(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の実施の形態の超音波撮像装置の一例を示す概略構成図、
図2は
図1の超音波撮像装置の使用状況の一例を示す部分斜視図、
図3は
図1の超音波撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示す本実施の形態の超音波撮像装置について説明する。
【0020】
図1に示す超音波撮像装置1は、医療分野などで使用されるカテーテルが取り付けられた検査装置であり、例えば、血管の検査対象部にレーザを照射し、そこから返って来る超音波を検知することで、ステントと血管壁の圧着状態などを撮像して検査するものである。
【0021】
本実施の形態の超音波撮像装置1では、取り付けられたカテーテルが、光音響カテーテル5とも呼ばれる超音波撮像プローブである。
【0022】
図1〜
図3を用いて超音波撮像装置1の構成について説明すると、
図3に示すようなレーザ制御部2b、受信回路部(受信部)2eおよび画像処理部2fなどを備えた本体部2と、
図1に示す本体部2の接続部2aに接続されたカテーテル接続部6と、カテーテル接続部6に接続された超音波撮像プローブである光音響カテーテル5と、を有している。
【0023】
さらに、超音波撮像装置1は、検査対象部の画像を映し出す表示部3と、検査の際に、キー操作で様々な情報を入力する入力部4と、を有している。
【0024】
そして、検査時は、
図2に示すように、まず、検査対象部に対して光音響カテーテル5に設けられた光ファイバ5dからレーザ7を発振し、そこから出る超音波8を検知して取り込み、表示部3に検査対象部の状態を写し出す。その後、状況に応じて、例えば、検査対象部である血管9の血栓9aにレーザ7を照射し、血栓9aを焼き切るなどの治療を施す。
【0025】
図1〜
図3に示すように、超音波撮像装置1の本体部2にカテーテル接続部6を介して接続される光音響カテーテル(超音波撮像プローブ)5には、超音波トランスデューサ(CMUT(Capacitive Micro-machined Ultrasonic Transducers))5bと、レーザ7を発振する光ファイバ5dと、が設けられている。超音波トランスデューサ5bは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) センサでもあり、本実施の形態の超音波トランスデューサ5bは、例えば、アレイ型に形成された音響素子である。
【0026】
一方、超音波撮像装置1の本体部2には、光ファイバ5dから照射されるレーザ7の発振を制御するレーザ制御部2b、超音波トランスデューサ5bにバイアス電流を供給するバイアス部2c、光音響カテーテル5に設けられている超音波トランスデューサ5bが検知した超音波8から変換された信号を取り込む受信回路部(受信部)2eおよび受信回路部2eが受信した信号を画像処理する画像処理部2fが設けられている。
【0027】
さらに、本体部2には、超音波トランスデューサ5bにバイアス電流を供給するバイアス部2cや光ファイバ5dの駆動や画像処理部2fを制御する制御部2dが設けられている。
【0028】
また、超音波撮像装置1の表示部3は、画像処理部2fによって画像処理された像を表示するモニタである。
【0029】
これにより、超音波撮像装置1では、光音響カテーテル5によるカテーテル前方の撮像を実施することができる。
【0030】
超音波撮像装置1を用いた血栓の撮像および治療では、まず、X線像によるガイド下で光音響カテーテル5を血栓の近傍まで進める、そして、
図2に示すように、光ファイバ5dを回転駆動させ、レーザ7を血栓9aに対して照射し、そこから出てくる超音波8を超音波トランスデューサ5bによって検知して血栓9aの状態を表示部3に映し出す。
【0031】
次に、表示部3の画像を確認しながら血栓9aに対して同様にレーザ7を照射し、血栓9aを焼き切って除去する。これにより、血管9の詰まっていた箇所を貫通させる。その後、血管9内にステントを配置し、ステントを拡張させる。
【0032】
さらに、光音響カテーテル5によってレーザ7を照射してステントの留置状態を撮像するとともに確認する。
【0033】
次に、本実施の形態の超音波撮像プローブである光音響カテーテル5の詳細構造について説明する。
【0034】
図4は
図1の超音波撮像装置に設けられたカテーテルの構造の一例を示す斜視図、
図5は
図4のカテーテルにおける先端部の構造の一例を示す拡大部分断面図、
図6は
図5のカテーテルにおける各部材の位置関係の一例を透過して示す平面図である。
【0035】
図1に示すように、光音響カテーテル(超音波撮像プローブ)5は、超音波撮像装置1の本体部2の接続部2aに接続されたカテーテル接続部6に接続されており、
図4に示すように、細長いチューブ状の部材である。
【0036】
図5に示すように、光音響カテーテル5の先端部付近には、
図2に示す超音波8を検知する超音波トランスデューサ5bが表面上に形成され、かつ表裏面に貫通する貫通孔5cを備えたシリコン基板(基板)5aと、レーザ7を集光し、かつ貫通孔5c内に配置されたレンズ5eと、が設けられている。つまり、シリコン基板5aとレンズ5eは、ハウジング5fの先端部の内部に配置されている。なお、ハウジング5fは、円筒形(筒状)であり、かつ細長いチューブ状の部材である。なお、
図5では、超音波トランスデューサ5bの信号を伝達させるために必要な電子回路基板やケーブルは省略されている。なお、
図5では、アクチュエータ5nを駆動させるために必要な電圧信号を伝達させるためのケーブルは省略されている。
【0037】
また、レーザ7を発振する光ファイバ5dは、ハウジング5fの内部にその中心軸に沿った状態で納められている。
【0038】
そして、本実施の形態の光音響カテーテル5では、シリコン基板5aと光ファイバ5dが、ハウジング5f内でハウジング5fの一部に固定されている。
【0039】
また、シリコン基板5aは、中央部に円筒形の貫通孔5cが形成されているため、その平面視の形状は、リング状であり、かつ円板状である。一方、ハウジング5fは、外観形状が円筒形であり、内部にも略円筒形の中空部を有している。そして、シリコン基板5aの外周部は、ハウジング5fの内周壁5fcに固定されている。
【0040】
また、超音波トランスデューサ5bは、平面視がリング状を成すシリコン基板5a上に形成された静電容量型のセンサであり、その平面視は、
図6に示すように貫通孔5cを囲むように配置されている。そして、超音波トランスデューサ5bの内周側に円筒形のレンズ5eが配置されている。つまり、シリコン基板5aの中央部の円筒形の貫通孔5c内に、円筒形のレンズ5eが配置されている。
【0041】
また、円筒形のレンズ5eとシリコン基板5aの貫通孔5cとの隙間10には、透明な樹脂5gが充填されている。そして、これらハウジング5fとシリコン基板5aと超音波トランスデューサ5bと樹脂5gとレンズ5eの平面視における形状と位置関係が、
図6に示されている。
【0042】
また、
図5に示すように、シリコン基板5a上に形成された超音波トランスデューサ5bは、保護膜5hによって覆われており、この保護膜5hによって保護されている。
【0043】
そして、レンズ5eは、レーザ7の発振方向Pに対して交差する第1面5eaとその反対側の第2面5ebとを有しており、第1面5eaと第2面5ebのうち外側(先端側)に位置する第2面5ebは、この第2面5ebに接触する透明なガラスカバー5iによって覆われている。つまり、ガラスカバー5iは、円板状であり、シリコン基板5aの貫通孔5cの先端側の開口部分を塞ぐように配置されている。
【0044】
なお、円板状のガラスカバー5iの円周方向の外側には、超音波トランスデューサ5bが配置され、ガラスカバー5iとハウジング5fとの間の位置に充填された保護膜5hによって覆われている。
【0045】
また、レンズ5eの第1面5eaと第2面5ebとの間に位置する側面(第3面)5ecは、その一部分が上述のように透明な樹脂5gによって覆われている。詳細には、シリコン基板5aの貫通孔5c内において、シリコン基板5aの貫通孔5cの内壁と、レンズ5eの側面5ecと、ガラスカバー5iの一部とによって形成される上述の隙間10には、透明な樹脂5gが充填されている。
【0046】
また、ハウジング5fの外側には、ハウジング5fを覆うように樹脂製のシース5kが設けられており、これにより、シース5kとハウジング5fとの間の領域は、血液除去液の流路5mとなっている。
【0047】
ここで、本実施の形態の光音響カテーテル5では、シリコン基板5aと光ファイバ5dは、ハウジング5fに固定されている。詳細には、シリコン基板5aは、ハウジング5f内においてその中心に向かって内周壁5fcから迫り出したリング状の支持部5fa上に配置され、この支持部5faに固定されている。
【0048】
一方、光ファイバ5dは、円筒形のハウジング5fの内部の中心部に、ハウジング5fの延在方向に沿った状態で配置され、ハウジング5fの内周壁5fcから迫り出した支持部5fbに回転自在に支持されている。
【0049】
これにより、本実施の形態の光音響カテーテル5では、シリコン基板5aと光ファイバ5dがハウジング5fに固定されていることにより、シリコン基板5a上に形成されている超音波トランスデューサ5bと、シリコン基板5aの貫通孔5cに配置されたレンズ5eと、光ファイバ5dと、の3つの軸を揃えることができる。
【0050】
すなわち、レンズ5eがシリコン基板5aの貫通孔5cによって位置決めされ、シリコン基板5aと光ファイバ5dはハウジング5fによって位置決めされるため、超音波トランスデューサ5bと、レンズ5eと、光ファイバ5dと、の3つの軸を揃えることができる。言い換えると、
図5に示す光ファイバ5dの中心C3と、後述する
図8に示すシリコン基板5aの中心C1と、レンズ5eの中心C2と、を高い位置精度で合わせることができる。
【0051】
その結果、光音響カテーテル(超音波撮像プローブ)5における組立て精度を確保することができる。別の表現をすると、光音響カテーテル5において、レーザ7(レンズ5e)と超音波トランスデューサ5bの位置精度を高めた部品実装方法を確立することができる。
【0052】
本実施の形態の光音響カテーテル5では、例えば、音響素子(超音波トランスデューサ5b)と、光学素子(光ファイバ5dやレンズ5e)とを100μm程度の精度で配置・固定することができる。
【0053】
また、本実施の形態の光音響カテーテル5では、光ファイバ5dは、その先端側が、回転自在となるように取り付けられている。具体的には、
図5に示すように、光ファイバ5dの先端側に、アクチュエータ5nが取り付けられており、光ファイバ5dの先端側を回転させることができる。
【0054】
これにより、光ファイバ5dから発振されるレーザ7の視野角を確保することができる。
【0055】
ここで、ハウジング5fは、例えば、SUS(ステンレス鋼)などの金属、あるいは樹脂によって形成されていることが好ましい。ハウジング5fがSUSによって形成されていることにより、SUSは加工精度が高い材料であるため、ハウジング5fの加工精度も高めることができ、ハウジング5fによるシリコン基板5aや光ファイバ5dの位置決め精度も高めることができる。
【0056】
ただし、ハウジング5fは、微細加工が可能な樹脂によって形成されていてもよい。
【0057】
また、レンズ5eとシリコン基板5aの貫通孔5cとの隙間10に充填される透明な樹脂5gは、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂もしくは2液性硬化型樹脂などである。
【0058】
なお、レンズ5eは、例えば、GRINレンズである。
【0059】
次に、シリコン基板5aに形成された貫通孔5cとレンズ5eとの位置ずれ量について説明する。
図7は
図5のカテーテルにおける貫通孔とレンズの位置ずれの関係の一例(ずれ無し)を示す部分断面図、
図8は
図5のカテーテルにおける貫通孔とレンズの位置ずれの関係の一例(ずれ最大)を示す部分断面図である。
【0060】
シリコン基板5aの貫通孔5cにおけるレンズ5eの位置は、
図7に示す位置が理想的である。すなわち、貫通孔5cの中央にレンズ5eが配置されている場合である。ここで、レンズ5eの直径L1=350μm、貫通孔5cの直径L2=500μm、レーザスキャンの範囲L3=200μmとすると、貫通孔5cの中心C1に対してレンズ5eがその中心C2が一致するように配置されている。そして、レーザスキャンはその範囲L3が200μmであるため、レンズ5eの直径L1の350μmに対して、その中央付近においてレーザスキャンを行うことができる。
【0061】
また、
図8は貫通孔5cの中心C1に対してレンズ5eの中心C2が向かって左側に最大限に偏って配置されている場合である(許容するずれ量が最大の場合)。この場合、レーザスキャンの範囲L3の端部がレンズ5eの直径L1の範囲の端部と重なっており、レーザスキャンの範囲L3が、レンズ外とならないようにする場合のレンズ5eの位置ずれの最大を示す箇所である。
【0062】
シリコン基板5aの貫通孔5cに対するレンズ5eの位置ずれについては、レーザスキャンの範囲L3がレンズ外とならないことが重要である。レーザスキャンの範囲L3がレンズ外となると、レーザ7のパワーが低下し、所望の光音響信号が発生せず、感度不足となって撮像の画質が低下する。この時、貫通孔5cに対するレンズ5eのずれ量は、レーザスキャンの範囲L3とレンズ5eの直径L1とに関わる。
【0063】
したがって、
図8に示すレンズ5eのずれ量が最大の場合が許容範囲の限界を示しており、
図8に示す構造では、シリコン基板5aの貫通孔5cの直径L2とレンズ5eの直径L1との差Zは、150μmであり、上記Zの数値の大きさは、150μmが限界値である。つまり、シリコン基板5aの貫通孔5cの直径L2とレンズ5eの直径L1との差Zは、150μm以内が好ましいと言える。
【0064】
このように貫通孔5cの直径L2とレンズ5eの直径L1との差Zを150μm以内とすることにより、レーザ7のパワーの低下を抑制し、撮像の画質の低下を防ぐことができる。
【0065】
なお、
図1に示す本実施の形態の超音波撮像装置1では、上述のような
図5に示す光音響カテーテル(超音波撮像プローブ)5を備えている。すなわち、上述の光音響カテーテル5において、レーザ7は、シリコン基板5aが備える貫通孔5c内に配置されたレンズ5eによって集光され、かつシリコン基板5a(超音波トランスデューサ5b)と光ファイバ5dとが、それぞれ筒状のハウジング5fの内部でハウジング5fの一部に固定されている。
【0066】
本実施の形態の超音波撮像装置1によれば、超音波撮像装置1が備える光音響カテーテル5において、シリコン基板5aの貫通孔5cにレンズ5eが配置され、かつシリコン基板5aと光ファイバ5dとがハウジング5fに固定されたことにより、シリコン基板5a上の超音波トランスデューサ5b(音響素子)と、光ファイバ5dやレンズ5eなどの光学素子との位置精度を高めることができる。
【0067】
その結果、超音波撮像装置1の音響性能を向上させることができる。詳細には、超音波撮像装置1において、超音波撮像装置1が備える光音響カテーテル5の組立て精度を確保することができ、これにより、超音波撮像装置1において得られる画像の分解能を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態の超音波撮像装置1では、光音響カテーテル5を備えていることで、主にCTO(慢性完全閉塞病変)に対して、カテーテルの前方撮像と高パワーのレーザ照射による血栓除去を行うことができる。その結果、困難とされている上記CTOのステント治療を可能にすることができる。
【0069】
次に、本実施の形態の光音響カテーテル(超音波撮像プローブ)5の製造方法について説明する。本実施の形態では、半導体プロセスの製造工程を利用して光音響カテーテル5を製造する場合を説明する。
【0070】
まず、
図5に示すように、半導体プロセスを用いてシリコン基板5a上に静電容量型の超音波トランスデューサ5bを形成する。すなわち、シリコン基板5a上に静電容量型で、かつ平面視において貫通孔5cを囲むようにMEMSセンサである超音波トランスデューサ5bを形成する。
【0071】
次に、シリコン基板5aの中央部に表裏面に貫通する貫通孔5cを形成する。なお、ここでは、例えば、エッチング加工により、シリコン基板5aの略中央部に貫通孔5cを形成する。
【0072】
つまり、超音波を検知する超音波トランスデューサ(CMUT)5bが表面に形成され、かつ超音波トランスデューサ5bの内周側に、表裏面に貫通する貫通孔5cを備えたシリコン基板5aを準備し、さらに、筒状の細長いハウジング5fを準備する。なお、貫通孔5cを形成する際のエッチング加工でシリコン基板5aの外周形状(円形)も形成する。すなわち、貫通孔5cの形成と同じエッチング加工工程で、シリコン基板5aを円板状に形成する。これにより、シリコン基板5aも、その平面視がリング状(円板状)となる。
【0073】
ただし、貫通孔5cの形成とシリコン基板5aの外周形状の形成とは、それぞれ別々の工程で加工してもよい。
【0074】
次に、筒状のハウジング5fの内部に超音波トランスデューサ5bが形成されたシリコン基板5aを固定する。ここでは、ハウジング5fの内部において、その内周壁5fcから迫り出した支持部5fa上にシリコン基板5aを固定する。この時、シリコン基板5aの外周部を、ハウジング5fの内周壁5fcに固定し、支持部5fa上に配置する。これにより、シリコン基板5aおよび超音波トランスデューサ5bは、ハウジング5fの内周壁5fcによって位置決めされる。
【0075】
次に、シリコン基板5aに対して透明なガラスカバー5iを取り付ける。この時、シリコン基板5a上に形成された超音波トランスデューサ5bの内周側において、シリコン基板5aの貫通孔5cの先端側の開口部を塞ぐように円板状のガラスカバー5iをシリコン基板5aに取り付ける。
【0076】
これにより、平面視では、ハウジング5fとガラスカバー5iの間に超音波トランスデューサ5bが配置された状態となっている。
【0077】
次に、ガラスカバー5iとハウジング5fとの間の領域において、超音波トランスデューサ5bを保護する保護膜5hを充填させる。
【0078】
次に、ハウジング5fの表裏を反転させ、この状態(シリコン基板5aの貫通孔5cの開口部が上方を向いた状態)で、シリコン基板5aの貫通孔5c内に円筒形のレンズ5eを配置する。
【0079】
この時、レンズ5eを貫通孔5cに嵌め込み、レンズ5eの第2面5ebをガラスカバー5iに接触させる。そして、レンズ5eをシリコン基板5aの貫通孔5c内に配置した後、レンズ5eと貫通孔5cの隙間10に透明な樹脂5gを充填する。
【0080】
詳細には、円筒形のレンズ5eと、シリコン基板5aの貫通孔5cの内壁と、円板状のガラスカバー5iとからなる隙間10に、透明な樹脂5gを流し込み、レンズ5eを固着する。
【0081】
これにより、円筒形のレンズ5eはシリコン基板5aの貫通孔5cによって位置決めされる。
【0082】
次に、ハウジング5fの内部に、レーザ7を発振する光ファイバ5dを固定する。詳細には、ハウジング5fの内部においてその内周壁5fcから迫り出した支持部5fbに、光ファイバ5dを固定する。この時、
図8に示す円板状のシリコン基板5aの中心C1と、
図5に示す光ファイバ5dの中心C3とが合うように、光ファイバ5dの固定位置を調整する。光ファイバ5dの調整方法として、例えば、光ファイバ5dから調整用のレーザを照射し、そのレーザが所定の位置に照射されるようにしても良い。調整用のレーザは、例えば、赤色レーザなどの可視光を用いると調整が容易である。
【0083】
さらに、光ファイバ5dの固定位置を調整する際に、アクチュエータ5nを駆動させて、光ファイバ5dから照射されるレーザ7が所定の範囲で回転することを確認するのも良い。
【0084】
次に、ハウジング5fの外周部に樹脂製のシース5kを被せる。これにより、シリコン基板5aと光ファイバ5dとをハウジング5fに固定した光音響カテーテル5の組立てが完了となる。
【0085】
本実施の形態の光音響カテーテル5の組立てでは、半導体製造プロセスのエッチング加工によって、シリコン基板5aの貫通孔5cを形成するとともに、シリコン基板5aの外周部を円形に形成している。したがって、貫通孔5cや基板外周の加工精度を高めることができる。
【0086】
これにより、貫通孔5c内に配置するレンズ5eの位置決め精度やハウジング5f内に取り付けるシリコン基板5aの位置決め精度を高めることができる。その結果、レンズ5eとシリコン基板5a上の超音波トランスデューサ5bとの位置精度を高めることができる。すなわち、光音響カテーテル5の組立て精度を高めることができ、光音響カテーテル5を用いた超音波撮像装置1において、得られる画像の分解能を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態の光音響カテーテル5では、光ファイバ5dを回転させることができるため、レーザ7を回転させながら照射することができ、超音波照射を行うプローブに比較して視野の角度を広げることができる。
【0088】
また、半導体製造プロセスによってシリコン基板5a上に超音波トランスデューサ5bを形成するため、シリコン基板5a上に高い位置精度で超音波トランスデューサ5bを形成することができる。
【0089】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0090】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる。
【0091】
上記実施の形態では、光ファイバ5dがハウジング5fの支持部5fbによって固定されている場合を説明したが、シリコン基板5aの貼り合わせによりシリコン基板5aを厚く形成し、半導体製造プロセスを利用した組立てによる構造で光ファイバ5dを支持するようにしてもよい。