(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建設現場の第1の地表から構造体を支持する基礎の下端までの深さを含む設計情報と、ユーザによって指定される土の入れ替えを行う際に前記建設現場から除去される前記土の前記第1の地表からの深さと、を取得する取得部と、
前記第1の地表から前記基礎の下端までの深さが、前記第1の地表から前記土が除去されたときの前記建設現場の第2の地表までの深さよりも浅い前記基礎を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記基礎を表示する表示部と、
を備える設計支援装置。
前記種別選択工程において、前記設計情報で指定されている基礎の種別がスリーパータイプ基礎工事である場合で、土の入れ替えを行う際に前記建設現場から除去される前記土の前記第1の地表からの深さに対応させてスリーパータイプ基礎の基礎上部を延長するとスリーパータイプ基礎を補強する必要がある場合、前記表示部が、前記第2の表示工程において、前記第2の地表から土を埋め戻す地表まで捨コンを充填し、前記捨コンによってスリーパータイプ基礎を支持する追加基礎工事を表示する、
請求項5に記載の設計支援方法。
前記種別選択工程において、前記設計情報で指定されている基礎の種別がスリーパータイプ基礎工事である場合で、土の入れ替えを行う際に前記建設現場から除去される前記土の前記第1の地表からの深さに対応させてスリーパータイプ基礎の基礎上部を延長してもスリーパータイプ基礎を補強する必要がない場合、前記表示部が、前記第2の表示工程において、前記除去される前記土の前記第1の地表からの深さに対応させてスリーパータイプ基礎の基礎上部を延長する追加基礎工事を表示する、
請求項5に記載の設計支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る設計支援装置は、建設現場の土の入れ替えに伴う追加基礎工事の検討に使用する装置である。
【0009】
設計支援装置10は、物理的には、
図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶部12、補助記憶部13、表示部14、入力部15を有するコンピュータである。
【0010】
CPU11は、補助記憶部13に記憶されているプログラムに従って、後述する処理を実行する。
【0011】
主記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等を有している。主記憶部12は、CPU11の作業領域として用いられる。
【0012】
補助記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリを有している。補助記憶部13は、CPU11が実行するプログラム、及び各種パラメータなどを記憶している。また、補助記憶部13は、建設対象である基礎および構造体の三次元図面情報(設計情報)を記憶する。
図2は、建設する基礎および構造体の平面図の一部である。構造体とは、建設対象の建物部分である。基礎とは、建設対象の建物部分を支持する基礎部分である。この三次元図面情報は、建設物の構造、荷重、地盤強度等に基づいて設計者が設計した基礎および構造体の平面寸法、断面寸法、各基礎および構造体の位置情報が含まれている。
【0013】
位置情報とは、基準面(第1の地表)から複数の基礎のそれぞれの下端まで、および複数の構造体のそれぞれの下端までの深さもしくは高さの情報である。基準面とは、設計の基準となる任意の標高で定義された地表ある。実際の建設現場の地表には高低差がある。場所によって基準となる地表の標高が異なっていると図面上の高さの定義が複雑になる。そこで、任意の高さを基準にして基礎の設計が行われることが一般的である。ここで、基準面とする地表をGL1(第1の地表)とする。また、土を除去した後の地表をGL2(第2の地表)とする。各基礎および構造体の位置情報は、例えば、(GL1+1.5m)、(GL1−0.5m)のようにGL1を基準にして記載されている。土を埋め戻した後の地表は、GL1であるとする。
【0014】
ここで、ユーザによって指定される土の入れ替えを行う際に建設現場から除去される土の基準面GL1(第1の地表)からの深さをLとする。除去される土の深さLは、GL1を基準とする深さである。したがって、元の地表が(GL1+1m)であり、除去する土の深さLが1mである場合、実際に除去される土の深さは2mとなる。元の地表が(GL1−0.6m)であり、除去する土の深さLが1mである場合、実際に除去される土の深さは0.4mとなる。
【0015】
また、三次元図面情報には、GL1(第1の地表)を基準にして設計された基礎工事の種別が含まれている。基礎工事の種別とは、基礎工事の内容を規定するものである。ここでは、基礎工事の種別を
図3に示す杭基礎、マットタイプ基礎、スリーパータイプ基礎、ピット・トレンチタイプ基礎の4種類として以下説明する。杭基礎は、主に軟弱な地盤における構造体の建設において、浅い基礎では構造体を支持することができない地盤の場合に、深く杭を打ち込み、構造体を支持する場合に選択される。マットタイプ基礎は、べた基礎を改良したもので、地盤がそれほどよく無い場合に、鉄筋を入れて作られる平たい基礎である。スリーパータイプ基礎は、逆T字型の基礎である。水道やガス等の管路等を地表から浮かせて設置する場合に選択される。ピット・トレンチタイプ基礎は、溝・堀型の基礎である。水道やガス等の管路を地中に埋めて設置する場合などに選択される。また、補助記憶部13は、
図3に示すように、基準面GL1を基準に設計された基礎工事の種別に対応する土の入れ替えに伴う追加基礎工事の種別を記憶している。
【0016】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示ユニットを有している。表示部14は、CPU11の処理結果等を表示する。
【0017】
入力部15は、入力キーや、タッチパネル等のポインティングデバイスを有している。入力部15を介して入力されたユーザの指示は、システムバス16を経由してCPU11に通知される。
【0018】
設計支援装置10のCPU11によって処理される機能の構成を
図4に示す。設計支援装置10は、機能的には、
図4に示すように、取得部51、特定部52、種別選択部53、図面作成部54を備える。
【0019】
取得部51は、GL1(建設現場の第1の地表)から構造体を支持する複数の基礎のそれぞれの下端までの深さを含む三次元図面情報(設計情報)を補助記憶部13から取得する。また、取得部51は、ユーザによって指定される土の入れ替えを行う際に建設現場から除去される土のGL1からの深さLを入力部15から取得する。
【0020】
特定部52は、GL1(第1の地表)から複数の基礎のそれぞれの下端までの深さが、GL1からGL2(土が除去されたときの建設現場の第2の地表)までの深さLよりも浅い基礎を特定する。
【0021】
具体的には、特定部52は、基準面GL1を基準に設計された三次元図面情報に含まれている各基礎について、GL1から各基礎の下端までの深さと除去する土のGL1からの深さLとを比較する。そして、特定部52は、GL2よりも浅い(高い)位置にある基礎を特定し、該当する基礎の三次元図面情報にフラグ情報を追加する。特定部52は、フラグ情報が付加された基礎を表示部14に強調表示する。
図5に強調表示された図面の例を示す。
図5では、基準面GL1を基準に設計された各基礎の下端が土を除去した後の地表GL2よりも浅い位置にある基礎が網掛け表示されている。
【0022】
図4に戻り、種別選択部53は、三次元図面情報に基づいて、特定部52が特定した基礎の種別を選択する。また、種別選択部53は、
図3に示すテーブルに基づいて、GL1を基準に設計された構造体を支持する複数の基礎のそれぞれに対応する追加基礎工事の種別を選択する。三次元図面情報には、GL1を基準に設計されたそれぞれの基礎の基礎工事の種別が含まれている。強調して表示された基礎の何れかをユーザがマウス等でクリック選択すると、種別選択部53は、クリック選択された基礎に係る基礎工事の種別を三次元図面情報に基づいて特定する。そして、種別選択部53は、
図3に示すテーブルを参照して、GL1を基準に設計された基礎工事の種別に対応する土の入れ替えに伴う追加基礎工事の種別を選択する。
【0023】
追加基礎工事の種別の表示例を
図6から
図10に示す。
図6から
図10に例示する表示図形は、予め補助記憶部13に記憶されている図形である。種別選択部53は、
図3に示すテーブルに基づいて、基礎工事の種別に対応する追加基礎工事を表す図形を補助記憶部13から読み出して表示部14に表示する。
【0024】
図5に斜線で強調表示されている基礎の中で、ユーザがクリック選択した基礎を基礎7とする。例えば、ユーザがクリック選択した基礎7の基礎工事の種別が杭基礎であった場合、種別選択部53は、
図6に示すように、追加基礎工事が無い旨を表示する。杭基礎の場合、杭にて基礎を支持しているので、土の入れ替えによる地盤の影響を受けることがなく、追加基礎工事が不要だからである。
【0025】
例えば、ユーザがクリック選択した基礎7の基礎工事の種別がマットタイプ基礎であった場合、種別選択部53は、
図7に示すような図面を表示する。具体的には、種別選択部53は、GL1の高さでマットタイプ基礎1を支持するように、GL2からGL1(正確には、マットタイプ基礎の所定の厚さを除く)まで捨コン2を充鎮する追加基礎工事の図面を表示する。捨コンとは、地盤上に砂利を敷いて平らに仕上げるコンクリートをいう。つまり、深さLの捨コン2の充填が追加基礎工事である。この追加基礎工事では、マットタイプ基礎1の下を捨コン2とすることにより、入れ替えた土の影響を無くすことができる。
【0026】
例えば、ユーザがクリック選択した基礎7の基礎工事の種別がスリーパータイプ基礎であった場合、種別選択部53は、構造検討により追加基礎工事の種別を選択する。土を除去した後においても、スリーパータイプ基礎によって支えられる構造体の高さを土を除去する前と同じ高さにするための追加基礎工事の種別として、2つの追加基礎工事の種別を説明する。一つは、スリーパータイプ基礎の下に捨コン2を充填して高さを調整する
図8に示すスリーパータイプAの追加基礎工事である。二つ目は、スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長して高さを調整する
図9に示すスリーパータイプBの追加基礎工事である。
図9に示すT字状の縦方向に延びる部分が基礎上部4aであり、横方向に延びる部分が基礎下部4bである。スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長した基礎をスリーパータイプ基礎5とする。
【0027】
スリーパータイプ基礎4の下に捨コン2を充填するよりも、スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長した方が、工費が安くなる。しかし、スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長したスリーパータイプ基礎5は、スリーパータイプ基礎4に比べて耐荷重が弱くなるという問題がある。耐荷重が不足する場合、スリーパータイプ基礎5を補強する必要がある。スリーパータイプ基礎5を補強するには、鉄筋サイズを太くしたり鉄筋の本数を増やす必要があるので、工費が高くなる。したがって、補強が必要となる場合、種別選択部53は、スリーパータイプBの追加基礎工事を選択しない。
【0028】
種別選択部53は、
図9に示すように、入れ替える土のGL1からの深さLに対応させてスリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長部分5aだけ延長してスリーパータイプ基礎5とした場合、スリーパータイプ基礎5を補強する必要があるか否かを判断する。具体的には、種別選択部53は、スリーパータイプ基礎5に加わる構造体(建物部分)の荷重を三次元図面情報から取得する。そして、種別選択部53は、スリーパータイプ基礎5の耐荷重(閾値)とスリーパータイプ基礎5に加わる構造体の荷重とを比較する。
【0029】
種別選択部53は、スリーパータイプ基礎5に加わる構造体の荷重が閾値以上である場合、
図8に示すようなスリーパータイプAの追加基礎工事の図面を表示する。種別選択部53は、GL1にてスリーパータイプ基礎4を支持するように、GL2からGL1まで捨コン2を充鎮する追加基礎工事の図面を表示する。この場合、捨コン2の充填が追加基礎工事である。スリーパータイプAの追加基礎工事では、スリーパータイプ基礎4の下を捨コン2とすることにより、入れ替えた土の影響を無くすことができる。
【0030】
一方、種別選択部53は、スリーパータイプ基礎5に加わる構造体の荷重が閾値以下である場合、
図9に示すようなスリーパータイプBの追加基礎工事の図面を表示する。スリーパータイプ基礎5を補強する必要がない場合、基礎上部4aを延長した方が捨コン2を充填するよりも工費が安くなるからである。スリーパータイプBの追加基礎工事では、スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長して網掛けで示す延長部分5aを追加する。スリーパータイプ基礎4は、GL1を基準に設計された基礎部分である。また、スリーパータイプBの追加基礎工事では、基礎下部4bの下にベース部分5bとして捨コン2の追加基礎工事を行うようにしてもよい。スリーパータイプBの追加基礎工事では、スリーパータイプ基礎5で構造体を支持するので、入れ替えた土の影響を無くすことができる。
【0031】
また、ユーザがクリック選択した基礎7の基礎工事の種別がピット・トレンチタイプ基礎6であった場合、種別選択部53は、
図10に示すような追加基礎工事の図面を表示する。具体的には、種別選択部53は、
図10に示すように、土を入れ替えた後の地表にピット・トレンチタイプ基礎6が埋まる高さまで捨コン2を充填し、捨コン2によってピット・トレンチタイプ基礎6を支持する追加基礎工事の図面を表示する。つまり、捨コン2の充填が追加基礎工事である。この追加基礎工事では、ピット・トレンチタイプ基礎6の下を捨コン2とすることにより、入れ替えた土の影響を無くすことができる。
【0032】
図4に戻り、図面作成部54は、
図7から
図10に示した図面に、追加基礎工事に必要な寸法を追加した図面を作成する。具体的には、図面作成部54は、
図7から
図10に示す図面に、ユーザによって指定される土の入れ替えを行う際に除去される土のGL1からの深さL、三次元図面情報に含まれる基礎の形状寸法等を盛り込んだ工事断面図、平面図等を作成する。そして、図面作成部54は、作成した図面を表示部14に表示する。
【0033】
次に、上述のように構成される設計支援装置10の動作について、図面を参照して説明する。
【0034】
図11のフローチャートは、CPU11によって実行されるプログラムの一連の処理アルゴリズムに対応している。
図11のフローチャートに示される一連の図面作成処理は、例えば、ユーザが本実施形態に係る設計支援装置10のソフトウエアを起動することにより実行される。
【0035】
ユーザは、本実施形態に係る設計支援装置10のソフトウエアを起動すると、ソフトウエアの指示に従って建設対象の三次元図面情報を指定する。CPU11は、ユーザが指定した三次元図面情報を補助記憶部13から取得する(ステップS101)。CPU11は、取得した三次元図面情報から基準面とされている地表の高さGL1を取得する(ステップS102)。ユーザがソフトウエアの画面指示に従って入れ替える土のGL1からの深さLを入力すると、取得部51は、その深さLを取得する(ステップS103)。次に、CPU11は、土を除去した後の地表GL2を算出する(ステップS104)。具体的には、CPU11は、GL2=GL1−Lの計算を行う。
【0036】
次に、CPU11は、三次元図面情報の各基礎について、GL1から各基礎の下端までの深さと入れ替える土のGL1からの深さLとを比較し、GL2より浅い位置にある基礎を特定する。そして、CPU11は、
図5に示すように、土の入れ替えに伴って基礎工事の再検討が必要となる基礎をユーザが認識しやすいようにハイライト表示する(ステップS105)。
図5に示す例では、該当する基礎を網掛け表示しているが、カラー表示するようにしてもよい。また、CPU11は、特定した基礎のみを表示してもよい。
【0037】
このハイライト表示された基礎の何れかをユーザがクリック選択すると、CPU11は、三次元図面情報に基づいて、クリック選択された基礎に係る基礎工事の種別を特定する(ステップS106)。例えば、CPU11は、杭基礎、マットタイプ基礎、スリーパータイプ基礎、ピット・トレンチタイプ基礎のように特定する。
【0038】
次に、CPU11は、種別選択部53にて、土の入れ替えに伴って必要となる追加基礎工事の種別を選択する(ステップS107)。追加基礎工事の種別選択処理については、
図12を参照して説明する。
【0039】
追加基礎工事の種別選択処理が開始されると、CPU11は、ステップS106の処理で特定した基礎工事の種別が、杭基礎であるか否かを判別する(ステップS201)。CPU11は、特定した基礎工事の種別が杭基礎であった場合(ステップS201:Yes)、
図6に示すように追加基礎工事がない旨の表示を行う(ステップS202)。
【0040】
CPU11は、特定した基礎工事の種別が杭基礎でない場合(ステップS201:No)、ステップS106の処理で特定した基礎工事の種別が、マットタイプ基礎であるか否かを判別する(ステップS203)。CPU11は、特定した基礎工事の種別がマットタイプ基礎であった場合(ステップS203:Yes)、
図7に示すようにマットタイプ基礎1の下に捨コン2を充填する追加基礎工事の表示を行う(ステップS204)。
【0041】
CPU11は、特定した基礎工事の種別がマットタイプ基礎でない場合(ステップS203:No)、ステップS106の処理で特定した基礎工事の種別が、スリーパータイプ基礎であるか否かを判別する(ステップS205)。CPU11は、特定した基礎工事の種別がスリーパータイプ基礎であった場合(ステップS205:Yes)、入れ替える土のGL1からの深さLだけスリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長したスリーパータイプ基礎5にすると、スリーパータイプ基礎5の補強が必要になるか否かを判断する(ステップS206)。スリーパータイプ基礎5の補強とは、鉄筋の太さを太くしたり、鉄筋の本数を増加したりして、耐荷重を増加することを言う。スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長したスリーパータイプ基礎5にすると、スリーパータイプ基礎5の補強が必要になる場合(ステップS206:Yes)、CPU11は、
図8に示すようにスリーパータイプ基礎4の下に捨コン2を充填するスリーパータイプAの追加基礎工事の表示を行う(ステップS207)。一方、スリーパータイプ基礎4の基礎上部4aを延長してもスリーパータイプ基礎5の補強を必要としない場合(ステップS206:No)、CPU11は、
図9に示すように基礎上部4aを延長するスリーパータイプBの追加基礎工事の表示を行う(ステップS208)。この時、スリーパータイプ基礎4の下のベース部分5bに捨コン2を充填する追加基礎工事の表示を行ってもよい。
【0042】
一方、CPU11は、特定した基礎工事の種別がスリーパータイプ基礎でない場合(ステップS205:No)、ステップS106の処理で特定した基礎工事の種別が、ピット・トレンチタイプ基礎であるか否かを判別する(ステップS209)。CPU11は、特定した基礎工事の種別がピット・トレンチタイプ基礎であった場合(ステップS209:Yes)、
図10に示すようにピット・トレンチタイプ基礎6の下に捨コンを充填する追加基礎工事の表示を行う(ステップS210)。CPU11は、特定した基礎工事の種別がピット・トレンチタイプ基礎でない場合(ステップS209:No)、処理を終了する。
【0043】
図11に戻り、CPU11は、種別選択処理が終わると、図面作成処理を行う(ステップS108)。具体的には、CPU11は、
図7から
図10に示す追加基礎工事の種別を示す図面に、入れ替える土のGL1からの深さL等の数値等を追加した工事断面図、平面図等を作成し、表示部14に表示する。
【0044】
以上に説明したように、本実施形態に係る設計支援装置10は、GL1から基礎の下端までの深さが、GL1からGL2までの深さよりも浅い基礎を特定し、GL2よりも浅い位置にある基礎を強調表示する。これにより、土の入れ替えに伴う追加基礎工事の検討を必要とする基礎を見やすく表示することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る設計支援装置10は、強調表示された基礎の何れかをユーザが指定すると、ユーザが指定した基礎の三次元図面情報に含まれている基礎工事の種別を表示する。これにより、ユーザは、土の入れ替えに伴って追加検討する必要がある基礎について、GL1を基準に設計された基礎の種別を容易に把握することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る設計支援装置10は、強調表示された基礎の何れかをユーザが指定すると、ユーザが指定した基礎の三次元図面情報に含まれている基礎工事の種別に基づいて、指定された基礎の追加基礎工事の種別を選択して表示する。これにより、建設現場の土の入れ替えに伴う基礎工事の再検討の手間を軽減することができる。したがって、工期の遅延を防止することができる。また、建設現場の土を入れ替えた後の地耐力の再測定を省略することができる。
【0047】
なお、上記の説明では、基礎工事の種別が
図3に示した4種類の場合について説明したが、基礎工事の種別を4種類に限定する必要はない。種別の種類を増やしてもよいし減らしてもよい。また、基礎工事の種別も
図3に示した種別に限定する必要はない。また、追加基礎工事の内容も
図6から
図10に示した内容に限定する必要はない。基礎工事の種別と追加基礎工事の内容とが対応付けられていればよい。
【0048】
また、上記の説明では、特定部52がGL2よりも浅い位置にある基礎を特定して強調表示する場合について説明した。しかし、強調表示の内容はこれに限定する必要はない。例えば、GL2よりも浅い位置にある基礎およびその基礎の上に建設する構造体を特定して強調表示するようにしてもよい。
【0049】
また、上記の説明では、種別選択部53が追加基礎工事の種別の選択結果を表示部14に表示する説明をしたが、種別選択部53による表示を省略し、図面作成部54が作成した寸法が含まれている図面のみを表示するようにしてもよい。
【0050】
また、
図11及び
図12に示したフローチャートは一例であり、処理順序等を限定するものではない。例えば、ステップS201,S203,S205,S209の判断順序を変更してもよい。
【0051】
また、上記の説明では、スリーパータイプ基礎に対応する追加基礎工事をスリーパータイプAとスリーパータイプBに分類して説明をした。しかし、スリーパータイプBの追加工事を無くして、
図8に示すスリーパータイプAの追加工事のみにしてもよい。
【0052】
また、上記の説明では、土を埋め戻した後の地表がGL1である場合について説明したが、埋め戻した後の地表がGL1でなくてもよい。この場合、
図7、
図8、
図10を用いて説明した捨コンを充填する深さは、GL2から埋め戻した後の地表までとなる。つまり、基礎が埋め戻した土によってではなく捨コンによって支持されるようにする。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。