特許第6912432号(P6912432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912432
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/18 20060101AFI20210727BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   E02F9/18
   B60R11/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-171301(P2018-171301)
(22)【出願日】2018年9月13日
(65)【公開番号】特開2020-41369(P2020-41369A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2020年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】特許業務法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 博
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】藤島 弘明
【審査官】 柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−127188(JP,A)
【文献】 特開2008−104106(JP,A)
【文献】 特開2009−167747(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0338235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/18
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に設けられた作業装置とからなり、
前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記旋回フレームの後側に設けられ前記作業装置と重量バランスをとるためのカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトに設けられた2個のアンテナ装置とを有してなる建設機械において、
前記カウンタウエイトは、左,右方向の中央部に位置する中央ウエイト部と、前記中央ウエイト部の上端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ突出する左,右の突出部とを有し、
前記カウンタウエイトの前記左,右の突出部は、前記中央ウエイト部の中央上面に連続して延びる延出上面と、前記延出上面の端部から下方に向けて延びる外側側面とを有し、
前記2個のアンテナ装置は、前記左,右の突出部の前記外側側面にそれぞれ取付けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記2個のアンテナ装置は、前記左,右の突出部の前記外側側面にそれぞれ取付けられる取付具と、下端側が前記取付具に支持され上方に向けて延びるアンテナ本体とにより構成していることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記カウンタウエイトには、前記中央ウエイト部の下端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ延びる左,右の下梁部を有し、
前記2個のアンテナ装置は、前記カウンタウエイトの前記左,右の下梁部よりも左,右方向の内側にそれぞれ位置していることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項4】
前記左,右の突出部の前記外側側面は、前記延出上面から左,右方向の外側に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工管理を支援するために位置情報を取得可能なアンテナ装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械を代表する油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に設けられた作業装置とからなっている。上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記旋回フレームの後側に設けられ前記作業装置と重量バランスをとるためのカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトに設けられた2個のアンテナ装置とを有している。これらアンテナ装置は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナからなり、これらアンテナ装置により位置情報を取得して、掘削作業等の施工管理を支援している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−102097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2個のアンテナ装置は、車体の左,右方向の両端側に離間させて搭載するのが好ましい。即ち、カウンタウエイトの中央部に2個のアンテナ装置を取付けると、各アンテナ装置の距離が短すぎるので通信障害が起こる虞がある。ここで、後方小旋回型と呼ばれる油圧ショベルは、カウンタウエイトの後面が下部走行体の左,右方向の幅寸法(車幅)内に収まるように形成されている。従って、後方小旋回型の油圧ショベルのカウンタウエイトは、左,右方向の両端側では前,後方向の厚さが薄く、カウンタウエイトの上面にアンテナ装置を取付けるのが困難である。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、アンテナ装置をカウンタウエイトに効率よく取付けた建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建設機械は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に設けられた作業装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記旋回フレームの後側に設けられ前記作業装置と重量バランスをとるためのカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトに設けられた2個のアンテナ装置とを有している。
【0007】
そして、本発明の特徴は、前記カウンタウエイトは、左,右方向の中央部に位置する中央ウエイト部と、前記中央ウエイト部の上端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ突出する左,右の突出部とを有し、前記カウンタウエイトの前記左,右の突出部は、前記中央ウエイト部の中央上面に連続して延びる延出上面と、前記延出上面の端部から下方に向けて延びる外側側面とを有し、前記2個のアンテナ装置は、前記左,右の突出部の前記外側側面にそれぞれ取付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カウンタウエイトの上面が狭くても、カウンタウエイトにアンテナ装置を取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す正面図である。
図2】作業装置の一部を省略した油圧ショベルを示す平面図である。
図3図2中のカウンタウエイトとアンテナ装置とを示す平面図である。
図4図3中のカウンタウエイトとアンテナ装置とを矢示IV−IV方向からみた背面図である。
図5】カウンタウエイトとアンテナ装置とを示す斜視図である。
図6図5中のカウンタウエイトからアンテナ装置を取外した状態を示す斜視図である。
図7】キャブの後窓から油圧ショベルの左後方をみた状態を示す説明図である。
図8】本発明の変形例によるカウンタウエイトを示す図4と同様の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の代表例として、油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図8に従って詳細に説明する。
【0011】
図1において、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に俯仰の動作が可能に設けられた作業装置4とを含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の車体を構成している。作業装置4は、土砂等の掘削作業を行うものである。この油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2の左,右方向の幅寸法(全幅)に対して予め定められた範囲内で旋回する後方小旋回機となっている。
【0012】
上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5と、作業装置4を挟んで旋回フレーム5の左側に設けられたキャブ6と、作業装置4を挟んで旋回フレーム5の右側に設けられ作業装置の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるための作動油タンク7と、作動油タンク7の右側に隣接して設けられ燃料を貯えるための燃料タンク8と、旋回フレーム5の後側に設けられ作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト9と、カウンタウエイト9に設けられた2個のアンテナ装置15とを含んで構成されている。
【0013】
キャブ6は、旋回フレーム5の左前部に設けられている。このキャブ6は、油圧ショベル1を操作するためにオペレータが搭乗するものである。キャブ6は、天面6A、左面6B、右面6C、前面6D、および後面6Eによりボックス状に形成され、内部にオペレータが着座する運転席、走行用レバー、および作業用操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。キャブ6の左面6B側には、オペレータがキャブ6内に搭乗するためのドア6B1が設けられている。また、キャブ6の後面6Eには、キャブ6内に搭乗したオペレータが車体の後方を確認するための後窓6E1が設けられている。
【0014】
次に、アンテナ装置15が取付けられるカウンタウエイト9について説明する。
【0015】
カウンタウエイト9は、旋回フレーム5の後側に設けられている。このカウンタウエイト9は、例えば鋳造によって成型された鋳造物からなり、作業装置4と重量バランスをとるためのものである。そして、カウンタウエイト9は、中央ウエイト部10、左,右の突出部11、および左,右の下梁部12を含んで構成されている。
【0016】
カウンタウエイト9の中央ウエイト部10は、上部旋回体3(車体)の左,右方向の中央部に位置している。中央ウエイト部10は、後面10Aが円弧状(湾曲状)に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回したときに、カウンタウエイト9の後面10Aが下部走行体2の車幅内にほぼ収まる後方小旋回機となっている。中央ウエイト部10の中央上面10Bは、平坦面として形成されている。中央上面10Bの左,右両端側は、後面10Aが円弧状に形成されていることにより、前,後方向の幅寸法が狭くなっている。
【0017】
カウンタウエイト9の左,右の突出部11は、中央ウエイト部10の上端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ突出している。図3に示すように、左,右の突出部11は、後述する左,右の下梁部12よりも車体(上部旋回体3)の内側に位置して、後述のアンテナ装置15を取付けることができる程度に可及的に短い寸法で中央ウエイト部10から前側に向けて突出している。
【0018】
そして、左,右の突出部11は、中央ウエイト部10の中央上面10Bに連続して延びる延出上面11Aと、延出上面11Aのうち中央上面10Bとは左,右方向の反対側の端部11A1から下方に向けて延びる外側側面11Bとを有している。外側側面11Bは、延出上面11Aから左,右方向の外側に向けて傾斜している。外側側面11Bは、突出部11の前方への突出長さにより広い面積を確保することができる。これにより、カウンタウエイト9の左,右方向の両端側に形成された外側側面11Bに、後述のアンテナ装置15をそれぞれ取付けることができる。そして、外側側面11Bには、後述のアンテナ装置15を取付けるためのねじ穴11C(図6に左側の外側側面11Bのねじ穴のみ図示)が設けられている。
【0019】
カウンタウエイト9の左,右の下梁部12は、中央ウエイト部10の下端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ延びている。左,右の下梁部12は、後面12Aが中央ウエイト部10の後面10Aに沿って円弧状(湾曲状)に延びている。これにより、左,右の下梁部12の後面12Aは、上部旋回体3の旋回中心から中央ウエイト部10の後面10Aまでの後端半径内に収まっている。
【0020】
カウンタウエイト9の左,右両端側には、突出部11の下面、中央ウエイト部10の側面、および下梁部12の上面により形成された切欠部13が設けられている。即ち、切欠部13は、突出部11と下梁部12との間に位置して中央ウエイト部10の左,右両端側にそれぞれ設けられている。この切欠部13には、カウンタウエイト9の前側で旋回フレーム5上に搭載されたエンジン、熱交換装置、および油圧ポンプ等の搭載機器(いずれも図示せず)をメンテナンスするときに開閉されるカバー部材14(図1で左側のカバー部材14のみ図示)が設けられている。
【0021】
2個のアンテナ装置15は、カウンタウエイト9の左,右両端側にそれぞれ設けられている。具体的には、各アンテナ装置15は、カウンタウエイト9の左,右の突出部11の外側側面11Bにそれぞれ取付けられている。これらアンテナ装置15は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)により位置情報を取得して、掘削作業等の施工管理を支援するためのものである。そして、アンテナ装置15は、左,右の突出部11の外側側面11Bにそれぞれ取付けられる取付具15Aと、下端側が取付具15Aに支持され上方に向けて延びるアンテナ本体15Bとにより構成されている。
【0022】
アンテナ装置15の取付具15Aは、例えば金属製の板材からなり、外側側面11Bに当接する当接板15A1と、当接板15A1の下端から左,右方向の外側に折曲られた折曲板15A2とにより構成されている。取付具15Aの当接板15A1には、外側側面11Bのねじ穴11Cに対応する位置に、取付具15Aを外側側面11Bに取付けるための複数のボルト16がそれぞれ挿通する挿通孔(図示せず)が形成されている。
【0023】
取付具15Aの折曲板15A2は、カウンタウエイト9の下梁部12よりも左,右方向の外側に突出しないように、当接板15A1の下端から左,右方向に延びている。折曲板15A2の上面には、アンテナ本体15Bの支柱15B1の下端側を支持する支持部15A3が設けられている。
【0024】
アンテナ装置15のアンテナ本体15Bは、支持部15A3から上方に延びる支柱15B1と、支柱15B1の上端に取付けられた通信部15B2とにより構成されている。通信部15B2は、図示しないコントローラに信号線17により接続され、衛星から受信した信号をコントローラに送信している。コントローラは、通信部15B2が受信した位置情報と作業装置4に取付けられたセンサ(図示せず)の信号とにより、目標地形に施工するための演算を行う。
【0025】
図3図4に示すように、各アンテナ装置15は、カウンタウエイト9の左,右の下梁部12よりも上部旋回体3の左,右方向の内側にそれぞれ位置している。即ち、左側のアンテナ装置15の通信部15B2は、左側の下梁部12の後面12Aから寸法L1だけ右側(中央ウエイト部10側)に入込んだ位置に配設されている。一方、右側のアンテナ装置15の通信部15B2は、右側の下梁部12の後面12Aから寸法L2だけ左側(中央ウエイト部10側)に入込んだ位置に配設されている。これにより、上部旋回体3を旋回させたときに、各アンテナ装置15が油圧ショベル1の周囲の障害物に接触するのを抑制している。
【0026】
また、アンテナ本体15Bは、取付具15Aを介して突出部11の外側側面11Bに取付けられることにより、通信部15B2をキャブ6の天面6Aよりも下側に配設させることができる。即ち、カウンタウエイトの重量を増加させるために、カウンタウエイトの高さ寸法を高くする可能性がある。この場合、カウンタウエイトの上面にアンテナ装置15を取付けた場合には、通信部15B2がキャブ6よりも上方に突出する虞がある。
【0027】
しかし、本実施形態では、アンテナ装置15をカウンタウエイト9の側面(外側側面11B)に取付けているので、折曲板の高さ位置を異ならせた取付具を製造したり、外側側面11Bの取付具の取付位置を調整したりするだけで、通信部15B2をキャブ6の天面6Aよりも下側に位置させることができる。これにより、図1に示すように、アンテナ装置15の通信部15B2をキャブ6の天面6Aの延長線A−Aよりも下側に配設して、例えば油圧ショベル1の輸送時(移動時)に通信部15B2が障害物に接触するのを抑制することができる。
【0028】
外装カバー18は、旋回フレーム5上に位置してカウンタウエイト9と、キャブ6および作動油タンク7,燃料タンク8との間に設けられている。外装カバー18は、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン等の搭載機器を覆っている。
【0029】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に油圧ショベル1の動作について説明する。
【0030】
オペレータは、キャブ6に搭乗して運転席に着座する。この状態でエンジンを始動して走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を作動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0031】
この場合、カウンタウエイト9には、2個のアンテナ装置15が設けられている。これらアンテナ装置15は、衛星から位置情報を取得可能なGNSSアンテナとなっている。油圧ショベル1に搭載されたコントローラは、アンテナ装置15が取得した位置情報と作業装置4に取付けられたセンサの信号とにより、目標地形に施工するための演算を行い、キャブ6内の表示装置(図示せず)に施工情報(演算結果)を表示させる。これにより、オペレータは、表示装置に表示された施工情報を確認して、円滑に作業を行うことができる。
【0032】
上述した従来技術では、カウンタウエイトの上面に2個のアンテナ装置を取付けている。この場合、各アンテナ装置は、通信を円滑に行うために左,右方向の両側に離間させて取付ける必要がある。しかし、カウンタウエイトの後面が下部走行体の左,右方向の幅寸法(車幅)内にほぼ収まるように形成された後方小旋回型の油圧ショベルは、カウンタウエイトの左,右方向の両端側では前,後方向の厚さが薄く、カウンタウエイトの上面にアンテナ装置を取付けるのが困難である。また、カウンタウエイトの重量を増加させるために、カウンタウエイトの高さ寸法を増加させた場合には、キャブの天面よりも上方にアンテナ装置が突出して、油圧ショベル1の輸送時および移動時にアンテナ装置が障害物に接触する虞がある。
【0033】
そこで、本実施形態では、カウンタウエイト9の上端側には、左,右方向の両端側から前側に向けて突出する左,右の突出部11を形成している。左,右の突出部11の外側側面11Bは、左,右の突出部11の前方への突出長さにより広い面積を確保することができる。そして、各アンテナ装置15は、左,右の突出部11の外側側面11Bにそれぞれ取付けられている。これにより、左,右両端側の幅が狭いカウンタウエイト9にアンテナ装置15を取付けることができる。
【0034】
この場合、アンテナ装置15は、カウンタウエイト9の左,右の下梁部12の後面12Aよりも車体の左,右方向の内側に入込んだ位置に取付けられている。これにより、上部旋回体3を旋回動作させたときに、アンテナ装置15が障害物に接触するのを抑制することができる。
【0035】
また、アンテナ装置15は、突出部11の外側側面11Bに取付具15Aを介して取付けられている。これにより、外側側面11Bの取付位置および取付具15Aを調整して、アンテナ装置15をキャブ6の天面6Aよりも下側に簡単に配設させることができる。従って、油圧ショベル1の輸送時(移動時)にアンテナ装置15が障害物に接触するのを抑制することができる。
【0036】
また、左側の突出部11は、アンテナ装置15を取付けることができる程度に可及的に短い長さで突出させている。これにより、図2図7に示すように、キャブ6内のオペレータは、突出部11およびアンテナ装置15が邪魔になることなく、後窓6E1から上部旋回体3の左後側エリアSにいる作業者Wを確認することができる。
【0037】
かくして、本実施形態の建設機械は、自走可能な下部走行体2と、前記下部走行体2上に設けられた上部旋回体3と、前記上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4とからなり、前記上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5と、前記旋回フレーム5の後側に設けられ前記作業装置4と重量バランスをとるためのカウンタウエイト9と、前記カウンタウエイト9に設けられた2個のアンテナ装置15とを有している。
【0038】
そして、前記カウンタウエイト9は、左,右方向の中央部に位置する中央ウエイト部10と、前記中央ウエイト部10の上端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ突出する左,右の突出部11とを有し、前記カウンタウエイト9の前記左,右の突出部11は、前記中央ウエイト部10の中央上面10Bに連続して延びる延出上面11Aと、前記延出上面11Aの端部11A1から下方に向けて延びる外側側面11Bとを有し、前記2個のアンテナ装置15は、前記左,右の突出部11の前記外側側面11Bにそれぞれ取付けられていることを特徴としている。
【0039】
また、前記2個のアンテナ装置15は、前記左,右の突出部11の前記外側側面11Bにそれぞれ取付けられる取付具15Aと、下端側が前記取付具15Aに支持され上方に向けて延びるアンテナ本体15Bとにより構成していることを特徴としている。
【0040】
また、前記カウンタウエイト9には、前記中央ウエイト部10の下端側のうち左,右方向の両端側から前側に向けてそれぞれ延びる左,右の下梁部12を有し、前記2個のアンテナ装置15は、前記カウンタウエイト9の前記左,右の下梁部12よりも左,右方向の内側にそれぞれ位置していることを特徴としている。
【0041】
また、前記左,右の突出部11の前記外側側面11Bは、前記延出上面11Aから左,右方向の外側に向けて傾斜していることを特徴としている。
【0042】
なお、上述した実施形態では、左,右の突出部11の外側側面11Bを傾斜面とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図8に示す変形例のように、取付具21が取付けられる外側側面22を段付形状に形成してもよい。
【0043】
また、実施形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 旋回フレーム
9 カウンタウエイト
10 中央ウエイト部
10B 中央上面
11 左,右の突出部
11A 延出上面
11A1 端部
11B 外側側面
12 左,右の下梁部
15 アンテナ装置
15A 取付具
15B アンテナ本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8