(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ及び撮像素子を有するカメラモジュールにおいて、前記レンズの光軸と平行な光が前記レンズによって前記撮像素子上に結像する原点位置を測定するレンズ光軸測定装置であって、
第1の光源部、第2の光源部、第3の光源部、第4の光源部、第5の光源部及び処理部と、
を備え、
前記第1の光源部、前記第2の光源部、前記第3の光源部、前記第4の光源部、及び前記第5の光源部は、それぞれ第1の平行光、第2の平行光、第3の平行光、第4の平行光、及び第5の平行光を出射し、
前記カメラモジュールを設置する前には、
前記第1の平行光と前記第2の平行光とは、所定の角度で交差し、
前記第1の平行光と前記第3の平行光とは、前記所定の角度で交差し、
前記第1の平行光と前記第4の平行光とは、前記所定の角度で交差し
前記第1の平行光と前記第5の平行光とは、前記所定の角度で交差し、
前記第1の平行光と前記第2の平行光との交差する位置を第1の位置とし、
前記第1の平行光と前記第3の平行光との交差する位置を第2の位置とし、
前記第1の平行光と前記第4の平行光との交差する位置を第3の位置とし、
前記第1の平行光と前記第5の平行光との交差する位置を第4の位置とし、
前記第1の位置、前記第2の位置、前記第3の位置、及び前記第4の位置が、略一致するように、前記第1の光源部、前記第2の光源部、前記第3の光源部、前記第4の光源部、及び前記第5の光源部のそれぞれの位置は調整され、
前記カメラモジュールの前記レンズが配置されることによる、
前記レンズに照射した前記第1の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第1の光点とし、
前記レンズに照射した前記第2の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第2の光点とし、
前記レンズに照射した前記第3の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第3の光点とし、
前記レンズに照射した前記第4の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第4の光点とし、
前記レンズに照射した前記第5の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第5の光点とし、
前記処理部は、
前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置に基づいて、前記原点位置を測定することを特徴とするレンズ光軸測定装置。
レンズ及び撮像素子を有するカメラモジュールにおいて、前記レンズの光軸と平行な光が前記レンズによって前記撮像素子上に結像する原点位置を測定するレンズ光軸測定方法であって、
第1の光源部、第2の光源部、第3の光源部、第4の光源部、及び第5の光源部は、それぞれ第1の平行光、第2の平行光、第3の平行光、第4の平行光、及び第5の平行光を出射し、
前記カメラモジュールを設置する前には、
前記第1の平行光と前記第2の平行光とを、所定の角度で交差させ、
前記第1の平行光と前記第3の平行光とを、前記所定の角度で交差させ、
前記第1の平行光と前記第4の平行光とを、前記所定の角度で交差させ
前記第1の平行光と前記第5の平行光とを、前記所定の角度で交差させ、
前記第1の平行光と前記第2の平行光との交差する位置を第1の位置とし、
前記第1の平行光と前記第3の平行光との交差する位置を第2の位置とし、
前記第1の平行光と前記第4の平行光との交差する位置を第3の位置とし、
前記第1の平行光と前記第5の平行光との交差する位置を第4の位置とし、
前記第1の位置、前記第2の位置、前記第3の位置、及び前記第4の位置を、略一致させるように、前記第1の光源部、前記第2の光源部、前記第3の光源部、前記第4の光源部、及び前記第5の光源部のそれぞれの位置を調整し、
前記カメラモジュールの前記レンズが配置されることによる、
前記レンズに照射した前記第1の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第1の光点とし、
前記レンズに照射した前記第2の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第2の光点とし、
前記レンズに照射した前記第3の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第3の光点とし、
前記レンズに照射した前記第4の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第4の光点とし、
前記レンズに照射した前記第5の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第5の光点とし、
前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置に基づいて、前記原点位置を測定することを特徴とするレンズ光軸測定方法。
前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´に対して、前記レンズの射影方式を用いて、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置を算出する請求項7又は8に記載のレンズ光軸測定方法。
【背景技術】
【0002】
近年、画像を取得する撮像装置(例えば、デジタルカメラや、携帯電話機、ドアホン、車載カメラ等の各種電子機器の筐体内に組み込まれているカメラモジュールなどのデジタルカメラ装置)が爆発的に普及しており、多様な分野・用途で利用されている。例えば、カメラモジュールは、特開2011−109634号公報(特許文献1)等に開示されている。
【0003】
特に、最近のデジタルカメラもカメラモジュールも、撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子)の高画素化が進んでおり、例えば、500万画素以上の画素数を有する高画素数の撮像素子を使用したものが増加している。
【0004】
レンズ枠等の外形基準(例えば、アライメントマーク)によって、撮像素子の中心にレンズの光軸を合致させる方法が、一般的であり、特開2012−027063号公報(特許文献2)等にも開示されている。
【0005】
また、特開2014−182354号公報(特許文献3)には、撮像カメラにより撮像された複数の点光源の複数の結像画像の夫々の中心位置の相対的なずれ量に基づいて、測定対象のレンズの光軸の傾斜角度と傾斜方向を検出することによって、レンズがホルダに組み込まれた光学ユニットの状態でも、レンズの光軸の傾きを正確に検出できるレンズ傾き検出装置およびレンズ傾き検出方法が開示されている。
【0006】
また、特開2014−092634号公報(特許文献4)には、カメラモジュールにおいて、球体上に離間距離dxの等間隔で配置された検出パターンを撮影素子で撮影し、それらのコントラストを測定し、等コントラストとなるdxを演算し、そのdxと球体の半径Rに基づいて、レンズの光軸に対する、撮像素子の受光面の傾き量θを算出するような技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先ず、特許文献2に記載されたような、レンズの外形基準を用いた撮像素子との位置合わせは、機械的な移動機構を必要としている。そして、機械的な移動機構に依存しているため、十分に正確な位置合わせ精度は、困難であると考えられる。
【0009】
近年、超広角レンズや魚眼レンズ等の広い画角を持つレンズが、自動車等のセンサカメラ用レンズ(車載カメラ)として採用されるようになってきている。
【0010】
しかし、レンズの外形基準を用いた撮像素子との位置合わせを行うような技術では、超広角レンズや魚眼レンズ等の広い画角を持つ車載カメラに対しては、十分な精度を保障できるとは言えない。
【0011】
そこで、距離等の測定の為の車載カメラ用カメラモジュールとして組み立てた後に、先ず、カメラモジュールの撮像素子における、レンズ光軸に相当する(交わる)撮像素子上の位置を正確に測定する技術、すなわち、カメラモジュールの原点位置を測定する技術が必要とされている。
【0012】
上述のように、特許文献3及び4には、レンズ傾き検出装置およびレンズ傾き検出方法は開示されているものの、受光素子におけるレンズの光軸の位置を正確に測定する方法及びその装置については何ら開示されていない。
【0013】
本発明は、上述のような事情よりなされたものであり、魚眼レンズ又は広角レンズが用いられたカメラモジュールの撮像素子上におけるレンズ光軸の位置、すなわち原点位置を正確に機械的な移動機構を必要とせず、簡単かつ瞬時に測定できるようなレンズ光軸測定装置、及びレンズ光軸の測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はレンズ及び撮像素子を有するカメラモジュールにおいて、前記レンズの光軸と平行な光が前記レンズによって前記撮像素子上に結像する原点位置を測定するレンズ光軸測定装置に関するものであり、本発明の上記目的は、第1の光源部、第2の光源部、第3の光源部、第4の光源部、第5の光源部及び処理部と、を備え、前記第1の光源部、前記第2の光源部、前記第3の光源部、前記第4の光源部、及び前記第5の光源部は、それぞれ第1の平行光、第2の平行光、第3の平行光、第4の平行光、及び第5の平行光を出射し、
前記カメラモジュールを設置する前には、前記第1の平行光と前記第2の平行光とは、所定の角度で交差し、前記第1の平行光と前記第3の平行光とは、前記所定の角度で交差し、前記第1の平行光と前記第4の平行光とは、前記所定の角度で交差し、前記第1の平行光と前記第5の平行光とは、前記所定の角度で交差し、前記第1の平行光と前記第2の平行光との交差する位置を第1の位置とし、前記第1の平行光と前記第3の平行光との交差する位置を第2の位置とし、前記第1の平行光と前記第4の平行光との交差する位置を第3の位置とし、前記第1の平行光と前記第5の平行光との交差する位置を第4の位置とし、前記第1の位置、前記第2の位置、前記第3の位置、及び前記第4の位置が、略一致するように、前記第1の光源部、前記第2の光源部、前記第3の光源部、前記第4の光源部、及び前記第5の光源部のそれぞれの位置は調整され、
前記カメラモジュールの前記レンズが配置されることによる、前記レンズに照射した前記第1の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第1の光点とし、前記レンズに照射した前記第2の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第2の光点とし、前記レンズに照射した前記第3の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第3の光点とし、前記レンズに照射した前記第4の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第4の光点とし、前記レンズに照射した前記第5の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第5の光点とし、前記処理部は、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置に基づいて、前記原点位置を測定することにより達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、前記第1の平行光の方向に沿ってZ軸を設け、前記Z軸に直交するX軸、並びに前記X軸及び前記Z軸に直交するY軸を設けて、XYZ座標系を設定し、前記XYZ座標系の原点に前記カメラモジュールを設置し、前記第1の平行光、前記第2の平行光、前記第3の平行光、前記第4の平行光、及び前記第5の平行光の進む向きを、それぞれベクトルA、ベクトルB、ベクトルC、ベクトルD、及びベクトルEとし、前記所定の角度をθとし、前記レンズの光軸の向きをベクトルLとし、前記ベクトルLと前記Z軸との成す角度をαとし、前記ベクトルLが前記X軸と前記Y軸によるXY平面へ射影したベクトルをベクトルL´とし、前記ベクトルL´と前記X軸との成す角度をβとし、前記ベクトルL´を前記Z軸周りに90°(π/2)回転したベクトルをベクトルNとし、前記処理部は、前記ベクトルN、前記α、前記β及び前記θに基づいて、前記ベクトルA、前記ベクトルB、前記ベクトルC、前記ベクトルD、及び前記ベクトルEを、それぞれ前記ベクトルN周りにマイナス前記α回転したベクトルA´、ベクトルB´、ベクトルC´、ベクトルD´、ベクトルE´を算出し、前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´に基づいて、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置を算出することにより、或いは前記処理部は、C=cos(-α)、S=sin(-α)とし、前記ベクトルNのX軸成分をNx、前記ベクトルNのY軸成分をNy、前記ベクトルNのZ軸成分をNzとし、前記ベクトルA、前記ベクトルB、前記ベクトルC、前記ベクトルD、及び前記ベクトルEに対し
なる行列を用いて、前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´を算出することにより、或いは前記処理部は、前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´に対して、前記レンズの射影方式を用いて、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置を算出することにより、或いは前記レンズが、広角レンズ又は魚眼レンズであることにより達成される。
【0016】
また、本発明はレンズ及び撮像素子を有するカメラモジュールにおいて、前記レンズの光軸と平行な光が前記レンズによって前記撮像素子上に結像する原点位置を測定するレンズ光軸測定方法に関するものであり、本発明の上記目的は、第1の光源部、第2の光源部、第3の光源部、第4の光源部、及び第5の光源部は、それぞれ第1の平行光、第2の平行光、第3の平行光、第4の平行光、及び第5の平行光を出射し、
前記カメラモジュールを設置する前には、前記第1の平行光と前記第2の平行光とを、所定の角度で交差させ、前記第1の平行光と前記第3の平行光とを、前記所定の角度で交差させ、前記第1の平行光と前記第4の平行光とを、前記所定の角度で交差させ前記第1の平行光と前記第5の平行光とを、前記所定の角度で交差させ、前記第1の平行光と前記第2の平行光との交差する位置を第1の位置とし、前記第1の平行光と前記第3の平行光との交差する位置を第2の位置とし、前記第1の平行光と前記第4の平行光との交差する位置を第3の位置とし、前記第1の平行光と前記第5の平行光との交差する位置を第4の位置とし、前記第1の位置、前記第2の位置、前記第3の位置、及び前記第4の位置を、略一致させるように、前記第1の光源部、前記第2の光源部、前記第3の光源部、前記第4の光源部、及び前記第5の光源部のそれぞれの位置を調整し、
前記カメラモジュールの前記レンズが配置されることによる、前記レンズに照射した前記第1の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第1の光点とし、前記レンズに照射した前記第2の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第2の光点とし、前記レンズに照射した前記第3の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第3の光点とし、前記レンズに照射した前記第4の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第4の光点とし、前記レンズに照射した前記第5の平行光が、前記撮像素子の受光面上に結像した光点を第5の光点とし、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置に基づいて、前記原点位置を測定することにより達成される。
【0017】
また、本発明の上記目的は、前記第1の平行光の方向に沿ってZ軸を設け、前記Z軸に直交するX軸、並びに前記X軸及び前記Z軸に直交するY軸を設けて、XYZ座標系を設定し、前記XYZ座標系の原点に前記カメラモジュールを設置し、前記第1の平行光、前記第2の平行光、前記第3の平行光、前記第4の平行光、及び前記第5の平行光の進む向きを、それぞれベクトルA、ベクトルB、ベクトルC、ベクトルD、及びベクトルEとし、前記所定の角度をθとし、前記レンズの光軸の向きをベクトルLとし、前記ベクトルLと前記Z軸との成す角度をαとし、前記ベクトルLが前記X軸と前記Y軸によるXY平面へ射影したベクトルをベクトルL´とし、前記ベクトルL´と前記X軸との成す角度をβとし、前記ベクトルL´を前記Z軸周りに90°(π/2)回転したベクトルをベクトルNとし、前記ベクトルN、前記α、前記β及び前記θに基づいて、前記ベクトルA、前記ベクトルB、前記ベクトルC、前記ベクトルD、前記ベクトルEを、それぞれ前記ベクトルN周りにマイナス前記α回転したベクトルA´、ベクトルB´、ベクトルC´、ベクトルD´、ベクトルE´を算出し、前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´に基づいて、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置を算出することにより、或いはC=cos(-α)、S=sin(-α)とし、前記ベクトルNのX軸成分をNx、前記ベクトルNのY軸成分をNy、前記ベクトルNのZ軸成分をNzとし、前記ベクトルA、前記ベクトルB、前記ベクトルC、前記ベクトルD、及び前記ベクトルEに対し
なる行列を用いて、前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´を算出することにより、或いは前記ベクトルA´、前記ベクトルB´、前記ベクトルC´、前記ベクトルD´、及び前記ベクトルE´に対して、前記レンズの射影方式を用いて、前記第1の光点の位置、前記第2の光点の位置、前記第3の光点の位置、前記第4の光点の位置及び前記第5の光点の位置を算出することにより、或いは前記レンズが、広角レンズ又は魚眼レンズであることにより達成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るレンズ光軸測定装置、及びレンズ光軸の測定によれば、魚眼レンズ又は広角レンズが用いられたカメラモジュールの撮像素子上におけるレンズ光軸の位置、すなわち原点位置を正確に、機械的な移動機構を必要とせず簡単かつ瞬時に測定できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るレンズ光軸測定装置は、魚眼レンズ又は広角レンズが用いられたカメラモジュールに対し、複数の光源から照射される各平行光をレンズに入射して、撮像素子上に各光源に対応する各光点を形成し、撮像素子から供給されるデータを用いて、各光点位置を演算することにより、各光点位置(撮像素子上の位置)に基づいて、カメラモジュールの撮像素子の受光面における、レンズ光軸の位置(原点位置)を機械的な移動機構を必要とせず、簡単かつ瞬時に測定することができるという優れた効果を奏し得る。
【0021】
図1に、本発明に係るレンズ光軸測定装置10の模式図を示す。
【0022】
本発明の実施形態では、レンズ光軸測定装置10のステージ15の面に平行な面をXY平面に設定し、ステージ15の面に垂直な軸をZ軸と設定する。こうして、レンズ光軸測定装置10におけるXYZ座標系を設定する。
図1に示すように、レンズ光軸測定装置10において、カメラモジュール11は、XYZ座標系の略原点に配置される。
【0023】
カメラモジュール11は、レンズ11a及びレンズ11aの下に配置された撮像素子11bを備えている。
【0024】
本発明の実施形態では、レンズ11aは、座標系の中心に配置される。
【0025】
図1が示すように、各光源部12a〜12eは、カメラモジュール11に向けて、それぞれ平行光を照射するように配置される。
【0026】
図1では、各光源部12b〜12eは、Z軸に対して、90°傾けた方向から、カメラモジュール11に平行光を出射するように配置される。
【0027】
そして、光源部12aは、カメラモジュール11の真上、すなわちZ軸上に配置される。また、光源部12b及び光源部12cは、X軸上にほぼ向かい合って配置される。また、光源部12d及び光源部12eは、Y軸上にほぼ向かい合って配置される。各光源部12a〜12eから入射された各平行光は、撮像素子11b上において、レンズ11aの集光機能によって、各光源部12a〜12eに対応する各光点を形成する。
【0028】
そして、撮像素子11bの受光面上の各点の輝度に対応するデータが、撮像素子11bから処理部13に供給される。そのデータを用いて、処理部13は、後述するような処理を行い、各光点位置を演算する。そして、処理部13は、各光点位置に基づいて、レンズ11aの光軸と平行な光(平行光)が撮像素子11b上に集光(結像)する位置(原点位置)を算出することができる。
【0029】
なお、光源部12aは、平行光を出射するために、コリメータレンズ12a”と、コリメータレンズ12a”の焦点距離f1の距離に配置され、点状の輝点を有する光源12a’、例えば、レーザダイオードとで構成される一例を
図2に示す。
【0030】
次に、本発明に係るレンズ光軸測定装置10において、光源部12aの出射方向(Z軸方向)を基準として、光源部12b、光源部12c、光源部12d、光源部12eの一般的な各照射方向を示すための模式図を
図3に示す。
図3に示すように、光源部12b及び光源部12cの出射する平行光は、XZ平面内において、Z軸を基準として角度θ傾いている。そして、光源部12d及び光源部12eの出射する平行光は、YZ平面内において、同様にZ軸を基準として角度θ傾いている。
【0031】
カメラモジュール11を設置する以前は、このようにして、各光源部12a〜12eの出射する各平行光が空間の略1点で交差するように、各光源部12a〜12eは設置される。そして、各平行光が交差する位置(以下、交差位置と称する)に、カメラモジュール11のレンズ11aが配置される。
【0032】
そして、カメラモジュール11が交差位置に配置されると、各平行光がレンズ11aによって撮像素子11bの受光面で結像され、受光面に光点が形成される。
【0033】
次に、カメラモジュールの原点位置を算出する考え方、及びその手順を説明する。
【0034】
先ず、各光源部12a〜12eに対応する各光点の位置を算出する。次に、各光点の位置に基づいて、カメラモジュールの原点位置を算出する。
【0035】
図3に示すように、光源部12aが光を出射する方向を示す単位ベクトルをベクトルAとして表記する。同様に、光源部12b、12c、12d、12eが光を出射する方向を示す単位ベクトルを、それぞれベクトルB、C、D、Eとする。各光源部12a〜12eから出射された各平行光の出射方向を示すそれぞれの単位ベクトルは、それぞれ数1〜数5のように表される。
【0040】
【数5】
次に、本発明の実施形態のレンズ光軸測定装置において、レンズ11aの光軸を示すベクトルL、ベクトルLのXY平面への射影ベクトル(|L|・sinα・cosβ,|L|・sinα・sinβ,0)、及びレンズ光軸倒れ方向回転軸単位べクトルNを示す模式図を
図4に示す。射影ベクトルの長さは|L|・sinαである。
【0041】
先ず、(基準方向として、)X軸を0(0°)方向、Y軸をπ/2(90°)方向と決める。そして、レンズ11aの光軸を示すベクトルLとZ軸との成す角をα(以下、レンズ光軸の傾き角、又は傾き角と称する)とする。なお、角度αは、極座標系における極角に相当し、極座標系における仰角γと角度αとは、α=90°−γという関係にある。
【0042】
また、ベクトルLはxy平面に射影することができる。そのベクトルとX軸との成す角をβ(以下、方位角、偏角、又はアジマス角(azimuth-angle)と称する)とする。ベクトルLは、α及びβを用いて、数6のように表す。
【0043】
【数6】
次に、ベクトルLをXY平面上に射影したベクトル(以下、投影ベクトルと称する)は、Z軸周りにπ/2(90°)回転される。投影ベクトルを単位ベクトル化(単位ベクトルに変換)したベクトルが、レンズ光軸倒れ方向回転軸単位べクトルN(以下、ベクトルNと称する)である。
【0044】
そして、ベクトルNは、数7のように表される。
【0045】
【数7】
また、数7の中のπ/2は、三角関数の公式(cos(θ+π/2)=−sinθ、及びsin(θ+π/2)=cosθ)を用いれば、数8のように表すことができる。
【0046】
【数8】
次に、光源部12a〜12eから出射した各平行光が、レンズ11aによって結像されて、撮像素子11bの受光面を照射する位置(すなわち、光点位置である)を用いた原点位置の計算は、大まかに以下のような手順によって行う。
【0047】
先ず、本発明の実施形態では、ベクトルA〜EをベクトルN周りに角度(−α)回転することによって、ベクトルA’、B’、C’、D’、E’を得る。こうして得られたベクトルA’、B’、C’、D’、E’に対して、レンズ11aの射影方式を用いて、それぞれの光点位置を算出する。そして、各光点位置に基づいて、原点位置を算出する。
【0048】
なお、上記の射影方式とは、像高をh、焦点距離をf、半画角(被写体の端がレンズの光軸となす角)をφとしたときに、hを、f及びφによって、表す数式である。一般に、魚眼レンズの射影方式は等距離射影方式を採用しており、h=f・φのように表すことができる。
【0049】
次に、上記計算の詳細な手順を説明する。
【0050】
ベクトルA〜Eに対して、ロドリゲスの回転公式を用いることによって、ベクトルA〜EをベクトルN周りに角度(−α)回転したベクトルA’〜E’に変換することができる。
【0051】
本発明の実施形態に適用するロドリゲスの回転公式は、ベクトルN周りに角度(−α)だけ回転させる回転行列(以下、変換行列R又は回転行列Rと称する)である。そして、ロドリゲスの回転公式は、数9のように表すことができる。なお、数9においては、C=cos(-α)、S=sin(-α)とする。また、ベクトルNのX軸成分、Y軸成分、及びZ軸成分は、それぞれN
x、N
y、及びN
zとする。
【0052】
【数9】
ロドリゲスの回転公式Rを用いて、ベクトルA、B、C、D、Eを座標変換することによって得られた、ベクトルA’、B’、C’、D’、E’は、それぞれ以下の数10〜14のように表すことができる。
【0057】
【数14】
ここで、レンズ光軸の方向に関係する角度α及びβを含む項を、以下に示す数15〜20のように定義する。
【0063】
【数20】
次に、数15〜20に示されたa〜fを用いることによって、数10〜14をそれぞれ以下に示す数21〜25のように表すことができる。
【0068】
【数25】
ここで、光源部12b〜12eの設置に関して、光源部12b〜12eから出射される平行光の各光路の方向が、光源部12aから出射される平行光の光路の方向と、垂直(θ=π/2)になるようにする。
【0069】
そうすると、数21〜25のように表されたベクトルB’、C’、D’、E’は、それぞれ以下に示す数26〜29のように単純化することができる。
【0073】
【数29】
本発明の実施形態における、5つ光源部(光源部12a〜12e)に対応する各光点位置、原点位置、及び各光点位置と原点位置との位置関係を
図5に示す。
図5が示すように、各光点位置は、レンズ11aに入射する各平行光の入射角θに依存する。さらに、各光点位置は、レンズ11aの光軸(ベクトルL)に対する傾き角α、及び方位角βに応じて、ずれを生じる。
【0074】
先ず、レンズ11dの光軸を示すベクトルLの方向に沿った軸が、ベクトルA’、B’、C’、D’、E’を表す座標軸に使われている。つまり、座標系X’Y’Z’を用いてベクトルA’、B’、C’、D’、E’を表すことができる。また、Z’軸はレンズ11aの光軸に対応し、X’軸、Y’軸、X’Y’平面は、それぞれZ’軸に直交している。
【0075】
ここで、ベクトルA’、B’、C’、D’、E’の各成分を用いて、座標系X’Y’Z’における各光点の傾き角及び方位角を算出し、各光点の傾き角及び方位角に基づいて各光点位置を算出する手順を説明する。
【0076】
まず、レンズ11aに関する射影方式を用いることによって、各光源12a、12b〜12eから出射した各平行光が、それぞれ撮像素子11b上に結像する位置座標、すなわち光点位置を算出することができる。
【0077】
よって、各光点位置は、レンズ11aの光軸を用いた極座標系を用いて、表すことができる。ここで、レンズ11aの光軸に対する傾きに対して、添え字angを用いる。また、レンズ光軸11aに対する方位に対して、添え字dirを用いる。本発明の実施形態における、各光源12a、12b〜12eに対応する各光点位置、原点位置、及び各光点位置と原点位置との位置関係を示す模式図を
図5に示す。光源部12aから出射した平行光のレンズ11aの光軸に対する傾き角を、A’
angと表し、また、
図5が示すように、光源部12aから出射した平行光のレンズ光軸に対する方位角をA’
dirと表す。
【0078】
同様に、光源部12b、光源部12c、光源部12d、光源部12eから出射した各平行光とレンズ光軸との成す傾き角を、それぞれB’
ang、C’
ang、D’
ang、E’
angと表し、
図5が示すように、光源部12b、光源部12c、光源部12d、光源部12eから出射した各平行光のレンズ光軸に対する方位角をそれぞれB’
dir、C’
dir、D’
dir、E’
dirと表す。
【0079】
例えば、ベクトルA’のX’成分及びY’成分を用いて、ベクトルA’のX’Y’平面への射影を算出し、Z’成分と該射影との比を求め、該比のアークタンジェントを計算することによって、A’
angを算出することができる。また、ベクトルA’のX’成分及びY’成分との比を求め、該比のアークタンジェントを計算することによって、A’
dirを算出することができる。A’
ang、A’
dirは、それぞれ以下に示す数30、数31のように表すことができる。
【0080】
同様に、それぞれB’〜E’の各成分を用いて、B’
ang、B’
dir、C’
ang、C’
dir、D’
ang、D’
dir、E’
ang、E’
dirは、それぞれ以下に示す数32、数33、数34、数35、数36、数37、数38、数39のように表すことができる。
【0090】
【数39】
次に、A’
ang、A’
dir、B’
ang、B’
dir、C’
ang、C’
dir、D’
ang、D’
dir、E’
ang、及びE’
dirを用いて、光源部12a、12b、12c、12d、12eから出射した平行光の各光点位置を算出する手順を説明する。
【0091】
先ず、光源部12aから出射した平行光の光点位置は、
図5に示すように、撮像素子上の点PA(PA
x,PA
y)と表す。同様に、光源部12b、12c、12d、12eから出射した平行光の各光点位置は、
図5に示すように、それぞれ撮像素子上の点PB(PB
x,PB
y)、点PC(PC
x,PC
y)、点PD(PD
x,PD
y)、点PE(PE
x,PE
y)、と表す。
【0092】
数33と数35との関係により、B’
dir、とC’
dirとは、
図5に示すように座標系の原点から見て反対方向にある。同様に、数37と数39との関係により、D’
dirとE’
dir、とは、
図5に示すように、座標系の原点から見て反対方向にある。
【0093】
また、座標系の原点(原点位置)は、レンズ光軸Lに平行な光が入射して撮像素子に照射した光点位置となる。なお、原点位置は、撮像素子上の点PO(PO
x,PO
y)と表す。
【0094】
そして、点PB(PB
x,PB
y)、と点PC(PC
x,PC
y)とを結んだ直線を直線BCとする。また、点PD(PD
x,PD
y)、と点PE(PE
x,PE
y)とを結んだ直線を直線DEとする。
【0095】
そして、
図5が示すように、直線BCと直線DEとの交点を計算することによって、点PO(PO
x,PO
y)を算出することができる。
【0096】
ここで、レンズによる像高の位置をh、半画角(被写体の端がレンズの光軸となす角)をφとして、レンズに関する射影方式を、一般的にh=g(φ)と表す。
【0097】
つまり、本発明の実施形態の場合では、座標系X’Y’Z’において各平行光がレンズ11aに入射する角度(傾き角、方位角)を用いて、それぞれ光点位置の座標を計算することができる。
【0098】
具体的には、本発明の実施形態で、レンズに関する射影方式を用いる場合には、φにそれぞれA’
ang、B’
ang、C’
ang、D’
ang、E’
angを代入して、各光点位置を算出する。
【0099】
例えば、レンズに関する射影方式によれば、レンズ光軸Lに対するベクトルA’の傾き角度A’
ang、及びA’
dir、を用いると、点PAの座標PA
x及びPA
yを、それぞれ以下に示す数40及び数41として表すことができる。
【0100】
同様に、撮像素子11b上における、ベクトルB’〜E’の各光点位置の座標を、数42〜49のように表すことができる。
【0110】
【数49】
そして、点PBと点PCを通る直線BCの傾きは、(PC
y−PB
y)/(PC
x−PB
x)であり、直線BCの切片は、PB
y−PB
x×(PC
y−PB
y)/(PC
x−PB
x)である。この結果、直線BCを表す式は、以下に示す数50のように表すことができる。また、点PDと点PEを通る直線DEの傾きは、(PE
y−PD
y)/(PE
x−PD
x)であり、直線DEの切片は、PD
y−PD
x×(PE
y−PD
y)/(PE
x−PD
x)である。この結果、直線DEを表す式は、以下に示す数51のように表すことができる。
【0112】
【数51】
そして、数50と数51とによる連立方程式を解くことによって、直線BCと直線DEの交点、すなわち点PO(PO
x,PO
y)を算出できる。
【0113】
ここで、点PB、点PC、点PD、及び点PEの各座標を用いて、a
1、b
1、c
1、a
2、b
2、c
2なる係数を、それぞれ数52、数52、数53、数54、数55、数56、及び数57に示すように定義する。
【0119】
【数57】
そして、数50に対して、数52、数53及び数54を代入し、xにPO
xを、yにPO
yを代入すると、数58に示すような方程式が得られる。
【0120】
【数58】
同様に、数51に対して、数55、数56及び数57を代入し、xにPO
xを、yにPO
yに代入すると、数59に示すような方程式が得られる。
【0121】
【数59】
最後に、数58の両辺にa
2係数を掛けたものから、数59の両辺にa
1を掛けたものを引くことによって、数60及び数61に示すような点POの座標PO
x、及び座標PO
yが得られる。
【0123】
【数61】
以上のように、レンズ11aの光軸に平行な光が入射した際の撮像素子上の原点位置である点PO(PO
x、PO
y)が算出できる。
【0124】
なお、本発明の実施形態においては、一般的に、魚眼レンズの射影方式として採用されている等距離射影方式を用いるような例(像高をh、焦点距離をf、半画角をφとしたときにh=f・φのように表す例)を示したが、他の射影方式を用いても良い。例えば、通常のレンズにおける射影方式を用いる場合、h=f・tanφとしても良い。また、立体射影(stereographic projecton)、等距離射影(equidistance projection)、等立体角射影(equisolid angle projection)、又は正射影(orthogonal projection)を用いるような場合、それぞれ、h=2f・tan(φ/2)、h=2f・sin(φ/2)、又はh=f・sinφとしても良い。
【0125】
また、本発明の実施形態において、5つの光源部を用いることを1例として挙げたが、これに限定するものではない。例えば、カメラモジュールの真上から平行光を照射する光源部を1つとし、カメラモジュールの横方向から平行光を照射する光源部を、3つとする構成でも良く、さらに5つ以上とする構成であっても良い。
【0126】
また、本発明の実施形態において、光源部12aをレーザダイオード12a’及びコリメータレンズ12a”で構成する例を挙げたが、光源部12a、12b〜12eの全てを、それぞれコリメータレンズ及びレーザダイオードで構成することが好適である。