(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1発電部に供給される燃料ガスの流量および前記第2発電部に供給される燃料ガスの流量の少なくとも一方の調整を行う、請求項1から4のいずれかに記載の発電装置。
前記制御部は、前記第1発電部または前記第2発電部に供給される燃料ガスのうち発電に利用される燃料ガスの割合を変化させることにより、前記調整を行う、請求項5に記載の発電装置。
前記制御部は、前記第1発電部に供給される空気の流量および前記第2発電部に供給される空気の流量の少なくとも一方の調整を行う、請求項1から4のいずれかに記載の発電装置。
前記制御部は、前記第1発電部または前記第2発電部に供給される空気のうち発電に利用される空気の割合を変化させることにより、前記調整を行う、請求項7に記載の発電装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本開示の実施形態に係る発電装置の構成を説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る発電装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。また、
図2は、第1実施形態に係る発電装置の構成の一部を、より詳細に示す機能ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本開示の第1実施形態に係る発電装置(発電ユニット)1は、貯湯タンク60と、負荷100と、商用電源(grid)200に接続される。また、
図1に示すように、発電装置1は、外部からガスおよび空気が供給されることにより発電し、発電した電力を負荷100等に供給する。
【0014】
図1に示すように、発電装置1は、制御部10と、記憶部12と、燃料電池モジュール20と、供給部30と、インバータ40と、排熱回収処理部50と、循環水処理部52と、を備える。
【0015】
発電装置1は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、制御部10として少なくとも1つのプロセッサを含む。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路ICおよび/またはディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
【0016】
ある実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続または処理を実行するために構成された、1以上の回路またはユニットを含む。例えば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイスもしくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイスもしくは構成の組み合わせを含むことにより、以下に説明する機能を実行してもよい。
【0017】
制御部10は、記憶部12と、燃料電池モジュール20と、供給部30とに接続され、これらの各機能部をはじめとして発電装置1の全体を制御および管理する。制御部10は、記憶部12に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、発電装置1の各部に係る種々の機能を実現する。制御部10から他の機能部に制御信号または各種の情報などを送信する場合、制御部と他の機能部とは、有線または無線により接続されていればよい。制御部10が行う本実施形態に特徴的な制御については、さらに後述する。また、本実施形態において、制御部10は、燃料電池モジュール20に含まれるセルスタックの稼働時間(例えば発電時間)を計測するなど、所定の時間を計測することができるものとする。
【0018】
記憶部12は、制御部10から取得した情報を記憶する。また記憶部12は、制御部10によって実行されるプログラム等を記憶する。その他、記憶部12は、例えば制御部10による演算結果などの各種データも記憶する。さらに、記憶部12は、制御部10が動作する際のワークメモリ等も含むことができるものとして、以下説明する。記憶部12は、例えば半導体メモリまたは磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。例えば、記憶部12は、光ディスクのような光学記憶装置としてもよいし、光磁気ディスクなどとしてもよい。
【0019】
図1に示す燃料電池モジュール20は、
図2により詳細に示すように、改質器22と、セルスタック24とを備えている。
図2は、
図1に示した発電装置1において、制御部10、燃料電池モジュール20、およびガス供給部32のみを示し、その他の機能部は省略している。
図2に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20は、2つの改質器22Aおよび22Bと、2つのセルスタック24Aおよび24Bとを備えている。以下、改質器22Aと改質器22Bとを特に区別しない場合、単に、改質器22のように総称する。同様に、以下、セルスタック24Aとセルスタック24Bとを特に区別しない場合、単に、セルスタック24のように総称する。
【0020】
燃料電池モジュール20のセルスタック24は、供給部30から供給されるガス(燃料ガス)などを用いて発電し、発電した直流電力をインバータ40に出力する。燃料電池モジュール20は、ホットモジュールとも呼ばれる。燃料電池モジュール20において、セルスタック24は、発電に伴い発熱する。本開示において、実際に発電を行う燃料電池を含むセルスタック24を、適宜、「発電部」と記す。また、本開示において、「発電部」とは、発電を行う各種の機能部としてもよい。例えば、「発電部」として、セルスタックの他に、単体のセル、または燃料電池モジュールなどとしてもよい。本実施形態において、セルスタック24Aを第1発電部とし、セルスタック24Bを第2発電部とする。すなわち、本実施形態に係る発電装置1は、燃料電池を含む第1発電部(セルスタック24A)と、燃料電池を含む第2発電部(セルスタック24B)と、を備える。
【0021】
改質器22は、供給部30から供給されるガスおよび改質水を用いて、水素および/または一酸化炭素を生成する。セルスタック24は、改質器22で生成された水素および/または一酸化炭素と、空気中の酸素とを反応させることにより、発電する。すなわち、本実施形態において、燃料電池のセルスタック24は、電気化学反応により発電する。なお、改質器としては、前述の水蒸気改質を行う改質器を例示しているが、他の改質器として、酸素を含む空気等を用いて水素を生成する部分酸化改質(Partial Oxidation(POX))を行う改質器等であってもよい。
【0022】
図2に示すように、改質器22Aおよび改質器22Bは、それぞれ別個にガス供給部32から燃料ガスを供給される。また、
図2に示すように、改質器22Aはセルスタック24Aに接続され、改質器22Bはセルスタック24Bに接続される。これらの接続により、改質器22Aおよび改質器22Bは、それぞれセルスタック24Aおよびセルスタック24Bに、水素および/または一酸化炭素を供給することができる。
【0023】
以下、セルスタック24は、SOFC(固体酸化物型燃料電池)であるとして説明する。しかしながら、本実施形態に係るセルスタック24はSOFCに限定されない。本実施形態に係るセルスタック24は、例えば固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell(PEFC))、りん酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell(PAFC))、および溶融炭酸塩形燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell(MCFC))などのような燃料電池で構成してもよい。本実施形態に係る発電装置1は、
図2に示すように、2つのセルスタック24Aおよび24Bを備えている。しかしながら、後述するように、他の実施形態において、セルスタック24は、例えば単体で700W程度の発電ができるものを4つ備えてもよい。この場合、燃料電池モジュール20は、全体として3kW程度の電力を出力することができる。
【0024】
本実施形態に係る燃料電池モジュール20およびセルスタック24は、上述のような構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用することができる。本実施形態において、発電装置1は、ガスを利用して発電を行う発電部を2つ以上備えていればよい。また、例えば、発電装置1は、発電部として、セルスタック24ではなく、単に、燃料電池のセル1つのみを備えるものも想定できる。また、本実施形態に係る発電部は、例えばPEFCのように、モジュールのない燃料電池としてもよい。
【0025】
図1に示すように、供給部30は、ガス供給部32と、空気供給部34と、改質水供給部36とを備える。すなわち、供給部30は、セルスタック24にガス、空気、および改質水を供給する。
【0026】
図1に示すガス供給部32は、
図2により詳細に示すように、流量計92と、ガスポンプ94とを備えている。
図2に示すように、本実施形態において、ガス供給部32は、2つの流量計92Aおよび92Bと、2つのガスポンプ94Aおよび94Bとを備えている。以下、流量計92Aと流量計92Bとを特に区別しない場合、単に、流量計92のように総称する。同様に、以下、ガスポンプ94Aとガスポンプ94Bとを特に区別しない場合、単に、ガスポンプ94のように総称する。
【0027】
ガス供給部32は、燃料電池モジュール20のセルスタック24にガスを供給する。このとき、ガス供給部32は、制御部10からの制御信号に基づいて、セルスタック24に供給するガスの量を制御する。本実施形態において、ガス供給部32は、例えばガスラインによって構成することができる。またガス供給部32は、ガスの脱硫処理を行ってもよいし、ガスを予備的に加熱してもよい。ガスを加熱する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。ガスは、例えば、都市ガス、またはLPG等であるが、これらに限定されない。例えば、ガスは、燃料電池に応じて、天然ガスまたは石炭ガスなどとしてもよい。本実施形態において、ガス供給部32は、セルスタック24が発電する際の電気化学反応に用いられる燃料ガスを供給する。
【0028】
図2に示すように、ガス供給部32に供給されるガスは、1つの供給源から2つの経路に分岐されて、それぞれ流量計92Aおよび流量計92Bに供給される。また、
図2に示すように、流量計92Aはガスポンプ94Aに接続され、流量計92Bはガスポンプ94Bに接続される。これらの接続により、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bは、それぞれ流量計92Aおよび流量計92Bを経たガスを、それぞれ改質器22Aおよび改質器22Bに供給することができる。
図2に示す例においては、1つの供給源から2つの経路に分岐されたガスが、それぞれ流量計92Aおよび92Bに供給されている。しかしながら、例えば流量計92Aおよび92Bには、それぞれ別個の供給源からガスが供給されるようにしてもよい。
【0029】
流量計92Aおよび92Bは、それぞれを経て流れるガスの流量を測定する。ここで、流量計92Aおよび92Bがそれぞれ計測するガスの流量とは、例えば、単位時間あたりにガスが流量計92Aまたは92Bを経て移動する量とすることができる。流量計92Aおよび92Bは、ガスの流量を計測できるものであれば、任意のものを採用することができる。
【0030】
ガスポンプ94Aおよび94Bは、それぞれ流量計92Aおよび92Bを経たガスを、燃料電池モジュール20の改質器22Aおよび改質器22Bにそれぞれ送出する。ガスポンプ94Aおよび94Bは、改質器22Aおよび22Bにガスを送出できるものであれば、任意のものを採用することができる。
【0031】
図2に示すように、ガス供給部32は、制御部10と有線または無線により通信可能に接続される。流量計92Aおよび流量計92Bがそれぞれ計測したガスの流量の情報は、制御部10に送信される。これにより、制御部10は、流量計92Aおよび流量計92Bがそれぞれ計測したガスの流量を把握することができる。また、制御部10は、ガス供給部32と通信可能に接続されることにより、ガスポンプ94Aおよび94Bがそれぞれ改質器22Aおよび22Bに送出するガスの流量を調整(増減)することができる。したがって、本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量およびセルスタック24Bに供給されるガスの流量を調整することができる。
【0032】
本実施形態に係る発電装置において、ガス供給部32は、
図2に示すような構成に限定されるものではない。例えば、
図2に示すガス供給部32においては、流量計92は、ガスポンプ94によって送出される前のガスの流量を測定している。しかしながら、ガス供給部32において、流量計92は、ガスポンプ94によって送出された後のガスの流量を測定してもよい。
【0033】
図1に示すように、空気供給部34は、燃料電池モジュール20のセルスタック24に空気を供給する。このとき、空気供給部34は、制御部10からの制御信号に基づいて、セルスタック24に供給する空気の量を制御する。本実施形態において、空気供給部34は、例えば空気ラインによって構成することができる。また空気供給部34は、外部から取り込んだ空気を予備的に加熱して、セルスタック24に供給してもよい。空気を加熱する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。本実施形態において、空気供給部34は、セルスタック24が発電する際の電気化学反応に用いられる空気を供給する。
【0034】
改質水供給部36は、水蒸気を生成して燃料電池モジュール20のセルスタック24に供給する。このとき、改質水供給部36は、制御部10からの制御信号に基づいて、セルスタック24に供給する水蒸気の量を制御する。本実施形態において、改質水供給部36は、例えば改質水ラインによって構成することができる。改質水供給部36は、セルスタック24の排気から回収された水を原料として水蒸気を生成してもよい。水蒸気を生成する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。
【0035】
インバータ40は、燃料電池モジュール20に接続される。インバータ40は、セルスタック24が発電した直流電力を、交流電力に変換する。インバータ40から出力される直流電力は、分電盤などを介して、負荷100に供給される。負荷100は、分電盤などを介して、インバータ40から出力された電力を受電する。
図1において、負荷100は、1つのみの部材として図示してあるが、負荷を構成する任意の個数の各種電気機器とすることができる。また、負荷100は、分電盤などを介して、商用電源200から受電することもできる。
図1において、インバータ40と制御部10との接続は図示していないが、インバータ40と制御部10とを接続してもよい。この接続により、制御部10は、インバータ40による交流電力の出力を制御することができる。
【0036】
排熱回収処理部50は、セルスタック24の発電により生じる排気から、排熱を回収する。排熱回収処理部50は、例えば熱交換器等で構成することができる。排熱回収処理部50は、循環水処理部52および貯湯タンク60に接続される。
【0037】
循環水処理部52は、貯湯タンク60から排熱回収処理部50へ水を循環させる。排熱回収処理部50に供給された水は、排熱回収処理部50で回収された熱によって加熱され、貯湯タンク60に戻る。排熱回収処理部50は、排熱を回収した排気を外部に排出する。また、上述のように、排熱回収処理部50で回収された熱は、ガス、空気、または改質水の加熱などに用いることができる。
【0038】
貯湯タンク60は、排熱回収処理部50および循環水処理部52に接続される。貯湯タンク60は、燃料電池モジュール20のセルスタック24などから回収された排熱を利用して生成された湯を、貯えることができる。
【0039】
図1に示すように、発電装置1は、セルスタック24が発電する電流の総量を検出する電流センサ70を備えている。電流センサ70は、
図1に示すように、燃料電池モジュール20からインバータ40に向けて出力される直流の電流を検出する位置に設置することができる。しかしながら、電流センサ70は、セルスタック24が発電する電流を検出可能な位置であれば、他の位置に設置してもよい。電流センサ70は、例えばCT(Current Transformer)などにより構成することができる。しかしながら、電流センサ70は、CTに限定されず、電流を測定できる部材であれば、任意のものを採用することができる。例えば、電流センサ70は、ホール素子方式、ロゴスキー方式、またはゼロフラックス方式など原理に基づくものとしてもよい。電流センサ70は、制御部10に接続される。電流センサ70は、検出した電流に基づく信号を制御部10に送信する。この信号を受信することで、制御部10は、セルスタック24が発電する電流を把握することができる。
【0040】
本実施形態において、制御部10は、セルスタック24の温度を制御する。また、本実施形態において、制御部10は、改質器22およびセルスタック24を含めた燃料電池モジュール20の系全体などの温度を制御してもよい。このような、セルスタック24の温度制御によって、セルスタック24の発電効率は変化し得る。制御部10によるセルスタック24の温度制御については、さらに後述する。
【0041】
また、
図2に示すように、発電装置1は、セルスタック24近傍の温度を検出する温度センサ80を備えている。
図2に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20は、2つの温度センサ80Aおよび80Bを備えている。
図2に示すように、温度センサ80Aはセルスタック24A近傍に設置され、温度センサ80Bはセルスタック24B近傍に設置される。以下、温度センサ80Aと温度センサ80Bとを特に区別しない場合、単に、温度センサ80のように総称する。
【0042】
温度センサ80は、
図2に示すように、セルスタック24近傍の温度を検出する位置に設置することができる。ここで、温度センサ80が温度を検出するセルスタック24近傍とは、発電装置1においてセルスタック24の温度制御を行うための基準となる温度の測定に好適な位置、例えばセルスタック24が発生する熱が適度に伝導する位置とすることができる。例えば、温度センサ80が温度を検出するセルスタック24近傍とは、発電するセルスタック24の中心の温度としてもよい。また、本実施形態において、温度センサ80が温度を検出するセルスタック24近傍とは、セルスタック24そのものが存在する位置であってもよい。また、温度センサ80が温度を検出するセルスタック24近傍とは、例えばセルスタック24の全体、またはセルスタック24内部の一部(例えばセル)などであってもよい。
【0043】
温度センサ80は、例えば熱電対などにより構成することができる。この場合、例えば、セルスタック24に空気を導入する導入板の中に、熱電対が挿入されるようにしてもよい。一方、温度センサ80は、当該温度センサ80を構成する素材によっては、過度の高熱を計測できない場合も想定される。このような場合、温度センサ80は、例えばセルスタック24から離れているが、セルスタック24が発生する熱が伝導する位置における温度を検出してもよい。温度センサ80がセルスタック24から離れている場合、温度センサ80が温度を検出するセルスタック24近傍とは、例えばセルスタック24上方の燃焼部に位置してもよい。また、温度センサ80がセルスタック24から離れている場合、温度センサ80が温度を検出するセルスタック24近傍とは、前記燃焼部上方から少し離れていても、セルスタック24付近の温度を十分に測定できる位置であればよい。
【0044】
温度センサ80は、熱電対に限定されず、温度を測定できる部材であれば、任意のものを採用することができる。例えば、温度センサ80は、サーミスタまたは白金測温抵抗体としてもよい。温度センサ80は、制御部10に接続される。このため、
図2に示すように、燃料電池モジュール20は、制御部10と有線または無線により通信可能に接続される。温度センサ80は、検出した温度に基づく信号を制御部10に送信する。この信号を受信することで、制御部10は、セルスタック24近傍の温度を把握することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る発電装置1の動作を説明する。
【0046】
図2に示したように、例えば2つのセルスタック24Aおよび24Bのような複数のセルスタックを用いて発電を行う場合、複数のセルスタックの間で、それぞれの温度が異なることがある。すなわち、複数のセルスタックを用いて発電を行うと、セルスタックの間に温度差が生じることがある。セルスタックの間に温度差が生じると、温度の低い方のセルスタックにおいて電解質のイオン伝導性が小さくなるため、当該セルスタックの内部抵抗が大きくなってしまう。一般的に、セルスタックの内部抵抗が小さい方が、セルスタック内部の電流は流れ易くなる。このため、内部抵抗が小さいセルスタックは、エネルギーが熱ではなく電気として放出され易くなり、発電効率を向上させることができる。また、このように発電効率を向上させることにより、セルスタックの耐久性も向上する。
【0047】
そこで、本実施形態においては、2つのセルスタック24A近傍および24B近傍の間の温度差が所定以上になる場合、その温度差が小さくなるように制御を行う。このような制御について、以下、さらに説明する。
【0048】
図3は、第1実施形態に係る発電装置1の動作を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示す動作が開始する時点で、発電装置1において、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bは、すでに運転を開始しており、それぞれ発電を行っているものとする。したがって、
図3に示す動作が開始する時点で、制御部10は、ガス供給部32がセルスタック24Aおよび24Bにそれぞれ燃料ガスを供給するように制御している。同様に、
図3に示す動作が開始する時点で、制御部10は、空気供給部34がセルスタック24Aおよび24Bにそれぞれ空気を供給するように制御している。また、
図3に示す動作が開始する時点で、制御部10は、改質水供給部36がセルスタック24Aおよび24Bにそれぞれ改質水を供給するように制御している。発電装置1において、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bが運転を開始して発電する動作は、一般的なSOFCの発電ユニットと同様に行うことができる。したがって、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bが運転を開始して発電を行う動作について、より詳細な説明は省略する。
【0050】
図3に示す処理が開始すると、制御部10は、セルスタック24A近傍およびセルスタック24B近傍(各発電部近傍)の温度をそれぞれ取得するように制御する(ステップS11)。具体的には、ステップS11において、温度センサ80Aが、セルスタック24A近傍の温度を検出する。また、温度センサ80Bが、セルスタック24B近傍の温度を検出する。したがって、制御部10は、温度センサ80Aおよび温度センサ80Bから、それぞれセルスタック24A近傍の温度およびセルスタック24B近傍の温度を取得することができる。
【0051】
ステップS11において温度を取得したら、制御部10は、取得したセルスタック24A近傍の温度と、取得したセルスタック24B近傍の温度との差が所定の温度差(例えば25℃)以上であるか否か判定する(ステップS12)。ステップS12の処理を実行するために、セルスタック24の発電効率および耐久性などの諸条件を考慮して、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度と所定の温度差を、予め設定しておくのが好適である。すなわち、制御部10は、セルスタック24の発電効率および耐久性などが良好な状態を保てる範囲で、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差を設定する。
図3に示す例では、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差が25℃未満であれば、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bの発電効率および耐久性などが良好な状態をある程度保てるものとしている。本実施形態において、上述した温度差は、例として25℃として以下説明するが、セルスタックの特性または仕様などに応じて、所望の温度差とすることができる。このようにして予め設定された所定の温度差は、例えば記憶部12に記憶しておくことができる。
【0052】
ステップS12においてセルスタック24近傍の温度差が25℃以上でないと判定された場合、制御部10は、ステップS11に戻って処理を続行する。ステップS11において、制御部10は、セルスタック24A近傍およびセルスタック24B近傍(各発電部近傍)の温度をそれぞれ取得するように制御する。
【0053】
一方、ステップS12においてセルスタック24近傍の温度差が25℃以上であると判定されたら、制御部10は、燃料ガスの流量の調整を行う(ステップS13)。ステップS13において行う燃料ガスの流量の調整とは、制御部10が、ガス供給部32を制御して、セルスタック24Aに供給される燃料ガスの流量およびセルスタック24Bに供給される燃料ガスの流量の少なくとも一方を調整することである。具体的には、ステップS13において、制御部10は、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bの少なくとも一方を制御して、ガスポンプ94Aおよび/またはガスポンプ94Bが送出する燃料ガスの流量を調整する。ガスポンプ94Aはセルスタック24Aに燃料ガスを供給し、ガスポンプ94Bはセルスタック24Bに燃料ガスを供給する。このため、制御部10は、セルスタック24Aに供給される燃料ガスの流量およびセルスタック24Bに供給される燃料ガスの流量の少なくとも一方を調整することができる。
【0054】
このような燃料ガスの流量の調整により、本実施形態に係る発電装置1は、セルスタック24A近傍の温度およびセルスタック24B近傍の温度の少なくとも一方を変化させる。例えば、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bのうち、低温側のセルスタック近傍の温度を、高温側のセルスタック近傍の温度に近付けるように制御することができる。
【0055】
ここで、ステップS13において行う燃料ガスの流量の調整によって、セルスタック近傍の温度を変化させる原理について、さらに説明する。
【0056】
発電装置1において、燃料電池(セルスタック24)に供給される燃料ガスのうち、セルスタック24の発電に利用される燃料ガスの割合を、以下、適宜「燃料利用率」と記す。本実施形態において、制御部10は、例えば燃料利用率を変化させることにより、燃料ガスの流量の調整を行うことができる。セルスタック24に供給される燃料ガスのうち、セルスタック24の発電に利用されない燃料ガスには、例えばセルスタック24において燃焼される燃料ガスが含まれる。ここで、例えば、セルスタック24が発電する電力は一定として、燃料利用率を下げることは、セルスタック24において発電に利用される燃料ガスの量は変えずに、燃焼に利用されるガスを増やすことを意味する。この場合、セルスタック24近傍の温度は上がることになる。したがって、発電装置1は、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差が25℃以上ある場合、セルスタック24のうち低温側の燃料利用率を下げることで、そのセルスタック24近傍の温度を上げることができる。
【0057】
図3に示す例においては、例えばステップS12において2つのセルスタック24近傍の温度差が25℃以上である場合、制御部10は、低温側のセルスタック24の燃料利用率を例えば1%下げるなどの制御を行う。具体的には、ステップS11においてセルスタック24Aの方がセルスタック25Bよりも25℃以上低温である場合、ステップS13において、制御部10は、セルスタック24Aの燃料利用率を1%下げるように制御する。一方、ステップS11においてセルスタック24Bの方がセルスタック24Aよりも25℃以上低温である場合、ステップS13において、制御部10は、セルスタック24Bの燃料利用率を1%下げるように制御する。これにより、時間の経過とともに、低温側のセルスタック24近傍の温度は、高温側のセルスタック24近傍の温度に徐々に近づく。
【0058】
ステップS13においてガスの流量を調整したら、制御部10は、セルスタック24A近傍およびセルスタック24B近傍(各発電部近傍)の温度をそれぞれ取得するように制御する(ステップS14)。ステップS14において制御部10が行う処理は、上述したステップS11と同様とすることができる。
【0059】
ステップS14において温度を取得したら、制御部10は、取得したセルスタック24A近傍の温度と、取得したセルスタック24B近傍の温度との差が所定の温度差(例えば5℃)以下であるか否か判定する(ステップS15)。ステップS13において燃料ガスの流量の調整を行っているため、低温側のセルスタック24近傍の温度は、徐々に高温側のセルスタック24近傍の温度に近くなる。
【0060】
ステップS15の処理を実行するために、ステップS12の場合と同様に、セルスタック24の発電効率および耐久性などの諸条件を考慮して、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度と所定の温度差を、予め設定しておくのが好適である。
図3に示す例では、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差が5℃以下になれば、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度とは、ほぼ同じとしている。本実施形態において、上述した温度差は、例として5℃として以下説明するが、セルスタックの特性または仕様などに応じて、所望の温度差とすることができる。このようにして予め設定された所定の温度差は、例えば記憶部12に記憶しておくことができる。
【0061】
ステップS15においてセルスタック24近傍の温度差が5℃以下でないと判定された場合、制御部10は、ステップS14に戻って処理を続行する。ステップS14において、制御部10は、セルスタック24A近傍およびセルスタック24B近傍(各発電部近傍)の温度をそれぞれ取得するように制御する。
【0062】
一方、ステップS15においてセルスタック24近傍の温度差が5℃以下であると判定されたら、制御部10は、燃料ガスの流量を、ステップS13において調整した前の状態に戻す(ステップS16)。ステップS13において、制御部10は、ガス供給部32を制御して、セルスタック24Aに供給される燃料ガスの流量およびセルスタック24Bに供給される燃料ガスの流量の少なくとも一方を調整した。したがって、ステップS16において、制御部10は、ガスの流量を調整したセルスタック24を、調整前の状態に戻す。具体的には、ステップS16において、制御部10は、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bの少なくとも一方を制御して、ガスポンプ94Aおよび/またはガスポンプ94Bが送出する燃料ガスの流量を調整前の状態に戻す。このように、制御部10は、第1発電部(セルスタック24A)近傍の温度とび第2発電部(セルスタック24B)近傍の温度との差が所定の閾値(例えば5℃)以下になったら、ガスの流量の調整を開始する前の状態に戻してもよい。
【0063】
例えばステップS13において低温側のセルスタック24の燃料利用率を1%下げた場合、制御部10は、当該セルスタック24の燃料利用率を1%上げる。セルスタック24が発電する電力は一定として、燃料利用率を上げることは、セルスタック24において発電に利用される燃料ガスの量は変えずに、燃焼に利用されるガスを減らすことを意味する。
【0064】
ステップS16においてガスの流量を調整前に戻したら、制御部10は、
図3に示す動作を終了する。以降、発電装置1が動作を継続する場合は、制御部10は、
図3に示す動作を繰り返し行うのが好適である。
【0065】
このように、本実施形態に係る発電装置1において、制御部10は、第1発電部(セルスタック24A)に供給されるガスの流量、および第2発電部(セルスタック24B)に供給されるガスの流量の少なくとも一方の調整を行う。ここで、制御部10は、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差に基づいて、上述したガスの流量の調整を行う。本実施形態においては、流量の調整を行うガスとは、例えば水素などの燃料ガスすることができる。また、制御部10は、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差が所定の閾値(例えば25℃)以上になったら、ガスの流量の調整を開始してもよい。一方、制御部10は、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差が所定の閾値(例えば5℃)以下になったら、ガスの流量の調整を開始する前の状態に戻してもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る発電装置1によれば、セルスタック24に供給する燃料ガスの流量を調整することにより、2つのセルスタック24近傍の温度差が所定以上に開くことを抑制する。このため、本実施形態に係る発電装置1によれば、いずれかのセルスタック24の内部抵抗が大きくなることは抑制される。また、本実施形態に係る発電装置1によれば、セルスタック24の耐久性を向上させることができる。さらに、本実施形態に係る発電装置1によれば、燃料ガスの流量を調整することによりセルスタック24近傍の温度を変化させるため、温度制御を行うための機能部を追加する必要はない。したがって、本実施形態に係る発電装置1は、発電効率を有利に高めることができる。
【0067】
上述した実施形態においては、例として、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bのうち、低温側のセルスタック近傍の温度を、高温側のセルスタック近傍の温度に近付けるように制御した。しかしながら、本実施形態は、このような制御に限定されない。
【0068】
例えば、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bのうち、高温側のセルスタック近傍の温度を、低温側のセルスタック24近傍の温度に近付けるように制御してもよい。この場合、高温側のセルスタック24近傍の温度を下げるために、高温側のセルスタック24の燃料利用率を上げることになる。高温側のセルスタック24の燃料利用率を上げるとは、セルスタック24に供給される燃料ガスのうち発電に利用されず燃焼に利用される燃料ガスを減らす、すなわち燃料ガス全体の供給を減らすことを意味する。燃料ガスの供給を減らす場合、必要な量の燃料ガスを供給しないと、発電するスタックが劣化する原因になり得ることに留意すべきである。
【0069】
また、例えば、制御部10は、低温側のセルスタック24近傍の温度を高温側のセルスタック24の温度に近付けるとともに、高温側のセルスタック24近傍の温度を低温側のセルスタック24近傍の温度に近付けるように制御してもよい。
【0070】
また、上述した実施形態においては、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bの2つの発電部を備える構成について説明した。しかしながら、本実施形態は、このような制御に限定されず、3つ以上の発電部を備えてもよい。この場合、各発電部(セルスタック24)が、それぞれ対応するガスポンプ94から燃料ガスを供給される構成としてもよい。また、この場合、各セルスタック24近傍のうち、最も高温なものの近傍と最も低温なものの近傍との差が例えば25℃のような所定の温度差以上になったら、ガスの流量の調整を行ってもよい。さらに、各セルスタック24近傍のうち、最も高温なものと最も低温なものとの差が例えば5℃のような所定の温度差以下になったら、ガスの流量の調整を開始する前の状態に戻してもよい。
【0071】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る発電装置について説明する。
【0072】
第2実施形態に係る発電装置は、第1実施形態で説明した発電装置1と部分的に同じ構成を採用することができる。したがって、第2実施形態に係る発電装置の構成について、第1実施形態に係る発電装置1と同様の内容の説明は、適宜、簡略化または省略する。
【0073】
第2実施形態に係る発電装置は、
図1に示した第1実施形態に係る発電装置1において、燃料電池モジュール20の構成を変更するものである。
【0074】
第1実施形態に係る発電装置1において、燃料電池モジュール20は、
図2に示したように、2つのセルスタック24Aおよび24Bを備えている。第2実施形態に係る発電装置においては、
図4に示すように、燃料電池モジュール20’は、4つのセルスタック(24A,24B,24C,24D)を備えている。
図4は、
図2と同様に、
図1に示した発電装置1において、制御部10、燃料電池モジュール20’、およびガス供給部32のみを示し、その他の機能部は省略している。以下、セルスタック24A,24B,24C,24Dを特に区別しない場合、単に、セルスタック24のように総称する。それぞれのセルスタック24は、例えば単体で700W程度の発電が可能な場合、燃料電池モジュール20’は、全体として3kW程度の電力を出力することができる。
【0075】
図4に示すように、燃料電池モジュール20’において、改質器22Aはセルスタック24Aおよびセルスタック24Bに接続され、改質器22Bはセルスタック24Cおよびセルスタック24Dに接続される。これらの接続により、改質器22Aおよび改質器22Bは、それぞれセルスタック24A,24Bおよびセルスタック24C,24Dに、水素および/または一酸化炭素を供給することができる。
【0076】
また、
図4に示すように、燃料電池モジュール20’においても、セルスタック24近傍の温度を検出する温度センサ80を備えている。
図4に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20’は、4つの温度センサ80A,80B,80C,80Dを備えている。
図4に示すように、温度センサ80Aはセルスタック24A近傍に設置され、温度センサ80Bはセルスタック24B近傍に設置される。また、温度センサ80Cはセルスタック24C近傍に設置され、温度センサ80Dはセルスタック24D近傍に設置される。第2実施形態においても、「セルスタック24近傍」の意味などは、第1実施形態と同様である。
【0077】
図4に示す燃料電池モジュール20’のように、4つのセルスタック24A,24B,24C,24Dを備える場合でも、第1実施形態に係る電子機器1と同様に動作させることができる。
図4に示す構成では、ガス供給部32から燃料電池モジュール20’に燃料ガスを供給するガスラインは2つの経路を有している。したがって、本実施形態では、ガスポンプ94Aによって、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給されるガスの流量を調整することができる。また、本実施形態では、ガスポンプ94Bによって、セルスタック24Cおよびセルスタック24Dに供給されるガスの流量を調整することができる。
【0078】
本実施形態においては、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bを第1発電部として、またセルスタック24Bおよびセルスタック24Dを第2発電部として、第1実施形態に係る発電装置1と同様に動作させることができる。この場合、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度の平均を、第1発電部近傍の温度とすることができる。同様に、セルスタック24C近傍の温度とセルスタック24D近傍の温度の平均を、第2発電部近傍の温度とすることができる。そして、制御部10は、第1発電部近傍の温度と第2発電部近傍の温度との差に基づいて、第1発電部に供給されるガスの流量および第2発電部に供給されるガスの流量の少なくとも一方の調整を行う。その他の動作は、第1実施形態に係る発電装置1と同様に行うことができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る発電装置によれば、セルスタック24に供給する燃料ガスの流量を調整することにより、4つのセルスタック24近傍の温度差が所定以上に開くことを抑制する。したがって、本実施形態に係る発電装置は、第1実施形態に係る発電装置1と同様に、発電効率を有利に高めることができる。
【0080】
上述した実施形態では、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bを第1発電部として、またセルスタック24Bおよびセルスタック24Dを第2発電部とした。しかしながら、しかしながら、本実施形態は、このような制御に限定されない。
【0081】
例えば、第1発電部および第2発電部のうち一方のみが、2つのセルスタック24を備え、他方はセルスタック24を1つのみ備えるようにしてもよい。また、第1発電部および第2発電部のうち少なくとも一方は、2つより多くのセルスタック24を備えてもよい。
【0082】
このように、本実施形態に係る発電装置において、第1発電部および第2発電部の少なくとも一方は複数の発電部(例えばセルスタック24Aおよびセルスタック24B)を含んでもよい。この場合、制御部10は、複数の発電部近傍の温度の平均を、第1発電部近傍の温度および/または第2発電部近傍の温度として処理してもよい。
【0083】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に係る発電装置について説明する。
【0084】
第3実施形態に係る発電装置は、第1実施形態で説明した発電装置1と部分的に同じ構成を採用することができる。したがって、第2実施形態に係る発電装置の構成について、第1実施形態に係る発電装置1と同様の内容の説明は、適宜、簡略化または省略する。
【0085】
第3実施形態に係る発電装置は、
図1に示した第1実施形態に係る発電装置1において、燃料電池モジュール20および空気供給部34の構成を変更するものである。
【0086】
第1実施形態に係る発電装置1において、セルスタック24の温度を制御する際、ガス供給部32からセルスタック24に供給される燃料ガスの流量の調整を行った。具体的には、制御部10は、ガスポンプ94を制御して、ガスポンプ94がセルスタック24に向けて送出する燃料ガスの流量を調整した。第3実施形態に係る発電装置においては、セルスタック24に供給する燃料ガスの代わりに、空気供給部34からセルスタック24に供給する空気の流量を調整する。
【0087】
図5は、本実施形態に係る発電装置において、制御部10、燃料電池モジュール20、および空気供給部34のみを示す図である。
図5においては、制御部10、燃料電池モジュール20、および空気供給部34以外の機能部は図示を省略してある。図示を省略した機能部は、
図1および
図2において説明した第1実施形態1の場合と同様に構成することができる。なお、
図5においては
図2等に示したような、ガスポンプおよび流量計が記載されていないが、第3実施形態に係る発電装置には、ガスポンプおよび流量計が設けられていてもよい。
【0088】
図5に示すように、本実施形態において、空気供給部34は、2つの空気ブロワ96Aおよび96Bと、2つの流量計98Aおよび98Bとを備えている。以下、空気ブロワ96Aと空気ブロワ96Bとを特に区別しない場合、単に、空気ブロワ96のように総称する。同様に、以下、流量計98Aと流量計98Bとを特に区別しない場合、単に、流量計98のように総称する。
【0089】
図5に示すように、本実施形態において、空気供給部34に供給される空気は、1つの供給源から2つの経路に分岐されて、それぞれ空気ブロワ96Aおよび空気ブロワ96Bに供給される。また、
図5に示すように、空気ブロワ96Aは流量計98Aに接続され、空気ブロワ96Bは流量計98Bに接続される。これらの接続により、空気ブロワ96Aおよび空気ブロワ96Bは、それぞれ流量計98Aおよび流量計98Bを経て、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bにそれぞれ空気を供給することができる。
図5に示す例においては、1つの供給源から2つの経路に分岐された空気が、それぞれ空気ブロワ96Aおよび96Bに供給されている。しかしながら、例えば空気ブロワ96Aおよび96Bには、それぞれ別個の供給源から空気が供給されるようにしてもよい。
【0090】
空気ブロワ96Aおよび96Bは、空気供給部34に供給された空気を、それぞれ流量計98Aおよび98Bを経て、燃料電池モジュール20のセルスタック24Aおよびセルスタック24Bにそれぞれ送出する。空気ブロワ96Aおよび96Bは、セルスタック24Aおよび24Bに空気を送出できるものであれば、任意のものを採用することができる。
【0091】
流量計98Aおよび98Bは、それぞれを経て流れる空気の流量を測定する。ここで、流量計98Aおよび98Bがそれぞれ計測する空気の流量とは、例えば、単位時間あたりに空気が流量計98Aまたは98Bを経て移動する量とすることができる。流量計98Aおよび98Bは、空気の流量を計測できるものであれば、任意のものを採用することができる。
【0092】
図5に示すように、空気供給部34は、制御部10と有線または無線により通信可能に接続される。流量計98Aおよび流量計98Bがそれぞれ計測した空気の流量の情報は、制御部10に送信される。これにより、制御部10は、流量計98Aおよび流量計98Bがそれぞれ計測した空気の流量を把握することができる。また、制御部10は、空気供給部34と通信可能に接続されることにより、空気ブロワ96Aおよび96Bがそれぞれセルスタック24Aおよび24Bに送出する空気の流量を調整(増減)することができる。したがって、本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに供給される空気の流量およびセルスタック24Bに供給される空気の流量を調整することができる。
【0093】
本実施形態に係る発電装置において、空気供給部34は、
図5に示すような構成に限定されるものではない。例えば、
図5に示す空気供給部34においては、流量計98は、空気ブロワ96によって送出された後の空気の流量を測定している。しかしながら、空気供給部34において、流量計98は、空気ブロワ96によって送出される前の空気の流量を測定してもよい。
【0094】
次に、第3実施形態に係る発電装置の動作を説明する。
【0095】
第3実施形態に係る発電装置は、
図3において説明した第1実施形態に係る発電装置1とほぼ同様に動作させることができる。したがって、以下、第3実施形態に係る発電装置において、第1実施形態に係る発電装置1とは異なる動作を主として説明する。
【0096】
第3実施形態においては、ステップS13において行うガスの流量の調整の際に、燃料ガスの流量に代えて、空気の流量を調整する。
【0097】
以下、例として、ステップS13において、制御部10が、低温側のセルスタック24A近傍の温度を、高温側のセルスタック24B近傍の温度に近付けるように制御する場合を例として説明する。ステップS13において、低温側のセルスタック24A近傍の温度を上昇させる場合、制御部10は、セルスタック24Aに供給される空気の空気利用率を上げる。ここで、空気利用率とは、セルスタック24Aに供給される空気のうち、実際に発電に利用される空気の割合である。セルスタック24Aにおいて実際に発電に利用される空気の量は、一般的には、あまり急激に変化しない。このため、セルスタック24Aにおいて空気利用率を上げるとは、セルスタック24に供給される空気の全体量を少なくすることを意味する。セルスタック24Aに供給される空気の全体量が少なくなると、余剰の空気が減少するため、セルスタック24A近傍の温度は上がることになる。このように、ステップS13において、制御部10は、空気供給部34がセルスタック24に供給する空気を調整することにより、セルスタック24近傍の温度を制御することができる。
【0098】
また、第3実施形態においては、ステップS16において行うガスの流量の調整前の状態に戻す際に、燃料ガスの流量に代えて、空気の流量を調整前の状態に戻す。例えば、上述のように、ステップS13においてセルスタック24Aに供給される空気の空気利用率を上げた場合、制御部10は、上げた分の空気利用率をステップS16において下げる。
【0099】
このように、本実施形態に係る発電装置において、制御部10は、セルスタック24Aに供給される空気の流量およびセルスタック24Bに供給される空気の流量の少なくとも一方の調整を行ってもよい。この場合、制御部10は、セルスタック24Aまたはセルスタック24Bに供給される空気のうち、発電に利用される空気の割合を変化させることにより、空気の流量の調整を行ってもよい。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る発電装置によれば、セルスタック24に供給する空気の流量を調整することにより、2つのセルスタック24近傍の温度差が所定以上に開くことを抑制する。したがって、本実施形態に係る発電装置は、第1実施形態に係る発電装置1と同様に、発電効率を有利に高めることができる。
【0101】
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態に係る発電装置について説明する。
【0102】
第4実施形態に係る発電装置は、第1実施形態で説明した発電装置1と同じ構成を採用することができる。したがって、第4実施形態に係る発電装置の構成についての説明は省略する。以下、第1実施形態と同様の内容の説明は、適宜、簡略化または省略する。
【0103】
第4実施形態に係る発電装置は、第1実施形態で説明した発電装置1において、その制御の一部を変更するものである。第4実施形態においては、第1実施の形態における電子機器1の動作において、ガスの流量を調整した後、ガスの流量を調整する前の状態に戻すための条件を変更する。
【0104】
図6は、第4実施形態に係る発電装置の動作を説明するフローチャートである。
図6においては、
図3に示した第1実施形態に係る発電装置1の処理として説明したのと同じ内容の処理は、同じステップとして示してある。
【0105】
図3に示したように、第1実施の形態においては、ステップS11において各発電部近傍の温度を取得した後、制御部10は、2つの発電部近傍の温度差が25℃以上であるか否かを判定した(ステップS12)。そして、ステップS12において温度差が25℃以上であれば、制御部10は、ガスの流量の調整を行った(ステップS13)。
【0106】
第4実施形態においても、ガスの流量の調整を行う条件は、2つの発電部それぞれの近傍の温度差が25℃以上になるなど、所定の温度差以上になった場合とすることができる。第4実施形態においては、ステップS12の代わりに、
図6にステップS21として示すように、制御部10は、2つの発電部近傍が所定の温度差以上になった否かを判定する(ステップS21)。ステップS21において2つの発電部近傍が所定の温度差以上になっていないと判定したら、制御部10は、ステップS11に戻って各発電部近傍の温度を取得する。一方、ステップS21において所定の温度差以上になったと判定したら、制御部10は、ガスの流量の調整を行う(ステップS13)。ステップS21においては、ステップS12と同様に、所定の温度差を25℃としてもよいし、それ以外の任意の温度差としてもよい。
【0107】
また、
図3に示したように、第1実施の形態においては、ステップS14において各発電部近傍の温度を取得した後、制御部10は、2つの発電部近傍の温度差が5℃以下であるか否かを判定した(ステップS15)。そして、ステップS15において温度差が5℃以下であれば、制御部10は、ガスの流量を調整前の状態に戻した(ステップS16)。
【0108】
第4実施形態においては、ガスの流量を調整前の状態に戻す条件を、2つの発電部近傍の温度の高低が逆転した場合とする。
図6においては、ステップS15の代わりに、
図6にステップS22として示すように、制御部10は、2つの発電部近傍の温度の高低が逆転したか否かを判定する。
【0109】
ステップS22において2つの発電部近傍の温度の高低が逆転していないと判定したら、制御部10は、ステップS14に戻って各発電部近傍の温度を取得する。一方、ステップS22において2つの発電部近傍の温度の高低が逆転したと判定したら、制御部10は、ガスの流量を調整前の状態に戻す(ステップS16)。
【0110】
例えば、ステップS13において、制御部10が、低温側のセルスタック24A近傍の温度を、高温側のセルスタック24B近傍の温度に近付けるように制御する場合を例として説明する。この場合、ステップS22において、制御部10は、低温側であったセルスタック24A近傍の温度が、高温側であったセルスタック24B近傍の温度を超えたか否かを判定する。ステップS22において、低温側であったセルスタック24A近傍の温度が、高温側であったセルスタック24B近傍の温度を超えていないと判定した場合、制御部10は、ステップS14に戻ってセルスタック24の温度を取得する。一方、ステップS22において、低温側であったセルスタック24A近傍の温度が、高温側であったセルスタック24B近傍の温度を超えたと判定した場合、制御部10は、ステップS16に進み、ガスの流量を調整前の状態に戻す。
【0111】
このように、本実施形態に係る発電装置において、制御部10は、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との高低が逆転したら、ガス流量の調整を開始する前の状態に戻してもよい。
【0112】
以上説明したように、本実施形態に係る発電装置によれば、セルスタック24に供給する燃料ガスの流量を調整することにより、2つのセルスタック24近傍の温度差が所定以上に開くことを抑制する。したがって、本実施形態に係る発電装置は、第1実施形態に係る発電装置1と同様に、発電効率を有利に高めることができる。
【0113】
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部およびステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本発明の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0114】
例えば、以上の開示においては、第1実施形態として、燃料電池を備える発電装置1について説明した。しかしながら、本開示の各実施形態は、燃料電池を備える発電装置に限定されるものではない。
【0115】
例えば、本開示の実施形態は、燃料電池を備えずに、燃料電池を外部から制御する、燃料電池の制御装置として実現することもできる。このような実施形態の一例を、
図7に示す。
図7に示すように、本実施形態に係る燃料電池の制御装置2は、例えば制御部10と、記憶部12とを含んで構成される。制御装置2は、外部の燃料電池1を制御する。すなわち、本実施形態に係る燃料電池の制御装置2は、第1発電部(セルスタック24A)に供給されるガスの流量および第2発電部(セルスタック24B)に供給されるガスの流量の少なくとも一方の調整を行う。ここで、制御装置2は、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差に基づいて、上述したガスの流量の調整を行う。
【0116】
さらに、本開示の実施形態は、例えば、上述したような燃料電池の制御装置2に実行させる制御プログラムとして実現することもできる。すなわち、本実施形態にかかる燃料電池の制御プログラムは、制御装置2に、セルスタック24Aに供給されるガスの流量およびセルスタック24Bに供給されるガスの流量の少なくとも一方の調整を行うステップを実行させる。ここで、上記制御プログラムは、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度との差に基づいて、制御装置2に上記ステップを実行させる。