特許第6913194号(P6913194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913194
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】ロータ及びこのロータを有するモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20210727BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20210727BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H02K1/22 A
   H02K1/16
   H02K1/27 501K
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-23968(P2020-23968)
(22)【出願日】2020年2月17日
(62)【分割の表示】特願2018-503701(P2018-503701)の分割
【原出願日】2015年5月20日
(65)【公開番号】特開2020-99199(P2020-99199A)
(43)【公開日】2020年6月25日
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】201510166167.X
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517352186
【氏名又は名称】シェンジェン ギャム シャイン テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ケニー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,フイミン
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−248422(JP,A)
【文献】 国際公開第02/089301(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103618393(CN,A)
【文献】 国際公開第2011/114574(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0164635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/22
H02K 1/16
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(1)、ロータヨーク(2)、複数の第一永久磁石群(3)及び複数の第二永久磁石群(4)を備え、前記複数の第一永久磁石群(3)及び前記複数の第二永久磁石群(4)が前記ロータヨーク(2)の円周方向に沿って等間隔で交互に設けられ、前記回転軸(1)の軸方向において前記第一永久磁石群(3)及び前記第二永久磁石群(4)の配置を見た場合に、前記円周方向において、前記第一永久磁石群(3)と前記第二永久磁石群(4)とが隣接し、かつ、前記第一永久磁石群(3)の端部及び前記第二永久磁石群(4)の端部が接し
前記ロータヨーク(2)が、順次に前記回転軸(1)にスリーブ接続される第一ロータヨーク(21)、第二ロータヨーク(22)及び第三ロータヨーク(23)を備え、それぞれの前記第一永久磁石群(3)及び、それぞれの前記第二永久磁石群(4)が、前記第一ロータヨーク(21)に設けられる第一永久磁石(a)、前記第二ロータヨーク(22)に設けられる第二永久磁石(b)及び前記第三ロータヨーク(23)に設けられる第三永久磁石(c)を備え、隣接する2つの前記第一永久磁石(a)の前記回転軸(1)に向いている磁極が異なる極であり、隣接する2つの前記第二永久磁石(b)の前記回転軸(1)に向いている磁極が異なる極であり、隣接する2つの前記第三永久磁石(c)の前記回転軸(1)に向いている磁極が異なる極であり、
前記第一永久磁石群(3)の第一永久磁石(a)及び第三永久磁石(c)と、前記第一永久磁石群(3)の第二永久磁石(b)との前記回転軸(1)に向いている磁極が異なる極であり、この第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)の配置を前記回転軸(1)の軸方向において見た場合に、前記円周方向において、第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)が順次に隣接し、
前記第二永久磁石群(4)の第一永久磁石(a)及び第三永久磁石(c)と、前記第二永久磁石群(4)の第二永久磁石(b)との前記回転軸(1)に向いている磁極が異なる極であり、この第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)の配置を前記回転軸(1)の軸方向において見た場合に、前記円周方向において、第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)が順次に隣接し、
前記回転軸(1)の軸方向において前記第一永久磁石群(3)の第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)の配置を見た場合に、前記円周方向において、第一永久磁石(a)の端部、第二永久磁石(b)の端部、及び第三永久磁石(c)の端部が順次に接し、
前記回転軸(1)の軸方向において前記第二永久磁石群(4)の第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)の配置を見た場合に、前記円周方向において、第一永久磁石(a)の端部、第二永久磁石(b)の端部、及び第三永久磁石(c)の端部が順次に接することを特徴とするロータ。
【請求項2】
前記第一ロータヨーク(21)、前記第二ロータヨーク(22)及び前記第三ロータヨーク(23)にある、前記回転軸(1)から同じ距離のある箇所に、それぞれ前記第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)にフィットする溝(d)が設けられ、それぞれの溝(d)が前記回転軸(1)と平行に延びることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)がすべて長方体または立方体となることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)が円弧状断面を持つ柱体となり、前記第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)が対応する前記溝(d)にそれぞれ取り付けられるとき、前記第一永久磁石(a)、第二永久磁石(b)及び第三永久磁石(c)の断面の中心が回転軸(1)の軸心線に位置することを特徴とする請求項2に記載のロータ。
【請求項5】
前記回転軸(1)が、円柱体となる本体及び前記本体の側壁に設けられる複数のリブを備え、それぞれの前記リブが前記本体の軸方向と平行に延び、かつ、前記複数のリブが前記本体の円周方向に沿って均等に分散し、
前記ロータヨーク(2)にその軸心線に沿って円柱形のスルーホール(2a)が設けられ、前記スルーホール(2a)に対応する側壁に複数の溝(2b)が設けられ、前記本体が前記スルーホール(2a)を貫き、前記複数のリブがそれぞれ前記複数の溝(2b)に埋め込まれることを特徴とする請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記第一ロータヨーク(21)と前記第二ロータヨーク(22)と前記第三ロータヨーク(23)とが絶縁接着剤で粘着されることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項7】
斜溝ステータ及び請求項1〜6のいずれか1項に記載のロータを備え、前記斜溝ステータが多相励磁コイル及びステータコアを備え、前記ステータコアに前記多相励磁コイルを巻き付くための斜歯が設けられ、前記斜歯同士が、前記多相励磁コイルを設置するための斜溝を形成することを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁分野に関し、特にロータ及びこのロータを有するモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術について、永久磁石ブラシレスモータは電磁的要因、歯溝による影響、電流反転、電磁気反応などにより、強い脈動トルクが発生する。また、電磁的要因によるトルクリップルもあり、電磁トルクリップルはステータ電流とロータ磁場との相互作用により発生するトルクリップルであり、電流波形や逆起電力波形、エアギャップ磁束密度の分布と直接関係している。理想的には、ステータ電流が方形波であり、逆起電力波形が台形波であり、フラットルーフ幅が120°電気角であり、電磁トルクは一定値である。しかしながら、実際のモータについて、設計や製造上の原因で、逆起電力波形が台形波ではなくなり、フラットルーフ幅が120°電気角ではなくなる恐れがあるので、モータのトルクリップルにつながる。歯溝によるトルクリップルについて、ステータコア溝歯の存在で、永久磁石と対応するステータ表面のエアギャップが不均一になり、ロータが回転するとき、磁気状態では磁気回路・磁気抵抗が変化し、トルクリップルを引き起こす。このように、モータによる電気の使用効率が高くない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来の技術においてトルクリップルによりモータによる電気の使用効率が高くない問題に鑑みって、ロータ及びこのロータを有するモータを提供することを目的とする。
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明に係るロータは、回転軸、ロータヨーク、複数の第一永久磁石群及び複数の第二永久磁石群を備え、上記複数の第一永久磁石群及び上記複数の第二永久磁石群が上記ロータヨークの円周方向に沿って等間隔で交互に設けられ、上記第一永久磁石群及び上記第二永久磁石群による、上記回転軸に垂直する平面での投影が隣接し、かつ、エッジが重なる。
【0005】
上記ロータヨークが、順次に上記回転軸にスリーブ接続される第一ロータヨーク、第二ロータヨーク及び第三ロータヨークを備え、それぞれの上記第一永久磁石群及び、それぞれの上記第二永久磁石群が、上記第一ロータヨークに設けられる第一永久磁石、上記第二ロータヨークに設けられる第二永久磁石及び上記第三ロータヨークに設けられる第三永久磁石を備え、隣接する2つの上記第一永久磁石の上記回転軸に向いている磁極が異なる極であり、隣接する2つの上記第二永久磁石の上記回転軸に向いている磁極が異なる極であり、隣接する2つの上記第三永久磁石の上記回転軸に向いている磁極が異なる極である。
【0006】
上記第一永久磁石群の第一永久磁石及び第三永久磁石と、上記第一永久磁石群の第二永久磁石との上記回転軸に向いている磁極が異なる極であり、この第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石による、上記平面での投影が順次に隣接する。
【0007】
上記第二永久磁石群の第一永久磁石及び第三永久磁石と、上記第二永久磁石群の第二永久磁石との上記回転軸に向いている磁極が異なる極であり、この第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石による、上記平面での投影が順次に隣接する。
【0008】
本発明のロータは、上記第一永久磁石群の第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石による、上記平面での投影のエッジが順次に重なる。
【0009】
本発明のロータは、上記第二永久磁石群の第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石による、上記平面での投影のエッジが順次に重なる。
【0010】
本発明のロータは、上記第一ロータヨーク、上記第二ロータヨーク及び第三ロータヨークにある、上記回転軸から同じ距離のある箇所に、それぞれ上記第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石にフィットする溝が設けられ、それぞれの溝が上記回転軸と平行に延びる。
【0011】
本発明のロータは、上記第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石がすべて長方体または立方体となる。
【0012】
本発明のロータは、上記第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石が円弧状断面を持つ柱体となり、上記第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石が対応する上記溝にそれぞれ取り付けられるとき、上記第一永久磁石、第二永久磁石及び第三永久磁石の断面の中心が回転軸の軸心線に位置する。
【0013】
本発明のロータは、上記回転軸が、円柱体となる本体及び上記本体の側壁に設けられる複数のリブを備え、それぞれの上記リブが上記本体の軸方向と平行に延び、かつ、上記複数のリブが上記本体の円周方向に沿って均等に分散する。
【0014】
上記ロータヨークにその軸心線に沿って円柱形のスルーホールが設けられ、上記スルーホールに対応する側壁に複数の溝が設けられ、上記本体が上記スルーホールを貫き、上記複数のリブがそれぞれ上記複数の溝に埋め込まれる。
【0015】
本発明のロータは、上記第一ロータヨークと上記第二ロータヨークと上記第三ロータヨークとが絶縁接着剤で粘着される。
【0016】
本発明のモータは、斜溝ステータ及び上記のいずれかに記載されるロータを備え、上記斜溝ステータが多相励磁コイル及びステータコアを備え、上記ステータコアに上記多相励磁コイルを巻き付くための斜歯が設けられ、上記斜歯同士が、上記多相励磁コイルを設置するための斜溝を形成する。
【0017】
本発明の良好な効果として、本発明における第一永久磁石群と第二永久磁石群の配置方法により、第一永久磁石群と第二永久磁石群が斜溝ステータで発生する電磁界に入るときの抵抗を小さくする。各永久磁石群の第二永久磁石と、同群の第一永久磁石及び第三永久磁石とが磁極が異なる極であるので、この第二永久磁石が回転するとき、電源に電力をフィードバックする。斜溝ステータと階段状のロータとのフィットにより、ステータの表面でのエアギャップが均一になり、ロータがより滑らかになり、トルクがより大きくなるほか、脈動トルクも除去できるので、モータの電気効率を向上させ、エネルギーを節約する有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、添付する図面及び実施形態を参照し本発明についてさらに説明する。
【0019】
図1図1は本発明の好ましい実施形態におけるロータの分解構造の概略図である。
【0020】
図2図2図1に示す実施形態におけるロータの側壁面を平面に広げるときの永久磁石の配置の概略図である。
【0021】
図3図3図1に示す実施形態におけるロータヨークの上面図である。
【0022】
図4図4はもう一つの実施形態におけるロータヨークの上面図である。
【0023】
図5図5は本発明の実施形態における斜溝ステータにA相励磁コイルを巻き付けたときの構造概略図である。
【0024】
図6図6図5に示す実施形態における、A相励磁コイルが巻き付けられた斜溝ステータを広げたときの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示す本発明の第一実施形態におけるロータは、斜溝ステータにフィットしモータを構成するものである。図2に示すように、このロータは回転軸1、ロータヨーク2、複数の第一永久磁石群3及び複数の第二永久磁石群4を備える。複数の第一永久磁石群3及び複数の第二永久磁石群4がロータヨーク2の円周方向に沿って等間隔で交互に設けられ、第一永久磁石群3及び第二永久磁石群4による、回転軸1に垂直する平面での投影が隣接し、かつ、エッジが重なる。
【0026】
ロータヨーク2は、概して円柱形となり、順次に回転軸1にスリーブ接続される第一ロータヨーク21、第二ロータヨーク22及び第三ロータヨーク23を備える。第一ロータヨーク21と第二ロータヨーク22と第三ロータヨーク23とが絶縁接着剤で粘着される。そのうち、第一永久磁石群3及び第二永久磁石群4はすべて階段状となる。それぞれの第一永久磁石群3及び、それぞれの第二永久磁石群4は、第一ロータヨーク21に設けられる第一永久磁石a、第二ロータヨーク22に設けられる第二永久磁石b及び第三ロータヨーク23に設けられる第三永久磁石cを備える。第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cの磁極は、すべてロータヨーク2の直径方向に沿って分布し、かつ、寸法・形状が同じである。隣接する2つの第一永久磁石aの回転軸1に向いている磁極が異なる極であり、隣接する2つの第二永久磁石bの回転軸1に向いている磁極が異なる極であり、隣接する2つの第三永久磁石cの回転軸1に向いている磁極が異なる極である。
【0027】
さらに、第一永久磁石群3の第一永久磁石a及び第三永久磁石cと、第一永久磁石群3の第二永久磁石bとの回転軸1に向いている磁極が異なる極であり、この第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cによる、平面での投影が順次に隣接する。第二永久磁石群4の第一永久磁石a及び第三永久磁石cと、第二永久磁石群4の第二永久磁石bとの回転軸1に向いている磁極が異なる極であり、この第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cによる、平面での投影が順次に隣接する。各永久磁石群の第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cのロータヨーク2の直径方向に垂直する断面が長方体または立方体となる。
【0028】
本実施形態における第一永久磁石群3または第二永久磁石群4で発生する磁界が、斜溝ステータの多相励磁コイルで発生する磁界に入る場合、斜溝ステータが斜溝の構造であり、かつ、第一永久磁石群3または第二永久磁石群4がすべて階段状となるので、第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cはすべて斜めの角度で多相励磁コイルにより発生する磁界に入るとき、励磁コイルで発生する磁界による、各永久磁石群への抵抗を減らすことができる。第一永久磁石群3または第二永久磁石群4が徐々に斜溝ステータの多相励磁コイルで発生する磁界に入ったとき、互いに作用する磁力線が増加し、多相励磁コイルによる、ロータへの推力が大きくなる。また、斜溝ステータと階段状の第一永久磁石群3及び第二永久磁石群4とのフィットにより、ステータの表面でのエアギャップが均一になり、ロータがより滑らかになり、トルクがより大きくなるほか、脈動トルクも除去できるので、モータの電気効率を向上させ、エネルギーを節約する有益な効果がある。
【0029】
同じの永久磁石群において、中間の第二永久磁石bと上部の第一永久磁石a及び下部の第三永久磁石cとの磁極が異なる極であるので、モータの運転による渦電流損失及び熱を低減でき、電源に電力をフィードバックし、電気エネルギーの節約を実現できる。
【0030】
好ましくは、各第一永久磁石群3の第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cによる、回転軸1に垂直する平面での投影のエッジが順次に重なる。このように、各第一永久磁石群3の第二永久磁石bの磁気をいっそう高め、電気エネルギーの使用効率を向上させる。本実施形態において、第二永久磁石群4の第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cによる、平面での投影のエッジが順次に重なる。このように、各第二永久磁石群4の第二永久磁石bの回転トルクをいっそう高め、電気エネルギーの使用効率を向上させる。この第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cの寸法・形状が同じであるのは好ましい実施形態である。
【0031】
具体的には、第一ロータヨーク21、第二ロータヨーク22及び第三ロータヨーク23にある、回転軸1から同じ距離のある箇所に、それぞれ第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cにフィットする溝dが設けられ、それぞれの溝dが回転軸1と平行に延びる。第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cはすべて長方体または立方体となる。これに対応して、図3に示すように、溝dも長方体または立方体となる。
【0032】
本実施形態において、回転軸1が、円柱体となる本体(図示していない)及び本体の側壁に設けられる複数のリブを備え、それぞれのリブが本体の軸方向と平行に延び、かつ、複数のリブが本体の円周方向に沿って均等に分散する。図3に示すように、ロータヨーク2にその軸心線に沿って円柱形のスルーホール2aが設けられ、スルーホール2aに対応する側壁に複数の溝2bが設けられ、本体がスルーホール2aを貫き、複数のリブがそれぞれ複数の溝2bに埋め込まれる。このように、回転軸1がロータヨーク2に対して回転しないようにするほか、第一ロータヨーク21、第二ロータヨーク22及び第三ロータヨーク23の円周方向での相対的な位置をより良く制御でき、取付も簡単である。
【0033】
勿論、第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cはそれぞれ円弧状断面を持つ柱体であっても良い。第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cが対応する溝dにそれぞれ取り付けられるとき、第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cの断面の中心が回転軸1の軸心線に位置する。これに対応して、図4に示すように、溝dの断面も円弧形となる。このような形状の永久磁石は、モータの電気効率をいっそう向上させることができる。
【0034】
本発明は多相斜溝モータも提供する。斜溝ステータ及び上記の実施形態におけるロータを備え、この斜溝ステータが多相励磁コイル及びステータコアを備え、ステータコアに多相励磁コイルを巻き付くための斜歯が設けられ、斜歯同士が、多相励磁コイルを設置するための斜溝を形成する。図5はこの多相励磁コイルにおけるA相コイルを巻き付く概略図である。他の相のコイルは必要に応じて、それぞれ特定数の斜歯の間隔で巻き付ける。また、図3に示すように、A相励磁コイルの1つの極が乗り越えた中心角Yは、ロータにある各第一永久磁石a、第二永久磁石b及び第三永久磁石cがそれぞれ乗り越えた中心角αとおおよそ等しい。図2及び図6に示すように、斜溝の傾斜角と第一永久磁石群及び第二永久磁石群の傾斜角と同じであり、本実施形態では、すべて17度とする。
【0035】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の特定の実施形態に限定されるものではない。上記の特定の実施形態は単なる例示であり、限定的なものではない。当業者には、本発明による啓発の下で、本発明の趣旨及び特許請求の範囲から逸脱しない場合、様々な形態がなされ得る。これらはいずれも本発明の保護範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6