特許第6912474号(P6912474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912474
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】負荷における電流モニタリング
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/18 20060101AFI20210727BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H01F7/18 S
   F16K31/06 310C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-526134(P2018-526134)
(86)(22)【出願日】2016年11月10日
(65)【公表番号】特表2019-505982(P2019-505982A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】EP2016077308
(87)【国際公開番号】WO2017084964
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年9月17日
(31)【優先権主張番号】102015222991.2
(32)【優先日】2015年11月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ポール バンゲ
(72)【発明者】
【氏名】トマス マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド コラー
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド カバニー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホフ
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−103300(JP,A)
【文献】 特公平02−040993(JP,B2)
【文献】 特開2014−197655(JP,A)
【文献】 特開平09−014486(JP,A)
【文献】 特開平08−098562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/18
F16K 31/06−31/11
G01R 19/00−19/32
G05D 7/00−7/06、16/00−16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷(105)を通って流れる電流(205)の平均値を決定する方法(300)であって、前記電流(205)は直流成分(210)及びディザリング成分(215)を含み、及び該ディザリング成分(215)を既定の時間間隔(220)で周期的に、既定の曲線形状で変更し、前記方法(300)は、瞬時電流を捕捉するステップ(330)と、前記ディザリング成分(215)の周期期間(225)、振幅(230)、及び曲線形状のディザリングパラメータ(220〜235)を決定するステップと、前記瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて周期に亘る前記電流(205)の平均値を決定するステップ(340)と、を含む方法(300)。
【請求項2】
負荷(105)を通って流れる電流(205)の実効値を決定する方法(300)であって、前記電流(205)は直流成分(210)及びディザリング成分(215)を含み、及び該ディザリング成分(215)を既定の時間間隔(220)で周期的に、既定の曲線形状で変更し、前記方法(300)は、瞬時電流を捕捉するステップ(330)と、前記ディザリング成分(215)の周期期間(225)、振幅(230)、及び曲線形状のディザリングパラメータ(220〜235)を決定するステップと、前記瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて、周期に亘る前記電流(205)の実効値を決定するステップと、を含む方法(300)。
【請求項3】
負荷(105)を通って流れる電流(205)の直流成分(210)を決定する方法(300)であって、前記電流(205)は前記直流成分(210)及びディザリング成分(215)を含み、及び該ディザリング成分(215)を既定の時間間隔(220)で変更し、前記方法(300)は、瞬時電流を捕捉するステップ(330)と、前記ディザリング成分の量を決定するステップと、前記瞬時電流及び前記ディザリング成分の前記量に基づいて前記電流(205)を決定するステップ(340)と、を含む方法(300)。
【請求項4】
負荷(105)を通る電流(205)を駆動する駆動装置(130)であって、前記電流(205)は、既定の直流電流(210)と、既定の時間間隔(220)でディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて周期的に変更されるディザリング電流(215)と、を含み、前記ディザリングパラメータ(220〜235)は、ディザリング成分(215)の周期期間(225)、振幅(230)、及び曲線形状を含み、前記駆動装置(130)は、前記負荷(105)を通る瞬時電流を決定する検出装置(160)と、前記瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)を提供するインターフェイス(140)と、を備える駆動装置(130)。
【請求項5】
負荷(105)を通る電流(205)の平均値を決定する装置(135)であって、前記負荷(105)は、前記電流(205)が既定の直流電流(210)と既定の時間間隔(220)でディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて周期的に変更されるディザリング電流(215)と、を含むよう駆動装置(130)を用いて駆動され、前記ディザリングパラメータ(220〜235)は、ディザリング成分(215)の周期期間(225)、振幅(230)、及び曲線形状を含み、前記装置(135)は、前記駆動装置(130)を用いて決定される瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)を要求し、及び前記瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて前記負荷(105)を通る前記電流(205)の前記平均値を決定するよう、設定されている装置(135)。
【請求項6】
負荷(105)を通る電流(205)の実効値を決定する装置(135)であって、前記負荷(105)は、前記電流(205)が既定の直流電流(210)と既定の時間間隔(220)でディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて周期的に変更されるディザリング電流(215)と、を含むよう駆動装置(130)を用いて駆動され、前記ディザリングパラメータ(220〜235)は、ディザリング成分(215)の周期期間(225)、振幅(230)、及び曲線形状を含み、前記装置(135)は、前記駆動装置(130)を用いて決定される瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)を要求し、及び前記瞬時電流及び前記ディザリングパラメータ(220〜235)に基づいて前記負荷(105)を通る前記電流(205)の実効値を決定するよう、設定されている装置(135)。
【請求項7】
負荷(105)を通る電流(205)の直流成分を決定する装置(135)であって、前記負荷(105)は、前記電流(205)が既定の直流電流(210)と既定の時間間隔(220)で変更されるディザリング電流(215)と、を含むよう駆動装置(130)を用いて駆動され、前記装置(135)は、前記駆動装置(130)を用いて決定される瞬時電流及びディザリング成分の量を要求し、及び前記瞬時電流及び前記ディザリング成分の量に基づいて前記負荷(105)を通る前記電流(205)を決定するよう、設定されている装置(135)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を通る電流の決定に関する。特に本発明は、ディザリングを用いて駆動される負荷を介する電流決定に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧用途においては、多くの場合、流れが調整された弁が使用される。特に連続弁においては、弁を通って流れる電流は、油圧に正比例することができる。圧力は、油圧制御ピストンにより制御される。油圧制御ピストンは、磁石電機子を用いて調整可能である。磁石電機子は、コイルの磁気的影響下にある。磁石電機子又は制御ピストンの分離摩擦を回避するために、弁のコイルを通って流れる電流を、ディザリングを用いて、直流成分及びディザリング成分から構成可能である。ディザリング成分は、既定の時間間隔で変更され及びリップル電流としても既知である。ディザリング周期は、通常、ディザリング周波数が約70ないし400Hzの範囲にあるように選択されている。これにより、磁石電機子及び制御ピストンが、微弱に振動する。そのため、磁石電機子及び制御ピストンを、直流を用いて、より良好に制御可能である。その結果、電気的駆動と油圧効果との間のヒステリシスを低減可能である。
【0003】
通常、電磁弁のコイルを通って流れる電流を制御する駆動装置が備えられる。駆動装置は、制御ラインを用いて制御部品と接続されている。そのため、ディザリング及び電流供給は、駆動装置によって実行される。一方制御装置は、主として、直流成分又はそれと同等の大きさを、駆動装置に対して要求する。
【0004】
実際にコイルを通って流れる電流は、駆動装置の側で、決定もされ及び処理ユニットに対してリードバックされる。しかしながら、ディザリングは電流の決定に影響する。そのため、平均値又は実効値が、全ディザリング周期に亘って決定される。ディザリング周期の長さに応じて、それに関連する遅延が、制御目的又はテスト目的では容認できない可能性がある。これに対して代替的に、コイルを通って流れる平均電流が、連続的にも決定され及び要求に応じて更に処理装置へ渡されることができる。しかしながらこの場合、決定された電流値は、供給の時点には、既に古くなっている可能性がある。
【0005】
特開2009−230463号は、直流成分とディザリング成分との組み合わせを用いて、流れが制御された弁を駆動する技術に関する。
【0006】
欧州特許出願公開第0 929 020号は、流れが制御された弁において、弁に作用する力に依存して、ディザリング成分を変更することを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−230463号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 929 020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ディザリングを用いて駆動される電気負荷を通って流れる電流をより良好に決定可能な、改善された技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、独立請求項の対象を用いて、この課題を解決する。従属請求項は、好適な実施形態を反映する。
【0010】
負荷を通って流れる電流の平均値を決定する第1の方法において、電流は直流成分及びディザリング成分を含む。また、ディザリング成分を既定の時間間隔で周期的に、既定の曲線形状で変更する。方法は、瞬時電流を捕捉するステップと、ディザリング成分の周期期間、振幅、及び曲線形状のディザリングパラメータを決定するステップと、瞬時電流及びディザリングパラメータに基づいて、周期に亘る電流の平均値を決定するステップと、を含む。
【0011】
負荷を通って流れる電流の実効値を決定する第2の方法において、電流は直流成分及びディザリング成分を含む。また、ディザリング成分を既定の時間間隔で周期的に、既定の曲線形状で変更する。方法は、瞬時電流を捕捉するステップと、ディザリング成分の周期期間、振幅、及び曲線形状のディザリングパラメータを決定するステップと、瞬時電流及びディザリングパラメータに基づいて、周期に亘る電流の実効値を決定するステップと、を含む。
【0012】
負荷を通って流れる電流の直流成分を決定する第3の方法において、電流は直流成分及びディザリング成分を含む。また、ディザリング成分を既定の時間間隔で変更する。方法は、瞬時電流を捕捉するステップと、ディザリング成分の量を決定するステップと、瞬時電流及びディザリング成分の量に基づいて電流を決定するステップと、を含む。
【0013】
電流の決定は、瞬時電流に基づいて、非常に迅速に行なうことができる。電流を決定する要求と最終的に決定された電流との間の待ち時間は、短くすることができる。それによりこの方法を、セーフティクリティカルな又は高度に動的な制御プロセスにも、適したものとすることができる。実行されるディザリングの種類に応じて、ディザリングパラメータは、殆ど労力をかけずに負荷を通って流れる電流を決定するために使用可能な、単純な大きさとすることができる。これにより電流決定を、迅速に、かつより少ない処理手段を使用して実行可能である。さらに、負荷の電流制御とディザリングとを、より良好に、相互分離可能である。ディザリングは、特に、事実上完全に透過的に実行可能である。そのため、負荷の電流を制御する第1成分、又は電流を決定する第2成分は、ディザリングを扱う必要がない。
【0014】
好適には、ディザリングパラメータは、ディザリング成分の量に関する指標を含む。ディザリング成分が既知である場合、従って、電流を得るために、瞬時電流からディザリング成分を減算することができる。一実施形態において、ディザリングパラメータは、ディザリング成分の量に線形依存する。
【0015】
ディザリング成分は、周期的に既定の曲線形状で変更可能である。その際、ディザリングパラメータは曲線形状に関する指標を含む。例示的な曲線形状は、矩形、三角形、又は鋸歯形状を含む。曲線形状、及び例えば曲線形状の位相角が既知である場合、従って、ディザリング成分は容易に決定可能である。位相角は、異なる形状で、例えば時間間隔のカウントとして離散的に与えられることができる。その際、既定の数の時間間隔が、周期毎に備えられる。
【0016】
更なる実施形態において、ディザリングパラメータはディザリングの周期期間に関する指標を含む。
【0017】
電流は、ディザリングの周期に亘る平均値に対応するよう、決定可能である。この決定のために、ディザリング周期に亘って電流を監視する必要はない。しかしながら好適には、電流は、計算的に瞬時電流及び1つ以上のディザリングパラメータに基づいて決定可能である。これにより、電流の更なる処理を簡略化可能である。更なる好適な実施形態において、決定された電流は周期に亘る実効値を含む。これにより、ディザリングの曲線形状を選択する際の柔軟性を高めることができる。また更なる実施形態において、決定された電流は、直流成分のみを含む。その際、ディザリング成分は、決定から除かれる。このアプローチは、ディザリング成分が周期に亘り等しい部分に対して正及び負である場合に、特に推奨されることができる。この場合直流成分は、負荷を通って流れる電流の平均値にも対応できる。
【0018】
方法は、特に2つの装置を用いて実行可能である。その際、一方の駆動装置は、負荷を通る電流を制御し及び検出もする。また他方の装置は、駆動装置を制御する。
【0019】
負荷を通る電流を駆動する駆動装置において、電流は、既定の直流電流と、既定の時間間隔でディザリングパラメータに基づいて周期的に変更されるディザリング電流と、を含む。ディザリングパラメータは、ディザリング成分の周期期間、振幅、及び曲線形状を含む。駆動装置は、負荷を通る瞬時電流を決定する検出装置と、瞬時電流及びディザリングパラメータを提供するインターフェイスと、を備える。
【0020】
駆動装置は、例えば集積回路又は統合制御部品として構成されることができる。ディザリング、好適には、完全に駆動装置により制御される。相互に連続する時間間隔における、曲線形状、周期期間、周期毎の時間間隔の数、又はディザリング電流のステップ幅等のディザリングパラメータは、確実に記憶可能、又は外部から特定可能である。さらに好適には、直流成分は外部から特定可能である。駆動装置と、別の制御装置との間の通信は、例えば、シリアルインターフェイスを用いて行なうことができる。このためには、例えば工業的にテスト済みであり、かつ広く使用されているSPIバスが適している。
【0021】
上述の駆動装置を用いて駆動される負荷を通る電流の平均値を決定する装置は、駆動装置を用いて決定される瞬時電流及びディザリングパラメータを要求し、及び瞬時電流及びディザリングパラメータに基づいて負荷を通る電流の平均値を決定するよう、設定されている。
【0022】
上述の駆動装置を用いて駆動される負荷を通る電流の実効値を決定する装置は、駆動装置を用いて決定される瞬時電流及びディザリングパラメータを要求し、及び瞬時電流及びディザリングパラメータに基づいて負荷を通る電流の実効値を決定するよう、設定されている。
【0023】
上述の駆動装置を用いて駆動される負荷を通る電流の直流成分を決定する装置は、駆動装置を用いて決定される瞬時電流及びディザリング成分の量を要求し、及び瞬時電流及びディザリング成分に基づいて負荷を通る電流を決定するよう、設定されている。
【0024】
1つ以上の追加的なディザリングパラメータもまた、電流を決定する装置により使用されることができる。その際、1つ以上の追加的なパラメータは、駆動装置のより早い時点で特定されていた。従って装置の側では、これらの追加的なパラメータは既知である。
【0025】
最後に説明された実施形態においては、電流の決定は装置の側で行なわれる。しかしながら、上述された方法は、完全に駆動装置により実行されることも可能である。その際、決定された、負荷を通って流れる電流は、外部に提供されることができる。
【0026】
例えば、瞬時電流をディザリング電流のステップ幅と共に伝送することにより、いつでも、目標仕様との比較が可能である。従って、ディザリングの周期に亘って電流が平均化されるまでの待機が除かれる。目標値としては、例えば、ディザリングパラメータに加算された、ディザリングの周期に亘って平均化された目標電流が機能する。もちろん、別の目標値も使用可能である。従って更に、ディザリングの正常機能をモニタリング可能である。
【0027】
本発明により、負荷の正しい機能を、従来技術と比較してより良好に、かつより短時間でモニタリング可能である。
【0028】
本発明は、次に、添付の図面を参照して詳説される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】負荷を通る電流を制御するシステムの回路図である。
図2図1の負荷を通る電流の例示的な経過を示すグラフである。
図3図1の負荷を通って流れる電流を決定する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、負荷105を通る電流を制御するシステム100の回路図を示す。負荷105は、特に連続弁である、流れが制御された油圧弁を備えることができる。連続弁は、切り換え位置の間での連続的な移行を可能とする。そのため、油圧流体の体積流を、比例的に調節可能である。連続弁は、比例弁、調整弁、又はサーボ弁を、特に、例えば自動車のドライブトレインにおける変速機を制御するために、備えることができる。従って図示の実施形態において、負荷105は、磁石電機子とも称する電機子115を有するコイルを備える。電機子115は、制御ピストンとも称する油圧ピストン120に作用する。油圧弁を通る油圧回路は、図1には示されていない。
【0031】
負荷105を通る電流は、電流源125から供給され及び駆動装置130により制御される。駆動装置130は、インターフェイス140を用いて制御装置135と通信できる。制御装置135は、通常、処理ユニット145を備える。処理ユニット145は、既定の制御タスクを実行するために、負荷105を通って流れる電流用の仕様を決定し、及びそれを駆動装置130に伝送するよう設定されている。
【0032】
駆動装置130は、処理ユニット150、負荷105を通って流れる電流を制御する電流コントローラ、及び負荷105を通って流れる電流の瞬時値を決定する検出装置160を備える。図示の実施形態において、直列抵抗165(シャント)が、負荷105の電流経路に挿入されている。検出装置160は、直列抵抗165の両端で降下する電圧を決定する。
【0033】
電流コントローラ155は、負荷105を通る電流を調整するよう設定されている。負荷105は、2つの成分から構成されている。直流成分は、好適にはインターフェイス140を介して外部から特定される。またディザリング成分は、電流コントローラ155の側で生成される。ディザリング成分は、以下に、図2を参照して詳述される。ディザリングを実行するパラメータは、駆動装置130に確実に記憶可能、又はインターフェイス140を用いて外部から特定可能である。通常、ディザリングパラメータは1度だけ初期化される。ディザリングパラメータは、その後それ以上変更されない。負荷105を通って流れるべき直流成分は、その後需要に応じてインターフェイス140を介して外部から特定され、及び駆動装置130又は電流コントローラ155により独立して変換される。そのため、実際に負荷105を通って流れる電流が供給される場合、瞬時電流は検出装置160を用いて検出可能である。
【0034】
負荷105を通る電流を、平均値、実効値、又は直流成分の形式で決定するために、検出された瞬時電流を、検出時点で有効であったディザリングパラメータに基づいて計算することが、提案される。第1変形例において、瞬時電流及びディザリングパラメータは、駆動装置130の側で処理されることが可能である。そのため、最終的に決定された電流は、インターフェイス140を用いて外部に提供されることが可能である。別の変形例においては、瞬時電流及びディザリングパラメータは、インターフェイス140を介して外部に提供される。また、電流は外部で、例えば制御装置135又は制御装置135の処理ユニット145を用いて決定される。
【0035】
図2は、負荷105を通る電流205の例示的な経過を示す。電流205は、各時点に対して、直流成分210及びディザリング成分215から構成される。ディザリング成分215は、直流成分210に関して、正のみ、負のみ、又は図示のように、異なる時点で正又は負であることが可能である。ディザリング成分215は、既定の時間間隔220で変化する。その際、既定の数の時間間隔220が、周期期間225をもたらす。ディザリングに影響する更なるパラメータは、振幅230又はステップ幅235を含むことができる。さらに、ディザリング成分215の曲線形状は、随意の時点で、その絶対値を決定する。
【0036】
例示的に、三角形のディザリングが示される。この三角形は、油圧弁の制御において、負荷105として頻繁に使用される。ディザリング成分215は、時間間隔220の0乃至kで、既定の一定のステップ幅235で最大振幅230まで上昇する。ディザリング成分215は、そこから時間間隔220の3kまで、ステップ的に再度低減され、また続いて時間間隔220の4k‐1まで、再度ステップ的に上昇される。下降及び上昇は、この場合、時間に亘って線形で発生する。kは、ディザリングの周期期間225と時間間隔220との間で既定の関係を確立するために特定可能な変数である。
【0037】
図示された三角形において、ディザリング成分215の平均値は、全周期225に亘り0である。ディザリング成分215の実効値は、選択された三角形において、ピーク値の2/√3に対応する。その際、ピーク値は、ディザリング成分215の最大値と最小値との間の差異である。従ってこの場合、ピーク値は振幅230の2倍に等しい。三角形以外の他の曲線形状も可能である。例えば、他の実施形態においては、曲線形状として、正弦形状、鋸歯形状、又は矩形を使用することができる。
【0038】
駆動装置130は、ディザリング成分215を外部から特定された直流成分210に重ねあわせるよう設定されている。ディザリング成分215の決定は、この場合、前述のパラメータ220乃至235、曲線形状、及び必要に応じて更なるパラメータに基づいて、完全に駆動装置130の側で行なわれる。
【0039】
既定の時点に対して負荷105を通って流れる電流205を決定するために、異なる実施形態において、直流成分210、電流205の平均値又は実効値を、周期期間225に亘って決定可能である。この場合決定は、負荷105を通る瞬時電流及び1つ以上のディザリングパラメータに基づいて行なわれる。瞬時電流は、決定が実行される時間間隔220内に負荷105を通って流れる電流量である。
【0040】
図3は、図1の負荷105を通って流れる電流205を決定する方法300のフローチャートを示す。左の領域には、好適には制御装置135により実行されるステップが示されている。一方右の領域には、好適には駆動装置130により処理されるステップが示されている。
【0041】
電流の実際の決定にかかわらず、通常は、ステップ305において、制御装置135の側でディザリングパラメータを決定する。またステップ310において、駆動装置130の側でディザリングパラメータを受け付ける又はアクティブ化する。インターフェイス140の設計に応じて、制御装置135と駆動装置130との間の通信は、1つ以上の既定のレジスタへのアドレス指定及びアクセスを、モジュール130及び135のいずれか1つの側に備えることができる。各ディザリングパラメータのために、例えば、個別のレジスタが駆動装置130の側に備えられることが可能である。次に制御装置135は、所望されるディザリングパラメータのための適切な値を、個々のレジスタに書き込むことができる。
【0042】
システム100の通常作動においては、制御装置135の側で、所望される直流成分210を、ステップ315で決定し、駆動装置130に伝送する。また駆動装置130において、ステップ320で、所望される直流成分210を受け付ける又はアクティブ化する。ステップ315及び320は、通常、頻繁に実行する。
【0043】
負荷105を通る電流を、制御装置135の側で決定するために、ステップ325において電流決定を要求する。またステップ330において、駆動装置130により電流決定を実行する。ステップ335において、決定された瞬時電流及び少なくとも1つのディザリングパラメータを、提供又は伝送する。またステップ340において、それらに基づいて、制御装置135の側で、実際に負荷105を通って流れる電流を決定する。この場合、ステップ335において、ディザリングパラメータ及び必要に応じて更なるパラメータが使用される。これらのパラメータは、例えば、制御装置135の側でステップ305又は315のいずれか1つのステップから既知である。更なるパラメータは、例えば、ディザリングの周期期間又はディザリング周波数(ステップ305)を含むことができる。
【0044】
別の実施形態では、電流205の決定は、駆動装置130の側でも実行できる。続いて、決定された電流を、制御装置135に伝送又は提供する。
【0045】
瞬時電流に基づいて電流205を決定するために、通常は、瞬時電流を決定した時点に対するディザリングが、どの時間間隔220において存在したか、が少なくとも既知である必要がある。次にディザリング成分215は、例えば、図2の例における曲線形状を知り及び周期期間225又は変数kを絶対値として計算的に決定可能である。次に、電流205の所望される量を、ディザリング成分215を減算した瞬時電流に基づいて決定可能である。
【0046】
好適には、個別の電流決定の基礎となるディザリングパラメータのみが、瞬時電流と共に、駆動装置130の側で外部に提供される。特に、ディザリングパラメータは、瞬時電流の決定が行なわれた時間間隔220を示す数値指標として提供可能である。指標は、好適には、駆動装置130の側で、各周期225の後に既定の値にリセットされ、及び続いて、各時間間隔220においてインクリメントされる。インターフェイス140が、例えばSPIバスとして構成されている場合、従って、瞬時電流を提供する1つ以上のレジスタ、及び指標を提供する1つ以上の更なるレジスタを、備えることができる。
【符号の説明】
【0047】
100 システム
105 負荷
110 コイル
115 電機子
120 ピストン
125 電流源
130 駆動装置
135 制御装置
140 インターフェイス
145 処理ユニット
150 処理ユニット
155 電流コントローラ
160 検出装置
165 直列抵抗
205 電流
210 直流成分
215 ディザリング成分
220 時間間隔
225 周期期間
230 振幅
235 ステップ幅
300 方法
305 ディザリングパラメータを決定するステップ
310 ディザリングパラメータを受け付ける/アクティブ化するステップ
315 直流成分を決定するステップ
320 直流成分を受け付ける/アクティブ化するステップ
325 電流決定を要求するステップ
330 電流決定を実行するステップ
335 決定された瞬時電流及び少なくとも1つのディザリングパラメータを伝送するステップ
340 電流を決定するステップ
図1
図2
図3