【文献】
FROYD, K. D. et al.,The Journal of Physical Chemistry A,米国,2011年11月21日,Vol.116,pp.5886-5899
【文献】
HANSON, D. R. et al.,Journal of Geophysical Research,スイス,2002年 6月29日,Vol.107,pp.AAC 10-1-AAC 10-18,doi:10.1029/2001JD001100
【文献】
COULING, S. B. et al.,Journal of the American Chemical Society,米国,2003年 4月10日,Vol.125,pp.13038-13039
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施例は、好ましい態様を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、開示された態様の実施において十分に機能するように発明者によって見出された技術を表し、したがって、その実施のための好ましい態様を構成すると考えることができることは、当業者には理解されるべきである。しかしながら、開示された態様の主旨および範囲から逸脱することなく、開示された特定の態様では多くの変更を行うことができ、さらに類似または同様の結果を得ることは、当業者には理解されるべきである。
【0013】
本明細書は、「一態様」または「態様」への言及を含む。「一態様では」または「態様では」という表現の使用は、本明細書において明示的に否定しない限り、特徴のあらゆる組合せを含む態様が一般的に意図されるが、必ずしも同じ態様を指すとは限らない。特定の特徴、構造、または特性は、本開示と一致するあらゆる適切な方法で組合し得る。
【0014】
キレート化は、より大きな分子の成分である、少なくとも2つの非金属イオンへの金属イオンの結合の一種である。本明細書で使用される場合、キレート分子への金属イオンの結合は、あらゆるタイプのイオン結合または原子誘引(例えば、水素結合)を含み得る。本明細書で使用される場合、キレート剤は、1またはそれよりも多い金属イオンと安定な錯体(または複合体、complex)を形成することができる有機分子もしくは無機分子または分子凝集体または秩序分子集合体(ordered molecular assemblages)を含み得る。
【0015】
図1は、ベース生成物流体の一形態を製造するためのプロセス・システムの態様の図を示す。特定の態様では、プロセス・システム50は、サブシステム100,200,300,400および500を含む。
図2〜
図6は、サブシステム100,200,300,400、および500の態様の詳細図を示す。サブシステム100,200,300,400および500を組合せて、所望の特性を有するベース生成物流体を生成することができる。
【0016】
図2は、サブシステム100の態様の詳細図を示す。サブシステム100は、水および無水液体アンモニア(NH
3)の混合システムであってもよい。特定の態様では、サブシステム100は、水タンク102およびアンモニア・シリンダー104を含む。アンモニア・シリンダー104は、無水液体アンモニア・シリンダーであってもよい。水タンク102は、所望の容量を有する貯水タンクであってもよい。例えば、水タンク102は、約300ガロンの容量を有することができる。
図7は、水タンク102の態様の一例を示す。
図2に示すように、水タンク102は、水ライン106へと水を供する。いくらかの態様では、プロセス・システム50の始動が108に追加される間、いくらかの追加の材料(例えば、アンモニアおよび/または硫酸)と混合された水および/または水が、サブシステム500(
図6に示す)の始動タンク504に集められた。
【0017】
ポンプ110は、水ライン106を通る水の流れを制御するために使用することができる。ポンプ110は、例えば、計量ポンプまたは可変周波数駆動ポンプであってもよい。いくらかの態様では、ポンプ110は、約15Hz〜約55Hzの周波数で動作する可変周波数駆動ポンプである。特定の態様では、水の流量(または流速、flow rate)は、所望の流量で制御される。例えば、水の流量は、約0.5gpm(ガロン/分)〜約3gpmであり得る。いくらかの態様では、水の流量は、約0.65gpm〜約2.5gpmである。水の流量は、システム50からの生成物の異なる所望の出力速度を供するように調節されてもよい。
【0018】
アンモニア・シリンダー104は、無水液体アンモニアと共に使用するように設計された圧力シリンダーであってもよい。
図8は、アンモニア・シリンダー104の態様の一例を示す。アンモニア・シリンダー104は、例えば、140ポンドの重量を有してもよい。スケール105は、アンモニア・シリンダー104の重量を監視するために使用されてもよい。
図2に示すように、アンモニア・シリンダー104は、無水液体アンモニアをアンモニア・ライン112に供給する。無水液体アンモニアは、アンモニア・ライン112上に位置する熱交換機114を使用して冷却してもよい。熱交換機114は、例えば、熱交換機を通して流すことで無水液体アンモニアを冷却するために、冷却器117から冷却液を循環させる熱交換機であってもよい。特定の態様では、冷却器117は、冷却液を約18°F未満の温度で循環させて、高圧(例えば、大気圧を超える圧力)でアンモニアを液体アンモニアとして維持する。
【0019】
アンモニア・ライン112を通るアンモニアの流れは、アンモニア・ライン上に位置するバルブ113を使用して制御することができる。バルブ113は、例えば、ニードル・バルブであってもよい。いくらかの態様では、無水液体アンモニアの流量は、約3gph(ガロン/時間)〜約15gphである。いくらかの態様では、無水液体アンモニアの流量は、約3gph〜約6gph、または約3gph〜約5gphである。アンモニア・ライン112におけるアンモニアの圧力は、圧力レギュレータ115を用いて制御してもよい。圧力レギュレータ115は、例えば、順方向圧力レギュレータであってもよい。いくらかの態様では、アンモニアの圧力は約60psigである。約60psigの圧力で、熱交換機114はアンモニアを液体アンモニアとして維持するためにアンモニアを約43°Fの温度まで冷却する必要がある。冷却器117からのアンモニアの圧力および/または冷却液の温度は、熱交換機114を通って流れるアンモニアが液体アンモニアとして維持されることを確実にするために、所望または必要に応じて調整することができる。いくらかの態様では、アンモニア・ライン112は、アンモニアを液体状態に維持するために(例えば、アンモニアがアンモニア・ラインで沸騰しないように)断熱される。
【0020】
特定の態様では、アンモニア・ライン112内の液体アンモニアは、接合部116で水ライン106からの水と混合され(combined)、混合されたアンモニア/水流れはプロセス・ライン118に入る。(アンモニアガスの代わりに)液体アンモニアを使用することは、アンモニア、硫酸、および水との反応生成物の発火(flashing)を抑制する。特定の態様では、水およびアンモニアを所望の重量比で混合する。例えば、いくらかの態様では、水およびアンモニアを約15.6:1(水:アンモニア)の重量比で混合する。いくらかの態様では、水対アンモニアの重量比は、約10:1〜約20:1、約12:1〜約18:1、または約14:1〜16:1である。
【0021】
図3に示すように、プロセス・ライン118は、アンモニア/水の流体をサブシステム200に供給してもよい。
図3は、サブシステム200の態様の詳細図を示す。サブシステム200は、第1リアクター・システムであってもよい。特定の態様では、サブシステム200は、アンモニア/水の流体を硫酸(H
2SO
4)の小さな(第1)部分と反応させるために使用される。
【0022】
硫酸は、酸タンク202に貯蔵されてもよい。
図9は、酸タンク202の態様の一例を示す。酸タンク202は、所望の容量を有する酸貯蔵タンクであってもよい。例えば、酸タンク202は、約120ガロンの容量を有してもよい。
図3に示すように、酸タンク202は、酸ライン204に酸(例えば、硫酸)を供給する。ポンプ206は、酸ライン204を通る酸の流れを制御するために使用され得る。ポンプ206は、例えば、定量ポンプまたは可変周波数駆動ポンプであってもよい。いくらかの態様では、ポンプ206は、約15Hz〜約55Hzの周波数で動作する可変周波数駆動ポンプである。
【0023】
酸ライン204は、接合部208でプロセス・ライン118と結合して、酸をアンモニア/水の流体に添加し得る。いくらかの態様では、酸ライン204中の酸は、約200ml/分〜約1200ml/分、約500ml/分〜約1200ml/分、または約600ml/分〜約1000ml/分の流量を有する。特定の態様では、酸は、所望の重量比でアンモニア/水の流体に添加される。例えば、いくらかの態様では、アンモニア/水の流体と酸との重量比は約7.2:1である。いくらかの態様では、アンモニア/水の流体の酸に対する重量比は約5:1〜約9:1、約6:1〜約8:1、または約6.5:1〜7.5:1である。
【0024】
混合された酸/アンモニア/水の流体は、次いで、ミキサー210を通って流れ得る。ミキサー210は、例えば、スタティック・ミキサーであってもよい。酸、アンモニアおよび水の混合流体は、ミキサー210から流出し得、
図4に示すように、サブシステム300に供給される。特定の態様では、ミキサー210における酸/アンモニア/水の混合流体のpHは制御される。例えば、ミキサー210における酸/アンモニア/水の混合流体のpHは、約1〜約9になるように制御してもよい。
【0025】
図4は、サブシステム300の態様の詳細図を示す。サブシステム300は、熱交換機システムであってもよい。特定の態様では、サブシステム300は、プロセス・ライン118とインラインの(または直列の、in-line)熱交換機302を含む。熱交換機302は、混合流体が熱交換機を通って流れるとき、混合流体を冷却してもよい。アンモニア/水の硫酸との混合が発熱性であるので、混合流体の冷却が必要となることがある。混合流体を冷却するために、冷却液304を熱交換機304に循環させることができる。特定の態様では、冷却液304は水である。いくらかの態様では、冷却液304は、高くても約65°Fの温度で熱交換機302に流入し、少なくとも約5gpm(ガロン/分)の流量で熱交換機を循環する。
【0026】
特定の態様では、熱交換機302は、混合流体を少なくとも約50°F、少なくとも約75°F、または少なくとも約150°Fまで冷却する。例えば、熱交換機302は、混合流体を約200°Fの温度から約75°Fの温度まで冷却してもよい。
【0027】
いくらかの態様では、脈動減衰機(pulsation dampener)306は、熱交換機302の下流のプロセス・ライン118に結合される。脈動減衰機306の後、
図5に示すように、プロセス・ライン118は、(冷却された)混合流体を、サブシステム400に供給してもよい。
図5は、サブシステム400の一態様の詳細図を示す。サブシステム400は、第2リアクター・システムであってもよい。特定の態様では、サブシステム400を使用して、追加の硫酸(例えば、硫酸の第2部分)を混合流体に添加し、反応させる。
【0028】
硫酸は、酸タンク402に貯蔵されてもよい。
図10は、酸タンク402の態様の一例を示す。酸タンク402は、所望の容量を有する酸貯蔵タンクであってもよい。例えば、酸タンク402は、約500ガロンの容量を有することができる。
図5に示すように、酸タンク402は、酸ライン404に酸(例えば硫酸)を供給する。酸ライン406を通る酸の流れを制御するためにポンプ406を使用することができる。ポンプ406は、例えば、計量ポンプまたは可変周波数駆動ポンプであってもよい。いくらかの態様では、ポンプ406は、約15Hz〜約55Hzの周波数で動作する可変周波数駆動ポンプである。
【0029】
酸ライン404は、混合流体に追加の酸を添加するために接合部408でプロセス・ライン118と結合してもよい。いくらかの態様では、酸ライン404中の酸は、約1000ml/分〜約5000ml/分、約1100ml/分〜約4900ml/分、または約1200ml/分〜約4800ml/分の流量を有する。次いで、新しい混合流体は、ミキサー410を通って流れ得る。特定の態様では、新しい混合流体は、約0のpHを有する。ミキサー410は、例えば、スタティック・ミキサーであってもよい。酸、アンモニアおよび水の混合流体は、ミキサー410から流出し、
図6に示すサブシステム500に供給される。
【0030】
特定の態様では、
図5に示すように、バルブ412は、流体がプロセス・ライン118を通って流れるとき、混合流体の圧力を制御するために使用される。バルブ412における圧力を制御することによって、プロセス・ライン118内の圧力を制御してもよい(例えば、サブシステム100〜400の圧力におけるシステム圧力を調整するバルブ412で圧力を調整する)。バルブ412は、例えば、ニードル・バルブであってもよい。いくらかの態様では、バルブ412は、硫酸の添加がサブシステム200(
図3に示す)および/またはサブシステム400(
図5に示す)において開始した後にシステム圧力を調整するために使用される。特定の態様では、システム圧力は約40psig〜約80psigである。必要または所望に応じて、他のシステム圧力を使用することもできる。
【0031】
特定の態様では、サブシステム400(
図5に示す)に添加される硫酸の追加の(第2)部分は、サブシステム200(
図3に示す)に添加される硫酸の第1部分より大きい。例えば、硫酸の第2部分と硫酸の第1部分との重量比は、約6:1である。いくらかの態様では、第2硫酸部分と第1硫酸部分との重量比は、約2:1〜約7:1、約3:1〜約6:1、または約3.5:1〜約5.5:1である。
【0032】
図6は、サブシステム500の一態様の詳細図を示す。サブシステム500は、生成物システムであってもよい。特定の態様では、サブシステム500は、生成物タンク502および始動タンク504を含む。生成物タンク502は、所望の容量を有する貯蔵タンクであってもよい。例えば、生成物タンク502は約20000ガロンの容量を有してもよい。生成物タンク502は、システム50によって生成されるベース生成物流体(例えば、硫酸の第2部分の添加後に生成された混合流体)を収集するために使用され得る。
【0033】
図11は、始動タンク504の態様の一例を示す。
図1および
図6に示すように、始動タンク504は、システム50の始動期間中に流体を収集するために使用され得る。システム50の始動期間は、所望の特性を有するベース生成物流体が生成される前の期間であってもよい。例えば、システム50の始動期間は、硫酸の第2部分が、
図5に示すサブシステム400内の混合流体に加えられる前の期間を含むことができる。したがって、システム50の始動期間は、硫酸を添加することなく、水および/またはアンモニアを所望の圧力および/または流量に上昇させるための時間(期間)を含み得る。硫酸の第1部分の添加(
図3に示すサブシステム200内)はまた、始動期間の一部、および混合流体への硫酸の第2部分の添加(
図5に示すサブシステム400内)の立上げ部分(ramp-up portion)(例えば、システムにおいて安定した(定常状態の)条件が存在する前に第2部分を加えるという立上げ部分)であってもよい。
【0034】
これらの時間の間に所望のベース生成物流体は生成されないため、始動期間中に生成された流体が収集され、始動タンク504に貯蔵されてもよい。いくらかの態様では、始動タンク504に貯蔵される流体は、
図2に示すように、サブシステム100において、108で水ライン106にリサイクルされる。例えば、硫酸が添加される前に収集された流体(例えば、水およびアンモニアの流体)を水ライン106に供給し、システム50の水/アンモニアの供給の一部として使用することができる。いくらかの態様では、始動タンク504中に貯蔵された流体は排水される。
【0035】
始動期間が終了した後、
図5に示すサブシステム500内の生成物の流れは、始動タンク504から生成物タンク502に切り替えられ得る。タンク間の流れを切り替えた後、システムを安定状態(定常状態)に戻すために、システム内の圧力を調整する必要があり得る。
【0036】
特定の態様では、温度、圧力、および/またはpHレベルは、システム50内の1またはそれよりも多い位置で監視される。温度、圧力、流量および/またはpHレベルは、システム50において、プロセス・ライン118および/または他のライン(例えば、水ラインおよび/または酸ライン)に沿って配置されたセンサを使用して監視され得る。例えば、温度は、温度センサ52を用いて監視され、圧力は、圧力センサ54を用いて監視され、流量は、流量センサ56(例えば、質量流量制御計)を用いて監視され、またpHレベルは、
図1〜
図6に示すpHモニター58を用いて監視され得る。これらのセンサからのデータを使用し得、システム50の動作を監視および/または制御することができる。
【0037】
上記のように、システム50を使用し得、水、アンモニア、および硫酸の混合物からベース生成物流体を生成することができる。特定の態様では、システム50は、所望の出力でベース生成物流体を製造し、生成物タンク502にベース生成物流体を保管/収集する。例えば、システム50は、定常状態(安定)条件下で(例えば、硫酸の第2部分が混合流体に添加される定常状態の条件下で)、約1gpm(ガロン/分)〜約4gpmのベース生成物流体を生成し得る。ベース生成物流体の他の所望の出力は、システムの1またはそれよりも多い特性を調整することにより、システム50によって生成され得る。調節し得る特性には、水、アンモニア、および/または硫酸の流量、圧力、pHおよび温度が含まれるが、これらに限定されない。いくらかの態様では、システム50から異なる所望の出力を生成するために、配管、タンク、バルブなどのサイズを調整する必要がある場合もある。
【0038】
特定の態様では、オリフィス・ミキサーが、それぞれ
図2および
図3に示すように、水、アンモニア、ならびにサブシステム100および200における硫酸の第1部分との間で異なる混合を供するように、
図3に示されるミキサー210の代わりに、または共に使用される。例えば、1つの流体が別の流体に注入されている間、またはその後に流体を混合するために、オリフィス・ミキサーをインラインで供してもよい。いくらかの態様では、オリフィス・ミキサーのサイズおよび/または位置は、
図3に示されるミキサー210(例えば、スタティック・ミキサー)のサイズ、位置、および/または数の変更と共に変わる。オリフィス・ミキサーおよび/またはスタティック・ミキサーの数、サイズおよび/または位置の変更は、システム50によって生成されるベース生成物流体において異なる所望の特性を供し得る。
【0039】
図12A〜
図12Fは、ベース生成物流体に異なる特性を供するためにシステム50で使用するのに適したオリフィス・ミキサーおよびスタティック・ミキサーの様々なミキサー構成を示す。
図12Aは、水(水ライン106からの水)がアンモニア(アンモニア・ライン112からのアンモニア)と混合される直後、また硫酸(酸ライン204からの硫酸)が水/アンモニア混合物に添加される直前に、プロセス・ライン118に位置付けられたオリフィス・ミキサー600を有するミキサー構成を示す。オリフィス・ミキサー600は、例えば、0.3’’ オリフィス・ミキサーであってもよい。
図12Bは、硫酸を添加した直後のプロセス・ライン118において位置付けられる第2オリフィス・ミキサー600’を有する、
図12Aにおけるミキサー構成の変形例を示している。さらに、第2オリフィス・ミキサー600’の後にスタティック・ミキサー210および210’が位置付けられる。第2オリフィス・ミキサー600’は、例えば、0.4’’オリフィス・ミキサーであってもよい。スタティック・ミキサー210は、3エレメント(または要素、element)・スタティック・ミキサーであってもよく、スタティック・ミキサー210’は5エレメント・スタティック・ミキサーであってもよい。
【0040】
図12Cは、取り外された第1オリフィス・ミキサー600および(例えば、アンモニア用の長いインジェクターを用いて)硫酸と同じ場所に注入されたアンモニア(アンモニア・ライン112からのアンモニア)を有する、
図12Bにおけるミキサー構成の変形例を示す。
図12Dは、短い長さのインジェクターを用いて硫酸と同じ場所に注入されたアンモニア(アンモニア・ライン112からのアンモニア)を有する、
図12Cにおけるミキサー構成の変形例を示す。
図12Eは、短い長さのインジェクターを用いて硫酸の下流に注入されたアンモニア(アンモニア・ライン112からのアンモニア)を有する、
図12Dにおけるミキサー構成の変形例を示す。
図12Fは、オリフィス・ミキサーを用いないで、第1スタティック・ミキサー210の下流に注入されたアンモニア(アンモニア・ライン112からのアンモニア)を有する、
図12Eにおけるミキサー構成の変形例を示す。
【0041】
システム50および
図1〜
図12の態様で上述した関連プロセスによって生成されたベース生成物流体は、他の水、アンモニア、および硫酸をベースとした金属キレート剤と比較して改善された特性を示す金属キレート剤である。例えば、いくらかの態様では、成分流体(例えば、水、アンモニア、および硫酸)自体がUV吸収をほとんどまたは全く有さないにもかかわらず、システム50によって生成されるベース生成物流体はUV吸収性を有し得る。特定の態様では、ベース生成物流体は、254nmで少なくとも約0.75のUV吸光度を有する。いくらかの態様では、ベース生成物流体は、254nmで少なくとも約0.7、254nmで少なくとも約0.8、254nmで少なくとも約0.85、254nmで少なくとも約0.85、または254nmで少なくとも約1.5のUV吸光度を有する。特定の態様では、ベース生成物流体は、約200nm〜約300nmの波長範囲において、少なくとも約0.5のUV吸光度を有する。いくらかの態様では、ベース生成物流体は、約200nm〜約300nmの波長範囲において、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、または少なくとも約0.75のUV吸光度を有する。
【0042】
ベース生成物流体は、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、硫酸、および/または水の分子化合物を、ベース生成物流体中にクラスタリング(または集束、clustering)させることにより、UV吸収特性を有し得る。特定の態様では、分子化合物のクラスターは、様々な(複数の)サイズを有する。
図13は、ベース生成物流体のUV吸光度対波長のプロットを示す。種々のサイズは、
図13に示すように、様々な波長でUV吸収を生じ得る。硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、および硫酸の例は、Joseph W. DePalmaら(2012)による、「アンモニアおよびジメチルアミンを有する硫酸のナノメートルサイズのクラスターの構造およびエネルギー論(Journal of Physical Chemistry、116,1030-1040)」に記載されている(これは本明細書中に十分に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0043】
ベース生成物流体の水性サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)試験を行い、ベース生成物流体中の成分を分離した。
図14は、SE−HPLCを用いたベース生成物流体の210nmクロマトグラムを示す。
図14に示すように、ベース生成物流体クロマトグラムは、ベース生成物流体中に異なる分子量構造が存在することを示す5つの異なるピークを有する。これらの異なる分子量構造は、ベース生成物流体中のクラスタリングに起因し得る。
【0044】
図15は、ベース生成物を重硫酸アンモニウム((NH
4)HSO
4)と比較する赤外(IR)スペクトルのプロットを示す。プロット700は、重硫酸アンモニウム粉末のIRスペクトルである。プロット702は、固体ベース生成物のIRスペクトルである。固体ベース生成物は、ベース生成物流体から単離され得る(例えば、ベース生成物流体が脱水されて固体ベース生成物を形成する)。IRスペクトルは、固体および液体サンプル用のSmart iTRを有するNicolet iS50−FT−IR分光光度計で得られた。
図15に示すように、ベース生成物流体のプロット702は、重硫酸アンモニウムのいくらかIRバンド特性を含む。
【0045】
固体ベース生成物の元素分析は、窒素、酸素、硫黄および水素のみがベース生成物中に存在することを示している。表1は、ベース生成物の存在し得る成分(重硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸および水)の元素質量百分率とともに、ベース生成物の元素分析質量百分率を示す。
【表1】
【0046】
表1に示すように、ベース生成物流体は、存在し得る成分のいずれかに関連する元素質量百分率と一致しない元素質量百分率を有する。したがって、ベース生成物流体は、これらの存在し得る成分を様々な量で有する化合物であり得る。
【0047】
固体ベース生成物についてもX線光電子分光法(XPS)を行い、元素分析の結果を確認した。物理電子5800マルチ分析ツールを使用して、ベース生成物についてXPSを実施した。調査スキャンは、1.6eV分解能のステップ・サイズおよび187.85eVのパス・エネルギーで実行された。高分解能(High Resolution)スペクトルは、23.5eVのパス・エネルギーおよび0.1eVのステップ・サイズで得られた。低エネルギー分散型電子ビームシャワーを用いてサンプルを中和し、284.8eVでC 1s(不定炭素、adventitious carbon)を使用して、高分解能スペクトルをこのピークに「標準(standard)」としてシフトさせた。表2は、XPS分析の原子百分率の結果を示す。
【表2】
【0048】
表2に示すように、XPSデータにより、ベース生成物中に窒素、酸素および硫黄(水素とともに)のみが存在するという元素分析結果が確認される。XPSはまた、ベース生成物中の実質的に全ての窒素が−3の酸化状態(アンモニア中の窒素の酸化状態)にあり、またベース生成物中の実質的に全ての硫黄が+6の酸化状態(硫酸塩/重硫酸塩中の硫黄の酸化状態)にあることを示した。
【0049】
図16は、固体ベース生成物を重硫酸アンモニウム((NH
4)HSO
4)および硫酸アンモニウム((NH
4)
2SO
4)を比較するX線回折分析(XRD)スペクトルのプロットを示す。プロット704は、重硫酸アンモニウムのXRDスペクトルである。プロット706は、ベース生成物流体のXRDスペクトルである。プロット708は硫酸アンモニウムのXRDスペクトルである。プロット706は、プロット704および708と同一のいくらかピークを有するが、他のプロットには見られない他のピークも含む。したがって、
図16に示すXRDスペクトルは、ベース生成物流体が重硫酸アンモニウムまたは硫酸アンモニウムではないことを示している。
【0050】
図17は、ベース生成物流体の飛行時間型質量分析(TOFMS)を示す。TOFMSは、データの収集および分析を制御するために、MassLynx 4.1ソフトウェアを有する、Waters社のQ−Tof Premierを用いて、ナノESI MSを使用して行った。ベース生成物流体サンプルをそのまま注入し、陽イオンモードおよび陰イオンモードの両方(Vモード)で分析した。ソース・パラメータは、陽イオンモード、キャピラリー0.1〜1kV、サンプリング・コーン74V、抽出コーン3.6Vおよびイオンガイド2.5Vであった。
図17に示すように、複数の重硫酸アンモニウム単位は、ベース生成物流体から分離され、重硫酸アンモニウム単位の数は、ベース生成物流体中の化合物間で変化し得ることを示し得る。
【0051】
上記の実験データに基づいて、ベース生成物流体は、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、硫酸および水の様々な量を有する分子化合物を含み得、分子化合物はクラスター型の形態である。したがって、ベース生成物流体中の分子化合物は、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、硫酸および水のクラスター化された組合せとして記載され得る。特定の態様では、ベース生成物流体中の分子化合物は、式:((NH
4)
2SO
4)
a・(H
2SO
4)
b・(H
2O)
c・(NH
4HSO
4)
xによって記載され、a、b、c、およびxは、分子化合物のクラスターのサイズに依存して、ベース生成物流体中の分子化合物間で変化する。特定の態様では、ベース生成物流体中の分子化合物の式において、aは少なくとも1であり、bは少なくとも1であり、cは少なくとも1であり、またxは少なくとも1である。特定の態様では、aは1〜5であり、bは1〜5であり、cは1〜5であり、またxは1〜10である。いくらかの態様では、aは1〜3であり、bは1〜3であり、cは1〜3であり、またxは1〜6である。一態様では、ベース生成物流体は、式:((NH
4)
2SO
4)
1・(H
2SO
4)
1・(H
2O)
1・(NH
4HSO
4)
xを有する分子化合物を含み、xは1〜6である。
【0052】
特定の態様では、ベース生成物流体中の分子化合物は、式:((NH
4)
2SO
4)
a・(H
2SO
4)
b・(H
2O)
c・(NH
4HSO
4)
xを有し、水素の質量百分率が約3%〜約6%であり、窒素の質量百分率が約10%〜約15%であり、硫黄の質量百分率が約25%〜約30%であり、また酸素の質量百分率が約52%〜約60%である。そのような態様では、分子化合物について、aは少なくとも1であり、bは少なくとも1であり、cは少なくとも1であり、またxは少なくとも1である。いくらかの態様では、ベース生成物流体中の分子化合物は、式:((NH
4)
2SO
4)
a・(H
2SO
4)
b・(H
2O)
c・(NH
4HSO
4)
xを有し、水素の質量百分率は約4%〜約5%であり、窒素の質量百分率は約11%〜約15%であり、硫黄の質量百分率は約26%〜約28%であり、また質量百分率の酸素が約53%〜約57%である。一態様では、ベース生成物流体中の分子化合物は、式:((NH
4)
2SO
4)
a・(H
2SO
4)
b・(H
2O)
c・(NH
4HSO
4)
xを有し、水素の質量百分率は約4.7%であり、窒素の質量百分率は約14.8%であり、硫黄の質量百分率は約26.5%であり、また酸素の質量百分率は約54%である。
【0053】
上記した分子化合物は、ベース生成物流体(例えば、分子化合物が金属キレート剤である)中の金属塩(例えば、銅塩)のキレート化合物であってもよい。ベース生成物流体中の分子化合物を有することは、上記実験データから証明されるように、システム50によって製造されるベース生成物流体において改善された特性を供し得る。例えば、いくらかの態様では、分子化合物は、ベース生成物流体に添加された銅および/または他の金属の水中での拡散速度を増加させ得る。いくらかの態様では、分子化合物は、それらがベース生成物流体に添加される場合、細胞膜を横切る銅および/または他の金属の輸送を改善し得る。改善された輸送は、ベース生成物流体から形成される最終生成物中の金属(例えば、銅)のバイオ・アベイラビリティ(または生物学的利用性、bioavailability)および/または反応性を増加させ得る。増加したバイオ・アベイラビリティおよび/または反応性は、ベース生成物流体から形成される最終生成物の有効性を高め得る。最終生成物の有効性を高めることにより、所望の結果(例えば、水系のシステムにおける様々な処理における所望の結果)に使用される最終生成物の用量をより少なくすることができる。さらに、伝統的なキレート剤とは異なり、分子化合物を含むベース生成物流体は、ベース生成物流体への金属または金属塩の添加によって熱を発生する。発熱の欠如は、ベース生成物流体中にいかなる配位化学反応性も存在しないことの指標であり得る。
【0054】
拡散試験装置を使用して、上記した分子化合物を有するベース生成物流体を用いて水中の銅の拡散効率を評価した。
図18は、銅拡散試験装置の側面図を示す。試験装置800は、パイプ802を含む。パイプ802は、パイプの各端部に設けられたPVCエンド・キャップ804を有するPVCパイプである。パイプ802は、10.16cmの内径を有し、158.75cmの末端間長さを有する。
【0055】
ポート806は、パイプ802へのサンプル添加およびパイプからのサンプル採取のために使用される。ポート806は、30cmの間隔を置いた直径10mmの開口部である。ポート806’は、パイプ802の端部に最も近く、パイプの端部から4.375cmである。パイプ802を水平にし、12.0Lの水で満たし、試験前に48時間安定させた。水温は24.5℃〜26.5℃の範囲であった。予備研究で得られた結果は、第1サンプリング点(例えば添加位置から30cm)が試験流体の拡散速度論に対して最も有用な情報を供することを実証した。分散の効率は、各試験の終了時にすべてのサンプリング位置の濃度を比較することによって評価した。
【0056】
安定化期間の後、適切な容量の試験流体をパイプ802に添加した。2つの試験流体を装置800で評価した。第1試験流体は、硫酸銅5水和物をシステム50によって生成されたベース生成物に添加することによって形成された最終生成物であった。第1試験流体は、202.7μLの希釈されていない容量を有し、重量ベースの銅で5%であった。第2試験流体は、逆浸透水(reverse osmosis water)で硫酸銅5水和物を用いて調製した5%(銅の重量基準)であり、100mLの溶液当たり20μLの93%硫酸を添加することによって酸性化した。第2試験流体は、212.4μLの希釈されていない容量を有していた。
【0057】
次いで、選択されたインキュベーション(または培養、incubation)時間の後、サンプルを収集した。インキュベーション時間には、水の外部混合を含めなかった(例えば、パイプ802は静水系である)。気候調節室で試験装置を25±1℃に維持することにより、熱気流による混合を最小限にした。水面の2.5cm下からマイクロピペッターを介してサンプルを集めた。試験終了時に、水の底から約0.5cm上方のサンプルも採取した。
図19は、パイプ内の水808を有するパイプ802の断面端面図を示し、サンプル収集位置810および812を示している。位置810は、水808の表面の2.5cm下からのマイクロピペッターによるサンプル収集のためのものである。位置812は、実験の最後に、水808の底から約0.5cm上からのサンプル収集のためのものである。
【0058】
図20は、本明細書に記載のキレート化銅(指定のESL−Cu、および硫酸銅、指定のCuSO
4)についての30cmサンプリング位置での銅濃度対時間のプロットを示す。
図21は、72時間の保持時間後のESL−CuおよびCuSO
4の表面拡散プロファイルを示し、時間対第1試験流体の添加点からの距離を示している。
図22は、72時間の保持時間後のESL−CuおよびCuSO
4のボトム濃度拡散プロファイルを示す。
図20〜
図22に示すように、ESL−Cu処理水中の銅は、CuSO
4処理水中よりも速く、より均一に、より高濃度で分散する。
【0059】
特定の態様では、ベース生成物流体から形成される最終生成物は、水試験において改善された阻害結果を示し得る。
図23は、ベース生成物流体および他の3つの生成物配合物から形成された最終生成物を用いた、増殖または生育における25%の減少(IC
25)および50%減少(IC
50)の阻害濃度を示す。ポイント150A(IC
25)およびポイント150B(IC
50)は、システム50によって生成されたベース生成物流体から形成された最終生成物に関するものである。
【0060】
ポイント152A(IC
25)およびポイント152B(IC
50)は、硫酸銅5水和物および水の溶液88グラムを合成配合物12グラムに添加することによって形成された生成物に関するものである。合成配合物は硫酸アンモニウム(72.4グラム)を蒸留水(275.3グラム)に溶解させ、次いで98%硫酸(230.4グラム)を添加しつつ、ゆっくりと冷却して最高温度を118°Fに保持する。この合成配合物は、「コールド・プロセス」金属キレート剤と同様の生成物を生成する。
【0061】
ポイント154A(IC
25)およびポイント154B(IC
50)は、硫酸銅5水和物および水の溶液88グラムを(上記記載した)ソーバー酸12グラムに添加することによって形成された生成物に関するものである。ポイント156A(IC
25)およびポイント156B(IC
50)は、硫酸銅五水和物20グラムを蒸留水80グラムに添加して生成した生成物に関するものである。
【0062】
図23に示すように、ベース生成物流体(ポイント150A、ポイント150B)から生成された最終生成物は、他の生成物配合物(例えば、他の金属キレート剤)と比較して改善された阻害濃度を示す。
図24は、
図23に示される異なる阻害濃度および配合物についての96時間の阻害試験からの全銅と溶存銅との差の平均値を示す。
図24に示すように、ベース生成物流体(ポイント150A、ポイント150B)から生成された最終生成物は、阻害試験中に標的種による銅の摂取の増加を示す。
【0063】
特定の態様では、システム50および
図1〜
図12の態様で上述した関連プロセスによって生成されたベース生成物流体は、水溶液中にある場合(例えば、ベース生成物流体が水と混合した分子化合物を含む場合)、低pH(典型的には約0pH)を有する。特定の態様では、ベース生成物流体は、水と混合される場合に最大で約2のpHを有する。いくらかの態様では、ベース生成物流体は、水と混合される場合、約0〜約2または約0.4〜約1のpHを有する。特定の態様では、固体ベース生成物(または粉末化された固体生成物)は、ベース生成物流体から単離される(例えば、固体ベース生成物を形成するために脱水される)。いくらかの態様では、ベース生成物流体のpHが約0.4〜約1である場合、固体ベース生成物はベース生成物流体から単離される。固体ベース生成物は、再水和(例えば、水添加)することで、元のベース生成物流体(例えば、固体ベース生成物の単離前のベース生成物流体)の特性に影響を及ぼすことなく、ベース生成物流体を再形成し得る。水と混合される場合のベース生成物流体の低いpHでは、固体ベース生成物および/またはベース生成物流体は皮膚に対して急性毒性でなく、水系の処理システムで使用可能である。
【0064】
ベース生成物流体は、1またはそれよりも多い他の生成物と混合された場合、水系のシステムにおける様々な処理に対する望ましい特性を供することができる、所望の特性を有する。例えば、ベース生成物流体は、硫酸銅5水和物(CuSO
4・5H
2O)および水を混合させて最終生成物を形成することができる。特定の態様では、硫酸銅5水和物および水を約0.3:1の比で混合し、次いでその混合物およびベース生成物流体を約7.33:1の比で混合することによって最終生成物を形成する。得られた最終生成物は、硫酸銅および水をベース生成物流体に添加した後、約57μg/μL(重量で約4.8%の銅)の銅濃度を有し得る。いくらかの態様では、最終生成物は、約5重量%〜約15重量%のベース生成物流体である。例えば、最終生成物は、約12重量%のベース生成物流体であってもよい。最終生成物は、限定されないが、スイミング・プール、排水池、貯水池、装飾噴水、冷却水、灌漑運河、観賞湖、池、ラグーン、容器、ゴルフコースの水地物、飼育池、養殖池、自然および人工湖、灌漑施設、河口、河川、川、地方自治体および/または商業用の水処理システム、ゼブラ・ムセル(またはムール貝、もしくはイガイなど、mussel)処理システム、農業用水処理システム(例えば、オタマジャクシの制御)、灌漑ライン(例えば、灌漑ラインを開放し、藻類およびバクテリア(または細菌、bacteria)を含まないようにする)などの水系の処理システムに使用してもよい。
【0065】
特定の態様では、ベース生成物流体は、ゼブラ・ムセルおよびクガガ・ムセル、甲殻類、および生物付着無脊椎動物のような有害な軟体類(または軟体動物、nuisance mollusks)または二枚貝を制御する最終生成物を製造するために使用される。最終生成物は、硫酸銅および水をベース生成物流体に添加することによって形成し得る。最終生成物は、軟体類が侵入する場所に位置付けられてもよいし、軟体類の侵入を防ぐための場所に位置付けられてもよい。いくらかの態様では、最終生成物は、湖、池または貯水池などの開放水、パイプラインなどの流水、または冷却システムまたは火災抑制システムなどの閉鎖システムに適用される。最終生成物の有効性は、限定されないが、温度、アルカリ度、硬度、および全有機炭素(total organic carbon、TOC)などの周囲の水の条件に依存し得る。
【0066】
開放水の処理のために、最終生成物は、処理される水域に直接適用され得る。いくらかの態様では、最終生成物を水面に適用し、分散させる。ベース生成物流体によって供される高拡散速度に起因して、金属または金属塩は、停滞(静的)水システムに容易に分散し得る。いくらかの態様では、最終生成物は、ホース、ポンプ、ディフューザー(または拡散機、diffuser)などを介して特定の位置(例えば、パイプの入口またはその付近)に導かれる。
【0067】
流水の処理のために、最終生成物を流水中または流水上に連続的に供給してもよい。成熟した、または未熟な軟体類がすでに存在する場合(より高い初期用量が必要とされる場合)、または定着を阻止するための予防措置として、最終生成物を処理手段として使用してもよい。閉鎖系のために、最終生成物は、システム中の水源(例えば、供給源または供給タンクまたは容器)に直接適用され得る。
【0068】
ムセルの処理のために、最終生成物は、「致死濃度(lethal concentration)」(例えば、所与の時間内にムセルの致死率が約100%になる濃度)で水システムに供され得る。これまでの試験では、他の銅ベースの処理を用いたムセルの処理が、0.5mg/l(500ppb)の銅当量レベルで効果がないことが示されている。これまでの試験は、Ashlie Waitersら(2012)による、「アメリカ西部における侵略的なクガガ・ムセル(クワッガガイ、Dreissena rostriformis bugensis)の殺滅、およびその定着を防止するためのEarthTec(登録商標)の有効性(Biofouling:Journal of Bioadhesion and Biofilm Research,29:1,21-28)」、およびRenata Claudi M.Sc.らによる、「クガガ・ムセルおよびゼブラ・ムセルの制御のための銅ベースのアルジサイド(または殺藻剤、Algaecide)の有効性(2014年1月)」に明示されており、これらは本明細書中に十分に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
しかしながら、システム50によって生成されたベース生成物流体から作られた最終生成物は、より低い銅当量レベルで致死の有効性を示す。
図25は、システム50によって生成されたベース生成物流体から作られた様々な濃度の最終生成物(濃度が銅当量濃度として表される)についてのムセルの致死率対暴露日数を示す。
図25に示すように、最終生成物は、銅当量レベルが57ppb(0.057mg/l)まで低下するための、10日以内での完全致死率を示す。57ppbの銅当量レベルは、1ppm濃度の最終生成物を使用して達成し得る。
【0070】
いくらか場合において、最終生成物は、26ppbという低い銅当量レベルについて、より長い時間(例えば、20〜30日)での致死を示すことがある。
図25に示す26ppbのデータは、湖の水位の変化とそれに伴うパイプライン流れの乱れ(disruption)に起因して、早期に(致死率80%で)終了した。それにもかかわらず、完全な致死率は、一般的な夏の温度で26ppbの銅当量レベルで達成されると考えられている。
図25に示す銅当量レベル(例えば、約171ppb未満の銅当量レベル)でのムセルの処理は、軟体類の制御に使用される塩素または他の処理に対する実行可能な代替物として最終生成物を使用することを可能にする。
【0071】
いくらかの態様では、軟体類の制御のための最終生成物は、固体ベース生成物から形成される。例えば、システム50によって生成されたベース生成物流体は、脱水されて固体または粉末のベース生成物を形成し得る。いくらかの態様では、上記のように、ベース生成物流体のpHが約0.4〜約1である場合、ベース生成物流体を脱水して固体または粉末のベース生成物を形成する。水を固体ベース生成物に添加して、ベース生成物を再水和および再液化し得る。いくらかの態様では、固体ベース生成物は、パックのような固体形状に形成される。いくらかの態様では、粉末ベース生成物を硫酸銅粉末と混合する。粉末ベース生成物および硫酸銅混合物は、固体形状に形成されてもよく、または計量送達システム(metered delivery system)を使用して処理部位に送られてもよい。次いで、粉末状のベース生成物および硫酸銅混合物は、水(例えば軟体類のために処理される水)に添加されると活性化(再水和)することができる。
【0072】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、飲料水(例えば、都市(municipal)の飲料水)から味および臭気化合物および/または微生物を除去するために用いる最終生成物を生成するために使用される。最終的に飲料水のために使用される可能性のある水における藻の増殖(blooms)の一般的な結果は、2つの化合物である、ジオスミン(Geosmin)およびメチル・イソ−ボルネオール(MIB)の形成である。ジオスミンおよびMIBは、ppt(1兆分の1、parts per trillion)の範囲の濃度で、水に不快な土壌の味および/または臭いを生じさせる可能性がある。味および臭気に対する現行の処理の選択肢には、高用量の塩素が含まれ、これは発癌性の塩素副産物が形成されることに問題があり、また粉末活性炭は高価である。
【0073】
最終生成物を使用する、味および/または臭気のための水処理は、最終生成物中の銅を利用するメカニズムを伴わなくてもよい。水からの味および/または臭気の除去は、ベース生成物流体、つまり最終生成物中に見出されるUV吸収化合物に起因し得る。いくらかの態様では、最終生成物は1ppmの用量レベルで供され、約57ppbの銅当量レベルとなる。所望に応じて他の用量レベルを使用してもよく、および/または最終生成物が所望の濃度の異なる銅濃度(例えば、より低い銅濃度)を有してもよい。
【0074】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、水システムにおける微生物の制御および/または排除のための最終生成物を生成するために使用される。例えば、最終生成物は、熱交換機、金属加工液、逆浸透水処理、油およびガス田注入、破砕物、生成水、石油および坑井および容器からのガス、脱気塔、石油およびガス操作および輸送システム、石油およびガス分離システムおよび貯蔵タンク、石油およびガス・パイプライン、ガス容器、便器、スイミング・プール、家庭排水管、居住空間の表面、プロセス設備、下水システム、廃水および処理システム、その他の産業用処理水、ボイラーシステム、バラスト用の水および設備、パイプ、チューブ、およびこれらのシステムの他の表面における微生物の制御および/または排除するために使用してもよい。
【0075】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、蚊の殺滅(例えば、「蚊取り」)として用いる最終生成物を生成するために使用される。硫酸銅は蚊を殺滅できることが知られている。しかしながら、蚊を殺滅するのに有効な量の銅(II)イオンを達成するには、かなりの量の硫酸銅が必要であり、ほとんどの硫酸銅(約90%)は、湖または貯水池の底にスラッジとしての非反応性個体として残る。
図26は、最終生成物の種々の処理に24時間曝露した後のアペンドス幼虫の平均致死率を示す。列160は、対照群(水のみ)の24時間致死率であり、一方、列162〜176は、それぞれの列に列挙された最終生成物の用量ごとの24時間致死率である。列160,162,164,166,168,170、および172は、界面活性剤が添加されたときの致死率を示す。カラム174および176は、界面活性剤を含まない致死率を示す。
【0076】
図26に示すように、最終生成物(約4.5ppmの銅当量を有する生成物)の約0.28ml/galの投与率(dose rates)は、列172に示す約80%の24時間致死率を示す。より低い用量(例えば、0.07ml/gal(1.2ppm銅))は、列170に示すように、約10%の24時間致死率をもたらし得る。しかしながら、
図26は、実際の使用に適していない場合がある。
図26に示すデータは、しかしながら、蚊の殺滅が濃度に依存するのではなく、時間依存(例えば、総銅摂取依存)であり得ることを示唆している。したがって、いくらかの態様では、最終生成物は、比較的低濃度(例えば、多くとも約0.25ppmの銅当量)で水域に供され得る。最終生成物は、水域における蚊の生活環を根絶または崩壊させるために長時間、水域において放置し得る。
【0077】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、スイミング・プール用の消毒剤として用いる最終生成物を生成するために使用される。塩素は、プールで最も広く使用されている殺菌剤である。塩素以外のEPAが認定する唯一の消毒剤は、ビグアニド(piguanide)を使用するシステムであり、商品名BACQUACIL(登録商標)(www.bacquacil.com)で販売されている。他の銅ベースの生成物は、スイミング・プール用の消毒剤としての使用のためにEPAによって承認される有効性を示していない。いくらかの態様では、最終生成物は、約0.25ppm〜約1.0ppmの銅濃度を維持するレベルでスイミング・プールに投与される。いくらかの態様では、最終生成物は、硫酸銅粉末と混合された固体(または粉末)ベース生成物から形成される。固体ベース生成物および硫酸銅混合物は、固体形状に形成されてもよく、または計量送達システムを用いてプールに送られてもよい。固体ベース生成物および硫酸銅混合物は、プール水に添加されると活性化(再水和)し得る。
【0078】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、アルジサイドとして用いる最終生成物を生成するために使用される。銅は、藻類に対する主要な活性成分として使用することができる。しかしながら、銅だけには十分に反応しない特定藻類がある。例えば、黒い藻類は、銅ベースの生成物単独では十分に制御されないことがある。いくらかの態様では、最終生成物は、特定の藻類株を標的とするために、および/または広域スペクトルの生成物を供するために、銅以外の異なる金属を添加することを含む。例えば、限定されるものではないが、銀または亜鉛のような金属を、銅に加えてまたは銅の代わりに最終生成物に添加してもよい。
【0079】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、微量栄養素(micronutrient)供給(例えば、農作物の栄養価を高めるために使用される農業用処理溶液)に用いる最終生成物を生成するために使用される。ベース生成物流体は、金属または金属塩を植物または作物に取り込みながら、溶液中に金属または金属塩を保持することを含む改善されたキレート特性を有し得る。これらの改善された特性のために、ベース生成物流体は、EDTAなどの従来のキレートの市場で見出されるものと同様の組成を有する農業用処理溶液配合物において使用され得る。例えば、1つの農業用処理溶液配合物は、ベース生成物流体との9%亜鉛溶液である、最終生成物を含み得る。配合物は、葉面(foliarly)に適用された微量栄養素として使用してもよく、トウモロコシ、大豆および米などの作物に対して、エーカー(acre)あたり約1〜2クォートの割合で適用してもよい。葉面適用方法には、農薬と混合し、それを空気に噴霧すること、従来の旋回灌水機における灌漑用水に添加すること、または希薄水溶液として直接適用すること、または噴霧装置を設けたトラックによって殺虫剤と混合することが含まれる。いくらかの態様では、最終生成物は、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン(またはセレニウム、selenium)、モリブデン、ホウ素、鉄、コバルトおよび銅を含有する混合物を含み、広範囲の微量栄養素用途を供する。広範囲の微量栄養素の適用は、典型的にEDTAで処理されるトウモロコシや大豆などの農作物に適用し得る。微量栄養素送達(micronutrient delivery)のための最終生成物は、ベース生成物流体の改善されたキレート特性に起因して、EDTAよりも高い微量栄養素摂取を供し得る。
【0080】
微量栄養素送達の実例は、本明細書に詳細に記載したキレート剤と錯体化した亜鉛(Zn)を、葉面適用を介して成長する植物に送ることである。この例では、実験デザインは、5つのパラメータの各々に対して、10回の反復の4つの処理のランダム化された完全なデザイン(Randomized Complete Design)とした。5つのパラメータはそれぞれ、(1)蛍光を測定することによる総クロロフィル、(2)有機溶媒抽出後の吸光度を測定することによる総カロテノイド、(3)光吸収および蛍光を測定することによる電子輸送速度、(4)電解質濃度の変化を測定することによる膜漏出、および(5)硝酸中のサンプルを消化させた後に、原子吸光光度法によって測定した亜鉛の葉組織濃度、である。葉サンプルは、スクエアリング(squaring)後、毎週の間隔で収集した。綿花植物(Gossypium hirsutum L.)を、14/10時間、30/20℃の日周サイクルでそれぞれ、気候調節チャンバーにおいて栽培した。個々の植物は、栄養不足の鉢植え土壌を含む48.3リットルのポットで栽培した。植物は、栄養管理および成長管理のために、スクエアリングするまで同じ処理を受けた。スクエアリングでは、第1回目の測定を行い、CO
2バックパック噴霧器を介して列に配置された植物を噴霧処理した。葉の接触による処理の交差汚染を最小限に抑えるために、スプレーを乾燥させて気候制御チャンバーに戻した。次いで、処理のために亜鉛の添加を含まない亜鉛フリーHoagland溶液であるESL−Zn(ベース生成物溶液)、硫酸亜鉛および低亜鉛を介する栄養素を用いて植物をさらに2〜3週間栽培した。Hoagland溶液の元素組成は、N 210mg/L、K 235mg/L、Ca 200mg/L、P 31mg/L、S 64mg/L、Mg 48mg/L、B 0.5mg/L、Fe 1〜5mg/L、Mn 0.5mg/L、Zn 0.05mg/L、Cu 0.02mg/L、Mo 0.01mg/Lである。4つの処理および記述は、(1)「対照(control)」(Znの葉面噴霧なし)、(2)「低Zn(Low Zn)」(葉面噴霧なし、またHoagland溶液のZn濃度は0.025mg/Lに低減された)、(3)「ZnSO
4」(15%ガロン/エーカーでの1%溶液[例えば、100ガロンH
2Oにおける8ポンドの36%ZnSO
4]の葉面噴霧当量物)、および(4)「ESL−Zn」(15ガロン/エーカーでの1%の溶液[例えば、100ガロンH
2Oにおける8ポンドの36%ZnO
4]葉面噴霧当量物)である。4つの処理の結果を表3に示す。
【表3】
【0081】
表3に示すように、亜鉛サプリメントで処理された葉組織内のクロロフィルは、第1週の適用後に増加した。しかしながら、ESL−Zn生成物は、硫酸亜鉛の標準的なサプリメントと比較して、第2週に組織濃度をより高く維持した。分析は、亜鉛サプリメントで処理した葉組織が、それらの総カロテノイド濃度を増加させることができることを示している。同様に、亜鉛サプリメントで処理された葉組織内のクロロフィルは、第1週の適用後に増加した。しかしながら、ESL−Zn生成物は、硫酸亜鉛の標準的なサプリメントと比較して、第2週に組織濃度をより高く維持した。結果は、亜鉛がカロテノイドの産生を刺激することを示している。しかしながら、適用後第2週で、亜鉛サプリメント処理ではカロテノイド濃度が有意に減少したが、ESL−Zn生成物は硫酸亜鉛と比較してより高い濃度を維持した。ETR(electric transport rate、電子輸送速度)の値が高いほど、光合成速度が相対的に高いことを示す。第1週適用前に、植物はその値が非常に近似しており、硫酸亜鉛で処理された植物はわずかに高い割合であった。しかしながら、適用後第2週には、ETRの割合がばらついた。ESL−Zn処理の植物は、他の処理と比較して最も高い割合を示した。百分率差として示される膜漏出量が多いことは、葉組織が膜構造を維持する能力が低下していることを示す。分析は、硫酸亜鉛処理およびESL−Zn処理のサプリメントの両方が、膜漏出百分率を減少させることを示している。しかしながら、ESL−Znで処理した葉は、硫酸亜鉛処理と比較して、第2週目に大きな漏れ制御を維持した。コットンにおける亜鉛欠乏は、典型的には、葉組織濃度が20ppmを下回ったときに生じる。適用日に、すべての処理値は不十分なレベルを上回っていた。適用後第1週、硫酸亜鉛処理およびESL−Zn処理の両方が組織亜鉛レベルを有意に増加させた。適用後第2週までに、硫酸亜鉛処理の葉中のZnの濃度は減少したが、ESL−Zn処理の葉中の濃度は他の処理の濃度の約2倍であった。
【0082】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、化合物が細胞膜を横切って移動するためのアジュバント(または補助剤、adjuvant)として用いる最終生成物を生成するために使用される。例えば、農作物に使用される除草剤は、除草剤の有効性を高めるために、ベース生成物流体を含み得る。いくらかの態様では、最終生成物は、植物または作物の施肥(fertilization)効率を高めることができる。
【0083】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、飲料水処理に用いる最終生成物を生成するために使用される。いくらかの態様では、ベース生成物流体は、水系のシステムからバクテリアおよび/またはシアノ・バクテリア(または藍色細菌、cyanobacteria)を除去するために用いる最終生成物を生成するために使用される。いくらかの態様では、最終生成物は、水源中の藻類、有機物、バクテリアおよび/またはシアノ・バクテリアの前処理を助けるために使用される。新しいEPA規則は、生成物による消毒を減らすために、表面水処理プラントが塩素の使用を削減することを義務づけている。最終生成物は、細胞壁をより迅速に貫通するため、抗微生物性を高め得る。したがって、いくらかの態様では、最終生成物は、より低い濃度で大腸菌、クリプトスポリジウムおよびジアルジアを除去することによって公衆配給(public distribution)システムに入る前に、水のバクテリア制御を維持するために使用され得る。最終生成物の使用は、塩素投与率を低下させ得、新しいEPA規則に準拠する補助となり得る。さらに、最終生成物は、塩素を使用する従来の処理と比較して、処理の経済性を改善し得る。
【0084】
表4および表5に示されるように、システム50によって生成されたベース生成物流体から形成された最終生成物は、大腸菌の効果的な阻害(例えば、殺滅)を示す。
【表4】
【表5】
【0085】
いくらかの態様では、ベース生成物流体は、殺菌剤として用いる最終生成物を生成するために使用される。例えば、最終生成物は、温室、畑および住宅および商業施設における植物の菌制御に使用してもよい。いくらかの態様では、臭気を抑制し、またシアノ・バクテリア(例えば、毒素生成物)を制御するために、ベース生成物流体は、貝の腐敗プロセスおよび/または水産養殖施設で使用される水の処理のために用いられる最終生成物を生成するために使用される。いくらかの態様では、ベース生成物流体は、化合物が細胞膜を横切って移動するためのアジュバントとして用いられる最終生成物を生成するために使用される。いくらかの態様では、ベース生成物流体は、コールド・クリーム製品または他の美顔製品もしくは美容製品に用いられる最終生成物を生成するために使用される。例えば、最終生成物は、皮膚創傷、潰瘍、または他の外部感染の局所治療に使用され得る。
【0086】
特定の態様について上記記載したが、これらの態様は、特定の特徴に関して、単一の態様のみが記載されている場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示において供される特徴の例は、他に述べられていない限り、限定的ではなく例示的であることが意図されている。上記記載は、この開示の利益を受ける当業者に明らかであるような代替物、改変物、および等価物を包含することを意図している。
【0087】
本発明は、説明した特定のシステムに限定されるものではなく、当然変わり得ることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書中で使用されるように、単数形「一の(a、an)」および「その、または前記(the)」は、その内容が明確にそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「バルブ(a valve)」に対する言及は、2以上のバルブの組合せを含み、「流体(a fluid)」に対する言及は、流体の混合物を含む。
【0088】
本開示に記載された態様の様々な実施形態のさらなる改変および代替態様は、本記載を考慮して当業者には明らかであろう。したがって、本記載は単に例示的なものと解釈されるべきであり、当業者に態様を実施する一般的な方法を教示することを目的とするものである。本明細書に示し、記載した態様の形態は、現時点で好ましい態様とみなすべきであることを理解されたい。本明細書の利益を受けた後で、当業者には明らかであるように、本明細書に図示および記載されたものの代わりに、要素および材料を使用し得、部分およびプロセスを逆にしてもよく、また態様における特定の特徴は別個に利用してもよい。添付の特許請求の範囲の主旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に変更を加え得る。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
以下の式を有するキレート化合物であって、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、
キレート化合物。
(態様2)
前記キレート化合物が結晶性である、態様1に記載のキレート化合物。
(態様3)
前記キレート化合物が含水性である、態様1に記載のキレート化合物。
(態様4)
前記キレート化合物が金属塩をキレート化することができる、態様1に記載のキレート化合物。
(態様5)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様4に記載のキレート化合物。
(態様6)
前記キレート化合物が、水と混合される場合に約2未満のpHを有する、態様1に記載のキレート化合物。
(態様7)
aが1であり、bが1であり、cが1であり、またxが1〜6である、態様1に記載のキレート化合物。
(態様8)
前記キレート化合物中の窒素原子が−3の酸化状態を有する、態様1に記載のキレート化合物。
(態様9)
前記キレート化合物中の硫黄原子が+6の酸化状態を有する、態様1に記載のキレート化合物。
(態様10)
以下の式を有するキレート化合物であって、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが少なくとも1であり、bが少なくとも1であり、cが少なくとも1であり、またxが1〜10であり、ならびに
前記分子化合物が、
約3%〜約6%の水素、
約10%〜約15%の窒素、
約25%〜約30%の硫黄、および
約52%〜約60%の酸素の元素組成を含んで成る、
キレート化合物。
(態様11)
前記キレート化合物が結晶性である、態様10に記載のキレート化合物。
(態様12)
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、態様10に記載のキレート化合物。
(態様13)
前記キレート化合物が含水性である、態様10に記載のキレート化合物。
(態様14)
前記キレート化合物が金属塩をキレート化することができる、態様10に記載のキレート化合物。
(態様15)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様14に記載のキレート化合物。
(態様16)
前記キレート化合物が、水と混合される場合に約2未満のpHを有する、態様10に記載のキレート化合物。
(態様17)
aが1であり、bが1であり、cが1であり、またxが1〜6である、態様10に記載のキレート化合物。
(態様18)
前記分子中の窒素原子が−3の酸化状態を有する、態様10に記載のキレート化合物。
(態様19)
前記分子中の硫黄原子が+6の酸化状態を有する、態様10に記載のキレート化合物。
(態様20)
以下の式を有するキレート化合物であって、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが少なくとも1であり、bが少なくとも1であり、cが少なくとも1であり、またxが1〜10であり、および
水と混合される場合に約2未満のpHを有する、
キレート化合物。
(態様21)
キレート流体であって、
水溶液中に複数のキレート化合物を含んで成り、
該キレート化合物が以下の式を有し、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが複数のキレート化合物において1〜5の範囲であり、bが複数のキレート化合物において1〜5の範囲であり、cが複数のキレート化合物において1〜5の範囲であり、またxが複数のキレート化合物において1〜10の範囲である、
キレート流体。
(態様22)
前記キレート化合物が結晶性である、態様21に記載のキレート流体。
(態様23)
前記キレート化合物が含水性である、態様21に記載のキレート流体。
(態様24)
前記キレート流体が金属塩をキレート化することができる、態様21に記載のキレート流体。
(態様25)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含む、態様24に記載のキレート流体。
(態様26)
前記キレート流体が約2未満のpHを有する、態様21に記載のキレート流体。
(態様27)
aが1であり、bが1であり、cが1であり、またxが1〜6である、態様21に記載のキレート流体。
(態様28)
前記キレート化合物中の窒素原子が−3の酸化状態を有する、態様21に記載のキレート流体。
(態様29)
前記キレート化合物中の硫黄原子が+6の酸化状態を有する、態様21に記載のキレート流体。
(態様30)
ベース生成物流体の製造方法であって、
プロセス・ラインを通して水を流すこと、
混合流体を形成するように、無水液体アンモニアおよび硫酸の第1部分をプロセス・ラインにおける水に添加および混合すること、
前記混合流体を熱交換機に流すことによって該混合流体を冷却すること、ならびに
ベース生成物流体を形成するように、硫酸の第1部分よりも重い硫酸の第2部分を前記混合流体に添加することを含んで成る、
方法。
(態様31)
硫酸の第2部分の前記混合流体への添加により、以下の式を有するキレート化合物が形成され、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、態様30に記載の方法。
(態様32)
前記キレート化合物が金属塩をキレート化することができる、態様31に記載の方法。
(態様33)
硫酸の第2部分と硫酸の第1部分との重量比が、約2:1〜約7:1である、態様30に記載の方法。
(態様34)
アンモニアを、大気圧を超える圧力でアンモニアの沸点未満の温度まで冷却することによって、アンモニアを液体として維持することをさらに含んで成る、態様30に記載の方法。
(態様35)
前記プロセス・ラインにおける圧力を約40psig〜約80psigに維持することをさらに含んで成る、態様30に記載の方法。
(態様36)
最終生成物を形成するように、前記ベース生成物流体と金属塩および水とを組合せることをさらに含んで成る、態様30に記載の方法。
(態様37)
混合流体を形成するように、無水液体アンモニアおよび硫酸の第1部分をプロセス・ラインにおける流水に添加および混合すること、
前記混合流体を熱交換機に流すことによって該混合流体を冷却すること、ならびに
分子化合物を含んで成る生成物液体を形成するように、硫酸の第1部分よりも多い硫酸の第2部分を前記混合流体に添加することを含んで成る方法によって形成される、
キレート化合物。
(態様38)
キレート化合物が以下の分子式を有し、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、態様37に記載のキレート化合物。
(態様39)
前記キレート化合物が金属塩をキレート化することができる、態様37に記載のキレート化合物。
(態様40)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含む、態様39に記載のキレート化合物。
(態様41)
前記キレート化合物が結晶性である、態様37に記載のキレート化合物。
(態様42)
前記キレート化合物が含水性である、態様37に記載のキレート化合物。
(態様43)
アンモニアを、大気圧を超える圧力でアンモニアの沸点未満の温度まで冷却することによって、該アンモニアを液体として維持することをさらに含む態様37に記載の方法によって形成されるキレート化合物。
(態様44)
前記プロセス・ラインにおける圧力を約40psig〜約80psigに維持することをさらに含んで成る態様37に記載の方法によって形成されるキレート化合物。
(態様45)
最終生成物を形成するように、前記ベース生成物流体と金属塩および水とを組合せることをさらに含んで成る態様37に記載の方法によって形成されるキレート化合物。
(態様46)
水処理溶液であって、
以下の式を有するキレート化合物、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10であり、
金属塩、および
水を含んで成る、
溶液。
(態様47)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様46に記載の溶液。
(態様48)
前記キレート化合物が前記金属塩をキレート化する、態様46に記載の溶液。
(態様49)
前記水処理溶液が約2未満のpHを有する、態様46に記載の溶液。
(態様50)
水処理溶液を製造するための方法であって、
金属塩をベース生成物流体および水に添加することを含んで成り、
前記ベース生成物流体が、以下の式を有するキレート化合物を含んで成り、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、
方法。
(態様51)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様50に記載の方法。
(態様52)
前記金属塩を前記キレート化合物に添加することが、ほとんどまたは全く熱を発生させない、態様50に記載の方法。
(態様53)
前記水処理溶液が約2未満のpHを有する、態様50に記載の方法。
(態様54)
水を処理する方法であって、
処理が必要な水に水処理溶液を添加することを含んで成り、
前記水処理溶液が、金属塩および以下の式を有するキレート化合物を含んで成り、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、方法。
(態様55)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様54に記載の方法。
(態様56)
前記水処理溶液が、処理が必要な水において有害な軟体類を制御する、態様54に記載の方法。
(態様57)
前記水処理溶液が、処理が必要な水から味および/または臭気を除去し、該処理が必要な水が飲料水である、態様54に記載の方法。
(態様58)
前記水処理溶液が、処理が必要な水において蚊を殺す、態様54に記載の方法。
(態様59)
前記水処理溶液が、処理が必要な水におけるバクテリアを制御し、該処理が必要な水がスイミング・プールである、態様54に記載の方法。
(態様60)
前記水処理溶液が、処理が必要な水においてアルジサイドとして使用される、態様54に記載の方法。
(態様61)
前記水処理溶液が、処理が必要な水から微生物を除去する、態様54に記載の方法。
(態様62)
前記処理が必要な水が、水の静的な状態を含んで成る、態様54に記載の方法。
(態様63)
農業用処理溶液であって、
以下の式を有するキレート化合物、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10であり、
1またはそれよりも多い金属塩、および
水を含んで成る、
溶液。
(態様64)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様63に記載の溶液。
(態様65)
前記キレート化合物が前記金属塩をキレート化する、態様63に記載の溶液。
(態様66)
前記農業用処理溶液が約2未満のpHを有する、態様63に記載の溶液。
(態様67)
農業用処理溶液を製造するための方法であって、
1またはそれよりも多い金属塩をベース生成物流体および水に添加することを含んで成り、
前記ベース生成物流体が、以下の式を有するキレート化合物を含んで成り、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、
方法。
(態様68)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様67に記載の方法。
(態様69)
前記金属塩の前記キレート化合物への添加が、ほとんどまたは全く熱を発生させない、態様67に記載の方法。
(態様70)
前記水処理溶液が約2未満のpHを有する、態様67に記載の方法。
(態様71)
農産物を処理する方法であって、
農業用処理溶液を農作物に添加することを含んで成り、
前記農業用処理溶液が、1またはそれよりも多い金属塩および以下の式を有するキレート化合物を含んで成り、
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x
aが1〜5であり、bが1〜5であり、cが1〜5であり、またxが1〜10である、方法。
(態様72)
前記金属塩が、亜鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、モリブデン、鉄、ホウ素、コバルト、銅の塩、またはそれらの組合せを含んで成る、態様71に記載の方法。
(態様73)
前記農業用処理溶液が、前記農作物のための微量栄養素を含んで成る前記金属塩の少なくとも1つを該農作物に送る、態様71に記載の溶液。
(態様74)
前記農業用処理溶液を除草剤に添加することをさらに含んで成り、該農業用処理溶液が除草剤のアジュバントである、態様71に記載の溶液。
(態様75)
前記農業用処理溶液を肥料に添加することをさらに含んで成り、該農業用処理溶液が肥料のアジュバントである、態様71に記載の溶液。
(態様76)
以下の式を有するキレート化合物。
((NH4)2SO4)a・(H2SO4)b・(H2O)c・(NH4HSO4)x