(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記先端剥離部(31A)と前記中間粘着部(41A)との境界線は、前記粘着テープの幅方向両側から中央に向かって前記粘着テープの先端側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
前記剥離部は、前記中間粘着部(42A)を挟んで前記粘着テープの幅方向両側に対応した位置で前記先端剥離部と前記基端剥離部とに連接された前記塗膜を有する一対の中間剥離部(32C)を更に含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。また、本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、各図は、必ずしも正確なものではなく、本発明の実施形態に係る包装箱等のおおよその形状を模式的に示している。
【0016】
[包装箱の概要]
図1および
図2を参照して、包装箱1の構成について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、包装箱1は略直方体状に形成されている。包装箱1は、略角筒状の周壁1Wの上面および下面を閉塞して封緘されるA式の箱である。包装箱1の内部には、所定の商品(図示せず)が収容されるようになっている。
【0018】
包装箱1は、
図2に示すブランク5を組み立てることで形成される。ブランク5は、一枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜くことで形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの両側に表ライナ9Bと裏ライナ9Cとを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、
図2は、主に表ライナ9B側(包装箱1の外面側)を示している。本明細書では、段ボールの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向(中しん9A)に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0019】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク5は、一対の側壁10と、一対の端壁11と、継代片12と、一対の上内フラップ13と、一対の上外フラップ14と、一対の下内フラップ15と、一対の下外フラップ16と、を含んでいる。
【0020】
一対の側壁10と一対の端壁11とは、流れ方向に交互に一列に並べられ、縦罫線L1を介して互いに連接されている。端壁11および側壁10は、それぞれ、段方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。端壁11は、側壁10よりも流れ方向に幅狭く形成されている。継代片12は、縦罫線L1を介して側壁10の流れ方向他端部に連なった状態に設けられている。
【0021】
上内フラップ13は、横罫線L2を介して端壁11の段方向一端部(上端部)に連なった状態に設けられている。上内フラップ13は、略長方形状に形成されている。上内フラップ13の段方向の寸法(延出寸法)は端壁11の流れ方向の寸法の略半分に設定され、上内フラップ13の流れ方向の寸法は端壁11の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。
【0022】
上外フラップ14は、横罫線L2(折曲線)を介して側壁10の段方向一端部(上端部)に連なった状態に設けられている。上外フラップ14は、略長方形状に形成されている。上外フラップ14の段方向の寸法(延出寸法)は上内フラップ13の延出寸法と略同一に設定され、上外フラップ14の流れ方向の寸法は側壁10の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。
【0023】
下内フラップ15は、横罫線L2を介して端壁11の段方向他端部(下端部)に連なった状態に設けられている。下外フラップ16は、横罫線L2を介して側壁10の段方向他端部(下端部)に連なった状態に設けられている。下内フラップ15は上内フラップ13と略同一形状に形成され、下外フラップ16は上外フラップ14と略同一形状に形成されている。
【0024】
なお、縦罫線L1および横罫線L2は、それぞれ、段ボールシートの裏ライナ9C側から押し入れられた汎用罫線である。詳細は後述するが、一対の端壁11と一対の側壁10とが縦罫線L1で略直角に折り曲げられると、略角筒状の周壁1Wが形成される(
図1参照)。周壁1Wは、上端面に一対の上開口部1Uを有し、下端面に下開口部1Dを有している(
図3参照)。
【0025】
<貼付部>
図2に示すように、一対の端壁11の外面(周壁1Wの側面)には、一対の貼付部20が形成されている。一対の貼付部20には、それぞれ、上開口部1Uを閉塞した一対の上外フラップ14を周壁1Wに固定するための粘着テープTの端部が貼り付けられる(
図1参照)。なお、一対の貼付部20は略同一形状であるため、以下、1つの貼付部20について説明する。
【0026】
貼付部20は、端壁11の段方向一方(上部)且つ流れ方向中央付近に略正方形状に形成されている。貼付部20は、ここに貼付される粘着テープTの端部よりも大きく(広く)形成されている。貼付部20の流れ方向の寸法は、粘着テープTの幅(40〜50mm)よりも広く(長く)、貼付部20の段方向の寸法は、粘着テープTの端部の長さよりも長く設定されている。詳細には、貼付部20は、上内フラップ13との境界(横罫線L2)近傍から段方向他方(下方)に向かって約70mmの範囲、且つ、流れ方向中央から両側に約35mmの範囲に形成されている。なお、貼付部20は、上内フラップ13との境界(横罫線L2)から段方向他方(下方)に数mm〜十数mm程度ずれた位置に形成されている。
【0027】
貼付部20は、剥離部30と、粘着部40と、を含んでいる。剥離部30は、粘着テープTの粘着力を弱める機能を有する塗膜を含んでいる。粘着部40は、貼付部20の全領域のうち剥離部30以外の領域に形成され、塗膜が非形成とされている(除かれている)部分である。
【0028】
剥離部30は、先端剥離部30Aと、基端剥離部30Bと、を含んでいる。先端剥離部30Aおよび基端剥離部30Bは、例えば、シリコーン樹脂を主成分とする液体の離型剤(塗料)を端壁11の外面に塗る(塗工する)ことで形成される塗膜である。なお、塗膜を形成するための離型剤は、シリコーン樹脂系に限らず、例えば、フッ素樹脂系の離型剤等を用いることもできる。つまり、粘着テープTの粘着力を適度に弱めることのできる他の離型剤(塗料)を適宜選択して用いることができる。
【0029】
先端剥離部30Aは、端壁11の段方向中央よりも段方向一方(上方)に形成されている。基端剥離部30Bは、先端剥離部30Aから段方向一方(上方)に離れた位置で、且つ横罫線L2から段方向他方(下方)に僅かにずれた位置に形成されている。先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとは、流れ方向に長い略長方形状に形成されている。先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとは、略同一寸法に形成されている。第1実施形態では、塗膜は、先端剥離部30Aの全領域および基端剥離部30Bの全領域に形成されている。なお、図面では、説明の便宜上、塗膜を形成した部分(離型剤の塗工部分)をハッチングで示し、貼付部20の範囲を破線で示している。
【0030】
粘着部40は、先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとの間に形成されている中間粘着部40Aで構成されている。中間粘着部40Aには塗膜が形成されていないため、中間粘着部40Aは、先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとの間に表ライナ9Bを露出させた領域になる。したがって、中間粘着部40Aには、粘着テープTが通常の粘着力によって貼付されることになる。中間粘着部40Aは、先端剥離部30A等と流れ方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。中間粘着部40Aの段方向の寸法は先端剥離部30A等の段方向の寸法よりも短く設定されている。中間粘着部40Aの面積は、貼付部20の全面積の約15%に設定されている。なお、「通常の粘着力」とは、コーティング等されていない通常の段ボールシート等に粘着テープTを貼り付けた場合における粘着力を意味する。
【0031】
ところで、段ボールシートは、コルゲータ(図示せず)と呼ばれる装置を用いて段ボール原紙の貼合工程を実行することによって製造される。コルゲータは、中しん9Aを流れ方向に進行させながら、その中しん9Aの両側にライナ9B,9Cを貼り付ける。また、コルゲータは、流れ方向に延びた横罫線L2を形成し、流れ方向に連続する段ボールシートを所定長さに裁断する。
【0032】
また、上記したブランク5(包装箱1)は、フレキソフォルダーグルア(図示せず)と呼ばれる装置によって製造される。フレキソフォルダーグルア(以下、「FFG」ともいう。)は、段ボールシートに対し、フレキソインキ等を用いた印刷、刃物(切刃、押刃等)や抜型を用いた罫線入れ、溝切りおよび打抜き、接着剤を用いた接合等を連続して行う装置である。また、FFGは、離型剤(塗料)を用いて各端壁11に先端剥離部30Aおよび基端剥離部30B(剥離部30)を印刷(塗工)する。なお、中間粘着部40A(粘着部40)には離型剤は塗布されない。また、FFGは、上方のフラップ13,14および下方のフラップ15,16等を形成すると共に、段方向に延びた縦罫線L1等を形成する。さらに、FFGは、側壁10と端壁11とを縦罫線L1に沿って折り曲げ、継代片12を反対側の端壁11の内面に接着剤で接着して、折り畳まれた状態の包装箱1を製造する。なお、接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤、合成樹脂系エマルジョン接着剤または両面テープ等を用いることができる。
【0033】
[包装箱の組立]
次に、
図1および
図3を参照して、商品を収容するために包装箱1を組み立てる工程(組立作業)について説明する。
図3は包装箱1の組み立て過程を示す斜視図である。なお、包装箱1は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機によって自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、作業者が包装箱1を組み立てる場合について説明する。
【0034】
まず、作業者は、一対の端壁11と一対の側壁10とを縦罫線L1で略直角に折り曲げる。すると、
図3に示すように、一対の側壁10は前後方向に対向し、一対の端壁11は左右方向に対向し、上下両端面に開口部1U,1Dを有する略角筒状の周壁1Wが形成される。また、一対の上内フラップ13と一対の上外フラップ14とは、それぞれ、上開口部1Uを挟んで対向する周壁1Wの端部に横罫線L2を介して連接されている。また、一対の下内フラップ15と一対の下外フラップ16とは、それぞれ、下開口部1Dを挟んで対向する周壁1Wの端部に横罫線L2を介して連接されている。
【0035】
次に、作業者は、下内フラップ15を横罫線L2で内向きに折り曲げた後、下外フラップ16を横罫線L2で内向きに折り曲げる。一対の下外フラップ16は、一対の下内フラップ15の下に重ねられ、その先端部を前後方向略中央で突き合わせて下開口部1Dを閉塞する。作業者は、一対の下外フラップ16の突き合わせ部分に沿って粘着テープTを貼り付ける。粘着テープTは、当該突き合わせ部分の左右方向両端で上方に折り曲げられて、一対の端壁11の外面に貼り付けられる。以上によって、一対の下外フラップ16が粘着テープTを介して周壁1Wの側面に固定され、包装箱1の底面が形成される。
【0036】
次に、作業者は、周壁1Wの上面開口から包装箱1の内部に商品を入れる。続いて、作業者は、上内フラップ13を横罫線L2で内向きに折り曲げた後、上外フラップ14を横罫線L2で内向きに折り曲げる。一対の上外フラップ14は、一対の上内フラップ13の上に重ねられ、その先端部を前後方向略中央で突き合わせて上開口部1Uを閉塞する。
図1に示すように、作業者は、一対の上外フラップ14の突き合わせ部分に沿って粘着テープTを貼り付ける。粘着テープTは、当該突き合わせ部分の左右方向両端で下方に折り曲げられて、一対の端壁11の貼付部20に貼り付けられる。以上によって、一対の上外フラップ14が粘着テープTを介して周壁1Wの側面に固定され、包装箱1の天面が形成される。
【0037】
この状態で、上下に2組設けられた一対の外フラップ14,16が上下一対の開口部1U,1Dを閉塞している。一対の上外フラップ14に貼付された粘着テープTの端部は、基端剥離部30B、中間粘着部40Aおよび先端剥離部30Aに亘って貼り付けられる(
図1参照)。すなわち、先端剥離部30Aは、粘着テープTの最先端付近に対応して形成されている。基端剥離部30Bは、上外フラップ14の近傍となる粘着テープTの基端付近に対応して形成されている。粘着テープTの端部は、基端剥離部30Bおよび先端剥離部30Aに対して通常よりも弱い粘着力をもって貼付され、中間粘着部40Aに対して通常の粘着力をもって貼付されている。なお、粘着テープTの最先端付近とは、貼付部20に貼付された粘着テープTの長さ方向中央よりも先端側(下側)を意味し、粘着テープTの基端付近とは、貼付部20に貼付された粘着テープTの長さ方向中央よりも基端側(上側(横罫線L2よりも下方に数mm〜十数mm程度ずれた部分を除く。))を意味している。
【0038】
以上によって、包装箱1の組立作業が完了し、包装箱1は封緘された状態になる(
図1参照)。
【0039】
[包装箱の開封]
次に、
図4および
図5を参照して、包装箱1の開封作業について説明する。
図4は包装箱1を第1の方法で開封する場合について説明する断面図である。
図5は包装箱1を第2の方法で開封する場合について説明する断面図である。なお、説明を簡単にするために、主に、1つの貼付部20に貼付された粘着テープTの引き剥がし作業について説明する。
【0040】
封緘された包装箱1は、例えば、天面に貼付された粘着テープTを引き剥がして一対の上外フラップ14等を開くことで開封される(
図3参照)。ここで、ユーザが粘着テープTの引き剥がし作業を開始する方法は2通りある(第1の方法および第2の方法)。
【0041】
図4に示すように、第1の方法として、ユーザは、粘着テープTの最先端部を捲り上げ(
図4の実線矢印参照)、粘着テープTを把持するための手掛かりを作る。粘着テープTの最先端部は貼付部20の先端剥離部30Aに弱い粘着力で貼られているため、ユーザは粘着テープTの最先端部を簡単に捲り上げる(剥がす)ことができる。ユーザは、捲り上げた粘着テープTの最先端部を把持し、粘着テープTを上方に向かって引き剥がす(
図4の二点鎖線矢印参照)。貼付部20に貼られた粘着テープTの端部は中間粘着部40Aを除く部分において弱い粘着力で貼られているため、ユーザは小さな力で粘着テープTの端部を貼付部20から引き剥がすことができる。
【0042】
次に、
図5に示すように、第2の方法として、ユーザは、端壁11の上部において粘着テープTの近傍を押し込み(
図5の実線矢印参照)、粘着テープTと貼付部20(端壁11)との間に隙間を作る。なお、この際、上内フラップ13等も押し込んだ方向にスライドする。ユーザは、その隙間に指を差し込んで手前に引っ張る(
図5の二点鎖線矢印参照)。すると、上外フラップ14(横罫線L2)側の粘着テープTは貼付部20の基端剥離部30Bに弱い粘着力で貼られているため、ユーザは貼付部20に貼られた粘着テープTの根本部を簡単に剥がすことができる。貼付部20に貼られた粘着テープTの端部は中間粘着部40Aを除く部分において弱い粘着力で貼られているため、ユーザは小さな力で粘着テープTを根本部から最先端側に向かって引き剥がすことができる。
【0043】
ユーザは、第1の方法または第2の方法によって粘着テープTの端部を貼付部20から引き剥がした後、その剥がした粘着テープTを把持し、粘着テープTを一対の上外フラップ14から引き剥がす。粘着テープTが一対の端壁11および一対の上外フラップ14から引き剥がされることで、包装箱1が開封される(
図3参照)。
【0044】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、粘着テープTの粘着力を弱める塗膜が貼付部20の一部に形成され、その貼付部20に粘着テープTの端部が貼付されていた。詳細には、塗膜は、貼付部20に貼付された粘着テープTの端部のうち最先端部と根元部(上部)とに対応する領域に形成されていた。この構成によれば、貼付部20から粘着テープTの最先端部を容易に剥がすことができる。他にも、貼付部20の上部近傍が押し込まれることで、貼付部20から粘着テープTの根元部を容易に剥がすことができる。これにより、粘着テープTを剥がす際にユーザが把持する部分(手掛かり)を簡単に作ることができ、包装箱1を容易に開封することができる。また、この包装箱1では、塗膜が上外フラップ14および貼付部20の中間粘着部40Aから省略されていた。この構成によれば、上外フラップ14と中間粘着部40Aとに対して粘着テープTを通常の粘着力をもって貼り付けることができる。これにより、粘着テープTを貼付すべき部分全てに塗膜を形成する場合に比べて、振動や摩擦等によって粘着テープTが意図せず剥がれることを抑制することができる。以上によって、粘着テープTの剥がし易さを確保しながら包装箱1の封緘状態を適切に維持することができる。
【0045】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、中間粘着部40Aの面積が、貼付部20の全面積を100%とした場合の約15%に設定されていた。この構成によれば、粘着テープTが必要以上に剥がれ易くなることを防止することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、
図6を参照して、第2実施形態に係る包装箱1の貼付部21について説明する。
図6は包装箱1の貼付部21を示す側面図である。なお、以降説明する他の実施形態や変形例の説明では、第1実施形態に係る包装箱1の貼付部20と同様または対応する構成については同一の符号を付し、貼付部20と同様または対応する説明は省略する。また、第2実施形態に係る包装箱1には一対の貼付部21が形成されているが、第1実施形態の説明と同様に、1つの貼付部21について説明する。
【0047】
貼付部21の剥離部31は先端剥離部31Aと基端剥離部30Bとを含み、貼付部21の粘着部41は中間粘着部41Aを含んでいる。先端剥離部31Aは、その上部に略V字状の凹みを有している。詳細には、先端剥離部31Aの上辺は、前後方向(幅方向)両端から中央に向かって下方に傾斜して略V字状に形成されている。その結果、中間粘着部41Aは、先端剥離部31Aと基端剥離部30Bとの間において略逆三角形状(正確には略五角形状)に形成されている。
【0048】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱1(貼付部21)では、先端剥離部31Aと中間粘着部41Aとの境界線が、粘着テープTの幅方向両側から中央に向かって粘着テープTの先端側に傾斜していた。すなわち、中間粘着部41Aが粘着テープTを剥がす方向の上流側から下流側に向かって凸となる略V字状に形成されていた。この構成によれば、粘着テープTは中間粘着部41AのV字の先端付近から剥がれ始めるため、引き剥がし作業の開始に必要な力を低減することができる。また、粘着テープTの引き剥がしが進むに連れて粘着テープTと中間粘着部41Aとの境界線が徐々に幅広くなって行くが、剥がされた粘着テープTの面積が増加するため、ユーザは粘着テープTを確りと把持して引き剥がし作業を行うことができる。これにより、粘着テープTに対して剥がす方向の力を有効に伝えることができ、粘着テープTを破損させることなく適切に引き剥がすことができる。
【0049】
なお、第2実施形態に係る包装箱1の貼付部21では、中間粘着部41Aが略逆三角形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。貼付部21の変形例として、例えば、
図7に示すように、基端剥離部31Bの下部に略V字状の凸部が形成されてもよい。その結果、中間粘着部41Aが先端剥離部31Aと基端剥離部31Bとの間において略V字状に形成されてもよい。
【0050】
また、第2実施形態に係る包装箱1の貼付部21では、先端剥離部31Aは、その幅方向両端部を基端剥離部30Bの幅方向両端部から下方に離した位置に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、先端剥離部31Aは、その幅方向両端部を基端剥離部30Bの幅方向両端部に接触する位置に形成されてもよい。
【0051】
[第3実施形態]
次に、
図9を参照して、第3実施形態に係る包装箱1の貼付部22について説明する。
図9は包装箱1の貼付部22を示す側面図である。なお、第3実施形態に係る包装箱1には一対の貼付部22が形成されているが、第1実施形態の説明と同様に、1つの貼付部22について説明する。
【0052】
貼付部22の剥離部32は、先端剥離部30Aと、基端剥離部30Bと、一対の中間剥離部32Cと、を含んでいる。貼付部22の粘着部42は、剥離部32に囲まれている中間粘着部42Aを含んでいる。一対の中間剥離部32Cは、中間粘着部42Aを挟んで粘着テープTの幅方向両側に対応した位置で先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとに連接された塗膜を有している。一対の中間剥離部32Cは、それぞれ、略長方形状に形成され、先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとの間に架設されている。つまり、先端剥離部30A、基端剥離部30Bおよび一対の中間剥離部32Cは、一体となって略矩形環状の塗膜を形成している。中間粘着部42Aは、略矩形環状の塗膜(各剥離部30A,30B,32C)に囲まれて略四角形状に形成されている。
【0053】
以上説明した第3実施形態に係る包装箱1(貼付部22)によれば、中間粘着部42Aの周囲に略矩形環状の塗膜が形成されているため、貼付部22に貼付された粘着テープTの略全周に亘って粘着力を弱めることができる。これにより、ユーザが粘着テープTを剥がすための手掛かり(きっかけ)を更に簡単に作ることができる。
【0054】
なお、第3実施形態に係る包装箱1の貼付部22では、塗膜が略矩形環状に形成され、中間粘着部42Aが略四角形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、環状の塗膜の内側を略円形状(楕円形状や滴型等を含む。以下同じ。)に形成することで、中間粘着部42Aが略円形状に形成されてもよい(図示せず)。
【0055】
また、第3実施形態に係る包装箱1の貼付部22に対して第2実施形態に係る包装箱1の貼付部21の特徴を適用してもよい。つまり、中間粘着部42Aが略逆三角形または略V字状に形成されてもよい。
【0056】
なお、第1〜第3実施形態に係る包装箱1の貼付部20〜22は、一対の上外フラップ14を周壁1Wに固定する粘着テープTを貼り付けるために端壁11の上部に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、貼付部20〜22は、一対の下外フラップ16を周壁1Wに固定する粘着テープTを貼り付けるために端壁11の下部に形成されてもよいし、端壁11の上部と下部の両方に形成されてもよい(図示せず)。
【0057】
[評価試験]
ここで、
図10を参照して、上記した第1〜第3実施形態に係る包装箱1の貼付部20〜22と、比較例に係る貼付部100とを評価するための評価試験について説明する。
図10は、第1〜第3実施形態に係る貼付部20〜22および比較例に係る貼付部100を示す側面図と、その評価試験の結果を示す表である。
【0058】
まず、比較例に係る貼付部100について簡単に説明する。
図10の最上段に示すように、比較例に係る貼付部100は、第3実施形態に係る貼付部22から粘着部42(中間粘着部42A)を省略したものであって、その全領域に略正方形状(約70mm角)の塗膜が形成されている。
【0059】
次に、貼付部20〜22および貼付部100を評価するための評価試験について説明する。評価試験には、輸送テストと、第1の方法による開封テストと、第2の方法による開封テストとが含まれている。輸送テストは、封緘した包装箱1をパレット上に4配2段積みしてストレッチフィルムで巻きつけ固定し、そのパレットを積載した車両にて約560km(例えば、東京−大阪間)輸送したときの粘着テープTの剥がれ具合を確認する試験である。第1の方法による開封テストは、第1の方法による粘着テープTの剥がし易さを評価する官能試験である。第2の方法による開封テストは、第2の方法による粘着テープTの剥がし易さを評価する官能試験である。
【0060】
次に、評価試験の評価基準について説明する。輸送テストでは、輸送後の状態で、何れの包装箱1にも粘着テープTの剥がれが無い場合に「〇」と評価し、何れかの包装箱1の粘着テープTに部分的な剥がれが有る場合に「△」と評価し、何れかの包装箱1の粘着テープTが完全に剥がれた場合に「×」と評価した。第1の方法による開封テストでは、人が第1の方法で粘着テープTを剥がしてみて、非常に剥がし易いと感じた場合に「◎」と評価し、剥がし易いと感じた場合に「〇」と評価し、若干剥がし易いと感じた場合に「△」と評価し、塗膜が無い場合と同程度(剥がし難い)と感じた場合に「×」と評価した。第2の方法による開封テストでは、人が第2の方法で粘着テープTを剥がしてみて、非常に剥がし易いと感じた場合に「◎」と評価し、剥がし易いと感じた場合に「〇」と評価し、若干剥がし易いと感じた場合に「△」と評価し、塗膜が無い場合と同程度(剥がし難い)と感じた場合に「×」と評価した。
【0061】
図10の最上段に示すように、比較例に係る貼付部100では、輸送テストの評価結果が「×」となり、第1および第2の方法による開封テストが「◎」となった。
【0062】
これに対し、
図10の上から2段目から4段目に示すように、第1〜第3実施形態に係る貼付部20〜22では、輸送テストの評価結果が全て「〇」となった。また、第1実施形態に係る貼付部20では、第1の方法による開封テストが「〇」となり、第2および第3実施形態に係る貼付部21,22では、第1の方法による開封テストが「◎」となった。さらに、第1および第2実施形態に係る貼付部20,21では、第2の方法による開封テストが「〇」となり、第3実施形態に係る貼付部22では、第2の方法による開封テストが「◎」となった。
【0063】
以上のように、比較例に係る貼付部100は、粘着テープTの剥がし易さを確保することができるが、箱の封緘状態を維持することができないという評価結果となった。これに対し、第1〜第3実施形態に係る貼付部20〜22では、剥がし易さを確保しながら包装箱1の封緘状態を維持することができるという評価結果になった。
【0064】
[第4実施形態]
次に、
図11を参照して、第4実施形態に係る包装箱1の貼付部23等について説明する。
図11は包装箱1の貼付部20,23を示す側面図である。なお、第4実施形態に係る包装箱1には一対の貼付部23が形成されているが、第1実施形態の説明と同様に、1つの貼付部23について説明する。
【0065】
第4実施形態に係る包装箱1では、各端壁11の上部に貼付部20が形成され、各端壁11の下部に貼付部23が形成されている。
【0066】
貼付部23の剥離部33は先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとを含み、貼付部23の粘着部43は中間粘着部43Aを含んでいる。下方の貼付部23の中間粘着部43Aは、上方の貼付部20の中間粘着部40Aよりも大きく形成されている。その結果、中間粘着部43Aの面積は貼付部23の全面積の15%以上に設定され、下方の貼付部23の全面積は上方の貼付部20の全面積よりも大きく設定されている。
【0067】
以上説明した第4実施形態に係る包装箱1では、上下に2組設けられた一対の貼付部20,23が、一対の端壁11(周壁1Wの側面)の上下両端部に形成されていた。また、下方の中間粘着部43Aの面積が上方の中間粘着部40Aの面積よりも広く(大きく)設定されていた。この構成によれば、下方の貼付部23(中間粘着部43A)に貼付された粘着テープTを、上方の貼付部20(中間粘着部40A)に貼付された粘着テープTよりも剥がれ難くすることができる。これにより、下開口部1Dを閉塞した一対の下外フラップ16を周壁1Wに固定した状態に維持することができる。その結果、包装箱1の底抜け等の不具合を抑制することができる。
【0068】
なお、第4実施形態に係る包装箱1の貼付部23では、先端剥離部30Aおよび基端剥離部30Bの大きさを変えずに、中間粘着部43Aを大きくしていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、先端剥離部30Aおよび基端剥離部30Bを小さくすることで、中間粘着部43Aを中間粘着部40Aよりも大きく形成してもよい。また、貼付部23全体(先端剥離部30A、基端剥離部30B、中間粘着部43A)を大きくしてもよい。この場合、中間粘着部43Aの面積は、貼付部23の全面積の約15%に設定されてもよい。
【0069】
また、第4実施形態に係る包装箱1の貼付部23に対し、第2または第3実施形態に係る包装箱1の貼付部21,22の特徴を適用してもよい。
【0070】
なお、第1ないし第4実施形態に係る包装箱1の貼付部20〜23(以下、「貼付部20等」という。)は、横罫線L2よりも下方に数mm〜十数mm程度ずれた位置に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、貼付部20等は、横罫線L2との間に隙間をあけずに、横罫線L2から下方(または上方)に延びた状態に形成されてもよい。
【0071】
なお、第1ないし第4実施形態に係る包装箱1の貼付部20等では、剥離部30〜33が先端剥離部30A,31Aと基端剥離部30B,31Bとを含んでいたが、本発明はこれに限定されない。剥離部30〜33は、粘着テープTの最先端付近と各外フラップ14,16の近傍となる粘着テープTの基端部の少なくとも何れか一方に対応して形成されていればよい。すなわち、貼付部20等は、先端剥離部30A,31Aと基端剥離部30B,31Bとのうち少なくとも何れか一方を含んでいればよい。例えば、
図12に示すように、貼付部20が、先端剥離部30Aと、貼付部20の全領域のうち先端剥離部30A以外の領域に形成された粘着部44と、を含んでいてもよい。これと同様に、貼付部23が、基端剥離部30Bと、貼付部23の全領域のうち基端剥離部30B以外の領域に形成された粘着部44と、を含んでいてもよい。なお、貼付部20に基端剥離部30Bを形成し、貼付部23に先端剥離部30Aを形成してもよい(図示せず)。
【0072】
他にも、例えば、
図13に示すように、先端剥離部30Aと基端剥離部30Bとが一体に形成され、これらの剥離部30A,30B等を分離するように分離粘着部40B,43Bが形成されてもよい。さらに、他にも、例えば、
図14に示すように、粘着部40(43)が、中間粘着部40A(43A)と分離粘着部40B(43B)とで構成されてもよい。つまり、粘着部40(43)が略T字状に形成されてもよい。また、図示は省略するが、中間粘着部40A(43A)を挟んで上下一対の分離粘着部40B(43B)が形成されることで、粘着部40(43)が略十字状に形成されてもよい。なお、先端剥離部30A(31A)は、少なくとも粘着テープTの先端角部(幅方向両縁部)に対応して形成されていることが好ましい。また、基端剥離部30B(31B)は、少なくとも粘着テープTの幅方向両縁部に対応して形成されていることが好ましい。
【0073】
なお、第1〜第4実施形態(上記の変形例も含む。以下同じ。)に係る包装箱1の貼付部20等は、粘着テープTの幅や端部形状に対応して略正方形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。貼付部20等の大きさ(幅および長さ)は、粘着テープTの幅や長さに応じて適宜変更してもよい。また、例えば、貼付部20等は、上下方向に長い長方形状に形成されてもよいし、円形状や台形状に形成されてもよい(いずれも図示せず)。
【0074】
また、第1〜第4実施形態に係る包装箱1の貼付部20等では、粘着部40〜44が、貼付部20等の全体に対して15%程度の面積となるように形成されていたが、本発明はこれに限定されない。中間粘着部40A等の面積は、貼付部20等の全面積の15%以上に設定してもよい。しかしながら、粘着テープTの剥がし易さを考慮するのであれば、粘着部40〜44の面積は、貼付部20等の全体の面積の3%以上30%以下の範囲で設定することが好ましい。更に好ましくは、粘着部40〜44の面積は、貼付部20等の全体の面積の3%以上15%以下の範囲で設定するとよい。
【0075】
また、第1〜第4実施形態に係る包装箱1では、一対の上外フラップ14と一対の下外フラップ16とは、それぞれ、その先端部を突き合わせられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一方の上外フラップ14(一方の下外フラップ16)が、他方の上外フラップ14(他方の下外フラップ16)に重なるように形成されていてもよい。この場合、一方の上外フラップ14(一方の下外フラップ16)の先端部に沿って粘着テープTが貼られ、その端部に合わせて貼付部20等が形成されることになる。
【0076】
また、第1〜第4実施形態に係る包装箱1は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートであってもよいし、片面段ボールシートを両面段ボールシートに貼り合せた複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、包装箱1は、紙製の段ボールシートに代えて、厚紙や樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0077】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。