特許第6912401号(P6912401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912401
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】人力駆動車用連結部材
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/00 20200101AFI20210727BHJP
   B62M 6/40 20100101ALI20210727BHJP
【FI】
   B62J11/00
   B62M6/40
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-18722(P2018-18722)
(22)【出願日】2018年2月5日
(65)【公開番号】特開2019-135136(P2019-135136A)
(43)【公開日】2019年8月15日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三島 栄治
(72)【発明者】
【氏名】酒井 拓真
(72)【発明者】
【氏名】日高 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】神谷 泰三
【審査官】 中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第206797544(CN,U)
【文献】 特開平9−58554(JP,A)
【文献】 特開2002−2571(JP,A)
【文献】 国際公開第98/50269(WO,A1)
【文献】 実開昭55−157085(JP,U)
【文献】 米国特許第5263671(US,A)
【文献】 登録実用新案第3152761(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 11/00
B62M 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1人力駆動車用ケーブルを保持する保持部と、
人力駆動車用コンポーネントを収容する収容部と、を備え、
前記収容部は、前記保持部が前記第1人力駆動車用ケーブルを保持する状態において、開口部を形成するように構成され、
前記保持部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向に間隔を空けて設けられる第1保持部および第2保持部を含み、
前記第1保持部および前記第2保持部は、同一の前記第1人力駆動車用ケーブルが挿入される第1挿通部を含む、人力駆動車用連結部材。
【請求項2】
前記保持部は、前記第1保持部と前記第2保持部とを接続する接続部をさらに含む、請求項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1保持部と前記第2保持部とを接続する接続部をさらに含み、
前記第1保持部および前記第2保持部は、前記第1挿通部に環状の内周面によって規定される保持孔が形成される第1状態、および、前記第1挿通部に前記保持孔が形成されない第2状態に変形可能である、請求項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項4】
前記接続部は、前記第1保持部と前記第2保持部との間に延び、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配置される第1外縁部および第2外縁部を含み、
前記第1外縁部および前記第2外縁部の少なくとも一方は、前記第1状態において、前記第1外縁部および前記第2外縁部の他方に向けて湾曲する、請求項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項5】
前記接続部は、前記第1状態において、前記第1人力駆動車用ケーブルの外周面を少なくとも部分的に取り囲むように湾曲する、請求項3または4に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項6】
前記接続部は、前記接続部の湾曲を促進し、前記第1状態の形成を促進する湾曲促進部を含む、請求項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項7】
前記湾曲促進部は、前記第2状態において、前記第1人力駆動車用ケーブルの外周面を取り囲む部分に設けられ、前記接続部の長手方向中心点と重なる、請求項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項8】
前記接続部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向に長い、請求項2〜7のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項9】
前記接続部は、前記第1保持部と前記第2保持部との間に延び、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配置される第1外縁部および第2外縁部を含み、
前記第1外縁部および前記第2外縁部は、前記人力駆動車用コンポーネントを挟持する、請求項2〜8のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項10】
前記接続部は、前記第1人力駆動車用ケーブルと対向する対向面に設けられるリブを含む、請求項2〜9のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項11】
前記接続部は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される、請求項2〜10のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項12】
前記第1保持部および前記第2保持部と前記接続部とは、一体的に形成される、請求項2〜11のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項13】
挿入部材が挿入される第2挿通部をさらに備え
前記挿入部材は、前記人力駆動車用コンポーネントに接続される第2人力駆動車用ケーブル、および、前記人力駆動車用コンポーネントの挿入部の少なくとも一方を含む、請求項3〜12のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項14】
前記第2挿通部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向に間隔を空けて設けられる少なくとも1つの第1挿通孔形成部および少なくとも1つの第2挿通孔形成部を含む、請求項13に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項15】
前記第1保持部および前記第2保持部は、前記第1挿通部に環状の内周面によって規定される保持孔が形成される第1状態、および、前記第1挿通部に前記保持孔が形成されない第2状態に変形可能であり、
前記少なくとも1つの第1挿通孔形成部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて設けられる一対の第1挿通孔形成部を含み、
前記少なくとも1つの第2挿通孔形成部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて設けられる一対の第2挿通孔形成部を含み、
前記一対の第1挿通孔形成部は、前記一対の第1挿通孔形成部の一方と前記一対の第1挿通孔形成部の他方とが、前記第1状態において互いに凹凸係合し、前記第2状態において凹凸係合せず、
前記一対の第2挿通孔形成部は、前記一対の第2挿通孔形成部の一方と前記一対の第2挿通孔形成部の他方とが、前記第1状態において互いに凹凸係合し、前記第2状態において凹凸係合しない、請求項14に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項16】
前記接続部は、前記第1保持部と前記第2保持部との間に延び、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配置される第1外縁部および第2外縁部を含み、
前記一対の第1挿通孔形成部の一方は、前記第1外縁部側に設けられ、
前記一対の第1挿通孔形成部の他方は、前記第2外縁部側に設けられ、
前記一対の第2挿通孔形成部の一方は、前記第1外縁部側に設けられ、
前記一対の第2挿通孔形成部の他方は、前記第2外縁部側に設けられる、請求項15に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項17】
記一対の第1挿通孔形成部の一方の第1挿通孔は、前記第1状態において、前記一対の第1挿通孔形成部の他方の前記第1挿通孔と少なくとも部分的に重なり、
前記一対の第2挿通孔形成部の一方の第2挿通孔は、前記第1状態において、前記一対の第2挿通孔形成部の他方の前記第2挿通孔と少なくとも部分的に重なる、請求項16に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項18】
前記一方の第1挿通孔は、前記第1状態において、前記他方の第1挿通孔と全体的に重なり、
前記一方の第2挿通孔は、前記第1状態において、前記他方の第2挿通孔と全体的に重なる、請求項17に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項19】
前記一対の第1挿通孔形成部は、前記一対の第2挿通孔形成部に向けて傾斜し、
前記一対の第2挿通孔形成部は、前記一対の第1挿通孔形成部に向けて傾斜する、請求項15〜18のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項20】
前記第2挿通部は、前記保持部から突出する、請求項13〜19のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項21】
前記保持部は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の人力駆動車用連結部材。
【請求項22】
挿入部材が挿入される第2挿通部をさらに備え
前記挿入部材は、前記人力駆動車用コンポーネントに接続される第2人力駆動車用ケーブル、および、前記人力駆動車用コンポーネントの挿入部の少なくとも一方を含む、請求項1または2に記載の人力駆動車用連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人力駆動車は、種々の人力駆動車用ケーブルが配線され、種々の人力駆動車用コンポーネントが搭載される。特許文献1は、従来の人力駆動車の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−187595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、人力駆動車用コンポーネントをハンドルに固定している。ハンドル以外にも人力駆動車用コンポーネントを設けることが望まれている。
本発明の目的は、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車用ケーブルに連結することができる人力駆動車用連結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用連結部材は、第1人力駆動車用ケーブルを保持する保持部と、人力駆動車用コンポーネントを収容する収容部と、を備え、前記収容部は、前記保持部が前記第1人力駆動車用ケーブルを保持する状態において、開口部を形成するように構成される。
前記第1側面の人力駆動車用連結部材によれば、人力駆動車用連結部材は、第1人力駆動車用ケーブルを保持する状態で、人力駆動車コンポーネントを開口部から収容部に収容することによって、人力駆動車用コンポーネントを第1人力駆動車用ケーブルに連結することができる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車用連結部材において、前記保持部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向に間隔を空けて設けられる第1保持部および第2保持部を含む。
前記第2側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1人力駆動車用ケーブルにおける互いに離れた部分が、それぞれ第1保持部および第2保持部によって保持される。このため、第1人力駆動車用ケーブルを安定して保持できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の人力駆動車用連結部材において、前記第1保持部および前記第2保持部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが挿入される第1挿通部を含む。
前記第3側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1人力駆動車用ケーブルを保持部によって強く保持できる。
【0008】
前記第2または第3側面に従う第4側面の人力駆動車用連結部材において、前記保持部は、前記第1保持部と前記第2保持部とを接続する接続部をさらに含む。
前記第4側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1人力駆動車用ケーブルを安定して保持できる。
【0009】
前記第3側面に従う第5側面の人力駆動車用連結部材において、前記保持部は、前記第1保持部と前記第2保持部とを接続する接続部をさらに含み、前記第1保持部および前記第2保持部は、前記第1挿通部が形成される第1状態、および、前記第1挿通部が形成されない第2状態に変形可能である。
前記第5側面の人力駆動車用連結部材によれば、第2状態において第1人力駆動車用ケーブルを保持部に配置できるため、作業性の向上に貢献できる。
【0010】
前記第5側面に従う第6側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1保持部と前記第2保持部との間に延び、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配置される第1外縁部および第2外縁部を含み、前記第1外縁部および前記第2外縁部の少なくとも一方は、前記第1状態において、前記第1外縁部および前記第2外縁部の他方に向けて湾曲する。
前記第6側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1外縁部および第2外縁部の少なくとも一方が第1人力駆動車用ケーブルおよび人力駆動車用コンポーネントの少なくとも一方によって押し広げられる。このため、第1外縁部および第2外縁部の少なくとも一方に生じる復元力によって、第1人力駆動車用ケーブルおよび人力駆動車用コンポーネントの少なくとも一方を強く保持できる。また、人力駆動用コンポーネントと、第1外縁部および第2外縁部の少なくとも一方との間に隙間が生じにくくなり、外観上好ましい形状となる。
【0011】
前記第5または第6側面に従う第7側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1状態において、前記第1人力駆動車用ケーブルの外周面を少なくとも部分的に取り囲むように湾曲する。
前記第7側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1人力駆動車用ケーブルを接続部によって保護できる。また、第1人力駆動車用ケーブルの安定した保持性が向上する。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1状態の形成を促進する湾曲促進部を含む。
前記第8側面の人力駆動車用連結部材によれば、接続部を第2状態から第1状態に容易に変形させることができる。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面の人力駆動車用連結部材において、前記湾曲促進部は、前記接続部の長手方向中心点と重なる。
前記第9側面の人力駆動車用連結部材によれば、接続部を第2状態から第1状態に容易に変形させることができる。
【0014】
前記第4〜第9側面のいずれか1つに従う第10側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向に長い。
前記第10側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1人力駆動車用ケーブルの広い範囲を接続部によって保護できる。
【0015】
前記第4〜第10側面のいずれか1つに従う第11側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1保持部と前記第2保持部との間に延び、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配置される第1外縁部および第2外縁部を含み、前記第1外縁部および前記第2外縁部は、前記人力駆動車用コンポーネントを挟持する。
前記第11側面の人力駆動車用連結部材によれば、人力駆動車用コンポーネントを安定して保持できる。
【0016】
前記第4〜第11側面のいずれか1つに従う第12側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1人力駆動車用ケーブルと対向する対向面に設けられるリブを含む。
前記第12側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1人力駆動車用ケーブルとの接触によってリブが圧縮される。このため、リブに生じる復元力によって、第1人力駆動車用ケーブルを強く保持できる。
【0017】
前記第4〜第12側面のいずれか1つに従う第13側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される。
前記第13側面の人力駆動車用連結部材によれば、接続部を容易に変形させることができる。
【0018】
前記第4〜第13側面のいずれか1つに従う第14側面の人力駆動車用連結部材において、前記第1保持部および前記第2保持部と前記接続部とは、一体的に形成される。
前記第14側面の人力駆動車用連結部材によれば、保持部を構成する部品点数を削減できる。
【0019】
前記第5〜第14側面のいずれか1つに従う第15側面の人力駆動車用連結部材において、挿入部材が挿入される第2挿通部をさらに備える。
前記第15側面の人力駆動車用連結部材によれば、挿入部材が第2挿通部によって保持されるため、挿入部材の姿勢が安定する。
【0020】
前記第15側面に従う第16側面の人力駆動車用連結部材において、前記挿入部材は、前記人力駆動車用コンポーネントに接続される第2人力駆動車用ケーブル、および、前記人力駆動車用コンポーネントの挿入部の少なくとも一方を含む。
前記第16側面の人力駆動車用連結部材によれば、多様な挿入部材を第2挿通部に挿入できる。
【0021】
前記第15または第16側面に従う第17側面の人力駆動車用連結部材において、前記第2挿通部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向に間隔を空けて設けられる少なくとも1つの第1挿通孔形成部および少なくとも1つの第2挿通孔形成部を含む。
前記第17側面の人力駆動車用連結部材によれば、人力駆動車用コンポーネントの異なる部分に対して、各挿通孔形成部を介して挿入部材を挿入できる。
【0022】
前記第17側面に従う第18側面の人力駆動車用連結部材において、前記少なくとも1つの第1挿通孔形成部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて設けられる一対の第1挿通孔形成部を含み、前記少なくとも1つの第2挿通孔形成部は、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて設けられる一対の第2挿通孔形成部を含む。
前記第18側面の人力駆動車用連結部材によれば、挿入部材が一対の各挿通孔形成部によって保持されるため、挿入部材の姿勢が一層安定する。
【0023】
前記第18側面に従う第19側面の人力駆動車用連結部材において、前記接続部は、前記第1保持部と前記第2保持部との間に延び、前記第1人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配置される第1外縁部および第2外縁部を含み、前記一対の第1挿通孔形成部の一方は、前記第1外縁部側に設けられ、前記一対の第1挿通孔形成部の他方は、前記第2外縁部側に設けられ、前記一対の第2挿通孔形成部の一方は、前記第1外縁部側に設けられ、前記一対の第2挿通孔形成部の他方は、前記第2外縁部側に設けられる。
前記第19側面の人力駆動車用連結部材によれば、一対の各挿通孔形成部の間を通して保持部に第1人力駆動車用ケーブルを配置できる。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の人力駆動車用連結部材において、前記第1保持部および前記第2保持部は、前記第1挿通部を形成する第1状態、および、前記第1挿通部が形成されない第2状態に変形可能であり、前記一対の第1挿通孔形成部の一方の第1挿通孔は、前記第1状態において、前記一対の第1挿通孔形成部の他方の前記第1挿通孔と少なくとも部分的に重なり、前記一対の第2挿通孔形成部の一方の第2挿通孔は、前記第1状態において、前記一対の第2挿通孔形成部の他方の前記第2挿通孔と少なくとも部分的に重なる。
前記第20側面の人力駆動車用連結部材によれば、一対の第1挿通孔が少なくとも部分的に重なる状態では、一対の第1挿通孔に挿入部材を挿入できる。一対の第2挿通孔が少なくとも部分的に重なる状態では、一対の第2挿通孔に挿入部材を挿入できる。これらの2つの状態が併せて形成される場合には、一対の第1挿通孔および一対の第2挿通孔に挿入部材を挿入できる。この場合、各挿入部材と各挿通孔との関係によって収容部に収容される人力駆動車用コンポーネントが保持されるため、人力駆動車用コンポーネントを好適に保持できる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面の人力駆動車用連結部材において、前記一対の第1挿通孔形成部の一方と前記一対の第1挿通孔形成部の他方とは、前記第1状態において互いに凹凸係合し、前記一対の第2挿通孔形成部の一方と前記一対の第2挿通孔形成部の他方とは、前記第1状態において互いに凹凸係合する。
前記第21側面の人力駆動車用連結部材によれば、第1保持部および第2保持部の第1状態における保持部の形状が安定する。
【0026】
前記第20または第21側面に従う第22側面の人力駆動車用連結部材において、前記一方の第1挿通孔は、前記第1状態において、前記他方の第1挿通孔と全体的に重なり、前記一方の第2挿通孔は、前記第1状態において、前記他方の第2挿通孔と全体的に重なる。
前記第22側面の人力駆動車用連結部材によれば、一対の各挿通孔に挿入部材を容易に挿入できる。
【0027】
前記第17〜第22側面のいずれか1つに従う第23側面の人力駆動車用連結部材において、前記一対の第1挿通孔形成部は、前記一対の第2挿通孔形成部に向けて傾斜し、前記一対の第2挿通孔形成部は、前記一対の第1挿通孔形成部に向けて傾斜する。
前記第23側面の人力駆動車用連結部材によれば、各挿通孔形成部の間に配置される人力駆動車用コンポーネントによって各挿通孔形成部が押し広げられる。このため、各挿通孔形成部に生じる復元力によって、人力駆動車用コンポーネントを強く保持できる。
【0028】
前記第15〜第23側面のいずれか1つに従う第24側面の人力駆動車用連結部材において、前記第2挿通部は、前記保持部から突出する。
前記第24側面の人力駆動車用連結部材によれば、第2挿通部が保持部から離れるため、挿入部材を第2挿通部に挿入する場合の作業性が向上する。
【0029】
前記第1〜第24側面のいずれか1つに従う第25側面の人力駆動車用連結部材において、前記保持部は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される。
前記第25側面の人力駆動車用連結部材によれば、保持部を容易に変形させることができる。
【0030】
前記第1〜第4側面のいずれか1つに従う第26側面の人力駆動車用連結部材において、挿入部材が挿入される第2挿通部をさらに備える。
前記第26側面の人力駆動車用連結部材によれば、挿入部材が第2挿通部によって保持されるため、挿入部材の姿勢が安定する。
【0031】
本発明の第27側面に従う人力駆動車用連結部材は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成され、人力駆動車用ケーブルを保持する保持部と、前記人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて前記保持部に設けられる一対の第1挿通孔形成部と、前記人力駆動車用ケーブルが延びる方向と直交する方向に間隔を空けて前記保持部に設けられる一対の第2挿通孔形成部と、を備え、前記一対の第1挿通孔形成部および前記一対の第2挿通孔形成部は、前記人力駆動車用ケーブルが延びる方向に間隔を空けて設けられ、前記保持部は、前記一対の第1挿通孔形成部の一方の第1挿通孔と前記一対の第1挿通孔形成部の他方の第1挿通孔とが少なくとも部分的に重なり、且つ、前記一対の第2挿通孔形成部の一方の第2挿通孔と前記一対の第2挿通孔形成部の他方の第2挿通孔とが少なくとも部分的に重なるように変形可能である。
前記第27側面の人力駆動車用連結部材によれば、一対の第1挿通孔が少なくとも部分的に重なる状態、および、一対の第2挿通孔が少なくとも部分的に重なる状態では、第1挿通孔形成部と第2挿通孔形成部との間に空間が形成される。その空間に人力駆動車用コンポーネントが配置される場合、人力駆動車用ケーブルと人力駆動車用コンポーネントとが人力駆動車用連結部材によって連結される。すなわち、人力駆動車用コンポーネントが人力駆動車用ケーブルに配置される。このため、人力駆動車用コンポーネントの配置の自由度を高めることに貢献できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の人力駆動車用連結部材は、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車用ケーブルに連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態の人力駆動車用連結部材を含む人力駆動車の側面図。
図2図1の人力駆動車用連結部材の斜視図。
図3図2の人力駆動車用連結部材の第2状態を示す斜視図。
図4図2の人力駆動車用連結部材の第1状態を示す斜視図。
図5図3の人力駆動車用連結部材の平面図。
図6】連結構造に関する第1工程を示す図。
図7】連結構造に関する第2工程を示す図。
図8】連結構造に関する第3工程を示す図。
図9】第1変形例の人力駆動車用連結部材の側面図。
図10】第2変形例の人力駆動車用連結部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施形態)
図1を参照して、人力駆動車用連結部材10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車(e−bike)である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、トレッキングバイクである。人力駆動車Aは、車両本体A1および車輪A2を含む。車両本体A1は、フレームA11、フロントフォークA12、ハンドルA13、および、サドルA14を含む。車輪A2は、前輪A21および後輪A22を含む。
【0035】
人力駆動車Aは、ドライブトレインBをさらに含む。ドライブトレインBの動力の伝達方式は任意に選択できる。伝達方式の一例は、チェーンドライブタイプ、ベルトドライブタイプ、および、シャフトドライブタイプである。本実施形態では、ドライブトレインBは、チェーンドライブタイプに構成される。ドライブトレインBは、クランクB1、フロントスプロケットB21、リアスプロケットB22、および、チェーンB23を含む。クランクB1は、クランク軸B11および一対のクランクアームB12を含む。クランク軸B11は、フレームA11に回転可能に支持される。一対のクランクアームB12は、クランク軸B11の両端部にそれぞれ設けられる。各クランクアームB12の先端には、ペダルB13が回転可能に取り付けられる。フロントスプロケットB21は、クランク軸B11と一体に回転するようにクランク軸B11に設けられる。リアスプロケットB22は、後輪A22のハブA23に設けられる。チェーンB23は、フロントスプロケットB21およびリアスプロケットB22に巻き掛けられる。人力駆動車Aの搭乗者によってペダルB13に加えられる駆動力は、フロントスプロケットB21、チェーンB23、および、リアスプロケットB22を介して後輪A22に伝達される。
【0036】
人力駆動車Aは、人力駆動車用コンポーネントCをさらに含む。人力駆動車用コンポーネントCは、非電動コンポーネントおよび電動コンポーネントの少なくとも一方を含む。具体的には、人力駆動車用コンポーネントCは、ブレーキ装置D11、ブレーキ操作装置D12、変速装置D13、変速操作装置D14、サスペンション(図示略)、サスペンション操作装置(図示略)、アジャスタブルシートポストD15、アジャスタブルシートポスト操作装置(図示略)、電動補助ユニットE、電動補助ユニット操作装置E1、サイクルコンピュータD16、無線ユニット(図示略)、ランプD17、発電機(図示略)、および、バッテリD18の少なくとも1つを含む。人力駆動車用コンポーネントCのうちの電気的に駆動される要素は、電動コンポーネントに含まれる。電動コンポーネントは、バッテリD18から供給される電力、または、個々の電動コンポーネントに設けられる専用の電源から供給される電力によって動作する。
【0037】
ブレーキ装置D11は、車輪A2の数に対応するブレーキ装置D11を含む。一例では、前輪A21に対応するブレーキ装置D11、および、後輪A22に対応するブレーキ装置D11が人力駆動車Aに設けられる。2つのブレーキ装置D11は、互いに同じ構成を有する。一例では、ブレーキ装置D11は、人力駆動車AのリムA24を制動するリムブレーキ装置である。ブレーキ装置D11は、人力駆動車Aのディスクブレーキロータ(図示略)を制動するディスクブレーキ装置であってもよい。一例では、ブレーキ操作装置D12の操作に応じてブレーキ装置D11が機械的または電気的に駆動される。
【0038】
変速装置D13は、外装変速機または内装変速機を含む。一例は、変速装置D13は外装変速機を含む。変速装置D13は、フロントディレーラ(図示略)およびリアディレーラの少なくとも一方を含む。フロントディレーラは、フレームA11におけるクランク軸B11付近に設けられる。フロントディレーラの動作に応じてチェーンB23が巻き掛けられるフロントスプロケットが変更され、人力駆動車Aの変速比が変更される。リアディレーラは、フレームA11のリアエンドA15に設けられる。リアディレーラの動作に応じてチェーンB23が巻き掛けられるリアスプロケットが変更され、人力駆動車Aの変速比が変更される。一例では、変速操作装置D14の操作に応じて変速装置D13が機械的または電気的に駆動される。
【0039】
サスペンションは、フロントサスペンションおよびリアサスペンションの少なくとも一方を含む(図示略)。フロントサスペンションは、前輪A21が路面から受ける衝撃を緩和する。リアサスペンションは、後輪A22が路面から受ける衝撃を緩和する。一例では、サスペンション操作装置の操作に応じてサスペンションが機械的または電気的に駆動される。アジャスタブルシートポストD15は、フレームA11に対するサドルA14の高さを変更する。一例では、アジャスタブルシートポスト操作装置の操作に応じてアジャスタブルシートポストD15が機械的または電気的に駆動される。
【0040】
電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進力がアシストされるように動作する。電動補助ユニットEは、例えばペダルB13に加えられる駆動力に応じて動作する。電動補助ユニットEは、電気モータ(図示略)を含む。一例では、電動補助ユニット操作装置E1の操作に応じて電動補助ユニットEの電気モータが駆動される。
【0041】
人力駆動車Aは、コンポーネントシステムFをさらに含む。コンポーネントシステムFは、非電動システムおよび電動システムの少なくとも一方を含む。具体的には、コンポーネントシステムFは、ブレーキシステムF11、変速システムF12、サスペンションシステム(図示略)、シートポストシステムF13、および、電動補助システムF14の少なくとも1つを含む。個々のコンポーネントシステムFは、少なくとも1つの人力駆動車用コンポーネントC、および、その人力駆動車用コンポーネントCに接続される人力駆動車用ケーブルGを含む。
【0042】
ブレーキシステムF11は、ブレーキ装置D11、ブレーキ操作装置D12、および、ブレーキ装置D11とブレーキ操作装置D12とを接続するブレーキケーブルG11を含む。ブレーキケーブルG11は、人力駆動車用ケーブルGに含まれる。一例では、ブレーキケーブルG11はボーデンケーブルである。変速システムF12は、変速装置D13、変速操作装置D14、および、変速装置D13と変速操作装置D14とを接続する変速ケーブル(図示略)を含む。変速ケーブルは、人力駆動車用ケーブルGに含まれる。サスペンションシステムは、サスペンション、サスペンション操作装置、および、サスペンションとサスペンション操作装置とを接続するサスペンションケーブル(図示略)を含む。サスペンションケーブルは、人力駆動車用ケーブルGに含まれる。シートポストシステムF13は、アジャスタブルシートポストD15、アジャスタブルシートポスト操作装置、および、アジャスタブルシートポストD15とアジャスタブルシートポスト操作装置とを接続するシートポストケーブル(図示略)を含む。シートポストケーブルは、人力駆動車用ケーブルGに含まれる。電動補助システムF14は、電動補助ユニットE、電動補助ユニット操作装置E1、および、電動補助ユニットEと電動補助ユニット操作装置E1とを接続する電動補助ケーブルG14を含む。電動補助ケーブルG14は、人力駆動車用ケーブルGに含まれる。
【0043】
図2に示されるように、人力駆動車Aは、人力駆動車用ケーブルGと人力駆動車用コンポーネントCとを連結する連結構造1を含む。人力駆動車用ケーブルGは、第1人力駆動車用ケーブルG1および第2人力駆動車用ケーブルG2を含む。一例では、連結構造1は、第1人力駆動車用ケーブルG1と人力駆動車用コンポーネントCとを連結する。第2人力駆動車用ケーブルG2は、連結構造1によって第1人力駆動車用ケーブルG1と連結される人力駆動車用コンポーネントCに接続される。連結構造1は、人力駆動車用連結部材10、第1人力駆動車用ケーブルG1、第2人力駆動車用ケーブルG2、および、人力駆動車用コンポーネントCを含む。
【0044】
人力駆動車用連結部材10は、第1人力駆動車用ケーブルG1を保持し、人力駆動車用コンポーネントCを収容することによって、第1人力駆動車用ケーブルG1と人力駆動車用コンポーネントCとを連結する。第1人力駆動車用ケーブルG1は、コンポーネントシステムFに含まれる人力駆動車用ケーブルG、または、コンポーネントシステムFに含まれない人力駆動車用ケーブルGから任意に選択される。本実施形態では、第1人力駆動車用ケーブルG1は、ブレーキシステムF11に含まれるブレーキケーブルG11である。人力駆動車用連結部材10に収容される対象となる人力駆動車用コンポーネントCは、コンポーネントシステムFに含まれる人力駆動車用コンポーネントC、または、コンポーネントシステムFに含まれない人力駆動車用コンポーネントCから任意に選択される。人力駆動車用連結部材10に収容される対象となる人力駆動車用コンポーネントCは、コンポーネントシステムFに含まれる操作装置から選択されることが好ましい。本実施形態では、人力駆動車用連結部材10に収容される対象となる人力駆動車用コンポーネントCは、電動補助システムF14に含まれる電動補助ユニット操作装置E1である。この場合、第2人力駆動車用ケーブルG2は、電動補助ユニット操作装置E1に接続される電動補助ケーブルG14である。すなわち、人力駆動車用連結部材10は、ブレーキケーブルG11を保持し、電動補助ユニット操作装置E1を収容することによって、ブレーキケーブルG11と電動補助ユニット操作装置E1とを連結する。
【0045】
電動補助ユニット操作装置E1は、ハウジングE10、スイッチE20、表示部E30、内部部品(図示略)、および、接続凹部E40(図7参照)を含む。ハウジングE10は、例えば長方形の箱である。内部部品は、ハウジングE10内に設けられる。内部部品は、回路が設けられる基板等を含む。回路は、電動補助ケーブルG14とスイッチE20および表示部E30とを電気的に接続する。スイッチE20は、ハウジングE10に設けられる。スイッチE20の操作面E21は、使用者が操作できるようにハウジングE10の外部に位置する。一例では、スイッチE20の操作に応じて電動補助ユニットEが駆動される、または、スイッチE20の操作に応じて電動補助ユニットEのアシストモードが変更される。スイッチE20と実質的に同じ機能を有する別のスイッチが、サイクルコンピュータD16等に搭載されてもよい。表示部E30は、ハウジングE10に設けられる。表示部E30は、ランプを含む。ランプの出力面E31は、使用者が視認できるようにハウジングE10の外部に位置する。表示部E30は、電動補助ユニット操作装置E1から省略されてもよい。
【0046】
ハウジングE10は、第1側面E11、第2側面(図示略)、第3側面E13、第4側面(図示略)、正面E15、および、背面(図示略)を含む。正面E15は、スイッチE20および表示部E30が設けられる面である。第1側面E11は、ハウジングE10の長手方向に沿う一方の側面である。第2側面は、ハウジングE10の長手方向に沿う他方の側面である。第3側面E13は、ハウジングE10の短手方向に沿う一方の側面である。第4側面は、ハウジングE10の短手方向に沿う他方の側面である。背面は、ハウジングE10内の空間に対して正面E15とは反対を向く面である。第1側面E11および第2側面は、段差E17を含む(図7参照)。段差E17は、背面と同じ方向を向く段差面E18を含む(図7参照)。なお、第1側面E11および第2側面は、段差E17を含まなくてもよい。
【0047】
接続凹部E40は、第1接続凹部E41および第2接続凹部(図示略)を含む(図7参照)。第1接続凹部E41は、第3側面E13に設けられる。第2接続凹部は、第4側面に設けられる。第1接続凹部E41および第2接続凹部の少なくとも一方は、電動補助ケーブルG14に設けられる端子と接続される端子を含む(図示略)。
【0048】
図3図5を参照して、人力駆動車用連結部材10の構成について説明する。
人力駆動車用連結部材10を形成する材料は、任意に選択できる。好ましい例では、人力駆動車用連結部材10は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される。可撓性材料の一例は、高弾性材料である。高弾性材料の一例は、ゴムまたはエラストマである。ゴムの一例は、天然ゴムまたは合成ゴムである。エラストマの一例は、熱可塑性エラストマまたは熱硬化性エラストマである。一例では、人力駆動車用連結部材10は、樹脂成形で製造されるワンピースである。以下の説明に示されるいくつかの方向および面は、次のように定義される。人力駆動車用ケーブルGが延びる方向を「第1方向」と称する。第1方向と直交する平面を「第1基準面」と称する。第1基準面と直交する平面を「第2基準面」と称する。第2基準面において第1方向と交差する方向を「第2方向」と称する。一例では、第2方向は第1方向と直交する。第1基準面において第1方向と交差する方向を「第3方向」と称する。一例では、第3方向は第1方向と直交する。
【0049】
図3に示されるように、人力駆動車用連結部材10は、第1人力駆動車用ケーブルG1を保持する保持部12と、人力駆動車用コンポーネントCを収容する収容部40とを備える。収容部40に収容される人力駆動車用コンポーネントCは、第1人力駆動車用ケーブルG1に対して所定の位置に保持される。保持部12は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される。一例では、保持部12は、全体的に可撓性材料で形成される。収容部40は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される。一例では、収容部40は、全体的に可撓性材料で形成される。収容部40は、保持部12が第1人力駆動車用ケーブルG1を保持する状態において、開口部40Aを形成するように構成される(図7参照)。開口部40Aには、人力駆動車用コンポーネントCが挿入される。
【0050】
保持部12は、第1人力駆動車用ケーブルG1が延びる方向(第1方向)に間隔を空けて設けられる第1保持部12Aおよび第2保持部12Bを含む。第1保持部12Aと第2保持部12Bとは、第1基準面に対して対向している。第1保持部12Aと第2保持部12Bとは、第1基準面に対して対称であってもよく、非対象であってもよい。第1保持部12Aおよび第2保持部12Bは、第1人力駆動車用ケーブルG1が挿入される第1挿通部14を含む。第1保持部12Aと第2保持部12Bとの間では、人力駆動車用連結部材10に対する第1人力駆動車用ケーブルG1の位置が保持される。
【0051】
第1保持部12Aおよび第2保持部12Bは、第1挿通部14が形成される第1状態(図4参照)、および、第1挿通部14が形成されない第2状態(図3参照)に変形可能である。第1保持部12Aおよび第2保持部12Bは、例えば第1状態において、第1挿通部14に保持孔16を形成する(図4参照)。保持孔16には、第1人力駆動車用ケーブルG1が挿入される。保持孔16は、第1挿通部14を第1方向に貫通する(図4参照)。一例では、第1人力駆動車用ケーブルG1が挿入されない状態における保持孔16の直径は、第1人力駆動車用ケーブルG1の直径よりも小さい。この場合、保持孔16の直径と第1人力駆動車用ケーブルG1の直径との差は、例えば第1人力駆動車用ケーブルG1が保持孔16に挿入される状態において、第1挿通部14に一定の復元力が生じるように設定される。第1挿通部14に生じる復元力は、人力駆動車用ケーブルGを保持する力を強める。なお、第1人力駆動車用ケーブルG1が挿入されない状態における保持孔16の直径は、第1人力駆動車用ケーブルG1の直径よりも大きくてもよい。この場合、保持孔16の直径と第1人力駆動車用ケーブルG1の直径との差は、保持孔16と第1人力駆動車用ケーブルG1との間に隙間が形成されるように設定される。なお、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bは、第1状態において、保持孔16とは異なる形を第1挿通部14に形成してもよい。
【0052】
保持部12は、第1保持部12Aと第2保持部12Bとを接続する接続部18をさらに含む。第1保持部12Aおよび第2保持部12Bと接続部18とは、一体的に形成される。接続部18は、少なくとも部分的に可撓性材料で形成される。一例では、接続部18は、全体的に可撓性材料で形成される。接続部18の具体的な構造は、任意に選択できる。一例では、接続部18は、第1人力駆動車用ケーブルG1を少なくとも部分的に覆うカバーである(図6参照)。接続部18は、第1人力駆動車用ケーブルG1が延びる方向(第1方向)に長い。接続部18の第1方向の長さは、ハウジングE10の第1方向の長さとおおよそ等しい。なお、接続部18は、第1方向における中心で交差するようなX型のバンドであってもよい。この場合、接続部18は、その交差する部分において第1人力駆動車用ケーブルG1を保持する。
【0053】
接続部18は、第1人力駆動車用ケーブルG1と対向する対向面20A、および、対向面20Aに対して第1人力駆動車用ケーブルG1とは反対を向く外周面20Bを含む。接続部18は、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態において、第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12を少なくとも部分的に取り囲むように湾曲する。
【0054】
接続部18は、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態の形成を促進する湾曲促進部22をさらに含む。湾曲促進部22は、接続部18の長手方向(第1方向)中心点と重なる。一例では、湾曲促進部22は、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第2状態において、第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12を取り囲む部分に設けられる。湾曲促進部22は、第2方向における接続部18の第1中心線L1と重なる。第1中心線L1は、第1方向に平行である。接続部18は、第1部分18Aおよび第2部分18Bを含む。第1部分18Aは、湾曲促進部22に対して第2方向の一方側に位置する。第2部分18Bは、湾曲促進部22に対して第2方向の他方側に位置する。湾曲促進部22は、第1人力駆動車用ケーブルG1が保持部12によって保持される状態において第1人力駆動車用ケーブルG1と接触していてもよく、第1人力駆動車用ケーブルG1と接触していなくてもよい。
【0055】
接続部18は、第1方向において両端部に位置する第1端部24Aおよび第2端部24Bを含む。第1保持部12Aは、第1端部24Aに設けられる。第2保持部12Bは、第2端部24Bに設けられる。保持部12は、第1状態の場合に、第1人力駆動車用ケーブルG1が配置される第1配置空間S1を形成する。第1配置空間S1は、接続部18、第1保持部12A、および、第2保持部12Bによって定義される。
【0056】
接続部18は、第1保持部12Aと第2保持部12Bとの間に延び、第1人力駆動車用ケーブルG1が延びる方向と直交する方向(第2方向)に間隔を空けて配置される第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bを含む。第1外縁部26Aは、第1部分18Aに含まれる。第2外縁部26Bは、第2部分18Bに含まれる。第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bは、人力駆動車用コンポーネントCを挟持する。
【0057】
接続部18は、第1人力駆動車用ケーブルG1と対向する対向面20Aに設けられるリブ28をさらに含む。一例では、接続部18は、複数のリブ28を含む。リブ28の外面は、対向面20Aの一部を構成する。複数のリブ28は、例えば第1方向に間隔を空けて配置される(図5参照)。リブ28は、例えば第1外縁部26Aと第2外縁部26Bとの間において、第2方向に延びるように設けられる(図5参照)。リブ28は、第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12との接触にともない変形する。リブ28の復元力によって、保持部12に対する第1人力駆動車用ケーブルG1の第1方向への移動が妨げられる。
【0058】
第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1挿通部14の具体的な構造は、任意に選択できる。一例では、第1挿通部14は、接続部18上に立設される立設部である。第1挿通部14は、第1突出部30、第2突出部32、および、内周面34を含む。第1突出部30は、接続部18の第1部分18Aに設けられる。第2突出部32は、接続部18の第2部分18Bに設けられる。内周面34は、第1突出部30と第2突出部32との間に形成される。第1突出部30の第1端面30Aは、収容部40を向く。第2突出部32の第2端面32Aは、内周面34と対向する。第2突出部32の第2端面32Aは、内周面34から延長する。第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態では、第1端面30Aと第2端面32Aとが接触する(図4参照)。この状態では、内周面34が環を形成する。この内周面34は、保持孔16を規定する。第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第2状態では、第1端面30Aと第2端面32Aとが離れる。なお、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態において、第1端面30Aと第2端面32Aとが接触しなくてもよい。
【0059】
接続部18は、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態と対応する第3状態(図4参照)、および、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第2状態と対応する第4状態(図3参照)に変形可能である。第3状態では、例えば湾曲促進部22の対向面20A、第1部分18Aの対向面20Aの一部、および、第2部分18Bの対向面20Aの一部が第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12と接触する(図2参照)。湾曲促進部22の対向面20Aは、接続部18の対向面20Aのうちの最も凹んだ部分である。第4状態では、例えば湾曲促進部22の対向面20Aが第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12と接触し、第1部分18Aおよび第2部分18Bの対向面20Aが第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12と接触しない(図6参照)。第1部分18Aおよび第2部分18Bの対向面20Aは、接続部18の第4状態において、第1人力駆動車用ケーブルG1の外周面G12との間に隙間が形成される状態で外周面G12を覆うように湾曲する。
【0060】
人力駆動車用連結部材10は、挿入部材Hが挿入される第2挿通部42をさらに備える。第2挿通部42は、保持部12から突出する。具体的には、第2挿通部42は、保持部12から立ち上がるように第3方向に突出する。挿入部材Hは、人力駆動車用コンポーネントCに接続される第2人力駆動車用ケーブルG2、および、人力駆動車用コンポーネントCの挿入部C10の少なくとも一方を含む。挿入部C10は、例えばハウジングE10と一体的に設けられる突出部(図示略)、ハウジングE10に着脱可能に設けられる突出部(図示略)、および、ハウジングE10の接続凹部E40に挿入されるプラグC11(図2参照)の少なくとも1つを含む。本実施形態では、電動補助ケーブルG14が第1接続凹部E41に接続され、プラグC11が第2接続凹部に接続される。
【0061】
第2挿通部42は、第1人力駆動車用ケーブルG1が延びる方向(第1方向)に間隔を空けて設けられる少なくとも1つの第1挿通孔形成部44および少なくとも1つの第2挿通孔形成部46を含む。第1挿通孔形成部44と第2挿通孔形成部46とは、第2基準面に対して対向している。第1挿通孔形成部44と第2挿通孔形成部46とは、第2基準面に対して対称であってもよく、非対象であってもよい。第1挿通孔形成部44は、接続部18の第1端部24Aに設けられる。第2挿通孔形成部は、接続部18の第2端部24Bに設けられる。第1方向に関する第1挿通孔形成部44と第2挿通孔形成部46との間隔は、ハウジングE10の長手方向の長さとおおよそ等しい。第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態において、第1挿通孔形成部44と第2挿通孔形成部46との間に開口部40Aが形成される(図7参照)。
【0062】
収容部40は、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態において、第2配置空間S2を形成する(図4参照)。第2配置空間S2には、人力駆動車用コンポーネントCのハウジングE10が少なくとも部分的に配置される。第2配置空間S2は、第1状態の場合に、例えば第1挿通孔形成部44、第2挿通孔形成部46、第1外縁部26A、および、第2外縁部26Bによって定義される(図4参照)。開口部40Aは、人力駆動車用コンポーネントCを第2配置空間S2に案内する。
【0063】
第1挿通孔形成部44は、第1挿通孔44Aを含む。第1挿通孔44Aは、第1挿通孔形成部44を第1方向に貫通する。第1挿通孔44Aには、挿入部材Hが挿入される。少なくとも1つの第1挿通孔形成部44は、第1人力駆動車用ケーブルG1が延びる方向と直交する方向(第2方向)に間隔を空けて設けられる一対の第1挿通孔形成部44を含む。換言すれば、人力駆動車用連結部材10は、人力駆動車用ケーブルGが延びる方向と直交する方向(第2方向)に間隔を空けて保持部12に設けられる一対の第1挿通孔形成部44をさらに備える。一対の第1挿通孔形成部44の一方は、第1外縁部26A側に設けられる。一対の第1挿通孔形成部44の他方は、第2外縁部26B側に設けられる。
【0064】
一方の第1挿通孔形成部44の形状は、リング形状である。一方の第1挿通孔形成部44は、接続部18の第1部分18A、および、第1保持部12Aの第1突出部30と繋がる。一方の第1挿通孔形成部44は、第1挿通孔44A、内面44B、外面44C、および、周面44Dを含む。内面44Bは、第2配置空間S2を向く平面である。外面44Cは、内面44Bに対して第2配置空間S2とは反対を向く平面である。周面44Dは、内面44Bと外面44Cとの間に設けられる曲面である。なお、一方の第1挿通孔形成部44の形状は、フック形状であってもよい。
【0065】
他方の第1挿通孔形成部44は、本体44Eおよびフランジ44Iを含む。本体44Eの形状は、リング形状である。本体44Eは、接続部18の第2部分18B、および、第1保持部12Aの第2突出部32と繋がる。本体44Eは、第1挿通孔44A、内面44F、外面44G、および、周面44Hを含む。内面44Fは、第2配置空間S2を向く平面である。外面44Gは、内面44Fに対して第2配置空間S2とは反対を向く平面である。周面44Hは、内面44Fと外面44Gとの間に設けられる曲面である。本体44Eは、一方の第1挿通孔形成部44に対して第1方向の外側に位置する。フランジ44Iは、本体44Eの内面44Fから第2配置空間S2に向けて突出する。フランジ44Iは、第1方向において一方の第1挿通孔形成部44と同じ箇所に位置する。フランジ44Iは、一方の第1挿通孔形成部44を保持できるように構成される。フランジ44Iは、内周面44Jを含む。内周面44Jは、一方の第1挿通孔形成部44の周面44Dの形状に適合する曲面である。なお、他方の第1挿通孔形成部44の本体44Eの形状は、フック形状であってもよい。
【0066】
一対の第1挿通孔形成部44の一方と一対の第1挿通孔形成部44の他方とは、第1保持部12Aの第1状態において互いに凹凸係合する(図4参照)。一対の第1挿通孔形成部44の一方と一対の第1挿通孔形成部44の他方とは、第1保持部12Aの第2状態において凹凸係合しない(図3参照)。以下の説明では、一対の第1挿通孔形成部44が凹凸係合する状態を「第5状態」と称し、一対の第1挿通孔形成部44が凹凸係合しない状態を「第6状態」と称する。
【0067】
図4に示されるように、第5状態では、一方の第1挿通孔形成部44と他方の第1挿通孔形成部44のフランジ44Iとが凹凸係合し、フランジ44Iが一方の第1挿通孔形成部44と当接する。一対の第1挿通孔形成部44は、第5状態においていくつかの関係を有する。1つ目の関係では、一対の第1挿通孔形成部44の一方の第1挿通孔44Aは、第1保持部12Aの第1状態において、一対の第1挿通孔形成部44の他方の第1挿通孔44Aと少なくとも部分的に重なる。一例では、一方の第1挿通孔44Aは、第1保持部12Aの第1状態において、他方の第1挿通孔44Aと全体的に重なる。具体的には、第1保持部12Aの第1状態では、一方の第1挿通孔44Aと他方の第1挿通孔44Aとが第1方向において全体的に重なる。
【0068】
2つ目の関係では、一方の第1挿通孔形成部44の周面44Dとフランジ44Iの内周面44Jとが当接する。3つ目の関係では、一方の第1挿通孔形成部44の外面44Cと他方の第1挿通孔形成部44の本体44Eの内面44Fとが接触する。4つ目の関係では、一方の第1挿通孔44Aの中心軸と他方の第1挿通孔44Aの中心軸とが一致する。第6状態では、一方の第1挿通孔形成部44と他方の第1挿通孔形成部44とが第2方向に離れる(図3参照)。
【0069】
図3に示されるように、第2挿通孔形成部46は、第2挿通孔46Aを含む。第2挿通孔46Aは、第2挿通孔形成部46を第1方向に貫通する。第2挿通孔46Aには、挿入部材Hが挿入される。少なくとも1つの第2挿通孔形成部46は、第1人力駆動車用ケーブルG1が延びる方向と直交する方向(第2方向)に間隔を空けて設けられる一対の第2挿通孔形成部46を含む。換言すれば、人力駆動車用連結部材10は、人力駆動車用ケーブルGが延びる方向と直交する方向(第2方向)に間隔を空けて保持部12に設けられる一対の第2挿通孔形成部46をさらに備える。一対の第2挿通孔形成部46の一方は、第1外縁部26A側に設けられる。一対の第2挿通孔形成部46の他方は、第2外縁部26B側に設けられる。
【0070】
一方の第2挿通孔形成部46の形状は、リング形状である。一方の第2挿通孔形成部46は、接続部18の第1部分18A、および、第2保持部12Bの第1突出部30と繋がる。一方の第2挿通孔形成部46は、第2挿通孔46A、内面46B、外面46C、および、周面46Dを含む。内面46Bは、第2配置空間S2を向く平面である。外面46Cは、内面46Bに対して第2配置空間S2とは反対を向く平面である。周面46Dは、内面46Bと外面46Cとの間に設けられる曲面である。なお、一方の第2挿通孔形成部46の形状は、フック形状であってもよい。
【0071】
他方の第2挿通孔形成部46は、本体46Eおよびフランジ46Iを含む。本体46Eの形状は、リング形状である。本体46Eは、接続部18の第2部分18B、および、第2保持部12Bの第2突出部32と繋がる。本体46Eは、第2挿通孔46A、内面46F、外面46G、および、周面46Hを含む。内面46Fは、第2配置空間S2を向く平面である。外面46Gは、内面46Fに対して第2配置空間S2とは反対を向く平面である。周面46Hは、内面46Fと外面46Gとの間に設けられる曲面である。本体46Eは、一方の第2挿通孔形成部46に対して第1方向の外側に位置する。フランジ46Iは、本体46Eの内面46Fから第2配置空間S2に向けて突出する。フランジ46Iは、第1方向において一方の第2挿通孔形成部46と同じ箇所に位置する。フランジ46Iは、一方の第2挿通孔形成部46を保持できるように構成される。フランジ46Iは、内周面46Jを含む。内周面46Jは、一方の第2挿通孔形成部46の周面46Dの形状に適合する曲面である。なお、他方の第2挿通孔形成部46の本体46Eの形状は、フック形状であってもよい。
【0072】
一対の第2挿通孔形成部46の一方と一対の第2挿通孔形成部46の他方とは、第2保持部12Bの第1状態において互いに凹凸係合する(図4参照)。一対の第2挿通孔形成部46の一方と一対の第2挿通孔形成部46の他方とは、第2保持部12Bの第2状態において凹凸係合しない(図3参照)。以下の説明では、一対の第2挿通孔形成部46が凹凸係合する状態を「第7状態」と称し、一対の第2挿通孔形成部46が凹凸係合しない状態を「第8状態」と称する。
【0073】
図4に示されるように、第7状態では、一方の第2挿通孔形成部46と他方の第2挿通孔形成部46のフランジ46Iとが凹凸係合し、フランジ46Iが一方の第2挿通孔形成部46と当接する。一対の第2挿通孔形成部46は、第7状態においていくつかの関係を有する。1つ目の関係では、一対の第2挿通孔形成部46の一方の第2挿通孔46Aは、第2保持部12Bの第1状態において、一対の第2挿通孔形成部46の他方の第2挿通孔46Aと少なくとも部分的に重なる。一例では、一方の第2挿通孔46Aは、第2保持部12Bの第1状態において、他方の第2挿通孔46Aと全体的に重なる。具体的には、第2保持部12Bの第1状態では、一方の第2挿通孔46Aと他方の第2挿通孔46Aとが第1方向において全体的に重なる。
【0074】
2つ目の関係では、一方の第2挿通孔形成部46の周面46Dとフランジ46Iの内周面46Jとが当接する。3つ目の関係では、一方の第2挿通孔形成部46の外面46Cと他方の第2挿通孔形成部46の本体46Eの内面46Fとが接触する。4つ目の関係では、一方の第2挿通孔46Aの中心軸と他方の第2挿通孔46Aの中心軸とが一致する。第8状態では、一方の第2挿通孔形成部46と他方の第2挿通孔形成部46とが第2方向に離れる(図3参照)。
【0075】
図6図8を参照して、人力駆動車用連結部材10を用いて第1人力駆動車用ケーブルG1と人力駆動車用コンポーネントCとを連結する工程の一例について説明する。
図6に示されるように、第1工程では、第2状態の第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの内周面34、ならびに、第4状態の接続部18の対向面20A上に第1人力駆動車用ケーブルG1(本実施形態ではブレーキケーブルG11)が配置される。
【0076】
図7に示されるように、第2工程では、保持部12を変形させる力が加えられ、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bが第2状態から第1状態に変化し、接続部18が第4状態から第3状態に変化する。これにともない、一対の第1挿通孔形成部44の状態が第6状態から第5状態に変化し、一対の第2挿通孔形成部46の状態が第8状態から第7状態に変化する。このため、一対の第1挿通孔形成部44が凹凸係合し、一対の第2挿通孔形成部46が凹凸係合する。これらの状態は、例えば使用者の手によって保持される。
【0077】
図8に示されるように、第3工程では、一対の第2挿通部42の間に形成される第2配置空間S2に人力駆動車用コンポーネントC(本実施形態では電動補助ユニット操作装置E1)が配置される。ハウジングE10の第3側面E13は、第1挿通孔形成部44の内面44Bと接触する。ハウジングE10の第4側面は、第2挿通孔形成部46の内面46Bと接触する。ハウジングE10の一方の段差面E18は、第1外縁部26Aと接触する。ハウジングE10の他方の段差面E18は、第2外縁部26Bと接触する。こうして、人力駆動車用コンポーネントCが収容部40に収容される。第4工程では、第1接続凹部E41に第2人力駆動車用ケーブルG2(本実施形態では電動補助ケーブルG14)が挿入され、第2接続凹部にプラグC11が挿入される。以上の工程を経て、第1人力駆動車用ケーブルG1と人力駆動車用コンポーネントCとが人力駆動車用連結部材10によって連結される(図2参照)。
【0078】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用連結部材が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用連結部材は、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
・人力駆動車用連結部材10における人力駆動車用コンポーネントCを保持するための構成は、任意に変更可能である。一例では、人力駆動車用連結部材10は、人力駆動車用コンポーネントCを保持する力(以下、「保持力」)を増加させるための補助構造48を含む。補助構造48は、収容部40の形状を利用して保持力を増加させる第1補助構造48A、および、接続部18の形状を利用して保持力を増加させる第2補助構造48Bを含む。
【0080】
図9は、第1補助構造48Aを含む人力駆動車用連結部材10の第1変形例を示す。この人力駆動車用連結部材10では、一対の第1挿通孔形成部44は、一対の第2挿通孔形成部46に向けて傾斜する。一対の第2挿通孔形成部46は、一対の第1挿通孔形成部44に向けて傾斜する。第1挿通孔形成部44および第2挿通孔形成部46は、それぞれ第2基準面に対して第2配置空間S2に向けて傾斜する。第2基準面に対する各挿通孔形成部44、46の傾き度合は、保持力に影響する。傾きの度合が大きくなるほど、保持力が強くなる。第2配置空間S2に配置される人力駆動車用コンポーネントCは、各挿通孔形成部44、46を第1方向の外側に押し広げる。各挿通孔形成部44、46に生じる復元力によって、各挿通孔形成部44、46と人力駆動車用コンポーネントCとの間に生じる摩擦力が大きくなる。また、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態において、第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bは、第3方向における保持部12の第2中心線L2よりも高い位置に配置される。第2中心線L2は、第1方向に平行である。この場合、人力駆動車用コンポーネントCが第2配置空間S2に配置される状態において、第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bが撓みにくい。
【0081】
第1補助構造48Aを含む人力駆動車用連結部材10は、図9に示される形態とは異なるいくつかの形態を含む。第1例では、各挿通孔形成部44、46の一方だけが第2基準面に対して第2配置空間S2に向けて傾斜する。第2例では、第1挿通孔形成部44の一方の第1挿通孔形成部44の内面44B、および、第2挿通孔形成部46の一方の第2挿通孔形成部46の内面46Bの少なくとも一方に、第2配置空間S2に向けて突出する1つまたは複数の突出部(図示略)が設けられる。
【0082】
図10は、第2補助構造48Bを含む人力駆動車用連結部材10の第2変形例を示す。この人力駆動車用連結部材10では、第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bの少なくとも一方は、第1保持部12Aおよび第2保持部12Bの第1状態において、第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bの他方に向けて湾曲する。一例では、第1部分18Aにおける第1外縁部26Aを含む部分が第1配置空間S1に向けて湾曲し、第2部分18Bにおける第2外縁部26Bを含む部分が第1配置空間S1に向けて湾曲する。第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bの湾曲の度合は、保持力に影響する。湾曲の度合が大きくなるほど、保持力が強くなる。第2配置空間S2に配置される人力駆動車用コンポーネントCは、第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bを第2方向に押し広げる。各外縁部26A、26Bに生じる復元力によって、各外縁部26A、26Bと人力駆動車用コンポーネントCとの間に生じる摩擦力が大きくなる。この場合、人力駆動車用コンポーネントCの第2配置空間S2への配置によって各外縁部26A、26Bが外側に膨らみにくくなるため、外観上好ましい形状となり、第2配置空間S2への異物等の混入を抑制できる。
【0083】
第2補助構造48Bを含む人力駆動車用連結部材10は、図10に示される形態とは異なるいくつかの形態を含む。第1例では、第1外縁部26Aおよび第2外縁部26Bの一方だけが第1配置空間S1に向けて突出するように湾曲する。第2例では、第1部分18Aの対向面20A、および、第2部分18Bの対向面20Aの少なくとも一方に、第1配置空間S1に向けて突出する1つまたは複数の突出部が設けられる。
【0084】
・人力駆動車用連結部材10の連結対象は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車用連結部材10は、複数の人力駆動車用ケーブルGと1つの人力駆動車用コンポーネントCとを連結する。第2例では、人力駆動車用連結部材10は、1本の人力駆動車用ケーブルGと複数の人力駆動車用コンポーネントCとを連結する。第3例では、人力駆動車用連結部材10は、複数の人力駆動車用ケーブルGと複数の人力駆動車用コンポーネントCとを連結する。第4例では、人力駆動車用連結部材10は、フレームA11、または、フレームA11に取り付けられる取付部材と人力駆動車用コンポーネントCとを連結する。この場合、保持部12は、人力駆動車用ケーブルGに代えて、フレームA11または取付部材を保持するように構成される。
【0085】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aは、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、シティサイクル、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aは、キックスケータである。
【符号の説明】
【0086】
10…人力駆動車用連結部材、12…保持部、12A…第1保持部、12B…第2保持部、14…第1挿通部、18…接続部、20A…対向面、22…湾曲促進部、26A…第1外縁部、26B…第2外縁部、28…リブ、40…収容部、40A…開口部、42…第2挿通部、44…第1挿通孔形成部、44A…第1挿通孔、46…第2挿通孔形成部、46A…第2挿通孔、C…人力駆動車用コンポーネント、C10…挿入部、G…人力駆動車用ケーブル、G1…第1人力駆動車用ケーブル、G2…第2人力駆動車用ケーブル、G12…外周面、H…挿入部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10