(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るEGR(Exhaust Gas Recirculation)制御装置100を備えたエンジン1の概略図である。
【0015】
図1に示すように、EGR制御装置100は、エンジン1およびECU2(Engine Control Unit)が設けられており、ECU2によってエンジン1全体が駆動制御される。
【0016】
エンジン1は、シリンダブロック10と、シリンダブロック10と一体形成されたクランクケース12と、シリンダブロック10に連結されたシリンダヘッド14とが設けられる。
【0017】
シリンダブロック10には、複数のシリンダ16が形成されている。シリンダ16には、ピストン18が摺動自在にコネクティングロッド20に支持される。そして、シリンダヘッド14と、シリンダ16と、ピストン18の冠面とによって囲まれた空間が燃焼室22として形成される。
【0018】
また、エンジン1には、クランクケース12によってクランク室24が形成されており、クランク室24内にクランクシャフト26が回転自在に支持される。クランクシャフト26には、コネクティングロッド20を介してピストン18が連結される。
【0019】
シリンダヘッド14には、吸気ポート28および排気ポート30が燃焼室22に連通するように形成される。吸気ポート28の上流側には、インテークマニホールド32を含む吸気管34が接続される。
【0020】
吸気ポート28と燃焼室22との間には、吸気バルブ36の先端が位置している。吸気バルブ36の末端には、ロッカーアーム38を介して、吸気用カムシャフト40に固定されたカム42が当接されている。吸気バルブ36は、吸気用カムシャフト40の回転に伴って、吸気ポート28を燃焼室22に対して開閉する。
【0021】
排気ポート30の下流側には、エキゾーストマニホールド44を含む排気管46が接続される。排気ポート30と燃焼室22との間には、排気バルブ48の先端が位置している。排気バルブ48の末端には、ロッカーアーム50を介して、排気用カムシャフト52に固定されたカム54が当接されている。排気バルブ48は、排気用カムシャフト52の回転に伴って、排気ポート30を燃焼室22に対して開閉する。
【0022】
また、シリンダヘッド14には、先端が燃焼室22内に位置するようにインジェクタ56および点火プラグ58が設けられており、吸気ポート28を介して燃焼室22に流入した空気に対してインジェクタ56から燃料が噴射される。そして、空気と燃料との混合気が、所定のタイミングで点火プラグ58によって点火されて燃焼する。かかる燃焼により、ピストン18がシリンダ16内で往復運動を行い、その往復運動が、コネクティングロッド20を通じてクランクシャフト26の回転運動に変換される。
【0023】
吸気管34には、上流側から順に、エアクリーナ60およびスロットルバルブ62が設けられる。エアクリーナ60は、外気から吸入された空気(吸気)に含まれる塵や埃などの異物を除去する。スロットルバルブ62は、アクセル(不図示)の開度に応じてアクチュエータ64によって開閉駆動され、燃焼室22へ送出する吸気の流量を調節する。
【0024】
排気管46内には、触媒66が設けられる。触媒66は、例えば、三元触媒(Three-Way Catalyst)であって、燃焼室22から排出された排出ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を除去する。
【0025】
また、エンジン1には、EGR装置3が設けられる。EGR装置3は、EGR管70、EGRクーラ72、EGRバルブ74を含んで構成される。EGR管70は、吸気管34と排気管46とに接続される。EGR管70は、排気管46に流通する排気ガスの一部を吸気管34に還流させる。なお、以下では、EGR管70を流通する排気ガスをEGRガスとも呼ぶ。EGRガスは、吸気管34から流入する吸気とともに、インテークマニホールド32、吸気ポート28を介して燃焼室22に供給される。このように、EGR装置3は、EGRガスを吸気とともに燃焼室22に供給することで、酸素濃度を低下させて、燃料の燃焼温度を低減し、NOx(窒素酸化物)の生成を抑制するとともに、燃費性能を向上する。
【0026】
EGR管70には、上流側から順に、EGRクーラ72およびEGRバルブ74が設けられる。EGRクーラ72は、EGRガスを冷却する。EGRバルブ74は、アクチュエータ76によって開度が調整されることで、EGR管70を流通するEGRガスの流量を調整する。
【0027】
ところで、従来のエンジンでは、外気温が例えば0℃以下の低温時に始動する際、EGRガスをEGR管70に導入させないようになされていた。しかし、エンジン始動時に、EGRガスをEGR管70に導入させないと、エンジンの燃費性能および排ガス性能が低下してしまう。
【0028】
そこで、エンジン1の燃費性能の改善のために、エンジン始動時に排気ガス(EGRガス)をEGR管70に導入する。しかし、低温時にエンジン1を始動させた場合において、EGRガスをEGR管70に導入すると、EGR管70にEGRガスが接触することで、EGR管70内に凝縮水が発生するおそれがある。凝縮水は、EGR管70内で発生してしまうと、EGR管70および吸気管34を介して燃焼室22に導入されてしまう。そうすると、水撃(ウォーターハンマ)により燃焼室22の破損を招くおそれがある。また、凝縮水には、EGRガス(および排気ガス)中の酸性物質が含まれている。そのため、凝縮水がEGR管70内に留まっていると、凝縮水中の酸性物質によってEGR管70やそれよりも下流に位置する吸気系やエンジン1が腐食するおそれがある。
【0029】
そこで、本実施形態のEGR装置3には、排水管78および流路切り替え部80が設けられ、低温時にエンジン1を始動させることにより凝縮水が発生しても、EGR管70で発生する凝縮水をEGR管70外へと排出させる。なお、排水管78および流路切り替え部80の詳細については、後述する。
【0030】
また、EGR制御装置100には、エンジン起動スイッチセンサ102、第1温度センサ104および第2温度センサ106が設けられる。エンジン起動スイッチセンサ102、第1温度センサ104および第2温度センサ106は、それぞれECU2に接続される。
【0031】
エンジン起動スイッチセンサ102は、不図示のエンジン起動スイッチがオンされると、エンジン起動スイッチがオンされたことを示すエンジン起動スイッチオン信号をECU2に送信する。また、エンジン起動スイッチセンサ102は、エンジン起動スイッチがオフされると、エンジン起動スイッチがオフされたことを示すエンジン起動スイッチオフ信号をECU2に送信する。
【0032】
第1温度センサ104は、シリンダブロック10に設けられ、エンジン1内を流通する冷却水の温度をエンジン1の温度として測定し、エンジン1の温度(温度T1)に応じた検出信号をECU2に送信する。
【0033】
第2温度センサ106は、吸気管34におけるエアクリーナ60よりも上流側に設けられ、吸気される空気(吸気)の温度を外気温として測定し、外気の温度(温度T2)に応じた検出信号をECU2に送信する。
【0034】
ECU2は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなり、エンジン1およびEGR装置3を統括制御する。また、ECU2は、エンジン1を含む車両全体の動作を制御するほか、駆動制御部108、流路切り替えバルブ制御部110としても機能する。
【0035】
図2は、排水管78および流路切り替え部80を含むEGR装置3の部分拡大図である。なお、
図2では、鉛直方向上方向を上方向とし、鉛直方向下方を下方向として説明する。
【0036】
図2に示すように、流路切り替え部80は、EGR管70の途中に設けられる。なお、以下では、EGR管70のうち、流路切り替え部80より上流側を上流側EGR管70aと称し、流路切り替え部80より下流側を下流側EGR管70bと称する。
【0037】
流路切り替え部80は、EGRガスが流通する方向に沿った上下方向の断面が、底面80a、側面80b、側面80c、上面80dに囲まれた略四角形に形成されている。流路切り替え部80は、側面80cにおける底面80a側に、上流側EGR管70aが接続され、EGRガスが導入される導入口80eが形成される。また、流路切り替え部80は、側面80bにおける上面80d側に、下流側EGR管70bが接続され、EGRガスが排出される排出口80fが形成される。したがって、排出口80fは、導入口80eよりも上方向側に位置している。
【0038】
流路切り替え部80の底面80aには、排水管78が接続される。底面80aは、排水管78との接続箇所に向かって下方向に傾斜して形成される。
【0039】
流路切り替え部80には、側面80bにおける排出口80fの下方端から、導入口80e側に向かって、水平方向に突出した突出部70cが形成される。したがって、側面80bと下流側EGR管70bとは、直接接続されておらず、突出部70cが介在している。
【0040】
流路切り替え部80内には、流路切り替えバルブ82が設けられている。流路切り替えバルブ82は、アクチュエータ84(
図1参照)によって駆動されることで、EGRガスの流れ方向(
図2中、左右方向)の略中央に位置する回転軸82aを中心に回転可能な板状のプレートである。流路切り替えバルブ82は、詳しくは後述するように、回転することで、流路切り替え部80を流通するEGRガスの流路を切り替える。
【0041】
排水管78は、鉛直方向に沿って設けられ、流路切り替え部80と排気管46とを連通する。排水管78の一端は、流路切り替え部80の底面80aに接続される。また、排水管78の他端は、排気管46に接続される。排水管78は、EGR管70内で発生する凝縮水をEGR管70外(具体的には、排気管46内)に排出する。
【0042】
また、排水管78には、貯留部86および排水管内バルブ機構88が設けられる。貯留部86は、排水管78の途中に設けられ、凝縮水を所定量貯留可能な容積を有する。なお、以下では、排水管78のうち、貯留部86よりも上流側を上流側排水管78aと称し、貯留部86よりも下流側を下流側排水管78bと称する。
【0043】
排水管内バルブ機構88は、上下方向に延在する連結棒88aの上下に上バルブ88bおよび下バルブ88cがそれぞれ連結されている。上バルブ88bは、上流側排水管78aを閉鎖可能な形状に形成されており、上下方向に移動することで、上流側排水管78aと貯留部86とを連通および遮断する。下バルブ88cは、下流側排水管78bを閉鎖可能な形状に形成されており、上下方向に移動することで、下流側排水管78bと貯留部86とを連通および遮断する。
【0044】
したがって、排水管内バルブ機構88は、最も下方向に位置したときに、上バルブ88bが上流側排水管78aと貯留部86とを連通させ、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86とを遮断する。また、排水管内バルブ機構88は、最も上方向に位置したときに、上バルブ88bが上流側排水管78aと貯留部86とを遮断するとともに、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86とを連通させる。
【0045】
排水管内バルブ機構88の上端は、連結部(バルブ連動機構)90の一端と連結される。連結部90は、剛性の高い棒材に2つのリンク機構90aおよび90bが設けられ、リンク機構90aおよび90bによって屈曲可能になっている。連結部90の他端は、流路切り替えバルブ82における排出口80f側の端部と連結される。したがって、排水管内バルブ機構88は、連結部90を介して、流路切り替えバルブ82の移動に連動して上下方向に移動する。
【0046】
図3は、EGR装置3の部分拡大図である。
図3(a)は、凝縮水が発生する際のEGR装置3の部分拡大図を示し、
図3(b)は、凝縮水が発生しない際のEGR装置3の部分拡大図を示す。
図3(a)および
図3(b)では、白抜き矢印で空気(EGRガスおよび排気ガス)の流れを示し、黒塗り矢印で凝縮水の流れを示す。
【0047】
駆動制御部108は、エンジン起動スイッチセンサ102より送られてきたエンジン起動スイッチオフ信号を受信すると、エンジン1を停止させる。
【0048】
流路切り替えバルブ制御部110は、エンジン1が停止した際に、上バルブ88bが上流側排水管78aと貯留部86とを連通させ、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86を連通させる位置となるように、アクチュエータ84を駆動させることで、流路切り替えバルブ82および連結部90を介して排水管内バルブ機構88を移動させる。そうすると、EGR管70と排気管46とが連通される。これにより、貯留部86内に貯留された凝縮水および流路切り替え部80内に溜まっている凝縮水を排気管46に排出させることができる。
【0049】
その後、駆動制御部108は、エンジン起動スイッチセンサ102より送られてきたエンジン起動スイッチオン信号を受信すると、エンジン1を始動させる。このとき、凝縮水発生条件が成立している場合、EGR管70から凝縮水の排出を行う。なお、凝縮水発生条件は、エンジン1内の温度(温度T1)が予め設定された所定の温度(例えば、低温とされる0℃)よりも低いこと、かつ、外気の温度(温度T2)が予め設定された所定の範囲の温度(例えば、冷感時とされる−10℃以上15℃未満)の範囲内であることである。なお、本実施形態では、通常エンジンに設けられる温度センサ(第1温度センサ104)により測定されるエンジン1内の温度(温度T1)に基づいて、EGR管70の外壁温度を推定する場合について説明する。しかし、EGR管70の外壁温度を測定する温度センサを新たに設け、その温度センサにより測定される温度に基づいて、凝縮水発生条件を判定するようにしてもよい。
【0050】
流路切り替えバルブ制御部110は、凝縮水発生条件が成立したと判定した場合、流路切り替えバルブ82を上流側EGR管70aに略平行に配置されるように制御する。具体的には、流路切り替えバルブ82の上流端が導入口80eの上方側と接近または当接するように移動させる。そうすると、流路切り替え部80内には、
図3(a)に白抜き矢印で示すような捕集流路92が形成される。
【0051】
このとき、上流側EGR管70aから流路切り替え部80内に導入されたEGRガスは、流路切り替えバルブ82と底面80aとの間に沿って流通した後、流路切り替え部80の側面80bと接触して上方向へと導かれる(上昇する)。その後、EGRガスは、突出部70cと接触して側面80cの方向へと導かれつつ、下流側EGR管70bに排出される。つまり、捕集流路92は、流路切り替え部80内でジグザグ状(Z状)に形成される。
【0052】
また、排水管内バルブ機構88は、連結部90を介して流路切り替えバルブ82と連動して移動する。このとき、排水管内バルブ機構88は、上バルブ88bによって上流側排水管78aと貯留部86とを連通させ、かつ、下バルブ88cによって下流側排水管78bと貯留部86とを遮断する位置に移動される。そのため、EGR管70内で発生する凝縮水は、自重によって、排水管78へと導かれ、貯留部86に貯留される。
【0053】
具体的には、EGR管70内(上流側EGR管70a)で発生した凝縮水は、EGR管70を流通するEGRガスの風圧によって、流路切り替え部80内へと押し進められる。流路切り替え部80の底面80aは排水管78(上流側排水管78a)へと向かって傾斜しているため、凝縮水は、自重によって、排水管78へと導かれる。また、EGRガス内に含まれる凝縮水の粒子は、EGRガスの風圧によって、流路切り替え部80の側面80bに付着する。側面80bに付着した凝縮水の粒子は、突出部70cによりせき止められ、粒子が集まることで水滴となったのち、自重によって排水管78へと導かれる。
【0054】
そして、流路切り替えバルブ制御部110は、エンジン1の温度(温度T1)が閾値Th1以上になるまで、捕集流路92が形成されるように、流路切り替えバルブ82を維持させる。なお、閾値Th1とは、EGR管70内に凝縮水が発生しない下限の温度であり、例えば、50℃である。
【0055】
そして、流路切り替えバルブ制御部110は、第1温度センサ104から送信されるエンジン1の温度(温度T1)が閾値Th1以上になった場合、流路切り替えバルブ82を、導入口80eから排出口80fに向かう方向に沿うように移動させる。より具体的には、流路切り替えバルブ82の上流端が底面80aと接近または当接し、流路切り替えバルブ82の下流端が突出部70cの端部と接近または当接するように移動させる。そうすると、流路切り替え部80内には、
図3(b)に白抜き矢印で示すような直線流路94が形成される。
【0056】
直線流路94は、流路切り替え部80の導入口80eと排出口80fとを直線で結ぶように形成される。直線流路94を流通することにより、EGRガスは、捕集流路92を流通する場合に比べて、短い距離で上流側EGR管70aから、下流側EGR管70bへと流通することができる。
【0057】
直線流路94を形成するにあたり、流路切り替えバルブ82は、回転軸82aを中心に回転制御される。そうすると、排水管内バルブ機構88は、流路切り替えバルブ82と連動して上方向に引き上げられる。このとき、排水管内バルブ機構88は、上バルブ88bによって上流側排水管78aと貯留部86とを遮断させ、かつ、下バルブ88cによって下流側排水管78bと貯留部86とを連通する位置に移動される。そのため、貯留部86に貯留された凝縮水は、自重によって排気管46へと排出され、その後、排気ガスによって蒸発される。
【0058】
上述したように、連結部90には、2つのリンク機構(リンク機構90aおよび90b)が設けられる。そのため、回転方向に移動する流路切り替えバルブ82を回転させても、排水管78内で排水管内バルブ機構88を上下方向に移動させることができる。
【0059】
このように、EGR制御装置100では、エンジン始動時にEGRガスをEGR管70に導入しても、EGR管70内で発生してしまう凝縮水をEGR管70外に排出することが可能となる。凝縮水をEGR管70外に排出することで、凝縮水によるEGR管70の破損や、凝縮水の吸気管34への侵入を防ぐことができる。また、エンジン始動時からEGRガスを燃焼室22内に導入することが可能となるため、燃費性能および排ガス性能も向上させることができる。
【0060】
(凝縮水排出処理)
次に、EGR制御装置100による、凝縮水排出処理の流れについて説明を行う。
図4は、エンジン1の停止時における凝縮水排出処理を説明するフローチャートである。
【0061】
まず、駆動制御部108はエンジン起動スイッチセンサ102から送信される信号に基づいて、エンジン起動スイッチがオフされたか否かを判定する(S10)。そして、エンジン起動スイッチがオフされたと判定されれば(ステップS10におけるYES)、流路切り替えバルブ制御部110は、上流側排水管78aと下流側排水管78bとが連通するように、排水管内バルブ機構88の上バルブ88bおよび下バルブ88cとを連通状態(上下方向に移動可能な範囲の中央の位置)に制御する(S12)。具体的には、流路切り替えバルブ制御部110は、上バルブ88bが上流側排水管78aと貯留部86とを連通させ、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86を連通させる位置となるように、アクチュエータ84を駆動させることで、流路切り替えバルブ82および連結部90を介して排水管内バルブ機構88を移動させる。
【0062】
その後、駆動制御部108は、エンジン1を停止させ(S14)、当該エンジン1の停止時における凝縮水排出処理を終了する。
【0063】
一方で、駆動制御部108は、エンジン起動スイッチがオフされていないと判定した場合(ステップS10におけるNO)は、エンジン起動スイッチがオフされたと判定されるまで、ステップS10の処理を繰り返す。
【0064】
図5は、エンジン1の始動時における凝縮水排出処理を説明するフローチャートである。このエンジン1の始動時における凝縮水排出処理は、エンジン起動スイッチがオンされた場合に実行される処理である。
【0065】
エンジン起動スイッチがオンされた場合、駆動制御部108は、凝縮水発生条件が成立しているか否かを判定する(S20)。そして、凝縮水発生条件が成立していると判定されれば(ステップS20におけるYES)、流路切り替えバルブ制御部110は、流路切り替え部80内に捕集流路92が形成されるように流路切り替えバルブ82を移動させる(S22)。このとき、排水管内バルブ機構88は流路切り替えバルブ82と連動して移動され、上バルブ88bが上流側排水管78aと貯留部86とを連通し、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86とを遮断する。このため、EGR管70内で発生する凝縮水は、貯留部86に貯留される。
【0066】
そして、駆動制御部108は、エンジン1を駆動させる(S24)。その後、流路切り替えバルブ制御部110は、温度T1が閾値Th1以上であるか否かを判定する(S26)。そして、温度T1が閾値Th1以上であると判定されれば(ステップS26におけるYES)、流路切り替えバルブ制御部110は、流路切り替え部80内に直線流路94が形成されるように流路切り替えバルブ82を移動させ(S28)、当該エンジン1の始動時における凝縮水排出処理を終了する。このとき、排水管内バルブ機構88は、流路切り替えバルブ82と連動して移動され、上バルブ88bが上流側排水管78aと貯留部86とを遮断し、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86とを連通する。そのため、エンジン1の駆動中に、貯留部86に貯留された凝縮水を、排気管46へと排出することができる。また、排気ガスによって、凝縮水を蒸発させることが可能となる。
【0067】
一方で、温度T1が閾値Th1以上でない(閾値Th1未満である)と判定されれば(ステップS26におけるNO)、EGR管70は充分な温度まで暖められておらず、凝縮水が発生するため、ステップS26の処理を繰り返す。
【0068】
また、凝縮水発生条件が成立していないと判定されれば(ステップS20におけるNO)、EGRガスをEGR管70内に導入しても凝縮水が発生しないため、流路切り替えバルブ制御部110は、流路切り替え部80内に直線流路94が形成されるように流路切り替えバルブ82を移動させる(S30)。そして、駆動制御部108は、エンジン1を駆動させ(S32)、当該エンジン1の始動時における凝縮水排出処理を終了する。
【0069】
かかる構成により、EGR制御装置100は、エンジン1が冷間状態で始動する際、EGR管70内に凝縮水を捕集する捕集流路92を形成する。これにより、EGR管70から捕集流路92に接続される排水管78に向けて凝縮水を排出することが可能となり、吸気管への凝縮水の侵入を防ぐことができる。
【0070】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態におけるEGR制御装置200を説明する図である。第2の実施形態のEGR制御装置200には、連結部90とは異なる連結機構(バルブ連動機構)202が設けられる。また、
図6では、
図3同様、EGR装置3の部分拡大図を示す。
図6(a)は、凝縮水が発生する際(凝縮水発生条件が成立しているとき)のEGR装置3の部分拡大図を示し、
図6(b)は、凝縮水が発生しない際(凝縮水発生条件が成立していないとき)のEGR装置3の部分拡大図を示す。
図6(a)および
図6(b)では、白抜き矢印で空気(EGRガスおよび排気ガス)の流れを示し、黒塗り矢印で凝縮水の流れを示す。
【0071】
連結機構202は、連結線204および弾性部材206を含んで構成される。連結線204は、流路切り替えバルブ82と排水管内バルブ機構88とを連結する。連結線204は、軟性を有する部材であり、例えばワイヤーが用いられる。弾性部材206は、下流側排水管78bに設けられる。弾性部材206の一端は、排水管内バルブ機構88の下バルブ88cと連結される。弾性部材206は、伸縮可能な部材であり、例えば、スプリングが用いられる。なお、弾性部材206の長さ(
図6中上下方向の長さ)は、伸縮されていない状態(自然長)の時に、下バルブ88cが下流側排水管78bと貯留部86とを遮断できる長さに形成される。
【0072】
図6(b)に示すように、凝縮水が発生しない場合には、流路切り替え部80内に直線流路94が形成されるように、流路切り替えバルブ82が移動される。また、連結線204によって流路切り替えバルブ82と連結されている排水管内バルブ機構88は、流路切り替えバルブ82が回転することによって、上方向側へと引っ張られる。すると、弾性部材206の付勢力に抗して、排水管内バルブ機構88(上バルブ88b)が上流側排水管78aと貯留部86とを遮断する位置に移動する。このとき、下バルブ88cは下流側排水管78bと貯留部86とを連通するため、貯留部86に貯留された凝縮水は、排水管78外(排気管46)へと排出することができる。
【0073】
一方で、
図6(a)に示すように、凝縮水発生条件が成立しているときは、流路切り替え部80内に捕集流路92が形成されるように、流路切り替えバルブ82が移動される。このとき、連結線204がたわむことになるが、排水管内バルブ機構88は、弾性部材206の付勢力によって、下流側排水管78bと貯留部86とを遮断する位置に下バルブ88cが位置するように引っ張られる。そのため、EGR管70内で発生した凝縮水は、貯留部86に貯留される。
【0074】
かかる構成により、EGR制御装置200においても、流路切り替えバルブ82と排水管内バルブ機構88とを連動させることができる。また、EGR管70内に発生する凝縮水をEGR管70外へと排出することが可能となる。
【0075】
(変形例)
ところで、エンジンと、駆動モータ(例えば、同期電動機)とが駆動源として設けられるハイブリッド車(Hybrid Vehicle)のような車両では、要求トルクなどの走行状態に応じて、駆動モータに優先してエンジンで走行したり、エンジンに優先して駆動モータで走行したり、エンジンと駆動モータとを併用して走行したりする。そのような車両の場合、走行状況によっては、エンジンが始動しても、すぐ停止してしまいエンジンが暖まりにくかったり、暖まってもすぐに冷えてしまう。
【0076】
また、この場合、エンジン起動スイッチは押されないため、エンジンが再び始動する際、排気ガス(EGRガス)をEGR管に導入してしまうと、EGR管内に凝縮水が発生してしまう。あるいは、凝縮水発生条件が成立し、流路切り替え部内に捕集流路が形成された状態で、エンジンの始動と停止を繰り返す場合、貯留部は、容量以上の凝縮水を貯留しなければならなくなる。
【0077】
通常、エンジンは、不図示のアクセルがオフにされると、ポンピングロスを強めるため、排気ガス(EGRガス)はEGR管に導入されない。そこで、本実施形態の変形例におけるEGR制御装置では、エンジン駆動中にアクセルがオフになる場合、貯留部86に貯留された凝縮水を排出する。
【0078】
変形例におけるEGR制御装置には、アクセル開度センサが設けられる。アクセル開度センサは、ECU2に接続される。アクセル開度センサは、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。アクセル開度センサは、アクセルペダルが踏み込まれると、アクセルペダルが踏み込まれたことを示すアクセルペダルオン信号をECU2に送信する。また、アクセル開度センサは、アクセルペダルが開放されると、アクセルペダルが解放されたことを示すアクセルペダルオフ信号をECU2に送信する。
【0079】
図7は、変形例における凝縮水排出処理を説明するフローチャートである。なお、上述したEGR制御装置100と実質的に等しい制御については、説明を省略する。
【0080】
流路切り替えバルブ制御部110は、温度T1が閾値Th1以上でない(閾値Th1未満である)と判定される(ステップS26におけるNO)場合、アクセル開度センサから送信される信号に基づいて、アクセルペダルがオフされているか否かを判定する(S40)。そして、アクセルペダルがオフされていないと判定されれば(ステップS40におけるNO)、エンジン1は駆動され続けていることになる。そのため、エンジン1およびEGR管70は暖め続けられるので、流路切り替えバルブ制御部110は、ステップS26の処理へと処理を移す。
【0081】
一方で、アクセルペダルがオフされたと判定されれば(ステップS40におけるYES)、流路切り替えバルブ制御部110は、流路切り替え部80内に直線流路94が形成されるように流路切り替えバルブ82を移動させる(S42)。このとき、エンジン1はEGRガスを導入しないため、流路切り替えバルブ制御部110は、流路切り替えバルブ82を移動させることで、排水管内バルブ機構88を連動して移動させ、貯留部86に貯留された凝縮水を一時的に排気管46に排出させる。
【0082】
そして、流路切り替えバルブ制御部110は、アクセル開度センサから送信される信号に基づいて、アクセルペダルがオンされたか否かを判定する(S44)。そして、アクセルペダルがオンされたと判定されれば(ステップS44におけるYES)、再びエンジン1がEGRガスを導入するため、流路切り替えバルブ制御部110は、流路切り替え部80内に捕集流路92が形成されるように流路切り替えバルブ82を移動させる(S46)。
【0083】
一方で、アクセルペダルがオンされていないと判定されれば(ステップS44におけるNO)、アクセルペダルがオンされたと判定されるまで、ステップS44の処理を繰り返す。
【0084】
このように、変形例のEGR制御装置では、アクセルペダルがオフされたときに貯留部86に貯留された凝縮水を排気管46へと排出することができる。これにより、ハイブリッド車など、継続してエンジン1が駆動されず貯留部86に容量以上の凝縮水が溜まるおそれのある場合においても、一時的に凝縮水を排出することができる。そのため、EGR管70がなかなか暖まりにくいときでもEGRガスをエンジン1に導入することが可能となる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。