【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、主たる請求項を特徴付ける特徴によって達成される。本発明に不可欠な他の特徴を、従属請求項および詳細な説明において見つけることができる。
【0013】
本発明により、制御された心肺蘇生のための装置であって、心停止の場合に人体の迅速かつ複雑でない蘇生を実行することができ、構造が単純であるだけでなく、きわめて場所を取らない装置が提示される。
【0014】
さらに、本発明の発明者は、これまでに知られている装置が、線形なばね特性に従うばねを有することに気が付いた。漸減のばね特性に従う装置も知られている。しかしながら、どちらの設計も、大きな始動トルクを有することがある。これは、ユーザが、ばねのたわみを開始させることができるように、過度に大きい初期圧力を加えなければならない可能性を意味する。
【0015】
したがって、本発明のさらなる目的は、始動トルクを、とくには初期において可能な限り小さく、かつ圧力およびたわみ運動の過程において徐々に大きくなるように、設定可能にすることである。
【0016】
この目的は、とりわけ、円錐形のばねを使用することで達成できる。したがって、肋骨構造が増加する圧力に徐々に適応して慣れることができるため、人体の肋骨の骨折をきわめて効果的な様相で防止することができる。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、心停止の場合の人体の制御された心肺蘇生のための装置のベースプレートにばねシステムを介して作用する外力が第1の力伝達手段へ加えられたときに明瞭に聴き取ることができる音を発生させるための複数の部品からなる装置において、外側の幾何学的寸法および形状が、胸部の付近の胸骨の身体構造特性に合わせられており、とくには、ばねシステムは、少なくとも1つの振動要素に作用する信号を発生させ、ばねシステムは、第1の力伝達手段とベースプレートとの間に配置され、実質的に少なくとも1つのばね要素および1つの平ばね要素で構成され、さらにとくには、ばね要素は円錐ばね要素である。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのばね要素は、とくにはクリック板である平ばね要素の傍らに円形の経路に沿って配置される。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、装置は、平ばね要素の傍らにそれぞれ配置された少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、とくに好ましくは少なくとも4つのばね要素を備える。本発明の文脈において、「・・・の傍らに配置される」は、平ばね要素のたわみ方向に垂直な方向のばね要素の配置であってよい。したがって、円形の経路は、好ましくは、平ばね要素のたわみ方向に垂直な平面に沿って、その平面内を延びる。複数の部品からなる装置の少なくとも1つの実施形態によれば、ばね要素の各々は、円錐ばね要素である。
【0020】
円錐ばね要素の使用により、始動トルクを、このトルクが初期においてはできるだけ小さく、かつ圧力およびたわみ運動の過程において徐々に大きくなるように、設定することが可能になる。
【0021】
したがって、肋骨構造が増加する圧力に徐々に適応して慣れることができるため、人体の肋骨の骨折をきわめて効果的な様相で防止することができる。複数の部品からなる装置の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのばね要素が、ばね要素のばね断面が力伝達手段からベースプレートの方向に円錐状に増加または減少するように、第1の力伝達手段とベースプレートとの間に円錐状に配置される。これにより、構造空間を、とくには水平方向(円形の経路が延びることができる範囲)についても、きわめて効果的に削減することができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、複数の部品からなる装置は、ただ1つの単一のばね要素を有し、半径方向において、ベースプレートに接続されたばね要素の端部が、平ばね要素を囲み、半径方向において平ばね要素に隣接する。好ましくは、このばね要素は、水平方向において、このばね要素のばね断面が平ばね要素を完全に囲むように、平ばね要素のたわみ軸に沿って配置される。したがって、好ましくは、両方のばね要素のたわみ軸が完全に重なり合い、したがって互いに平行に配置される。換言すると、ばね要素は、水平方向において平ばね要素を囲む。したがって、単一のばね要素のばね断面は、平ばね要素が単一のばね要素のばね断面へとはまり込むように、少なくともいくつかの場所において平ばね要素のばね断面よりも大きい。したがって、ベースプレートに接続された単一のばね要素の端部は、平ばね要素のばね断面よりも大きい。この文脈において、ばねのばね断面とは、たわみ方向に垂直な方向のばねの広がりを指す。したがって、単一のばね要素は、中央ばね要素を形成する。複数の部品からなる装置の少なくとも1つの実施形態によれば、さらなるばね要素であるばね要素は、外部から力伝達手段へと加えられる圧力が少なくとも部分的にばね要素を介して平ばね要素へと伝えられるように、平ばね要素と力伝達手段との間に配置される。この実施形態は、平ばね要素および単一のばね要素に加えて、少なくとも1つのさらなるばね要素を組み込むことができることを示しているが、上述の構造上の制限は存在する。
【0023】
複数の部品からなる装置の少なくとも1つの実施形態によれば、力伝達手段へと接続された単一のばね要素の端部は、この端部が半径方向においてばね要素を囲んでばね要素に隣接するような半径方向断面を有する。上述のように、中央ばね要素は、このように構成される。したがって、中央ばね要素は、単一のばね要素であることができる。
【0024】
複数の部品からなる装置の少なくとも1つの実施形態によれば、装置は、平ばね要素を通過する対称軸を半径方向に越えるさらなるばね要素を持たない。
【0025】
しかしながら、単一のばね要素に加えて、少なくとも1つのさらなるばね要素を装置に組み込むことができるが、その場合、この少なくとも1つのさらなるばね要素は、平ばね要素のたわみ軸に平行に、平ばね要素のたわみ軸上に配置され、この場合に、(単一のばね要素のように)平ばね要素を囲むことはなく、平ばね要素のたわみ軸を越えて装置内に配置されることもない。
【0026】
複数の部品からなる装置の少なくとも1つの実施形態によれば、ばね要素は、所定のたわみに一方向において達したときにクリック音が自然に発生するように、信号発生ユニットを形成し、あるいは少なくともその一部である。
【0027】
さらに、本発明は、とくには上記の装置を使用して明瞭に聴き取ることができる音を発生させるための方法に関する。したがって、本明細書に記載の装置について開示された特徴はすべて、本明細書に記載の方法についても相応に開示され、その逆も同様である。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、心停止の場合の人体の制御された心肺蘇生のための装置のベースプレートにばねシステムを介して作用する外力Kが第1の力伝達手段へと加えられたときに明瞭に聴き取ることができる音を発生させるための方法は、明瞭に聴き取ることができる信号が、調整可能な限界圧力K
maxに達したときにばねシステムの相互作用によって発生し、振動要素へと伝えられることを特徴とする。
【0029】
平たく、とくには一枚のばね要素が、機械的な力Kが加えられたときに調整可能な限界力K
maxの検出を可能にし、力Kの解放時にばね要素の元の出発位置へと自然に跳ね戻り、限界K
maxへの到達時および出発位置への復帰時の両方において、明瞭に聴き取ることができる信号が鳴り、ばね要素を支持する周囲に機械的および音響的に作用することが好都合である。
【0030】
さらに、信号発生ユニットが、少なくとも1つの振動要素が作用する少なくとも1つの湾曲部を有する任意の所与の形態の少なくとも1つのクリック板を備えることが好都合である。
【0031】
さらに、クリック板の外形が、例えば長円形、多角形、ハート形、好ましくは円形など、任意の所与の形態をとることができると好都合である。
【0032】
また、一方向の所定のたわみに達したときにクリック板がクリック音を自然に発生させると好都合である。
【0033】
さらなる利点を、第1の力伝達手段上の周辺振動リッジの配置に見て取ることができる。
【0034】
また、クリック板が、力の解放時に自動的に弾性的に跳ね戻り、第1の力伝達手段と同軸に配置されることも好都合である。
【0035】
さらに、少なくとも1つのばね要素が平ばね要素の傍らに配置されると好都合である。
【0036】
別の利点は、ベースプレートの平面の少なくとも1つの突出部と、第1の力伝達手段の内側の少なくとも1つの突起とが、互いに係合するように協働し、少なくとも1つのばね要素に所定の予荷重を持たせるという事実である。
【0037】
また、ベースプレートの少なくとも1つの突出部および第1の力伝達手段の内側の少なくとも1つの突起が、少なくとも1つの圧縮ばねを収容すると好都合である。
【0038】
好都合な実施形態を、突出部および突起が、一方では第1の力伝達手段の行程を規定し、他方では第1の力伝達手段を回転せぬように確実に固定するガイド要素として設計されることに見て取ることができる。
【0039】
また、クリック板が、クリック板の縁部の少なくとも3つの細い支持点において緩く当接すると好都合である。
【0040】
さらなる利点を、横振動リッジが、例えば、角形または弓形などのさまざまな形状を有する凹部を有するという事実に見て取ることができる。
【0041】
また、冠状表面を有する成形発泡体がベースプレートの外側に配置されると好都合である。
【0042】
また、第1の力伝達手段の上面が凹状であると好都合であり、上面は少なくとも1つの湾曲部を有することができる。
【0043】
さらに、心停止の場合の人体の制御された心肺蘇生のための装置のベースプレートにばねシステムを介して作用する外力Kが第1の力伝達手段へと加えられたときに明瞭に聴き取ることができる音を発生させるための方法は、明瞭に聴き取ることができる信号Sが、調整可能な限界圧力K
maxに達したときにばねシステムの相互作用によって発生し、振動要素へと伝えられることを特徴とすると好都合である。
【0044】
本発明に不可欠な他の特徴を、明細書および従属請求項において見つけることができる。
【0045】
以下で、本発明を、図面を参照してさらに詳しく説明する。