間で前記弾性係止片によって係止され、かつ、前記一面が前記対向内壁面に当接されるようにしている。このため、本発明の請求項2に係るコネクタは、簡易な構成でコネクタハウジングに別部品を追加することなく端子収容室内での端子のガタツキを確実に抑え、端子の損傷を防ぐことができる。
【0014】
本発明の請求項に係るコネクタは、前記一対のガイド溝が前記溝幅が小さい区間での溝幅が前記一対のガイド突起の厚さよりも僅かに大きい幅であるので、前記一対のガイド突起が各ガイド溝の前記上側ガイド内縁面と前記下側ガイド内縁面との間に挟まれた状態になっている。このため、本発明の請求項3に係るコネクタは、前記端子を係止完了位置でより安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施例に係るコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、端子付き電線の斜視図である。
図3図3は、図2に示した端子を相手端子挿入口側から視た図である。
図4図4は、端子収容室の断面図である。
図5図5は、(a)が一対のガイド溝の溝幅大区間で端子の挿入方向に直交する方向で切断した端子収容室の断面と端子収容室内に配置された端子とを示した図であり、(b)が一対のガイド溝の溝幅小区間で端子の挿入方向に直交する方向で切断した端子収容室の断面と端子収容室内に配置された端子とを示した図である。
図6図6は、端子が端子収容室内の弾性係止片による係止完了位置までガイド溝によってガイドされる様子を示した図ある。
図7図7は、相手端子が端子にぶつかることなく端子収容室内の端子の相手端子挿入口内に挿入される様子を示した図である。
図8図8は、変形例の端子を説明するための図ある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係るコネクタの好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るコネクタ1の分解斜視図である。図2は、端子付き電線90の斜視図である。図3は、図2に示した端子10を相手端子挿入口12d側から視た図である。図4は、端子収容室41の断面図である。図5は、(a)が一対のガイド溝50、50の溝幅大区間L1で端子10の挿入方向Dに直交する方向で切断した端子収容室41の断面と端子収容室41内に配置された端子10とを示した図であり、(b)が一対のガイド溝50、50の溝幅小区間L2で端子10の挿入方向Dに直交する方向で切断した端子収容室41の断面と端子収容室41内に配置された端子10とを示した図である。図6は、端子10が端子収容室41内の弾性係止片42による係止完了位置までガイド溝50によってガイドされる様子を示した図ある。図7は、相手端子Cが端子10にぶつかることなく端子収容室41内の端子10の相手端子挿入口12d内に挿入される様子を示した図である。
本発明の実施例に係るコネクタ1は、例えば、車載カメラの電気的な接続に用いられるものである。
【0018】
このコネクタ1は、端子10が収容される複数の端子収容室41が設けられたコネクタハウジング30と、端子収容室41内に収容される複数の端子10と、端子収容室41内に収容された端子10を係止するスペーサ70と、コネクタ1が接続される不図示の相手コネクタとの嵌合部分を相手コネクタが嵌合された状態で防水可能に封止するシールリング80と、を有する。
なお、この実施例では、6つの端子10が6つの各端子収容室41に収容されるものを例示したが、端子10および端子10の数に対応して設けられる端子収容室41の数は6つに限らず1つ以上であればよい。
【0019】
まず、端子10について説明する。
端子10は、図2に示すように、電線Wの端末部に防水用のゴム栓Pとともに取り付けられている。
すなわち、端子10は、電線Wの端末部に取り付けられることによって端子付き電線90の一部を構成している。
この端子10は、相手端子C(図7参照)が接続される部分となる相手端子接続部11と、電線Wに接続される部分となる電線接続部15と、相手端子接続部11と電線接続部15との間を連結する連結部16と、を有する。
【0020】
相手端子接続部11は、底壁12と、一対の側壁13、13と、天井壁14とを有し、隣り合う壁が略直角に屈曲された4角筒状をなしている。
この相手端子接続部11は、筒内に相手端子Cが挿入されることによって相手端子と接続されるようになっている。
【0021】
底壁12は、内面に相手端子Cに接続される部分となる弾性接触片12aが設けられ、外面に端子収容室41に設けられた弾性係止片42の先端部周辺が入り込む切欠き部12bと、切欠き部12bの前側の内縁面12bbに連続した後端面12ccを形成された係止突起12cと、が設けられている。
【0022】
係止突起12cは、図6(c)に示すように、後端面12ccが、端子10が端子挿入口41a(図4参照)側に移動された場合に、切欠き部12bに入り込んだ弾性係止片42の先端部周辺に当接される面を切欠き部12bの前側の内縁面12bbに加えてさらに拡大させる面になっている。
【0023】
一対の側壁13、13には、各側壁13の側面に突設された一対のガイド突起20、20が設けられている。
【0024】
ガイド突起20は、天井壁14寄りとなる側壁13の上部に端子10の挿入方向Dに平行な上側被ガイド面21および下側被ガイド面22が上下の面として形成され、かつ、外形円弧状に突出されている。
このガイド突起20は、端子収容室41への端子10の挿入方向Dで切欠き部12bが形成された領域に設けられている。
【0025】
天井壁14は、外面が平面であり、端子収容室41の弾性係止片42が設けられた内壁面41cに対向する対向内壁面41eに当接し易いようになっている。
【0026】
次に、コネクタハウジング30について説明する。
コネクタハウジング30は、絶縁性の合成樹脂材からなり、6つの端子収容室41が設けられた矩形ブロック状の端子収容部40と、端子収容部40の相手コネクタとの嵌合側端部外周面との間に間隔をあけて覆うフード部60と、相手コネクタとの嵌合完了状態をロックする嵌合ロック部61と、を有する。
【0027】
端子収容部40は、6つの端子収容室41が2行3列に並んで配置されている。
この端子収容室41は、図4に示すように、端子挿入口41aから相手端子Cが挿入される相手端子挿入口41bまで貫通された空間を形成している。
また、端子収容室41は、端子10の挿入方向Dに直交方向の内部壁面形状が端子10の横断面形状に対応して矩形状をなし、図4中下面側の内壁面41cに弾性係止片42が設けられている。
【0028】
弾性係止片42は、端子収容室41の下面側の内壁面41cに固定端が設けられ、端子10と係止される部分となる自由端が先端を斜め前方に向けた状態で弾性的に中立位置になるように端子収容室41の内壁面41cに突設されている。
【0029】
また、端子収容室41は、両側部の内壁面41d、41dに端子10の一対のガイド突起20、20の各ガイド突起20をガイドする一対のガイド溝50、50が設けられている。
【0030】
一対のガイド溝50、50は、端子10を端子収容室41の弾性係止片42が設けられた内壁面41cに対向する対向内壁面41eに対して隙間を空けた位置から、弾性係止片42によって係止され、かつ、対向内壁面41eに当接する位置に端子収容室41内への挿入方向Dに沿ってガイドするようになっている。
【0031】
各ガイド溝50は、端子収容室41への端子10の挿入方向Dで、端子挿入口41aから端子収容室41の内方に向けて直線状に形成された溝である。
【0032】
このガイド溝50は、図5に示すように、溝深さがガイド突起20の高さよりも深くなる位置に溝底面51が形成され、溝の幅方向の上下で向かい合う上側ガイド内縁面52、および、下側ガイド内縁面53が、ガイド突起20をガイドするようになっている。
より具体的には、ガイド溝50は、下側ガイド内縁面53がガイド溝50に嵌め込まれたガイド突起20の下側被ガイド面22と向かい合い、上側ガイド内縁面52がガイド溝50に嵌め込まれたガイド突起20の上側被ガイド面21と向かい合うようになっている。
【0033】
また、ガイド溝50は、端子挿入口41aから一定の幅で形成されている溝幅が、弾性係止片42による係止完了位置周辺で一段幅が狭くなるように形成されている。
より具体的には、ガイド溝50は、上側ガイド内縁面52が、対向内壁面41eと一定の間隔をあけて端子挿入口41aから溝終端まで直線状に設けられている。
【0034】
また、ガイド溝50は、下側ガイド内縁面53が、端子挿入口41aから弾性係止片42による係止完了位置周辺まで溝幅が大きい区間L1(以下、「溝幅大区間」という。)を形成し、係止完了位置周辺で溝幅が一段小さく変化されて溝終端まで溝幅が小さい区間L2(以下、「溝幅小区間」という。)を形成するように端子10の挿入方向Dに向けて上り傾斜状のガイド傾斜面53aが形成されている。
【0035】
ガイド溝50は、溝幅小区間L2では溝幅がガイド突起20の厚さより僅かに大きい幅に設定されている。
【0036】
このような一対のガイド溝50、50は、端子10の一対のガイド突起20、20が嵌め込まれた状態で、端子挿入口41aから弾性係止片42による係止完了位置周辺までは天井壁14の外面14aが端子収容室41の対向内壁面41eとの間に隙間がある状態で端子10をガイドし、係止完了位置周辺で天井壁14の外面14aが端子収容室41の対向内壁面41eに当接されるように端子10をガイドするようになっている。
【0037】
なお、溝幅小区間L2に配置された端子10は、一対のガイド突起20の下側被ガイド面22が各ガイド溝50の下側ガイド内縁面53によって天井壁14の外面14aを対向内壁面41eに当接させる力を受けることによって、対向内壁面41eと一対の下側ガイド内縁面53との間に挟まれた状態になり、係止完了位置にガタツキなく安定的に保持されるようになっている。
しかも、溝幅小区間L2に配置された端子10は、一対のガイド突起20を介して、天井壁14の外面14aという広い範囲を対向内壁面41eに当接させることができるので、高い安定度で係止完了位置に保持されるようになっている。
【0038】
また、各ガイド溝50が溝幅小区間L2では溝幅が各ガイド突起20の厚さより僅かに大きい幅に設定されているので、各ガイド突起20が各ガイド溝50の上側ガイド内縁面52と下側ガイド内縁面53との間に挟まれた状態になっている。
このため、溝幅小区間L2に配置された端子10は、係止完了位置で安定的に保持されるようになっている。
【0039】
スペーサ70は、コネクタハウジング30とは別部品として構成され、コネクタハウジング30に設けられた端子収容室41に通じる開口を通して装着されることによって、端子収容室41内に収容された各端子10を係止するようになっている。
すなわち、スペーサは、端子収容室41に設けられた弾性係止片42と合わせて端子10を係止する2重係止の機能をなしている。
【0040】
シールリング80は、ゴム等の環状弾性材からなり、端子収容部40の基端位置に固定される。
【0041】
次に、端子10を端子収容室41にセットする手順を端子10が一対のガイド溝50、50によって弾性係止片42による係止完了位置にガイドされる様子を含めて説明する。
まず、作業者は、一対のガイド溝50、50に端子10の一対のガイド突起20、20を嵌め込みつつ端子挿入口41aに端子10を挿入する。
【0042】
その後、作業者は、端子収容室41の内方に向けて端子10を押し込むと、端子10は、端子挿入口41aから弾性係止片42による係止完了位置に向けて、一対のガイド溝50、50の溝幅大区間L1に沿って移動される(図6(a)参照)。
このように、端子10は、溝幅大区間L1を移動している間は、天井壁14の外面14aが端子収容室41の対向内壁面41eとの間に隙間Sがある状態で移動しているため、挿入抵抗を小さく抑えた状態で端子収容室41内を一対のガイド溝50、50にガイドされながら移動する。
【0043】
作業者が、端子10を端子収容室41の内方に向けてさらに押し込むと、端子10は、弾性係止片42に接触し、弾性接触片42が弾性変形して撓むことによって受ける反力によって上方に押し上げられた状態で移動(図6(b)参照)する。このような状態で端子10が係止完了位置周辺に到達されると、弾性係止片42が端子10の切欠き部12b内に入り込み、弾性係止片42によって端子10が係止された状態になる。
【0044】
作業者は、端子10を弾性係止片42によって端子10が係止された状態からさらにオーバーストローク分の距離Aだけ内方に移動し、端子10の先端面が端子収容室41の終端面となる内壁面に突き当たるまで端子収容室41内に押し込むと、端子10が端子収容室41内にセット完了される(図6(c)参照)。
この端子10を端子収容室41に押し込む作業では、一対のガイド突起20、20がガイド傾斜面53aにガイドされて、端子10が一対のガイド溝50、50の溝幅大区間L1から溝幅小区間L2に移動位置される。
このため、端子10は、天井壁14の外面14aを端子収容室41の対向内壁面41eに当接させた状態、すなわち、弾性係止片42が設けられた端子収容室41の内壁面41cに対向する対向内壁面41eに天井壁14の外面14aを当接させた状態で弾性係止片42に係止される。
なお、コネクタ1は、図6(c)に示すように、端子10が端子収容室41内にセット完了された状態で、端子10の一対のガイド突起20、20が溝幅小区間L2の各ガイド溝50内にある部分の距離Bがオーバーストローク分の距離Aよりも大きくなるように設定されている。
このように距離Bを設定することによって、端子10が、図6(c)中、矢印F方向に引っ張られることによって、矢印F方向にオーバーストローク分の距離Aだけ移動した場合であっても、一対のガイド突起20、20を幅小区間L2の各ガイド溝50内に保持することができるようになっている。
【0045】
このようにして、端子10が対向内壁面41eに天井壁14の外面14aを当接させた状態で係止されると、図7に示すように、端子収容室41の相手端子挿入口41bから挿入された相手端子Cの挿入方向前方側には端子10の相手端子挿入口12dの開口を構成する天井壁14が干渉されないようになっている。
このため、相手端子Cは、端子10にぶつかることなく端子10との接続部分まで挿入される。
【0046】
本発明の実施例に係るコネクタ1は、端子10に設けた一対のガイド突起20、20をコネクタハウジング30に設けた一対のガイド溝50、50によってガイドして端子収容室41内への挿入方向Dに沿って移動することによって、端子10を端子収容室41の弾性係止片42が設けられた内壁面41cに対向する対向内壁面41eに対して対向内壁面41eに向かい合う端子10の一面14aとの間に隙間を空けた位置から、弾性係止片42によって係止され、かつ、一面14aが対向内壁面41eに当接する位置に配置される。このため、端子10は、一対のガイド突起20、20を介して、一面14aという広い範囲を対向内壁面41eに当接させることができるので、ガタツキのない高い安定度で係止完了位置に保持される。これにより、端子収容室41の相手端子挿入口41bから挿入された相手端子Cの挿入方向前方側には端子10の相手端子挿入口12dを構成する壁が干渉されず、相手端子Cは、端子10にぶつかることなく端子10との接続部分まで挿入される。従って、本発明の請求項1に係るコネクタ1は、コネクタハウジング30に別部品を追加することなく端子収容室41内での端子10のガタツキを確実に抑え、端子10の損傷を防ぐことができる。
【0047】
また、本発明の実施例に係るコネクタ1は、一対のガイド突起20、20の上側被ガイド面21および下側被ガイド面22が端子10の挿入方向に平行な面に形成されている。また、一対のガイド溝50、50の上側ガイド内縁面52が端子収容室41の端子挿入口41aから溝終端まで直線状に設けられている。さらに、一対のガイド溝50、50の下側ガイド内縁面53に傾斜状のガイド傾斜面53aが形成されることによって溝幅大区間L1と、係止完了位置周辺で溝幅が一段小さく変化された溝幅小区間L2とが形成され、端子10が一対のガイド溝50、50の溝幅小区間L2で弾性係止片42によって係止され、かつ、一面14aが対向内壁面41eに当接されるようにしている。このため、本発明の実施例に係るコネクタ1は、簡易な構成でコネクタハウジング30に別部品を追加することなく端子収容室41内での端子のガタツキを確実に抑え、端子10の損傷を防ぐことができる。
【0048】
また、本発明の実施例に係るコネクタ1は、一対のガイド溝50、50が溝幅小区間L2での溝幅が一対のガイド突起20、20の厚さよりも僅かに大きい幅であるので、一対のガイド突起20、20が各ガイド溝50の上側ガイド内縁面52と下側ガイド内縁面53との間に挟まれた状態になっている。このため、本発明の実施例に係るコネクタ1は、端子10を係止完了位置でより安定的に保持することができる。
(変形例)
【0049】
次に、図8を用いて、本発明の実施例に係る端子10の変形例について説明する。
図8は、変形例の端子17を説明するための図ある。
この変形例の端子17は、一対のガイド突起23、23の下面の先端部分がR状に形成されている点で、実施例の端子10と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0050】
この変形例の端子10は、一対のガイド突起23、23の下側被ガイド面24の先端部分24aがR状に形成されているので、一対のガイド溝50、50のガイド傾斜面53aになめらかに摺接されながら溝幅大区間L1から溝幅小区間L2に移動することができる。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 コネクタ
10、17 端子
11 相手端子接続部
12 底壁
12a 弾性接触片
12b 切欠き部
12bb 内縁面
12c 係止突起
12cc 後端面
12d 相手端子挿入口
13 側壁
14 天井壁
14a 外面(一面)
15 電線接続部
16 連結部
20、23 ガイド突起
21 上側被ガイド面
22、24 下側被ガイド面
24a 先端部分
30 コネクタハウジング
40 端子収容部
41 端子収容室
41a 端子挿入口
41b 相手端子挿入口
41c、41d 内壁面
41e 内壁面(対向内壁面)
42 弾性係止片
50 ガイド溝
51 溝底面
52 上側ガイド内縁面
53 下側ガイド内縁面
53a ガイド傾斜面
60 フード部
61 嵌合ロック部
70 スペーサ
80 シールリング
90 端子付き電線
C 相手端子
W 電線
P ゴム栓
L1 溝幅が大きい区間
L2 溝幅が小さい区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8