特許第6913112号(P6913112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6913112複数の信号及びコンフィグレーションに基づくジオフェンシング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913112
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】複数の信号及びコンフィグレーションに基づくジオフェンシング
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20210727BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20210727BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20210727BHJP
   G01S 5/02 20100101ALN20210727BHJP
   G01S 19/48 20100101ALN20210727BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/02
   G08B25/10 A
   !G01S5/02 Z
   !G01S19/48
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-562226(P2018-562226)
(86)(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公表番号】特表2019-522272(P2019-522272A)
(43)【公表日】2019年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2017063041
(87)【国際公開番号】WO2017207572
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2020年5月29日
(31)【優先権主張番号】62/343,221
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン デュンヘン,ウィルヘルミュス アンドレアス マリニュス アルノルデュス マリア
(72)【発明者】
【氏名】レディンガム,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ラス,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ボックス,ウィルヘルミュス ヨゼフュス
【審査官】 大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0131755(US,A1)
【文献】 特表2016−529471(JP,A)
【文献】 特開2005−210204(JP,A)
【文献】 特開2000−020629(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105308477(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00−25/00
G01S 5/00
G01S 19/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セーフゾーンの境界を示すベースデバイスの周りの仮想フェンスを作るよう構成される前記ベースデバイスと、
前記セーフゾーンの中に最初は位置するウェアラブルデバイスと、
前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方のプロセッサによって計算された前記ウェアラブルデバイスと前記ベースデバイスとの間の異なるタイプの距離測定を夫々示す異なった信号の動的且つ適応的な組み合わせに基づき、前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方について少なくとも1つの動作パラメータを計算する動的適応制御アルゴリズムを実行するよう構成される前記プロセッサと
を有し、
前記プロセッサは、次の距離測定の動作及び決定のために前記少なくとも1つの動作パラメータを用いる前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの前記少なくとも一方へ前記少なくとも1つの動作パラメータを伝える、
ジオフェンシングシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記信号の固定の組み合わせ、前記信号の不変且つ動的な組み合わせ、及び時間における前記信号の動的な組み合わせのうちの1つに基づき前記動的且つ適応的な組み合わせを計算する、
請求項1に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項3】
前記動的且つ適応的な組み合わせは、周囲環境、ジオフェンス内の前記ウェアラブルデバイスのポジション、前記ウェアラブルデバイスの動き、前記ジオフェンス内の他のオブジェクトの位置のうちの少なくとも1つに依存する、
請求項1又は2に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動作パラメータは、周波数レベル信号、及び電力増幅信号、及び電力増幅レベル信号のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項5】
前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方は、受信信号強度インジケータ信号、タイム・オブ・フライト信号、正弦位相信号、Wi−Fi信号、グローバルポジショニング信号、品質インジケータ信号、ウェアラブルデバイスポジション信号、又はウェアラブルデバイス速度信号のうちの1つ以上に基づき前記異なった信号の組み合わせを決定する、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、過去の距離及び動作パラメータデータ並びに当該システムの1つ以上の物理的制約を用いて前記信号を組み合わせるよう構成される、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項7】
前記仮想フェンスは、半径を有する円形フェンスである、
請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記ベースデバイスのプロセッサである、
請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記ウェアラブルデバイスのプロセッサである、
請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項10】
前記ベースデバイスは、前記セーフゾーンの中心領域に位置し、前記ベースデバイス又は前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方は、前記ウェアラブルデバイスが前記セーフゾーンに出ることに応答してアラームを送る、
請求項1乃至のうちいずれか一項に記載のジオフェンシングシステム。
【請求項11】
ジオフェンスセーフゾーンを確立する方法であって、
ウェアラブルデバイス及びポータブルワイヤレスデバイスをベースデバイスから所定の距離に置くことと、
前記ポータブルワイヤレスデバイスと前記ベースデバイスとの間の少なくとも1つの距離を測定するよう前記ポータブルワイヤレスデバイスのソフトウェアをアクティブにすることと、
所定のマージンを前記距離に加えることと、
前記マージンを加えられた距離に等しい半径を有するジオフェンスを生成することと、
前記ジオフェンスを前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスにより登録することと、
前記ウェアラブルデバイスの位置をモニタするよう前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスをアクティブにすることと
を有する方法。
【請求項12】
前記ウェアラブルデバイスの位置を決定することと、
前記決定された位置を前記半径と比較することと、
前記ウェアラブルデバイスが前記半径を超えることに応答してアラームを送ることと
を更に有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
測定が取得される場合に且つ前記ジオフェンスを生成することの前に、前記測定された位置を前記ベースデバイス及びお互いに対して視覚的に表示すること
を更に有する請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記生成されたジオフェンスを受け入れる入力信号を受信すること
を更に有する請求項11乃至13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記生成されたジオフェンスを拒否する入力信号を受信すること
を更に有する請求項11乃至13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ジオフェンスセーフゾーンを構成するためにポータブル電源を前記ウェアラブルデバイスに設けること
を更に有する請求項11乃至15のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
設備の中心近くに前記ベースデバイスを設置することを更に有し、
前記ジオフェンスセーフゾーンは、前記設備を囲む、
請求項11乃至16のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ソフトウェアを前記ポータブルワイヤレスデバイスにインストールすることを更に有し、
前記ソフトウェアは、前記セーフゾーンを構成するセーフゾーン機能を少なくとも含む、
請求項11乃至17のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
時間の関数として、ベースデバイス及びウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方のエレクトロニクスから距離測定を示す複数の信号を読み込むことと、
過去データ及び物理的制約を用いて異なる周波数及び電力設定で前記距離測定を動的且つ適応的に組み合わせることと、
前記距離測定の組み合わせに基づき前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方の1つ以上のデバイス設定を決定することと
を有する方法。
【請求項20】
前記読み込むこと、前記組み合わせること及び前記決定することの動作より前に、スマートフォン上でソフトウェアアプリケーションによりジオフェンスセーフゾーンを構成すること
を更に有する請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して、ジオフェンシングに関係があり、より具体的には、複数の信号及びジオフェンシングコンフィグレーションに基づくジオフェンシングに関係がある。
【背景技術】
【0002】
ジオフェンスは、現実世界の地理的領域の境界を示す仮想フェンスである。この仮想フェンスは、境界エリアの中にいる人物が境界エリアから出る場合を検出するために、ジオフェンシングシステムの部分として使用され得る。適用例は、認知症(例えば、アルツハイマー病による。)の人が、仮想フェンスによって画定された“セーフゾーン”(例えば、個人宅、グループホーム、など)から出るかどうかを監視することである。人が境界エリアから出たことを検出することに応答して、ジオフェンシングシステムは、人が境界エリアから出たことを示す信号(例えば、電子メール、テキストメッセージ、スマートフォン通知、など)の送信をトリガする。
【0003】
“セーフゾーン”は、1つ以上の所望の位置について、ベースデバイスから所望の位置までの距離を手動で測定することによって、設定可能である。それらの1つ以上の所望の位置についての距離の中で最長の距離が、次いで、ベースデバイスで実行されている“セーフゾーン”に手動で入力される。ベースデバイスは、最長の距離に等しい半径を有してベースデバイスの周りに円形の“セーフゾーン”を作る。あいにく、全ての所望の位置がベースデバイスから直線的に位置するわけではなく、一部の測定を困難にし且つエラーを起こしやすくする。更に、特定の位置についてベースデバイスによって行われる距離測定は、例えば、デバイス較正、信号強度、などに起因して、その位置についての手動測定された距離とは異なることがある。
【0004】
受信信号強度インジケータ(RSSI)又はタイム・オブ・フライト(ToF)に基づく(あるいは、正弦位相に基づく)ジオフェンスは、ジオフェンスの中心に位置するベースデバイスと、監視される人物によって装着又は携行されているポータブルデバイスとを用いて、モニタされ得る。装着されたデバイスとベースデバイスとの間の距離は測定され、仮想フェンスの周囲とベースデバイスとの間の距離と比較される。RSSI及びToFに基づくシステムは、自己形成された信号に基づくので、他のシステム(例えば、GPS、セルラー、など)のカバレッジに依存せず、それらの電力散逸は比較的に低く、それらを、電源としてバッテリを必要とするデバイスに適したものとする。
【0005】
あいにく、RSSI信号強度は、その周囲の構造に依存する。例えば、窓又は扉を通る強度は、壁を通る強度とは異なることがあり、直ぐ隣にある金属物体(例えば、車)が信号強度に影響を与えることもある。結果として、RSSIを使用することは、不均一な、条件付きで依存する、及び/又は信頼できない距離測定をもたらし得る。ToFは、それらのパラメータにそれほど依存しない。しかし、人が2つのデバイスの間に立っている場合に、ToF測定エラーが起こり得る。これは、例えば反射を介した信号が、人体を通過したものよりも強いからである。これはまた、壁面反射が測定エラーを起こし得る非直視にも当てはまる。
【0006】
少なくとも上記を鑑み、ジオフェンシングのための他のアプローチに対する未解決の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本願の態様は、上記の問題及び他に対処する。
【0008】
一態様に従って、ジオフェンシングシステムは、セーフゾーンの境界を示すベースデバイスの周りの仮想フェンスを作るよう構成される前記ベースデバイスを含む。当該ジオフェンシングシステムは、前記セーフゾーンの中に最初は位置するウェアラブルデバイスを更に含む。当該ジオフェンシングシステムは、前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方によって計算された前記ウェアラブルデバイスと前記ベースデバイスとの間の距離測定を示す異なった信号の動的且つ適応的な組み合わせに基づき、前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの前記少なくとも一方について少なくとも1つの動作パラメータを計算する動的適応制御アルゴリズムを実行するよう構成されるプロセッサを更に含む。前記プロセッサは、次の距離測定の動作及び決定のために前記少なくとも1つの動作パラメータを用いる前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの前記少なくとも一方へ前記少なくとも1つの動作パラメータを伝える。
【0009】
他の態様において、ジオフェンスセーフゾーンを確立する方法は、次のこと、すなわち、ウェアラブルデバイス及びポータブルワイヤレスデバイスをベースデバイスから所定の距離に置くことと、前記ポータブルワイヤレスデバイスと前記ベースデバイスとの間の第1距離を測定するよう前記ポータブルワイヤレスデバイスのソフトウェアをアクティブにすることと、前記ウェアラブルデバイス及び前記ポータブルワイヤレスデバイスを前記ベースデバイスから少なくとも1つの異なる距離に動かすことと、前記アクティブなソフトウェアにより、前記ポータブルワイヤレスデバイスと前記ベースデバイスとの間の前記少なくとも1つの異なる距離を測定することと、前記測定された距離のうち最長の距離を決定することと、所定のマージンを前記最長の距離に加えることと、前記マージンを加えられた前記最長の距離に等しい半径を有するジオフェンスを生成することと、前記ジオフェンスを前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスにより登録することと、前記ウェアラブルデバイスを前記セーフゾーンに位置する対象に固定することと、前記対象の位置をモニタするよう前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスをアクティブにすることとを含む。
【0010】
他の態様において、方法は、時間の関数として、ベースデバイス及びウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方のエレクトロニクスから距離測定を示す複数の信号を読み込むことを含む。当該方法は、過去データ及び物理的制約を用いて異なる周波数及び電力設定で前記距離測定を動的且つ適応的に組み合わせることを更に含む。当該方法は、前記距離測定の組み合わせに基づき前記ベースデバイス及び前記ウェアラブルデバイスのうちの少なくとも一方についてデバイス設定を決定することを更に含む。
【0011】
本発明の更なる他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解することで当業者に認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置において、且つ、様々なステップ及びステップの配置において、具体化されてよい。図面は、単に、好適な実施形態を説明することを目的とし、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0013】
図1】例となるジオフェンシングシステムを概略的に表す。
図2】異なる距離信号を動的に組み合わせるための適応自動制御アルゴリズムを表す。
図3図2のアルゴリズムによるフローの例を表す。
図4】本明細書における実施形態に従う方法の例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ジオフェンシングシステム102を概略的に表す。ジオフェンシングシステム102の適用は、セキュリティシステム、児童警護/保護システム、ペット警護システム、及び認知症患者監視システムを含むが、これらに限られない。
【0015】
表されているジオフェンシングシステム102は、ベースデバイス104と、ウェアラブルデバイス106と、“セーフゾーン”110の境界を示す仮想フェンス108(関心のある所定の距離までゼロの安全マージンを含む。)とを含む。表されている実施形態では、ベースデバイス104は、仮想フェンス108の中心領域105にある。仮想フェンス108は、表されている例では、半径123を有して円形形状である。ウェアラブルデバイス106は、監視対象によって装着又は携行される。
【0016】
デバイス104及び106は、ワイヤレス通信チャネル111を介して無線通信するよう構成される。デバイス104及び106で実行されるハードウェア及び/又はソフトウェアは、通信の信号の特性に基づきデバイス104及び106の間の距離を測定する。距離は、RSSI、ToF、正弦位相(Sine Phase)、Wi−Fi、GPS、などのような、種々の距離測定信号に基づき、デバイス104及び106のうちの少なくとも一方によって決定される。
【0017】
デバイス104及び/又は106のうちの少なくとも一方は、距離測定の動的且つ適応的な組み合わせを計算する。組み合わせは、デバイス104及び/又は106のうちの少なくとも一方の動作パラメータを決定するために使用される。動作パラメータは、デバイス104及び/又は106のうちの少なくとも一方による次の距離測定をもたらす。以下は、そのような距離測定の種々の組み合わせの非制限的な例である。
【0018】
1つの事例において、本明細書で記載される信号及び/又は他の情報の固定の組み合わせが使用される。他の実施形態では、本明細書で記載される信号及び/又は他の情報の不変且つ簡単な動的組み合わせが使用される。更なる他の実施形態では、時間における動的組み合わせが使用される。更なる他の実施形態では、完全に適応的な組み合わせが使用される。更にもう一度他の実施形態では、自己学習(例えば、ニューラルネットワークタイプ)アルゴリズムが使用される。非制限的な例は、以下で更に詳細に記載される。
【0019】
1つの事例において、動的組み合わせは、環境構成、仮想フェンス108内のポジション、ウェアラブルデバイス106の動き、人体又は他の物体による無線信号の遮断及び非遮断、などのような実際の状況に依存する。信号のこの組み合わせは、例えば、最も高い精度の距離測定を有するように、状況に基づき所与の頻度で(例えば、連続的に、周期的に、オンデマンドで、など)適応されることから少なくとも動的である。
【0020】
ウェアラブルデバイス106は、セルラーチャネル113を介してセルタワー112と通信するよう構成される。セルタワー112は、ケーブル114を介して(及び/又は無線により)サーバ117と通信するよう構成される。サーバ117は、モニタ118と、キーボード、マウス、及び/又は同様のもののような入力デバイスとを、ディスパッチセンターにおいて含む。セルタワー112は、セルラーチャネル120を介して、スマートフォン122のような携帯型ポータブルワイヤレスデバイスと通信するよう構成される。ポータブルワイヤレスデバイス122は、対象の観視者によって携行され得る。
【0021】
ポータブルデバイス122は、“セーフゾーン”110を構成するためのソフトウェアアプリケーションを含む。以下で更に詳細に記載されるように、このソフトウェアによれば、前もって半径123を知っておくことは不要である。結果として、“セーフゾーン”110を生成するプロセスは、ソフトウェアアプリケーションによらないコンフィグレーションと比べて、簡単にされる。更に、半径123は、ポータブルデバイス122及び/又はベースデバイス104によって行われる距離測定により自動的に較正される。
【0022】
動作において、デバイス104及び/又は106は、測定された距離を仮想フェンス108の半径123と比較する。測定された距離が半径123に満たないか又はそれに等しい場合に、デバイス104及び/又は106は、対象が“セーフゾーン”110の中にいると決定する。測定された距離が半径123よりも大きい場合に、デバイス104及び/又は106は、ウェアラブルデバイス106及びひいては対象が、図1に示されるように、“セーフゾーン”110の外にいると決定する。
【0023】
後者の場合に、ベースデバイス104は、視覚アラーム115及び/又は可聴アラーム116のようなアラームを発し、ベースデバイス104は、信号をタワー112へ送る。セルラータワー112は、チャネル114を介してサーバ117へ信号を送る。サーバ117は、それに応答してモニタ118により通知を表示する。通知は、対象が“セーフゾーン”110の外にいることを示す。サーバ117は、ユーザインタラクションの有無にかかわらず、信号をポータブルデバイス122へチャネル120を介して送り、ポータブルデバイス122は、対象が“セーフゾーン”110の外にいることを示すアラームを発する。
【0024】
変形例において、システム102は、1よりも多い対象を、対象ごとに少なくとも1つである複数のウェアラブルデバイス106により監視するために使用され得る。
【0025】
他の変形例では、1よりも多いベースデバイス104が、例えば、部分的に重なり合う個々の“セーフゾーン”(異なるベースデバイス104ごとに1つである。)の組み合わせを使用することによって、円形でない“セーフゾーン”を生成するために使用され得る。
【0026】
他の変形例において、ウェアラブルデバイス106からの信号は、ディスパッチセンター119に、1よりも多い携帯型ポータブルワイヤレスデバイス122へ信号を送信させることができる。
【0027】
他の変形例において、ウェアラブルデバイス106からの信号は、同じ携帯型ポータブルワイヤレスデバイス122及び/又は異なる携帯型ポータブルワイヤレスデバイス122へ送信され得る。
【0028】
他の変形例では、アラーム115及び116の1つ以上が省略される。
【0029】
他の変形例では、ウェアラブルデバイス106は、バッジ、クリップ、ベルト、及び/又は他の装置である。
【0030】
図2は、種々の距離測定信号を動的に組み合わせるための適応自動制御アルゴリズム202のハイレベル図を表す。図3は、図2のアルゴリズムを使用するフローの例を表す。
【0031】
最初に図2を参照すると、ベースデバイス(若しくはホーム基地局,HBS)104及び/又はウェアラブルデバイス(WD)106の適応自動制御アルゴリズム202及びエレクトロニクス204は、図示されるように、チャネル206及び208を介した双方向通信のために構成される。チャネル208及びチャネル206は、2つの独立した相異なるチャネル、又は同じチャネルであることができる。
【0032】
エレクトロニクス204は、距離情報(例えば、距離情報210)をチャネル206上で信号により適応自動制御アルゴリズム202へ供給する。適応自動制御アルゴリズム202はこの情報を処理する。適応自動制御アルゴリズム202は、距離情報を処理することに応答して、あるパラメータ(例えば、動作パラメータ212)を決定しベースデバイス104及び/又はウェアラブルデバイス106へ伝える。
【0033】
例となる動作パラメータ及び距離情報は、電力レベル増幅、周波数ステップ、電力増幅をオン若しくはオフする制御信号、ダイバーシティアルゴリズムから及び/若しくはアンテナ対のために決定された距離測定、ダイバーシティ及び/若しくは対のための距離品質係数、ダイバーシティ信号の受信信号強度、ダイバーシティ信号の連結品質インジケーション、Wi−Fi信号、ウェアラブルデバイスの実際の距離及び過去の挙動、ウェアラブルデバイスの実際の速度及び過去の挙動、速度及び/若しくは距離ジャンプに対するウェアラブルデバイスの物理的制約、ウェアラブルデバイスの加速度計測定、加速度計の過去データ、並びに/又は距離/速度及び加速度計測定の組み合わせを含む。
【0034】
図2及び図3を参照すると、302で、適応自動制御アルゴリズム202は、時間の関数として、ベースデバイス104及び/又はウェアラブルデバイス106のエレクトロニクス204から、距離測定を示す複数の信号を読み込む。この例において、距離測定は、ベースデバイス104及び/又はウェアラブルデバイス106の現在の電力及び周波数パラメータに依存する。他の事例では、距離測定は他のパラメータに依存する。
【0035】
304で、適応自動制御アルゴリズム202は、過去データ及び物理的制約を用いて異なる周波数及び電力設定で距離測定を動的且つ適応的に組み合わせる。306で、適応自動制御アルゴリズム202は、ベースデバイス104及び/又はウェアラブルデバイス106についてデバイス設定(例えば、電力及び周波数設定)を決定する。ベースデバイス104及びウェアラブルデバイス106は、それらの設定を用いて、次の距離測定を決定する。
【0036】
図3に示されるように、動作302〜306は、動的且つ適応的な制御のために1回以上繰り返され得る。
【0037】
図4は、“セーフゾーン”110を確立する方法の例を表す。
【0038】
1つの事例において、次の動作が、“セーフゾーン”110を確立する前に、ベースデバイス104、ウェアラブルデバイス106及びポータブルワイヤレスデバイス122を設定するために実行される。ウェアラブルデバイス106は、未だ十分なポータブル電源を有してない場合に、コンフィグレーション処理のための十分なポータブル電源を供給される。これは、一次若しくは二次電池を設置すること、又は設置された二次電池を充電することを含んでよい。
【0039】
ベースデバイス104は、設備(例えば、対象の家)の中心近くに設置される。この位置は、設備の周囲で等しく距離を隔てたセーフゾーンを実現することを容易にし得る。ベースデバイス104は、その電源コードを電気差し込み口、充電式バッテリ、などにプラグ接続することによって給電される。ソフトウェアアプリケーションは、ポータブルワイヤレスデバイス122にインストールされる。ソフトウェアアプリケーションは、“セーフゾーン”110を構成(例えば、生成、変更、削除、など)するための“セーフゾーン”機能を少なくとも含む。
【0040】
当然ながら、以下の動作の順序は、例示を目的としており、制限ではない。そのようなものとして、他の順序も本明細書では考えられている。その上、動作のうちの1つ以上は省略されてよく、且つ/あるいは、1つ以上の他の動作が含まれてよい。
【0041】
402で、ウェアラブルデバイス106及びポータブルワイヤレスデバイス122は、関心のある位置に運ばれる。位置は、図1に示される半径123のような、仮想フェンス108上の点に対応する。この位置は、例えば、玄関口、私道、郵便受け、などの隣にあってよい。
【0042】
404で、ポータブルワイヤレスデバイス122で実行されるセーフゾーンソフトウェアが距離を測定する。このために、スマートフォン122上のソフトウェアアプリケーションは、最初にアクティブにされる。次いで、“セーフゾーン”機能が起動され、“セーフゾーン”110のための半径123を測定及び計算するよう計測を開始する。
【0043】
406で、他の位置が望まれているかどうかが判定される。他の位置がある場合には、408で、ウェアラブルデバイス106及びポータブルワイヤレスデバイス122は他の位置に運ばれ、動作404が繰り返される。ソフトウェアは、位置及び/又は距離を、それらが決定されると、視覚的に提示することができる。一般に、測定は、境界線を横断せずに、境界線に沿って行われる。しかし、測定は、望まれる場合には境界線を横断して行われ得る。例えば、測定は、扉の両側で行われ得る。
【0044】
他の位置がない場合には、409で、ソフトウェアアプリケーションは、夫々の位置で決定された距離から最大距離を決定し、その最大距離を半径として使用してセーフゾーンを生成する。
【0045】
410で、セーフゾーンは、ポータブルワイヤレスデバイス122で表示される。
【0046】
412で、セーフゾーンを受け入れる又は拒否する入力が受け取られる。
【0047】
414で、セーフゾーンは受け入れられるか又は拒否されるかのいずれかである。
【0048】
セーフゾーンが拒否される(受け入れられない)場合には、動作402〜414が繰り返される。
【0049】
セーフゾーンが受け入れられる場合には、416で、マージン(例えば、1〜3メートル)が半径123に加えられる。マージンは、1つの事例では、境界に対する安全マージンを生成するためにシステムの精度を考慮に入れる。これは、誤ったアラームがトリガされないことを確かにし得る。
【0050】
418で、マージンを有する“セーフゾーン”110は、例えば、インターネットサービスプロバイダを介したセルラーリンク、ポータブルワイヤレスデバイス122とベースデバイス104及びウェアラブルデバイス106との間のWi−Fiリンク、ポータブルワイヤレスデバイス122とベースデバイス104及びウェアラブルデバイス106との間のBluetooth(登録商標)リンク、ポータブルワイヤレスデバイス122とベースデバイス104及びウェアラブルデバイス106との間のハードワイヤ(例えば、ケーブル)接続、などを通じて、ベースデバイス104及びウェアラブルデバイス106に登録される。
【0051】
420で、ウェアラブルデバイス106は対象に固定される。
【0052】
422で、ベースデバイス104及びウェアラブルデバイス106は、対象の位置をモニタするためにアクティブにされる。
【0053】
本明細書における方法は、コンピュータ読出可能な記憶媒体において符号化されるか又は組み込まれており、コンピュータプロセッサによって実行される場合に該プロセッサに記載される動作を実行させるコンピュータ読出可能な命令を用いて、実装されてよい。加えて、又は代替的に、コンピュータ読出可能な命令のうちの少なくとも1つは、信号、搬送波又は他の一時的な媒体によって運ばれる。
【0054】
データの平均に基づく動的且つ適応的なアルゴリズムの非制限的な例が次に記載される。
【0055】
平均距離アンテナ対1(ADAP1)=(1/N)(距離1p1+距離2p1+・・・+距離Np1)

平均距離アンテナ対1(ADAP2)=(1/N)(距離1p2+距離2p2+・・・+距離Np2)

平均距離アンテナ対x(ADAPX)=(1/N)(距離1px+距離2px+・・・+距離Npx)

平均距離=(1/N)(ADAP1+ADAP2+・・・+ADAPX)

上記において、平均距離アンテナ対(average distance antenna pair)は、ベースデバイス104のアンテナ及びウェアラブルデバイス106のアンテナについてのN個の個々の距離測定の平均である。
【0056】
平均RSSIアンテナ対1(ARSSIAP1)=(1/N)(RSSI1p1+RSSI2p1+・・・+RSSINp1)

平均RSSIアンテナ対2(ARSSIAP2)=(1/N)(RSSI1p2+RSSI2p2+・・・+RSSINp2)

平均RSSIアンテナ対x(ARSSIAPX)=(1/N)(RSSI1px+RSSI2px+・・・+RSSINpx)

平均RSSI=(1/N)(ARSSIAP1+ARSSIAP2+・・・+ARSSIAPX)

上記において、平均RSSIアンテナ対(average RSSI antenna pair)は、ベースデバイス104のアンテナ及びウェアラブルデバイス106のアンテナについてのN個の個々のRSSI測定の平均である。
【0057】
平均距離品質アンテナ対1(ADQAP1)=(1/N)(距離品質1p1+距離品質2p1+・・・+距離品質Np1)

平均距離品質アンテナ対2(ADQAP2)=(1/N)(距離品質1p2+距離品質2p2+・・・+距離品質Np2)

平均距離品質アンテナ対x(ADQAPX)=(1/N)(距離品質1px+距離品質2px+・・・+距離品質Npx)

平均距離品質=(1/N)(ADQAP1+ADQAP2+・・・+ADQAPX)

上記において、距離品質アンテナ対(distance quality antenna pair)は、ベースデバイス104のアンテナ及びウェアラブルデバイス106のアンテナについてのN個の個々の距離品質測定の平均である。
【0058】
品質インジケータ、信号品質、などのような他の情報も平均化され得る。
【0059】
距離及び品質測定に関する標準偏差に基づく動的且つ適応的なアルゴリズムの非制限的な例は:
【数1】
に従って計算され得る。ここで、nはデータ点の数であり、バーxはxの平均であり、xはデータの値の夫々である。
【0060】
速度は、経時的な距離によって、且つ、例えば、モーションセンサ情報を含めることによって、決定され得る。これを人間の物理的制約と組み合わせることは、計算を最適化するためにアルゴリズムによって使用され得、制限の外にある個々の測定が、例えば、捨てられるか、又はより小さい重みを有して使用され得る。ジオフェンシング測定において、この速度はまた、人が境界に向かって進むこと(例えば、境界に向かって歩いていること)に関する情報を与えることができる。例えば、毎秒1メートル(1m/s)の最大歩行速度が、連続的な距離測定の品質や物理的実在性を決定することにおいて考慮に入れられ得る。
【0061】
他の信号組み合わせが、既知の環境においてテスト及び解析の間に集められた情報と組み合わされ得る。例えば、測定の信号強度が正規偏差により高く、品質インジケータ測定が低く、距離に関する偏差が高い場合に、高反射の部屋であると決定され得る。電力増大させることが最良の解決法でないことがある。計算においてより短い距離測定を減らし且つより高く重み付けすることは、より良い結果を提供し得る。他の例では、品質信号が高く、RSSIが高く、偏差がいくつかの極めて大きい異常値を含んで高い場合に、オープンフィールド状況と決定され得る。真っ直ぐな直線を得るよう電力を増大させることがより有益であり得る。
【0062】
テスト及び解析の間に集められた情報は、例えば、ルックアップテーブルアプローチ、推定された環境及び最適な設定について分類が与えられるルックアップテーブル内の特定の場所を指す測定結果及びシステム情報の特定の組み合わせ、並びに結果として現れる距離及び最適な設定を計算するために使用される重み係数を用いて、実装されてよい。ルックアップテーブルの例が表1で示される。
【表1】
【0063】
表1を使用する最適な設定及び距離の計算の例が次に与えられる。この例のために、測定された入力は、距離=2、RSSI=1、品質=1、SD=1、電力レベル=1である。例となるアルゴリズムは、“[新しい電力レベル,重み係数]=find(ルックアップテーブル,2,1,1,1,1)”であってよい。新しい電力レベルが前の電力レベルと等しくない場合には、電力レベルは新しい電力レベルに設定され、他の組の測定は新しい動作条件の下で決定される。新しい距離は、重み係数を含む平均を用いて計算され得る。
【0064】
動的挙動は、上記の例と、情報ソース及び制御を加えることとによって、部分的に行われ得る。他方で、時間にわたるダイナミクスは、測定サンプリング速度の導入も含んでよい。動いていない場合に、サンプリング速度は極めて低くなり得る。境界から遠く、1m/sの物理的制約と組み合わせる場合に、サンプリング速度は更に低減され得る。精度も同様に取り扱われ得る。必要とされない場合に、精度は下げられ得る。憂慮すべき状況が検出される場合に、システムはサンプリング速度並びに精度に関連した情報ソース及び計算を増大させてよい。環境推定からの情報を含めることはまた、システムを然るべく導入する選択肢を与えうる。例えば、クリーンな環境では、精度は、余分なステップが行われることなしに高くなり得る。反対の状況では、所望の信頼レベルに到達するために余分な測定が必要とされると決定され得る。
【0065】
動的制御はまた、異なるパラメータをほぼ連続的にスキャンして結果を読み出し、この情報に基づき、実際の距離を決定するためにパラメータ設定のための適応アルゴリズムを用いることによって、行われ得る。実際の距離は過去データも含むことができる。このようにして、最適な設定は、スキャン結果及び任意に過去データに基づき選択される。この適応制御は継続的であり、よって、最も低いエネルギ費用での最適な性能のために連続的にスキャンする。
【0066】
以下は、非制限的な例を与える。次のこと、すなわち、ジオフェンス境界までの距離が5メートルであること、環境が直接的な高低線(direct line of site)接続を有してクリーンであること、センサ及び履歴情報によりユーザが歩行中であることが決定されること、高齢者の最大速度が0.8m/sであること、及び距離測定の精度が2メートルであると決定されること、を前提とする。1つの非制限的なアルゴリズム及びそれらの入力によれば、境界までの距離が精度の2倍よりも大きい場合に、又は境界までの距離と精度との間の差が最大速度を乗じられた最小反応時間よりも大きく且つ環境がクリーンである場合に、サンプリング速度はXに設定され、精度はYに設定され、距離はZに設定される。
【0067】
本発明は、様々な実施形態を参照して本明細書で記載されてきた。本明細書の記載を読むことで変更及び代替案が当業者に想到可能である。斯様な変更及び代替案が添付の特許請求の範囲及びその均等の適用範囲の中にある限り、それらの全てを本発明が包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4