特許第6913195号(P6913195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許6913195情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
<>
  • 特許6913195-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図000002
  • 特許6913195-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図000003
  • 特許6913195-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図000004
  • 特許6913195-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図000005
  • 特許6913195-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6913195
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/06 20210101AFI20210727BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20210727BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20210727BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20210727BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20210727BHJP
【FI】
   H04W12/06
   H04W64/00
   H04W76/10
   H04W92/08 110
   H04W88/04
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-48773(P2020-48773)
(22)【出願日】2020年3月19日
【審査請求日】2020年12月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】中尾 仁史
(72)【発明者】
【氏名】稲嶺 亮
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 秀夫
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/218010(WO,A1)
【文献】 米国特許第09438564(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04L 12/00−12/26
H04L 12/50−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
専用ネットワークとVPN(Virtual Private Network)接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始する機能と、
前記携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を前記携帯端末に要求する機能と、
前記携帯端末から前記位置情報を受信することを条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続する機能と、
前記専用ネットワークに存在する位置確認サーバに前記位置情報と前記コンピュータの所属を特定するための所属情報とを送信する機能と、
前記位置確認サーバから、前記VPN接続を維持するか又は切断するかを示すVPN接続可否情報を受信する機能と、
前記VPN接続可否情報が前記VPN接続を切断することを示している場合、前記VPN接続を切断する機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記VPN接続可否情報が前記VPN接続を維持することを示していることを条件として、前記プログラムとは異なる他のプログラムによって前記コンピュータが前記専用ネットワークに前記VPN接続することを許可する機能をさらに実現させる、
請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記専用ネットワークに存在するサーバであって前記位置確認サーバとは異なる第2サーバとの専用回線による接続の可否を示す障害有無情報を取得する機能をさらに実現させ、
前記VPN接続する機能は、前記障害有無情報が前記専用回線による前記第2サーバとの接続ができないことを示していることをさらに条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続する、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、
前記専用回線を利用するための無線通信のアクセスポイントと接続する機能をさらに実現させ、
前記VPN接続する機能は、前記アクセスポイントから前記アクセスポイントを識別するための信号を受信することをさらに条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続する、
請求項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、
前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続している間、前記VPN接続が継続していることを示す情報を、前記プログラムとは異なる他のプログラムに通知する機能をさらに実現させる、
請求項1からのいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
日時を取得する機能と、
取得した日時があらかじめ定められた所定の日時を過ぎることを契機として、前記VPN接続を切断する機能と、
をさらに実現させる請求項1からのいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
コンピュータのプロセッサが、
専用ネットワークとVPN接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始するステップと、
前記携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を前記携帯端末に要求するステップと、
前記携帯端末から前記位置情報を受信することを条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続するステップと、
前記専用ネットワークに存在する位置確認サーバに前記位置情報と前記コンピュータの所属を特定するための所属情報とを送信するステップと、
前記位置確認サーバから、前記VPN接続を維持するか又は切断するかを示すVPN接続可否情報を受信するステップと、
前記VPN接続可否情報が前記VPN接続を切断することを示している場合、前記VPN接続を切断するステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置であって、
専用ネットワークとVPN接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始する通信制御部と、
前記携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を前記携帯端末に要求する位置情報要求部と、
前記携帯端末から前記位置情報を受信することを条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続するVPN接続部と、
を備え
前記VPN接続部は、
前記専用ネットワークに存在する位置確認サーバに前記位置情報と前記情報処理装置の所属を特定するための所属情報とを送信し、
前記位置確認サーバから、前記VPN接続を維持するか又は切断するかを示すVPN接続可否情報を受信し、
前記VPN接続可否情報が前記VPN接続を切断することを示している場合、前記VPN接続を切断する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク間を接続する通信回線に障害が発生した場合に、障害が発生した回線とは異なる別の回線に切り替え、ネットワーク間の接続を維持する冗長構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−201575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店頭等の端末が顧客情報等の機密情報が保管されているサーバにアクセスする場合、情報漏洩を防止するため、専用の通信回線を介してサーバに接続することが多く行われている。一方で、専用の通信回線はコストが高いため、専用の通信回線で冗長用の通信回線を構成することはコストの点で好ましいとは言いがたい。
【0005】
インターネット等の公衆の通信回線を利用し、専用の通信回線よりも安価に利用できるVPN(Virtual Private Network)接続を用いて冗長用の通信回線を構成することも考えられる。しかしながら、VPN接続を用いて冗長構成を実現すると、端末が公衆の通信回線と接続できればどこからでもサーバにアクセスできることになる。これは、端末が公衆の通信回線と接続できればどこからでもサーバに保管されている機密情報にアクセスできることになり、セキュリティの観点から好ましくない。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、VPN接続による冗長用の通信の安全性を高める技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、専用ネットワークとVPN接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始する機能と、前記携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を前記携帯端末に要求する機能と、前記携帯端末から前記位置情報を受信することを条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続する機能と、を実現させる。
【0008】
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記専用ネットワークに存在する位置確認サーバに前記位置情報と前記コンピュータの所属を特定するための所属情報とを送信する機能と、前記位置確認サーバから、前記VPN接続を維持するか又は切断するかを示すVPN接続可否情報を受信する機能と、前記VPN接続可否情報が前記VPN接続を切断することを示している場合、前記VPN接続を切断する機能と、をさらに実現させてもよい。
【0009】
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記VPN接続可否情報が前記VPN接続を維持することを示していることを条件として、前記プログラムとは異なる他のプログラムによって前記コンピュータが前記専用ネットワークに前記VPN接続することを許可する機能をさらに実現させてもよい。
【0010】
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記専用ネットワークに存在するサーバであって前記位置確認サーバとは異なる第2サーバとの専用回線による接続の可否を示す障害有無情報を取得する機能をさらに実現させてもよく、前記VPN接続する機能は、前記障害有無情報が前記専用回線による前記第2サーバとの接続ができないことを示していることをさらに条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続してもよい。
【0011】
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記専用回線を利用するための無線通信のアクセスポイントと接続する機能をさらに実現させてもよく、前記VPN接続する機能は、前記アクセスポイントから前記アクセスポイントを識別するための信号を受信することをさらに条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続してもよい。
【0012】
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続している間、前記VPN接続が継続していることを示す情報を、前記プログラムとは異なる他のプログラムに通知する機能をさらに実現させてもよい。
【0013】
前記プログラムは、前記コンピュータに、日時を取得する機能と、取得した日時があらかじめ定められた所定の日時を過ぎることを契機として、前記VPN接続を切断する機能と、をさらに実現させてもよい。
【0014】
上記のプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様は、情報処理方法である。この方法において、プロセッサが、専用ネットワークとVPN接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始するステップと、前記携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を前記携帯端末に要求するステップと、前記携帯端末から前記位置情報を受信することを条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続するステップと、を実行する。
【0016】
本発明の第3の態様は、情報処理装置である。この装置は、専用ネットワークとVPN接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始する通信制御部と、前記携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を前記携帯端末に要求する位置情報要求部と、前記携帯端末から前記位置情報を受信することを条件として、前記携帯端末を経由して前記専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続するVPN接続部と、を備える。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、VPN接続による冗長用の通信の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係る通信システムの構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
図3】実施の形態に係る通信システムで実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図の前半部である。
図4】実施の形態に係る通信システムで実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図の中盤部である。
図5】実施の形態に係る通信システムで実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図の後半部である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施の形態の概要>
図1は、実施の形態に係る通信システムSの構成を模式的に示す図である。以下、図1を参照して、実施の形態の概要を述べる。
【0021】
実施の形態に係る通信システムSは、情報処理装置1、携帯端末2、VPN終端端末3、位置確認サーバ4、第2サーバ5、及びアクセスポイント6を含むシステムであり、情報処理装置1と第2サーバ5との間の通信を管理するためのシステムである。情報処理装置1は、例えば店舗等に設置されたノートPC(Personal Computer)やタブレット等のコンピュータである。また、第2サーバ5の一例は、情報処理装置1のユーザが店頭等で業務を行う際に参照される顧客情報等の機密情報を管理している業務サーバであり、外部からのアクセスが厳しく制限されている専用ネットワークNpに存在する。
【0022】
情報処理装置1は、店舗等に設置されているアクセスポイント6を経由して、専用通信回線Pを介して第2サーバ5と接続することができる。専用通信回線Pは、情報処理装置1と第2サーバ5とを接続するための専用の回線であり、専用通信回線Pを利用することで情報処理装置1は第2サーバ5と安全に通信することができる。説明の便宜上、以下本明細書において、アクセスポイント6及び専用通信回線Pを介して情報処理装置1と第2サーバ5とが通信接続することを「専用回線接続」と記載することがある。図1においては、専用回線接続は二点鎖線によって表されている。情報処理装置1と第2サーバ5とは、専用回線接続が可能であれば専用回線接続によって通信する。
【0023】
何らかの原因によって専用回線接続を用いる通信に障害が発生し、情報処理装置1と第2サーバ5との通信ができなくなると、情報処理装置1のユーザの業務に支障を来すことになる。そこで、通信システムSは、専用回線接続のバックアップ回線として、インターネット等の公衆通信回線IとVPN接続とを利用した冗長パスも用意している。具体的には、情報処理装置1は、例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末2を経由して、VPN接続によって、専用ネットワークNpに設置されたVPN終端端末3との間の通信を確立することができる。VPN終端端末3は専用ネットワークNpに存在する第2サーバ5とも通信することができるため、情報処理装置1は、携帯端末2、公衆通信回線I、及びVPN終端端末3を経由して、第2サーバ5と通信することができる。図1においては、VPN接続は一点二鎖線で表されている。
【0024】
実施の形態に係る通信システムSにおいて、情報処理装置1と携帯端末2とは、それぞれ専用のアプリケーションプログラムを実行することによりVPN接続を実現する。以下、本明細書において、情報処理装置1又は携帯端末2が実行可能なアプリケーションプログラムを、単に「アプリ」と記載する。実施の形態に係る情報処理装置1が実行するアプリは、携帯端末2を経由することにより、VPN終端端末3とVPN接続を開始することができる。情報処理装置1が実行するVPN接続用アプリは、VPN終端端末3とのVPN接続を開始した直後は、VPN接続用アプリ以外の他のアプリによるVPN接続を介した通信を禁止している。
【0025】
携帯端末2は、例えばGPS(Global Positioning System)受信器等(不図示)の既知の位置取得モジュールを備えており、携帯端末2の現在位置を示す位置情報を取得することができる。携帯端末2が実行するアプリは、情報処理装置1が実行するアプリからの要求に応答して、位置情報を情報処理装置1に送信する。
【0026】
専用ネットワークNpに存在する位置確認サーバ4は、情報処理装置1が設置されている場所を特定するための所属情報と、情報処理装置1が設置されている位置を示す位置情報とを紐づけて管理する。位置確認サーバ4は、VPN接続によって情報処理装置1の所属情報と、情報処理装置1が携帯端末2から取得した位置情報とを受信する。位置確認サーバ4は、受信した位置情報と、情報処理装置1の所属情報に紐づけられている位置情報とのずれが所定の範囲である場合には、VPN接続を維持することを示す接続許可情報を情報処理装置1に送信し、そうでない場合にはVPN接続を切断すべきことを示す接続禁止情報を情報処理装置1に送信する。
【0027】
情報処理装置1は、位置確認サーバ4から接続許可情報を受信した場合にはVPN接続を維持するとともに、情報処理装置1が実行するVPN接続用アプリ以外の他のアプリに対して、VPN接続を介した通信を許可する。また、情報処理装置1は、位置確認サーバ4から接続禁止情報を受信した場合には、VPN接続を切断する。これにより、情報処理装置1が実行するVPN接続用アプリは、携帯端末2が店舗等の近くに存在する場合に限り、VPN終端端末3との間でVPN接続を維持する。結果として、情報処理装置1は、VPN接続による冗長用の通信の安全性を高めることができる。
【0028】
<実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成>
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、記憶部10、通信部11、及び制御部12を備える。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってもよい。図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0029】
記憶部10は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や情報処理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0030】
通信部11は、情報処理装置1が外部の装置との間で相互に情報をやりとりするための通信インタフェースであり、無線LAN(Local Area Network)モジュールやBluetooth(登録商標)モジュール等の既知の無線通信モジュールによって実現されている。以下、本明細書において、情報処理装置1は通信部11を介して外部の装置と通信することを前提とし、通信部11の記載は省略する。
【0031】
制御部12は、情報処理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部10に記憶されたVPN接続用アプリを実行することによって通信制御部120、位置情報要求部121、VPN接続部122、障害情報取得部123、通知部124、及び日時取得部125として機能する。
【0032】
通信制御部120は、専用ネットワークNpとVPN接続するために経由する携帯端末2との間で無線通信を開始する。位置情報要求部121は、携帯端末2が存在する位置を示す位置情報の送信を携帯端末2に要求する。
【0033】
携帯端末2は、情報処理装置1が実行中のVPN接続用アプリと対応するアプリ(以下、「中継端末用アプリ」と記載する。)を実行している。携帯端末2は、中継端末用アプリを実行することにより、位置取得モジュールから取得した位置情報を情報処理装置1からの要求に応じて情報処理装置1に送信する。
【0034】
VPN接続部122は、携帯端末2から位置情報を受信することを条件として、携帯端末2を経由して専用ネットワークNpのVPN終端端末3とVPN接続を開始する。すなわち、何らかの理由で携帯端末2から位置情報を取得できない場合には、VPN接続部122は、VPN終端端末3とVPN接続をすることはない。これにより、情報処理装置1は携帯端末2の位置を確認できない限りVPN接続を開始しないため、VPN接続による冗長用の通信の安全性を高めることができる。
【0035】
VPN接続部122は、専用ネットワークNpに存在する位置確認サーバ4に位置情報と情報処理装置1の所属を特定するための所属情報とを送信する。ここで、「所属情報」は、例えば、情報処理装置1が設置されている店舗を特定するための店舗識別子、情報処理装置1に固有に割り当てられているグローバルIP(Internet Protocol)アドレス、情報処理装置1のMAC(Media Access Control)アドレス等の情報である。
【0036】
位置確認サーバ4は、あらかじめ複数の店舗それぞれに設置されている複数の情報処理装置1それぞれの所属情報と、各情報処理装置1の設置場所を示す位置情報とを紐づけて管理する所属情報データベース(不図示)を保持している。位置確認サーバ4は、VPN終端端末3経由で情報処理装置1から取得した所属情報に基づいて所属情報データベースを参照することにより、情報処理装置1の設置場所の位置情報を取得する。続いて、位置確認サーバ4は、VPN終端端末3経由で情報処理装置1から取得した携帯端末2の位置情報と、所属情報データベースから読み出した位置情報とのずれを算出する。位置確認サーバ4は、算出したずれが所定の範囲内であれば、VPN終端端末3を経由して情報処理装置1に「VPN接続許可情報」を送信する。一方、位置確認サーバ4は、算出したずれが所定の範囲から外れている場合、情報処理装置1に「VPN接続禁止情報」を送信する。以下では、VPN接続許可情報とVPN接続禁止情報とをあわせた概念を「VPN接続可否情報」と記載する。
【0037】
ここで、VPN終端端末3経由で情報処理装置1から取得した携帯端末2の位置情報と、所属情報データベースから読み出した位置情報とのずれが大きい場合、ユーザが情報処理装置1及び携帯端末2を店舗外に持ち出して使用している蓋然性が高い。そのような場合、位置確認サーバ4は情報処理装置1がVPN接続をすることを禁止し、機密情報の漏洩を防止すべきである。一方、VPN終端端末3経由で情報処理装置1から取得した携帯端末2の位置情報と、所属情報データベースから読み出した位置情報とのずれが小さい場合には、ユーザが情報処理装置1を店舗内で使用している蓋然性が高い。そのような場合、位置確認サーバ4は、情報処理装置1がVPN接続することを許可する。
【0038】
したがって、「所定の範囲」は、位置確認サーバ4がVPN接続可否情報を選択するために参照する接続可否判定参照用閾距離である。「所定の範囲」の具体的な値は、情報処理装置1が設置されている店舗の広さや位置情報の精度、情報処理装置1のユーザの利便性等を考慮して実験により定めればよいが、例えば30メートルである。
【0039】
VPN接続部122は、位置確認サーバ4から、VPN接続を維持するか又は切断するかを示すVPN接続可否情報を受信する。VPN接続部122は、位置確認サーバ4から受信したVPN接続可否情報がVPN接続を切断することを示すVPN接続禁止情報である場合、VPN接続を切断する。VPN接続部122は、位置確認サーバ4から受信したVPN接続可否情報がVPN接続を許可することを示すVPN接続許可情報である場合、VPN接続を維持する。このように、情報処理装置1は、VPN接続の可否を位置確認サーバ4に問い合わせるために一度はVPN接続をするものの、位置確認サーバ4からVPN接続の許可が得られなければVPN接続を切断する。これにより、情報処理装置1は、情報処理装置1が設置場所から離れたVPN接続を継続することを抑制できる。
【0040】
ここで、情報処理装置1は、VPN接続の可否を位置確認サーバ4に問い合わせるためのVPN接続をする。これは、情報処理装置1は、情報処理装置1が設置されている店舗から離れていても、一度はVPN接続をすることを意味している。このため、悪意があるユーザが、VPN接続の可否を位置確認サーバ4に問い合わせるためのVPN接続の際に、専用ネットワークNp内の第2サーバ5にアクセスして機密情報を読み出す可能性があることは否定できない。
【0041】
そこで、通信制御部120は、VPN接続部122がVPN接続を開始した時点では、情報処理装置1が実行するVPN接続用以外の他のアプリ(例えば、ユーザが業務を遂行するために必要な機密情報を第2サーバ5から読み出すことができる業務用アプリ)がVPN接続を利用して外部と通信することを禁止する。通信制御部120は、位置確認サーバ4から受信したVPN接続可否情報がVPN接続を維持することを示しているVPN接続許可情報であることを条件として、VPN接続用アプリとは異なる他のアプリによって情報処理装置1が専用ネットワークNpにVPN接続することを許可する。
【0042】
情報処理装置1は、情報処理装置1が設置されている店舗に備えられた無線通信のアクセスポイント6と接続して、専用回線接続をする。このため、通信制御部120は、専用通信回線Pを利用するためにアクセスポイント6と接続する。これは、情報処理装置1がアクセスポイント6からSSID(Service Set Identifier)やESSID(Extended SSID)等のアクセスポイント6を識別するための信号を受信している場合、情報処理装置1は、情報処理装置1が設置されるべき場所に存在していることの証左となり得る。反対に、情報処理装置1がアクセスポイント6からアクセスポイント6を識別するための信号を受信していない場合、情報処理装置1が店舗外に持ち出されている可能性があることになる。
【0043】
そこで、VPN接続部122は、専用回線接続をするためのアクセスポイント6からそのアクセスポイント6を識別するための信号を受信することを、携帯端末2を経由して専用ネットワークNpのVPN終端端末3とVPN接続するためのさらなる条件としてもよい。これにより、情報処理装置1は、情報処理装置1が店舗外に持ち出されて利用されている状況でVPN接続されることを抑制できる。
【0044】
上述したように、情報処理装置1とVPN終端端末3との間のVPN接続は、情報処理装置1と第2サーバ5との間の専用回線接続のバックアップ接続として用いられる。したがって、専用回線接続が正常に稼働している場合には、VPN接続ができなくても情報処理装置1を利用する業務に支障はない。
【0045】
そこで、障害情報取得部123は、専用ネットワークNpに存在する第2サーバ5との専用通信回線Pによる接続の可否を示す障害有無情報を取得する。障害情報取得部123は、例えば位置確認サーバ4からの応答確認信号の受信の有無を障害有無情報とすればよい。
【0046】
VPN接続部122は、障害情報取得部123が取得した障害有無情報が専用通信回線Pによる第2サーバ5との接続ができないことを示していることも、携帯端末2を経由して専用ネットワークNpのVPN終端端末3とVPN接続することのさらなる条件としてもよい。これにより、情報処理装置1は、バックアップ接続の必要がないときにVPN接続をすることを禁止するため、VPN接続を用いた位置確認サーバ4のアクセスの回数が減少する。結果として、VPN接続に由来する第2サーバ5からの情報漏洩を抑制することができる。
【0047】
VPN接続部122によって情報処理装置1とVPN終端端末3との間のVPN接続が確立し、かつ情報処理装置1が位置確認サーバ4からVNP接続許可情報を受信すると、情報処理装置1が実行するアプリは第2サーバ5と通信することができるようになる。この状態では、情報処理装置1のユーザは、情報処理装置1が専用回線接続で第2サーバ5と通信しているのか、又はVPN接続で第2サーバ5と通信しているかの区別を付けることは難しい。一方で、VPN接続は専用回線接続のバックアップであるため、あくまでも専用通信回線Pに障害が生じた場合の補助的な利用にとどめることが好ましい。
【0048】
そこで、通知部124は、専用ネットワークNpのVPN終端端末3とVPN接続している間、VPN接続が継続していることを示す情報を、他のアプリに通知する。これにより、他のアプリは、例えば情報処理装置1の表示部に表示させるアプリの操作画面上にVPN接続をしていることを示す情報(例えばアイコン等)を表示してユーザに通信回線を示すことができる。これにより、ユーザが専用通信回線Pの障害が復旧した後にVPN接続を継続しているときに、情報処理装置1は、第2サーバ5との通信経路をVPN接続から専用回線接続に切り替える契機をユーザに提供することができる。
【0049】
また、VPN接続が永続的に継続することを抑制するために、VPN接続部122は、あらかじめ定められた所定の日時を過ぎることを契機として、VPN接続を切断してもよい。これを実現するために、情報処理装置1は、日時を取得する日時取得部125を備えている。VPN接続部122は、日時取得部125から定期的に日時を取得し、取得した日時が所定の日時を過ぎるとVPN接続を切断する。所定の日時は、情報処理装置1を用いた業務が行われる時間帯等を考慮して定めればよいが、例えば午前二時である。VPN接続部122はVPN接続を継続した状態で午前二時を迎えると、VPN接続を切断する。情報処理装置1のユーザがVPN接続を切断することを失念していても、ユーザの操作を待つことなくVPN接続が自動で切断されるので、VPN接続が確立している時間を減らすことができる。結果として、VPN接続に由来する第2サーバ5からの情報漏洩を抑制することができる。
【0050】
<情報処理装置1が実行する通信システムSで実行される情報処理シーケンス>
図3は、実施の形態に係る通信システムSで実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図の前半部である。また、図4は、実施の形態に係る通信システムSで実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図の中盤部である。さらに、図5は、実施の形態に係る通信システムSで実行される情報処理の流れを説明するためのシーケンス図の後半部である。以下、図3図4、及び図5を参照して、実施の形態に係る通信システムSで実行される処理のシーケンスを説明する。
【0051】
図3において、アクセスポイント6は、SSID等のアクセスポイント6を識別するための識別信号をブロードキャストによって送信する(S2)。情報処理装置1は、アクセスポイント6が送信した識別信号を受信する(S4)。なお、情報処理装置1は、アクセスポイント6から識別信号を受信できない場合は(S6のYes)、識別信号の受信を継続する。
【0052】
アクセスポイント6は、専用通信回線Pを利用した位置確認サーバ4との間の専用回線接続に関する障害有無情報を情報処理装置1に送信する(S8)。アクセスポイント6から識別信号を受信できている場合は(S6のNo)、情報処理装置1は、アクセスポイント6から、障害有無情報を受信可能である(S10)。情報処理装置1は、障害有無情報が専用通信回線Pを用いた専用回線接続に障害がないことを示している場合(S12のYes)、ステップS4からステップS12までの処理を繰り返す。
【0053】
障害有無情報が専用通信回線Pを用いた専用回線接続に障害があることを示している場合(S12のNo)、情報処理装置1は、携帯端末2に対して位置情報の送信を要求する(S16)。携帯端末2は、情報処理装置1から送信された要求に応答して情報処理装置1に位置情報を送信する(S18)。
【0054】
図4において、情報処理装置1は、携帯端末2から位置情報を受信する(S20)。なお、携帯端末2から位置情報を受信できない場合(S22のYes)、情報処理装置1は図3におけるAに戻ってステップS4以降の処理を継続する。携帯端末2から位置情報を受信すると(S22のNo)、情報処理装置1は、VPN終端端末3との間でVPN接続を開始する(S24)。
【0055】
情報処理装置1は、携帯端末2から受信した位置情報と、情報処理装置1の所属を示す所属情報とを位置確認サーバ4に送信する(S26)。位置確認サーバ4は、情報処理装置1から携帯端末2の位置情報と、情報処理装置1の所属情報とを受信する(S28)。
【0056】
位置確認サーバ4は、情報処理装置1から取得した位置情報と所属情報とに基づいて、所属情報データベースを参照して取得したVPN接続可否情報を情報処理装置1に送信する(S30)。
【0057】
図5において、情報処理装置1は、位置確認サーバ4からVPN接続可否情報を受信する(S32)。受信したVPN接続可否情報がVPN接続を維持することを示す接続許可情報である場合(S34のYes)、情報処理装置1は、情報処理装置1が実行しているVPN接続用アプリ以外の他のアプリがVPN接続を用いて第2サーバ5と接続することを許可する(S36)。VPN接続を継続している状態で、情報処理装置1は日時を取得する(S38)。情報処理装置1は、取得した日時が、VPN接続を切断するように定められた所定の日時に至るまでは(S40のNo)、日時の取得を継続する。
【0058】
受信したVPN接続可否情報がVPN接続を禁止することを示す接続禁止情報である場合(S34のNo)、又は、取得した日時がVPN接続を切断するように定められた所定の日時を経過した場合(S40のYes)、情報処理装置1はVPN接続を切断する(S42)。
【0059】
<実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る情報処理装置1によれば、VPN接続による冗長用の通信の安全性を高めることができる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【0061】
<変形例>
上記では、携帯端末2の位置情報に基づいて、情報処理装置1がVPN接続を維持できるか否かが決定される場合について説明した。これに変えて、あるいはこれに加えて、情報処理装置1のIPアドレスのホワイトリスト、又はブラックリストに基づいて、情報処理装置1がVPN接続を維持できるかが決定されてもよい。
【0062】
これを実現するために、専用ネットワークNp内に、あらかじめVPN接続の維持を許可するIPアドレスの一覧(いわゆるホワイトリスト)とVPN接続の維持を禁止するIPアドレスの一覧(いわゆるブラックリスト)との少なくともいずれか一方を格納するデータベース(不図示)を用意しておく。位置確認サーバ4又は図示しないIPアドレス確認サーバが、VPN接続の維持を要求する情報処理装置1から当該情報処理装置1のIPアドレスを取得し、そのIPアドレスがホワイトリストに登録されているか、又はブラックリストに登録されていないかを判定し、VPN接続可否情報を情報処理装置1に送信すればよい。
【符号の説明】
【0063】
1・・・情報処理装置
10・・・記憶部
11・・・通信部
12・・・制御部
120・・・通信制御部
121・・・位置情報要求部
122・・・VPN接続部
123・・・障害情報取得部
124・・・通知部
125・・・日時取得部
2・・・携帯端末
3・・・VPN終端端末
4・・・位置確認サーバ
5・・・第2サーバ
6・・・アクセスポイント
Np・・・専用ネットワーク
P・・・専用通信回線
I・・・公衆通信回線
S・・・通信システム
【要約】      (修正有)
【課題】VPN接続による冗長用の通信の安全性を高める情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1において、通信制御部120は、専用ネットワークと公衆通信回線を介してVPN接続するために経由する携帯端末との間で無線通信を開始する。位置情報要求部121は、携帯端末が存在する位置を示す位置情報の送信を携帯端末に要求する。VPN接続部122は、携帯端末から位置情報を受信することを条件として、携帯端末を経由して専用ネットワークのVPN終端端末とVPN接続する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5