(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、カバースリップとしてカバーフィルムを採用している貼着装置について説明する。
最初にカバーフィルムについて説明する。
図1に示すカバーフィルム10は、樹脂製のフィルムであって、リング状のホルダ11の周囲に巻回された状態で貼着装置内に装着される。カバーフィルム10の長さとしては、60m程度であって、巻回された状態から引き出され、所定長さにカットされたのちに使用される。
【0020】
ホルダ11の表面にはカバースリップ情報14が記載されている。記載方式としては、バーコード又はQRコードなどを採用することができる。
カバースリップ情報14としては、少なくともカバーフィルムの種類が含まれる。さらに、カバースリップ情報としては、カバーフィルムの長さ、使用期限などが含まれるとよい。
【0021】
なお、カバーフィルムの種類とは、カバーフィルムの品番であってもよいが、カバーフィルムに封入剤が塗布されているか否か、塗布されているとしたら封入剤の種類は何か、という内容を含める。なお、カバースリップ情報としてカバーフィルムの品番のみである場合、カバーフィルム貼着装置側でカバーフィルムの品番と、カバーフィルムに封入剤が塗布されているか否か、塗布されているとしたら封入剤の種類は何かということを関連付けして記憶させておくことが必要である。
【0022】
次に、
図2に基づいてカバーフィルム貼着装置について説明する。
カバーフィルム貼着装置30は、透徹剤が貯留された浸漬槽32を備えている。また、薄切された検体標本が貼付されている複数枚のスライドガラス22はバスケット21に収容されている。バスケット21は、薄切された検体標本が貼付されている複数枚のスライドガラス22が、底面部に対して直角となるように挿入されて収容される形状を有している。このバスケット21ごと浸漬槽32内に収納され、スライドガラス22は透徹剤に浸漬される。
【0023】
カバーフィルム貼着装置30は、浸漬槽32からバスケット21を取り出す取り出しアーム34を備えている。取り出しアーム34は、先端にバスケット21を把持する把持部36が設けられており、水平方向に向かう回動軸35を中心として鉛直面内で回動して、バスケット21を浸漬槽32から取り出す。
取り出しアーム34は、鉛直面内で90度回転し、浸漬槽32から取り出したバスケット21におけるスライドガラス22が水平になる位置まで回動する。
【0024】
スライドガラス22が水平になる位置にまで回動したバスケット21は、上下方向に昇降する昇降台37に載置される。昇降台37はバスケット21を待機位置 (
図2の符号A)まで上昇させる。
待機位置においては、バスケット21からスライドガラス22を1枚ずつ押し出す押しエジェクタ38が設けられている。
【0025】
押しエジェクタ38は、バスケット21からスライドガラス22を押し出し、水平テーブル40上の所定位置Bまでスライドガラス22を移動させる。
この所定位置Bにおいて、スライドガラス22にカバーフィルム10が貼着される。
【0026】
カバーフィルム10は、上記のようにホルダ11の周囲に巻回されており、ホルダ11が装着される装着部Cに装着される。
なお、ホルダ11を装着部Cに装着する際には、ホルダ11表面に記載されたカバースリップ情報14が、後述する読み出し部に対して読み取り可能となる方向及び位置となるように装着する必要がある。
【0027】
カバーフィルム10は、ホルダ11上部から水平方向に引き出され、ローラ44を介して下方に向かう。カバーフィルム10は、さらに一対の送りローラ46を経て、所定位置Bに配置されているスライドガラス22に対して斜め上方から接近するような角度に位置する。
送りローラ46よりも所定位置B側には、カバーフィルム10を所定長さに切断するカッター48と、所定長さに切断されたカバーフィルム10をスライドガラス22の上方に送り込む一対のカバーローラ50とが設けられている。
【0028】
また所定位置Bには、封入剤を滴下する分注ノズル52が設けられている。分注ノズル52は図示しないポンプ及び配管に接続され、図示しないポンプ及び配管を介して溶剤ボトル55から封入剤を吸い上げる。分注ノズル52の先端部は、所定位置Bに配置されたスライドガラス22の検体標本の上方に配置され、検体標本上面に封入剤を滴下させることができる。
【0029】
所定長さに切断されたカバーフィルム10は、貼着部である貼付ローラ54によってスライドガラス22に貼着される。
カバーフィルム10の貼着が完了したスライドガラス22は、戻しエジェクタ56によってバスケット21内の元の位置に収納されるように水平方向に移動させられる。
【0030】
1枚のスライドガラス22へのカバーフィルム10の貼着が完了すると、昇降台37が1枚のスライドガラス22の厚さ分だけバスケット21を上昇させる。そして、次の未貼着のスライドガラス22がバスケット21内から所定位置Bへ押し出され、カバーフィルム10の貼着が行われる。
【0031】
バスケット21内のすべてのスライドガラス22へのカバーフィルム10の貼着が完了すると、昇降台37が上昇して、カバーフィルム貼着後のバスケット21を収納しておく収納部58内へバスケット21を収納させる。
【0032】
また、スライドガラス22からあふれた封入剤等は、所定位置Bの下方に配置されている廃液トレー59に落下して集められ、廃液トレー59の下方に配置されている廃液ボトル60に貯留される。
【0033】
次に、カバースリップ情報の読み込み及びカバースリップ情報の利用について、
図3に基づいて説明する。
カバーフィルム貼着装置30の装着部C近傍には、ホルダ11の表面に記載されたカバースリップ情報を読み出す読み出し部62が設けられている。
【0034】
本実施形態では、カバースリップ情報を
図1に示すようにバーコードの場合について説明したので、読み出し部62としてはバーコードリーダを採用した例について説明する。
なお、読み出し部62としては、バーコードリーダではなく、CCDカメラ等であってもよい。また、カバースリップ情報としてQRコードを使用することもできるが、この場合は、読み出し部62をCCDカメラとし、読み出したデータはQRコード識別用のアプリケーションによって解析される。
【0035】
バーコードリーダ62のカバースリップ情報の読み出し動作は、制御部64からの指示に基づいて実行される。
制御部64は、カバーフィルム貼着装置30の動作全体を制御するものであって、CPU、メモリ等から構成されている。メモリにはあらかじめ動作制御プログラムが記憶されており、動作制御プログラムが実行されることにより、カバーフィルム貼着装置30の動作が実現される。
【0036】
このカバーフィルム貼着装置30の動作としては、上述したように、浸漬槽32からのバスケット21を取出す取り出しアーム34の駆動、取り出したバスケット21を上昇させる昇降台37の駆動、押しエジェクタ38及び戻しエジェクタ56の駆動、カバーフィルム10を所定位置Bまで導入させる送りローラ46の駆動、カバーフィルム10を所定長さに切断するカッター48の駆動、分注ノズル52による分注動作、貼付ローラ54の駆動等が含まれるものである。
【0037】
制御部64には、現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤の種類、及び透徹剤の種類とカバーフィルムの種類との適合情報が記憶されている記憶部65が設けられている。
これらの情報は作業者があらかじめ記憶部65に記憶させておく必要がある。
【0038】
カバーフィルムの種類とは、それぞれのカバーフィルムに封入剤があらかじめ塗布されているか否か、塗布されている場合にはその封入剤の種類が含まれる。
さらに、記憶部65に記憶されている適合情報とは、浸漬槽32に貯留される透徹剤の種類と、複数の封入剤の種類とがそれぞれ適合するか否か、についての情報である。
【0039】
制御部64は、バーコードリーダ62から読み出したカバースリップ情報から、そのカバーフィルムに封入剤があらかじめ塗布されているか否か、塗布されているとしたらその種類は何か、についての情報を抽出し、制御部64の一機能としての判断部66が、カバーフィルムに封入剤が塗布されていないと判断するか、カバーフィルムに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合すると判断するか、又はカバーフィルムに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合しないと判断する。
【0040】
制御部64は、判断部66によってカバーフィルムに封入剤が塗布されていないと判断した場合、及びカバーフィルムに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合すると判断した場合には、特に何もしない。ただし、制御部64は、カバーフィルムに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合しないと判断した場合には、その旨を作業者に報知部68を介して報知する。
報知部68としては、液晶等のモニタ68を採用することができる。制御部64は、「カバーフィルムに塗布された封入剤と透徹剤とが適合しない」、ということをモニタ68に表示させ、作業者にカバーフィルムの交換を促す。
【0041】
なお、制御部64は、カバーフィルムに封入剤が塗布されていない場合、及びカバーフィルムに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合する場合にも、その旨をモニタ68に表示させてもよい。
【0042】
また、判断部66によって判断された結果としては、報知部68によって報知するのではなく、記憶部65に記憶させてもよい。
【0043】
また、カバースリップ情報としては、カバーフィルムの使用期限が含まれていてもよい。
この場合、制御部64にはカレンダー機能をあらかじめ設けておく(図示せず)。バーコードリーダ62が読み出したカバースリップ情報に使用期限が含まれていると、制御部64の一機能としての使用期限検出部70が、現在の日付と使用期限とを比較する。使用期限検出部70が、使用期限内であることを検出した場合には特に何もせず、使用期限を経過していることを検出した場合には、その旨をモニタ68に表示させ、作業者にカバーフィルムの交換を促す。
【0044】
さらにカバースリップ情報としては、ロットナンバーが含まれていてもよい。この場合は上記の使用期限は必要がない。またこの場合も制御部64には、カレンダー機能、及びロットナンバーと使用期限とを対応付けしたデータをあらかじめ設けておく必要がある(図示せず)。
制御部64の使用期限検出部70は、バーコードリーダ62が読みだしたロットナンバーに基づいて、あらかじめ記憶させておいたデータから使用期限を算出し、現在の日付と使用期限とを比較する。使用期限検出部70が、使用期限内であることを検出した場合には特に何もせず、使用期限を経過していることを検出した場合には、その旨をモニタ68に表示させ、作業者にカバーフィルムの交換を促す。
【0045】
カバースリップ情報としては、カバーフィルムの製造日が含まれていてもよい。この場合は、上記の使用期限は必要がない。またこの場合も制御部64には、カレンダー機能、及び製造日と使用期限とを対応付けしたデータをあらかじめ設けておく必要がある(図示せず)。
制御部64の使用期限検出部70は、バーコードリーダ62が読みだした製造日に基づいて、あらかじめ記憶させておいたデータから使用期限を算出し、現在の日付と使用期限とを比較する。使用期限検出部70が、使用期限内であることを検出した場合には特に何もせず、使用期限を経過していることを検出した場合には、その旨をモニタ68に表示させ、作業者にカバーフィルムの交換を促す。
【0046】
なお、モニタ68としては、カバーフィルムの封入剤と透徹剤との適合の報知用、及び/又は使用期限の報知用だけに用いられるものではなく、通常の貼着作業に関する表示を行うモニタと兼用のモニタであってもよい。
【0047】
報知部としてはモニタに限定するものではなく、
図4に示すように、「カバーフィルムに塗布された封入剤と透徹剤とが適合しない」、「使用期限が過ぎています」などとという内容を音声で出力する音声生成部71とスピーカ73とで構成されてもよい。
この構成の場合、音声生成部71としては、あらかじめ、「カバーフィルムに塗布された封入剤と透徹剤とが適合しない」や「使用期限が過ぎています」等の音声データを記憶させておくことが必要である。
【0048】
さらに、報知部としては、封入剤と透徹剤とが適合しない場合、及び/又は使用期限が過ぎている場合において、スピーカ73から音声以外のブザー音等によって作業者に報知してもよい。
【0049】
図5に示すように、報知部としてはさらに、外部機器とデータ通信可能な通信装置76であってもよい。通信装置76は、インターネット等の通信回線77とデータ通信可能に接続されており、通信回線77に接続される外部機器78に対して報知することができる。外部機器78としては、スマートフォン等の携帯通信機器や通常のパーソナルコンピュータが挙げられる。
例えば、封入剤と透徹剤とが適合しない場合、及び/又は使用期限が過ぎている場合において、通信装置76は、封入剤と透徹剤とが適合しない旨、及び/又は使用期限が過ぎている旨を、外部機器78に送信する。これにより、外部機器78を所有する者に対して、上記の情報を報知することができる。
【0050】
なお、制御部64は、判断部66の判断結果としての封入剤と透徹剤の適合の有無、及び/又は使用期限検出部70の検出結果としての使用期限を過ぎているかどうかについては、その結果を記憶部65に記憶させておくとよい。
記憶部65にこれらの結果を記憶させておくことで、貼着後に何らかの問題が発覚した場合においてトレーサビリティを確保することができ、容易に原因の追究を図ることができる。
【0051】
なお、上述してきた第1の実施形態において、報知部としては、モニタ68、スピーカ73、外部機器78の場合のそれぞれの場合の例を説明したが、本発明としてはこれらを適宜組み合わせた構成を採用してもよい。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、カバースリップ情報がデータの書き換え可能なカバースリップ記憶部に記憶されている形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0053】
以下、カバースリップ記憶部としてRFID71を採用している実施形態を
図6に基づいて説明する。
RFID71はホルダ11のいずれかの個所に埋め込まれている。
また、カバーフィルム貼着装置30には、RFID71からのデータを読み出し及び書き込み可能なリーダライタ72が設けられている。
【0054】
RFID71に記憶されているカバースリップ情報としては、カバースリップの種類、使用期限のほかに、新品のカバーフィルムにおいてはカバーフィルムの長さの初期値が記憶され、使用済みのカバーフィルムにおいてはカバーフィルムの長さの残量が含まれる。また、第1の実施形態と同様に、使用期限でなく、ロットナンバー、又はカバーフィルムの製造日がカバースリップ情報として記憶されていてもよい。
【0055】
カバーフィルム貼着装置30には、カバーフィルムの使用量(長さ)を算出する使用量算出部74が設けられている。使用量算出部74は、制御部64の一機能として設けられている。使用量算出部74は、カッター48によって所定長さに切断したカバーフィルムの枚数とカバーフィルム1枚分の所定長さとを乗算することで算出できる。
【0056】
また、カバーフィルム貼着装置30には、カバーフィルムの使用長さに基づき、ホルダ11に巻回されたカバーフィルムの残り長さを算出する残量算出部75が設けられている。
残量算出部75は、制御部64の一機能として設けられている。残量算出部75は、カバーフィルムの長さの初期値から、使用量算出部74によって算出された使用長さを減算することで、ホルダ11に巻回されたカバーフィルムの残りの長さを算出できる。
【0057】
リーダライタ72は、残量算出部75によって算出されたカバーフィルムの残りの長さに基づいて、RFID71内のカバーフィルムの残りの長さを書き込むことができる。
もしこのホルダ11が未使用のものを最初から使用したのであれば、RFID71にはカバーフィルムの長さの初期値が記憶されているので、リーダライタ72は、この初期値を書き換えるか又は初期値とは別に残りの長さを記憶させる。
また、前回も使用したホルダ11を使用した場合には、RFID71には残りの長さが記憶されているので、リーダライタ72はこの残りの長さを書き換える。
【0058】
なお、カバーフィルムをカバーフィルム貼着装置30内に装着させたままであると、ローラやプーリ等によりカバーフィルムを引き回している個所の中でも特に大きい曲率で曲げられた個所ではカバーフィルムが塑性変形してしまう可能性がある。カバーフィルムが塑性変形してしまうと、次に使用する際に封入性能の悪化や装置制御に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、ホルダ11に巻回されたカバーフィルムは、1日のカバーフィルム貼着装置の稼働終了後には、カバーフィルム貼着装置30から取り外し、次に使用する際に改めてカバーフィルムの装着部Cに装着して使用される。
このとき、カバーフィルムの残量がRFID71に記憶されているので、制御部64は、RFID71からカバーフィルムの残量を読み出し、モニタ68に表示することによって、作業者はどのくらい使用すればカバーフィルムを交換すればよいか、把握することができる。
【0059】
また、
図7に、従来のカバーフィルムの装着部Cの周辺構造を示す。なお、
図7では引き回し部分以外は、
図2に示した装着部Cの周辺構造とほぼ同様であり、同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
従来の構成では、カバーフィルムをホルダ11から引き出してから貼着位置である所定位置Bに至るまでに、バスケット21に収納されるスライドガラス22の最大枚数の全スライドガラスに貼着可能な長さ分だけ確保するよう、カバーフィルムを引き回している。
このようにすることで、ホルダ11から引き出されたカバーフィルムが終わりであることをセンサ(図示せず)が検出したとしても、少なくとも現在貼着作業を行っているバスケット21に収納されている全スライドガラスに対してはカバーフィルムを貼着することができる。
このため、スライドガラスの検体標本が長時間空気に晒された状態で放置されることがなく、検体標本の損傷を回避することができる。
【0061】
この点、本実施形態では、カバーフィルムの残量が正確に把握できるために、
図2に示したように、ホルダから引き出したカバーフィルムは、バスケットに収納される最大枚数のスライドガラス分の長さを引き回すことなく所定位置Bに導入できるため、引き回し分の余計なスぺースを確保しなくてもよく、また引き回しが長くなることで指紋が付着したり、折れてしまったりといった弊害を防止できる。
【0062】
なお、制御部64は、カバーフィルム貼着装置30の使用履歴を収集し、収集した使用履歴をリーダライタ72からホルダ11のRFID71に記憶させてもよい。
このようにすれば、カバーフィルム貼着装置30自体が故障などの原因で使用履歴を読み出すことができなくなった場合でも、ホルダ11から使用履歴を読み出すことができる。
【0063】
なお、上述してきた第2の実施形態において、報知部としてはモニタ68を採用した例について説明したが、報知部としてスピーカ73又は外部機器78を採用してもよいし、これらを適宜組み合わせた構成を採用してもよい。
【0064】
なお、リーダライタ72は、カバーフィルム貼着装置30の内部ではなく、カバーフィルム貼着装置30の外部に別体として設けられていてもよい(図示せず)。この場合、カバーフィルム貼着装置30の外部から、カバースリップ情報の読み書きを実行することができる。
【0065】
(第3の実施形態)
以下、カバースリップとしてカバーガラスを採用しているカバーガラス貼着装置90について説明する。
まず
図8に基づいて、カバーガラス及びホルダについて説明する。
カバーガラス80は、カバーフィルムとは異なり、あらかじめ使用時の所定長さに形成されている。複数枚(通常は100〜300枚程度)のカバーガラス80がホルダ82に積層されて収納され、カバーガラス貼着装置90内にホルダ82ごと装着される。
【0066】
ここで示すホルダ82は、底面部82aと、底面部82aの四隅から鉛直方向に延びる4本の柱部82bとを有する。各柱部82bの内側はカバーガラス80の四隅が収納されるように凹部82cが形成されている。
ホルダ82の各柱部82bどうしの間と、上面とは開口して形成されており、ホルダ82へのカバーガラス80の収納及び取り出しを容易に行うことができる。なお、ホルダ82としては、四方及び底面が壁面で囲まれ、上面だけ開口している構成のものであってもよい。
【0067】
ホルダ82のいずれかの個所の表面にはカバースリップ情報84が記載されている。
図8では、柱部82bのいずれかの側面に記載されている。
記載方式としては、バーコード又はQRコードなどを採用することができる。
カバースリップ情報84としては、少なくともカバーガラスの種類が含まれる。さらに、カバースリップ情報としては、使用期限などが含まれるとよい。
【0068】
次に、
図9〜
図10に基づいてカバーガラス貼着装置の構成について説明する。
カバーガラス貼着装置90は、透徹剤が貯留された浸漬槽92を備えている。また、薄切された検体標本が貼付されている複数枚のスライドガラス22はバスケット21に収容されている。バスケット21は、薄切された検体標本が貼付されている複数枚のスライドガラス22が、底面部に対して直角となるように挿入されて収容される形状を有している。このバスケット21ごと浸漬槽92内に収納され、スライドガラス22は透徹剤に浸漬される。
【0069】
浸漬槽92の上方には、スライドガラス22をバスケット21から上方に引き上げる取り出し機構部94が配置されている。取り出し機構部94は、スライドガラス22の上端縁を把持して上昇し、所定高さに上昇した後にスライドガラス22を水平方向に回転させて、第1ステーションDにスライドガラス22を配置する。
【0070】
第1ステーションDは、搬送装置96におけるスライドガラス22の進行方向の始点位置に設けられている。搬送装置96は、スライドガラス22を、第1ステーションD、第2ステーションE、第3ステーションF、第4ステーションGの順に移送させる。
【0071】
第2ステーションEには、スライドガラス22に封入剤又はあらかじめカバーガラスに塗布された封入剤を溶かす溶剤を分注する分注ノズル98が設けられている。分注ノズル98は、封入剤の固化を防止する溶剤が入れられた容器100に、その先端部が挿入されている。
【0072】
第3ステーションFは、スライドガラス22にカバーガラス80を貼着する場所である。
第3ステーションFの上方には、カバーガラス80が収納されたホルダ82が載置される装着部102が設けられている。また、第3ステーションFの上方であって、装着部102よりも上方に位置するように、カバーガラス80を吸着保持する吸着パッド104が設けられている。
第3ステーションFにおいては、吸着パッド104が1枚のカバーガラス80を吸着保持し、第3ステーションFに載置されているスライドガラス22に対して吸着パッド104が下降してカバーガラス80を貼着する。本実施形態では、吸着パッド104が、特許請求の範囲の貼着部に該当する。
【0073】
第4ステーションGは、カバーガラス80が貼着されたスライドガラス22が載置されており、収納部106へ収納させるためのステーションである。
第4ステーションGの搬送方向下流側には、スライドガラスを把持して収納部106へ収納させる収納機構部108が設けられている。
収納機構部108は、第4ステーションGに載置されているスライドガラス22を把持し、搬送方向下流側に移動する。そして、収納機構部108は、把持したスライドガラス22を下降させて、収納機構部108の下方に位置する収納部106にカバーガラス80が貼着されたスライドガラス22を収納する。
【0074】
第3ステーションFの近傍又は第4ステーションGの近傍には、ホルダ82の表面に記載されたカバースリップ情報を読み出す読み出し部110が設けられている(
図10では図示せず)。
【0075】
続いて、
図11に基づいて、カバースリップ情報及びその利用について説明する。
本実施形態では、カバースリップ情報を
図8に示したようにバーコードの場合について説明したので、読み出し部110としてはバーコードリーダを採用した例について説明する。
なお、読み出し部110としては、バーコードリーダではなく、CCDカメラ等であってもよい。また、カバースリップ情報としてQRコードを使用することもできるが、この場合は、読み出し部110をCCDカメラとし、読み出したデータはQRコード識別用のアプリケーションによって解析される。
【0076】
バーコードリーダ110のカバースリップ情報の読み出し動作は、制御部112からの指示に基づいて実行される。
制御部112は、カバーガラス貼着装置90の動作全体を制御するものであって、CPU、メモリ等から構成されている。メモリにはあらかじめ動作制御プログラムが記憶されており、動作制御プログラムが実行されることにより、カバーガラス貼着装置90の動作が実現される。
【0077】
このカバーガラス貼着装置90の動作としては、上述したように、浸漬槽92からスライドガラス22を取り出して第1ステーションDに載置する取り出し機構部94の動作、搬送装置96の間欠的な搬送動作、分注ノズル98の分注動作、吸着パッド104によるカバーガラス80の取り出し及びスライドガラス22への貼着動作、収納機構部108のスライドガラス22の収納部106への収納動作等が含まれるものである。
【0078】
制御部112には、現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤の種類、及び透徹剤の種類とカバーガラスの種類との適合情報が記憶されている記憶部113が設けられている。
これらの情報は作業者があらかじめ記憶部113に記憶させておく必要がある。
【0079】
カバーガラスの種類とは、それぞれのカバーガラスに封入剤があらかじめ塗布されているか否か、塗布されている場合にはその封入剤の種類が含まれる。
さらに、記憶部113に記憶されている適合情報とは、浸漬槽92に貯留される透徹剤の種類と、複数の封入剤の種類とがそれぞれ適合するか否か、についての情報である。
【0080】
制御部112は、バーコードリーダ110から読み出したカバースリップ情報から、そのカバーガラスに封入剤があらかじめ塗布されているか否か、塗布されているとしたらその種類は何か、についての情報を抽出し、制御部112の一機能としての判断部114が、カバーガラスに封入剤が塗布されていないと判断するか、カバーガラスに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合すると判断するか、又はカバーガラスに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合しないと判断する。
【0081】
制御部112は、判断部114によってカバーガラスに封入剤が塗布されていないと判断した場合、及びカバーガラスに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合すると判断した場合には、特に何もしない。ただし、制御部112は、カバーガラスに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合しないと判断した場合には、その旨を作業者に報知部を介して報知する。
報知部としては、液晶等のモニタ116を採用することができる。制御部112は、「カバーガラスに塗布された封入剤と透徹剤とが適合しない」、ということをモニタ116に表示させ、作業者にカバーガラスの交換を促す。
【0082】
なお、制御部112は、カバーガラスに封入剤が塗布されていない場合、及びカバーガラスに塗布された封入剤と現在浸漬槽内に貯留されている透徹剤が適合する場合にも、その旨をモニタ116に表示させてもよい。
【0083】
また、カバースリップ情報としては、カバーガラスの使用期限が含まれていてもよい。
この場合、制御部112にはカレンダー機能をあらかじめ設けておく(図示せず)。バーコードリーダ110が読み出したカバースリップ情報に使用期限が含まれていると、制御部112の一機能としての使用期限検出部118が、現在の日付と使用期限とを比較する。使用期限検出部118が、使用期限内であることを検出した場合には特に何もせず、使用期限を経過していることを検出した場合には、その旨をモニタ116に表示させ、作業者にカバーガラスの交換を促す。
【0084】
さらにカバースリップ情報としては、ロットナンバーが含まれていてもよい。この場合は上記の使用期限は必要がない。またこの場合も制御部112には、カレンダー機能、及びロットナンバーと使用期限とを対応付けしたデータをあらかじめ設けておく必要がある(図示せず)。
制御部112の使用期限検出部118は、バーコードリーダ110が読みだしたロットナンバーに基づいて、あらかじめ記憶させておいたデータから使用期限を算出し、現在の日付と使用期限とを比較する。使用期限検出部118が、使用期限内であることを検出した場合には特に何もせず、使用期限を経過していることを検出した場合には、その旨をモニタ68に表示させ、作業者にカバーガラスの交換を促す。
【0085】
カバースリップ情報としては、カバーガラスの製造日が含まれていてもよい。この場合は、上記の使用期限は必要がない。またこの場合も制御部112には、カレンダー機能、及び製造日と使用期限とを対応付けしたデータをあらかじめ設けておく必要がある(図示せず)。
制御部112の使用期限検出部118は、バーコードリーダ110が読みだした製造日に基づいて、あらかじめ記憶させておいたデータから使用期限を算出し、現在の日付と使用期限とを比較する。使用期限検出部118が、使用期限内であることを検出した場合には特に何もせず、使用期限を経過していることを検出した場合には、その旨をモニタ116に表示させ、作業者にカバーガラスの交換を促す。
【0086】
なお、モニタ116としては、カバーガラスの封入剤と透徹剤との適合の報知用、及び/又は使用期限の報知用だけに用いられるものではなく、通常の貼着作業に関する表示を行うモニタと兼用のモニタであってもよい。
【0087】
報知部としてはモニタに限定するものではなく、
図12に示すように、「カバーガラスに塗布された封入剤と透徹剤とが適合しない」、「使用期限が過ぎています」などとという内容を音声で出力する音声生成部120とスピーカ122とで構成されてもよい。
この構成の場合、音声生成部120としては、あらかじめ、「カバーガラスに塗布された封入剤と透徹剤とが適合しない」や「使用期限が過ぎています」等の音声データを記憶させておくことが必要である。
【0088】
さらに、報知部としては、封入剤と透徹剤とが適合しない場合、及び/又は使用期限が過ぎている場合において、スピーカ122から音声以外のブザー音等によって作業者に報知してもよい。
【0089】
図13に示すように、報知部としてはさらに、外部機器とデータ通信可能な通信装置124であってもよい。通信装置124は、インターネット等の通信回線125とデータ通信可能に接続されており、通信回線125に接続される外部機器126に対して報知することができる。外部機器126としては、スマートフォン等の携帯通信機器や通常のパーソナルコンピュータが挙げられる。
例えば、封入剤と透徹剤とが適合しない場合、及び/又は使用期限が過ぎている場合において、通信装置124は、封入剤と透徹剤とが適合しない旨、及び/又は使用期限が過ぎている旨を、外部機器126に送信する。これにより、外部機器126を所有する者に対して、上記の情報を報知することができる。
【0090】
なお、制御部112は、判断部114の判断結果としての封入剤と透徹剤の適合の有無、及び/又は使用期限検出部118の検出結果としての使用期限を過ぎているかどうかについては、その結果を記憶部113に記憶させておくとよい。
記憶部113にこれらの結果を記憶させておくことで、貼着後に何らかの問題が発覚した場合においてトレーサビリティを確保することができ、容易に原因の追究を図ることができる。
【0091】
なお、上述してきた第3の実施形態において、報知部としては、モニタ116、スピーカ122、外部機器126の場合のそれぞれの場合の例を説明したが、本発明としてはこれらを適宜組み合わせた構成を採用してもよい。
【0092】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、カバースリップ情報がデータの書き換え可能なカバースリップ記憶部に記憶されている形態について説明する。なお、第3の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0093】
以下、カバースリップ記憶部としてRFID128を採用している実施形態を
図14に基づいて説明する。
RFID128はホルダ82のいずれかの個所に埋め込まれている。
また、カバーガラス貼着装置90には、RFID128からのデータを読み出し及び書き込み可能なリーダライタ130が設けられている。
【0094】
RFID128に記憶されているカバースリップ情報としては、カバースリップの種類、使用期限のほかに、新品のカバーガラスの場合においてはカバーガラスの枚数の初期値が記憶され、使用済みのカバーガラスにおいてはカバーガラスの残枚数が含まれる。また、第3の実施形態と同様に、使用期限でなく、ロットナンバー、又はカバーガラスの製造日がカバースリップ情報として記憶されていてもよい。
【0095】
カバーガラス貼着装置90には、カバーガラスの使用量(枚数)を算出する使用量算出部132が設けられている。使用量算出部132は、制御部112の一機能として設けられている。使用量算出部132は、吸着パッド104によるホルダ82からの取り出し回数をカウントすることで、カバーガラスの使用枚数を算出できる。
【0096】
また、カバーガラス貼着装置90には、カバーガラスの使用枚数に基づき、ホルダ82内のカバーガラスの残枚数を算出する残量算出部134が設けられている。
残量算出部134は、制御部112の一機能として設けられている。残量算出部134は、カバーガラスの枚数の初期値から、使用量算出部132によって算出された使用枚数を減算することで算出できる。
【0097】
リーダライタ130は、残量算出部134によって算出されたカバーガラスの残枚数に基づいて、RFID128内のカバーガラスの残枚数を書き込むことができる。
もしこのホルダ82が未使用のものを最初から使用したのであれば、RFID128には枚数の初期値が記憶されているので、リーダライタ130は、この初期値を書き換えるか又は初期値とは別に残枚数を記憶させる。
また、前回も使用したホルダ82を使用した場合には、RFID128には残枚数が記憶されているので、リーダライタ130はこの残枚数を書き換える。
【0098】
使用量算出部132及び残量算出部75は、カバーフィルムの残量の算出を実行するのを、作業者において1日の作業が終了したとき、すなわちカバーフィルム貼着装置30の電源スイッチをオフにするように操作したことをトリガとして実行するとよい。
【0099】
カバーガラス80に塗布されている封入剤の乾燥を防止することを目的として、カバーガラスが80収納されたホルダ82は、1日のカバーガラス貼着装置の稼働終了後には、カバーガラス貼着装置90から取り外し、次に使用する際に改めて装着部102に載置して使用される。
このとき、カバーガラスの残枚数がRFID128に記憶されているので、制御部112は、RFID128からカバーガラスの残量を読み出し、モニタ116に表示することによって、作業者はあとどのくらい使用すればカバーガラス80(ホルダ82)を交換すればよいか、把握することができる。
【0100】
なお、制御部112は、カバーガラス貼着装置90の使用履歴を収集し、収集した使用履歴をリーダライタ130からホルダ82のRFID128に記憶させてもよい。
このようにすれば、カバーガラス貼着装置90自体が故障などの原因で使用履歴を読み出すことができなくなった場合でも、ホルダ82から使用履歴を読み出すことができる。
【0101】
なお、上述してきた第4の実施形態において、報知部としては、モニタ116を採用した例を説明したが、報知部としてはスピーカ122又は外部機器126を採用してもよいし、またこれらを適宜組み合わせた構成を採用してもよい。
【0102】
なお、リーダライタ130は、カバーガラス貼着装置90の内部ではなく、カバーガラス貼着装置90の外部に別体として設けられていてもよい(図示せず)。この場合、カバーガラス貼着装置90の外部から、カバースリップ情報の読み書きを実行することができる。