【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、長尺の筒状のアーム本体と、該アーム本体の両側に固定され、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部とを備え
るロボットアームであって、前記アーム本体および前記取付インタフェース部の外表面の少なくとも一部が樹脂製であり、一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有する第1部品と、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有する第2部品とが
、相互に
分離不能に接合され
ることによって一体に成形され、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームである。
本発明の他の態様は、該アーム本体の両側に固定され、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部とを備え、前記アーム本体および前記取付インタフェース部の外表面の少なくとも一部が樹脂製であり、一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有する第1部品と、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有する第2部品とが相互に接合され、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続し、各前記取付インタフェース部が、他の部材に取り付けるための取付面を構成する金属部材を備え、2つの前記金属部材が電気的に導通しているロボットアームである。
【0006】
本態様によれば、ロボットアームを構成するアーム本体および取付インタフェース部の少なくとも一部を樹脂で構成しているので、金属材料を使用する従来のロボットアームと比較して大幅に軽量化を図ることができる。この場合において、長尺の筒状のアーム本体の両端に取付インタフェース部を備える形状は、成形型を用いて一度に成形することができない。
【0007】
これに対して、本態様によれば、アーム本体が長手方向に分割されかつ内部空間が少なくとも一方向に開放された第1部品および第2部品を、成形型を用いて簡易に成形することができ、成形された第1部品と第2部品とを接合することにより容易に製造することができる。これにより、製造コストを低減することができる。また、アーム本体の長さを変えるだけで、様々なアームバリエーションを比較的容易に構成することができる。
【0008】
上記態様においては、各前記取付インタフェース部が、前記他の部材に取り付けるための取付面を構成する金属部材と、該金属部材の少なくとも前記取付面を露出させた状態に埋め込んで前記アーム本体に接続する樹脂製の接続部とを備えていてもよい。
この構成により、金属部材を精度よく機械加工しておき、アーム本体の両端の取付インタフェース部を構成する樹脂にそれぞれ埋め込むことにより、機械加工せずに精度よく位置合わせされた2つの取付面を有するロボットアームを実現することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【0009】
また、上記態様においては、前記金属部材が、中央に板厚方向に貫通する中央孔を有するリング板状に形成され、前記接続部が、前記アーム本体の内孔に接続しかつ前記金属部材の前記中央孔において外部に開放された内部空間を備えていてもよい。
この構成により、アーム本体の内孔を通って両端の取付面まで内部空間を連続させることができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記取付面が前記アーム本体の長手軸と平行に延びる位置に配置されていてもよい。
この構成により、アーム本体の一端の金属部材の中心軸回りに回転するロボットアームが構成される。
【0011】
また、上記態様においては、前記金属部材が、板厚方向に貫通し取付ネジを貫通させる貫通孔を備えるとともに、前記取付面および該取付面の背面の前記貫通孔の周囲の前記取付ネジの座面を露出させて前記接続部を構成する樹脂に埋め込まれていてもよい。
この構成により、取付インタフェース部に備えられた金属部材の貫通孔に貫通させた取付ネジによりロボットアームをアクチュエータ等の被取付体に固定する場合に、金属部材の表面を取付ネジの座面として露出させているので、取付ネジの頭部と被取付体との間に樹脂を介在させずに取付ネジを締結することができ、繰り返し応力作用による取付ネジの緩み等を防止して、より確実に固定することができる。
【0012】
また、上記態様においては、各前記取付インタフェース部を構成する樹脂と各前記金属部材とが、一方に設けられた凹部に他方に設けられた凸部を嵌合させることにより相互に固定されていてもよい。
この構成により、取付インタフェース部を構成する樹脂への金属部材の埋め込み時に、凹部と凸部とを嵌合させて、外力が作用しても樹脂に対して金属部材がズレることを防止することができる。この場合、機械加工により形成された凹部と凸部とを嵌合させてもよいし、化学的処理により金属部材に形成された凹凸に溶融樹脂を流し込んで嵌合させたものであってもよい。
【0013】
また、上記態様においては、2つの前記金属部材が電気的に導通していてもよい。
この構成により、ロボットアームの先端に取り付ける電動の機材等の電気的な接地を容易にすることができる。
【0014】
また、上記態様においては、前記金属部材が、炭素繊維との組合せに対し、アルミニウムよりも耐食性の高い金属材料により構成されていてもよい。
この構成により、炭素繊維を含有する樹脂を用いても、金属部材が腐食することを防止して耐久性を向上することができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記第1部品と前記第2部品とが同一形状を有していてもよい。
この構成により、1種類の部品を2つ成形して相互に接合するだけで済み、部品の種類を削減することにより製造コストを低減することができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記第2部品が、前記第1部品と同一形状の第3部品と、該第3部品の前記アーム本体の一部を延長する第4部品とを接合したものであってもよい。
この構成により、第1部品と第3部品とを同一形状とすることにより、1種類の部品を2つ成形して相互に接合するだけで済み、部品の種類を削減することにより製造コストを低減することができる。第3部品に接合する第4部品の長さを調整することによって、アーム本体の長さを調整することができる。
【0017】
また、上記態様においては、前記第4部品が、樹脂製の横断面均一な筒体であってもよい。
この構成により、簡易に成形可能な第4部品によって、ロボットアームの製造コストを低減することができる。また、第4部品を横断面均一な筒体とすることにより長さの異なるアーム本体を容易に成形することができる。
【0018】
また、上記態様においては、前記第4部品が、金属製パイプの外面を樹脂により被覆した横断面均一な筒体であってもよい。
この構成により、簡易に成形可能な第4部品によって、ロボットアームの製造コストを低減することができる。また、第4部品を横断面均一な筒体とすることにより長さの異なるアーム本体を容易に成形することができる。また、内面に金属製パイプを配置することにより、ロボットアームの剛性を向上することができる。表面の少なくとも一部が金属よりも柔らかい樹脂で覆われるので、人と接触した場合に人に加わる力を金属の場合よりも低減することができる。
【0019】
また、上記態様においては、前記第1部品と前記第2部品とが、機械的な結合要素により接合されていてもよい。
この構成により、接着材によって接合する場合と比較して、接合強度を向上することができるとともに、第1部品と第2部品との接合による電気的な導通を容易にすることができる。機械的な結合要素としては、例えば、ボルトあるいはリベット等を挙げることができる。
【0020】
また、上記態様においては、前記アーム本体および前記取付インタフェース部を構成する樹脂が、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性を有していてもよい。
この構成により、ロボットアームの自己消化性を担保することができる。
【0021】
また、上記態様においては、前記アーム本体および前記取付インタフェース部を構成する樹脂の外表面が、鉛直方向に配置して10秒間火を当てても火炎持続時間が10秒以下であり、かつ、127mm以上燃えない難燃性の塗料により被覆されていてもよい。
この構成により、難燃性の高い塗料によってロボットアームの自己消化性を担保することができる。
【0022】
また、本発明の他の態様は、長尺の筒状のアーム本体の両端に、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部を備え、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームの製造方法であって、一方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の第1部品を成形し、他方の前記取付インタフェース部と前記アーム本体の他の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の第2部品を成形し、成形された前記第1部品と前記第2部品とを
、同一の成形型に位置決め状態に固定した後に、前記ロボットアームの最終形状を成すように相互に位置決めした状態で
一体的に接合するロボットアームの製造方法である。
上記態様においては、前記第1部品および前記第2部品を射出成形またはプレス成形により成形してもよい。
【0023】
また、本発明の他の態様は、長尺の筒状のアーム本体の両端に、他の部材に取り付けるための取付面をそれぞれ有する取付インタフェース部を備え、前記アーム本体の内孔を通って該アーム本体の両側の前記取付面の間で内部空間が連続しているロボットアームの製造方法であって、前記取付インタフェース部と前記アーム本体の一部とを有し、外表面の少なくとも一部が樹脂製の同一形状の第1部品および第3部品を成形し、該第1部品の前記アーム本体の一部を延長する筒状の第4部品を成形し、成形された前記第1部品と前記第3部品との間に前記第4部品を配置し、
前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を同一の成形型に位置決め状態に固定した後に、前記ロボットアームの最終形状を成すように前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を相互に位置決めした状態で
一体的に接合するロボットアームの製造方法である。
【0024】
上記態様においては、前記第1部品、前記第3部品および前記第4部品を射出成形またはプレス成形により成形してもよい
。
【0025】
また、本発明の他の態様は、上記いずれかのロボットアームを備えるロボットである。
上記態様においては、前記ロボットアームを2以上備えていてもよい。
また、上記態様においては、各前記ロボットアームの前記取付インタフェース部が同一形状であり、各前記ロボットアームの前記アーム本体が異なる長さを有していてもよい。
また、上記態様においては、複数の前記ロボットアームが同一長さであってもよい。