(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二電極層の平面形状は、外側に突出した角部および曲線部のいずれかである第一部分と、外側に突出した角部および曲線部のいずれでもない第二部分と、を含む形状であり、
前記第二電極層上に形成された第二板状電極を有し、
平面視で、前記第二板状電極の外形線が前記第二電極層の外形線より内側にあり、
前記第二板状電極の外形線と前記第二電極層の外形線との間隔が、前記第二電極層の外形線が前記第一部分を形成している部分で、前記第二部分を形成している部分より広い請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化物半導体発光素子。
前記第一電極層の平面形状は、前記窒化物半導体積層体同士に挟まれた被挟持部を有し、前記被挟持部が、外側に突出した角部および曲線部のいずれかである第一部分と、外側に突出した角部および曲線部のいずれでもない第二部分と、を含む形状であり、
前記第一電極層上に形成された第一板状電極を有し、
前記被挟持部においては、平面視で、前記第一板状電極の外形線が前記第一電極層の外形線より内側にあり、
前記第一板状電極の外形線と前記第一電極層の外形線との間隔が、前記第一電極層の外形線が前記第一部分を形成している部分で、前記第二部分を形成している部分より広い請求項1〜5いずれか一項に記載の窒化物半導体発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
先ず、
図1〜
図3を用いて、この実施形態の窒化物半導体発光素子10の全体構成を説明する。
図1および
図2に示すように、窒化物半導体発光素子10は、基板1と、n型窒化物半導体層(第一導電型の第一窒化物半導体層)2と、窒化物半導体積層体3と、n型電極層(第一電極層)4と、p型電極層(第二電極層)5と、n型パッド電極(第一板状電極)6と、p型パッド電極(第二板状電極)7と、絶縁層8を有する。なお、
図1では絶縁層8が省略され、n型電極層4とp型電極層5は外形線410,510のみが表示されている。
【0013】
n型窒化物半導体層2は、基板1の一面11上に形成されている。半導体積層体3は、n型窒化物半導体層2上の一部に形成されたメサ部であり、側面30が斜面となっている。
図3に示すように、窒化物半導体積層体3は、基板1側から、n型窒化物半導体層31、窒化物半導体発光層32、組成傾斜層33、およびp型窒化物半導体層(第二導電型の第二窒化物半導体層)34が、この順に形成されたものである。
【0014】
なお、
図3に示すように、窒化物半導体積層体3のn型窒化物半導体層31は、n型窒化物半導体層2上に連続して成膜されたものである。窒化物半導体積層体3を形成するためのメサエッチングで、n型電極層4が形成される部分に存在していた積層体がn型窒化物半導体層の厚さ方向の途中で除去されている。
n型電極層4は、n型窒化物半導体層2上に形成されている。p型電極層5は、p型窒化物半導体層34上に形成されている。n型パッド電極6はn型電極層4上に形成されている。p型パッド電極7はp型電極層5上に形成されている。
【0015】
窒化物半導体発光素子10は、ピーク波長範囲が300nm以下の紫外線光を発光する素子である。基板1は、一面11上に窒化物半導体層を形成することが可能なものであれば特に制限されない。基板1を形成する材料の具体例としては、サファイア、Si、SiC、MgO、Ga
2O
3、Al
2O
3、ZnO、GaN、InN、AlN、あるいはこれらの混晶等が挙げられる。これらのうち、GaNおよびAlNおよびAlGaN等の窒化物半導体で形成された基板を用いると、基板1上に形成される各窒化物半導体層との格子定数差が小さく、欠陥の発生の少ない窒化物半導体層を成長できるため好ましく、AlN基板を用いることがより好ましい。また、基板1を形成する上記材料には不純物が混入していてもよい。
【0016】
n型窒化物半導体層2およびn型窒化物半導体層31を形成する材料は、AlN、GaN、InNの単結晶および混晶であることが好ましく、具体例としてはn−Al
xGa
(1-x)N(x≧0.4)が挙げられる。また、これらの材料には、P、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれていてもよい。
窒化物半導体発光層32は、単層でも、多層でも良く、例えば、AlGaNからなる量子井戸層とAlGaNからなる電子バリア層とからなる多重量子井戸構造(MQW)を有する層である。また、窒化物半導体発光層32には、P、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれていてもよい。
【0017】
p型窒化物半導体層34としては、例えばp−GaN層、p−AlGaN層などが挙げられ、p−GaN層であることが好ましい。また、p型窒化物半導体層34には、Mg、Cd、Zn、Be等の不純物が含まれていてもよい。
組成傾斜層33は、Al
xGa
(1-x)N(0≦x≦1)組成傾斜層であり、Ga濃度が窒化物半導体発光層32側(基板側)からp型窒化物半導体層34側(p型電極層側)へ向かって大きくなっている。組成傾斜層33は正孔を注入しやすい作用をもたらすものである。組成傾斜層33の一例としては、Al
xGa
(1-x)NのAl組成比xが、窒化物半導体発光層32からp型窒化物半導体層34に向けて、1から0へ連続的に変化する層が挙げられる。また、組成傾斜層33は、Al
xGa
(1-x)NにP、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれた材料で形成されていてもよい。
【0018】
絶縁層8は、n型窒化物半導体層2のn型電極層4で覆われていない部分と、半導体積層体3のp型電極層5で覆われていない部分と、n型電極層4のn型パッド電極6で覆われていない部分と、p型電極層5のp型パッド電極7で覆われていない部分と、n型パッド電極6およびp型パッド電極7の下部の側面に形成されている。絶縁層8は、例えばSiNや、SiO
2、SiON、Al
2O
3、ZrO層などの酸化物や窒化物が挙げられるが、この限りでは無い。
n型電極層4の材料としては、窒化物半導体素子に電子を注入する目的であれば、一般的な窒化物半導体発光素子のN型電極に対応する材料を使用することが可能であり、例えばTi、Al、Ni、Au、Cr、V、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wおよびその合金、またはITO等が適用される。
【0019】
p型電極層5の材料としては、窒化物半導体発光素子に正孔(ホール)を注入することが目的であれば、一般的な窒化物半導体発光素子のp型電極層と同じ材料を使用することが可能であり、例えばNi、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Pt、Cuおよびその合金、またはITO等が適用される。p型電極層は、窒化物半導体層とのコンタクト抵抗が小さいNi、Auもしくはこれらの合金、またはITOが好ましい。
n型パッド電極6およびp型パッド電極7の材料としては、例えばAu、Al、Cu、Ag、Wなどが挙げられるが、導電性の高いAuが望ましい。
【0020】
次に、
図4を用いて、窒化物半導体発光素子10が有する窒化物半導体積層体3の平面形状を説明する。
図4には、窒化物半導体積層体3の上面の外形線301と、下面の外形線302が見える。これらの外形線301と外形線302との間が傾斜状の側面30に相当する。また、
図4には、基板1上の窒化物半導体積層体3が形成されていない部分に存在する第一窒化物半導体層2が見える。
【0021】
図4に示すように、窒化物半導体積層体3の平面形状は、基板1をなす長方形の一辺に沿った二本の同じ長さの棒状部351,352と、隣り合う棒状部351と棒状部352との間に位置する一つの繋ぎ部354とからなる。
二本の棒状部351,352は、帯状の直線部(第二部分)351a,352aの長さ方向両端部に半円状の突出部(外側に突出した曲線部である第一部分)351b,352bを有する。繋ぎ部354は、二本の棒状部351,352の長さ方向中央部に存在する。繋ぎ部354の棒状部351,352の長さ方向と平行な方向での両端部が半円状の凹部354aとなっている。
【0022】
次に、
図5を用いて、窒化物半導体発光素子10が有するn型電極層4の平面形状を説明する。n型電極層4の平面形状は、被挟持部41と、被挟持部41以外の部分である周辺部42と、からなる。被挟持部41は、窒化物半導体積層体3の棒状部351と棒状部352とで挟まれた部分である。被挟持部41は、半円状の突出部(外側に突出した曲線部である第一部分)41aと直線部(第二部分)41bとを有する。突出部41aは、窒化物半導体積層体3の凹部354aと対向する部分である。直線部41bは、窒化物半導体積層体3の直線部351a,352aと対向する部分である。
【0023】
次に、
図5〜
図7を用いて、窒化物半導体発光素子10における窒化物半導体積層体3の下側の外形線302とn型電極層4の外形線410,420との関係を説明する。
図6では、
図5における窒化物半導体積層体3の突出部352bとその周辺部分が拡大されている。
図7では、
図5における窒化物半導体積層体3の凹部354aとその周辺部分が拡大されている。
図5に示すように、n型電極層4は、平面視で、窒化物半導体積層体3の外形線302に対して隙間9を介して沿う外形線410と、基板1の平面形状と相似で基板1の外形線より少し内側に存在する外形線420を有する。つまり、n型電極層4は、外形線410が窒化物半導体積層体3の外形線302に対して隙間9を介して沿う形状を有する。外形線410は、直線411と、凹状曲線412と、凸状曲線413とからなる。
【0024】
図6に示すように、窒化物半導体積層体3の突出部352bでは、隙間9の寸法は、外形線302が突出部352bを形成している部分での寸法W1が、直線部352aを形成している部分での寸法W2より広くなっている。具体的には、直線部352aでの隙間9の寸法W2は一定であり、突出部352bでの隙間9の寸法W1は、直線部352aと突出部352bとの境界線K1から突出部352bの頂部に向けて徐々に大きくなっている。つまり、n型電極層2の外形線410のうちの凹状曲線412を、外形線410の直線411間の距離を直径とした円弧412aよりも外側となる形状としている。
上述の棒状部352についての突出部352bと直線部352aとの関係の記載は、棒状部351についても同様である。
【0025】
このように、窒化物半導体積層体3において、電流集中が生じやすい突出部351b,352bで、直線部351a,352aよりも隙間9の寸法を大きくすることで、突出部351b,352bにのみ高抵抗体を設置した場合と同様の電流集中抑制効果(突出部での電流拡散作用)が得られる。
また、突出部351b,352bで、直線部351a,352aよりも隙間9の寸法を大きくすることは、n型電極層4の形成時のマスク形状をその寸法差に対応したものとするだけで実施できる。つまり、この電流集中抑制効果は低コストで得られるものである。
【0026】
図7に示すように、n型電極層4の突出部41aを含む部分では、隙間9の寸法は、n型電極層4の外形線410が突出部41aを形成している部分での寸法W3が、直線部41bを形成している部分での寸法W4より広くなっている。具体的には、直線部41bでの隙間9の寸法W4は一定であり、突出部41aでの隙間9の寸法W3は、直線部41bと突出部41aと境界線K2から突出部41aの頂部に向けて徐々に大きくなっている。つまり、n型電極層2の外形線410のうちの凸状曲線413を、外形線410の直線411間の距離を直径とした円弧413aよりも内側となる形状としている。
【0027】
このように、n型電極層4において、電流集中が生じやすい突出部41aで、直線部41bよりも隙間9の寸法を大きくすることで、突出部41aにのみ高抵抗体を設置した場合と同様の電流集中抑制効果(突出部での電流拡散作用)が得られる。
また、突出部41aで直線部41bよりも隙間9の寸法を大きくすることは、n型電極層4の形成時のマスク形状をその寸法差に対応したものとするだけで実施できる。つまり、この電流集中抑制効果は低コストで得られるものである。
【0028】
次に、
図3および
図6を用いて、窒化物半導体積層体3の側面30の角度θについて説明する。角度θは、側面30と、基板1の一面(第一窒化物半導体層が形成されている面)11に対して平行な面(n型窒化物半導体層2と窒化物半導体積層体31との境界面)21と、のなす角度である。
図3に示す角度θは、
図6に示す窒化物半導体積層体3の突出部(第一部分)352bで直線部(第二部分)352aよりも小さい。
このように、窒化物半導体積層体3において、電流集中が生じやすい突出部351b,352bで、直線部351a,352aよりも角度θを小さくすることで、突出部351b,352bでのメサ部の立ち上がり部に電流が集中することが抑制される。
【0029】
また、突出部351b,352bで、直線部351a,352aよりも角度θを小さくすることは、例えば、直線部351a,352aを二工程に分けた誘導結合型反応性イオンエッチングにより行うことで実施できる。例えば、直線部351a,352aを露出させて、直線部351a,352a以外の部分をレジストでマスクし、高いバイアス電力でエッチングした後、突出部351b,352bを露出させて、突出部351b,352b以外の部分をレジストでマスクし、高いアンテナ電力でエッチングを行うことで実施できる。つまり、窒化物半導体発光素子10は、高抵抗体を設ける場合よりも低コストで得られるものである。
【0030】
次に、
図3と
図6を用いて、窒化物半導体積層体3の側面30に形成された絶縁層(側面絶縁層)81の厚さについて説明する。
図3に示す側面絶縁層81の厚さは、
図6に示す窒化物半導体積層体3の突出部(第一部分)352bで直線部(第二部分)352aよりも厚い。
このように、窒化物半導体積層体3において、電流集中が生じやすい突出部351b,352bで、直線部351a,352aよりも側面絶縁層81の厚さが厚いことで、電流集中に伴う窒化物半導体積層体3の腐食を効果的に防止することができる。その結果、窒化物半導体発光素子10の腐食による出力低下が防止されて寿命が向上できる。
また、突出部351b,352bで直線部351a,352aよりも側面絶縁層81を厚く形成することは、例えば、直線部351a,352aと突出部351b,352bを二工程の成膜工程で時間を変えて行うことで実施できる。
【0031】
次に、
図1、
図4、および
図8を用いて、窒化物半導体発光素子10が有するp型電極層5とp型パッド電極7との関係について説明する。
図1に示すように、p型電極層5の平面形状は、
図4に示す窒化物半導体積層体3の外形線301に沿った外形線510を有する。つまり、p型電極層5の平面形状は、窒化物半導体積層体3の突出部351b,352b上に形成された突出部(外側に突出した曲線部である第一部分)52と、直線部351a,352a上に形成された直線部(第二部分)51を有する。p型パッド電極7の平面形状は、p型電極層5の直線部51上に形成された直線部(第二部分)71と、突出部52上に形成された突出部(外側に突出した曲線部である第一部分)72を有する。平面視で、p型パッド電極7の外形線710は、p型電極層5の外形線510より内側にある。
【0032】
図8では、
図1におけるp型パッド電極7の突出部72とその周辺部分が拡大されている。
図8に示すように、p型パッド電極7の外形線710とp型電極層5の外形線510との間隔は、外形線510が突出部52を形成している部分(凸状曲線)512での寸法W5が、直線部51を形成している部分(直線)511での寸法W6より広くなっている。具体的には、直線部51での寸法W6は一定であり、突出部52での寸法W1は、直線部51と突出部52との境界線K3から突出部52の頂部に向けて徐々に大きくなっている。つまり、p型電極層5の外形線510のうちの凸状曲線512を、外形線510の直線511間の距離を直径とした円弧512aよりも外側となる形状としている。
【0033】
このように、p型パッド電極7の外形線710とp型電極層5の外形線510との間隔を、電流集中が生じやすいp型電極層5の突出部52で直線部51よりも大きくすることで、突出部52で、p型パッド電極7からp型電極層5の外形線510までの電流移動距離が長くなる分だけ、電流拡散作用が得られる。この作用によっても電流集中の抑制効果が得られる。
また、突出部52で直線部51よりもp型パッド電極7の外形線710とp型電極層5の外形線510と間隔を大きくすることは、p型パッド電極7の形成時のマスク形状をその間隔差が反映されたものとするだけで実施できる。つまり、この電流集中抑制効果は低コストで得られるものである。
【0034】
次に、
図1、
図5、および
図9を用いて、窒化物半導体発光素子10が有するn型電極層4とn型パッド電極6との関係について説明する。
n型パッド電極6の平面形状は、n型電極層4の被挟持部41上に形成された被挟持部61と、n型電極層4の周辺部42上に形成された周辺部62を有する。被挟持部61は、n型電極層4の突出部41a上に形成された突出部(外側に突出した曲線部である第一部分)61aと、直線部41b上に形成された直線部(第二部分)61bを有する。被挟持部61においては、平面視で、n型パッド電極6の外形線610がn型電極層4の外形線410より内側にある。周辺部62においては、平面視で、n型パッド電極6の外形線610がn型電極層4の外形線410より外側にある。
【0035】
図9では、
図1におけるn型パッド電極6の突出部61aとその周辺部分が拡大されている。
図9に示すように、n型パッド電極6の外形線610とn型電極層4の外形線410との間隔は、外形線410が突出部41aを形成している部分での寸法W7が、直線部41bを形成している部分での寸法W8より広くなっている。具体的には、直線部41bでの寸法W8は一定であり、突出部41aでの寸法W7は、直線部41bと突出部41aとの境界線K4から突出部41aの頂部に向けて徐々に大きくなっている。つまり、n型パッド電極6の外形線610のうちの凸状曲線612を、n型電極層4の凸状曲線413に対して等間隔とした曲線612aよりも内側となる形状としている。
【0036】
このように、n型パッド電極6の外形線610とn型電極層4の外形線410との間隔を、電流集中が生じやすいn型電極層4の突出部41aで直線部41bよりも大きくすることで、突出部41aで、n型パッド電極6からn型電極層4の外形線410までの電流移動距離が長くなる分だけ、電流拡散作用が得られる。この作用によっても電流集中の抑制効果が得られる。
また、突出部41aで直線部41bよりもn型パッド電極6の外形線610とn型電極層4の外形線410と間隔を大きくすることは、n型パッド電極6の形成時のマスク形状をその間隔差が反映されたものとするだけで実施できる。つまり、この電流集中抑制効果は低コストで得られるものである。
【0037】
また、窒化物半導体発光素子10の窒化物半導体積層体3が組成傾斜層33を有することで、以下の効果が得られる。窒化物半導体積層体3の側面30における歪みの開放度合いが突出部351b,352bで直線部351a,352aより大きいため、組成傾斜層33の端での正孔発生量が、突出部351b,352bで直線部351a,352aより少なくなり、電流が突出部(第一部分)351b,352bへ流れにくくなる。
【0038】
以上のことから、この実施形態の窒化物半導体発光素子10は、低コストな方法で電流集中が抑制された窒化物半導体発光素子である。その結果、窒化物半導体発光素子10は、発光光量の面内での不均一性が抑制されるとともに、局所的な破壊が抑制されることで寿命を長くすることができる。
なお、上記実施形態では、外側に突出した角部および曲線部のいずれかである第一部分が、半円状などの外側に突出した曲線部であり、外側に突出した角部および曲線部のいずれでもない第二部分が、帯状などの直線部であるが、これに限定されない。第一部分の他の例としては多角形の角部などが挙げられる。
【0039】
第一部分が角部である場合の具体例としては、
図10に示す形状が挙げられる。
図10(a)の例では、窒化物半導体積層体3の平面形状が、外側に突出した角部(第一部分)36aと、角部36aの両側に連続する直線部(第二部分)36bを含む形状である。n型電極層4Aの平面形状は、一対の帯状部43が長手方向一端を重ねて結合された形状であり、一対の帯状部43で形成される内角の角度αは角部36aの角度βより小さい。つまり、窒化物半導体積層体3は平面視で、角部36aを形成する二辺からなる外形線301,302を有する。
【0040】
平面視において、n型電極層4Aにより、窒化物半導体積層体3の角部36aと、直線部36bとが、隙間9を介して外側から囲われている。つまり、n型電極層4Aは、平面視で、窒化物半導体積層体3の外形線302に対して隙間9を介して沿う外形線410を有する。
そして、窒化物半導体積層体3の外形線302が角部36aを形成している部分での隙間9の寸法W1が、直線部36bを形成している部分での寸法W2より広くなっている。具体的に、隙間9の寸法は、角部36aの頂点位置で最も大きく、この頂点位置から離れるにつれて徐々に小さくなっている。
【0041】
図10(b)の例では、窒化物半導体積層体3の平面形状が、外側に突出した角部(第一部分)36aと、角部36aの両側に連続する直線部(第二部分)36bを含む形状である。角部36aの角度は90°である。つまり、角部36aは直交する二辺からなり、窒化物半導体積層体3は平面視で、この二辺からなる外形線301,302を有する。n型電極層4Bの平面形状は、一対の帯状部44が長手方向一端を重ねて結合された形状であり、一対の帯状部44で形成される内角の角度は角部36aの角度と同じである。
【0042】
平面視において、n型電極層4Bにより、窒化物半導体積層体3の角部36aと直線部36bとが、隙間9を介して外側から囲われている。つまり、n型電極層4Bは、平面視で、窒化物半導体積層体3の外形線302に対して隙間9を介して沿う外形線410を有する。
そして、窒化物半導体積層体3の外形線302が角部36aを形成している部分での隙間9の寸法W1が、直線部36bを形成している部分での寸法W2より広くなっている。具体的には、直線部36bでの隙間9の寸法W2は一定であり、角部36aでの隙間9の寸法W1は、n型電極層4Bの内角の頂点44aと角部36aの頂点とが向き合う位置で最も大きく、n型電極層4Bの頂点44aと角部36aの頂点とを結ぶ直線を対角線とした長方形Rの範囲で、この対角線から離れるに連れて徐々に小さくなっている。
【0043】
図10(c)の例では、窒化物半導体積層体3の平面形状が、外側に突出した角部(第一部分)36aと、角部36aの両側に連続する直線部(第二部分)36bを含む形状である。角部36aの角度は90°である。つまり、角部36aは直交する二辺からなり、窒化物半導体積層体3は平面視で、この二辺からなる外形線301,302を有する。
平面視において、二個の帯状のn型電極層45により、窒化物半導体積層体3の直線部36bが、隙間9を介して外側から囲われている。つまり、n型電極層45は、平面視で、窒化物半導体積層体3の外形線302に対して隙間9を介して沿う外形線410を有する。
【0044】
また、二個のn型電極層45は、それぞれ、帯状の長手方向一端を、長手方向と直交する角部36aの外形線302と合わせている。つまり、角部36aの角度を二等分する直線Lに沿って角部36aの頂点と対向する位置に、n型電極層が存在しない。
図10(c)の例のように、電流集中が生じやすい窒化物半導体積層体3の角部36aの頂点と対向する位置に、n型電極層を設けないことによっても、この位置にだけ高抵抗体を設置した場合と同様の電流集中抑制効果(角部での電流拡散作用)が得られる。
【0045】
本発明の一態様の紫外線発光モジュールは、本発明の一態様の半導体装置を備える。
本発明の一態様の紫外線発光モジュールは、紫外線ランプが用いられている既存のすべての装置に適用・置換可能である。特に、波長280nm以下の深紫外線を用いている装置に適用可能である。
本発明の一態様の半導体装置および紫外線発光モジュールは、例えば、医療・ライフサイエンス分野、環境分野、産業・工業分野、生活・家電分野、農業分野、その他分野の装置に適用可能である。本発明の一態様の窒化物半導体発光装置は、薬品や化学物質の合成・分解装置、液体・気体・固体(容器、食品、医療機器等)殺菌装置、半導体等の洗浄装置、フィルム・ガラス・金属等の表面改質装置、半導体・FPD・PCB・その他電子品製造用の露光装置、印刷・コーティング装置、接着・シール装置、フィルム・パターン・モックアップ等の転写・成形装置、紙幣・傷・血液・化学物質等の測定・検査装置に適用可能である。
【0046】
液体殺菌装置の例としては、冷蔵庫内の自動製氷装置・製氷皿および貯氷容器・製氷機用の給水タンク、冷凍庫、製氷機、加湿器、除湿器、ウォーターサーバの冷水タンク・温水タンク・流路配管、据置型浄水器、携帯型浄水器、給水器、給湯器、排水処理装置、ディスポーザ、便器の排水トラップ、洗濯機、透析用水殺菌モジュール、腹膜透析のコネクタ殺菌器、災害用貯水システム等が挙げられるがこの限りではない。
気体殺菌装置の例としては、空気清浄器、エアコン、天井扇、床面用や寝具用の掃除機、布団乾燥機、靴乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、室内殺菌灯、保管庫の換気システム、靴箱、タンス等が挙げられるがこの限りではない。固体殺菌装置(表面殺菌装置を含む)の例としては、真空パック器、ベルトコンベヤ、医科用・歯科用・床屋用・美容院用のハンドツール殺菌装置、歯ブラシ、歯ブラシ入れ、箸箱、化粧ポーチ、排水溝のふた、便器の局部洗浄器、便器フタ等が挙げられるがこの限りではない。