(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913183
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】モジュールユニット、クランプアセンブリ、および、これらを備えたスライス装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20210727BHJP
B26D 1/36 20060101ALI20210727BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20210727BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D1/36 D
B26D3/26 604
B26D1/36 H
B26D1/36 C
B26D1/36 G
B26D3/28 610T
【請求項の数】28
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-562560(P2019-562560)
(86)(22)【出願日】2018年5月11日
(65)【公表番号】特表2020-519469(P2020-519469A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】US2018032365
(87)【国際公開番号】WO2018213130
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2020年1月14日
(31)【優先権主張番号】62/506,667
(32)【優先日】2017年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504444120
【氏名又は名称】アーシェル ラボラトリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲレッグ,ダスティン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャコー,マイケル スコット
【審査官】
永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−534201(JP,A)
【文献】
米国特許第05555787(US,A)
【文献】
特開平09−225885(JP,A)
【文献】
特表2016−514629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/26
B26D 1/36
B26D 3/26
B26D 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライス装置の切断ヘッドに刃部を固定するためのモジュールユニットであって、前記モジュールユニットは、
軸方向に間隔をあけて配置される取付ブロックと、
前記取付ブロック間に位置するよう前記取付ブロックに取り付けられるクランプアセンブリと、
を備え、
前記クランプアセンブリは、
ナイフホルダと、
前記ナイフホルダの上に配置され、かつ、前記ナイフホルダに支持される刃部と、
前記刃部が前記ナイフホルダとクランプとの間に位置するよう前記ナイフホルダの上に配置されるクランプと、
前記クランプの外面上に配置されるカムロッドであって、該カムロッドと前記刃部との間に位置する前記クランプを前記ナイフホルダに固定し、前記クランプの外面と係合または非係合することにより、前記刃部を前記クランプと前記ナイフホルダとの間に挟むまたはその間から解放するように作動可能なカムロッドと、を備え、
前記カムロッドは、前記取付ブロックに回転可能に結合された両側端部と、前記両側端部の間で前記クランプの外面と接触するよう配置されたカム部とを有し、前記カムロッドは、前記刃部を挟むクランプ位置と前記刃部を解放するリリース位置との間で回動可能であり、前記カムロッドが前記クランプ位置にある場合に、前記カム部は前記ナイフホルダに対して前記クランプを保持する力を付与し、前記カムロッドが前記リリース位置にある場合に、前記カム部は前記クランプに対する力を解除し、
前記クランプアセンブリは、前記カムロッドが前記クランプ位置にある場合に、前記ナイフホルダから離れる前記カム部の撓みを抑止する手段を備える、
モジュールユニット。
【請求項2】
前記撓み抑止手段は、前記カム部から伸長するラッチと、前記ナイフホルダに設けられたキャッチとを備える、請求項1に記載のモジュールユニット
【請求項3】
前記ラッチは、前記カム部に螺合している、請求項2に記載のモジュールユニット。
【請求項4】
前記キャッチは、前記ナイフホルダに設けられ、肩部を有するスロットを備え、前記ラッチは、前記スロットを通過するよう構成されたシャンクと、前記肩部と係合するよう構成されたヘッドとを備える、請求項2に記載のモジュールユニット。
【請求項5】
前記スロットの前記肩部は、前記スロットの幅狭部によって構成されている、請求項4に記載のモジュールユニット。
【請求項6】
前記スロットの前記幅狭部は、前記ヘッドが移動する円弧状の経路に近似する曲率半径を有する入口を有する、請求項5に記載のモジュールユニット。
【請求項7】
前記クランプは、前記ナイフホルダ中の前記スロットと相補的なスロットを有する、請求項4に記載のモジュールユニット。
【請求項8】
前記ナイフホルダにおける前記スロットを備えた、着脱可能なインサートをさらに備える、請求項4に記載のモジュールユニット。
【請求項9】
前記カムロッドの前記カム部は、前記クランプ位置において前記クランプに接触し、前記リリース位置において前記クランプと係合解除する、前記カムロッドの円筒部からなる、請求項1に記載のモジュールユニット。
【請求項10】
前記カムロッドは、前記取付ブロックに回転可能かつ偏心的に結合され、前記カム部は、前記クランプ位置において前記ナイフホルダに近接し、前記カム部は、前記リリース位置において前記ナイフホルダから離間する、請求項1に記載のモジュールユニット。
【請求項11】
切断ヘッドと、前記切断ヘッドに取り付けられるモジュールユニットとを備えるスライス装置であって、
前記モジュールユニットは、
前記切断ヘッドの軸方向に間隔をあけて配置される取付ブロックと、
前記取付ブロック間に位置するよう前記取付ブロックに取り付けられるクランプアセンブリと、
を備え、
前記クランプアセンブリは、
ナイフホルダと、
前記ナイフホルダの上に配置され、かつ、前記ナイフホルダに支持される刃部と、
前記刃部が前記ナイフホルダとクランプとの間に位置するよう前記ナイフホルダの上に配置されるクランプと、
前記クランプの外面上に配置されるカムロッドであって、該カムロッドと前記刃部との間に位置する前記クランプを前記ナイフホルダに固定し、前記クランプの外面と係合または非係合することにより、前記刃部を前記クランプと前記ナイフホルダとの間に挟むまたはその間から解放するように作動可能なカムロッドと、を備え、
前記カムロッドは、前記取付ブロックに回転可能に結合された両側端部と、前記両側端部の間で前記クランプの外面と接触するよう配置されたカム部を有し、前記カムロッドは、前記刃部を挟むクランプ位置と前記刃部を解放するリリース位置との間で回動可能であり、前記カムロッドが前記クランプ位置にある場合に、前記カム部は前記ナイフホルダに対して前記クランプを保持する力を付与し、前記カムロッドが前記リリース位置にある場合に、前記カム部は前記クランプに対する力を解除し、
前記クランプアセンブリは、前記カムロッドが前記クランプ位置にある場合に、前記ナイフホルダから離れる前記カム部の撓みを抑止する手段を備える、
スライス装置。
スライス装置。
【請求項12】
前記クランプアセンブリの少なくとも一部は、前記切断ヘッドから前記取付ブロックを取り外すことなく前記取付ブロックから前記クランプアセンブリを分解することによって、前記切断ヘッドから取り外し可能である、請求項11に記載のスライス装置。
【請求項13】
前記撓み抑止手段は、前記カム部から伸長するラッチと、前記ナイフホルダに設けられたキャッチとを備える、請求項11に記載のスライス装置。
【請求項14】
前記キャッチは、前記ナイフホルダに設けられ、肩部を有するスロットを備え、前記ラッチは、前記スロットを通過するよう構成されたシャンクと、前記肩部と係合するよう構成されたヘッドとを備える、請求項13に記載のスライス装置。
【請求項15】
前記スロットの前記肩部は、前記スロットの幅狭部によって構成されている、請求項14に記載のスライス装置。
【請求項16】
前記スロットの前記幅狭部は、前記ヘッドが移動する円弧状の経路に近似する曲率半径を有する入口を有する、請求項15に記載のスライス装置。
【請求項17】
前記クランプは、前記ナイフホルダ中のスロットと相補的なスロットを有する、請求項14に記載のスライス装置。
【請求項18】
前記ナイフホルダにおける前記スロットを備えた、着脱可能なインサートをさらに備える、請求項14に記載のスライス装置。
【請求項19】
前記カムロッドは、前記取付ブロックに回転可能かつ偏心的に結合され、前記カム部は、前記クランプ位置において前記ナイフホルダに近接し、前記カム部は、前記リリース位置において前記ナイフホルダから離間する、請求項11に記載のスライス装置。
【請求項20】
前記取付ブロックとともに、前記取付ブロック間に配置される、調整可能なゲートをさらに備え、前記調整可能なゲートは、前記取付ブロックに対して調整可能に固定され、径方向の位置が調整可能な後縁を備える、請求項11に記載のスライス装置。
【請求項21】
前記切断ヘッドは、前記切断ヘッドの軸方向に間隔をあけて配置されたサポートリングを備え、前記モジュールユニットは、前記サポートリングの間に取り付けられ、前記取付ブロックのうちの第1の取付ブロックは、前記サポートリングのうちの第1のサポートリングに固定可能であり、前記取付ブロックのうちの第2の取付ブロックは、前記サポートリングのうちの第2のサポートリングに固定可能である、請求項11に記載のスライス装置。
【請求項22】
前記カムロッドが前記クランプ位置を超えて回転することを防止する第1のストッパと、前記カムロッドが前記リリース位置を超えて回転することを防止する第2のストッパと、を備える、請求項21に記載のスライス装置。
【請求項23】
第1のストッパおよび第2のストッパは、第1サポートリングに設けられる、請求項22に記載のスライス装置。
【請求項24】
第1サポートリングを、第1サポートリングの第2のストッパの位置とは異なる第2のストッパの位置を有する第3サポートリングと交換可能であり、第1サポートリングにおける前記リリース位置と第3サポートリングにおける前記リリース位置とを異ならせる、請求項23に記載のスライス装置の変更方法。
【請求項25】
第3サポートリングにおける前記リリース位置は、第1サポートリングにおける前記リリース位置と比較して、より分厚い刃部のクランプおよびリリースを可能にする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記より分厚い刃部は、凹凸が周期的なパターン形状を有する、成形された刃部からなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記クランプアセンブリを前記取付ブロックから取り外し、前記成形された刃部と相補的な凹凸の周期的なパターンをそれぞれ有する第2のナイフホルダと第2のクランプとを備える、第2のクランプアセンブリを前記取付ブロックに取り付けることが可能である、請求項26に記載のスライス装置の変更方法。
【請求項28】
前記切断ヘッドは環状切断ヘッドからなり、前記スライス装置は、前記切断ヘッドに対する回転方向に前記切断ヘッドの軸を中心とした回転のために前記切断ヘッド内に同軸に取り付けられたインペラをさらに備え、前記インペラは、前記切断ヘッドに向かって径方向外方に食品を運搬する手段を備え、前記刃部は、前記インペラの回転方向とは反対方向に、前記インペラに向かって径方向内方に伸長する、請求項11に記載のスライス装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2017年5月16日に出願された米国特許仮出願62/506,667の優先権の利益を主張し、その内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、食品に限定されない製品の切断装置に関する。具体的には、本発明は、刃部をスライス装置に固定するためのクランプアセンブリを備えるモジュールユニットと、これを備えるスライス装置に関する。
【背景技術】
【0003】
野菜、果実、乳製品、肉製品などの食品をスライスし、細断し、粉砕するためのさまざまな装置が知られている。このような目的に広く使用されている装置は、アーシェル・ラボラトリーズ・インク.(Urschel Laboratories, Inc.)から、「モデル・CC(Model CC;登録商標)」および「モデル・CCL(Model CCL)」のブランド名で市販されている。モデル・CC(登録商標)およびCCLは、遠心タイプのスライサを備え、さまざまな食品のスライスを高い生産能力で行うことができる。モデル・CC・シリーズの装置は、スライス、皮むき、細断、および粉砕を均一に行うのに適し、モデル・CCL・シリーズの装置は、ワッフル状または格子状のスライスまたはチップを生産することに適している。モデル・CC・シリーズの装置の構造および態様は、米国特許第3,139,128号、第3,139,129号、第5,694,824号、および第6,968,765号に示されており、その内容は本明細書に参照として組み込まれる。モデル・CCL・シリーズの装置の構造および態様は、米国特許第3,139,127号および第3,139,130号に示されており、その内容は本明細書に参照として組み込まれる。
【0004】
図1は、モデル・CC・シリーズの代表的な装置10を模式的に示している。装置10は、内周に取り付けられた切断刃部(図示せず)を備える略環状の切断ヘッド12を有する。インペラ14は、切断ヘッド12内に同軸に取り付けられており、切断ヘッド12の軸と一致する回転軸17を有する。インペラ14は、ハウジング18内に収納され、ギアボックス16に連結されたシャフトを介して、軸17を中心に回転駆動する。切断ヘッド12は、ギアボックス16の上方にあるサポートリング15に取り付けられ、インペラ14が回転する際には静止している。製品は、インペラ14の上方に位置するホッパ11を介して、切断ヘッド12およびインペラ14に運ばれる。作動時に、ホッパ11が製品をインペラ14に運ぶと、遠心力により製品は外方に移動し、切断ヘッド12の刃部との係合部へと運ばれる。インペラ14は、実質的に径方向を向いたパドル13を備え、それぞれのパドル13は、インペラ14の回転に従って、製品に係合して、切断ヘッド12の刃部に対して径方向外方に製品を導く面を有する。モデル・CC・シリーズの装置の構造に関する他の構成および操作に関しては、その改良された実施形態を含み、米国特許第3,139,128号、第3,139,129号、第5,694,824号、第6,968,765号、第7,658,133号、第8,161,856号、第9,193,086号、第9,469,041号、および第9,517,572号、並びに、米国特許出願公開第2016/0158953号および第2016/0361831号において明示されている。
【0005】
図2は、
図1の切断ヘッド12の1つを取り出して示す図であり、
図3は、切断ヘッド12の底面の一部を示す図である。切断ヘッド12は略環状であり、その周囲に切断刃部20を備える。それぞれの刃部20は、インペラ14の回転方向とは実質的に逆方向を向いて、径方向内方に突出する。刃部20の径方向で最も内側に刃先が形成されている。
図2に示した切断ヘッド12は、下部サポートリング22、上部サポートリング24、および、周方向に間隔をあけて配置された複数のサポートセグメント(シュー26)をさらに備える。切断ヘッド12の刃部20は、クランプアセンブリ28によって、シュー26にそれぞれ固定される。それぞれのクランプアセンブリ28は、シュー26の径方向内面側にファスナ29で取り付けられたナイフホルダ28Aと、シュー26の径方向外面側に取り付けられ、刃部20をナイフホルダ28Aに固定するためのクランプ28Bとを備える。図示の例では、シュー26は、サポートリング22と24にファスナ30により固定されている。シュー26には、サポートリング22と24に形成された孔に係合する、図示しない同軸のピボットピンが備えられている。シュー26のピンを軸として旋回させて、シュー26の向きを調節することにより、切断ヘッド12の軸に対する刃部20の刃先の径方向位置を変化させて、切断される食品のスライス厚さを調節することが可能となっている。一例では、ピボットピンの周方向後側に配置された、調節スクリュおよび/またはピン32によって、このような調節がなされる。
図2に示すように、それぞれのシュー26には、ファスナ35により取り付けられるゲートインサートストリップ34が任意的に取り付けられる。切断される食品は、次に来るシュー26に取り付けられた刃部20に接触する前に、ゲートインサートストリップ34を通過する。
【0006】
図2および
図3は、ファスナ36によってそれぞれのナイフホルダ28Aに固定された刃部20およびクランプ28Bを示す。それぞれのアセンブリ28の刃部20およびクランプ28Bの位置合わせは、ナイフホルダ26Bの支持面から突出するピン38により達成される。
図4の詳細な図示から理解されるように、ナイフホルダ28Aおよびクランプ28Bの対向面により、クランプ28Bは、刃先に隣接する刃部20に力を加える。
図5は、
図2および
図3に示した切断ヘッドのシュー26およびクランプアセンブリ28を示す分解図である。
【0007】
図6および
図7は、
図2および
図3に示したファスナ36の代わりに使用できるクイッククランプアセンブリ40を示す。クランプアセンブリ40は、ナイフホルダ40Aとクランプ40Bとを備える。クランプ40Bは、
図2および
図3に示したクランプ28Bと同一または類似している。ナイフホルダ40Aは、刃先付近で刃部20を支持し、かつ、スライスされる食品に付随する石やその他の残渣からナイフホルダ40Aの先端を保護する、インサート42を備える。ナイフホルダ40Aおよびクランプ40Bは、クランプ40Bを通って、クランプバー46に螺入されて、ナイフホルダ40Aに設置されたファスナ44によって、緩く組み立てられている。偏心クランプロッド48は、ナイフホルダ40Aの表面に形成された凹部50内に収納されている。偏心クランプロッド48は、その円筒形の外周面の一部に平面52を有する。クランプロッド48は、ナイフホルダ40Aと、クランプ40Bの刃部20とは逆側に位置する近位端との間に位置し、これらに接触する。ロッド48は、クランプ位置とリリース位置との間で回転し、刃部20をそれぞれ固定およびリリースする。
図6は、クランプ位置を示す。クランプ40Bの近位端がロッド48の円筒面に係合することにより、クランプ40Bの近位端がナイフホルダ40Aから外方に押され、クランプバー46が支点となって、クランプ40Bの両側端部が刃部20との係合状態にされる。ロッド48によりクランプ40Bに付与された力は、ロッド48を回転させ、その平面52がクランプ40Bの近位端を向くようにすることにより、解放される。
【0008】
モデル・CC・シリーズは、その使用目的において非常に良く機能しているが、モデル・CC・シリーズに代表されるタイプのスライス装置には、さらなる改良が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、刃部をスライス装置に固定するためのクランプアセンブリを備えるモジュールユニットと、切断ヘッドに刃部を固定するためのモジュールユニットが1つ以上設けられた切断ヘッドを有するスライス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様のモジュールユニットは、軸方向に間隔を空けて配置される取付ブロックと、該取付ブロック間に配置され、該取付ブロックに組み付けられるクランプアセンブリとを備える。本発明の他の好ましい一態様によれば、前記クランプアセンブリは、ナイフホルダと、該ナイフホルダに支持される刃部と、前記ナイフホルダとの間に前記刃部が存在するよう前記ナイフホルダ上に存在するクランプと、該クランプを前記ナイフホルダに固定し、該ナイフホルダと該クランプとの間に前記刃部を固定するカムロッドとを備える。前記カムロッドは、前記取付けブロックに回転可能に連結された両側端部と、前記両側端部の間で前記クランプに接触するよう配置されたカム部とを有する。前記カムロッドは、クランプ位置とリリース位置との間で回動可能であり、前記カムロッドが前記クランプ位置にある場合には、前記カム部は前記ナイフホルダに対して前記クランプを固定する力を付与し、前記カムロッドが前記リリース位置にある場合には、前記カム部は前記クランプに対する力を解除する。前記クランプアセンブリは、前記カムロッドが前記クランプ位置にある場合に、前記ナイフホルダから離れる前記カム部の撓みを抑止する手段をさらに備える。
【0011】
本発明の他の好ましい一態様では、上述したタイプのモジュールユニットの取付が可能である切断ヘッドを備えるスライス装置が提供される。該スライス装置の切断ヘッドは、カムロッドが前記クランプ位置を超えて回転することを防止する第1のストッパと、前記カムロッドが前記リリース位置を超えて回転することを防止する第2のストッパと備える。
【0012】
本発明の他の態様は、上述したタイプのスライス装置を改良する方法を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のモジュールユニットの技術的特徴は、前記カムロッドのカム部が、前記クランプと係合し、前記クランプにクランプ力を付与する場合に撓む度合いを最小限に抑え、刃部の長さ方向に沿って前記クランプにより付与されるクランプ力をより均一にできることにある。
【0014】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、従来のスライス装置の部分断面概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したスライス装置に適用可能な切断ヘッドの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した切断ヘッドの一部の底面図である。
【
図4】
図4は、前記切断ヘッドのクランプアセンブリの一部の詳細図である。
【
図5】
図5は、
図2および
図3に示した切断ヘッドのシューおよびクランプアセンブリの分解図である。
【
図6】
図2に示した切断ヘッドと共に使用可能な別のクランプアセンブリの側面図である。
【
図7】
図2に示した切断ヘッドと共に使用可能な別のクランプアセンブリの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の非限定的な実施形態による切断ヘッドであり、
図1に示したスライス装置と共に使用される切断ヘッドを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した切断ヘッドのサポートリングに組み付けられたモジュールユニットの1つを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9示したモジュールユニットの1つを示す斜視図および分解図である。
【
図12】
図12は、
図11に示したモジュールユニットにフラットな刃部が固定された閉位置における該ユニットの断面図である。
【
図13】
図13は、
図12に示したモジュールユニットが取り付けられたサポートリングに対するレバーの位置を示す切断ヘッドの一部の端面図である。
【
図14】
図14は、
図11および
図12に示したモジュールユニットから該フラットな刃部が解除された開位置における該ユニットの断面図である。
【
図15】
図15は、前記サポートリングに対するレバーの位置を示す切断ヘッドの一部の端面図である。
【
図18】
図18は、
図16に示した成形された刃部と共に使用するよう改良されたサポートリングに対するレバーの位置を示す端面図である。
【
図19】
図19は、
図12〜
図15に示したフラットな刃部と組み合わされたモジュールユニットを操作するレバーのストッパを示す、切断ヘッドの一部の斜視図である。
【
図20】
図20は、
図17および
図18に示した成形された刃部と組み合わされたモジュールユニットを操作するレバーのストッパを示す、切断ヘッドの斜視図である。
【
図24】
図24は、異なるサイズ(直径)のサポートリングに取り付けられた、
図8〜
図23に示したモジュールユニットの切断ヘッドを示す端面図である。
【
図25】
図25は、異なるサイズ(直径)のサポートリングに取り付けられた、
図8〜
図23に示したモジュールユニットの切断ヘッドを示す端面図である。
【
図26】
図26は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図27】
図27は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図28】
図28は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図29】
図29は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図30】
図30は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図31】
図31は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図32】
図32は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【
図33】
図33は、本発明の非限定的な実施形態によるロック機構を備えたモジュールユニットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図8は、
図1に示したスライス装置10あるいは該装置に変更および改良を施した構造を含む、さまざまな切断装置に使用可能な切断ヘッド62を示す。
図9〜
図33は、刃部70を切断ヘッド62に固定するために、1つ以上のモジュールユニットを使用する、非限定的な実施形態のさまざまな図である。切断ヘッド62については、
図1に示したインペラ14を備える
図1に示したスライス装置10を参照して説明する。したがって、以下の説明は、主に本発明の特定の態様に焦点を当てたものであり、
図1〜
図7に実質的に示した構造、機能、材料などについて、他の態様が詳述されていない場合がある。しかしながら、本発明の教示は、他のタイプの切断装置にも広く適用可能である。
【0017】
図示した実施形態に関する下記説明の理解を容易にするため、図示された実施形態に関する「垂直」、「水平」、「側方」、「前」、「後」、「横」、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「右」、「左」などを含む、相対的な用語についても、
図1に示す装置10に取り付けられた切断ヘッド62の方向を参照して使用される。装置10の切断ヘッド62およびインペラ14の同軸配置に基づき、「軸方向」、「周方向」、「径方向」などを含む、相対的な用語、および、これらの関連する形状も、図示された非限定的な実施形態を示すために使用される。これらすべての相対的な用語は、切断ヘッド62の構造および切断ヘッド62の部品および特徴に関する相対的な方向を示すものであり、図示された実施形態を説明するうえで利用されるものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
図8に示した切断ヘッド62は、略環状であって、その周囲に切断刃部70が取り付けられている。それぞれの刃部70は、切断ヘッド62内におけるインペラ14の回転方向とは実質的に逆方向であって、かつ、径方向内側に向けて突出し、刃部70の径方向で最も内側に刃先が形成される。
図8に示した切断ヘッド62は、下部サポートリング72および上部サポートリング74をさらに備え、これらの間に周方向に間隔をあけて配置されたモジュールユニット76が取り付けられる。それぞれのモジュールユニット76は、刃部70をモジュールユニット76に固定するクランプアセンブリ78を備える。
図9、
図10、および
図11から明らかなように、それぞれのモジュールユニット76のクランプアセンブリ78は、一対の取付ブロック84の間にファスナ82により取り付けられたナイフホルダ80を備え、取付ブロック84は、ファスナ86によりサポートリング72および74に固定される。切断ヘッド62におけるサポートリング72および74の位置に対応して、取付ブロック84は、切断ヘッド62の軸方向に離間している。ファスナ86により、取付ブロック84をサポートリング72および74に強固に固定することが好ましい。クランプアセンブリ78は、取付ブロック84間に取り付けられたクランプ81をさらに備え、クランプ81は、刃部を固定するために、ナイフホルダ80の径方向外面側に配置される。クランプ81は、取付ブロック84に回転可能に取り付けられることが好ましく、図示した実施形態においては、取付ブロック84をサポートリング72および74に固定するファスナ86は、取付ブロック84を通じて伸長し、クランプ81のピボットピンとしても機能する。
【0019】
取付ブロック84は、サポートリング72および74に備わる孔に係合するピン88を有する。サポートリング72および74に備わる孔を適切に位置させることにより、取付ブロック84の方向や、結果的に、取付ブロック84に取り付けられた刃部70、ナイフホルダ80、およびクランプ81の方向により、切断ヘッド62の軸に対する刃部70の刃先の径方向位置を変更することが可能であり、これにより、スライスされた食品の相対的な厚さを制御することできる。
図8〜
図11は、ファスナ92により取付ブロック84に固定された調整可能なゲート90を備えたモジュールユニット76を示す。食品は、後続のモジュールユニット76に取り付けられた刃部70に接する前に、ゲート90を通過する。スライスされる食品の厚さを相対的に微細制御することを可能にするために、取付ブロック84は、ゲート90と係合する調整ねじ94を備え、後続する刃部70の刃先に対するゲート90の後縁96(
図10および
図11)の径方向位置を変更する。
【0020】
図10および
図11からより明らかであるが、刃部70は、ナイフホルダ80の径方向外面に支持され、クランプ81は、ナイフホルダ80上にあるため、刃部70は、ナイフホルダ80と、ナイフホルダ80に面するクランプ81の径方向内面との間に位置する。刃部70、ナイフホルダ80、およびクランプ81の位置合わせは、ナイフホルダ80から刃部70の相補スロットおよびクランプ81の孔に突出するピン98により達成される。
図11に詳細に図示されているように、クランプ81に対してナイフホルダ80の方に向けて力を加えることにより、クランプ81のエクステンション81Aは、刃部70の刃先に隣接する刃部にクランプ力を付与する。本発明の好ましい一態様によれば、偏心カムロッド100は、クランプ81にクランプ力を付与するためのクイック・クランプ機能を有する。カムロッド100は、取付ブロック84の孔102を通過し、クランプ81の両端部に位置する直立フランジ81B(
図11)の相補孔104を通過する。カムロッド100と、ファスナ86により形成されたクランプ81のピボット軸とにより、取付ブロック84にクランプ81が緩く組み付けられる。
【0021】
図10からより明らかであるが、カムロッド100は、刃部70を固定するクランプ位置と、刃部70を解除するリリース位置との間を回転する際に、クランプ81と係合または非係合するカム部106を備える。
図11は、リリース位置を示す。カム部106がクランプ81と非係合の状態から、ロッド100を
図11における時計回りに回転させることにより、カム部106が偏心的に移動して、クランプ81の表面と係合することにより、クランプ81は刃部70と係合する。カム部106からクランプ81に付与された力は、カムロッド100を反時計回りに回転させることにより解除される。
【0022】
図示した実施形態においては、カムロッド100は、両側端部105を取付ブロック84に形成された孔102に挿入することにより、モジュールユニット76の取付ブロック84に回転可能に取り付けられ、カムロッド100は、前述したクランプ位置およびリリース位置の間において孔102内で回転可能となる。カムロッド100の両側端部105は同軸である一方、両側端部105間に存在するカム部106は、両側端部105および両側端部105が挿入された孔102に対して偏心していることが好ましい。すなわち、カム部106の軸は、カムロッド100の両端部と平行ではあるが、同軸ではないことが好ましい。手動による回転を容易化するために、ロッド100の一端にハンドル108が備えられている。図示した実施形態においては、ハンドル108は、
図8および
図9に示すように、サポートリング74の上方に位置するように、ロッド100に取り付けられている。
【0023】
モジュールユニット76の操作について、
図12〜
図15を参照して説明する。この例では、フラットなスライスを生成するための直線状の刃先を有する刃部70が用いられている。なお、直線状の刃先を有する刃部について、「フラットな刃部」と称する。
図16〜
図19を参照して後述するように、スライス、皮むき、細断、および粉砕された製品を製造するための他の形状の刃先を使用することも可能である。
【0024】
図12は、クランプ位置におけるカムロッド100を示す。カム部106は、円弧状のカム面を形成する円筒形状を有し、該カム面は、クランプ81の外面に接触して、クランプ81に対してナイフホルダ80に向かう力を加える。クランプ位置においては、カム部106は、その偏心により、ナイフホルダ80に最も近接しており、カム部106を、クランプ方向(
図12〜
図15における時計回り方向)に回転させると、より大きな力がクランプ81に付与される。その結果、刃部70は、ナイフホルダ80とクランプ81との間に固定される。
図13は、サポートリングに形成されたストッパ112により画定されたカムロッド100のクランプ位置を示す。カムロッド100に備えられた突起(ピン)116がストッパ112と当接することにより、カムロッド100がクランプ位置からさらに時計方向に回転することが制限される。
【0025】
図示した非限定的な実施形態のカム部106は、カム部106の円形断面輪郭における弦の上に存在する平面110を備える。
図12に示すように、平面110は、カム部106がクランプ位置にある場合には、クランプ81から反対の方向を向いている。平面110は、切断ヘッド62から排出されつつ刃部70およびクランプ81の外面を通過するスライスに対して、より大きな間隙を提供するために、カム部106上に存在することが好ましい。
【0026】
図14および
図15に示すように、
図12における反時計回り方向に、ロッド100のカム部106がリリース位置まで回転することで、
図14に示すように、カム部106は、回転してクランプ81との係合から外れ、ロッド100からクランプ81に対して付与された力が解除される。図示のように、クランプ位置から約90度の角度でカム部106が回転したリリース位置においては、カム部106は、偏心により、ナイフホルダ80からの中間距離にある。カム部106は、クランプ81の縁に係合し、クランプ81を旋回支軸(ファスナ86)を中心に径方向外方に回転させる。
図14から理解されるように、クランプ位置から約180度の角度までカム部106を回転させると、カム部106は、ナイフホルダ80から最大の距離で離れる。しかしながら、カムロッド100がリリース位置まで来ると、カムロッド100のピン116がサポートリングに形成されたストッパ114に当接して、カムロッド100の回転が制限される。それでもなお、カム部106により付与されたクランプ力は十分に解除され、
図14に示すように、クランプ81を緩めて刃部70の表面から持ち上げることができるようになる。刃部70はナイフホルダ80とクランプ81との間にもはや固定されていないため、刃部70をモジュールユニット76から取り外すことができ、たとえば、
図12〜
図15に示した上部リング74の開口部117から明らかであるように、フラットな刃部70は、クランプ位置とリリース位置との間でロッド100を回転させることにより迅速に固定したり解除したりすることができる。
【0027】
図16〜
図18は、フラットにスライスされた製品以外の製品を生産するために用いられる、フラットな刃部とは異なる形状を有する刃部の、モジュールユニット76への適用を示す。
図16は、凹凸が周期的に連続するパターン形状の刃先を備えるように成形された刃部70の非限定的な例を示す斜視図である。
図17は、
図16に示した成形された刃部70がモジュールユニット76に取り付けられた状態を示す。
図17から明らかであるように、成形された刃部70は、
図12〜
図15に示したフラットな刃部70よりも十分に厚く、
図14に示したクランプ81のリリース位置では、成形された刃部70をリリースするには不十分である。この課題は、カムロッド100のリリース位置を決定するストッパ114の配置を変更することで解決できる。具体的には、
図17および
図18は、
図13および
図15に示したストッパによる許容される90度を超えて、カム部106を反時計回りに回転させた状態を示す。
図17および
図18に示すように、カムロッド100は、クランプ位置から約180度回転されており、その結果、カム部106は、ナイフホルダ80から最大の距離で離れている。このような距離は、
図17から明らかであるように、成形された刃部70をクランプ81から解除するために十分な距離である。刃部70はナイフホルダ80とクランプ81との間にもはや固定されていないため、たとえば、
図18に示した上部リング74の開口部117を通じて、刃部70をモジュールユニット76から取り外すことができる。
【0028】
図19および
図20は、フラットな刃部70(
図19)または成形された刃部70(
図20)を固定するよう構成された、切断ヘッド62のサポートリング74に形成されたストッパ114の異なる位置をさらに示す、2つの斜視図である。
図12〜
図20から明らかであるように、モジュールユニット76自体を修正することなく、ストッパ114の位置を調整することにより、カムロッド100は、フラットな刃部から成形された刃部70まで適応することができる。かかる適応は、たとえば、サポートリング74を交換したり、適切な手段によりストッパ114の位置を移動または変更したりすることにより実現される。しかしながら、刃部70の形状に相補的にナイフホルダ80およびクランプ81を適切に成形することによって、より最適なクランプ効果を達成することもできる。さまざまな形状のナイフホルダ80およびクランプ81を取付ブロック84に組み込むことを可能とするモジュール構造によって、モジュールユニット76は、このような問題を解決している。このような本発明の好ましい態様を、
図21、
図22、および
図23に示す。
図21は、モジュールユニット76のサブアセンブリ118としての取付ブロック84およびカムロッド100を示す。
図22に、フラットな刃部70、および、このフラットな刃部70との使用に適するように特別に形成され、フラットな刃部70とともにクランプアセンブリ78を構成する、ナイフホルダ80およびクランプ81を、サブアセンブリ118に組み付けた状態を示す。
図23に、成形された刃部70と、この成形された刃部70の凹凸と相補的な凹凸の周期的パターンを有するように特別に形成されたナイフホルダ80およびクランプ81とからなる、別態様のクランプアセンブリ78を、同一のサブアセンブリ118に組み付けた状態を示す。
【0029】
図24および
図25は、さまざまな形状およびサイズ(直径)のサポートリング72および74に適用可能な汎用性を有するモジュールユニット76を示す。具体的には、モジュールユニット76の取付ブロック84の配置が、
図24および
図25のそれぞれのサポートリング72の間で異なっている。
図25におけるゲート90の後縁96が、後続する刃部70との間に、より大きなゲート開口部120を形成するため、
図25における刃部70は、
図24に示した同一のモジュールユニット76によって生産されるスライスよりも厚いスライスを生成する。
【0030】
図26〜
図33は、本発明の他の非限定な実施形態による種々のモジュールユニットを示す。便宜上、
図26〜
図33においては、
図8〜
図25に示したモジュールユニット76の実施形態について説明したものと同一または機能的に関連する要素を示すために、同一の参照符号を使用している。実施形態同士の類似性を鑑み、以下に記載する
図26〜
図33に関する説明においては、いくつかの顕著なまたは重要な方法を用いて、
図8〜
図25に示したモジュールユニット76とは異なる実施形態の態様に主に焦点を当てている。
図26〜
図33の実施形態のその他の内容についてはその詳述を省略するが、構造、機能、材料などの観点に関しては、
図8〜
図25に示したモジュールユニット76に関する説明により、実質的に説明されているものとみなすことができる。
【0031】
図26〜
図33に示したモジュールユニット76は、カムロッド100がクランプ位置にある場合に、ナイフホルダ80から離れるようにカム部106が撓むことを抑止する手段を備える。
図26〜
図33に示した実施形態では、この撓み抑止手段として、係合してクランプ力をクランプ81に付与する場合にカムロッド100のカム部106が歪む量を最小限に抑えるよう構成された補完機構122を備える。この場合、補完機構122は、刃部70の長さに沿ってクランプ81から付与されるクランプ力をより均一にすることもできる。カム部106の撓みは、カム部106に保持されたラッチ124を、ナイフホルダ80に備えられたキャッチ126と結合させることにより制限される。図示した非限定的な実施形態では、ラッチ124はカム部106に螺合または固定されるピンまたはボルトとして示され、キャッチ126は、ナイフホルダ80に形成されたスロットとして示されているが、カム部106とナイフホルダ80とが結合して、カム部106が離れる方向に撓むことを抑止するために、他の補完的な手段を採用することも予測されるが、そのような他の手段も本発明の範囲内である。
【0032】
図26は、モジュールユニット76に取り付けられた刃部70、ナイフホルダ80、クランプ81と、クランプ位置上のカムロッド100を示す。
図27は、
図26と同一の図であるが、クランプ81が取り除かれ、ナイフホルダ80がより完全に露わとなった図である。
図28は、
図27に示したモジュールユニット76を異なる角度から示した図であり、
図29は、
図28と同一の図であるが、カムロッド100がリリース位置にある図である。ラッチ124は、カムロッド100のカム部106から径方向に伸長し、カムロッド100がクランプ位置(
図26〜
図28)およびリリース位置(
図29)との間で回転することに伴い、ラッチ124は、キャッチ126との係合位置(
図30、
図32、および
図33)および係合解除位置(
図31)との間で回転する。
【0033】
図26〜
図33に示したラッチ124の実施形態は、シャンク124aと、該シャンク124aより幅広なヘッド124bを備える。
図30〜
図33では、ラッチ124は、ラッチ124のシャンク124aおよびヘッド124bが最初にキャッチ126に侵入して移動する結果として、キャッチ126と係合し、その後、シャンク124aがキャッチ126の制限された(より幅狭な)部分126aに侵入し、ヘッド124bは、カム部106の反対側の制限部126aによって形成された肩部126bと係合する。この動作を容易にするために、キャッチ126の制限された部分126aへの入口126cに、
図30および
図31に示されるような、傾斜し、より好ましくは曲率半径を有するように丸みを帯びた、ラッチヘッド124bが移動する際のアーチ形の経路に近似する、傾斜路を設ける。クランプ81がホルダ80を覆うため、ラッチ124がキャッチ126に自由に進入することができるように、補完スロット128をクランプ81に設け、ホルダ80のキャッチ126と整合させる。その有効性を最大化するために、ラッチ124は、取付ブロック84間のカム部106の長さ方向のほぼ中央に配置されることが好ましい。ただし、そのような位置に配置することは必須ではない。カム部106およびナイフホルダ80の長さ方向に沿って任意の数の補完的なラッチ124およびキャッチ126を使用することも本発明の範囲内である。
【0034】
図示した例においては、キャッチ126は、ナイフホルダ80に取り付けられた取り外し可能および交換可能なインサート130により構成されており、該キャッチ126の物理的特性および寸法は、ラッチ124に応じて調整することが可能である。インサート130は、ねじ留め具132によって取り外し可能に取り付けられているが、インサート130をナイフホルダ80に固定するために他の手段を用いた構成も、本発明の範囲内である。
図30と
図31とを比較して明らかなように、カム部106の離心率と、ラッチ124およびキャッチ126(および採用される場合はインサート130)の寸法は、カム部106とナイフホルダ80との間でクランプ81を係合しクランプする工程によってカム部106の撓みを除去できない場合であっても、補完機構122がカム部106の撓みを抑止可能なラッチング作用を提供できるように調整される。カム部106およびキャッチ126の寸法調整は、たとえば、ラッチ124がカム部106に螺合される度合いを調整する、あるいは、ラッチ124の寸法を変更することにより行われる。
【0035】
以上のように、本発明について、特定の実施形態に関して説明を行ったが、本発明の代替態様についても、当業者によって適用可能である。たとえば、スライス装置10、切断ヘッド62、インペラ14、モジュールユニット76、およびこれらの部品は、図示の態様および構造とは異なっていてもよく、特定の部品の機能は、異なる構造を有するが機能が類似する(必ずしも同等でなくてもよい)部品により達成されてもよく、スライス装置10、切断ヘッド62、インペラ14、モジュールユニット76、およびこれらの部品を製造するためには、さまざまな材料を採用することができる。したがって、上述した詳細な説明は、図示した特定の実施形態や、特定の(しかしこれに限定されない)特徴および態様を説明するものであり、特定かつ(必ずしもすべてではないが)代替的な実施形態、特徴、および態様を識別するためのものである。非限定的な例として、本発明は、開示された実施形態の1つ以上の特徴または態様に代替する、または2つ以上の特徴または態様を組み合わせた、追加的または代替的な実施形態を包含する。したがって、本発明は、本明細書に記述された実施形態または図示された実施形態に限定されない。また、図示した実施形態を説明する目的で本明細書において使用した語法および用語は、本発明の範囲を限定するものではない。したがって、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲のみによって限定される。