特許第6913290号(P6913290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913290
(24)【登録日】2021年7月14日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20210727BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210727BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-546604(P2019-546604)
(86)(22)【出願日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】JP2018033957
(87)【国際公開番号】WO2019069652
(87)【国際公開日】20190411
【審査請求日】2020年4月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-194235(P2017-194235)
(32)【優先日】2017年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 準
(72)【発明者】
【氏名】田和 速人
(72)【発明者】
【氏名】川本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小西 大助
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−73066(JP,A)
【文献】 特開平11−332118(JP,A)
【文献】 特開2011−177003(JP,A)
【文献】 特開2017−153353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置であって、
直列に接続された複数の蓄電素子と、
複数の前記蓄電素子に対してそれぞれ設けられたエネルギー転送回路と、
複数の前記蓄電素子のエネルギー転送回路が共通接続された共通バスと、
制御装置と、を備え、
前記エネルギー転送回路は、
前記蓄電素子に接続される第1巻線と前記共通バスに接続される第2巻線とを有する、一又は複数のスイッチングトランスを含み、
前記制御装置は、前記エネルギー転送回路を用いて、蓄電素子間で前記共通バスを介してエネルギーを転送することにより、前記蓄電素子の電圧を均等化し、
前記共通バスは、電気的にフローティングである、蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電装置であって、
直列又は並列に接続された複数の蓄電素子モジュールを備え、
前記蓄電素子モジュールは、直列に接続された複数の前記蓄電素子を含み、
前記共通バスには、直列又は並列に接続された前記蓄電素子モジュールの各蓄電素子に設けられたエネルギー転送回路がそれぞれ接続され、
前記制御装置は、前記エネルギー転送回路を用いて前記蓄電素子モジュール間で前記共通バスを介してエネルギーを転送することにより、前記蓄電素子モジュール間で前記蓄電素子の電圧を均等化する、蓄電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置であって、
前記エネルギー転送回路は、
前記スイッチングトランスと、
前記スイッチングトランスの前記第1巻線に設けられた第1スイッチと、
前記スイッチングトランスの前記第2巻線に設けられた第2スイッチと、を備える、蓄電装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記制御装置は、複数の前記蓄電素子の電圧を、電圧バラツキの許容範囲と比較し、前記許容範囲よりも電圧の高い蓄電素子が複数ある場合、
前記許容範囲よりも電圧が高い複数の前記蓄電素子のうち、電圧のより高い蓄電素子は、電圧の低い蓄電素子よりも、前記共通バスに転送するエネルギーの量を多くする、蓄電装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の蓄電素子の蓄電装置であって、
前記制御装置は、複数の前記蓄電素子の電圧を、電圧バラツキの許容範囲と比較し、前記許容範囲よりも電圧の低い蓄電素子が複数ある場合、
前記許容範囲よりも電圧が低い複数の前記蓄電素子のうち、電圧のより低い蓄電素子は、電圧の高い蓄電素子よりも、前記共通バスから受け取るエネルギーの量を多くする、蓄電装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の蓄電装置であって、
前記制御装置は、前記エネルギー転送回路によるエネルギーの転送周期を変更することで、前記蓄電素子から前記共通バスに転送するエネルギー量又は前記共通バスから前記蓄電素子が受け取るエネルギー量を調整する、蓄電装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記制御装置は、複数の前記蓄電素子の電圧を、電圧バラツキの許容範囲と比較し、前記許容範囲よりも電圧の高い蓄電素子が複数ある場合、
前記許容範囲よりも電圧が高い複数の前記蓄電素子から前記共通バスに対してエネルギーを同時に転送する、蓄電装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記制御装置は、複数の前記蓄電素子の電圧を、電圧バラツキの許容範囲と比較し、前記許容範囲よりも電圧の低い蓄電素子が複数ある場合、
前記共通バスから前記許容範囲よりも電圧が低い複数の前記蓄電素子に対してエネルギーを同時に転送する、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子の電圧を均等化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子は、自己放電量や内部抵抗にばらつきがある。そのため、蓄電素子を直列に接続した蓄電装置は、蓄電素子の電圧を均等化するバランサ機能を備えている。
【0003】
特許文献1には、抵抗放電式のバランサ回路が開示されている。抵抗放電式のバランサ回路は、電圧の高い蓄電素子を放電して電圧を下げることにより、蓄電素子の電圧を均等化する。そのため、容量の大きな蓄電装置では、発熱量が多くなる。また、放電量も多いことから、エネルギー効率が悪いという問題がある。
【0004】
特許文献2には、接地された共通バスを経由して、セル間でエネルギー転送することにより、電圧を均等化する方法が開示されている。この方法は、抵抗放電式に比べて、エネルギー効率がよいというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5349021号公報
【0006】
【特許文献2】特表2014−521301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記構成では、共通バスを接地しているため、感電や漏電等のリスクが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電圧の均等化機能を有する蓄電装置において、装置の安全性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
蓄電装置であって、直列に接続された複数の蓄電素子と、複数の前記蓄電素子に対してそれぞれ設けられたエネルギー転送回路と、複数の前記蓄電素子のエネルギー転送回路が共通接続された共通バスと、制御装置と、を備え、前記エネルギー転送回路は、前記蓄電素子に接続される第1巻線と前記共通バスに接続される第2巻線とを有する、一又は複数のスイッチングトランスを含み、前記制御装置は、前記エネルギー転送回路を用いて、蓄電素子間で前記共通バスを介してエネルギーを転送することにより、前記蓄電素子の電圧を均等化し、前記共通バスは、電気的にフローティングである。
【発明の効果】
【0009】
本構成では、エネルギー転送回路を用いて、蓄電素子間で共通バスを介してエネルギーを転送することにより、蓄電素子の電圧を均等化する。しかも、共通バスは、電気的にフローティングである。そのため、感電や漏電のリスクが小さい。また、フローティングであれば、共通バスを、直列接続された蓄電素子の両極に接続する場合と比べて、低電圧であることから安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1におけるバッテリの電気的構成を示す回路図
図2】エネル―転送回路を拡大した図
図3】電圧監視及び均等化処理のフローチャート
図4】二次電池の電圧のバラツキを示す図
図5】半導体スイッチのオン、オフを示すタイミングチャート
図6】二次電池の電圧のバラツキを示す図
図7】半導体スイッチのオン、オフを示すタイミングチャート
図8】エネルギーの転送動作を示す図
図9】二次電池の電圧のバラツキを示す図
図10】半導体スイッチのオン、オフを示すタイミングチャート
図11】二次電池の電圧のバラツキを示す図
図12】半導体スイッチのオン、オフを示すタイミングチャート
図13】エネルギーの転送動作を示す図
図14】二次電池の電圧のバラツキを示す図
図15】半導体スイッチのオン、オフを示すタイミングチャート
図16】実施形態2におけるバッテリの電気的構成を示す回路図
図17】他の実施形態におけるバッテリの電気的構成を示す回路図
図18】他の実施形態におけるエネルギー転送回路の回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
蓄電装置であって、直列に接続された複数の蓄電素子と、複数の前記蓄電素子に対してそれぞれ設けられたエネルギー転送回路と、複数の前記蓄電素子のエネルギー転送回路が共通接続された共通バスと、制御装置と、を備え、前記エネルギー転送回路は、前記蓄電素子に接続される第1巻線と前記共通バスに接続される第2巻線とを有する、一又は複数のスイッチングトランスを含み、前記制御装置は、前記エネルギー転送回路を用いて、蓄電素子間で前記共通バスを介してエネルギーを転送することにより、前記蓄電素子の電圧を均等化し、前記共通バスは、電気的にフローティングである。
【0012】
本構成では、エネルギー転送回路を用いて、蓄電素子間で共通バスを介してエネルギーを転送することにより、蓄電素子の電圧を均等化する。しかも、共通バスは、電気的にフローティングである。そのため、感電や漏電のリスクが小さい。また、フローティングであれば、共通バスを、直列接続された蓄電素子の両極に接続する場合と比べて、低電圧であり、安全性が高い。
【0013】
直列又は並列に接続された複数の蓄電素子モジュールを備え、前記蓄電素子モジュールは、直列に接続された複数の前記蓄電素子を含み、前記共通バスには、直列又は並列に接続された前記蓄電素子モジュールの各蓄電素子に設けられたエネルギー転送回路がそれぞれ接続され、前記制御装置は、前記エネルギー転送回路の前記トランスを用いて、前記蓄電素子モジュール間で前記共通バスを介してエネルギーを転送することにより、前記蓄電素子モジュール間で前記蓄電素子の電圧を均等化するとよい。尚、蓄電素子モジュールとは、複数の蓄電素子をケース等の収容体に収容して1つの部品として取り扱えるようにしたものである。この構成では、同一の蓄電素子モジュール内だけでなく、異なる蓄電素子モジュール間でも、電圧を均等化することが出来る。複数のセルモジュールを直列接続したモジュール間の電圧の均等化および各セル間の電圧の均等化を同時に行うことができる。そのため、複数の電池モジュールからなるシステム全体として最大容量のエネルギーが使用可能となる。また、共通バスが低電圧であることから、蓄電素子モジュールの接続作業や取り外し作業を安全に行うことが可能であり、蓄電素子モジュールの増設作業や交換作業を安全かつ容易に行うことが出来る。
【0014】
前記エネルギー転送回路は、前記スイッチングトランスと、前記スイッチングトランスの前記第1巻線に設けられた第1スイッチと、前記スイッチングトランスの前記第2巻線に設けられた第2スイッチと、を備えとよい。この構成では、1つのスイッチングトランスだけで、蓄電素子から共通バス、共通バスから蓄電素子の双方向にエネルギーの転送が可能である。そのため、構成部品を少なくすることが出来る。スイッチング制御により移動させる電力量を調整でき、セルモジュール間の電圧の均等化および各セル間電圧の均等化が最適な時間でできる
【0015】
前記制御装置は、複数の前記蓄電素子の電圧を、電圧バラツキの許容範囲と比較し、前記許容範囲よりも電圧の高い蓄電素子が複数ある場合、前記許容範囲よりも電圧が高い複数の前記蓄電素子のうち、電圧のより高い蓄電素子は、電圧の低い蓄電素子よりも、前記共通バスに転送するエネルギーの量を多くするとよい。この構成では、許容範囲よりも電圧の高い蓄電素子が複数ある場合、電圧の高い蓄電素子の方が、電圧の低い蓄電素子よりも、共通バスへ転送するエネルギーの量が多く制御される。そのため、許容範囲よりも電圧の高い複数の蓄電素子の電圧を下げつつ、それら蓄電素子の電圧差を小さくすることが出来る。
【0016】
前記制御装置は、複数の前記蓄電素子の電圧を、電圧バラツキの許容範囲と比較し、前記許容範囲よりも電圧の低い蓄電素子が複数ある場合、前記許容範囲よりも電圧が低い複数の前記蓄電素子のうち、電圧のより低い蓄電素子は、電圧の高い蓄電素子よりも、前記共通バスから受け取るエネルギーの量を多くするとよい。この構成では、許容範囲よりも電圧の低い蓄電素子が複数ある場合、電圧の低い蓄電素子の方が、電圧の高い蓄電素子よりも、共通バスから受け取るエネルギーの量が多く制御される。そのため、許容範囲よりも電圧の低い複数の蓄電素子の電圧を上げつつ、それら蓄電素子の電圧差を小さくすることが出来る。
【0017】
前記制御装置は、前記エネルギー転送回路によるエネルギーの転送周期を変更することで、前記蓄電素子から前記共通バスに転送するエネルギー量又は前記共通バスから前記蓄電素子が受け取るエネルギー量を調整する。この構成では、制御装置によるソフト処理で、共通バスに転送又は共通バスから受け取る、エネルギー量を調整出来る。
【0018】
<実施形態1>
1.バッテリの説明
図1はバッテリの電気的構成を示すブロック図である。
バッテリ20は、例えば、船舶等の大型移動体に使用される。バッテリ20は、複数の電池モジュールMと、共通バス50と、制御装置70とを有する。尚、バッテリ20は本発明の「蓄電装置」の一例、電池モジュールMは本発明の「蓄電素子モジュール」の一例である。
【0019】
電池モジュールMは、直列接続された複数の二次電池Cと、モジュールセンサ35と、エネルギー転送回路40と、これらを収容する金属製のケース30を備える。電池モジュールMとは、複数の二次電池Cをケース等の収容体に収容して1つの部品として取り扱えるようにしたものである。
【0020】
電池モジュールMは、外部端子(図略)を有しており、直列又は並列に接続することが出来る。図1に示すバッテリ20は、2つの電池モジュールM1、M2を直列に接続している。
【0021】
二次電池Cは、例えば、リチウムイオン二次電池であり、各電池モジュールM1、2は、3つの二次電池Cを直列に接続した構成である。従って、電池モジュールM1、M2の全体では、6つの二次電池C1〜C6を直列に接続した構成である。
【0022】
モジュールセンサ35は、電池モジュールM1、M2ごとに設けられている。モジュールセンサ35は、電池モジュールMを構成する各二次電池Cの電圧、電池モジュールMの総電圧Vm、及び電池モジュールMの温度を検出する。
【0023】
従って、電池モジュールM1のモジュールセンサ35の場合、各二次電池C1〜C3の電圧Vc1〜Vc3、電池モジュールM1の総電圧Vm、及び電池モジュールM1の温度を検出する。
【0024】
Vm=Vc1+Vc2+Vc3
【0025】
エネルギー転送回路40は、二次電池C1〜C6ごとに設けられている。図2は、二次電池C1に対応して設けられたエネルギー転送回路40の拡大図である。
【0026】
図2に示すように、エネルギー転送回路40は、フライバック式で双方向の転送回路であり、スイッチングトランスTrと、第1半導体スイッチQAと、第2半導体スイッチQBとを含む。第1半導体スイッチQAは本発明の「第1スイッチ」の一例、第2半導体スイッチQBは本発明の「第2スイッチ」の一例である。双方向とは、単一のスイッチングトランスTrにより、二次電池C側から共通バス50へのエネルギー転送と、共通バス50から二次電池C側へのエネルギー転送の双方が可能という意味である。
【0027】
スイッチングトランスTrは、第1巻線41Aと、第2巻線41Bとを有する。第1巻線41Aと第2巻線41Bは絶縁されている。第1巻線41Aの一端は、二次電池C1の正極に接続されている。第1巻線41Aの他端は、第1半導体スイッチQA、抵抗Rを介して、二次電池C1の負極に接続されている。第1半導体スイッチQAは、Nチャンネルの電界効果トランジスタであり、ゲートに制御信号を与えることで、オン、オフを制御することが出来る。
【0028】
また、スイッチングトランスTrの第2巻線41Bの一端は、共通バス50を構成する正極バスバー50Pに接続されている。第2巻線41Bの他端は、第2半導体スイッチQB、抵抗Rを介して、共通バス50を構成する負極バスバー50Nに接続されている。第2半導体スイッチQBは、Nチャンネルの電界効果トランジスタであり、ゲートに制御信号を与えることで、オン、オフを制御することが出来る。
【0029】
スイッチングトランスTrは、スイッチング動作を利用して、磁気エネルギーを蓄え、又蓄えた磁気エネルギーを電気エネルギーとして放出するトランスである。
【0030】
共通バス50は、正極バスバー50Pと負極バスバー50Nから構成されている。共通バス50は、図1に示すように、各電池モジュールM1、M2のケース30を貫通して設けられている。共通バス50はケース30から絶縁されている。共通バス50には、各電池モジュールM1、M2の二次電池C1〜C6に対応して設けられたスイッチングトランスTrの各第2巻線41Bが共通接続されている。共通バス50は、正極側、負極側の双方とも、共通接続されている各第2巻線41Bのみ接続されているだけで、電源ライン(+)、グランドライン(−)、二次電池C1〜C6を含め、他のどこにも接続されておらず、電気的にフローティング(floating)である。
【0031】
制御装置70は、演算機能を有するCPU71、各種情報を記憶したメモリ73など備えている。メモリ73には、後述する均等化処理を実行するために必要なデータが記憶されている。
【0032】
制御装置70は、電池モジュールM1、M2のモジュールセンサ35からの出力に基づいて、各電池モジュールM1、M2の総電圧Vm、温度、及び各二次電池C1〜C6の電圧Vc1〜Vc6を監視する。また、制御装置70は、以下に説明する電圧均等化制御を行う。
【0033】
2.電圧監視と均等化処理
図3は電圧監視と均等化処理のフローチャート図である。電圧監視と均等化処理は、制御装置70に実行され、S10〜S30の3ステップから構成されている。
【0034】
まず、S10において、制御装置70は、電池モジュールM1、M2に設けられたモジュールセンサ35からの出力に基づいて、各二次電池C1〜C6の電圧Vc1〜Vc6を取得する。
【0035】
次に、S20において、制御装置70は、各二次電池C1〜C6の電圧圧Vc1〜Vc6が、電圧バラツキの許容範囲Yにあるか、判定を行う。
【0036】
具体的には、制御装置70は、図4に示すように、二次電池C1〜C6の電圧Vc1〜Vc6の平均値Vavを算出する。次に、平均値Vavを基準として、電圧バラツキの許容範囲Yを求めると共に、二次電池C1〜C6の電圧Vc1〜Vc6が許容範囲Yに含まれているか、判定する。
【0037】
二次電池C1〜C6の電圧が、全て許容範囲Yに含まれている場合(S20:YES)、処理は終了する。
【0038】
一方、二次電池C1〜C6のうち1つでも、電圧が許容範囲Yから逸脱している場合(S20:NO)、制御装置70は、電圧を均等化する均等化処理を実行する(S30)。
【0039】
均等化処理は、以降に詳しく説明するように、エネルギー転送回路40を用いて、電圧の高い側の二次電池Cから電圧の低い側のリチウム二次電池Cに、共通バス50を介してエネルギー(電荷)を移することで、二次電池間において、電圧Vcのバラツキを小さくして、電圧Vcを均等化する処理である。
【0040】
図3に示す電圧監視と均等化処理は、制御装置70の起動後、所定の周期で繰り返し実行される。そのため、二次電池C1〜C6の電圧が許容範囲Yから逸脱すると、その後、均等化処理が実行されることから、電池モジュールM1〜M2を構成する各二次電池C1〜C6を、電圧Vcのバラツキが小さい状態に常に維持することが出来る。
【0041】
3.均等化処理の具体例
(1)許容範囲Yより電圧が高い二次電池C6と、電圧の低い二次電池C1が1つずつ存在する場合(図4の場合)
【0042】
この場合、図5に示すように、制御装置70は、電圧の高い二次電池C6に対応するスイッチングトランスTr6の第1半導体スイッチQA6に動作信号を与えて、第1半導体スイッチQA6をオンする。尚、第1半導体スイッチQA6がオンする時間、第2半導体スイッチQB6はオフに制御される。
【0043】
第1半導体スイッチQA6がオンすると、二次電池C6からスイッチングトランスTr6の第1巻線41Aに電流が流れ、スイッチングトランスTr6に磁気エネルギーが蓄えられる(期間t1)。
【0044】
次に、制御装置70は、スイッチングトランスTr6の第1半導体スイッチQA6をオフに切り換えると共に、第2半導体スイッチQB6に動作信号を与えて、第2半導体スイッチQB6をオンする(期間t2)。
【0045】
第1半導体スイッチQA6をオフ、第2半導体スイッチQB6をオンに切り換えると、スイッチングトランスTr6の逆起電力により、第2巻線41Bから共通バス50に電流が流れる。すなわち、スイッチングトランスTr6が、蓄えた磁気エネルギーを電気エネルギーとして放出する。これにより、スイッチングトランスTr6に蓄えたエネルギーを共通バス50へ転送することが出来る。
【0046】
また、制御装置70は、第2半導体スイッチQB6のオン動作中(期間t2)、電圧の低い二次電池C1に対応するスイッチングトランスTr1の第2半導体スイッチQB1をオンする。
【0047】
これにより、共通バス50からスイッチングトランスTr1の第2巻線41Bに電流が流れる。そのため、スイッチングトランスTr6から共通バス50へ転送されたエネルギーは、共通バス50からスイッチングトランスTr1に磁気エネルギーとして蓄えられる。
【0048】
次に、制御装置70は、スイッチングトランスTr1の第2半導体スイッチQB1をオフに切り換えると共に、スイッチングトランスTr1の第1半導体スイッチQA1に動作信号を与えて、第1半導体スイッチQA1をオンする(期間t3)。
【0049】
第2半導体スイッチQB1をオフ、第1半導体スイッチQA1をオンに切り換えると、スイッチングトランスTr1の逆起電力により、スイッチングトランスTr1の第1巻線41Aから二次電池C1に電流が流れる。すなわち、スイッチングトランスTr1が、蓄えた磁気エネルギーを電気エネルギーとして放出する。これにより、スイッチングトランスTr1に蓄えたエネルギーを、電圧の低い二次電池C1へ転送することが出来る。
【0050】
以上により、電圧の高い二次電池C6から、電圧の低い二次電池C1にエネルギー(電荷)を転送できる。制御装置70は、こうしたスイッチング動作を、所定の周期Tで、実行することで、電圧の高いリチウム二次電池C6は電圧が下がり、電圧の低い二次電池C1は、電圧が上がるので、二次電池C1〜C6の電圧を均等化することが出来る。
【0051】
制御装置70は、均等化処理の実行開始後、モジュールセンサ35の出力から二次電池C1、C6の電圧をモニタし、二次電池C1、C6が許容範囲Yを逸脱している間は、半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作を少なくとも継続し、電圧調整対象の二次電池C1、C6の電圧が概ね平均値Vavに達した時に、スイッチング動作を終了し、均等化処理を完了する。
【0052】
(2)許容範囲Yより電圧が高い二次電池C6が1つ、電圧の低い二次電池C1、C2は複数あって、電圧の低い二次電池C1、C2に電圧差がない場合(図6の場合、Vc1≒Vc2)
【0053】
この場合、図7に示すように、(1)の場合と同様に、制御装置70は、期間t1にスイッチングトランスTr6の第1半導体スイッチQA6をオンし、期間t2に、第2半導体スイッチQB6をオンする。
【0054】
これにより、図8に示すように、電圧の高い二次電池C6から、スイッチングトランスTr6を介して、共通バス50に、エネルギーを転送することが出来る。
【0055】
また、制御装置70は、期間t2に、スイッチングトランスTr1の第2半導体スイッチQB1とスイッチングトランスTr2の第2半導体スイッチQB2を同時オンし、期間t3に、スイッチングトランスTr1の第1半導体スイッチQA1とスイッチングトランスTr2の第1半導体スイッチQA2を同時オンする。
【0056】
これにより、図8に示すように、共通バス50から、スイッチングトランスTr1、Tr2を介して、電圧の低い2つの二次電池C1、C2へエネルギーを転送することが出来る。
【0057】
このようにすることで、電圧の高いリチウム二次電池C6は電圧が下がり、電圧の低い二次電池C1、C2は、電圧が上がるので、二次電池C1〜C6の電圧を均等化することが出来る。この方法では、共通バス50から電圧の低い複数の二次電池C1、C2に同時にエネルギーを転送するので、均等化に要する時間が短い、というメリットがある。
【0058】
(3)許容範囲Yより電圧が高い二次電池C6が1つ、電圧の低い二次電池C1、C2は複数あって、電圧の低い二次電池C1、C2に電圧差がある場合(図9の場合、Vc1<Vc2)
【0059】
この場合、図10に示すように、制御装置70は、スイッチングトランスTr1、Tr2の半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期Tを、二次電池C1、C2の電圧差に応じて変える。
【0060】
具体的には、許容範囲Yよりも電圧の低い2つの二次電池C1、C2のうち、電圧のより低い二次電池C1に対応するスイッチングトランスTr1の半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期T1を、電圧の高いリチウイオン二次電池C2に対応するスイッチングトランスTr2の半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期T2よりも短くする(T1<T2)。この例では、二次電池C1と二次電池C2の電圧を平均値Vavまで上昇するために必要なエネルギー量は概ね2対1であることから、スイッチング動作の周期Tの比(T1:T2)は1対2としてある。ただし、T1≒T6である。
【0061】
スイッチング動作の周期Tの比を1対2とすることで、電圧の低い二次電池C1の方が、相対的に電圧の高い二次電池C2よりも、エネルギーの転送周期が短くなり、共通バス50から受け取るエネルギーの量が多くなることから、電圧がより上昇する。そのため、許容範囲Yよりも電圧の低い2つの二次電池C1、C2の電圧を上昇させつつ、それら2つの二次電池C1、C2の電圧差を小さくすることが出来、二次電池C1〜C6の電圧を効率よく均等化することが出来る。尚、スイッチング動作の周期Tは、エネルギーの転送周期を規定するものであるから、スイッチング動作の周期Tが、本発明の「エネルギーの転送周期」に相当する。
【0062】
(4)許容範囲Yより電圧が高い二次電池C5、C6が複数あって、電圧の高い二次電池C5、C6に電圧差がなく、電圧の低い二次電池C1が1つの場合(図11の場合、Vc5≒Vc6)
【0063】
この場合、図12に示すように、制御装置70は、期間t1にスイッチングトランスTr6の第1半導体スイッチQA6とスイッチングトランスTr5の第1半導体スイッチQA5を同時にオンし、期間t2にスイッチングトランスTr6の第2半導体スイッチQB6とスイッチングトランスTr5の第2半導体スイッチQB5を同時オンする。これにより、図13に示すように、電圧の高い二次電池C6、C5から、スイッチングトランスTr6、Tr5を介して、共通バス50に、エネルギーを転送することが出来る。
【0064】
また、制御装置70は、期間t2に、スイッチングトランスTr1の第2半導体スイッチQB1をオンし、期間t3に、スイッチングトランスTr1の第1半導体スイッチQA1をオンする。
【0065】
これにより、図13に示すように、スイッチングトランスTr1を介して、共通バス50から電圧の低い二次電池C1へエネルギーを転送することが出来る。
【0066】
この方法では、電圧の高い複数の二次電池C5、C6から共通バス50に対して同時にエネルギーを転送するので、均等化に要する時間が短い、というメリットがある。
【0067】
(5)許容範囲Yより電圧が高い二次電池C5、C6が複数あって、電圧の高い二次電池C5、C6に電圧差があり、電圧の低い二次電池C1が1つの場合(図14の場合、Vc5<Vc6)
【0068】
この場合、図15に示すように、制御装置70は、スイッチングトランスTr5、Tr6の半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期Tを、二次電池C5、C6の電圧差に応じて変える。
【0069】
具体的には、許容範囲Yよりも電圧の高い2つの二次電池C5、C6のうち、電圧の高い二次電池C6に対応するスイッチングトランスTr6の半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期T6を、電圧の低い二次電池C5に対応するスイッチングトランスTr5の半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期T5よりも短くする(T6<T5)。この例では、二次電池C6と二次電池C5の電圧を平均値Vavまで下降するために必要なエネルギーの削減量は概ね2対1であることから、スイッチング動作の周期Tの比(T6:T5)は1対2としてある。ただし、T1≒T6である。
【0070】
スイッチング動作の周期Tの比(T6:T5)を1対2とすることで、電圧の高い二次電池C6の方が、相対的に電圧の低い二次電池C5よりも、エネルギーの転送周期が短くなり、共通バス50へ転送するエネルギーの量が多くなることから、電圧がより下降する。そのため、許容範囲Yよりも電圧の高い2つの二次電池C5、C6の電圧を下降させつつ、それら2つの二次電池C5、C6の電圧差を小さくすることが出来、二次電池C1〜C6の電圧を効率よく均等化することが出来る。
【0071】
4.効果説明
本構成では、エネルギー転送回路40のスイッチングトランスTrを用いて、異なる電池モジュールM間で共通バス50を介してエネルギーを転送することにより、複数の電池モジュールM1、M2を構成する各リチウイオン二次電池C1〜C6の電圧を均等化できる。そのため、複数の電池モジュールMからなるシステム全体として、最大容量のエネルギーが使用可能となる。しかも、共通バス50は、電気的にフローティングである。そのため、電池モジュールMの接続作業や取り外し作業時に、感電や漏電のリスクが小さい。また、フローティングであれば、共通バス50を電池側に接続する場合、すなわち、直列接続された二次電池C1〜C6の両極に接続する場合と比べて、低電圧である。そのため、電池モジュールMの接続作業や取り外し作業を安全に行うことが可能であり、電池モジュールMの増設作業や交換作業を安全かつ容易に行うことが出来る。
【0072】
本構成では、許容範囲Yよりも電圧の低い二次電池C1、C2が複数ある場合、電圧の低い二次電池C1の方が、電圧の高い二次電池C2よりも、共通バス50からの受け取るエネルギーの量が多く制御される。そのため、許容範囲Yよりも電圧の低い複数の二次電池C1、C2の電圧を上昇させつつ、それら二次電池C1、C2の電圧差を小さくすることが出来る。
【0073】
本構成では、許容範囲Yよりも電圧の高い二次電池C5、C6が複数ある場合、電圧の高い二次電池C6の方が、電圧の低い二次電池C5よりも、共通バス50へ転送するエネルギーの量が多く制御される。そのため、許容範囲Yよりも電圧の高い複数の二次電池C5、C6の電圧を下降させつつ、それら二次電池C5、C6の電圧差を小さくすることが出来る。
【0074】
本構成のエネルギー転送回路40は、双方向の転送回路であり、1つのスイッチングトランスTrだけで、二次電池Cから共通バス50、共通バス50から二次電池Cの双方向にエネルギーの転送が可能である。そのため、構成部品を少なくすることが出来る。
【0075】
<実施形態2>
実施形態2を、図16を参照して説明する。
実施形態2のバッテリ120は、図16に示すように、4つの電池モジュールM1〜M4と、共通バス50を有している。
【0076】
電池モジュールM1、M2と、電池モジュールM3、M4はそれぞれ直列に接続されている。また、電池モジュールM1の二次電池C1と電池モジュールM3の二次電池C7の負極間及び電池モジュールM2の二次電池C6と電池モジュールM4の二次電池C12の正極間をそれぞれ並列線LPで接続してあり、電池モジュールM1、M2と、電池モジュールM3、M4は、並列に接続されている。
【0077】
電池モジュールM1〜M4は、各二次電池C1〜C12に対応して、エネルギー転送回路40を備えている。
【0078】
エネルギー転送回路40は、実施形態1と同様に、スイッチングトランスTrと、第1半導体スイッチQAと、第2半導体スイッチQBと、を含む。
【0079】
電池モジュールM1、M2の各二次電池C1〜C6に対応して設けられたスイッチングトランスTrの各第2巻線41Bは、共通バス50に接続されている。
【0080】
電池モジュールM3、M4の各二次電池C7〜C12に対応して設けられたスイッチングトランスTrの各第2巻線41Bは、共通バス50に接続されている。
【0081】
実施形態2では、並列に接続された電池モジュールM1〜M4の各エネルギー転送回路40のスイッチングトランスTr1〜Tr12の第2巻線41Bを、共通バス50に共通接続している。
【0082】
この構成では、並列に接続された電池モジュール間でも、共通バス50を介して、エネルギーを転送することが出来る。そのため、直列に接続された電池モジュール間だけでなく、並列に接続された電池モジュール間でも、電圧を均等化することが出来る。
【0083】
図16では、電圧が許容範囲Yより高い電池モジュールM2の二次電池C6と電池モジュールM4の二次電池C12から、スイッチングトランスTr6、Tr12を用いて、共通バス50へエネルギーを転送している。そして、共通バス50に転送したエネルギーを、スイッチングトランスTr7を用いて、電圧が許容範囲Yより低い電池モジュールM3のリチウムイオン電池C7に転送している。これにより、電池モジュールM1〜M4を構成するリチウムイオン電池C1〜C12の電圧を均等化している。
【0084】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
(1)実施形態1、2では、「蓄電素子」の一例に、リチウムイオン二次電池を例示した。蓄電素子は、他の二次電池でもよく、又、電気二重層コンデンサなどもよい。また、バッテリ20の用途は、船舶等の大型移動体に限定されるものではなく、UPSや、太陽光発電システムの蓄電部などの他の用途でもよい。
【0086】
(2)実施形態1では、電池モジュール間でエネルギーを転送する例を示したが、エネルギーの転送は、電池モジュール間に限らず、電池モジュール内で行ってもよい。
例えば、電池モジュールM1を構成する二次電池C1、C2間や二次電池C2、C3間で、共通バス50を介してエネルギーを転送するようにしてもよい。また、二次電池Cは少なくとも複数であればよく、モジュール化の有無は特に限定されない。
【0087】
(3)実施形態1では、図5に示すように、スイッチングトランスTr6から共通バス50へエネルギーを転送するタイミング(QB6のオン)と、共通バス50からスイッチングトランスTr1へエネルギーを転送するタイミング(QB1のオン)を同期させた。図17に示すバッテリ220のように、共通バス50を構成する正負のバスバー50P、50N間にコンデンサ55を設ける構成の場合、スイッチングトランスTr6から共通バス50へエネルギーを転送するタイミング(QB6のオン)と、共通バス50からスイッチングトランスTr1へエネルギーを転送するタイミング(QB1のオン)を非同期にしてもよい。
【0088】
(4)実施形態1では、図10に示すように、スイッチングトランスTrの半導体スイッチQA、QBのスイッチング動作の周期Tを、変更することで、二次電池Cから共通バス50に転送するエネルギー量を調整した。また、図15に示すように、共通バス50から二次電池Cに転送するエネルギー量を調整した。転送するエネルギーの調整は、スイッチング動作の周期Tを変更する方法以下にも、半導体スイッチQA、QBのON時間(t1、t2、t3)の長さを変更するものであってもよい。また、半導体スイッチQA、QBは、電界効果トランジスタに限らず、バイポーラトランジスタでもよい。
【0089】
(5)実施形態1では、エネルギー転送回路40の一例として、図2に示すように、フライバック式で双方向の転送回路を例示した。エネルギー転送回路40は、二次電池Cと共通バス50との間でエネルギーを転送できる回路であればよく、双方向タイプに限定されない。例えば、図18に示すように、二次電池C1から共通バス50にエネルギーを転送する第1転送回路310と、共通バス50から二次電池C1にエネルギーを転送する第2転送回路320を並列に接続する構成であってもよい。
【0090】
第1転送回路310は、図18に示すように、第1スイッチングトランスTr1と、第1半導体スイッチQA1と、抵抗Rと、第1ダイオードD1から構成されている。第1スイッチングトランスTr1の第1巻線41Aの一端は、二次電池C1の正極に接続されている。第1巻線41Aの他端は、第1半導体スイッチQA1、抵抗Rを介して、二次電池C1の負極に接続されている。また、第1スイッチングトランスTr1の第2巻線41Bの一端は、第1ダイオードD1を介して共通バス50を構成する正極バスバー50Pに接続されている。第2巻線41Bの他端は、抵抗Rを介して、共通バス50を構成する負極バスバー50Nに接続されている。第1転送回路310は、第1半導体スイッチQA1のスイッチング制御により、二次電池C1から共通バス50にエネルギーを転送することが出来る。
【0091】
第2転送回路320は、図18に示すように、第2スイッチングトランスTr2と、第2半導体スイッチQB1と、抵抗Rと、第2ダイオードD2から構成されている。第2スイッチングトランスTr2の第1巻線41Aの一端は、第2ダイオードD2を介して二次電池C1の正極に接続されている。第1巻線41Aの他端は、抵抗Rを介して、二次電池C1の負極に接続されている。また、第2スイッチングトランスTr2の第2巻線41Bの一端は、共通バス50を構成する正極バスバー50Pに接続されている。第2巻線41Bの他端は、第2半導体スイッチQB1、抵抗Rを介して、共通バス50を構成する負極バスバー50Nに接続されている。第2転送回路320は、第2半導体スイッチQB1のスイッチング制御により、共通バス50から二次電池C1にエネルギーを転送することが出来る。
【0092】
また、エネルギー転送回路40は、フライバック式に限らず、フォワード式でもよい。
【符号の説明】
【0093】
20...バッテリ(本発明の「蓄電装置」の一例)
30...ケース
40...エネルギー転送回路
41A...第1巻線
41B...第2巻線
50...共通バス
70...制御装置
C...二次電池(本発明の「蓄電素子」の一例)
M...電池モジュール(本発明の「蓄電素子モジュール」の一例)
QA...第1半導体スイッチ(本発明の「第1スイッチ」の一例)
QB...第2半導体スイッチ(本発明の「第2スイッチ」の一例)
Tr...スイッチングトランス
T...スイッチング動作の周期(本発明の「エネルギーの転送周期」の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18