(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6912480
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】高耐食性銅管
(51)【国際特許分類】
C22C 9/00 20060101AFI20210727BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
C22C9/00
F28F21/08 E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-531741(P2018-531741)
(86)(22)【出願日】2017年4月12日
(86)【国際出願番号】JP2017015004
(87)【国際公開番号】WO2018025451
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2020年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2016-153509(P2016-153509)
(32)【優先日】2016年8月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311014705
【氏名又は名称】NJT銅管株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正樹
(72)【発明者】
【氏名】京 良彦
(72)【発明者】
【氏名】前 早織
【審査官】
鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/148127(WO,A1)
【文献】
特開2008−255379(JP,A)
【文献】
特開平06−192773(JP,A)
【文献】
特開平07−166276(JP,A)
【文献】
特開2015−010265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 9/00−9/10
F16L 9/02
F28F 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pを0.16〜0.50重量%の割合で含有すると共に、酸素含有量が30重量ppm以下であり、残部がCuと合計量で0.05重量%以下の不可避的不純物であるCu材質からなることを特徴とする蟻の巣状腐食に対する高耐食性銅管。
【請求項2】
前記酸素含有量が、20重量ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の高耐食性銅管。
【請求項3】
湿潤環境下に配置されて、低級カルボン酸からなる腐食媒により、管表面から管肉厚方向に蟻の巣状に進行する腐食作用にさらされる銅管であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高耐食性銅管。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の高耐食性銅管からなることを特徴とする空調機器又は冷凍機器における伝熱管。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の高耐食性銅管からなることを特徴とする空調機器又は冷凍機器における冷媒配管。
【請求項6】
空調機器や冷凍機器に用いられて、湿潤環境下に配置される銅管において、その表面から惹起される、低級カルボン酸を腐食媒として湿潤環境中で発生する蟻の巣状腐食に対する耐食性を向上せしめる方法にして、かかる銅管を、P含有量が0.16〜0.50重量%であると共に、酸素含有量が30重量ppm以下であり、残部がCuと合計量で0.05重量%以下の不可避的不純物からなる材質にて構成することを特徴とする耐食性向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐食性銅管の改良に係り、特に、空調機器や冷凍機器における伝熱管、冷媒配管等に好適に用いられる銅管の耐食性向上技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空調機器や冷凍機器における伝熱管、冷媒配管(機内配管)等には、耐食性、ろう付け性、熱伝導性及び曲げ加工性等において優れた特徴を発揮する、りん(P)脱酸銅管(JIS−H3300−C1220T)が、主として用いられてきている。
【0003】
しかしながら、そのような空調機器や冷凍機器に使用される管材であるりん脱酸銅管には、管表面から管肉厚方向に蟻の巣状に進行する異常な腐食、所謂蟻の巣状腐食が発生することがあることが認められている。この蟻の巣状腐食は、蟻酸や酢酸等といった低級カルボン酸を腐食媒として、湿潤環境中で発生するとされ、また1,1,1−トリクロロエタン等の塩素系有機溶剤や、ある種の潤滑油、ホルムアルデヒド等が存在する環境下においても、同様な腐食の発生が確認されている。特に、空調機器や冷凍機器における結露が惹起される管路として用いられた場合には、その発生が顕著となることが知られている。そして、そのような蟻の巣状腐食は、それが発生すると、腐食の進行速度が速く、短期間で銅管を貫通するまでに進行し、機器が使用出来なくなってしまうという問題を惹起することとなる。
【0004】
このため、特開平6−122932号公報においては、P:0.0025〜0.01wt%を含み、残部がCuと通常の不純物とからなるか、又は、更に酸素濃度が20wtppm以下である耐食性高強度銅管が提案され、それによって、蟻の巣状腐食に対する耐食性が向上せしめられ得ることが、明らかにされている。即ち、そこでは、Pの含有量が極めて少ない無酸素銅管では、蟻の巣状腐食が抑制されるとして、りん脱酸銅管におけるPの含有量を低減せしめ、以てりん脱酸銅管よりも、蟻の巣状腐食に対する耐食性を向上しようとされているのである。しかして、そのようなPの含有量を低減せしめ、更には酸素濃度を低下してなる銅管には、未だ、充分な耐食性の向上を図り得ず、特に、蟻の巣状腐食に対する耐食性を長期間に亘って得ることは望むべくもなかったのである。
【0005】
かかる状況下、WO2014/148127号公報においては、Pを0.05〜1.0重量%の割合で含有し、残部がCuと不可避的不純物となるCu材質からなることを特徴とする高耐食性銅管が提案され、それによって、蟻の巣状腐食に対する耐食性が有利に向上せしめられ得ることが、明らかにされている。要するに、そこでは、従来のりん脱酸銅からなる管材よりも、P含有量の大なる領域において、蟻の巣状腐食に対する耐食性を有利に向上せしめ得る銅管を、実用的に有利に得ることが出来る事実が、指摘されているのである。
【0006】
しかしながら、そのようなPの含有量を増大せしめてなる銅管においても、より厳しい腐食環境に長期に亘って曝露される状況下においては、蟻の巣状腐食が発生するようになるところから、かかる銅管を用いた機器の寿命を向上せしめ、その信頼性を高める上においても、より一層、蟻の巣状腐食に対する高い耐腐食性を発揮し得る銅管の開発が、望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−122932号公報
【特許文献2】WO2014/148127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、蟻の巣状腐食に対して、より一層高い耐食性を長期間に亘って発揮することが出来、そして空調機器や冷凍機器における伝熱管や冷媒配管等として好適に用いられ得る、防食性に優れた銅管を提供することにあり、また、そのような銅管を用いて構成される機器の寿命を有利に向上せしめることにもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、空調機器や冷凍機器等において用いられる管材としての銅管における蟻の巣状腐食について更に鋭意検討を重ねた結果、Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有する銅管中の酸素含有量が、特定の領域内にある場合において、蟻の巣状腐食に対する耐食性が長期間に亘ってより一層有利に向上せしめられ得る事実を見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
すなわち、本発明は、かくの如き知見に基づき、P(りん)を0.15〜0.50重量%の割合で含有すると共に、酸素含有量が30重量ppm以下であり、残部がCu(銅)と不可避的不純物であるCu材質からなることを特徴とする高耐食性銅管を、その要旨とするものである。
【0011】
要するに、本発明にあっては、Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有し、残部がCuと不可避的不純物となるCu材質からなる耐食性銅管において、かかるCu材料の酸素含有量を30重量ppm以下とすることによって、蟻の巣状腐食に対する耐食性を長期間に亘って更に効果的に向上せしめ得たのである。
【0012】
なお、かかる本発明に従う高耐食性銅管の望ましい態様の一つにあっては、前記酸素含有量が、20重量ppm以下とされることとなる。
【0013】
また、本発明に従う高耐食性銅管の望ましい態様の別の一つにあっては、前記不可避的不純物の含有量は、合計量で0.05重量%以下とされることとなる。
【0014】
さらに、本発明に従う高耐食性銅管にあっては、好ましくは、湿潤環境下に配置されて、低級カルボン酸からなる腐食媒により、管表面から管肉厚方向に蟻の巣状に進行する腐食作用にさらされる銅管であることも、その要旨とするものである。
【0015】
更にまた、本発明にあっては、上述したような高耐食性銅管からなる、空調機器や冷凍機器における伝熱管、冷媒配管(機内配管)をも、その要旨とするものである。
【0016】
加えて、本発明にあっては、空調機器や冷凍機器に用いられて、湿潤環境下に配置される銅管において、その表面から惹起される、低級カルボン酸を腐食媒として湿潤環境中で発生する蟻の巣状腐食に対する耐食性を向上せしめる方法にして、かかる銅管を、P含有量が0.15〜0.50重量%であると共に、酸素含有量が30重量ppm以下であり、残部がCuと不可避的不純物からなる材質にて構成することを特徴とする耐食性向上方法をも、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明によれば、蟻の巣状腐食に対する耐食性において、従来から公知の銅管よりも更に優れた、長期間に亘って有効な防食性を発揮し得る実用的な銅管が提供され得ることとなったのであり、またそのような銅管を、空調機器や冷凍機器における伝熱管、冷媒配管(機内配管)等として用いることにより、それら機器の寿命が更に有利に高められ得ることとなったのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例で用いた耐食性試験装置の概要を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ところで、本発明に従う高耐食性銅管においては、それを構成するCu材料のP含有量が0.15〜0.50重量%の範囲内にあると共に、酸素含有量が30重量ppm以下となるように構成して、従来の銅管よりも、Pが高濃度で且つ酸素含有量が30重量ppm以下となるようにしたところに、大きな特徴を有しているのである。そして、そのような高濃度のPの含有と共に、酸素含有量が30重量ppm以下となるように規定することによって、より厳しい腐食環境下においても、銅管の腐食形態が、管表面から管軸垂直方向(管肉厚貫通方向)に進行する選択的腐食形態から、管軸水平方向(管表面に広がる方向)に進行する表面腐食形態に移行するものと考えられ、特に、P含有量と酸素含有量の両方を同時に規定することによって、かかる選択的腐食形態の発生が、効果的に抑制乃至は阻止され、且つ公知の耐食性銅管よりも更に優れた耐食性が長期間に亘って発揮され得ることとなるのである。
【0020】
なお、かかる銅管におけるP含有量が0.15重量%よりも少なくなると、上記の如き選択的腐食形態である蟻の巣状腐食が惹起されるようになるところから、本発明にあっては、P含有量は、0.15重量%以上とされている。一方、P含有量が0.50重量%を超えるようになっても、蟻の巣状腐食に対する耐食性には殆ど変化がなく、むしろ銅管の製造に際して、加工性が低下して、割れ等の問題が惹起されるようになるところから、P含有量の上限は、0.50重量%に止める必要がある。
【0021】
また、かくの如き銅管を構成するCu材料の酸素含有量が、重量基準において、30ppmを超えるようになると、所定量のPが含有せしめられていても、より厳しい腐食環境下に長期間置かれたりすると、上記の如き選択的腐食形態が惹起されるようになるところから、本発明にあっては、そのような酸素含有量は、30重量ppm以下とする必要がある。なお、かかる酸素含有量は、好ましくは20重量ppm以下とするのが、より厳しい腐食環境下における長期間の耐食性を確保する上において、好ましいものである。また、この酸素含有量の下限としては、一般的に、有効な耐食性を確保するために、実用的な見地から、5重量ppm以上、好ましくは7重量ppm以上、更に好ましくは10重量ppm以上が採用されることとなる。
【0022】
ここで、本発明に従う高耐食性銅管は、上述の如きP含有量や酸素含有量の他、残部がCu(銅)と不可避的不純物からなる材質にて、構成されるものであって、そこで、Fe,Pb,Sn等の不可避的不純物は、一般に、合計量で0.05重量%以下となるように調整されることとなる。
【0023】
また、かくの如き本発明に従う組成を有するCu材料を用いて、目的とする銅管を製造するに際しては、従来と同様な製造工程が採用され、例えば、インゴットやビレットの鋳造、管の熱間押出、管の抽伸等の工程を経て、製造されることとなる。なお、本発明に従って、Cu材料中の酸素含有量を低く抑えるために、公知の各種の酸素除去対策や酸素混入阻止対策が適宜に採用されるところであり、例えば、Cu溶湯の溶製に際して、かかるCu溶湯が大気から遮断されるようにした方式乃至は装置が採用されることとなる。具体的には、Cu原料を溶解するに際して、その溶解炉の上部をカバーにて覆い、そのカバー内部に窒素ガスを流入せしめて満たすと共に、更にその溶解炉から鋳込みまでの経路のCu溶湯の上部もカバーにて覆い、同様に窒素ガスを流入せしめて満たすことにより、Cu溶湯を大気から遮断するようにすることによって、酸素の含有量を有利に低減せしめることが可能である。
【0024】
さらに、そのようにして得られる本発明に従う銅管の外径や肉厚等のサイズは、かかる銅管の用途に応じて適宜に選定されることとなる。そして、本発明に従う銅管が、空調機器や冷凍機器における伝熱管として用いられる場合にあっては、平滑な内面や外面が採用される他、よく知られているように、公知の各種の内面加工や外面加工が施されて、各種形態の内面溝や外面溝が設けられてなる伝熱管とすることも有効である。また、空調機器や冷凍機器における冷媒配管として用いられる場合にあっては、一般に、内面や外面が平滑な銅管として用いられることとなる。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明に従う幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0026】
先ず、下記表1に示されるP含有量と酸素含有量とを有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有するビレットを作製した後、従来と同様にして、管の熱間押出、管の抽伸等の工程を経て、外径:9.52mm、肉厚:0.41mmのサイズの各種の銅管を作製して、下記の蟻の巣状腐食試験に供した。なお、それぞれのビレット中の酸素含有量の調整は、それぞれのビレットを与えるCu原料を溶製するに際して、溶解炉の上部をカバーで覆うと共に、更にその溶解炉から鋳込みまでの経路のCu溶湯の上部もカバーにて覆い、それらのカバー内部に窒素ガスを流入することからなる大気との遮断方式を採用し、そしてその遮断形態を、適宜に変更することにより、実施した。また、それぞれの銅管(ビレット)の酸素分析は、米国:LECO社製TC−600型酸素・窒素分析装置を用いて、不活性ガス搬送融解赤外線吸収法により実施した。更に、それぞれのビレットにおける不可避的不純物として含有される元素(S,Ag,Pb,Se,Te,Bi,Ni,Sn,Sb,As,Si,Fe)の含有量を分析したところ、それらの合計量は0.05重量%以下であった。
【0027】
また、比較例として、酸素含有量の多い供試銅管No.7及びP含有量の多い供試銅管No.10を準備し、更に、りん脱酸銅からなる供試銅管No.8及び9をそれぞれ準備した。そこで、供試銅管No.9及び10の製造に際しては、上記した供試銅管No.1〜6の場合と同様に、Cu溶湯の大気遮断対策が講じられたが、供試銅管No.7及び8の場合にあっては、そのような大気遮断対策は講じられず、溶解炉内及び溶解炉から鋳込みまでの経路のCu溶湯が大気と接触する状態とされた。また、供試銅管No.10の場合にあっては、Pの含有量が多いCu材料を用いているために、造管工程において、クラック等の不具合が発生して、腐食試験に供し得る銅管を得ることが出来なかったため、目的とする腐食試験は実施しなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
次いで、かかる準備された各種の銅管について、
図1に示す試験装置を用いて、蟻の巣状腐食試験を実施した。なお、
図1において、2は、キャップ4にて密閉することの出来る2Lのポリ容器であり、そのキャップ4を貫通して取り付けられたシリコン栓6を貫通するように、供試銅管10が、ポリ容器2内に所定深さ差し込まれている一方、供試銅管10の下端開口部は、シリコン栓8にて閉塞せしめられている。また、ポリ容器2内には、所定濃度の蟻酸水溶液の100mlが、供試銅管10に接触しない形態において収容されている。
【0030】
また、蟻の巣状腐食試験においては、蟻酸水溶液12の濃度を、0.01%、0.1%及び1%の3種類とし、それらの蟻酸水溶液12が収容されたポリ容器2に、所定の供試銅管10をセットした状態において、40℃の恒温槽内に放置すると共に、2時間/日だけ槽外に取り出して、室温(15℃)下において保持することにより、その温度差によって供試銅管10の表面への結露を促した。そして、そのような条件下での腐食試験を、80日間実施した。
【0031】
そして、かかる腐食試験の施された各供試銅管について、それぞれの切断面を調べ、蟻酸水溶液の濃度毎に管外表面からの最大腐食深さを測定し、その結果を、下記表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
かかる表2の結果から明らかな如く、P含有量が0.15〜0.50重量%の範囲内にあり、且つ酸素含有量が30重量ppm以下の範囲内とされた供試銅管No.1〜6にあっては、0.01%濃度の蟻酸水溶液や0.1%濃度の蟻酸水溶液を用いた上記の長期間に亘る腐食試験において、蟻の巣状腐食の発生は全く認められず、管表面が軽微に腐食されているのみであり、また1%濃度の蟻酸水溶液を用いた長期間に亘る厳しい腐食試験にあっても、ある程度の腐食は発生するものの、蟻の巣状腐食の形態とはならず、その最大深さは、りん脱酸銅管や比較例銅管に比べて浅いものであることを認めた。
【0034】
これに対して、P含有量は本発明の範囲内であるが、酸素含有量が30重量ppmよりも多い、39重量ppmとなる比較例銅管(供試銅管No.7)や、P含有量が本発明の範囲外となるりん脱酸銅管(供試銅管No.8,9)の場合にあっては、0.1%濃度の蟻酸水溶液や1%濃度の蟻酸水溶液を用いた長期間に亘る腐食試験において、蟻の巣状腐食が顕著に発生しており、何れも、耐食性に劣るものであって、実用上において問題を有していることが確認された。
【符号の説明】
【0035】
2 ポリ容器
4 キャップ
6 シリコン栓
8 シリコン栓
10 供試銅管
12 蟻酸水溶液