特許第6913170号(P6913170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6913170生体キャリーオーバーを低減するための誘導加熱システムおよび誘導加熱システムを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913170
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】生体キャリーオーバーを低減するための誘導加熱システムおよび誘導加熱システムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/06 20060101AFI20210727BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20210727BHJP
   G01N 1/44 20060101ALI20210727BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H05B6/06 361
   H05B6/10 361
   G01N1/44
   G01N1/00 101N
【請求項の数】23
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-534265(P2019-534265)
(86)(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公表番号】特表2020-503648(P2020-503648A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】US2017067890
(87)【国際公開番号】WO2018119227
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年8月20日
(31)【優先権主張番号】62/438,250
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリッチー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ソニ,パティック
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】ハウス,ダスティン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーネル,ライル
(72)【発明者】
【氏名】プリエット−バレンジー,エドナ
(72)【発明者】
【氏名】フォーサイス,キャシー
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,マイケル・ショーン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】エスポージト,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】エフィンジャー,マット
(72)【発明者】
【氏名】フューター,マイケル
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0167872(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/035804(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0026442(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/089900(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/06
G01N 1/00
G01N 1/44
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
タンク回路を含む誘導加熱器であって、タンク回路がワークコイルおよびセンスコイルを含み、センスコイルは、ワークコイルによって生成された磁場を検出し、検出に応答して信号を出力する、誘導加熱器と、
タンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱するために、タンク回路を駆動して固定周波数とタンク回路の共振周波数との間で選択的に振動させる制御器と
を備えるシステムであって、
制御器は、タンク回路を駆動して、センスコイルによって出力された信号に応答して共振周波数で振動させる、システム
【請求項2】
制御器が、被加工物の特性に基づいて、タンク回路を駆動して共振周波数で選択的に振動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ンスコイルが、ワークコイルに巻き付けられる、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
誘導加熱器に結合されるヒートシンクをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
誘導加熱器に結合される、熱伝導性材料を含むシールドをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
システムはさらに、洗浄カップを含み、ワークコイルが、洗浄カップ内に配設される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
被加工物が、誘導加熱中に流体に曝される、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
流体が、誘導加熱中に相変化を経る、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
制御器が、
誘導加熱器からの、温度データ、電流データ、または電圧データのうちの少なくとも1つにアクセスし、
温度データ、電流データ、または電圧データのうちの少なくとも1つに基づいて誘導加熱器のパフォーマンス条件を予測する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
被加工物が、第1の部分および第2の部分を含み、制御器が、第1の部分および第2の部分のためにタンク回路における加熱設定を選択的に調節する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
制御器が、第1の部分のための第1の温度プロファイルに基づいて第1の部分のために加熱設定を調節し、第2の部分のための第2の温度プロファイルに基づいて第2の部分のために加熱設定を調節する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
方法であって、
タンク回路を含む誘導加熱器に電流を提供することであって、タンク回路がワークコイルおよびセンスコイルを含み、センスコイルは、ワークコイルによって生成された磁場を検出する、電流を提供することと、
磁場の検出に応答して、センスコイルによって出力された信号を検出することと、
信号の検出に基づき、タンク回路を駆動して、固定周波数とタンク回路の共振周波数との間で選択的に振動させタンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱することと
を含む、方法。
【請求項13】
タンク回路を駆動して共振周波数で選択的に振動させることが、被加工物の特性に基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
命令を含むコンピュータ可読媒体であって、命令は、実行されると、プロセッサに、少なくとも
タンク回路を含む誘導加熱器に電流を提供させ、タンク回路がワークコイルおよびセンスコイルを含み、センスコイルは、ワークコイルによって生成された磁場を検出し、検出に応答して信号を出力し、
センスコイルにより出力された信号に応答して、タンク回路固定周波数で振動させることから、タンク回路の共振周波数振動させることに切り替えさせて、タンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱させる、
コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
命令が、実行されると、プロセッサにタンク回路を駆動させて、被加工物の特性に基づいて共振周波数で選択的に振動させる、請求項14に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
被加工物が、第1の部分および第2の部分を含み、命令が、実行されると、プロセッサに第1の部分および第2の部分のためにタンク回路における加熱設定を選択的に調節させる、請求項14に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
命令が、実行されると、プロセッサに第1の部分のための第1の温度プロファイルに基づいて、第1の部分のために加熱設定を調節させ、第2の部分のための第2の温度プロファイルに基づいて、第2の部分のために加熱設定を調節させる、請求項16に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
装置であって、
タンク回路を含む誘導加熱器であって、タンク回路が、
磁場を生成するための手段、および
磁場の検出を示す信号を出力する、磁場を検出するための手段を含む、
誘導加熱器と、
タンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱するために、磁場検出する手段によって出力された信号に基づいて、タンク回路を駆動して固定周波数と共振周波数との間で振動させるための手段と、
を備える、装置。
【請求項19】
磁場を生成するための手段または磁場を検出するための手段のうちの1つ以上の温度を検出するための手段をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
タンク回路に電流を提供するための手段をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
被加工物が、誘導加熱中に流体に曝され、被加工物への流体の流れを制御するための手段をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
センスコイルによって出力された信号を検出するための信号スケーラをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
磁場を検出するための手段が、磁場を生成するための手段を少なくとも部分的に取り囲む、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2016年12月22日に出願した米国仮特許出願第62/438,250号の優先権を主張するものである。米国出願第62/438,250号は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、医用診断器械に関し、より詳細には、生体キャリーオーバーを低減するための誘導加熱システムおよび誘導加熱システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ピペッタプローブなどの吸引および分注デバイスは、診断検査手続きの一部として生体試料(例えば、血清、尿)および/または試薬などの流体を吸引および/または分注するために自動医用診断器械と共に使用される。吸引および分注デバイスは、廃棄物および運用コストを低減するために再使用され得る。しかしながら、吸引および分注デバイスを再使用することは、生体キャリーオーバーおよび/または汚染物をそれ以降の試験に持ち込む可能性を増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】電磁誘導の概略図である。
図2】本明細書に開示される教示に従って構築される、被加工物を誘導加熱するための例となるシステムのブロック図である。
図3図2の例となるシステムの例となる誘導加熱器ステーションのブロック図である。
図4図3の例となる誘導加熱器ステーションと共に使用され得る例となる回路の概略図である。
図5図2の例となるシステムを使用して被加工物を誘導加熱するための例となる温度プロファイルを例証する図である。
図6図2の例となるシステムと共に使用され得る例となる誘導加熱コイルの斜視図である。
図7図2の例となるシステムと接続して使用するための例となる電磁誘導シールドおよび例となるヒートシンクの斜視図である。
図8図2の例となるシステムと接続して使用するための第1の例となる洗浄カップの上面図である。
図9図8の1−1線に沿って取られた例となる第1の洗浄カップの断面図である。
図10】本明細書に開示される例を実現するために使用され得る、タンク回路を固有周波数で共振させるための例となる方法のフロー図である。
図11】本明細書に開示される例を実現するために使用され得る、被加工物を誘導加熱するための例となる方法のフロー図である。
図12】本明細書に開示される例と共に使用するための例となるプロセッサプラットフォームの図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図は縮尺通りではない。むしろ、複数の層および領域を明白にするため、層の厚さは、図内では拡大される場合がある。可能な限り、同じ参照番号が、同じまたは同様の部分について言及するために、図面および付随する文による説明の全体を通して使用される。
【0006】
臨床化学分析器などの自動医用診断器械は、生体試料(例えば、血清、尿)を、イムノアッセイなど、試料に対する1つまたは複数の試験を実施することによって分析するために使用され得る。ピペッタプローブなどの吸引および分注デバイスは、例えば、試料、1つまたは複数の試薬などの器械内の流体を輸送するための自動ピペット操作システムの一部として、診断器械と共に使用され得る。例えば、吸引および分注デバイスは、流体を器械の反応槽から送達するおよび/または器械の反応槽から除去する、流体を槽間で移動させる、流体を混合するなどのために使用され得る。
【0007】
使用中、吸引および分注デバイスの内表面および/または外表面の少なくとも一部分は、吸引および分注デバイスが輸送する流体に曝される。いくつかの例において、タンパク質またはウイルス性物質などの、試料および/または試薬と関連付けられる残留物が、吸引および分注デバイスの内表面および/または外表面上に残留し得る。その結果、吸引および分注デバイスのそれ以降の使用は、試料もしくは試薬のキャリーオーバー、または試料もしくは試薬が別の試料もしくは試薬へ移ること、を結果としてもたらし得る。したがって、吸引および分注デバイスの再使用は、このデバイスのそれ以降の使用に関連して吸引および分注デバイスに曝される試料および/または試薬を汚染し得る。吸引および分注デバイスは、例えば熱を使用してデバイスを滅菌することによってキャリーオーバーおよび/または汚染物を低減することを目指して清浄され得る。
【0008】
本明細書に開示される例となるシステム、方法、および装置は、吸引および分注デバイスなどの被加工物を清浄するために電磁誘導加熱を使用する。本明細書に開示される例は、臨床化学分析器、イムノアッセイ分析器などの自動診断器械によって統合および実現され得る誘導加熱器を含む。本明細書に開示されるいくつかの例において、誘導加熱器が統合される器械は、誘導加熱器に電力を提供し、グラフィカルユーザインターフェースなどを介して誘導加熱器の1つまたは複数の設定を制御するために使用される。いくつかの開示される例において、誘導加熱器は、コイルなどの導電性媒体を含む誘導加熱回路を含む。電流が導電性媒体に提供され、導電性媒体が、電磁場を誘起する。開示される例において、被加工物は、導電性媒体に近接して配設され(例えば、コイル内の開口部に挿入される)、磁場により加熱される。開示される例において、吸引および分注デバイスを加熱することは、吸引および分注デバイスのそれ以降の使用でのキャリーオーバーおよび/または汚染物の可能性を実質的に低減するように、吸引および分注デバイス上に残留している物質の1つまたは複数の特性を実質的に除去および/または変更する。
【0009】
いくつかの開示される例において、洗浄流体は、デバイスの表面から生体および/または化学物質を洗い流すために、被加工物を誘導加熱する前、その最中、および/またはその後に被加工物に適用される。いくつかの開示される例は、洗浄流体を収集するために洗浄カップを含む。いくつかの開示される例において、導電性媒体は、洗浄カップに近接して配設され、またいくつかの例において、被加工物の誘導加熱中に洗浄流体の収集を促進するために洗浄カップの一部分に取り外し可能に固定される。
【0010】
本明細書に開示される例において、誘導加熱回路は、被加工物を加熱するための電気誘導媒体としての役割を果たすために第1のコイルを含むタンク回路を含む。いくつかの開示される例において、第2のコイルは、第1のコイルによって生成される振動磁場を感知し、タンク回路に提供される電流を、第1のコイルに既に流れている電流と同期させるために、第1のコイルに巻き付けられる。本明細書に開示される例において、第1のコイルによって生成される振動磁場に対応する信号は、第2のコイルによって動的に検出される。この信号は、タンク回路が、固定周波数ではなくその共振周波数で駆動されるように、タンク回路に提供される電流を駆動するために使用される。タンク回路をその共振周波数で駆動することが、エネルギー損失を低減し、固定周波数でタンク回路を駆動する場合と比較して増大した量の、第1のコイルによって加熱される吸引および分注デバイスへ移されるべきエネルギーを提供する。このように、開示される例は、吸引および分注デバイスの誘導加熱の効率性を改善する。タンク回路をその固有周波数で共振するように駆動することはまた、コイルおよびコンデンサなどのコンポーネントに対する製造ばらつきを補償する。タンク回路をその固有周波数で共振するように駆動することはまた、異なる直径、皮膜厚などを有する被加工物の磁場への導入に起因する、タンク回路の共振周波数における変化に対する、動的負荷ばらつきを受け入れる。
【0011】
いくつかの開示される例において、誘導加熱回路の導電性媒体(例えば、コイル)は、被加工物、洗浄流体、および導電性媒体の間の生物学的および化学的相互作用からの腐食を防ぐために、1つまたは複数の物質で被覆される。いくつかの開示される例は、電圧、電流、および周波数などの加熱器のパフォーマンスデータをモニタすることによって、誘導加熱器の1つまたは複数のコンポーネントの故障を検出および/または予測する。また、いくつかの開示される例は、コイル、およびタンク回路のコンデンサなどのコンポーネントが搭載されるプリント回路板の過熱のリスクを低減するためにヒートシンクを含む。したがって、開示される例は、誘導加熱するための安定した信頼性の高い手段、ならびに吸引および分注デバイスを提供する。
【0012】
本明細書に開示される例となるシステムは、タンク回路を含む誘導加熱器を含む。例となるシステムは、タンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱するために、タンク回路を駆動してタンク回路の共振周波数で選択的に振動させる制御器を含む。
【0013】
いくつかの例において、制御器は、被加工物の特性に基づいて、タンク回路を駆動して共振周波数で選択的に振動させる。
【0014】
いくつかの例において、制御器は、タンク回路を駆動して共振周波数と固定周波数との間で選択的に振動させる。
【0015】
いくつかの例において、タンク回路は、ワークコイルおよびセンスコイルを含む。そのような例において、センスコイルは、ワークコイルに巻き付けられる。
【0016】
いくつかの例において、制御器は、センスコイルによって生成される信号に基づいて、タンク回路を駆動して共振周波数で振動させる。
【0017】
いくつかの例において、本システムは、誘導加熱器に結合されるヒートシンクをさらに含む。
【0018】
いくつかの例において、本システムは、誘導加熱器に結合される、熱伝導性材料を含むシールドをさらに含む。
【0019】
いくつかの例において、タンク回路は、ワークコイルを含み、ワークコイルは、洗浄カップ内に配設される。いくつかのそのような例において、被加工物は、誘導加熱中に流体に曝される。いくつかのそのような例において、流体は、誘導加熱中に相変化を経る。
【0020】
いくつかの例において、制御器は、誘導加熱器からの温度データ、電流データ、または電圧データのうちの少なくとも1つにアクセスする。そのような例において、制御器は、データに基づいて誘導加熱器のパフォーマンス条件を予測する。
【0021】
いくつかの例において、被加工物は、第1の部分および第2の部分を含む。そのような例において、制御器は、第1の部分および第2の部分のためにタンク回路における加熱設定を選択的に調節する。いくつかのそのような例において、第1の部分のための第1の温度プロファイルに基づいて、第1の部分のために加熱設定を調節し、第2の部分のための第2の温度プロファイルに基づいて、第2の部分のために加熱設定を調節する。
【0022】
本明細書に開示される例となる方法は、プロセッサを用いて命令を実行することにより、タンク回路を含む誘導加熱器に電流を提供することを含む。例となる方法は、プロセッサを用いて命令を実行することにより、タンク回路を駆動してタンク回路の共振周波数で選択的に振動させることを含む。例となる方法は、タンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱することを含む。
【0023】
いくつかの例において、タンク回路を駆動して共振周波数で選択的に振動させることは、被加工物の特性に基づく。
【0024】
本明細書に開示される例となる有形コンピュータ可読媒体は、実行されると、プロセッサに、少なくとも、タンク回路を含む誘導加熱器に電流を提供させる命令を含む。命令は、プロセッサに、タンク回路を駆動させて、タンク回路の共振周波数で選択的に振動させ、タンク回路に近接して配設される被加工物を誘導加熱させる。
【0025】
いくつかの例において、命令は、実行されると、プロセッサに、さらに、被加工物の特性に基づいて、タンク回路を駆動させて、共振周波数で選択的に振動させる。
【0026】
いくつかの例において、命令は、実行されると、プロセッサに、さらに、タンク回路を駆動させて、共振周波数と固定周波数との間で選択的に振動させる。
【0027】
いくつかの例において、被加工物は、第1の部分および第2の部分を含み、命令は、実行されると、プロセッサに、さらに、第1の部分および第2の部分のためにタンク回路における加熱設定を選択的に調節させる。
【0028】
いくつかの例において、命令は、実行されると、プロセッサに、さらに、第1の部分のための第1の温度プロファイルに基づいて、第1の部分のために加熱設定を調節させ、第2の部分のための第2の温度プロファイルに基づいて、第2の部分のために加熱設定を調節させる。
【0029】
これより図に移ると、図1は、電磁誘導の概略図である。図1に示されるように、加熱されるべき被加工物100(例えば、吸引および分注デバイス)の少なくとも一部分は、例えばコイル102などの導電性媒体内に取り外し可能に配設される。図1の例において、被加工物100は、金属を含む。交流が、コイル102に(例えば、電流源から)提供され、図1の矢印104によって表されるようにコイル102を通って流れる。コイル102を通って流れる交流は、コイル102周辺のエリア内の磁場106を誘起する。磁場106は、図1の矢印108によって表されるように、被加工物100に渦電流を誘起する。渦電流は、被加工物100とコイル102との直接接触なしに被加工物100の温度を上昇させる局所的熱を発生させる。被加工物100が吸引および分注デバイスである例において、熱は、被加工物100の内表面および/または外表面上の1つまたは複数の物質(例えば、残留生物学的物質)の特性に影響を及ぼし、この物質が除去または変更されること、および被加工物100が清浄されることを可能にする。
【0030】
図2は、誘導加熱により生体キャリーオーバーを低減するための例となるシステム200のブロック図である。例となるシステム200は、診断器械202を含む。診断器械202は、例えば、臨床化学分析器、イムノアッセイ分析器などであり得る。例となる診断器械202は、試験試料を操作すること、試験試料の読み出しを実施すること、反応槽を位置決めすること、流体を、反応槽に送達することおよび/または反応槽から除去することなど、器械202によって実施される1つまたは複数の機能を制御するためにプロセッサ204を含む。例となる診断器械202は、電源206を含む。電源206は、例えば、バッテリ、電気コンセントなどを含み得る。例となる診断器械202は、ディスプレイ208を含む。ディスプレイ208は、1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)209を診断器械202のユーザに提示して、例えば、GUI209を介してユーザ入力を受信すること、GUI209を介して分析結果を表示することなどができる。診断器械202は、試料を分析することに関して診断器械202によって実施される1つまたは複数の機能のタイミング制御を、モニタする、トリガする、またはより一般的には提供するためにタイマー211を含み得る。
【0031】
図2の例となるシステム200において、診断器械202は、誘導加熱器制御ステーション210を含む。例となる誘導加熱器制御ステーション210は、図1に関連して実質的に開示されるような誘導加熱により被加工物214(例えば、図1の被加工物100)を清浄または滅菌するために誘導加熱器212を含む。被加工物214は、生体試料を輸送すること、試薬を送達することなどの、診断器械202によって実施される実験および/または分析に関する1つまたは複数の機能を実施するために使用され得る吸引および分注デバイスを含み得る。診断器械202との被加工物214の使用の結果、被加工物214は、被加工物214の1つまたは複数の表面上に生体および/または化学物質残留物を含み得るため、被加工物214の再使用は、他の試料および/または試薬を汚染する可能性がある。
【0032】
被加工物214は、例えば、皮膜厚、直径、断面形状、材料などに関して異なる特性215を有する1つまたは複数の部分を含み得る。被加工物214の特性215は、磁場により被加工物214を加熱することに関して、被加工物214の磁気特性に影響を及ぼし得る。例えば、図2に例証されるように、被加工物214は、第1の直径を有する第1の部分217、および第1の直径より小さい第2の直径を有する第2の部分219を含み得る。いくつかの例において、被加工物214は、被加工物214の第1の部分217および第2の部分219を選択的に加熱および清浄するように、例えば診断器械202のロボットアーム221により、誘導加熱器212に対して移動される。被加工物214は、追加の部分、または図2に例証されるものより少ない部分を含み得る。いくつかの例において、被加工物214は、被加工物の部分217、219によって規定され、それらを通って延びる開口部を含むプローブである。
【0033】
図2の例において、誘導加熱器212は、洗浄カップ216に近接して配設される。いくつかの例において、誘導加熱器212は、洗浄カップ216に結合される。例えば、誘導加熱器212は、洗浄カップ216の内部に結合され得る。図2の例において、被加工物214の少なくとも一部分は、洗浄カップ216内に配設される。いくつかの例において、被加工物214は、誘導加熱器212により加熱される前、最中、および/または後に、流体218(例えば、液体)で洗い流される。洗浄カップ216は、流体218を収集する。
【0034】
図2の例となる誘導加熱器制御ステーション210は、電力駆動ユニット220を含む。図2の例において、診断器械202の電源206は、図2の矢印222によって表されるように、電力を(例えば、直流(DC)の形態で)電力駆動ユニット220に提供する。電源206から電力駆動ユニット220によって受け取られる電力は、図2の矢印224によって表されるように、駆動信号により誘導加熱器212を駆動するために使用される。いくつかの例において、電力駆動ユニット220は、電源206から受け取られるDCを1つの電圧レベルから別の電圧レベルへと変換するためにDC−DC変換器を含む。
【0035】
図2の例となる誘導加熱器制御ステーション210は、誘導加熱器制御器226を含む。誘導加熱器制御器226は、誘導加熱器212および/または電力駆動ユニット220に対して1つまたは複数の制御機能を実施するためにプロセッサ227を含む。例えば、誘導加熱器制御器226は、誘導加熱器212をアクティブ化および/または非アクティブ化するために1つまたは複数の命令を生成し、誘導加熱器212および/または誘導加熱器制御ステーション210の他のコンポーネント(例えば、電力駆動ユニット220)の状態および/またはパフォーマンスをモニタする。電力駆動ユニット220は、図2の矢印228によって表されるように、誘導加熱器制御器226に電力を提供する。
【0036】
図2の例となるシステム200において、誘導加熱器制御器226は、診断器械202のプロセッサ204と通信可能に結合される。誘導加熱器制御器226は、図2の矢印230によって表されるように、誘導加熱器制御器226と診断器械202のプロセッサ204との間のデータの伝送を促進するためにシリアル通信ポートを含む。例えば、診断器械202のGUI209を介して受信される1つまたは複数のユーザコマンドは、シリアル通信ポート230を介して誘導加熱器制御器226に伝送され得る。また、誘導加熱器制御器226は、シリアル通信ポート230を介して、例えば、誘導加熱器212をモニタすることにより生成されるパフォーマンスデータを診断器械202に伝送し得る。別の例として、診断器械202のタイマー211は、誘導加熱器212のアクティブ化および非アクティブ化などの1つまたは複数の誘導加熱イベントのためのタイミング制御を提供するためにトリガ信号232を誘導加熱器制御器226に伝送する。
【0037】
上に説明されるように電力駆動ユニット220から電力を受け取ることに加えて、図2の例となる誘導加熱器制御器226は、電力駆動ユニット220と通信可能に結合される。例となる誘導加熱器制御器226は、例えば、誘導加熱器212のアクティブ化、被加工物214を加熱する温度等に関して、1つまたは複数の命令234を電力駆動ユニット220に提供する。例となる電力駆動ユニット220は、誘導加熱器制御器226から受信される命令234に基づいて誘導加熱器212を駆動するために駆動信号224を生成する。
【0038】
例となる誘導加熱器制御器226はまた、例えば、誘導加熱器212のパフォーマンスに関して、電力駆動ユニット220からデータを受信する。図2の例において、電力駆動ユニット220は、誘導加熱器212の状態236などのデータを通信し、誘導加熱器212等における電流および/または電圧などに関するデータをモニタする。電力駆動ユニット220から受信されるデータに基づいて、誘導加熱器制御器226は、例えば、誘導加熱器制御ステーション210のpresent/ready状態信号240、電力駆動ユニット220および/もしくは誘導加熱器212などの誘導加熱器制御ステーション210の1つまたは複数のコンポーネントのパフォーマンス状態に関するpass/fail状態信号242、ならびに/または診断器械202により誘導加熱器制御ステーション210を制御するために使用され得るデータを含む他の信号を通信することができる。
【0039】
以下に開示されるように、いくつかの例において、誘導加熱器制御器226は、例えば、誘導加熱器212の回路が振動している周波数に関して、誘導加熱器212からフィードバック244を受信する。いくつかの例において、誘導加熱器制御器226は、電力駆動ユニット220および/または誘導加熱器212からアナログフィードバック信号を受信する。誘導加熱器制御器226は、誘導加熱器制御器226、および/または診断器械202のプロセッサ204による分析のために、アナログ信号をデジタルデータに変換する(例えば、プロセッサ227を介して)。
【0040】
図2の例となるシステム200は、被加工物214を清浄するために使用される流体218の流れを制御するためにポンプ246を含み得る。ポンプの動作は、例えば、誘導加熱器制御器227のプロセッサ227から受信される命令234に基づいて、電力駆動ユニット220によって制御され得る。他の例において、ポンプ246は、診断器械202のプロセッサ204によって制御される。命令は、例えば、ポンプ216が流体218をポンピングする速度を制御することができる。
【0041】
図3は、図2の例となる誘導加熱器制御ステーション210のブロック図である。例となる誘導加熱器制御ステーション210は、加熱器基板300(例えば、プリント回路板)を含み、加熱器基板300はそこに結合される1つまたは複数の電気コンポーネント(例えば、回路)を含む。図3の例となる加熱器基板300は、誘導加熱器制御器226に動作可能に結合される。
【0042】
いくつかの例において、加熱器基板300は、電力駆動ユニット220を含む(例えば、電力駆動ユニット220は、加熱器基板300に機械的および電気的に結合される)。他の例において、電力駆動ユニット220は、加熱器基板300とは別個であるが、それに動作可能に結合される。上に開示されたように、電力駆動ユニット220は、図2の診断器械202の電源206から電力を受け取る。電力駆動ユニット220は、例えば、誘導加熱器制御器226、加熱器基板300の他のコンポーネントなどに電力を送達する。
【0043】
図3の例となる加熱器基板300は、誘導加熱器212に動作可能に結合される。図3の例となる誘導加熱器212は、タンク回路基板302(例えば、プリント回路板)を含む。いくつかの例において、タンク回路基板302および加熱器基板300は、単一の基板を形成する。他の例において、加熱器基板300およびタンク回路基板302は別個の基板である。
【0044】
図3の例となるタンク回路基板302は、コンデンサ306およびインダクタまたはワークコイル308(例えば、図1のコイル102)によって形成されるタンク回路304(例えば、インダクタンス−キャパシタンスまたはLC回路)を含む。ワークコイル308は、金属などの導電性材料を含む。例となる電力駆動ユニット220は、タンク回路304に電流310を提供する、および/またはタンク回路304において電圧を生成する。いくつかの例において、電力駆動ユニット220は、例えば、遮蔽ケーブルまたは同軸ケーブルを介して、タンク回路304に電流310を提供する。図1に関して上に開示されたように、電流310がワークコイル308を通って流れると、磁場(例えば、図1の磁場106)がワークコイル308によって生成される。磁場は、図2の被加工物214を、被加工物214がワークコイル308に近接して配設される(例えば、ワークコイル308の開口部内に少なくとも部分的に配設される)とき、加熱するために使用され得る。
【0045】
図3の例となるタンク回路基板302は、センスコイル312を含む。図2および図3の例となる誘導加熱器212において、センスコイル312は、ワークコイル308に巻き付けられる。例となるセンスコイル312は、ワークコイル308によって生成される磁場を検出または感知する。センスコイル312は、加熱器基板300に伝送される1つまたは複数の感知信号314を生成する。下に開示されるように、センスコイル312によって生成される感知信号314は、タンク回路304を共振周波数で駆動するために加熱器基板300の周波数制御回路316によって検出される。
【0046】
例となるタンク回路基板302は、コイル温度センサ318を含む。コイル温度センサ318は、例えば、ワークコイル308による磁場の生成中の、ワークコイル308および/またはセンスコイル312の温度を検出する。コイル温度センサ318は、コイル温度データ320を例となる加熱器基板300の温度モニタ322に送信する。いくつかの例において、温度モニタ322はまた、例えば、加熱器基板300に結合される1つまたは複数の温度センサに基づいた、加熱器基板300および/または基板の1つもしくは複数の電気コンポーネントの温度に関する温度データを収集する。温度モニタ322は、ワークコイル308、センスコイル312、加熱器基板300などの温度に関する加熱器温度データ323を誘導加熱器制御器226に送信する。
【0047】
図3の例となる加熱器基板300はまた、電流モニタ324を含む。電流モニタ324は、電流の量、電流の周波数など、タンク回路304に提供されている電流310に関するデータを生成する。例えば、電流モニタ324は、過電流、またはタンク回路304によって受け取られるべきしきい値電流を超える電流を検出することができる。電流モニタ324は、誘導加熱器212における電流の変化を検出することができる。電流モニタ324は、その検出に基づいて1つまたは複数の電流信号325を生成し、この電流信号325を誘導加熱器制御器226に伝送する。
【0048】
図3の例となる加熱器基板300は、電圧モニタ326を含む。電圧モニタ326は、タンク回路304内の電圧に関するデータを生成する。いくつかの例において、電圧モニタ326は、過電圧、またはタンク回路304のしきい値限度を超えるタンク回路304内の電圧を検出する。電圧モニタ326は、タンク回路304から(例えば、電圧計により)得られる電圧測定値に基づいて、電圧を検出することができる。電圧モニタ326はまた、誘導加熱器212における電圧の変化を検出することができる。電圧モニタ326は、その検出に基づいて1つまたは複数の電圧信号327を生成し、この電圧信号327を誘導加熱器制御器226に伝送する。
【0049】
上に開示されたように、例となる加熱器基板300は、周波数制御回路316を含む。周波数制御回路316は、タンク回路304の振動に関してセンスコイル312によって生成される感知信号314に基づいて、1つまたは複数のセンスコイル検出信号328を図3の例となる誘導加熱器制御器226に送信する。例となる加熱器基板300はまた、固定周波数クロック330を含む。下に開示されるように、周波数制御回路316は、感知信号314に基づいて、選択的に、固定周波数クロック330が1つまたは複数の固定周波数信号を生成することを可能にするか、または固定周波数クロック330をディセーブルにする。固定周波数クロック330によって生成される固定周波数信号は、タンク回路304内の電流310を固定周波数で振動させる。
【0050】
このように、例となる誘導加熱器制御器226は、例となる加熱器基板300の回路から1つまたは複数の信号323、325、327、328を受信する。誘導加熱器制御器226は、例えば、データをアナログからデジタルに変換すること、データをフィルタリングすること、データからノイズを除去することなどによって、データ323、325、327、328を処理する。図3の例となる誘導加熱器制御器226は、加熱器基板300から受信されるデータを分析して、誘導加熱器212の動作に関する1つまたは複数の命令を生成し、および/またはGUI209を介したユーザへの表示のためにデータを図2の診断器械202に伝送する。本明細書に開示される図3の例となる誘導加熱器制御器226の機能のいずれかは、誘導加熱器制御器226と関連付けられたプロセッサ227によって実施され得る。
【0051】
図3の例となる誘導加熱器制御器226は、ドライブマネージャ332を含む。ドライブマネージャ332は、電力駆動ユニット220に伝送される命令234を生成し、この命令234は、電力駆動ユニット220に、例えば、タンク回路304に提供される電流310および/またはタンク回路304において生成される電圧を生成させる。ドライブマネージャ332によって生成される命令234は、例えば、タンク回路304に提供されるべき電流310の量および/またはタンク回路304において生成されるべき電圧、電流310が提供されるべき持続時間などを含む。いくつかの例において、ドライブマネージャ332は、誘導加熱器制御器226のデータベース336に格納された参照データ334に基づいて命令234を生成する。参照データ334は、例えば、タンク回路304の電流しきい値および/または電圧しきい値、ワークコイル308および/またはセンスコイル312のそれぞれのインダクタンス、コンデンサ306のキャパシタンスなどに関するデータを含みうる。
【0052】
図3の例となる誘導加熱器制御器226は、周波数マネージャ338を含む。周波数マネージャ338は、周波数制御回路316によって生成されるセンスコイル検出信号328を処理する。いくつかの例において、周波数マネージャ338は、以下に開示されるように、タンク回路304を共振周波数または固定周波数で選択的に振動させるために、周波数制御回路316および/または固定周波数クロック330の動作に関する1つまたは複数の周波数命令339を生成する。
【0053】
図3の例となる誘導加熱器制御器226は、パフォーマンスマネージャ340を含む。電流モニタ324および/または電圧モニタ326は、例えば、誘導加熱器212における(例えば、タンク回路304における)電流および/または電圧の変化を示す、それぞれの電流信号325および/または電圧信号327をパフォーマンスマネージャ340に送信する。例となるパフォーマンスマネージャ340は、例えば、電流および/または電圧のモニタリングに基づいて、電力駆動ユニットのための1つまたは複数の命令を生成する。
【0054】
いくつかの例において、誘導加熱器212において検出される電圧および/または電流の変化は、誘導加熱器212に導入される図2の被加工物214の特性215のうちの1つまたは複数に基づく。例えば、図2の被加工物214は、第1の部分217、および第1の部分217の直径第1の直径よりも小さい直径を有する第2の部分219を含む。いくつかの例において、第1の部分217の被膜の厚さは、第2の部分219の厚さよりも大きい。上に開示されたように、被加工物214の第1および第2の部分217、219は、ワークコイル308内の電流310によって生成される磁場の加熱のために、ワークコイル308に近接して選択的に配設され得る。ワークコイル308に対する第1の部分217および/または第2の部分219の存在は、ワークコイル308に対する負荷に影響を及ぼし得る。
【0055】
いくつかの例において、図3の電流モニタ324は、第1の部分217がワークコイル308に近接して配設されるときと比較して、より薄い皮膜を有する第2の部分219がワークコイル308に近接して配設されるときに、タンク回路304における電流の変化を検出する。例えば、電流モニタ324は、第1の部分217がワークコイル308に近接して配設されるときと比較して、第2の部分219がワークコイル308に近接しているとき、タンク回路304における電流310が低下したことを検出し得る。電流モニタ324は、誘導加熱器212における電流の変化(例えば、低下した電流)に関して電流信号325を生成する。いくつかの例において、電圧モニタ326は、ワークコイル308に近接する第1の部分217または第2の部分219の存在に起因する、ワークコイル308における負荷変化に基づいて、タンク回路304における電圧の変化を検出する。電圧モニタ326は、誘導加熱器212において検出される電圧の変化に関して電圧信号327を生成する。
【0056】
誘導加熱器制御器226のパフォーマンスマネージャ340は、図3の例となる誘導加熱器制御器226のデータベース336に格納された被加工物214のための温度プロファイル342に関連して電流信号325および/または電圧信号327を分析する。温度プロファイル342は、例えば、被加工物214を清浄または滅菌するために被加工物214の長さにわたって被加工物214を加熱するための最低温度に関する規定のデータ(例えば、1つまたは複数のユーザ入力により誘導加熱器制御器226のプロセッサ227に提供される)を含む。温度プロファイル342は、誘導加熱器212によって加熱される被加工物214の1つまたは複数の部分217、219(例えば、負荷)に関連して誘導加熱器212に提供されるべき電力に関して経時的な電力設定を決定するために、パフォーマンスマネージャ340によって使用される。
【0057】
温度プロファイル342は、例えば、被加工物214の特性215に関する知られているデータ、および特性215に基づいた磁場に対する被加工物214の反応に基づき得る。被加工物214の特性215は、被加工物214の異なる部分217、219における、例えば、皮膜厚、直径などの差に基づいた、誘導加熱器212における負荷インピーダンス変動を、結果としてもたらす。パフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342を使用して、経時的に誘導加熱器212に対する被加工物214の各位置において被加工物214を加熱するために被加工物214に送達される電力を制御する。
【0058】
いくつかの例において、温度プロファイル342は、被加工物214の1つまたは複数の部分217、219が経時的に加熱されることになる温度に関する時間ベースのプロファイルである。いくつかの例において、温度プロファイル342は、被加工物214および/または1つもしくは複数の他の被加工物の加熱中に以前に収集されたデータ(例えば、較正または参照データ)に基づいて、誘導加熱器制御器226のパフォーマンスマネージャ340によって生成される。いくつかの例において、温度プロファイル342は、例えば、誘導加熱器212における被加工物214の位置に関連して経時的にタンク回路304において生成されるべき電圧に関する、診断器械202のGUI209を介して受信される1つまたは複数のユーザ入力に基づく。いくつかの例において、温度プロファイル342は、経時的に被加工物214の第1の部分217および/または第2の部分219を加熱するための最適温度を表す。
【0059】
図3の例となるパフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342に基づいて命令234を電力駆動ユニット220に提供するようにドライブマネージャ332に指示する。いくつかの例において、パフォーマンスマネージャ340は、誘導加熱器212内の被加工物214の開始位置(例えば、第1の部分217または第2の部分219のどちらが最初に加熱されることになるか)に関連した被加工物214の加熱の開始時間に基づいて、電力駆動ユニット220に送信されるべき命令234を決定する。いくつかの例において、パフォーマンスマネージャ340は、例えば、ロボットアーム221の移動および/もしくは位置に関する診断器械202のプロセッサ204からのデータ、ならびに/または他の位置的データ(例えば、位置データ)に基づいて、ワークコイル308に対する被加工物214の位置を決定する。パフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342に反映されるような誘導加熱器212に対する被加工物214の予期される位置に基づいて、電力駆動ユニット220に送信されるべき追加の命令234を決定する。
【0060】
パフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342を使用して、誘導加熱器212における被加工物214の加熱中の異なる時間において、誘導加熱器212に提供されるべき電流および/もしくは電力、ならびに/または誘導加熱器212において生成されるべき電圧を決定する。いくつかの例において、図3のパフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342に関連した誘導加熱器212における電流および/または電圧の変化を示す電流信号325および/または電圧信号327を分析する。分析に基づいて、例となるパフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342と関連付けられた異なる加熱設定のための誘導加熱器212における電流、電圧、および/または電力に関する、電力駆動ユニット220のための命令234を生成する。
【0061】
例えば、電流信号327に基づいて、パフォーマンスマネージャ340は、例えば、被加工物214の第1の部分217と比較して、より薄い皮膜を有する被加工物214の第2の部分219がワークコイル308に近接して配設されることに起因するタンク回路304における電流の低下を検出することができる。パフォーマンスマネージャ340は、被加工物214のより薄い皮膜に起因して(例えば、被加工物214のより厚い部分217よりも低い効率性で加熱する被加工物のより薄い部分219に起因して)、第1の部分217と比較してより高い温度が第2の部分219を加熱するために必要とされることを決定するために、温度プロファイル342を分析する。例となるパフォーマンスマネージャ340は、被加工物214の第1の部分217と比較して、第2の部分219がワーク308に近接して配設されるときにタンク回路304に提供される電流310を増大させるために、電力駆動ユニット220のための命令234を生成する。
【0062】
いくつかの例において、電力駆動ユニット220のDC−DC変換器は、誘導加熱器212において電圧を生成するための電源としての役割を果たす。そのような例において、温度プロファイル342は、電圧値を含む。電力駆動ユニット220に送信される命令234は、温度プロファイル342に基づいて特定の時間間隔で生成されるべき電圧を含む。そのような例において、所与の加熱設定(例えば、電圧)では、第1の部分217と第2の部分219との間での被加工物214の移動(例えば、図2のロボットアーム221による)の結果として、タンク回路304における負荷インピーダンスが変化するとき、電力は変化する。
【0063】
他の例において、温度プロファイル342は、異なる時間における所望の電力出力値(例えば、ワット数)を表す電力値を含む。そのような例において、パフォーマンスマネージャ340は、電流モニタ324からの電流データ325および電圧モニタ326からの電圧データ327に基づいて電力を計算する。パフォーマンスマネージャ340は、所望の出力電力を得るためにDC−DC変換器によって提供される出力電圧を調節する。そのような例において、所与の加熱設定(例えば、ワット数)では、第1の部分217と第2の部分219との間での被加工物214の移動(例えば、図2のロボットアーム221による)の結果として、負荷インピーダンスが変化するとき、電力は実質的に一定である。
【0064】
他の例において、電力駆動ユニット220は、固定電圧源を含む。そのような例において、出力電圧は、電力駆動ユニット220のFETゲート信号のデューティサイクルによって調節される。
【0065】
このように、図3の例となるパフォーマンスマネージャ340は、タンク回路304における電流および/または電圧の動的調節、ならびに、その結果として被加工物214を加熱するために被加工物214に提供される電力の動的調節を提供する。パフォーマンスマネージャ340は、電流モニタ324による電流および/または電圧モニタ326による電圧のモニタリングに基づいて、被加工物214の特性215および誘導加熱器212に対する被加工物214の位置に起因する負荷インピーダンス変動を考慮に入れる。例となるパフォーマンスマネージャ340は、温度プロファイル342を使用して、加熱されるべき被加工物214の異なる部分217、219から生じる動的負荷ばらつきに応答する。電力駆動ユニット220を介して実現される電流、電圧、および/または電力調節は、被加工物214を効率的に加熱するために異なる部分217、219における被加工物214の異なる特性215を考慮して、誘導加熱器212のパフォーマンスを実質的に向上させる。
【0066】
図3の例となる誘導加熱器制御器226はまた、故障モニタ344を含む。故障モニタ344は、例えば、加熱器基板300の1つもしくは複数のコンポーネント(例えば、周波数制御回路316)および/または誘導加熱器212の潜在的な過熱に関して温度モニタ322によって生成される温度データ323を分析する。故障モニタ344は、例えば、タンク回路304に提供されている電流310の量または周波数に基づいて、誘導加熱器212に損傷を与える可能性のある過電流および/または過電圧に関する電流信号325および/または電圧信号327を分析する。
【0067】
温度、電流、および/または電圧データ323、325、327の分析に基づいて、故障モニタ344は、誘導加熱器制御ステーション210のコンポーネントのうちの1つまたは複数が、正常に働かないおよび/または故障する(例えば、過熱、短絡)見込みがあるかどうかを予測する。故障モニタ344は、誘導加熱器制御器226のデータベース336に格納された参照データ334に基づいて、例えば、誘導加熱器212に関してパフォーマンス状態を予測することができる。例えば、故障モニタ344は、データベース336に格納された、タンク回路304の既定の電流しきい値に基づいて過電流を検出することができる。
【0068】
故障モニタ344が、誘導加熱器制御ステーション210の1つまたは複数のコンポーネントが正常に働いていないおよび/もしくは機能していないことを決定する場合、ならびに/または、故障モニタ344が、1つまたは複数のコンポーネントが故障する見込みがあることを予測する場合、故障モニタ344は、1つまたは複数の故障命令346を生成する。故障命令346は、例えば、問題のあるコンポーネントがシャットダウンするための命令、他のコンポーネントが問題のあるコンポーネントに取って代わるための命令などを含み得る。いくつかの例において、電力駆動ユニット220に送信される命令234は、タンク回路304への電流の送達を低減および/または停止することにより、例えばタンク回路304における過電流および/または過電圧に起因する潜在的な故障に対処するための命令を含む。いくつかの例において、故障モニタ344は、加熱器基板300および/またはタンク回路基板302のパフォーマンス追跡に関する履歴データをデータベース336に格納する。履歴データは、コンポーネント故障を予測するために故障モニタ344によって使用され得る。
【0069】
故障モニタ344はまた、誘導加熱器制御ステーション210のパフォーマンスデータの分析に基づいて、診断器械202のプロセッサ204に伝送されるpresent/ready状態信号240および/またはpass/fail状態信号242(図2に示されるように)を更新することができる。例えば、故障モニタ344が誘導加熱器212でのエラーを検出すると、故障モニタ344は、誘導加熱器212のエラー状態を示すためにpass/fail状態信号242を更新することができる。故障モニタ344は、将来の故障を示し得る経時的なパフォーマンスの変化を示す故障および/または履歴データに関して、例えば、診断器械202のGUI209を介した表示のための他の警告を生成することができる。
【0070】
図3の例となる誘導加熱器制御器226は、命令234、339、346のうちの1つまたは複数を加熱器基板300に伝送するために通信機348を含む。通信機348はまた、present/ready状態信号240および/またはpass/fail状態信号242を診断器械202のプロセッサ204に伝送することができる。
【0071】
図4は、図3の例となる誘導加熱器制御ステーション210の例となる周波数制御回路316、固定周波数クロック330、およびタンク回路304の図である。図3に関して上に開示されたように、タンク回路304は、コンデンサ306およびワークコイルまたはインダクタ308を含む。タンク回路304は、コンデンサ306とワークコイル308との間の振動電流を介してエネルギーを蓄える。電流の振動は、タンク回路304内にエネルギー損失をもたらし得る。例えば、エネルギーは、ワークコイル308の抵抗、コンデンサ306の共振、およびタンク回路基板302に起因して損失され得る。エネルギーはまた、被加工物214がワークコイル308によって生成される磁場によって加熱される結果として損失され得る。図2から図4の誘導加熱器制御ステーション210の例において、エネルギーは、タンク回路304内で既に循環している電流と同期される交流の形態でタンク回路304に提供される。
【0072】
図4の例において、タンク回路304における被加工物214の導入は、ワークコイル308の実効インダクタンスを変化させる。また、(例えば、異なる部分217、219における)密度および/または形状などの被加工物214の特性215の変動もまた、ワークコイル308の実効インダクタンスの変化を引き起こし得る。ワークコイル308の実効インダクタンスの変化は、タンク回路304の共振周波数、または最も少ないエネルギー損失で、タンク回路304内で電流が振動する周波数に影響を及ぼす。図4の例において、タンク回路内に注入される交流は、ワークコイル308における変化する実効インダクタンスに基づいて変動する周波数を有し、タンク回路304内に導入される電流のタンク回路304内で既に循環している電流との同期に関する効率性を最大限にする。そのような周波数調節は、タンク回路304がその共振周波数で振動することを可能にし、被加工物214の導入および/または操作に起因する、タンク回路304における負荷変動への動的応答を提供する。
【0073】
上に開示されたように、タンク回路304は、ワークコイル308に近接して配設される(例えば、巻き付けられる)センスコイル312を含む。センスコイル312は、ワークコイル308によって生成される磁場(例えば、図1の磁場106)を感知し、感知信号314を生成する。感知信号314は、タンク回路に注入される交流310をタンク回路304内に既に流れている電流401と同期させるために使用される。
【0074】
例えば、加熱サイクルの始まりにおいて(例えば、被加工物214がワークコイル308に近接して配設されるとき)、可変DC電源400(例えば、電力駆動ユニット220の)は、例えば、図3の誘導加熱器制御器226からの命令234によってイネーブルにされる。可変DC電源400は、誘導加熱器制御器226のドライブマネージャ332によって低電力レベルに設定される。可変DC電源400の低電力レベル設定は、タンク回路304がその共振周波数である場合とそうでない場合とがある周波数で振動しているとき、タンク回路304の振動を制限し、それによりエネルギー損失を制限する。他の例において、可変DC電源の電力レベルは調節可能ではない。
【0075】
図4の例において、固定周波数クロック330は、図3の誘導加熱器制御器226の例となる周波数マネージャ338によってイネーブルにされる。周波数マネージャ338は、タンク回路304の共振周波数電流に近接した固定周波数信号402を生成するように固定周波数クロック330を(例えば、既定のデータに基づいて)設定する。固定周波数信号402は、スイッチ404(例えば、単極、双投、またはSPDTスイッチ)を介して、スイッチド(swithched)共振周波数(RF)電流駆動回路408のSYNC入力ピン406まで進む。固定周波数信号402は、可変DC源によって供給される電流310および既にタンク回路304内の電流401を固定周波数で振動させる。
【0076】
図4の例となるセンスコイル312は、ワークコイル308を通って流れる電流の結果としてワークコイル308内に誘起された振動磁場を感知し、感知信号314を生成する。図4の例となる周波数制御回路316は、信号スケーラ410を含む。信号スケーラ410は、スイッチドRF電流駆動回路408のSYNC入力ピン406に関連して感知信号314をスケーリングする(例えば、電圧スケーリング)。信号スケーラ410はまた、電流同期を最適化してスケーリングされた感知信号412を生成するために、感知信号314に遅延を適用する。図4の例において、信号スケーラ410は、例えば、既定の電圧、信号振幅などに信号をスケーリングすることに関して感知信号314の有効性を検出するために回路を含む。
【0077】
信号スケーラ410が感知信号314の有効性を検出するとき、スイッチ404(例えば、SPDTスイッチ)は、周波数制御回路が、固定周波数信号402の代わりに、感知信号314を使用してスイッチドRF電流駆動回路408のSYNC入力ピン406を駆動するように切り換えられる。その結果、タンク回路304は、固定周波数クロック330による駆動から解放され、代わりに、可変DC電源400によって提供される電流310およびタンク回路304内に既に循環している電流401に関して、その共振周波数で駆動される。
【0078】
図4の例において、タンク回路304がその共振周波数で駆動されるとき、可変DC電源400は、(例えば、ドライブマネージャ332からの命令234に基づいて)高電力レベルに調節される。また、被加工物214がワークコイル308に近接して配設される(例えば、その中に挿入される)とき、タンク回路304の共振周波数は、ワークコイル308の実効インダクタンスが被加工物214の存在に起因して変化すると、変化する。センスコイル312は、タンク回路304内の(例えば、修正された)共振周波数を反映する感知信号314を生成する。その結果、スイッチドRF電流駆動回路408を通過する電流は、タンク回路304内の電流401と同期される。このように、周波数制御回路316は、被加工物214がワークコイル308によって加熱されるときにタンク回路304がその共振周波数で駆動されることを可能にするために、タンク回路304への被加工物214の導入に動的に応答する。センスコイル312および周波数制御回路316は、誘導加熱器212における共振周波数のばらつきに応答するフィードバックループを形成する。
【0079】
図4の例において、タンク回路304をその共振周波数で駆動することは、タンク回路304内のエネルギー損失を実質的に最小限にする。その結果、タンク回路304がタンク回路304の共振周波数ではない固定周波数で振動される場合と比較して、より多くのエネルギーが、被加工物214を加熱するために被加工物214に移される。したがって、タンク回路304のその共振周波数での自己振動は、誘導加熱器212の効率性を増大させる。また、タンク回路304を固定周波数で共振するように駆動するのではなくタンク回路304がその共振周波数で振動することを可能にすることにおいて、例となる周波数制御回路316は、ワークコイル308、コンデンサ306、回路基板300、302などの誘導加熱器制御ステーション210のコンポーネントの製造ばらつきおよび/または経年劣化の効果を実質的に補償する。製造ばらつきおよび/または経年劣化は、タンク回路304の振動挙動を変化させ得、したがって、タンク回路304が固定周波数のみで振動するように駆動された場合には非効率性をもたらす。さらに、図4の例は、被加工物214のタンク回路304内への導入、および/または異なる特性215を有する被加工物214の異なる部分217、219の誘導加熱器212への曝しに起因する負荷ばらつきに動的に応答する。図4の例は、修正された共振周波数へと調節することによって、負荷ばらつきに起因するワークコイル308の実効インピーダンスおよびタンク回路304の共振周波数に対する結果として生じる効果を受け入れる。
【0080】
過熱サイクルの最後に、誘導加熱器制御器226のドライブマネージャ332は、可変DC電源400を低電力設定へと調節し、既定の時間期間(例えば、遅延)の後、可変DC電源400を切る。その結果、タンク回路304内のエネルギーは減少する。経時的に、センスコイル312は、信号スケーラ410によって有効と認識されるのに十分に大きい感知信号314をもはや生成しない。そのような例において、スイッチドRF電流駆動回路408のSYNC入力ピン406は、固定周波数クロック330によって駆動されるように切り替えられる。その結果、タンク回路304内のいかなる残留エネルギーも消散する。既定の時間期間(例えば、遅延)の後、ドライブマネージャ332は、固定周波数クロック330がディセーブルにされるための命令234を送信する。
【0081】
図5は、サイズ、皮膜厚などの異なる特性を有する2つ以上の部分を有する被加工物502のための、図3の温度プロファイル342などの温度プロファイル500の例となる図である。被加工物502は、例えば、図3の被加工物214であり得る。被加工物502は、例えば、吸引および分注デバイスを含み得る。
【0082】
図5に例証されるように、例となる温度プロファイル500は、例となる被加工物502の第1の部分504および被加工物502の第2の部分506のための温度対時間のプロットを含む。被加工物502の第1の部分504は、例えば、第1の厚さを有し得、第2の部分506は、第1の厚さとは異なる第2の厚さを有し得る。第2の部分506は、異なるサイズ、断面形状など、第1の部分504とは1つまたは複数の他の異なる特性を有し得る。
【0083】
図5に例証されるように、例となる温度プロファイル500は、第1の部分504がワークコイル308に近接して配設されるときに、経時的に被加工物502の第1の部分504を加熱するための温度を有する、第1の部分504のための第1の温度プロファイル508を含む。例となる温度プロファイル500は、第2の部分506がワークコイル308に近接して配設されるときに、経時的に被加工物502の第2の部分506を加熱するための温度を有する、第2の部分506のための第2の温度プロファイル510を含む。いくつかの例において、第1および第2の温度プロファイル508、510は、例えば、被加工物502を清浄する(例えば、滅菌する)ために被加工物502のそれぞれ第1および第2の部分504、506を加熱するための、最低温度を表す。他の例において、第1および第2の温度プロファイル508、510は、被加工物502を予め決められた時間期間内に清浄する(例えば、滅菌する)ために、それぞれ第1および第2の部分504、506を加熱するための、最適温度を表す。最適温度データは、例えば、被加工物502および/または他の被加工物の1つまたは複数の以前の誘導加熱サイクルから収集されたデータに基づき得る。いくつかの例において、図3のパフォーマンスマネージャ340は、例となる温度プロファイル500を使用して、被加工物502の第1および第2の部分504、506を1つまたは複数の既定の温度または加熱設定で経時的に加熱するために、例えば、タンク回路304に提供されるべき電流および/もしくは電力ならびに/またはタンク回路304において生成されるべき電圧に関する命令234を生成する。
【0084】
図6は、図2から図4の例となる誘導加熱器制御ステーション210の誘導加熱器212と共に使用され得る例となるワークコイル600(例えば、図3の例となるワークコイル308)の斜視図である。例となるワークコイル600は、ハウジング602を含む。図6の例において、ハウジング602は、例えばFerrotronで作られた磁気濃縮器である。ハウジング602は、その中に配設されるリッツ線604を含む。リッツ線604は、織り合わせられた複数の絶縁ワイヤストランドを含む。いくつかの例において、リッツ線604は、マンドレル(例えば、PEEK(商標)マンドレル)に巻き付けられる。
【0085】
図6の例となるハウジング602はまた、リッツ線604に巻き付けられる磁性線606を含む。磁性線606は、例えば、絶縁された銅線を含む。図6の例において、磁性線606は、ワークコイル600によって生成される磁場を感知するためのセンスコイル(例えば、図3および図4のセンスコイル312)としての役割を果たす。図6の例において、リッツ線604および磁性線606の巻きは同じ方向にある。
【0086】
1つまたは複数の電気リード608は、例となるワークコイル600に結合され得る。リードは、ワークコイル600によって生成される熱からリードを保護するために収縮チューブ内に配設され得る。図6の例となるワークコイル600は、ハウジング602(例えば、Ferrotron磁気濃縮器)の温度を測定するために使用される、サーミスタ610または抵抗器を含む。サーミスタ610によって生成されたデータは、例えば、図3の例となる誘導加熱器制御器226の故障モニタ344に送信され得る。
【0087】
例となるワークコイル600は、例えば、診断器械202の誘導加熱器制御ステーション210に対する空間的制約、ワークコイル600によって加熱されるべき1つまたは複数の被加工物のサイズなどに基づいて、選択的に設計され得る。いくつかの例において、線の断面形状、線の金属タイプ、線の巻きの数、巻きの間隔、ワークコイル600の高さ、ワークコイル600の直径、ワークコイル600の形状、ワークコイル600の抵抗などの変数は、ワークコイル600の1つまたは複数の目的とされる用途に基づいて選択的に選択される。
【0088】
図6に例証されるように、例となるワークコイル600は、開口部612を含む。動作中、被加工物(例えば、図2の被加工物214)は、開口部612内に配設され、電流が図6の例となるワークコイル600を通って流れるときに、ワークコイル600によって生成される磁場により加熱されることになる。被加工物は、加熱中、例となるワークコイル600に触れない、または実質的に触れないが、例となるワークコイル600は、被加工物上の生体および/または化学物質に曝される。また、被加工物が加熱中に洗浄される例において、例となるワークコイル600は、洗浄流体(例えば、図2の流体218)に曝される。いくつかの例において、洗浄流体および/または生体/化学物質の少なくとも一部は、ワークコイル600に移り得る。洗浄流体および/または生体/化学物質へ曝されることは、ワークコイル600を腐食し得、これがワークコイル600に損傷を与え得る。
【0089】
腐食を防ぐため、例となるワークコイル600は、ハウジング602に塗布される1つまたは複数のコーティング614を含む。コーティング614は、例えば、Chemtetall(商標)Oaktite(R)および/またはセラミックコーティング(例えば、Cerakote(商標)によって作製されたセラミックコーティング)などの表面処理薬品を含み得る。このように、図6の例となるワークコイル600は、生体および/または化学物質へ曝されることを考慮して、ワークコイル600の作動寿命を増大させ、ワークコイル600の信頼性を向上させるために、腐食に対する保護を含む。
【0090】
上に開示されたように、図2の例となる誘導加熱器制御ステーション210は、吸引および分注デバイスなどの被加工物を清浄するために熱を生成する。いくつかの例において、この熱は、誘導加熱器制御ステーション210の1つまたは複数のコンポーネントの過熱をもたらし得る。例となる誘導加熱器制御ステーション210は、1つまたは複数の熱管理技術により、ワークコイル(例えば、図3および図6のワークコイル308、600)、1つもしくは複数のプリント回路板(例えば、図3の加熱器基板300、タンク回路基板302)、および/またはプリント回路板の他の電気コンポーネント(例えば、図3のコンデンサ306、周波数制御回路316)によって生成される熱を管理する。誘導加熱器制御ステーション210によって用いられる熱管理技術は、例えば、ワークコイルがプリント回路板の電気コンポーネントを短絡するおよび/または廃熱がプリント回路板の電気コンポーネントを損傷するリスクを実質的に低減する。
【0091】
例えば、図7は、電磁干渉(EMI)シールド702およびヒートシンク704を含む例となるタンク回路基板700(例えば、図3のタンク回路基板302)を例証する。EMIシールド702は、ワークコイル706(例えば、図2図6のワークコイル308、600)を実質的に囲む熱伝導性材料(例えば、金属)を含む。いくつかの例において、EMIシールド702は、例えば、Teflon(商標)を含むコーティングで被覆される。いくつかの例において、例えば、図2の誘導加熱器212のEMIは、保険会社研究所などの団体および/または欧州連合などの政府機関によって課される制限または規制を超え得る。例となるEMIシールド702は、規制当局の承認(例えば、CEコンプライアンス)のために1つまたは複数の規格に準拠するように誘導加熱器212のEMIを実質的に低減する。
【0092】
図7の例となるヒートシンク704は、ワークコイル706および/またはタンク回路基板700から廃熱が離れるように導くによって、ワークコイル706および/またはタンク回路基板700の過熱を実質的に低減する。図7の例において、熱エネルギーは、図6のリッツ線604(および、いくつかの例において、図6のセンスコイルの磁性線606)などのワークコイル706の導体を通して、ならびに例えばタンク回路基板700内に形成される1つまたは複数の銅ビアを通して伝えられる。熱エネルギーは、ヒートシンク704に移される。いくつかの例において、ワークコイル706からの熱エネルギーもまた、EMIシールド702の熱伝導性材料を介してヒートシンクに移される。例となるヒートシンク704は、例えばタンク回路基板700から、周囲環境へ熱を移す。いくつかの例において、ヒートシンクは、誘導加熱器制御ステーション210が設置される診断器械(例えば、図2の診断器械202)の内部に熱を移す。
【0093】
いくつかの例において、図2の例となる誘導加熱器制御ステーション210の誘導加熱器制御器226は、廃熱の生成を管理するために、誘導加熱器212のデューティサイクルを(例えば、図2のドライブマネージャ332および/またはパフォーマンスマネージャ340を介して)低減する。例えば、誘導加熱器212は、4秒などの第1の既定の時間期間にわたって第1の電力設定(例えば、ワット数)における第1の温度(例えば、図3および図5の温度プロファイル342、500に基づく)で熱を生成するようにアクティブ化され得る。誘導加熱器212はまた、2秒などの第2の既定の時間期間にわたって、第1の温度よりも高い第2の電力設定(例えば、ワット数)における第2の温度で熱を生成するようにアクティブ化され得る。第1の(例えば、より長い)時間期間にわたって生成される第1の温度、および第2の(例えば、より短い)時間期間にわたって生成される第2の温度は共に、被加工物を加熱するために使用され得るが、第1の(例えば、より長い)時間期間にわたって生成されるより低い温度熱の方が、消散するのにより長い時間がかかり得る。図7の例において、誘導加熱器制御器226は、誘導加熱器212に、熱をより早く消散させるために、より短い第2の時間期間にわたって熱を生成するように命令する。このように、誘導加熱器制御器226は、より効率的に廃熱を管理するために誘導加熱器のデューティサイクルを低減する。
【0094】
このように、誘導加熱器制御ステーション210によって用いられる熱管理技術は、コイル、コンデンサなどの電気コンポーネントを過熱するリスクを実質的に低減し、したがって誘導加熱器制御ステーション210のパフォーマンスを向上させる。さらに、EMIシールド702、ヒートシンク704、および/またはデューティサイクルの低減は、誘導加熱器制御ステーション210からの熱を制御するおよび/または除去する他の機械的モードの必要性を実質的に低減し、それにより設計上の考慮事項を単純化する。
【0095】
図8は、洗浄カップ800(例えば、図2の洗浄カップ216)内に配設されるワークコイル706を含む、図7の例となるタンク回路基板700の上面斜視図である。図9は、ワークコイル706内に配設される被加工物900(例えば、図2の被加工物214)を含む、図8の1−1線に沿って取られた例となる洗浄カップ800およびワークコイル706の断面図である。例証の目的のため、図7の例となるEMIシールド702は、図8または図9には示されない。
【0096】
上に開示されたように、いくつかの例において、ワークコイル706は、例えば、ワークコイル706による被加工物900の誘導加熱の前、最中、および/または後に被加工物900の洗浄を促進して、被加工物900上の生体および/または化学物質を除去するのを助けるために、洗浄カップ800内に少なくとも部分的に配設される。洗浄カップ800は、被加工物900をリンスするために使用される洗浄流体(例えば、図2の流体218)を収集する。例となる洗浄カップ800は、ワークコイル706、ワークコイル706に結合される電気ケーブルなどを、洗浄カップ800に近接して、または実質的に洗浄カップ800内に収容するおよび/または取り外し可能に固定するために、1つまたは複数の開口部または区域を含み得る。
【0097】
図9に例証されるように、被加工物900の第1の部分902は、ワークコイル706内に配設され、ワークコイル706によって加熱される。被加工物900の第2の部分904は、洗浄カップ800内に配設され、被加工物900の第3の部分906は、洗浄カップ800内に配設されない。被加工物900は、例えば、被加工物900の第3の部分906を保持し得る図2のロボットアーム221によって、ワークコイル706に対して選択的に移動され得る。上に開示されたように、誘導加熱器制御ステーション210は、被加工物900の第1、第2、および/または第3の部分902、904、906を、皮膜厚、断面形状、直径などの、それぞれの部分の異なる特性に基づいて加熱するために、温度プロファイル(例えば、温度プロファイル342、500)に基づいて、ワークコイル706によって生成される熱を選択的に調節する。
【0098】
被加工物900の加熱の前、最中、および/または後に、洗浄バッファが、被加工物900上の生体および/または化学残留物を洗い流すように被加工物900の1つまたは複数の表面上を流れる。いくつかの例において、洗浄バッファは、被加工物900の外表面および/または内表面上を流れる。
【0099】
いくつかの例において、(例えば、液体から蒸気または気体への)相変化が、ワークコイル706によって生成される熱に起因して、被加工物の加熱中に被加工物を清浄するために使用される洗浄バッファに対して発生する。例えば、図2の例となるシステム200のポンプ246は、流体(例えば、図2の流体218などの液体)を、例えばプローブであり得る被加工物900を通して移動させるために上昇した圧力を確立し、このプローブは、流体を受けるためにプローブの長さに沿って延びる開口部を有する。ポンプ246によって提供される流体流量は、実質的に一定の流量または時間依存流量であり得る。圧力の上昇は、被加工物900を通って移動する流体の飽和温度を上げる。ワークコイル706により誘導加熱中に生成される熱の結果として、被加工物900の少なくとも一部分(例えば、ワークコイル706に囲まれる部分)の材料の温度は、被加工物900の熱へ曝されることに起因して増大する。ワークコイル706によって生成される熱は、例えば、被加工物900(例えば、プローブ)の壁を通って伝わる。熱は、被加工物900を通って流れる流体に移される。被加工物900が経時的に熱に曝されると、流体の温度は、流体の飽和温度に達するのに十分な高さに上がり得る。流体がその飽和温度に達するとき、プローブを通過する流体の相変化が発生し得る。例えば、ワークコイル706内に配設される被加工物900の部分を通過する流体は、相変化を経て、ワークコイルから被加工物900の壁を通り流体への熱の伝達に起因して飽和液体−蒸気混合物になり得る。流体が下流にまたはワークコイル706内に配設される被加工物900の領域を過ぎて流れるとき、流体の温度は、飽和温度未満に下降する。その結果、液体−蒸気混合物内の蒸気は、液化して液相へと戻る。このように、流体の相変化は、一時的に、ワークコイル706に対する流体の流れに基づき得る。
【0100】
相変化が始まるとき、被加工物900(例えば、プローブ)を通って移動する流体内に気泡が生じる。気泡は、ワークコイル706内に配設される被加工物900の部分に、またはその近くに形成され得る。気泡は、ワークコイルに囲まれる被加工物900の加熱された部分内に、一時的に形成され得る。気泡の形成、移動、および崩壊は、被加工物900を通過する流体の移動を局所的に変更する。気泡に起因する流体の移動の変更は、流体内のせん断応力の大きさおよび方向を変更する。本明細書に開示されるいくつかの誘導加熱例は、被加工物900の清浄を促進するおよび/または強化する、流体内のせん断応力の複数の(例えば、一時的な)急上昇およびせん断応力方向の変化を結果としてもたらす、複数の気泡の形成、移動、および崩壊を生み出す。このように、本明細書に開示されるいくつかの例において、被加工物900の清浄は、上昇した温度および上昇した液体せん断応力の組み合わせを含む。いくつかの例において、図2のポンプ246は、拍動流量を生成し、これが、圧力の繰り返される低下を結果としてもたらし、相変化および/または気泡効果を促進する。
【0101】
例として、図2のポンプ246は、平均1.6mL/sで流体(例えば、液体)を分注し得、これが、ワークコイル706内の被加工物900の部分において30psigの平均圧力差を生み出し得る。例となる流体は、大部分は水を含む洗浄バッファを含み得る。したがって、洗浄バッファ特性は、純水の特性と近似され得る。1atm環境を仮定すると、この条件下の水の飽和温度は、134℃となる。1.6mL/sの流量での270Wで0.5秒間の予加熱後の被加工物900の一部分(例えば、図2の被加工物214の第1の部分217)の外表面温度は、例えば、160℃と測定され得る。したがって、被加工物900の内表面温度(例えば、プローブ内の開口部を規定する)は154℃である。このように、被加工物900の内表面、およびしたがって、内表面における流体の層は、水(および、したがって洗浄バッファ)の飽和温度を上回り、これが流体の相変化を可能にする。
【0102】
図8および図9の例となる洗浄カップ800は、Isoplast(商標)プラスチックなど、ワークコイル706によって生成される熱に耐えることができる材料で作製され得る。洗浄カップ800の形状、サイズ、および/または他の設計因子は、図8および図9に例証されるものとは異なり得る。例えば、洗浄カップ800の設計は、洗浄カップ800が使用されることになる診断器械、清浄されるべき1つまたは複数の被加工物のサイズなどに基づいて選択され得る。
【0103】
例となるシステム200を実現する例となる様式が図2から図9に例証されるが、図2から図9に例証される要素、プロセス、および/またはデバイスのうちの1つまたは複数は、任意の他のやり方で、結合、分割、再配置、省略、削除、および/または実現され得る。さらに、例となる診断器械202、例となるプロセッサ204、227、例となる電源206、例となるディスプレイ208、例となるGUI209、例となるタイマー211、例となる誘導加熱器制御ステーション210、例となる誘導加熱器212、例となる電力駆動ユニット220、例となる誘導加熱器制御器226、例となる加熱器基板300、例となるタンク回路基板302、例となるコンデンサ306、例となるワークコイル308、例となるセンスコイル312、例となる周波数制御回路316、例となるコイル温度センサ318、例となる温度モニタ322、例となる電流モニタ324、例となる電圧モニタ326、例となる固定周波数クロック330、例となるドライブマネージャ332、例となるデータベース336、例となる周波数マネージャ338、例となるパフォーマンスマネージャ340、例となる故障モニタ344、例となる通信機346、例となる可変DC電源400、例となるスイッチドRF電流駆動回路408、例となる信号スケーラ410、および/または、より一般的には、図2から図9の例となるシステム200は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ならびに/または、ハードウェア、ソフトウェア、および/もしくはファームウェアの任意の組み合わせによって実現され得る。したがって、例えば、例となる診断器械202、例となるプロセッサ204、227、例となる電源206、例となるディスプレイ208、例となるGUI209、例となるタイマー211、例となる誘導加熱器制御ステーション210、例となる誘導加熱器212、例となる電力駆動ユニット220、例となる誘導加熱器制御器226、例となる加熱器基板300、例となるタンク回路基板302、例となるコンデンサ306、例となるワークコイル308、例となるセンスコイル312、例となる周波数制御回路316、例となるコイル温度センサ318、例となる温度モニタ322、例となる電流モニタ324、例となる電圧モニタ326、例となる固定周波数クロック330、例となるドライブマネージャ332、例となるデータベース336、例となる周波数マネージャ338、例となるパフォーマンスマネージャ340、例となる故障モニタ344、例となる通信機346、例となる可変DC電源400、例となるスイッチドRF電流駆動回路408、例となる信号スケーラ410、および/または、より一般的には、図2から図9の例となるシステム200のいずれかは、1つもしくは複数のアナログもしくはデジタル回路、論理回路、プログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、および/またはフィールドプログラマブル論理デバイス(FPLD)によって実現され得る。純粋なソフトウェアおよび/またはファームウェア実装形態を網羅するための本特許の装置およびシステム特許請求のいずれかを読むとき、例となる診断器械202、例となるプロセッサ204、227、例となる電源206、例となるディスプレイ208、例となるGUI209、例となるタイマー211、例となる誘導加熱器制御ステーション210、例となる誘導加熱器212、例となる電力駆動ユニット220、例となる誘導加熱器制御器226、例となる加熱器基板300、例となるタンク回路基板302、例となるコンデンサ306、例となるワークコイル308、例となるセンスコイル312、例となる周波数制御回路316、例となるコイル温度センサ318、例となる温度モニタ322、例となる電流モニタ324、例となる電圧モニタ326、例となる固定周波数クロック330、例となるドライブマネージャ332、例となるデータベース336、例となる周波数マネージャ338、例となるパフォーマンスマネージャ340、例となる故障モニタ344、例となる通信機348、例となる可変DC電源400、例となるスイッチドRF電流駆動回路408、例となる信号スケーラ410、および/または、より一般的には、図2から図9の例となるシステム200のうちの少なくとも1つは、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを記憶する、メモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスク、などの有形コンピュータ可読ストレージデバイスまたは記憶ディスクを含むように本明細書により明示的に定義される。さらにまた、図2から図9の例となるシステム200は、図2から図9に例証されるものに加えて、もしくはそれらの代わりに、1つもしくは複数の要素、プロセス、および/もしくはデバイスを含み得、ならびに/または、例証される要素、プロセス、およびデバイスのいずれかもしくはすべてを2つ以上含み得る。
【0104】
図2から図9の例となるシステム200を実現するための例となるマシン可読命令を表すフローチャートが、図10および図11に示される。これらの例において、マシン可読命令は、図12に関連して下に論じられる例となるプロセッサプラットフォーム1200内に示されるプロセッサ227などのプロセッサによる実行のためのプログラムを含む。プログラムは、プロセッサ227と関連付けられた、CD−ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、またはメモリなどの有形コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるソフトウェア内に具現化され得るが、プログラム全体および/またはその部分は、代替的に、プロセッサ227以外のデバイスによって実行されてもよく、および/またはファームウェアもしくは専用ハードウェア内に具現化されてもよい。さらに、例となるプログラムは、図10および図11に例証されるフローチャートを参照して説明されるが、例となるシステム200を実現する多くの他の方法が、代替的に使用され得る。例えば、ブロックの実行の順序は変更され得、および/または、説明されるブロックのうちのいくつかは、変更、削除、または結合され得る。
【0105】
上で述べられるように、図10および図11の例となるプロセスは、情報が任意の持続期間(例えば、長時間、永続的に、短い瞬間、一時的にバッファリングのため、および/または情報のキャッシュのため)記憶される、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/または任意の他のストレージデバイスもしくは記憶ディスクなどの有形コンピュータ可読記憶媒体に記憶される符号化された命令(例えば、コンピュータおよび/またはマシン可読命令)を使用して実現され得る。本明細書で使用される場合、有形コンピュータ可読記憶媒体という用語は、任意のタイプのコンピュータ可読ストレージデバイスおよび/または記憶ディスクを含むように、ならびに伝搬信号を除外するように、ならびに伝送媒体を除外するように明示的に定義される。本明細書で使用される場合、「有形コンピュータ可読記憶媒体」および「有形マシン可読記憶媒体」は、交換可能に使用される。追加的または代替的に、図10および図11の例となるプロセスは、情報が任意の持続期間(例えば、長時間、永続的に、短い瞬間、一時的にバッファリングのため、および/または情報のキャッシュのため)記憶される、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、および/または任意の他のストレージデバイスもしくは記憶ディスクなどの非一時的なコンピュータおよび/またはマシン可読媒体に記憶される符号化された命令(例えば、コンピュータおよび/またはマシン可読命令)を使用して実現され得る。本明細書で使用される場合、非一時的なコンピュータ可読媒体という用語は、任意のタイプのコンピュータ可読ストレージデバイスおよび/または記憶ディスクを含むように、ならびに伝搬信号を除外するように、ならびに伝送媒体を除外するように明示的に定義される。本明細書で使用される場合、「少なくとも」というフレーズは、請求項のプリアンブル内で移行用語(transition term)として使用されるとき、これは、「備える(comprising)」という用語がオープンエンドであるのと同じ様式でオープンエンドである。
【0106】
図10は、図2および図3の誘導加熱器212のタンク回路304などの誘導加熱器のタンク回路を、誘導加熱器の熱サイクル中に共振周波数で共振させるための、例となる方法1000を表す例となるフロー図を描写する。例となる方法1000は、例えば、図2および図3の誘導加熱器制御器226(例えば、プロセッサ227)、図3および図4の周波数制御回路316などによって実現され得る。
【0107】
例となる方法1000は、可変DC電源を、熱サイクルの開始時に、第1の電力設定に設定することを含む(ブロック1002)。熱サイクルの開始は、図2の被加工物214などの被加工物が加熱のためにワークコイルに近接して配設されるときを含み得る。いくつかの例において、熱サイクルの開始は、誘導加熱器制御器226への1つまたは複数のユーザ入力に基づいて決定される。図3の例となる誘導加熱器制御器226のドライブマネージャ332は、図4の可変DC電源400を低電力設定に設定して、タンク回路304がその共振周波数で共振しているかどうかに関わりなく、タンク回路304におけるエネルギー損失を実質的に制限するように、命令234を電力駆動ユニット220に送信することができる。
【0108】
例となる方法1000は、固定周波数クロックをイネーブルにすることを含む(ブロック1004)。例えば、固定周波数クロック330は、図3の例となる誘導加熱器制御器226の例となる周波数マネージャ338によってイネーブルにされ得る。固定周波数クロック330をイネーブルにすることは、スイッチドRF電流駆動回路408のSYNC入力ピン406へと進む固定周波数信号402を生成する。例となるスイッチドRF電流駆動回路408は、固定周波数で振動するようにタンク回路304を駆動する。
【0109】
例となる方法1000は、感知信号を検出することを含む(ブロック1006)。例えば、電流が図3のワークコイル308を通って流れるとき、ワークコイル308は、磁場(例えば、図1の磁場106)を生成する。図3の例となるセンスコイル312は、磁場を検出し、感知信号314を生成する。感知信号314は、図4の周波数制御回路316の例となる信号スケーラ410によって検出され得る。
【0110】
感知信号314が検出されない場合、例となる方法1000は、タンク回路304に提供される電流により、タンク回路304を固定周波数で共振するように駆動することを継続する(例えば、ブロック1004)。信号スケーラ410が感知信号314を検出する場合、例となる方法1000は、スケーリングされた感知信号により、タンク回路をその共振周波数で共振するように駆動するように切り替えることを継続する(ブロック1008)。
【0111】
例えば、信号スケーラ410は、SYNC入力ピン406に対する感知信号314のスケーリング(例えば、電圧スケーリング)によって、スケーリングされた感知信号412を生成する。信号スケーラ410は、タンク回路304に提供される電流、およびタンク回路304に既に流れている電流401の同期を最適化するために、感知信号314に遅延を適用する。例となる方法1000において、周波数マネージャ338は、周波数制御回路316に、固定周波数信号402の代わりに、スケーリングされた感知信号412を使用してスイッチドRF電流駆動回路408を駆動するように、スイッチ(例えば、図4のSPDTスイッチ404)を切り換えるように命令する。
【0112】
例となる方法1000は、可変DC電源を第2の電力設定に設定することを含む(ブロック1010)。例えば、図3の例となる誘導加熱器制御器226のドライブマネージャ332は、図4の可変DC電源400を高電力設定に設定するように(ブロック1002において設定される低設定と比較して)、命令234を電力駆動ユニット220に送信することができる。
【0113】
例となる方法1000は、熱サイクルが終了したという決定がされるまでタンク回路304がその共振周波数で共振することを可能にすることを継続する(ブロック1012)。いくつかの例において、例となる方法1000は、被加工物214に起因するワークコイル308における負荷ばらつきにかかわらず、タンク回路304がその共振周波数で共振し続けることを可能にするために、被加工物214の誘導加熱中に生成される感知信号314に基づいてタンク回路304に提供される電流を調節する。
【0114】
いくつかの例において、誘導加熱器制御器226は、ワークコイル308における電流フローの変化を示す電流モニタ324から受信される電流信号325に基づいて、熱サイクルが終了することになることを決定する。いくつかの例において、ワークコイル308における電流フローの変化は、被加工物214またはその一部分が磁場の外に移動したことを示し得る。いくつかの例において、誘導加熱器制御器226は、1つまたは複数のユーザ入力に基づいて、熱サイクルが終了することになることを決定する。
【0115】
熱サイクルが終了することになる場合、例となる方法1000は、設定可変DC電源を(例えば、ドライブマネージャ332を介して)第1の(例えば、低)電力設定に設定することを含む(ブロック1014)。遅れて、例となる方法1000は、可変DC電源を切ることを含む(ブロック1016)。
【0116】
図10の例となる方法1000は、感知信号が検出されるかどうかの決定を含む(ブロック1018)。例えば、可変DC電源が切られた後、タンク回路304内のエネルギーは、経時的に消散し、センスコイル312は、信号スケーラ410によって認識される感知信号314をもはや生成しない。感知信号314がもはや検出されない場合、例となる方法1000は、(例えば、ドライブマネージャ332を介して)固定周波数クロック330によって駆動されるように、スイッチドRF電流駆動回路408のSYNC入力ピン406を切り替えることを含む(ブロック1020)。ある時間期間後、例となる方法1000は、誘導加熱器212の熱サイクルを終了するために固定周波数クロック330をディセーブルにすることを含む(ブロック1022)。
【0117】
図11は、図2の誘導加熱器212などの誘導加熱器により図2および図5の被加工物214、502などの被加工物を誘導加熱するための例となる方法1100を表す例となるフロー図を描写する。例となる方法1100は、例えば、図2および図3の誘導加熱器制御器226(例えば、プロセッサ227)によって実現され得る。
【0118】
図11の例となる方法1100は、例えば、誘導加熱器制御器226へのユーザ入力によって決定され得る熱サイクルの開始時に始まる。熱サイクルを始めるためのユーザ入力は、ドライブマネージャ332に、例えば、電流を例となる誘導加熱器212のタンク回路304に提供するように電力駆動ユニット220に命令をするようにさせる。
【0119】
例となる方法1100は、加熱されるべき被加工物の一部分の温度プロファイルを識別することを含む(ブロック1102)。例えば、誘導加熱器制御器226のパフォーマンスマネージャ340は、図3のデータベース336に格納された温度プロファイル342、500を識別することができる。例となる温度プロファイル342、500は、加熱されるべき被加工物214、502の部分217、219、504、506に対する誘導加熱器212のための1つまたは複数の加熱設定を含む。いくつかの例において、パフォーマンスマネージャ340は、例えば、加熱されるべき部分217、219、504、506の特性215(例えば、サイズ、皮膜厚)を規定する1つまたは複数のユーザ入力に基づいて、部分の温度プロファイル342、500を識別する。他の例において、パフォーマンスマネージャ340は、誘導加熱器212に対する被加工物214、502の位置に基づいて(例えば、診断器械202のロボットアーム221による移動に基づいて)、温度プロファイル342を識別する。他の例において、パフォーマンスマネージャ340は、電流モニタ324および/または電圧モニタ326によってそれぞれ検出される誘導加熱器212における電流および/または電圧の変化に基づいて、温度プロファイル342、500を識別する。いくつかのそのような例において、電流の低下などの変化は、被加工物214、502の異なる部分217、219、504、506が加熱のためにワークコイル308に近接して配設されることを示し得る。
【0120】
例となる方法1100は、誘導加熱器のタンク回路における共振周波数を調節することを含む(ブロック1104)。タンク回路の共振周波数の調節は、図10の例となる方法1000に関して上に開示されたように実質的に実施され得る。例えば、上に開示されたように、誘導加熱器制御器226および周波数制御回路316は、センスコイル312によって生成される感知信号314に基づいてワークコイル308による磁場の生成中にタンク回路304がその共振周波数で共振することを可能にする。タンク回路304のその共振周波数での振動は、被加工物214、502への熱の効率的な伝達を提供する。
【0121】
例となる方法1100は、温度プロファイルに基づいて被加工物の部分を加熱することを含む(ブロック1106)。例えば、図2から図4の誘導加熱器212は、温度プロファイル342、500に基づいて1つまたは複数の加熱設定で既定の時間期間にわたって被加工物214、502の部分217、219、504、506を加熱することができる。いくつかの例において、誘導加熱器制御器226は、タンク回路304に提供される電流および/もしくは電力ならびに/またはタンク回路304において生成される電圧を調節して、加熱されるべき部分217、219、504、506の温度プロファイル342、500の加熱設定を達成するために命令234を生成する。
【0122】
例となる方法1100は、誘導加熱器における1つまたは複数の条件をモニタすることを含む(ブロック1108)。例えば、例となる故障モニタ344は、温度モニタ322から受信される温度データ323、電流モニタ324から受信される電流データ325、および/または図3の電圧モニタ326から受信される電圧データ327を分析する。この分析に基づいて、例となる故障モニタ344は、誘導加熱器212のコンポーネントのいずれかが故障したかどうかを検出する、および/または、コンポーネントのうちのいずれかが故障する見込みであることを予測する。例えば、故障モニタ344は、例えば、ワークコイル308の過熱、周波数制御回路316の1つまたは複数のコンポーネントの短絡などを結果としてもたらし得る条件を識別する。いくつかの例において、故障モニタ344は、データ323、325、327を、例えば、タンク回路304のしきい値電流および/または電圧に関して図3のデータベース336に格納された参照データ334と比較する。故障モニタ344は、誘導加熱器212から得られるパフォーマンスデータを追跡して、誘導加熱器制御ステーション210における1つまたは複数の故障を識別および/または予測する。
【0123】
例となる方法1100は、1つまたは複数の誘導状態更新を生成することを含む(ブロック1110)。例えば、故障モニタ344が、ワークコイル308が過熱する見込みであると予測する場合、故障モニタ344は、誘導加熱器212の動作を停止するために1つまたは複数の命令346を生成し得る。いくつかの例において、故障モニタ344は、電力駆動ユニット220に、故障モニタ344による故障予測および/またはパフォーマンス追跡を考慮して、誘導加熱器212に提供される電流を調節するように命令する。いくつかの例において、故障モニタ344は、予測に基づいて、例となる診断器械202のGUI209を介する表示のためにpresent/readyデータ240および/またはpass/failデータ242を生成する。
【0124】
例となる方法1100は、被加工物の別の部分が加熱されることになるかどうかの決定を含む(ブロック1112)。ワークコイルの別の部分が加熱されることになる場合、例となる方法1100は、加熱されるべき他の部分の温度プロファイル342、500を識別することに戻る(例えば、ブロック1102)。例となる方法1100は、被加工物の部分を効率的に加熱するために、タンク回路における負荷ばらつきに起因する共振周波数に対する変化に基づいてタンク回路における共振周波数を調節する(例えば、ブロック1104、1106)。負荷ばらつきは、誘導加熱器によって以前に加熱された部分とは1つまたは複数の異なる特性を有する他の部分のタンク回路への導入から生じ得る。被加工物の別の部分が加熱されることにならない場合、例となる方法1100は終了する。
【0125】
図12は、図2から図9の例となるシステム200を実現するために、図10および図11の命令を実行することができる、例となるプロセッサプラットフォーム1200のブロック図である。プロセッサプラットフォーム1200は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、iPad(商標)などのタブレット)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネット家電、医用診断器械202、または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスであり得る。
【0126】
例証される例のプロセッサプラットフォーム1200は、プロセッサ227を含む。例証される例のプロセッサ227はハードウェアである。例えば、プロセッサ227は、1つもしくは複数の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、または任意の所望のファミリーもしくは製造業者からの制御器によって実現され得る。
【0127】
例証される例のプロセッサ227は、ローカルメモリ1213(例えば、キャッシュ)を含む。例証される例のプロセッサ227は、バス1218を介して、揮発性メモリ1214および不揮発性メモリ1216を含むメインメモリと通信状態にある。揮発性メモリ1214は、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUSダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、および/または任意の他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによって実現され得る。不揮発性メモリ1216は、フラッシュメモリおよび/または任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実現され得る。メインメモリ1214、1216へのアクセスは、メモリ制御器によって制御される。
【0128】
例証される例のプロセッサプラットフォーム1200はまた、インターフェース回路1220を含む。インターフェース回路1220は、イーサネットインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、および/またはPCI Expressインターフェースなど、任意のタイプのインターフェース規格によって実現され得る。
【0129】
例証される例において、1つまたは複数の入力デバイス1222は、インターフェース回路1220に接続される。入力デバイス1222は、ユーザがデータおよびコマンドをプロセッサ227に入力することを許可する。入力デバイスは、例えば、オーディオセンサ、マイク、カメラ(スチールまたはビデオ)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、音声認識システム、および/または医用診断器械202によって実現され得る。
【0130】
1つまたは複数の出力デバイス1224も、例証される例のインターフェース回路1220に接続される。出力デバイス1224は、例えば、ディスプレイデバイス(例えば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、タッチスクリーン、触覚出力デバイス、プリンタ、および/またはスピーカ)、電力駆動ユニット220、周波数制御回路316、誘導加熱器212によって実現され得る。例証される例のインターフェース回路1220は、したがって、典型的には、グラフィックドライバカード、グラフィックドライバチップ、またはグラフィックドライバプロセッサを含む。
【0131】
例証される例のインターフェース回路1220はまた、ネットワーク1226(例えば、イーサネット接続、デジタル加入者線(DSL)、電話回線、同軸ケーブル、携帯電話システムなど)により外部機械(例えば、あらゆる種類のコンピューティングデバイス)とのデータの交換を促進するために、送信器、受信器、トランシーバ、モデム、および/またはネットワークインターフェースカードなどの通信デバイスを含む。
【0132】
例証される例のプロセッサプラットフォーム1200はまた、ソフトウェアおよび/またはデータを記憶するための1つまたは複数のマスストレージデバイス1228を含む。そのようなマスストレージデバイス1228の例は、フロッピディスクドライブ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイディスクドライブ、RAIDシステム、およびデジタル多用途を含む。
【0133】
図10および図11の例となる方法を実現するための符号化された命令1232は、マスストレージデバイス1228内、揮発性メモリ1214内、不揮発性メモリ1216内、および/またはCDもしくはDVDなどの取り外し可能な有形コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0134】
前述から、上記システム、方法、および装置は、誘導加熱によって1つまたは複数の被加工物(例えば、プローブ)による生体キャリーオーバーを低減するために、誘導加熱器のパフォーマンスの制御およびモニタリングを提供するということが理解される。本明細書に開示される例は、タンク回路が固定周波数ではなくその共振周波数で共振することを可能にすることによって、誘導加熱器の電気コンポーネントの製造ばらつきおよび/または経年劣化を計算にいれる。さらに、本明細書に開示される例は、例えば、誘導加熱器への被加工物の導入、誘導加熱器に対する被加工物の位置付け、および加熱されるべき被加工物の異なる部分の特性に起因する、誘導加熱器における負荷ばらつきに動的に応答する。いくつかのそのような例は、被加工物の存在の結果としてのタンク回路の共振周波数の変化に応答するために、誘導加熱器のタンク回路に提供される電流を調節する。いくつかの開示される例は、過熱のリスクを低減する廃熱管理技術を通じて、および/または予測故障分析を通じて誘導加熱器の信頼性の向上を提供する。本明細書に開示される例は、診断器械(例えば、化学分析器)を用いて実現され得、別個の清浄器械を必要とせずに、試料を効率的に分析し分析を実施するために使用されるツールを簡便に清浄するシステムを提供する。
【0135】
特定の例となる方法、装置、および製造物品が本明細書に開示されるが、本特許の範囲は、それに限定されない。逆に、本特許は、本特許の特許請求の範囲内に公正に入るすべての方法、装置、および製造物品を網羅する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12