(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1面、前記第1面に設けられた複数の吐出孔、複数の前記吐出孔にそれぞれ連通している複数の加圧室、および前記第1面の反対側に位置している第2面を有する第1流路部材と、
前記第2面上に設けられた加圧部材と、
第3面、前記第3面の反対側に位置している第4面、前記第4面から突出する隆起部、および前記隆起部に設けられた第1貫通孔を有する第2流路部材と、
前記隆起部の外側の前記第4面に載置される筐体と、を備え、
前記第2流路部材は、前記第3面が前記第1流路部材の前記第2面のうち前記加圧部材が配置されていない領域に接合されており、
前記第1貫通孔は、前記加圧部材の電気的接続用であり、
2つの前記第1貫通孔が前記第3面の長手方向に沿って延びており、
前記第2流路部材の、前記第3面とは反対側、かつ前記筐体の外側に、液体供給用の貫通孔、および液体回収用の貫通孔が開口しており、
平面視して、前記隆起部の外周の全部が、前記第4面の外周よりも内側に位置していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
前記加圧部材に信号を伝達する信号伝達部材が、前記第1貫通孔を構成する前記隆起部に接触した状態で、上方に引き出されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1の実施形態>
図1を用いて、第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド2を含むカラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1と称する)について説明する。図面には、第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3、第4方向D4、第5方向D5、および第6方向D6を図示している。第1方向D1は、第1共通流路20および第2共通流路24の延びる方向の一方側であり、第4方向D4は、第1共通流路20および第2共通流路24の延びる方向の他方側である。第2方向D2は、第1統合流路22および第2統合流路26の延びる方向の一方側であり、第5方向D5は、第1統合流路22および第2統合流路26の延びる方向の他方側である。第3方向D3は、第1統合流路22および第2統合流路26の延びる方向に直交する方向の一方側であり、第6方向D6は、第1統合流路22および第2統合流路26の延びる方向に直交する方向の他方側である。
【0008】
プリンタ1は、記録媒体Pを搬送ローラ74aから搬送ローラ74bへと搬送することにより、記録媒体Pを液体吐出ヘッド2に対して相対的に移動させる。制御部76は、画像や文字のデータに基づいて、液体吐出ヘッド2を制御して、記録媒体Pに向けて液体を吐出させ、記録媒体Pに液滴を着弾させて、記録媒体Pに印刷を行なう。
【0009】
本実施形態では、液体吐出ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。記録装置の他の実施形態としては、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
【0010】
プリンタ1には、記録媒体Pとほぼ平行になるように平板状のヘッド搭載フレーム70が固定されている。ヘッド搭載フレーム70には20個の孔(不図示)が設けられており、20個の液体吐出ヘッド2がそれぞれの孔に搭載されている。5つの液体吐出ヘッド2は、1つのヘッド群72を構成しており、プリンタ1は、4つのヘッド群72を有している。
【0011】
液体吐出ヘッド2は、第2方向D2から第5方向D5に細長い長尺形状をなしている。1つのヘッド群72内において、3つの液体吐出ヘッド2は、第2方向D2から第5方向D5に沿って並んでおり、他の2つの液体吐出ヘッド2は、第6方向D5にずれた位置に並べられている。隣り合う液体吐出ヘッド2は、各液体吐出ヘッド2の印刷可能な範囲が、第2方向D2から第5方向D5に繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、記録媒体Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
【0012】
4つのヘッド群72は、第3方向D3から第6方向D6に配置されている。各液体吐出ヘッド2には、図示しない液体タンクからインクが供給される。1つのヘッド群72に属する液体吐出ヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群で4色のインクを印刷している。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。
【0013】
なお、プリンタ1に搭載される液体吐出ヘッド2の個数は、単色で、1つの液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのなら1つでもよい。ヘッド群72に含まれる液体吐出ヘッド2の個数、あるいはヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の個数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷することで、印刷速度、すなわち搬送速度を速くすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、第3方向D3にずらして配置して、記録媒体Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
【0014】
さらに、色の付いたインクを印刷する以外に、記録媒体Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を印刷してもよい。
【0015】
プリンタ1は、記録媒体Pに印刷を行なう。記録媒体Pは、搬送ローラ74aに巻き取られた状態になっており、2つの搬送ローラ74cの間を通った後、ヘッド搭載フレーム70に搭載されている液体吐出ヘッド2の下側を通る。その後2つの搬送ローラ74dの間を通り、最終的に搬送ローラ74bに回収される。
【0016】
記録媒体Pとしては、印刷用紙以外に、布などでもよい。また、プリンタ1を、記録媒体Pの代わりに搬送ベルトを搬送する形態にし、記録媒体Pは、ロール状のもの以外に、搬送ベルト上に置かれた、枚葉紙、裁断された布、木材、あるいはタイルなどであってもよい。さらに、液体吐出ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、液体吐出ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や、化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
【0017】
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ、温度センサなどを取り付け、制御部76が、各センサの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。特に、液体吐出ヘッド2から吐出される液体の吐出量や吐出速度等の吐出特性が外部の影響を受ける場合、液体吐出ヘッド2の温度、液体タンクの液体の温度、あるいは液体タンクの液体が液体吐出ヘッド2に加えている圧力に応じて、液体吐出ヘッド2において液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
【0018】
次に、
図2〜8を用いて第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド2について説明する。なお、
図5〜7では図面を分かりやすくするために、他の部材の下方にあって破線で描くべき流路などを実線で描いている。
【0019】
図2,3に示すように、液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2aと、筐体50と、放熱板52と、配線基板54と、押圧部材56と、弾性部材58と、信号伝達部材60と、ドライバIC62とを備えている。なお、液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2aを備えていればよく、筐体50、放熱板52、配線基板54、押圧部材56、弾性部材58、信号伝達部材60、およびドライバIC62は必ずしも備えていなくてもよい。
【0020】
液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2aから信号伝達部材60が引き出されており、信号伝達部材60は、配線基板54に電気的に接続されている。信号伝達部材60には、液体吐出ヘッド2の駆動を制御するドライバIC62が設けられている。ドライバIC62は、弾性部材58を介して押圧部材56により放熱板52に押圧されている。なお、配線基板54を支持する支持部材の図示を省略している。
【0021】
放熱板52は、金属あるいは合金により形成することができ、ドライバIC62の熱を外部に放熱するために設けられている。放熱板52は、螺子あるいは接着剤により筐体50に接合されている。
【0022】
筐体50は、ヘッド本体2a上に載置されており、筐体50と放熱板52とにより、液体吐出ヘッド2を構成する各部材を覆っている。筐体50は、開口50a,50b,50cと、断熱部50dとを備えている。
【0023】
開口50aは、第3方向D3および第6方向D6に対向するようにそれぞれ設けられており、開口50aを塞ぐように放熱板52が配置される。開口50bは、下方に向けて開口しており、開口50bを介して配線基板54および押圧部材56が筐体50の内部に配置される。開口50cは、上方に向けて開口しており、配線基板54に設けられたコネクタ(不図示)が収容される。
【0024】
断熱部50dは、第2方向D2から第5方向D5に延びるように設けられており、放熱板52とヘッド本体2aとの間に配置されている。それにより、放熱板52に放熱された熱が、ヘッド本体2aに伝熱しにくくなる。筐体50は、金属、合金、または樹脂により形成することができる。
【0025】
図4(a)に示すように、ヘッド本体2aは、第2方向D2から第5方向D5に向けて長い形状をなしており、第1流路部材4と、第2流路部材6と、圧電アクチュエータ基板40とを有している。圧電アクチュエータ基板40および第2流路部材6は、第1流路部材4上に設けられている。圧電アクチュエータ基板40は、
図4(a)に示す破線の領域Eに載置される。圧電アクチュエータ基板40は、第1流路部材4に設けられた複数の加圧室10(
図7(b)参照)を加圧するために設けられており、複数の変位素子48(
図7(b)参照)を有している。なお、加圧室10を加圧する変位素子48を有する圧電アクチュエータ基板40が加圧部材であり、以下、加圧部材については、圧電アクチュエータ基板を用いて説明する。
【0026】
第1流路部材4は、内部に流路が形成されており、第2流路部材6から供給された液体を吐出孔8(
図7(b)参照)まで導いている。第1流路部材4は、第1面4−1と、第2面4−2とを有しており、第1面4−1には、吐出孔8が形成されている。また、第2面4−2には、開口20a,24aが形成されている。
【0027】
開口20aは、第2方向D2から第5方向D5に沿って配列されており、第2面4−2の第3方向D3における端部に配置されている。開口24aは、第2方向D2から第5方向D5に沿って配列されており、第2面4−2の第6方向D6における端部に配置されている。
【0028】
第2流路部材6は、内部に流路が形成されており、外部に設けられた液体タンクから供給された液体を第1流路部材4まで導いている。第2流路部材6は、第3面6−3と、第4面6−4とを有しており、第2流路部材6の第3面6−3が、第1流路部材4の第2面4−2上に載置されている。
【0029】
第2流路部材6は、破線で示す圧電アクチュエータ基板40の載置領域Eの外側にて、接着剤(不図示)を介して、第1流路部材4と接合されている。それにより、第1流路部材4と第2流路部材6とが連通している。
【0030】
図4,5に示すように、第2流路部材6は、複数の第1貫通孔6aと、貫通孔6b,6cと、第1開口6dと、開口22a,26aと、隆起部6eとを有している。隆起部6eは、隣り合う第1貫通孔6aを連結する連結部6fを有している。第1貫通孔6aは、第2方向D2から第5方向D5に延びるように隆起部6eに設けられており、圧電アクチュエータ基板40の載置領域Eよりも外側に配置されている。第1貫通孔6aには、信号伝達部材60が挿通される。
【0031】
貫通孔6bは、第2流路部材6の第2方向D2における端部に配置されており、液体タンクから第2流路部材6に液体を供給している。貫通孔6cは、第2流路部材6の第5方向D5における端部に配置されており、第2流路部材6から液体タンクに液体を回収している。第1開口6dは、第2流路部材6の第3面6−3に設けられており、第1開口6dと第1流路部材4とにより形成された空間に圧電アクチュエータ基板40が収容されている。
【0032】
開口22aは、第2流路部材6の第3面6−3に設けられており、第2方向D2から第5方向D5に向けて延びるように設けられている。開口22aは、第2流路部材6の第3方向D3における端部に形成され、第1貫通孔6aよりも第3方向D3側に設けられている。開口22aは、貫通孔6bと連通しており、開口22aが第1流路部材4により封止されることにより、第1統合流路22を形成している。
【0033】
開口26aは、第2流路部材6の第3面6−3に設けられており、第2方向D2から第5方向D5に向けて延びるように設けられている。開口26aは、第2流路部材6の第6方向D6における端部に形成され、第1貫通孔6aよりも第6方向D6側に設けられている。開口26aは、貫通孔6cと連通しており、開口26aが第1流路部材4により封止されることにより、第2統合流路26を形成している。
【0034】
第1統合流路22は、第2方向D2から第5方向D5に延びるように形成されており、第1流路部材4の開口20aに液体を供給する。第2統合流路26は、第2方向D2から第5方向D5に延びるように形成されており、第1流路部材4の開口24aから液体を回収する。
【0035】
隆起部6eは、第4面6−4から上方へ向けて突出しており、第4面6−4よりも高く配置されている。第1貫通孔6aは隆起部6eに設けられており、第1貫通孔6aが形成される面の高さが、貫通孔6b,6cが形成される第4面6−4よりも高くなっている。それにより、貫通孔6b,6cから第4面6−4上に液体が漏出した場合においても、第1貫通孔6aが隆起部6eに設けられているため、漏出した液体が、第1貫通孔6aを通じて内部に流入しにくくなる。隆起部6eは、高さが1〜5mmとすることができ、高さ1mm以上あることにより、第1貫通孔6aから液体が流入しにくくなる。
【0036】
連結部6fは、隣り合う第1貫通孔6aを連結するように設けられており、第2方向D2から第5方向D5に延びるように形成されている。連結部6fが設けられることにより、圧電アクチュエータ基板40が連結部6fにより覆われることとなり、液体が、第1開口6dに位置する圧電アクチュエータ基板40に付着しにくくなる。
【0037】
また、第1貫通孔6a同士を連結部6fが連結するため、第2流路部材6の剛性を高めることができ、第2流路部材6に変形が生じにくくなる。
【0038】
以上の構成により、第2流路部材6においては、液体タンクから貫通孔6bに供給された液体は、第1統合流路22に供給され、開口20a,22aを介して第1共通流路20に流れ込み第1流路部材4に液体が供給される。そして、第2共通流路24により回収された液体は、開口24a,26aを介して第2統合流路26に流れ込み、貫通孔6cを介して外部へ液体が回収される。
【0039】
図5〜7を用いて第1流路部材4を説明する。
【0040】
第1流路部材4は、複数のプレート4a〜4gが積層されて形成されており、第1面4−1と、第2面4−2とを有している。第2面4−2上には、圧電アクチュエータ基板40が載置されており、第1面4−1に設けられた吐出孔8から、液体が吐出される。複数のプレート4a〜4gは、金属、合金、あるいは樹脂により形成することができる。なお、第1流路部材4は、複数のプレート4a〜4gを積層せずに、樹脂により一体形成してもよい。
【0041】
第1流路部材4は、複数の第1共通流路20と、複数の第2共通流路24と、複数の個別ユニット15とが形成されており、第2面4−2に開口20a,24aが形成されている。
【0042】
第1共通流路20は、第1方向D1から第4方向D4に延びるように設けられており、開口20aと連通するように形成されている。また、第1共通流路20は、第2方向D2から第5方向D5に向けて、複数配列されている。
【0043】
第2共通流路24は、第4方向D4から第1方向D1に延びるように設けられており、開口24aと連通するように形成されている。また、第2共通流路24は、第2方向D2から第5方向D5に向けて、複数配列されており、隣り合う第1共通流路20同士の間に配置されている。そのため、第1共通流路20および第2共通流路24は、第2方向D2から第5方向D5に向けて、交互に配置されている。
【0044】
吐出ユニット15は、隣り合う第1共通流路20と第2共通流路24との間に設けられており、第1流路部材4の平面方向にマトリクス状に形成されている。第1方向D1および第4方向D4と、第2方向D2および第5方向D5とがなす角度は直角よりも大きくなっている。このため、同じ第1共通流路20に接続された吐出ユニット15は、第2方向D2にずれて配置されることとなり、吐出した液体により形成される画素で所定の範囲を埋めるように印刷ができる。
【0045】
吐出孔8を第3方向D3および第6方向D6に投影すると、仮想直線Rの範囲に32個の吐出孔8が投影され、仮想直線R内で各吐出孔8は360dpiの間隔に並ぶ。これにより、仮想直線Rに直交する方向に記録媒体Pを搬送して印刷すれば、360dpiの解像度で印刷できる。
【0046】
吐出ユニット15は、
図7に示すように、吐出孔8と、加圧室10と、第1個別流路12と、第2個別流路14とを有している。なお、液体吐出ヘッド2では、第1個別流路12から加圧室10へ液体を供給し、第2個別流路14が加圧室10から液体を回収している。
【0047】
加圧室10は、加圧室本体10aと部分流路10bとを有している。加圧室本体10aは、平面視して、円形状をなしており、加圧室本体10aの中心から下方に向けて部分流路10bが延びている。加圧室本体10aは、加圧室本体10a上に設けられた変位素子48から圧力を受けることにより、部分流路10b中の液体に圧力を加えるように構成されている。
【0048】
加圧室本体10aは、直円柱形状であり、平面形状は円形状をなしている。平面形状が円形状であることにより、変位量、および変位により生じる加圧室10の体積変化を大きくすることができる。
【0049】
部分流路10bは、直径が加圧室本体10aより小さい直円柱形状であり、平面形状は円形状である。部分流路10bは、第2面4−2から見たときに、加圧室本体10a内に納まる位置に配置されている。部分流路10bは、加圧室本体10aと吐出孔8とを接続している。
【0050】
なお、部分流路10bは、吐出孔8側に向かって断面積の小さくなる円錐形状あるいは台形円錐形状であってもよい。それにより、第1共通流路20および第2共通流路24の流路抵抗を高くすることができ、圧力損失の差を小さくできる。
【0051】
加圧室10は、第1共通流路20の両側に沿って配置されており、第1共通流路20とその両側に並んでいる加圧室10とは、第1個別流路12を介して接続されている。また、加圧室10は、第2共通流路24の両側に沿って配置されており、第2共通流路24とその両側に並んでいる加圧室10とは、第2個別流路14を介して接続されている。
【0052】
第1個別流路12は、第1共通流路20と加圧室本体10aとを接続している。第1個別流路12は、第1共通流路20の上面から上方へ向けて延びた後、第2方向D2または第5方向D5に向けて延び、加圧室本体10aの下面に接続されている。
【0053】
第2個別流路14は、第2共通流路24と部分流路10bとを接続している。第2個別流路14は、第2共通流路24の下面から第2方向D2または第5方向D5へ向けて延び、第1方向D1または第4方向D4に向けて延びた後、部分流路10bの側面に接続されている。
【0054】
以上のような構成により、第1流路部材4においては、開口20aを介して第1共通流路20に供給された液体は、第1個別流路12を介して加圧室本体10aに流れ込み、部分流路10bに供給され、一部の液体は吐出孔8から吐出される。そして、残りの液体は、部分流路10bから、第2個別流路14を介して第2共通流路24に回収され、開口24aを介して、第1流路部材4から第2流路部材6に回収される。
【0055】
第1流路部材4の上面には、変位素子48を含む圧電アクチュエータ基板40が接合されており、各変位素子48が加圧室10上に位置するように配置されている。圧電アクチュエータ基板40は、加圧室10によって形成された加圧室群と略同一の形状の領域を占有している。また、各加圧室10の開口は、第1流路部材4の第2面4−2に圧電アクチュエータ基板40が接合されることで閉塞される。
【0056】
圧電アクチュエータ基板40は、圧電体である2枚の圧電セラミック層40a,40bからなる積層構造を有している。これらの圧電セラミック層40a,40bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電セラミック層40a,40bのいずれの層も複数の加圧室10を跨ぐように延在している。
【0057】
これらの圧電セラミック層40a、40bは、例えば、強誘電性を有する、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系、NaNbO
3系、BaTiO
3系、(BiNa)NbO
3系、BiNaNb
5O
15系などのセラミックス材料からなる。なお、圧電セラミック層40bは、振動板として働いており、必ずしも圧電体である必要はなく、代わりに、圧電体でない他のセラミック層または金属板を用いてもよい。
【0058】
圧電アクチュエータ基板40には、共通電極42と、個別電極44と、接続電極46とが形成されている。共通電極42は、圧電セラミック層40aと圧電セラミック層40bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。そして、個別電極44は、圧電アクチュエータ基板40の上面における加圧室10と対向する位置に配置されている。
【0059】
圧電セラミック層40aの個別電極44と共通電極42とに挟まれている部分は、厚さ方向に分極されており、個別電極44に電圧を印加すると変位する、ユニモルフ構造の変位素子48となっている。そのため、圧電アクチュエータ基板40は、複数の変位素子48を有している。
【0060】
共通電極42は、Ag−Pd系などの金属材料により形成することができ、共通電極42の厚さは2μm程度とすることができる。共通電極42は、圧電セラミック層40a上に共通電極用表面電極(不図示)を有しており、共通電極用表面電極が、圧電セラミック層40aを貫通して形成されたビアホールを介して共通電極42と繋がっており、接地され、グランド電位に保持されている。
【0061】
個別電極44は、Au系などの金属材料により形成されており、個別電極本体44aと、引出電極44bとを有している。
図7(a)に示すように、個別電極本体44aは、平面視して、ほぼ円形状に形成されており、加圧室本体10aよりも小さく形成されている。引出電極44bは、個別電極本体44aから引き出されており、引き出された引出電極44b上に接続電極46が形成されている。
【0062】
接続電極46は、例えばガラスフリットを含む銀−パラジウムからなり、厚さが15μm程度で凸状に形成されている。接続電極46は、信号伝達部材60に設けられた電極(不図示)と電気的に接合されている。
【0063】
続いて、液体の吐出動作について、説明する。制御部76からの制御でドライバIC62などを介して、個別電極44に供給される駆動信号により、変位素子48が変位する。駆動方法としては、いわゆる引き打ち駆動を用いることができる。
【0064】
図8を用いて、第1流路部材4と第2流路部材6との接続について詳細に説明する。なお、
図8(b)においては、信号伝達部材60の図示を省略している。
【0065】
第1流路部材4と第2流路部材6とは、第1流路部材4の第2面4−2と、第2流路部材6の第3面6−3とを接合面として、エポキシ系の接着剤(不図示)により接続されている。
【0066】
第2流路部材6は、内部に第1統合流路22および第2統合流路26が形成されており、第1流路として第1統合流路22および第2統合流路26を用いて以下説明する。第1統合流路22は、隔壁22bと第1流路部材4の第2面4−2とにより形成されている。第2統合流路26は、隔壁26bと第1流路部材4の第2面4−2とにより形成されている。
【0067】
第2流路部材6の第4面6−4は、第1部位6−4aと、第2部位6−4bと、第3部位6−4cとを有している。第1部位6−4aは、第1統合流路22および第2統合流路26上に位置する部位である。第2部位6−4bは、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26b上に位置する部位である。第3部位6−4cは、第1開口6dよりも外側に位置しており、第1部位6−4aおよび第2部位6−4b以外の部位である。
【0068】
隆起部6eは、第2流路部材6の第4面6−4から上方へ向けて突出して設けられている。隆起部6eは、平面視して、第2流路部材6の第4面6−4の第2方向D2、第5方向D5、第3方向D3および第6方向D6の中心に設けられている。隆起部6eの外周7aは、平面視して、第4面6−4の外周7bよりも内側に位置している。また、第1開口6dの外周は、隆起部6eの外周7aよりも内側に位置している。
【0069】
第1流路部材4と第2流路部材6との接続方法について説明する。まず、第2流路部材6の第3面6−3に接着剤を塗布し、第1流路部材4の第2面4−2に位置合わせをしながら重ね合わせる。次に、所定の治具を用いて、第2流路部材6の第4面6−4を押圧し、第1流路部材4と第2流路部材6とを接続する。続いて、第2流路部材6を圧着しながら、所定の熱を加えて、接着剤を硬化させ、第1流路部材4と第2流路部材6とが接続される。
【0070】
ここで、第2流路部材6を第4面6−4側から押圧する際に、隆起部6eが第4面6−4から突出しているため、第1流路部材4と第2流路部材6とを接続するためには、第4面6−4および隆起部6eの上面の両面を同時に押圧する必要がある。しかしながら、第4面6−4と隆起部6eとは高さが異なっており、均一な力で押圧できない場合がある。それにより、第1流路部材4と第2流路部材6との接合面に均一な押圧力を与えられず、第1流路部材4と第2流路部材6との接合面の封止性が悪くなるおそれがある。
【0071】
これに対して、液体吐出ヘッド2は、平面視して、隆起部6eの外周7aが、第4面6−4の外周7bよりも内側に位置している。そのため、平面視して、第2流路部材6の第4面6−4が、隆起部6eを取り囲むこととなる。その結果、第4面6−4のみを押圧して、第1流路部材4と第2流路部材6とを接続することができ、第1流路部材4と第2流路部材6との接合面に均一な押圧力を与えることができる。それゆえ、第1流路部材4と第2流路部材6との封止性を向上させることができる。
【0072】
すなわち、隆起部6eを取り囲む第4面6−4のみを押圧することにより、第1流路部材4と第2流路部材6との接合面に均一な押圧力を与えることができ、第4面6−4に対応する第1流路部材4と第2流路部材6との接合面の封止性を高めることができる。
【0073】
なお、隆起部6eの外周7aとは、平面視したときの隆起部6eの外側の縁を意味しており、第4面6−4の外周7bとは、平面視したときの第4面6−4の外側の縁を意味している。
【0074】
また、第4面6−4は、第1統合流路22および第2統合流路26上に位置する第1部位6−4aが面一に形成されている。言い換えると、第4面6−4は、第1統合流路22および第2統合流路26上に位置する第1部位6−4aが平坦に形成されている。それにより、第2流路部材6を押圧する際に生じる押圧力が、第4面6−4に設けられた第1部位6−4aに均一に加わることとなる。その結果、第1部位6−4aと開口22a,26aとの間に位置する第2流路部材6に変形が生じにくくなり、第1統合流路22および第2統合流路26に変形が生じにくくなる。
【0075】
それゆえ、第1統合流路22および第2統合流路26の断面積を一定に近づけることができ、各吐出ユニット15(
図7参照)までの圧力損失を一定に近づけることができ、吐出ユニット15の吐出特性のばらつきを低減することができる。
【0076】
また、第4面6−4は、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26b上に位置する第2部位6−4bが面一に形成されている。言い換えると、第4面6−4は、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26b上に位置する第2部位6−4bが平坦に形成されている。それにより、第2部位6−4bに対応する第1流路部材4と第2流路部材6との接合面を均一な押圧力で押圧することができ、第1流路部材4と第2流路部材6との封止性を向上することができる。
【0077】
つまり、接着代となる第1流路部材4と第2流路部材6との接合面に対して、第2部位6−4bを直接押圧することにより、第1流路部材4と第2流路部材6との接合面に均一な押圧力をかけることができ、第1流路部材4と第2流路部材6との封止性を向上させることができる。
【0078】
特に、第2方向D2から第5方向D5にかけて長く形成された第2流路部材6の場合、第2方向D2から第5方向D5にかけて第2流路部材6に反り、あるいはたわみが生じる場合がある。これに対して、液体吐出ヘッド2は、第2部位6−4bが面一に形成されることにより、第2部位6−4bを強固に押圧することができ、第1流路部材4と第2流路部材6との封性を高めることができる。
【0079】
また、第2流路部材6は、第4面6−4に第1開口6dが設けられており、第1開口6dと第1流路部材4とにより形成された空間に圧電アクチュエータ基板40が収容され、第1開口6dよりも外側に位置する第4面6−4が面一に形成されている。言い換えると、第1開口6dよりも外側に位置する第4面6−4が平坦に形成されている。それにより、第1流路部材4と第2流路部材6との接合面に均一な押圧力を与えることができ、第1開口6dと第1流路部材4とにより形成された空間を封止することができる。その結果、空間に圧電アクチュエータ基板40を配置した場合に、圧電アクチュエータ基板40を封止することができ、液体吐出ヘッド2に破損が生じる可能性を低減することができる。
【0080】
なお、第4面6−4、第1部位6−4a、第2部位6−4bおよび第3部位6−4cが面一に形成されているとは、それぞれ第4面6−4、第1部位6−4a、第2部位6−4bおよび第3部位6−4cが平坦に形成されていることを示しており、平面度が0.3以下であることを示している。
【0081】
また、第2流路部材6は、隣り合う第1貫通孔6aを連結する連結部6fを有している。そのため、第1貫通孔6aを設けたことによる剛性の低下を、連結部6fにより高めることができ、第2流路部材6に変形が生じにくくなる。それゆえ、第2流路部材6の第4面6−4の平坦性を保つことができ、第1流路部材4と第2流路部材6との封止性を向上させることができる。
【0082】
さらに、連結部6fが、圧電アクチュエータ基板40の上方に配置されることにより、圧電アクチュエータ基板40が連結部6fにより覆われることとなり、第2流路部材6の上方からインク、あるいはインクミストが侵入しても、圧電アクチュエータ基板40に漏出しにくくなる。
【0083】
また、信号伝達部材60は、第1貫通孔6aを構成する隆起部6eに接触した状態で上方へ引き出されている。そのため、信号伝達部材60は、隆起部6eに導かれて上方に引き出されることとなる。その結果、信号伝達部材60を上方に引き出しやすくなり、液体吐出ヘッド2の生産性を向上させることができる。
【0084】
なお、液体吐出ヘッド2が、複数の第1貫通孔6aを有した例を示したがこれに限定されるものではない。液体吐出ヘッド2が、1つの第1貫通孔6aのみを有していてもよい。
【0085】
<第2の実施形態>
図9を用いて第2の実施形態に係る液体吐出ヘッド102について説明する。なお、同一の部材に関しては同一の符号を付している。
【0086】
液体吐出ヘッド102は、第1流路部材4と、圧電アクチュエータ基板40と、第2流路部材106と、筐体150と、放熱板152と、弾性部材9とを備えている。第2流路部材106は、第3面106−3と、第4面106−4と、第1貫通孔106aと、隆起部106eとを有している。連結部106fは、第3面106−3側に開口した第1開口106dと、第3面106−3側に開口した第2開口106gとを備えている。第2開口106gは、第1開口106dと連通して設けられている。
【0087】
連結部106fは、第3面106−3側に開口した第2開口106gを備えている。それにより、第2流路部材106の剛性を確保しつつ、第2流路部材106の軽量化を図ることができる。特に、液体吐出ヘッド102をシリアルプリンタに用いる場合に有用である。
【0088】
また、連結部106fの第1貫通孔106aと第2開口106gとの間の隔壁106fの幅が、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26bの幅と等しい。
【0089】
それにより、第2流路部材106を射出成型により作製した場合に、連結部106fの第1貫通孔106aと第2開口106gとの間の隔壁106f、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26bの樹脂充填速度を均一に近づけることができる。
【0090】
その結果、連結部106f、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26bに厚みのばらつきが生じにくくなり、変形の生じにくい第2流路部材106を供給することができる。
【0091】
なお、隔壁106f,22b,26bの厚みが等しいとは、製造誤差を含むものであり、±15%の範囲を含む概念である。
【0092】
筐体150は、第2流路部材106上に設けられており、隆起部106eよりも外側に位置する第4面106−4上に載置されている。そのため、筐体150が第4面106−4および隆起部106e上に載置される場合に比べて、液体吐出ヘッド102の高さを低くすることができ、液体吐出ヘッド102を小型化することができる。
【0093】
また、第4面106−4が面一に形成されていることにより、筐体150が安定して載置される。その結果、筐体150と第2流路部材106との接合部分に応力が集中しにくくなり、液体吐出ヘッド102の信頼性を向上させることができる。
【0094】
また、弾性部材9が、隆起部106eの外周107aに隣接して設けられており、隆起部106eの外周107aに接した状態で、外周107aを取り囲むように設けられている。そのため、筐体150を第2流路部材106に接合する際に、断熱部150dが第2流路部材106に押圧されても弾性部材9が弾性変形することにより、断熱部150dに破損が生じる可能性を低減することができる。
【0095】
さらに、弾性部材9が、隆起部106eの外周107aに接するように設けられることから、隆起部106eと筐体150との封止性を向上させることができる。弾性部材9は、例えば、樹脂材料により形成することができる。
【0096】
また、弾性部材9は、隆起部106eと、第2流路部材106の第4面106−4とに接触している。それゆえ、筐体150が、隆起部106eおよび第4面106−4に押圧されても、筐体150に破損が生じる可能性を低減することができる。
【0097】
すなわち、筐体150を第2流路部材106に接合する際、あるいは放熱板152を筐体150に接合する際に、筐体150が、隆起部106e側、あるいは第4面106−4に向けて押圧される可能性がある。しかしながら、弾性部材9が、隆起部106eと、第2流路部材106の第4面106−4とに接触していることから、筐体150に破損が生じにくい。
【0098】
また、弾性部材9は、筐体150と放熱板152との間にも設けられている。それにより、放熱板152が、隆起部106eに押圧されても破損する可能性を低減することができるとともに、筐体150の開口50a(
図2参照)の封止性を高めることができる。
【0099】
弾性部材9は、エポキシ系の樹脂を塗布、硬化して形成してもよく、樹脂あるいは金属製のオーリングを用いてもよい。
【0100】
<第3の実施形態>
図10,11を用いて第3の実施形態に係る液体吐出ヘッド202について説明する。
【0101】
第2流路部材206は、第3面206−3と、第4面206−4と、第1貫通孔206aと、隆起部206eと、連結部206fとを有している。
【0102】
連結部206fは、第3面206−3側に開口した第1開口206dと、第3面206−3側に開口した第2開口206gと、第3開口206kと、第2貫通孔206iとを備えている。第2開口206gは、第1開口206dと連通して設けられている。
【0103】
第3開口206kは、第1開口206dと連通するように設けられており、第2開口206gと離れて設けられている。第3開口206kは、平面視して、第2開口206gの第2方向D2における外側、および第5方向D5における外側にそれぞれ設けられている。
【0104】
連結部207fは、平面視して、第2開口206gの外側に第3開口206kが設けられている。言い換えると、第3開口206kは、第2開口206gの第2方向D2における外側、および第5方向D5における外側にそれぞれ設けられている。それにより、第2流路部材206を射出成型により作製する場合に、第5方向D5から第2方向D2に向けて樹脂を充填しても、多量の樹脂が連結部207fに流れにくくなる。それにより、樹脂が、第1貫通孔206aと第2開口206gとにより形成される隔壁206h、第1統合流路22の隔壁22bおよび第2統合流路26の隔壁26bに不足しにくくなる。
【0105】
つまり、第5方向D5から第2方向D2に向けて流された樹脂は、断面積の大きい連結部206fに流れやすくなるが、第3開口206kがあることにより、連結部206fの隔壁206hの断面積を、隔壁22b,26bの断面積に近づけることができ、第3開口206k近傍の樹脂充填速度を均一に近づけることができる。
【0106】
なお、第2方向D2から第5方向D5に向けて樹脂を充填した場合においても、第3開口206kが、第2開口206gの第2方向D2おける外側に設けられているため、同等の効果を奏することができる。
【0107】
また、第3開口206kは、平面視して、第2開口206gの第2方向D2における外側、および第5方向D5における外側にそれぞれ設けられていなくてもよく、第2開口206gよりも樹脂の充填する方向の上流側に設けられていればよい。
【0108】
また、平面視して、第3開口206kを構成する壁のうち、第2開口206gとは反対側に位置するに凹部206jを有している。それにより、第5方向D5から第2方向D2に向けて樹脂を充填した際に、隔壁22b,22dに比べて連結部207fに樹脂が流れやすくなり、連結部207fに樹脂不足が生じにくくなる。すなわち、隔壁22b,26bに流れ込む樹脂の量を確保しつつ、連結部207fに十分な量の樹脂を流し込むことができる。
【0109】
第2貫通孔206iは、第1開口206dと連通するように設けられており、第2開口206gおよび第3開口206kと離れて設けられている。第2貫通孔206iは、第2開口206gと第3開口206kとの間に設けられている。
【0110】
第2貫通孔206iは、第1部位206i1と、第2部位206i2とを有している。第1部位206i1は、第2流路部材206の隆起部206eから内部に向けて設けられている。第2部位206i2は、第2流路部材206の1開口206dから内部に向けて設けられている。第1部位206i1および第2部位206i2は、互いに連通するように設けられている。
【0111】
第1部位206i1は、平面視して円形状をなしている。第2部位206i2は、平面視して矩形状をなしている。平面視して、第2部位206i2は辺が交差する頂点を有しており、頂点は第2方向D2に対向するように位置している。第2部位206i2の対角線は、第1部位206i1の直径よりも長く形成されている。そのため、平面視して、第2部位206i2は、第1部位206i1よりも大きく形成されている。
【0112】
第2部位206i2には、固定部材28が収容されている。固定部材28は、例えば、ナット等を用いることができ、隆起部206e側から挿入された螺子を螺子止めしている。それにより、第2流路部材206上に設けられた部材を第2流路部材206に固定することができる。
【0113】
平面視して、第2部位206i2の頂点は、第2方向D2に対向するように位置している。そのため、第2流路部材206を射出成型により作製した場合に、供給された樹脂の流れが、第2貫通孔206iにより妨げられにくくなる。すなわち、供給された樹脂は、頂点に衝突した後、第2部位206i2の辺に沿って、第1貫通孔206aと第2開口206gとの間の隔壁206hに流れることとなる。その結果、第1貫通孔206aと第2開口206gとの間の隔壁206hに、円滑に樹脂を供給することができる。それゆえ、隔壁206hに供給される樹脂の量が不足されにくくなる。
【0114】
なお、平面視して第2部位206i2が多角形状であればよく、矩形状に限定されるものではない。例えば、六角形状であってもよい。また、第2貫通孔206iは、第1部位206i1および第2部位206i2を有さなくてもよく、多角形柱状であってもよい。
【0115】
以上、第1,2,3の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0116】
例えば、加圧部材として、アクチュエータ基板40を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、加圧室10ごとに発熱部を設け、発熱部の熱により加圧室10の内部の液体を加熱し、液体の熱膨張により加圧する加圧部材としてもよい。
【0117】
また、基体吐出ヘッド2は、第2流路部材6の貫通孔6bから液体を供給し、貫通孔6cから吐出されなかった液体を回収する構成を示したがこれに限定されるものではない。例えば、第2流路部材6の貫通孔6cから液体を供給し、貫通孔6bから吐出されなかった液体を回収する構成としてもよい。