特許第6912425号(P6912425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6912425ロボットアームとその製造方法およびロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912425
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】ロボットアームとその製造方法およびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/00 20060101AFI20210727BHJP
【FI】
   B25J18/00
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-139197(P2018-139197)
(22)【出願日】2018年7月25日
(65)【公開番号】特開2020-15127(P2020-15127A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年12月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 一隆
(72)【発明者】
【氏名】安部 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】森岡 昌宏
【審査官】 岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−033749(JP,A)
【文献】 特開平08−057791(JP,A)
【文献】 実開昭56−065223(JP,U)
【文献】 特開2018−086698(JP,A)
【文献】 特開2010−125531(JP,A)
【文献】 特開2002−018768(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1866128(KR,B1)
【文献】 特開2006−110641(JP,A)
【文献】 特開2012−161886(JP,A)
【文献】 特開2009−195998(JP,A)
【文献】 特開2010−076071(JP,A)
【文献】 特開2012−061545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の筒状のアーム本体と、
該アーム本体の両側に固定され、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部とを備えるロボットアームであって
前記アーム本体および前記取付インタフェース部の外表面の少なくとも一部が樹脂製であり、
一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有する第1部品と、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有する第2部品とが相互に分離不能に接合されることによって一体に成形され
前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアーム。
【請求項2】
長尺の筒状のアーム本体と、
該アーム本体の両側に固定され、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部とを備え、
前記アーム本体および前記取付インタフェース部の外表面の少なくとも一部が樹脂製であり、
一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有する第1部品と、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有する第2部品とが相互に接合され、
前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続し
各前記取付インタフェース部が、他の部材に取り付けるための取付面を構成する金属部材を備え、2つの前記金属部材が電気的に導通しているロボットアーム。
【請求項3】
各前記取付インタフェース部が、他の部材に取り付けるための取付面を構成する金属部材を備え、2つの前記金属部材が電気的に導通している請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項4】
各前記取付インタフェース部が、前記金属部材の少なくとも前記取付面を露出させた状態に埋め込んで前記アーム本体に接続する樹脂製の接続部を備える請求項2または請求項3に記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記金属部材が、中央に板厚方向に貫通する中央孔を有するリング板状に形成され、
前記接続部が、前記アーム本体の内孔に接続しかつ前記金属部材の前記中央孔において外部に開放された内部空間を備える請求項に記載のロボットアーム。
【請求項6】
前記取付面が前記アーム本体の長手軸と平行に延びる位置に配置されている請求項1から請求項5のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項7】
前記金属部材が、板厚方向に貫通し取付ネジを貫通させる貫通孔を備えるとともに、前記取付面および該取付面の背面の前記貫通孔の周囲の前記取付ネジの座面を露出させて前記接続部を構成する樹脂に埋め込まれている請求項4または請求項に記載のロボットアーム。
【請求項8】
各前記取付インタフェース部を構成する樹脂と各前記金属部材とが、一方に設けられた凹部に他方に設けられた凸部を嵌合させることにより相互に固定されている請求項2から請求項5および請求項7のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項9】
前記金属部材が、炭素繊維との組合せに対し、アルミニウムよりも耐食性の高い金属材料により構成されている請求項2から請求項5、請求項7および請求項8のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項10】
前記第1部品と前記第2部品とが同一形状を有する請求項1から請求項のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項11】
前記第2部品が、前記第1部品と同一形状の第3部品と、該第3部品の前記アーム本体の一部を延長する第4部品とを接合したものである請求項1から請求項のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項12】
前記第4部品が、樹脂製の横断面均一な筒体である請求項11に記載のロボットアーム。
【請求項13】
前記第4部品が、金属製パイプの外面を樹脂により被覆した横断面均一な筒体である請求項11に記載のロボットアーム。
【請求項14】
前記第1部品と前記第2部品とが、機械的な結合要素により接合されている請求項に記載のロボットアーム。
【請求項15】
前記アーム本体および前記取付インタフェース部を構成する樹脂が、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性を有する請求項1から請求項14のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項16】
前記アーム本体および前記取付インタフェース部を構成する樹脂の外表面が、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性の塗料により被覆されている請求項1から請求項14のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項17】
長尺の筒状のアーム本体の両端に、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部を備え、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームの製造方法であって、
一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の第1部品を成形し、
他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の第2部品を成形し、
成形された前記第1部品と前記第2部品とを、同一の成形型に位置決め状態に固定した後に、前記ロボットアームの最終形状を成すように相互に位置決めした状態で一体的に接合するロボットアームの製造方法。
【請求項18】
前記第1部品および前記第2部品を射出成形またはプレス成形により成形する請求項17に記載のロボットアームの製造方法。
【請求項19】
長尺の筒状のアーム本体の両端に、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部を備え、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームの製造方法であって、
前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の同一形状の第1部品および第3部品を成形し、
該第1部品の前記アーム本体の一部を延長する筒状の第4部品を成形し、
成形された前記第1部品と前記第3部品との間に前記第4部品を配置し、前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を同一の成形型に位置決め状態に固定した後に、前記ロボットアームの最終形状を成すように前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を相互に位置決めした状態で一体的に接合するロボットアームの製造方法。
【請求項20】
前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を射出成形またはプレス成形により成形する請求項19に記載のロボットアームの製造方法。
【請求項21】
請求項1から請求項16のいずれかに記載のロボットアームを備えるロボット。
【請求項22】
前記ロボットアームを2以上備える請求項21に記載のロボット。
【請求項23】
各前記ロボットアームの前記取付インタフェース部が同一形状であり、
各前記ロボットアームの前記アーム本体が異なる長さを有する請求項22に記載のロボット。
【請求項24】
複数の前記ロボットアームが同一長さである請求項21に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームとその製造方法およびロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業用ロボットのアームは、軽量化を図りながら強度を保持するために、アルミニウム合金等の金属により構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−018058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属製のロボットアームは軽量化に限界があるとともに、アクチュエータの取付面を精度よく製造するには、取付面を精度よく加工する必要があるため、製造コストが高く付くという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、強度を保持しながらさらなる軽量化を図るとともに、製造コストを低減することができるロボットアームとその製造方法およびロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、長尺の筒状のアーム本体と、該アーム本体の両側に固定され、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部とを備えるロボットアームであって、前記アーム本体および前記取付インタフェース部の外表面の少なくとも一部が樹脂製であり、一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有する第1部品と、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有する第2部品とが相互に分離不能に接合されることによって一体に成形され、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームである。
本発明の他の態様は、該アーム本体の両側に固定され、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部とを備え、前記アーム本体および前記取付インタフェース部の外表面の少なくとも一部が樹脂製であり、一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有する第1部品と、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有する第2部品とが相互に接合され、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続し、各前記取付インタフェース部が、他の部材に取り付けるための取付面を構成する金属部材を備え、2つの前記金属部材が電気的に導通しているロボットアームである。
【0006】
本態様によれば、ロボットアームを構成するアーム本体および取付インタフェース部の少なくとも一部を樹脂で構成しているので、金属材料を使用する従来のロボットアームと比較して大幅に軽量化を図ることができる。この場合において、長尺の筒状のアーム本体の両端に取付インタフェース部を備える形状は、成形型を用いて一度に成形することができない。
【0007】
これに対して、本態様によれば、アーム本体が長手方向に分割されかつ内部空間が少なくとも一方向に開放された第1部品および第2部品を、成形型を用いて簡易に成形することができ、成形された第1部品と第2部品とを接合することにより容易に製造することができる。これにより、製造コストを低減することができる。また、アーム本体の長さを変えるだけで、様々なアームバリエーションを比較的容易に構成することができる。
【0008】
上記態様においては、各前記取付インタフェース部が、前記他の部材に取り付けるための取付面を構成する金属部材と、該金属部材の少なくとも前記取付面を露出させた状態に埋め込んで前記アーム本体に接続する樹脂製の接続部とを備えていてもよい。
この構成により、金属部材を精度よく機械加工しておき、アーム本体の両端の取付インタフェース部を構成する樹脂にそれぞれ埋め込むことにより、機械加工せずに精度よく位置合わせされた2つの取付面を有するロボットアームを実現することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【0009】
また、上記態様においては、前記金属部材が、中央に板厚方向に貫通する中央孔を有するリング板状に形成され、前記接続部が、前記アーム本体の内孔に接続しかつ前記金属部材の前記中央孔において外部に開放された内部空間を備えていてもよい。
この構成により、アーム本体の内孔を通って両端の取付面まで内部空間を連続させることができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記取付面が前記アーム本体の長手軸と平行に延びる位置に配置されていてもよい。
この構成により、アーム本体の一端の金属部材の中心軸回りに回転するロボットアームが構成される。
【0011】
また、上記態様においては、前記金属部材が、板厚方向に貫通し取付ネジを貫通させる貫通孔を備えるとともに、前記取付面および該取付面の背面の前記貫通孔の周囲の前記取付ネジの座面を露出させて前記接続部を構成する樹脂に埋め込まれていてもよい。
この構成により、取付インタフェース部に備えられた金属部材の貫通孔に貫通させた取付ネジによりロボットアームをアクチュエータ等の被取付体に固定する場合に、金属部材の表面を取付ネジの座面として露出させているので、取付ネジの頭部と被取付体との間に樹脂を介在させずに取付ネジを締結することができ、繰り返し応力作用による取付ネジの緩み等を防止して、より確実に固定することができる。
【0012】
また、上記態様においては、各前記取付インタフェース部を構成する樹脂と各前記金属部材とが、一方に設けられた凹部に他方に設けられた凸部を嵌合させることにより相互に固定されていてもよい。
この構成により、取付インタフェース部を構成する樹脂への金属部材の埋め込み時に、凹部と凸部とを嵌合させて、外力が作用しても樹脂に対して金属部材がズレることを防止することができる。この場合、機械加工により形成された凹部と凸部とを嵌合させてもよいし、化学的処理により金属部材に形成された凹凸に溶融樹脂を流し込んで嵌合させたものであってもよい。
【0013】
また、上記態様においては、2つの前記金属部材が電気的に導通していてもよい。
この構成により、ロボットアームの先端に取り付ける電動の機材等の電気的な接地を容易にすることができる。
【0014】
また、上記態様においては、前記金属部材が、炭素繊維との組合せに対し、アルミニウムよりも耐食性の高い金属材料により構成されていてもよい。
この構成により、炭素繊維を含有する樹脂を用いても、金属部材が腐食することを防止して耐久性を向上することができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記第1部品と前記第2部品とが同一形状を有していてもよい。
この構成により、1種類の部品を2つ成形して相互に接合するだけで済み、部品の種類を削減することにより製造コストを低減することができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記第2部品が、前記第1部品と同一形状の第3部品と、該第3部品の前記アーム本体の一部を延長する第4部品とを接合したものであってもよい。
この構成により、第1部品と第3部品とを同一形状とすることにより、1種類の部品を2つ成形して相互に接合するだけで済み、部品の種類を削減することにより製造コストを低減することができる。第3部品に接合する第4部品の長さを調整することによって、アーム本体の長さを調整することができる。
【0017】
また、上記態様においては、前記第4部品が、樹脂製の横断面均一な筒体であってもよい。
この構成により、簡易に成形可能な第4部品によって、ロボットアームの製造コストを低減することができる。また、第4部品を横断面均一な筒体とすることにより長さの異なるアーム本体を容易に成形することができる。
【0018】
また、上記態様においては、前記第4部品が、金属製パイプの外面を樹脂により被覆した横断面均一な筒体であってもよい。
この構成により、簡易に成形可能な第4部品によって、ロボットアームの製造コストを低減することができる。また、第4部品を横断面均一な筒体とすることにより長さの異なるアーム本体を容易に成形することができる。また、内面に金属製パイプを配置することにより、ロボットアームの剛性を向上することができる。表面の少なくとも一部が金属よりも柔らかい樹脂で覆われるので、人と接触した場合に人に加わる力を金属の場合よりも低減することができる。
【0019】
また、上記態様においては、前記第1部品と前記第2部品とが、機械的な結合要素により接合されていてもよい。
この構成により、接着材によって接合する場合と比較して、接合強度を向上することができるとともに、第1部品と第2部品との接合による電気的な導通を容易にすることができる。機械的な結合要素としては、例えば、ボルトあるいはリベット等を挙げることができる。
【0020】
また、上記態様においては、前記アーム本体および前記取付インタフェース部を構成する樹脂が、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性を有していてもよい。
この構成により、ロボットアームの自己消化性を担保することができる。
【0021】
また、上記態様においては、前記アーム本体および前記取付インタフェース部を構成する樹脂の外表面が、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性の塗料により被覆されていてもよい。
この構成により、難燃性の高い塗料によってロボットアームの自己消化性を担保することができる。
【0022】
また、本発明の他の態様は、長尺の筒状のアーム本体の両端に、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部を備え、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームの製造方法であって、一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の第1部品を成形し、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の第2部品を成形し、成形された前記第1部品と前記第2部品とを、同一の成形型に位置決め状態に固定した後に、前記ロボットアームの最終形状を成すように相互に位置決めした状態で一体的に接合するロボットアームの製造方法である。
上記態様においては、前記第1部品および前記第2部品を射出成形またはプレス成形により成形してもよい。
【0023】
また、本発明の他の態様は、長尺の筒状のアーム本体の両端に、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部を備え、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームの製造方法であって、前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の同一形状の第1部品および第3部品を成形し、該第1部品の前記アーム本体の一部を延長する筒状の第4部品を成形し、成形された前記第1部品と前記第3部品との間に前記第4部品を配置し、前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を同一の成形型に位置決め状態に固定した後に、前記ロボットアームの最終形状を成すように前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を相互に位置決めした状態で一体的に接合するロボットアームの製造方法である。
【0024】
上記態様においては、前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を射出成形またはプレス成形により成形してもよい
【0025】
また、本発明の他の態様は、上記いずれかのロボットアームを備えるロボットである。
上記態様においては、前記ロボットアームを2以上備えていてもよい。
また、上記態様においては、各前記ロボットアームの前記取付インタフェース部が同一形状であり、各前記ロボットアームの前記アーム本体が異なる長さを有していてもよい。
また、上記態様においては、複数の前記ロボットアームが同一長さであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、強度を保持しながらさらなる軽量化を図るとともに、製造コストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るロボットアームを示す斜視図である。
図2図1のロボットアームを取付面側から見た斜視図である。
図3図1のロボットアームを取付面側から見た図である。
図4図1のロボットアームの平面図である。
図5図1のロボットアームの側面図である。
図6図1のロボットアームを示す縦断面図である。
図7図1のロボットアームの取付インタフェース部の部分的な拡大縦断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るロボットアームの製造方法を示すフローチャートである。
図9図1のロボットアームを減速機に組み付けたロボットの関節軸部分を示す正面図である。
図10図9の関節軸部分を示す斜視図である。
図11図7のA部分の拡大縦断面図である。
図12図11の金属プレートの変形例を示す斜視図である。
図13図1のロボットアームの端部部品と中央部品との接合方法の変形例を示す縦断面図である。
図14図1のロボットアームの金属プレート同士の電気的な導通方法の一例を示す縦断面図である。
図15図1のロボットアームの変形例を示す斜視図である。
図16図1のロボットアームの他の変形例を示す斜視図である。
図17図1のロボットアームの他の変形例を示す斜視図である。
図18図1のロボットアームの他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態に係るロボットアーム1とその製造方法およびロボット100について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るロボットアーム1は、図1から図5に示されるように、円筒のパイプ状のアーム本体2と、該アーム本体2の長手軸方向の両端に設けられた2つの取付インタフェース部3とを備えている。
【0029】
アーム本体2は、樹脂により構成されている。
また、取付インタフェース部3は、アーム本体2に接続する樹脂製の接続部4と、該接続部4を構成する樹脂に埋め込まれた平板状の金属プレート(金属部材)5とを備えている。接続部4はアーム本体2の内孔2aを両端において遮る位置に配置され、アーム本体2の長手軸に直交する方向に延びる略円錐台の形状を有している。
【0030】
金属プレート5は円錐台形状の接続部4の底面に相当する部分に、アーム本体2の長手軸と平行に配置され、接続部4を構成する樹脂に、例えば、インサート成形によって埋め込まれている。
金属プレート5は、図2および図3に示されるように、中央孔6を有するリング板状に形成されている。金属プレート5には、板厚方向に貫通する複数の貫通孔7が、周方向に間隔をあけて設けられている。
【0031】
各接続部4は、図6に示されるように、中空に構成され、接続部4の内孔は、接続部4の側壁に接続するアーム本体2の内孔2aに接続している。これにより、アーム本体2の内孔2aは、接続部4内で屈曲させられ、2つの金属プレート5の中央孔6に開口している。図6においては、アーム本体2の外周面が、第1部品21および第3部品22の内周面に嵌合されているが、アーム本体2の内周面に、第1部品21および第3部品22の外周面が嵌合されていてもよい。
【0032】
金属プレート5は、板厚方向の一面を取付面5aとして、取付面5a全体を露出させている。
また、金属プレート5の板厚方向の他の面は、図7に示されるように、幾つかの貫通孔7の周囲を部分的に露出させた状態で、接続部4を構成する樹脂によって覆われている。貫通孔7の周囲に露出している金属プレート5の表面は、取付ネジ(図10参照)9の頭部の外径よりも若干大きく露出して、貫通孔7に挿入される取付ネジ9の座面として機能する。
【0033】
アーム本体2に重なる位置に配置されている貫通孔7については、金属プレート5を座面として露出させずに接続部4を構成する樹脂により貫通孔7を覆うことによって閉塞している。このような構造とすることで、位置決めピンを入れた場合に、ロボット100の動作などによって位置決めピンが抜けることを防止できる。
【0034】
また、金属プレート5の取付面5aは、接続部4を構成する樹脂から突出した位置に配置されている。そして、2つの接続部4の金属プレート5の取付面5aは、同一平面内に配置されている。
また、接続部4には、接続部4内の空間を金属プレート5の中央孔6とは異なる部位において外部に開口させる開口部8が設けられている。図1においては、開口部8は、中央孔6の反対側に設けられているが、これに限られるものではなく、各接続部4の側面部に設けられていてもよい。開口部8は後述する蓋部材10によって閉塞することができるようになっている。
【0035】
本実施形態においては、ロボットアーム1は、図1から図6に示されるように、一方の取付インタフェース部3とその取付インタフェース部3に接続するアーム本体2の一部とを備える2つの端部部品(第1部品、第3部品)21,22と、2つの端部部品21,22の間に配置されアーム本体2の中央部分を構成する単純な円筒状の中央部品(第4部品)23とを相互に接合することにより構成されている。ここで、一方の端部部品21と中央部品23とにより第2部品20が構成される。
【0036】
このように構成された本実施形態に係るロボットアーム1の製造方法について、以下に説明する。
本実施形態に係る製造方法は、図8に示されるように、2つの端部部品21,22を成形し(ステップS1)、中央部品23を成形し(ステップS2)、2つの端部部品21,22を中央部品23の両端に配置して3つの部品21,22,23を相互に接合する(ステップS3)ものである。
【0037】
端部部品21,22は、機械加工等によって精度よく製造された金属プレート5を成形型内に位置決めした状態で、樹脂によりインサート成形することにより簡易に製造することができる。すなわち、端部部品21,22は、成形型を利用した射出成形またはプレス成形により簡易に成形される。
【0038】
ここで、本実施形態に係るロボットアーム1は、円筒状のアーム本体2の両端に取付インタフェース部3を配置しているので、アーム本体2の内孔2aが両端において接続部4により遮られている。このため、成形型を利用した成形方法ではロボットアーム1全体を一度に成形することができない。
【0039】
これに対し、本実施形態においては、ロボットアーム1を中央部品23と2つの端部部品21,22とに分割しているので、端部部品21,22においては、アーム本体2の内孔2aおよび接続部4の内孔がそれぞれ一方向に開放されている。すなわち、成形型の分割構造を工夫することにより、成形型を利用して端部部品21,22を容易に製造することができる。
中央部品23は単純な円筒部材であるため、引き抜き加工や押し出し加工により容易に成形することができる。
【0040】
また、2つの端部部品21,22として同一形状を有するものを使用することにより、使用部品の種類を削減することができる。使用部品の種類を削減することで、部品管理を容易にすることができるとともに、成形型の種類も削減することができて、製造コストを効果的に低減することができる。
また、2つの同一形状の端部部品21,22を接続する中央部品23として単純な円筒部材を採用することにより、長手軸方向の長さ調整が容易であり、異なる長さのロボットアーム1を簡単に製造することができるという利点もある。これにより、アーム本体2の長さが異なるだけの様々な長さのロボットアーム1を構成することができる。
【0041】
そして、ステップS3においては、2つの端部部品21,22、特に、端部部品21,22に備えられた2枚の金属プレート5の取付面5aとなる一側の表面を、治具等によって同一平面内に精度よく位置決めした状態で固定した後に、射出成形またはプレス成形等の任意の接合方法により、ロボットアーム1の最終形状を成すように一体的に接合することにより、アーム本体2の両端に2つの取付インタフェース部3を備える本実施形態に係るロボットアーム1を製造することができる。
【0042】
このようにして製造される本実施形態に係るロボットアーム1によれば、アルミニウム合金等の金属により構成した場合と比較して、ほぼ全体を樹脂により構成しているので、大幅な軽量化を図ることができる。
また、精度よく構成された金属プレート5をインサート成形して製造するので、2つの金属プレート5の取付面5aを機械加工することなく精度よく配置することができる。これにより、機械加工が不要となり、製造コストを削減することができる。
【0043】
特に、金属プレート5の取付面5aを、接続部4を構成する樹脂から突出させているので、ロボットアーム1を減速機出力軸110に取り付ける際に樹脂が邪魔にならずに済むという利点がある。
【0044】
そして、このようなロボットアーム1を、図9および図10に示されるように、ロボット100の減速機出力軸110等に固定することにより、簡易にロボット100の関節軸を構成することができる。
この場合には、金属プレート5に設けられている貫通孔7に取付ネジ9を貫通させて減速機出力軸110のネジ孔に締結することにより、取付ネジ9の頭部を金属プレート5の取付面5aとは反対側の表面である座面に押し付けることができる。
【0045】
すなわち、取付ネジ9の頭部と減速機出力軸110との間に樹脂が存在する場合には、十分な締結を行うことができないため、ロボット100が繰り返し動作することで取付ネジ9が緩んでしまう虞があるが、本実施形態においては、金属プレート5のみを取付ネジ9の頭部と減速機出力軸110との間に配置しているので、十分な締結力で締結することができて、取付ネジ9の緩みを確実に防止することができるという利点がある。
【0046】
ただし、負荷によって、金属プレート5自体が接続部4の樹脂部材から剥離してしまわないように、十分注意する必要もある。このことを考慮すると、図11に示されるように、金属プレート5の側面において、取付面5aから厚さ方向に間隔をあけた位置に径方向に突出した凸部15が設けられる構造が好ましい。このようにすることで、金属プレート5が横断面形状を長手方向において凹凸の付いた形状で構成されるため、凸部15が接続部4に引っかかり、接続部4の樹脂部材を破壊しないと金属プレート5が剥離しないようにすることができる。
【0047】
また、金属プレート5に凸部15を設ける構造を例示したが、これに代えて、金属プレート5の側面において、厚さ方向の途中位置において径方向に凹んだ凹部16を設けるようにしてもよい。また、図12に示されるように、周方向の1箇所以上に径方向に凹む凹部16を設けることにしてもよい。これにより、金属プレートにトルクが作用しても接続部を構成する樹脂との間で位置ズレが発生することを防止できる。更なる強度向上や剛性強化のため、構造用接着剤を併用してもよい。
【0048】
また、本実施形態に係るロボットアーム1によれば、アーム本体2が内孔2aを有する中空のパイプ状に形成され、金属プレート5が、中央孔6を有するリング板状に形成され、接続部4が、中央孔6に内孔2aを開口させるように中空に形成されているので、一の取付インタフェース部3の取付面5aからアーム本体2の内孔2aを通って他の取付インタフェース部3の取付面5aまで貫通する1つの空間がロボットアーム1内に形成される。これにより、この空間を利用してケーブル等の線条体を通すことができ、外側に線条体を露出させずに配線することができるという利点がある。
【0049】
また、接続部4内の空間を金属プレート5の中央孔6とは反対側において外部に開口させる開口部8が設けられているので、取付面5aをアクチュエータ120等の被取付体に固定することにより、金属プレート5の中央孔6が閉塞された状態で、開口部8を介してロボットアーム1の内部空間にアクセスすることが可能となり、線条体の固定作業や配線作業等を容易に行うことができるという利点がある。
【0050】
なお、図10に示されるように、開口部8を閉塞する蓋部材10を接続部4にネジによって固定する場合には、図7に示されるように、接続部4側に、開口部8に連通する中央孔14を有するリング板状に形成された金属プレート12をインサート成形によって埋め込んでおき、該金属プレート12にネジ孔13を設けておくことにより、蓋部材10を緩まないように固定することができる。また、蓋部材10をしっかり締結することにより、ロボットアーム1の強度向上を図ることができる。
【0051】
また、座面となる金属プレート5の表面を露出させている貫通孔7については、上述したように取付ネジ9を用いて減速機出力軸110等に固定する際に利用することができるが、アーム本体2と重複して樹脂により閉塞されている貫通孔7については、減速機出力軸110との間の周方向の位置決めを行う位置決めピンを嵌合させるピン孔として使用することもできる。
【0052】
また、本実施形態に係るロボットアーム1として、2つの金属プレート5の取付面5aが同一平面内に配置されるように位置決めした状態で製造したものを例示したが、これに代えて、2つの金属プレート5の取付面5aが相互に平行に配置されるように位置決めした状態で製造してもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、金属部材として中央孔6と該中央孔6の周囲に複数の貫通孔7を備えるリング板状の部材である金属プレート5を例示したが、これに代えて、単一の貫通孔7を有する座金状の金属部材を、中央孔6の周囲に複数配置して接続部4を構成する樹脂に埋め込むことにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、アーム本体2が樹脂により構成されているものとして説明したが、これに代えて、アルミニウム等の金属製の薄肉の円筒部材の表面を樹脂によって被覆した部材を採用してもよい。金属を併用することで、アーム本体2の剛性を高めることができるとともに、金属と樹脂との併用により金属の使用量を少なくして、軽量化を図ることができる。また、外面を樹脂により構成することで、比較的柔らかい表面を有するロボットアーム1を構成することができる。
【0055】
また、アーム本体2および接続部4を構成する樹脂としては、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性を有するものであることが好ましい。さらには、試験片((125プラスマイナス5)×(13プラスマイナス0.5)×t)mmをクランプに直接取り付け、20mm火炎による10秒間接炎を2回行い、各試験片の燃焼時間が10秒以下であり、5本の合計燃焼時間50秒以下であり、各試験片の燃焼+グローイング時間30秒以下であり、クランプまでの燃焼がなく、試験片の下方に配置した綿への着火がないことが好ましい。この構成により、ロボットアーム1が何らかの原因によって過熱しても、自己消化性を担保することができるという利点がある。また、難燃性の性能が上述に記載する条件を満たせず、多少劣るレベルのものであったとしても、ロボットアーム1としての機能を満たせることは言うまでもない。
【0056】
また、樹脂自体として、上述した難燃性のものを使用する場合の他、樹脂自体の難燃性は低くても、樹脂よりも難燃性の高い塗料を樹脂の外表面全体に塗布することにしてもよい。
また、樹脂としては熱硬化性または熱可塑性の任意の樹脂を採用することができる。
また、樹脂としては、ガラス繊維強化樹脂等の任意の繊維強化樹脂を採用することにしてもよい。ガラス繊維強化樹脂においては、繊維が無色透明であることから、母材材料に色を練り込むことで、塗装費用をコストカットすることもできる。
【0057】
また、樹脂として炭素繊維を含有するものを採用する場合には、炭素繊維がアーム本体2の長手軸方向に配向されているとともに、炭素繊維同士が接触状態に配置されており、かつ、炭素繊維と金属プレート5とが接触していることが好ましい。これにより、ロボットアーム1の両端に配置される金属プレート5同士を電気的に導通させることができる。すなわち、ロボットアーム1の先端に電動工具等の電動機材を搭載する場合に、アース線を別途設けることなく電動機材を電気的に接地することができる。
【0058】
そして、このように炭素繊維を含有する樹脂を採用する場合には、樹脂に埋め込まれる金属プレート5としては、炭素繊維との組合せに対し、アルミニウムよりも耐食性の高い金属材料により構成されていることが好ましい。これにより、金属プレート5の腐食を防止して耐久性を向上することができる。
【0059】
また、端部部品21,22と中央部品23との接合を任意の接合方法でよいとしたが、これに代えて、図13に示されるように、端部部品21,22の筒状部分と中央部品23とを嵌合させ、その嵌合部分において端部部品21,22および中央部品23を径方向に貫通するシャフト24および固定ボルト25によって機械的に固定してもよい。この構成により、端部部品21,22と中央部品23とが長手軸方向に抜けたり、長手軸回りに回転したりして、相互に位置ズレすることを防止することができる。
機械的な固定方法としては、ボルトおよびリベット等の機械的な結合要素を使用することができる。この場合、座面陥没防止や雌ネジの強化のために、ワッシャやスペーサ等の金属部材を併用することが望ましい。ボルトやリベットが金属であるため、電気的な導通を容易に確保することができる。
【0060】
また、機械的な固定方法として、周方向に噛み合うキーとキー溝、スプライン結合等を採用してもよい。更なる強度向上や剛性強化のため、構造用接着剤を併用してもよい。
【0061】
また、端部部品21,22および中央部品23を非導電性の樹脂により構成し、図14に示されるように、ロボットアーム1の両端の金属プレート5同士をケーブル26によって接続することにより、電気的に導通させてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、2つの同一形状の端部部品21,22を単純な円筒状の中央部品23により連結することとしたが、これに代えて、図15に示されるように、アーム本体2を中央で分割し、2つの同一形状の端部部品21,22同士を直接接合することにより、ロボットアーム1を製造することにしてもよい。
【0063】
また、図16に示されるように、アーム本体2の一部を構成する部分の長さが異なる2種類の端部部品21,22を用意し、これらの端部部品21,22同士を直接接合することにより、ロボットアーム1を製造することにしてもよい。この場合、短い端部部品21,22同士の組合せ、長い端部部品21,22同士の組合せおよび長い端部部品21と短い端部部品22との組合せにより3種類の長さのロボットアーム1を製造することができ、種々のアームリーチバリエーションを実現することができる。長さの異なる2種以上の端部部品21,22を用意することにより、さらに多くのアームリーチバリエーションを実現することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るロボット100としては、上述したロボットアーム1を2以上備えていてもよい。例えば、ロボット100の前腕と上腕に上述したロボットアーム1を採用し、軽量かつ低コストでロボット100を構成することができる。同一長さの2以上のロボットアーム1を採用することにより、コストをさらに低減できる。また、アーム本体2の長さを異ならせることによる異なる長さの2以上のロボットアーム1を採用することにより、様々なリーチ長のロボット100を構成することができる。
【0065】
また、本実施形態においては、アーム本体2の両端にアーム本体2の内孔2aを直交する方向に湾曲させる取付インタフェース部3を設けたが、これに代えて、取付インタフェース部3としては、図17および図18に示されるように、アーム本体2の長手軸に直交する方向に延びる取付面5aを有し、アーム本体2の内孔2aを長手軸方向に開口させるものを採用してもよい。アーム本体2が長ければ長いほど、金型の作成が困難となるため、本発明の構造が有効となる。
【0066】
また、ロボットアーム1として、図1または図17に示されるように、アーム本体2の両端の少なくとも一方にアーム本体2の内孔2aを直交する方向に湾曲させる取付インタフェース部3を設けたものは、図18に示されるように、アーム本体2の長手軸に直交する方向に延びる取付面5aを有し、アーム本体2の内孔2aを長手軸方向に開口させるものよりも本発明の分割構造の効果をより発揮することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、ロボットアーム1として、図6において、端部部品21,22および中央部品23をオーバーラップさせたものを例示した。このオーバーラップ量については、アーム強度を確保できるならばどのような長さであってもよい。ただし、ロボットアーム1内に線条体を通すために、中央孔6と内孔2aとが必ず連通している必要がある。
【符号の説明】
【0068】
1 ロボットアーム
2 アーム本体
2a 内孔
3 取付インタフェース部
5 金属プレート(金属部材)
5a 取付面
6 中央孔
7 貫通孔
9 取付ネジ
10 蓋部材
15 凸部
16 凹部
20 第2部品
21,22 端部部品(第1部品、第3部品)
23 中央部品(第4部品)
100 ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18