(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの電流源は、2つ以上の電流源を有し、接続される前記電流源の数は、前記パルスの前縁によって超えられる2つ以上の前記電流源に関連付けられる予め定められたいくつかの閾値に依存する、
請求項1に記載のパルス整形器。
前記スペクトル光子計数検出器は、前記ピーク振幅を1つ又は複数のエネルギ閾値と比較するためのエネルギ弁別器を有し、前記予め定められた閾値は、(i)前記エネルギ弁別器の最低エネルギ閾値、(ii)前記エネルギ弁別器の最低エネルギ閾値と前記ピークのベースラインとの間の追加の閾値、及び(iii)前記ピークのベースラインから選択される、
請求項5に記載のパルス整形器。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、改良された設計及び/又は制御を利用するパルス整形器及びパルス整形方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、パルス整形器を有するスペクトル光子計数検出器、及びスペクトル光子計数検出器を有するX線イメージングシステムを提供することである。
【0009】
本発明の第1の態様では、スペクトル光子計数検出器に使用するパルス整形器が提供され、パルス整形器は:
‐ 検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成する積分器と;
‐ フィードバック抵抗器と;
‐ 積分器を放電する切り替え可能な放電回路と;
‐ パルスのピークを検出するピーク検出器と;
を有し、
パルス整形器は、ピークの検出に基づいて切り替え可能な放電回路による積分器の放電を開始させ、パルス生成の期間中はフィードバック抵抗器を積分器に並列に接続し、パルス生成の別の期間中はフィードバック抵抗器を切り離すように構成され、
切り替え可能な放電回路は、少なくとも1つの電流源を有し、パルス整形器は、少なくとも1つの電流源を積分器に並列に接続して、積分器を放電させるように、及び、放電中にフィードバック抵抗器を積分器から切り離すように構成される。
【0010】
パルス整形器は、パルス生成の期間中に積分器に並列に接続され、パルス生成の別の期間中に切り離されるフィードバック抵抗器を有するため、パルスの生成が、任意の顕著な同時放電メカニズムによって実質的に妨げられない一方、同時に、エネルギペデスタルの発生、すなわち、不十分な放電によって引き起こされる任意の後続のパルスのエネルギオフセットを効率的に回避することができるように、パルス整形器を設計することができる。パルス生成フェーズ(pulse generation phase)の外側では、フィードバック抵抗器は、任意の残りのエネルギペデスタルを除去するために、積分器に並列に連続的に接続されることが好ましい。さらに、積分器を放電するために少なくとも1つの電流源を使用することによって、積分器の「ソフトリセット」を実現することができる。さらに、フィードバック抵抗器は放電中に切り離されるので、積分器は定電流で放電されることができ、その結果、線形放電が生じる。加えて、放電中に検出された光子から生じる電荷は、失われることはないが、依然としてパルスに寄与する、すなわち、積分器の出力は、それらに反応する。これは、パルスの後縁の間にパルスがオーバーラップする事象を説明するために、パイルアップ(pile-up)モデルを容易にし得るので、パイルアップ補正に役立ち得る。
【0011】
以下にさらに詳細に説明するように、スペクトル光子計数検出器は、多重エネルギX線放射(polyenergetic x-ray radiation)を検出するための検出要素を有し、各検出要素は、パルス整形器と、ピーク振幅を1つ又は複数のエネルギ閾値と比較するためのエネルギ弁別器(energy discriminator)と、パルスの前縁がエネルギ閾値を超える(crosses)回数を各エネルギ閾値に対して計数するための光子計数器とを有する。
【0012】
少なくとも1つの電流源は、2つ以上の電流源を有することが好ましく、接続される電流源の数は、パルスの前縁によって超えられる2つ以上の電流源に関連付けられる予め定められたいくつかの閾値に依存する。予め定められた閾値は、エネルギ弁別器によって採用されるエネルギ閾値に優先的に対応する。すなわち、パルスの前縁が最低エネルギ閾値のみを通過する場合、1つの電流源のみが積分器に並列に接続されて積分器を放電し、パルスの前縁が最低エネルギ閾値と二番目に低いエネルギ閾値の両方を通過する場合、2つの電流源が並列に接続されて積分器を放電するなどである。パルスの前縁が全てのエネルギ閾値を超える場合、全ての電流源は、積分器に並列に接続されて積分器を放電する。
【0013】
優先的に、パルス整形器は、放電中に接続された電流源の数を徐々に減らすように構成される。この目的のために、パルス整形器は、パルスの後縁が、電流源に関連付けられる、対応するエネルギ閾値などの予め定められた閾値を超えるときに、電流源を切り離すように構成されることが好ましい。例えば、パルスの前縁が全てのエネルギ閾値を超え、全ての電流源が積分器を放電するために最初に積分器に並列に接続されると仮定する。ここで、放電の間、パルスの後縁は、連続的に、最高のエネルギ閾値と、最低のエネルギ閾値までの任意のより低いエネルギ閾値とを超え、各々の場合において、それぞれのエネルギ閾値が関連付けられている電流源は、切り離される。少なくとも1つの電流源と同様に、放電は、好ましくは、各電流源によって一定の電流で実行され、その結果、区分的線形放電(piece-wise linear discharge)が生じ、それぞれの勾配は、接続された電流源の数に依存する。このようにして、積分器の放電は、パルスがより高い間により速くされることができ、パルスが低くなるにつれて遅くなる。そのようなトポロジーの利点は、閾値間の決定論的な勾配(deterministic slope)であり、これは、パイルアップモデリングをさらに容易にし得る。さらに、電流源の相互作用によって実現されるような「ソフトな」遷移は、積分器の電子構成要素の限定されたスルーレート(slew-rate)によって引き起こされるスプリアス過渡現象を最小化するのに役立つ。
【0014】
パルス整形器は、パルスの後縁が予め定められた閾値を超えたときに、切り替え可能な放電回路による放電を停止するように構成されることが好ましい。特に、予め定められた閾値は、(i)エネルギ弁別器の最低エネルギ閾値、(ii)エネルギ弁別器の最低エネルギ閾値とピークのベースラインとの間の追加の閾値、及び(iii)ピークのベースラインから選択されることが好ましい。第1のケースでは、パルスの後縁が最低エネルギ閾値を超える場合、パルス整形器は、少なくとも1つ又は最後の電流源を切り離し、フィードバック抵抗器を積分器に並列に再接続する。残りの放電が次いで積分器及びフィードバック抵抗器の時定数に従って生じる。これは、エネルギ弁別器の最低閾値が容易に利用可能であり得るので、複雑ではない。しかし、それは、フィードバック抵抗器によってのみ放電されることができる比較的大きな電荷がまだ積分器内に蓄積されていることを意味し得る。弾道欠損を最小化するためにフィードバック抵抗器は比較的大きいものでなければならないので、これは比較的長い放電時間をもたらす可能性がある。対照的に、好ましくはパルスのベースラインにできるだけ近い、追加の閾値が使用される場合、残りの電荷は、エネルギ弁別器の最低閾値の等価エネルギと比較して小さくすることができる。これは、より短いパルスの生成を可能にし、従って、より高い計数率を可能にし得る。最後に、ピークのベースラインが予め定められた閾値として使用される場合、積分器は切り替え可能な放電回路によって完全に放電される。しかし、これは、ゼロ交差を検出してからリセットを解除するまでの間の反応時間が有限であるため、オーバーシュートを引き起こす可能性がある。
【0015】
また、パルス整形器が、2つのパルスの間の谷を検出する谷検出器をさらに有することも好ましく、パルス整形器は、谷の検出に基づいて切り替え可能な放電回路による放電を停止するように構成される。谷検出器は、先行するパルスの放電と重複するパルスの検出の場合に、切り替え可能な放電回路による放電を適時に停止させることを可能にし得る。その場合、放電を停止し、新たなイベントの電荷を収集することを可能にすることが重要である。しかし、パイルアップがない場合には、ピーク検出器は、切り替え可能な放電回路による放電を停止するための上述の閾値ベースのメカニズムの1つと組み合わせて、そのような状態で放電が確実に停止されるようにする必要がある。
【0016】
パルス整形器は、検出された光子のエネルギに依存する電気信号を増幅する前置増幅器をさらに有することが好ましく、増幅器は積分器の上流に配置され、パルス整形器は、増幅された電気信号に基づいて、ピークの検出及び切り替え可能な放電回路による放電の制御を行うように構成される。
【0017】
本発明の別の態様では、スペクトル光子計数検出器に使用するパルス整形器が提供され、パルス整形器は:
‐ 検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成する積分器と;
‐ フィードバック抵抗器と;
‐ 積分器を放電する切り替え可能な放電回路と;
‐ パルスのピークを検出するピーク検出器と;
を有し、
パルス整形器は、ピークの検出に基づいて切り替え可能な放電回路による積分器の放電を開始し、パルス生成の期間中はフィードバック抵抗器を積分器に並列に接続し、パルス生成の別の期間中はフィードバック抵抗器を切り離すように構成され、
パルス整形器は、積分器の充電フェーズの開始を検出する充電フェーズ開始検出器をさらに有し、切り替え可能な放電回路はフィードバック抵抗器を有し、パルス整形器は、検出された開始とピークの検出との間にフィードバック抵抗器を積分器から切り離すように、及び、フィードバック抵抗器を接続して積分器を放電するように構成される。
【0018】
これは、放電フェーズの外側の弾道欠損と電位(部分)充電損失の両方を最小化することを目的としている。フィードバック抵抗器は、充電フェーズ(電荷収集フェーズ)の間に積分器から切り離され、パルスのピークがピーク検出器によって検出されるとき、すなわち、単一光子の検出から生じる全ての電荷が収集されるとき、再び接続される。
【0019】
好ましくは、フィードバック抵抗器は、充電フェーズの開始が検出される前に積分器に接続されるので、フィードバック抵抗器が切断されないように、充電フェーズ開始検出器によって検出されないままの任意の低エネルギ事象は、次に、フィードバック抵抗器によって実装されるように「連続リセット」(この用語は、フィードバックキャパシタに平行に永久的に接続されたフィードバック抵抗器の概念に関して文献において使用されている)を生じさせる、すなわち、パルス整形器は、小さなパルスを生成し、これはしかし検出されず(その振幅は、充電フェーズ開始検出器をトリガするのに十分ではないため)、残りのエネルギペデスタル(energy pedestal)の問題は排除される。
【0020】
フィードバック抵抗器は、高いカウント速度をサポートするのに十分速く積分器を放電するために、比較的小さい寸法とすることが好ましい。小さいフィードバック抵抗器は、「連続リセット」の従来の実施において高い弾道欠損を引き起こすが、充電フェーズ(電荷収集フェーズ)中にフィードバック抵抗器を切り離すため、これはここでは問題ではない。
【0021】
充電フェーズ開始検出器は、パルスの振幅の高速変化を検出することによって開始を検出するように構成されることが好ましい。これは、パルスの振幅が充電フェーズの開始時に急速に変化することが期待されるという事実を考慮に入れたものである。
【0022】
また、パルス整形器が、積分器に並列に永久的に接続された追加のフィードバック抵抗器をさらに有することも好ましい。特に、追加のフィードバック抵抗器が非常に大きい場合、これはパルスのピークの検出を簡単にすることができる。このより大きいフィードバック抵抗器は、ピーク検出器によってより容易に検出することができる実際のピークが形成されることを確実にする。
【0023】
本発明の別の態様では、スペクトル光子計数検出器が提供され、スペクトル光子計数検出器は:
‐ 多重エネルギX線放射を検出する検出要素を有し、各検出要素は:
‐ 請求項1又は9で定義されたパルス整形器と;
‐ ピーク振幅を1つ又は複数のエネルギ閾値と比較するエネルギ弁別器と;
‐ パルスの前縁がエネルギ閾値を超える回数を、エネルギ閾値ごとにカウントする光子カウンタと;を有する。
【0024】
本発明の別の態様では、X線イメージングシステムが提供され、X線イメージングシステムは:
‐ 物体を収容するように適合された検査ゾーンを横切るように多重エネルギX線放射を提供するX線照射装置と;
‐ 請求項12に定義されたスペクトル光子計数検出器と;
‐ 光子カウントに基づいて画像を再構成する再構成ユニットと;を有する。
【0025】
本発明の別の態様では、スペクトル光子計数検出器に使用するためのパルス整形方法が提供され、前記パルス整形方法は:
‐ 積分器によって、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成するステップと;
‐ ピーク検出器によって、パルスのピークを検出するステップと;
‐ ピークの検出に基づいて切り替え可能な放電回路によって積分器の放電を開始するステップと;
‐ パルス生成の期間中にフィードバック抵抗器を積分器に並列に接続し、パルス生成の別の期間中にフィードバック抵抗器を切り離すステップと;
を含み、
切り替え可能な放電回路は、少なくとも1つの電流源を有し、パルス整形方法は、少なくとも1つの電流源を積分器に並列に接続して積分器を放電し、放電中にフィードバック抵抗器を積分器から切り離す。
【0026】
本発明の別の態様では、X線イメージングシステムが提供され、X線イメージングシステムは:
‐ 物体を収容するように適合された検査ゾーンを横切るように多重エネルギX線放射を提供するX線照射装置と;
‐ 請求項12に定義されたスペクトル光子計数検出器と;
‐ 光子カウントに基づいて画像を再構成する再構成ユニットと;を有する。
【0027】
本発明の別の態様では、スペクトル光子計数検出器に使用するためのパルス整形方法が提供され、パルス整形方法は:
‐ 積分器によって、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成するステップと;
‐ ピーク検出器によってパルスのピークを検出するステップと;
‐ ピークの検出に基づいて切り替え可能な放電回路によって積分器の放電を開始するステップと;
‐ パルス生成の期間中にフィードバック抵抗器を積分器に並列に接続し、パルス生成の別の期間中にフィードバック抵抗器を切り離すステップと;
を含み、
パルス整形方法は、充電フェーズ開始検出器によって積分器の充電フェーズの開始を検出するステップをさらに含み、切り替え可能な放電回路はフィードバック抵抗器を有し、パルス整形方法は、検出された開始とピーク検出との間でフィードバック抵抗器を積分器から切り離し、フィードバック抵抗器を接続して積分器を放電する。
【0028】
請求項1及び9のパルス整形器、請求項12のスペクトル光子計数検出器、請求項13のX線イメージングシステム、並びに請求項14及び15のパルス整形方法は、特に従属請求項に定義されるように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0029】
また、本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の、又は、上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることを理解されたい。
【0030】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかになり、説明される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、X線イメージングシステム、ここでは、物体の画像を生成するためのスペクトル分解コンピュータ断層撮影システムの一実施形態を概略的且つ例示的に示す。スペクトル分解コンピュータ断層撮影システム17は、z方向に平行に延びる回転軸Rの周りを回転することができる支持体1を含む。X線管を有し、スキャン中にスペクトル分解コンピュータ断層撮影システム17の検査ゾーン5を横切るように多重エネルギX線放射4を提供するように構成された、X線照射装置2が、支持体1に取り付けられる。この実施形態では、X線照射装置2は、多重エネルギX線放射として円錐X線放射ビーム4を提供するように構成されている。別の実施形態では、X線照射装置2は、別のビーム形状、例えばファンビーム形状を持つ多重エネルギX線放射を提供するように構成されることができる。X線放射4は、本実施形態では円筒形である検査ゾーン5に収容される患者などの物体(図示せず)を横切る。検査ゾーン5を横切った後、X線放射ビーム4は、スペクトル光子計数検出器6に入射し、この検出器は、ここでは、二次元検出面内に配置された検出要素3を有する。スペクトル光子計数検出器6は、支持体1に取り付けられている。
【0033】
スペクトル分解コンピュータ断層撮影システム17は、2つのモータ7、8を有する。支持体1は、モータ7によって、好ましくは一定だが調整可能な角速度で駆動される。モータ8は、回転軸R又はz軸の方向に平行に、検査ゾーン5内のテーブル(図示せず)上に配置された患者などの物体を変位させるために設けられている。モータ7、8は、例えば、X線照射装置2及び検査ゾーン5内の物体が螺旋軌道に沿って互いに相対的に移動するように制御ユニット9によって制御される。しかし、検査ゾーン5内の物体が移動されるのではなく、X線照射装置2のみが回転されること、すなわち、X線照射装置2が物体に対して円形の軌道に沿って移動することも可能である。
【0034】
物体に対するX線照射装置2の移動中に、スペクトル光子計数検出器6の検出要素3は、検査ゾーン5を横切った後の多重エネルギX線放射を検出し、スペクトル光子計数検出器6は、1つ又は複数のエネルギビンにおける光子計数を各検出要素3に対して測定する。したがって、X線照射装置2、X線照射装置2を物体に対して移動させるための要素、特にモータ7、8及び支持体1、並びにスペクトル光子計数検出器6は、スペクトル光子計数X線放射検出システム31の構成要素とみなすことができる。
【0035】
スペクトル分解コンピュータ断層撮影システム17、特に、スペクトル光子計数X線放射検出システム31は、既知の再構成アルゴリズムを用いることによって、光子計数に基づいてコンピュータ断層撮影画像を再構成するための再構成ユニット14をさらに有する。再構成は、例えば、フィルタ逆投影法、反復再構成法、ラドン反転法などに基づき得る。光子カウントは、スペクトル分解された投影データを構成し、再構成は、検査ゾーン5内の物体の異なる材料及び/又は異なる物理的効果に関連付けられ得る、スペクトル分解された投影データを異なる成分に分解、及び、分解されたスペクトル分解投影データに基づく1つ又は複数のコンピュータ断層撮影画像の生成を含み得る。例えば、単一の分解された成分のみ又は分解された成分のいくつかを示すコンピュータ断層撮影画像が再構成され得る。再構成されたコンピュータ断層撮影画像は、ディスプレイ16に示され得る。スペクトル分解投影データを異なる成分に分解するために、J. P. Schlomka et al., "Experimental feasibility of multi-energy photon-counting K-edge imaging in pre-clinical computed tomography" Physics in Medicine and Biology, Vol. 53, No. 15 (2008)に開示されているアルゴリズムのように、既知の分解アルゴリズムを使用することができ、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。追加的又は代替的に、画像ベースの材料分解が適用されてもよい。
【0036】
スペクトル分解コンピュータ断層撮影システム17は、例えば、ユーザが開始又は停止コマンドのような入力コマンド及び/又は収集及び再構成パラメータのような設定パラメータを入力することを可能にするために、コンピュータマウス、キーボード、タッチパッドなどのような入力ユニット15をさらに有する。制御ユニット9はまた、スペクトル光子計数検出器6及び/又は再構成ユニット14を制御し得る。
【0037】
スペクトル光子計数検出器6は、CdTe、CaZnTe又はSiなどの直接変換材料を利用する検出要素3を優先的に有する。このようなスペクトル光子計数検出器は、例えば、R. Steadman et al., "ChromAIX: Fast photon-counting ASIC for Spectral Computed Tomography", Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment, Vol. 648, Suppl. 1 (2011)から知られており、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0038】
図2は、
図1に示すスペクトル光子計数検出器6の検出要素3の一実施形態を概略的且つ例示的に示す。検出要素3は、ここでは並列にキャパシタンス17に接続された電流ISを伴う電流源16として表される放射感知センサ15を有する。検出要素3は、パルス整形器18と、エネルギ弁別器29と、光子カウンタ30と、読み出し部31とをさらに有する。パルス整形器18は、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成する、ここでは演算増幅器20と演算増幅器20に並列に接続されたフィードバックキャパシタ21とを有する、積分器19を有する。エネルギ弁別器29は、次いで、ピーク振幅を1つ又は複数のエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nと比較するように構成され、光子カウンタ30は、各エネルギ閾値に対して、パルスの前縁がエネルギ閾値を超える回数C
1、C
2、...、C
Nをカウントするように構成される。パルス整形器18は、フィードバック抵抗器22と、積分器19を放電させる切り替え可能な放電回路23と、積分器19によって生成されたパルスのピークを検出するピーク検出器24とをさらに有する。パルス整形器18は、ピークの検出に基づいて切り替え可能な放電回路23によって積分器19の放電を開始するように構成される。
【0039】
この例では、ピーク検出器24は、演算増幅器50、トランジスタ51、キャパシタ52、比較器53、及びスイッチ54を有する。演算増幅器50は、その正の入力を積分器19の出力に、その反転入力をキャパシタ52に、その出力をトランジスタ51のゲートに接続される。ピーク検出器24は以下のように動作する:キャパシタ52が完全に放電されたと仮定する。演算増幅器50の正の入力がその反転入力よりも正である限り、キャパシタ52は積分器19の出力に依存して充電される。すなわち、積分器19の出力がキャパシタ52の両端電圧よりも正である限り、キャパシタ52は積分器19の出力に追従する。さて、積分器19の出力が減少し始める(極大値を示す)と、キャパシタ52はその電荷を保持する。この瞬間、キャパシタ52の両端電圧が積分器19の出力よりも今や高いので、比較器53はトリップする。次いで、比較器53は、切り替え可能な放電回路23のスイッチを作動させる。これに関して、積分器19の出力電圧は、キャパシタ52の両端間の電圧降下よりも定義上低いので、切り替え可能な放電回路23は作動されたままであることに留意されたい。したがって、キャパシタ52を短絡させ、それによって切り替え可能な放電回路23による積分器19の放電を停止させるためのメカニズムが必要とされる。このメカニズムは、スイッチ53によって提供される。
【0040】
この実施形態では、切り替え可能な放電回路23は、少なくとも1つの、ここではまさに1つの電流源25を有し、パルス整形器18は、1つの電流源25を積分器19に並列に接続して積分器19を放電し、放電中にフィードバック抵抗器22を積分器19から切り離すように構成される。この目的のために、対応するスイッチが、フィードバック抵抗器22及び1つの電流源25の経路に予見される。2つのスイッチは、同じ信号によって駆動することができ、スイッチの一方が閉じると、もう一方のスイッチが開き、逆も同様である。積分器19を放電するために電流源25を使用することによって、フィードバックキャパシタの「ソフトリセット」を実現することができる。さらに、フィードバック抵抗器22は放電中に切り離されるので、積分器19は定電流で放電され、その結果、線形放電が生じる。加えて、放電中に放射感知センサ15に衝突するX線光子から生じる電荷は失われないが、依然としてパルスに寄与する、すなわち、積分器19の出力はそれらに反応する。これは、パルスの後縁の間にパルスがオーバーラップする事象を説明するために、パイルアップモデルを容易にし得るので、パイルアップ補正に役立つ可能性がある。
【0041】
この実施形態では、パルス整形器18は、パルスの後縁が予め定められた閾値を超えたときに、切り替え可能な放電回路23によって積分器19の放電を停止するように構成される。ここで、予め定められた閾値は、エネルギ弁別器29の最低エネルギ閾値X1に対応する。すなわち、パルスの後縁が最低エネルギ閾値X1を超える場合、パルス整形器18は、1つの電流源25を切り離し、フィードバック抵抗器22を積分器19に並列に再接続する。次いで、残りの放電は、フィードバックキャパシタ21及びフィードバック抵抗器22のRC時定数に従って発生する。
【0042】
図3は、
図2に示す検出要素3の実施形態の拡張を概略的且つ例示的に示す。図では、ピーク検出器24、エネルギ弁別器29、光子カウンタ30及び読み出し部31を示す
図2の右側の部分は省略されている。この拡張において、少なくとも1つの電流源は、2つ以上の、ここでは、N個の電流源25
1、25
2、...、25
Nを含み、接続される電流源25
1、25
2、...、25
Nの数は、パルスの前縁によって超えられる(N個の電流源25
1、25
2、...、25
Nに関連する)予め定められた閾値の数に依存する。ここで、予め定められた閾値は、エネルギ弁別器29のエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nに対応する。すなわち、パルスの前縁が最低エネルギ閾値X
1のみを超える場合、1つの電流源25
1のみが積分器19に並列に接続されて積分器19を放電し、パルスの前縁が最低エネルギ閾値と二番目に低いエネルギ閾値X
1、X
2の両方を超える場合、2つの電流源25
1、25
2は積分器19に並列に接続されて積分器19を放電する、などである。パルスの前縁が全てのエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nを超える場合、全ての電流源25
1、25
2、...、25
Nは、積分器19に並列に接続されて積分器19を放電する。
【0043】
この実施形態では、パルス整形器18は、放電中に接続された電流源25
1、25
2、...、25
Nの数を徐々に減らすように構成される。これは、パルスの後縁が予め定められた閾値、ここでは、電流源25
1、25
2、...、25
Nに関連付けられたエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nを超えるときに、電流源25
1、25
2、...、25
Nを切り離すことによって達成される。例えば、パルスの前縁が全てのエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nを超え、全ての電流源25
1、25
2、...、25
Nがまず、積分器19に並列に接続されて積分器19を放電すると仮定する。ここで、放電の間、パルスの後縁は、最高のエネルギ閾値X
Nと、最低のエネルギ閾値X
1までの任意のより低いエネルギ閾値とを連続的に超え、各場合において、それぞれのエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nが関連付けられた電流源25
1、25
2、...、25
Nは、切り離される。
【0044】
図2に示す1つの電流源25を有する実施形態のように、放電は、各電流源25
1、25
2、...、25
Nによって、一定の電流で実行することができ、その結果、区分的線形放電が生じ、それぞれの勾配は、接続された電流源25
1、25
2、...、25
Nの数に依存する。この方法では、積分器19の放電は、パルスがより高い間に速くし、パルスがより低くなるにつれて遅くすることができる。さらに、パルスの後縁がエネルギ弁別器29の最低エネルギ閾値X
1を超えるとき、パルス整形器18は、残りの1つの電流源25
1を切り離し、フィードバック抵抗器22を積分器19に並列に再接続する。上述したように、次に、残りの放電は、フィードバックキャパシタ21及びフィードバック抵抗器22のRC時定数に従って生じる。そのようなトポロジーの利点は、閾値間の決定論的な勾配であり、これは、パイルアップモデリングをさらに容易にし得る。さらに、N個の電流源25
1、25
2、...、25
Nの相互作用によって実現される「ソフト」遷移が、演算増幅器20の制限されたスルーレートによって引き起こされるスプリアス過渡現象を最小化するのに役立ち得る。
【0045】
各電流源25
1、25
2、...、25
N並びにフィードバック抵抗器22の接続及び切り離しは、フィードバック抵抗器22及びN個の電流源25
1、25
2、...、25
Nの経路に予見される対応するスイッチによって実行することができる。特に、最低エネルギ閾値X
1に対応するスイッチ及びフィードバック抵抗器22に対応するスイッチは、同じ信号によって駆動することができ、スイッチの一方が閉じられると、他方のスイッチが開かれ、その逆も同様である。
【0046】
図4は、N個の電流源25
1、25
2、...、25
Nによる積分器の放電を示すグラフを概略的且つ例示的に示す。グラフの横座標はパルスの持続時間tを示し、縦座標はパルスの振幅Aを示す。パルスのピークは、ここでは、極大LMとして検出される。もちろん、パルスが負の場合、ピークは極小として検出され得る。グラフから分かるように、ピークを検出すると、切り替え可能な放電回路23による積分器19の放電が開始される。この例では、パルスのピークは、全ての電流源25
1、25
2、...、25
Nが最初に積分器19に並列に接続されて積分器19を放電するように、最高エネルギ閾値X
Nよりも高いと仮定される。この状況では、線形放電は、N個の電流源25
1、25
2、...、25
Nの共同作用(joint action)から生じる比較的急勾配で生じる。パルスの後縁が最高エネルギ閾値X
Nを超えた後、電流源25
Nは切り離され、N−1個の電流源25
1、25
2、...の共同作用の結果として、今度は勾配が減少した状態で線形放電が発生する。別のエネルギ閾値X
1、X
2、...がパルスの後縁によって超えられるたびに別の電流源25
1、25
2、...が切り離され、その結果、接続された電流源25
1、25
2、...、25
Nの数が徐々に減少し、線形放電の勾配の対応する減少が生じる。最後に、パルスの後縁が最低エネルギ閾値X
1を超えるとき、1つの残りの電流源25
1が切り離され、フィードバック抵抗器22が積分器19に並列に再接続され、そのため、残りの放電が、フィードバックキャパシタ21及びフィードバック抵抗器22のRC時定数に従って生じる。
【0047】
図5は、
図1に示されるスペクトル光子計数検出器6の検出要素3の別の実施形態を概略的且つ例示的に示す。図では、ピーク検出器24、エネルギ弁別器29、光子カウンタ30及び読み出し部31を示す
図2の右側の部分は省略されている。ここで、パルス整形器18は、検出された光子のエネルギに依存する電気信号を増幅するための前置増幅器32と、アンダーシュートを防止するためのゼロポールキャンセラ(zero-pole canceller)36とをさらに有する。前置増幅器32は、追加の演算増幅器33と、両方とも演算増幅器33に並列に接続されているフィードバックキャパシタ34及びフィードバック抵抗器35の組み合わせとを有している。ゼロポールキャンセラ36は、並列に接続されたキャパシタ37及び抵抗器38を有する。
【0048】
この実施形態では、パルス整形器18は、積分器19の充電フェーズの開始を検出する充電フェーズ開始検出器40をさらに有する。さらに、切り替え可能な放電回路23はフィードバック抵抗器22を有し、パルス整形器18は、検出された開始とピーク検出の間でフィードバック抵抗器22を積分器19から切り離し、フィードバック抵抗器22を接続して積分器19を放電させるように構成されている。したがって、積分器19の放電は、ここではフィードバック抵抗器22によって行われるが、
図2及び3に示す実施形態では、少なくとも1つの電流源25、それぞれ25
1、25
2、...、25
Nによって行われた。この実施形態は、放電フェーズ中の弾道欠損及び電位(部分)充電損失の両方を最小化することを目的とする。フィードバック抵抗器22は、充電フェーズ(電荷収集フェーズ)の間に積分器19から切り離され、パルスのピークがピーク検出器24によって検出されたとき、すなわち、放射感知センサ15上の単一光子の衝突から生じる全ての電荷が収集されたとき、再接続される。
【0049】
優先的には、フィードバック抵抗器22は、充電フェーズの開始が検出される前に積分器19に接続されるので、フィードバック抵抗器22が切り離されないように、充電フェーズ開始検出器40によって検出されないままであるあらゆる低エネルギ事象は、フィードバック抵抗器22によって実行されるような「連続リセット」を生じさせる。すなわち、パルス整形器18は、小さなパルスを生成し、これはしかし(その振幅は充電フェーズ開始検出器40をトリガするのに十分ではないため)検出されず、残りのエネルギペデスタルの問題は除去される。
【0050】
ここで、充電フェーズ開始検出器40は、パルスの振幅の高速変化を検出することによって充電フェーズの開始を検出するように構成されている。これは、パルスの振幅が充電フェーズの開始時に急速に変化することが期待されるという事実を考慮に入れたものである。
図5に示す2段トポロジー(パルス整形器18プラス前置増幅器32(及びゼロポールキャンセラ36))は、CZTのような電子収集センサに対して負の振幅を有するパルスを生成するので、充電フェーズの開始は、演算増幅器20の出力電圧の急速な減少によって検出される。単段トポロジー(CSAなし、整形器のみ)では、出力振幅は正であり、充電フェーズの開始は、演算増幅器20の出力電圧の急速な増加によって検出される。適当な充電フェーズ開始検出器40の一実施形態が、
図6に概略的且つ例示的に示されている。充電フェーズ開始検出器40は、インバータ41及び比較器42を有する。インバータ41は、積分器19の出力信号を遅延させるように構成され、比較器42は、積分器19の「遅延されない」出力信号が「遅延された」信号よりも低い電圧V
Hである場合、積分器19の出力信号の速い減少を示す、論理1を生成する。比較器42は、パルスが、ここでは極小として検出される、ピークに達するまで、論理1に留まる。この実施形態では、論理レベル1はフリップフロップで「ラッチ」される。充電フェーズ開始検出器40は、充電フェーズの間に積分器19からのフィードバック抵抗器22の切り離しをトリガするために使用され、ピーク検出器24は、パルスのピークを検出し、ピーク検出時に、積分器19と並列にフィードバック抵抗器22の再接続をトリガし、充電フェーズ開始検出器40をリセットするために使用される。
【0051】
フィードバック抵抗器22は、高いカウント速度をサポートするのに十分な速さで積分器19を放電するために、比較的小さい寸法とすることが好ましい。小さいフィードバック抵抗器22は、「連続リセット」の従来の実施において高い弾道欠損を引き起こすが、充電フェーズ(電荷収集フェーズ)中にフィードバック抵抗器22を切断するため、これはここでは問題ではない。2つのX線光子が互いに直後に放射感知センサ15に衝突する場合、3つのケースが可能である:
i) それらは互いに非常に近接しているので、最初のパルスの最小値は検出されない。この場合、両方の事象は、両方の事象の合計電荷を提供する単一の事象とみなされる。
ii) それらは互いに比較的近接しているが、フィードバック抵抗器22が積分器19に並列に接続され、積分器19が放電されるように、最初のパルスのピークが検出される。第2の事象のために、積分器19の出力信号は再び増加し、これは充電フェーズ開始検出器40によって検出され、フィードバック抵抗器22が再び切り離されることにつながる。この場合、短時間の間、第2の事象は、小さな弾道欠損が生じるように、積分器19をフィードバック抵抗器22と並列に「する(sees)」。
iii) それらは、並列に接続されたフィードバック抵抗器22で積分器19を放電するのに要する時間よりも長い時間を有する。この場合、両事象の合計電荷が収集され、弾道欠損はない。
【0052】
これの利点は、従来の「連続リセット」スキームと同じくらい高い又はそれより高いカウント速度が、弾道欠損に悩まされることなく達成可能であることである。
【0053】
さらに
図6に示すように、この実施形態では、パルス整形器18は、積分器19に並列に永久的に接続された追加のフィードバック抵抗器26をさらに有する。特に、追加のフィードバック抵抗器26が非常に大きい場合、これはパルスのピーク、ここでは極小の検出を簡単にすることができる。このより大きなフィードバック抵抗器26は、
図2に示すピーク検出器によってより容易に検出することができる、実ピークが形成されることを確実にする。
【0054】
図7は、パルス整形方法の一実施形態を例示的に示すフローチャートを示しており、これは、
図2、3及び5に示す検出要素3の実施形態のいずれかを用いて実現することができる。
【0055】
ステップS101において、積分器19は、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成する。
【0056】
ステップS102において、ピーク検出器24がパルスのピークを検出する。
【0057】
ステップS103において、切り替え可能な放電回路23による積分器19の放電が、ピークの検出に基づいて開始される。
【0058】
ステップS104において、フィードバック抵抗器22は、パルス生成の期間中に積分器19に並列に接続され、フィードバック抵抗器22は、パルス生成の別の期間中に切り離される。
【0059】
図3及び4を参照して説明した実施形態では、予め定められた閾値は、エネルギ弁別器29のエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nに対応するが、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、他の実施形態では、切り替え可能な放電回路23によって構成される電流源の数は、エネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nの数よりも少なくてもよく、そのサブセットのみが電流源のそれぞれの接続、切り離しを制御するためには使用されてもよい。また、予め定められた閾値の全部又は一部は、エネルギ弁別のために使用されるエネルギ閾値X
1、X
2、...、X
Nから独立して定められてもよい。
【0060】
図3及び4を参照して説明した実施形態では、パルス整形器18は、パルスの後縁がエネルギ弁別器29の最低エネルギ閾値X
1を超えるときに、切り替え可能な放電回路23によって積分器19の放電を停止するようになっているが、これは他の実施形態では異なってもよい。例えば、最低エネルギ閾値X
1とピークのベースラインとの間の追加の閾値(エネルギ結合に使用されない)が、予め定められた閾値として選択され得る。この場合、追加の閾値は、積分器19に蓄積された残りの電荷がエネルギ弁別器の最低閾値X
1の等価エネルギと比較して小さくなることができるように、パルスのベースラインにできるだけ近いことが好ましい。さらなる代替として、ピークのベースラインは予め定められた閾値として使用されてもよく、その場合、積分器19は切り替え可能な放電回路23によって完全に放電される。しかし、これは、ゼロクロス(zero-crossing)を検出してからリセットを解除するまでの間の反応時間が有限であるため、オーバーシュートを引き起こす可能性がある。
【0061】
図2〜4を参照して説明した実施形態では、パルス整形器18はさらに、2つのパルスの間の谷を検出するための谷検出器(図示せず)を含んでもよく、パルス整形器18は、谷の検出に基づいて切り替え可能な放電回路23による放電を停止するように構成することができる。これは、極大を検出する代わりに、2つのパルスの間の谷を検出するように設計される修正ピーク検出器によって実施することができる。そうすることの利点は、積分器19の放電中にX線光子が放射感知センサ15に衝突するときに、放電メカニズムがパルス整形器18によって生成されるパルスの開始に影響を与えないことを確実にすることである。このような修正されたピーク検出器は、入力において反転バッファ段を有する
図2に示されるのと同じトポロジーに基づくことができる。谷検出器は、先行するパルスの放電にオーバーラップした放射感知センサ15にパルスが衝突した場合に、切り替え可能な放電回路23による放電を適時に停止することを可能にする。その場合、放電を停止し、新たなイベントの電荷を収集できるようにすることが重要である。しかし、パイルアップがない場合、ピーク検出器は、そのような状態で放電が確実に停止されるように、切り替え可能な放電回路23による放電を停止させるための上述の閾値ベースのメカニズムの1つと組み合わされる必要がある。
【0062】
図5及び6を参照して説明した実施形態の代わりに、充電フェーズ開始検出器40は、パルスの最小値に到達することを決定するのに十分に良好であることが予測される。なぜなら、この場合、積分器19の出力信号はもはや変化しないからであり、この場合、比較器42の出力は0に戻る。この場合、ピーク検出器24は無しで済ますことができ、フィードバック抵抗器22の接続は、充電フェーズ開始検出器40によって直接トリガすることができる。しかし、このことは、一定量の弾道欠損が依然として容認できることを意味している。
【0063】
図5及び6を参照して説明した実施形態では、切り替え可能な放電回路23による放電を停止させるための特定のメカニズムは不要であることが留意されるべきである。むしろ、フィードバック抵抗器22がフィードバックキャパシタ21からの電荷を完全に消耗したとき、放電は本質的に「自己」停止する。言い換えると、ピーク(ここでは、極小)が検出され、切り替え可能な放電回路23がトリガされてフィードバック抵抗器22を再接続すると、放電は「連続リセット」構成と同じように動作する。
【0064】
開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、当業者が請求項に記載された発明を実施する際に理解し、実施することができる。
【0065】
請求項において、語「有する、含む」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの(“a”又は“an”)」は、複数を除外しない。
【0066】
単一のユニット又は装置は、請求項に記載されたいくつかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に利用できないことを示すものではない。
【0067】
1つ又は複数のユニット又は装置によって実行される、パルスのピークの検出、切り替え可能な放電回路23による積分器19の放電の制御などの動作は、任意の他の数のユニット又は装置によって実行されることができる。これらの動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として及び/又は専用ハードウェアとして部分的に実行することができる。
【0068】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体上に記憶/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムなどの他の形態で分配されてもよい。
【0069】
請求項中の引用符号は、その範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0070】
本発明は、パルス整形器に関する。パルス整形器は、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成する積分器と、フィードバック抵抗器と、積分器を放電させる切り替え可能な放電回路と、パルスのピークを検出するピーク検出器とを有する。パルス整形器は、ピークの検出に基づいて切り替え可能な放電回路により積分器の放電を開始し、パルス生成の期間中にフィードバック抵抗器を積分器に並列に接続し、パルス生成の別の期間中にフィードバック抵抗器を切り離すように構成されている。