(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
火災などの緊急時に窓から建物外へ避難するために用いる避難用はしご装置として、例えば
図7〜9に示すものがあった。
この避難用はしご装置は、
図7に示すように、避難者が足を掛けるはしご部Aと、はしご部Aから避難者が落下しないように避難者を保護する防護柵部Bとを備えたものである。
上記はしご部Aは、側面1a側を建物の外壁に固定する断面が略L字状の固定柱1と、この固定柱1に対向し、断面を略L字状にした可動柱2と、これら固定柱1及び可動柱2の間に回動可能にかけ渡された複数のはしご用桟3とで構成されている。
【0003】
また、上記防護柵部Bは、上記可動柱2と、柵用柱5と、これら可動柱2と柵用柱5との間に回動可能にかけ渡された複数の横材4とで構成されている。
そして、柵用柱5を可動柱2に接近させながら上記横材4を矢印y方向に回動させて防護柵部Bを収納状態にしてから、上記可動柱2を固定柱1に接近させながらはしご用桟3を矢印y方向に回動させることによって、固定柱1と可動柱2との間にはしご用桟3が収納され、避難用はしご装置を収納状態にするものである。
【0004】
そして、上記固体柱1と可動柱2との間には、固定柱1と可動柱2との近接状態を保ち、はしご装置の収納状態を維持するロック機構が設けられている。
このロック機構は、例えば、
図9に示すようなフック部材6と掛け止め部材7とで構成されている。
上記フック部材6は、先端側に形成された斜面6aと、下方を開口した凹部6bとを備え、その基端が固定柱1側に固定されている。ただし、このフック部材6は、固定柱1に対して上下にスライド可能に保持された、図示していないスライド部材に固定されている。
【0005】
一方、上記掛け止め部材7は、上記固定柱1側に固定されたフック部材6と対向する位置で、上記可動柱2側に固定される部材である。
この掛け止め部材7は、断面がコの字状の部材で、対向する面において互いに対向する位置に上下方向に伸びる長穴7a,7aが形成され、この長穴7a,7aに棒部材8がかけ渡されている。この棒部材8は、上記長穴7a内をスムーズに移動可能な寸法であり、コイルばね9によって上方へ引き上げられている。
【0006】
そして、はしご装置が展開状態から収納状態になるときには、フック部材6が掛け止め部材7に矢印A方向に移動する過程で、先端側の斜面6aがコイルばね9のばね力に抗して上記棒部材8を押し下げ、フック部材6の先端が棒部材8を乗り越えると、上記
棒部材8に凹部6bが引っかかる。これにより、固定柱1と可動柱2との密着状態が維持される。このとき、上記棒部材8は、コイルばね9の上方へ向かうばね力によって上記凹部6bに押し付けられ、外れることがない。つまり、はしご装置の収納状態が維持される。
【0007】
一方、上記ロック機構を解除するときには、固定柱1側の上記スライド部材を移動させることによって、フック部材6を矢印B方向に移動させ、上記凹部6bを掛け止め部材7の棒部材8から外す。このようにロック機構のロック状態が解除されれば、はしご用桟3が矢印x方向に回動し、固定柱1と可動柱2とを離してはしご装置を展開状態にすることができる。
【0008】
なお、上記スライド部材を移動させてロック状態を解除する解除機構の説明は省略するが、この解除機構には
図7,8のハンドルHの回転軸が連結され、このハンドルHを操作することによって、ロック機構が解除されるようにしている。
そして、上記ハンドルHは、固定柱1の正面1bに複数取り付けられている。このハンドルHは、非常時に、建物内の避難者が、例えば窓Wから手で操作するものである。このハンドルHを矢印x方向に回すと、上記ロック機構が解除され、はしご用桟3が矢印x方向に回動してはしご装置を展開させることができるというものである。
【0009】
したがって、上記ハンドルHは、非常時に避難者が屋内から操作できるように、例えば、窓Wなどの開口高さL1内で、避難者の手が届く位置に取り付けられていなければならない。
しかし、上記窓Wの位置は建物によって異なる。そのため、従来の避難はしご装置では、はしご装置を設置する建物が決まったとき、その建物の窓やベランダなどの位置に基づいて、避難者が操作しやすい位置を決定し、その位置にハンドルHの回転軸を挿入する軸孔を形成して、そこに回転軸を挿入してハンドルHを取り付けりようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、従来は、建物の窓Wなどの位置に対応させて軸孔を形成し、その位置にハンドルHを固定して、はしご装置を工場から出荷していた。
しかし、現場の窓Wなどの位置とハンドルHの位置とが対応しない場合があった。このように両者の位置が対応していないときには、ハンドルHの位置を変更しなければならない。
しかし、ハンドルHの位置を変更しようとすると、その回転軸を挿入するための軸孔を、固定柱1に新たに形成しなければならない。
しかし、はしご装置の設置現場に孔開け工具があるとは限らないし、不用意に軸孔を形成した場合には、孔あけ工具で、ロック機構や解除機構を損傷してしまう可能性もあった。
【0012】
したがって、ハンドルHを付け替えるためには、はしご装置を工場へ持ち帰って、新たに軸孔を形成し、ハンドルHの位置を変更するようにしていた。
そのために、工期が延びたり、工場と現場の行き来のための輸送コストや、工場での人件費等がかかったりするという問題があった。
この発明の目的は、解除機構に連結させたハンドルと建物の窓などの避難路との位置が対応していなかったとしても、現場で簡単にハンドルの位置を修正できる避難用はしご装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、建物に固定する固定柱と、この固定柱に沿って配置された可動柱と、これら固定柱と可動柱との間に回動自在にかけ渡された複数のはしご用桟とを備え、上記可動柱を固定柱に接近させて、それら両者間で上記はしご用桟が折り畳まれて収納される収納状態と、その収納状態を開放する使用状態との間で上記可動柱を移動可能にする一方、上記収納状態を維持するロック機構を、上記固定柱と可動柱のいずれか一方もしくはそれらの間に設けた避難用はしご装置において、上記ロック機構のロック状態を解除する解除機構と、この解除機構を動作させるとともに、この解除機構に対して着脱可能にされた回転軸と、この回転軸を回転させるハンドルと、上記固定柱の軸方向に沿
うとともに、上記はしご用桟に対応する位置に予め形成され、上記ハンドルの回転軸を挿入するための複数の軸孔と、
上記軸孔と間隔を保って対向する位置に着脱可能で、上記ハンドルの回転軸の先端側を支持する軸孔が形成された軸受部材とを備え
、上記軸孔のうち、建物の窓位置に対応して選択された軸孔に上記回転軸が挿入され、この回転軸が上記解除機構と連係され
、当該回転軸の先端側を支持する上記軸受部材が、対応するはしご用桟の一端を上記固定柱に対して回動可能に支持する支持軸によって上記固定柱に固定されてなることを特徴とする。
なお、上記軸孔を形成する間隔は、避難者が脱出可能な窓などの開口高さよりも短くし、窓の開口などに対応する範囲に必ず1以上の軸孔が位置するようにしている。
【0014】
第2の発明は、上記固定柱には、その軸方向にスライド可能で、上下いずれかに押圧あるいは牽引された長尺のスライド部材が設けられ、上記ロック機構は、上記スライド部材あるいは上記可動柱のいずれか一方に固定されたフック部材と、上記スライド部材あるいは上記可動柱のいずれか他方に固定され、上記収納状態において上記フック部材に掛け止められる掛け止め部材とからなる。
また、上記解除機構は、上記スライド部材に取り付けられたラック部材と、上記ハンドルの回転軸の回転に伴って回転し、上記ラック部材とかみ合うピニオンとからなり、上記回転軸の回転によって上記スライド部材を上記押圧あるいは牽引方向と反対方向に移動させて上記フック部材が掛け止め部材から外れ、上記ロック機構が解除される構成である。
そして、上記スライド部材とラック部材との一対の対向面のいずれか一方には凸部が設けられるとともに、いずれか他方には上記凸部が嵌る凹部が設けられ、上記スライド部材側の上記凸部あるいは凹部は、上記固定柱に形成された軸孔に対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、避難用はしご装置の設置現場で、予め形成された取り付け孔の中から、建物の窓位置に応じて必要な位置を特定してハンドルを取り付けることができる。したがって、はしご装置に取り付けられたハンドルの位置が、実際の窓などの位置と対応していなかったときにも、軸孔を形成する必要がない。
そのため、ハンドルの付け替えのために、はしご装置を工場へ持ち帰らなくてもよく、時間とコストを大幅に節約できる。
また、ハンドルの回転軸を、軸孔と軸受部材との二か所で安定的に支持できる。
さらに、ハンドルの回転軸の先端側を支持する軸受部材を、はしご用桟を支持する支持軸を利用して支持部材に固定することができる。したがって、軸受部材を固定するための別部品が不要になり、部品点数を少なくできる。特に、現場でハンドルを付け替える際に、軸受部材を取り付けるための部品を改めて用意する必要なく、現場での作業性を向上させる。
また、この発明では、予め形成される軸孔の間隔をはしご用桟の間隔と一致させることになる。人が安全に避難できるはしご用桟の間隔は、避難者が脱出可能な窓などの開口高さよりも小さくなるため、上記開口高さに対応する範囲内に、上記軸孔が必ず、1又は複数位置することになる。したがって、適切な位置を選択してそこにハンドルを取り付けることができる。
【0018】
第2の発明によれば、解除機構を構成するラック部材を、ハンドルの取り付け位置である軸孔に対応させて簡単に取り付けることができる。そのため、ハンドルの位置に合わせて、ラック部材の位置を変更することも容易である。
また、各軸孔に対応した位置にラック部材を取り付けることができるので、ラック部材の軸方向長さを、ピニオンとかみ合う部分に対応した必要長さにすることができる。つまり、軸方向長さの短いラック部材を、ハンドルの数だけ取り付けることができる。例えば、全ての軸孔に対応する1本のラック部材を用いたり、全ての軸孔分のラック部材を取り付けておいたりした場合には、ラック部材の重量が大きくなり、スライド部材を移動させるために大きな力が必要になったり、はしご装置の総重量が大きくなって搬送性が悪くなったりするが、この発明ではそのような問題は発生しない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜6を用いてこの発明の一実施形態を説明する。
この実施形態の避難用はしご装置は、
図1に示すように、互いに直交する方向に展開するはしご部Aと防護柵部Bとを備え、これらはしご部Aと防護柵部Bとは、通常時には折り畳んで、このはしご装置を収納状態にすることができるものである。
上記はしご部Aは、側面11a側を建物の外壁に固定する固定柱11と、この固定柱11との間に複数のはしご用桟13が回動可能にかけ渡される上記可動柱12とで構成され、防護柵部Bは、上記可動柱12と、この可動柱12との間に複数の横材14がかけ渡された柵用柱15とで構成されている。
なお、
図2はこの実施形態の避難用はしご装置の収納状態の断面図であるが、このとき、固定柱11と可動柱12とは密着している。また、
図2において紙面の手前側を上方、裏面側を下方とする。
【0022】
図1,2に示すように、固定柱11及び可動柱12は、それぞれ断面が略L字状の長尺部材であり、上記固定柱11は、建物の外壁側となる側面11aと、この側面11aと直交し、ハンドルHが取り付けられる正面11bとで略L字を形成している。
また、可動柱12は、収納状態で固定柱11の上記側面11aと対向する側面12aと、上記正面11bと対向する背面12bとで略L字を形成している。
上記固定柱11は、その側面11aの外側に連結部11cが形成され、この連結部11cに固定金具16を連結し、この固定金具16によってこの避難用はしご装置を建物の外壁に固定するようにしている(
図2参照)。
【0023】
また、上記固定柱11の側面11aの内側であって、上記正面11bとで挟まれた角に近い部分には、軸方向に伸びるガイド凹部11dが形成され、このガイド凹部11d内に長尺の板状のスライド部材17が上下方向に摺動可能に組み込まれている。このスライド部材17は、その下端に図示しないばね部材が連結され、そのばね力と重力とによって下方に引かれ、
図2に示す収納状態で、スライド部材17の摺動範囲の下端位置を保っている。
【0024】
さらに、上記ガイド凹部11dより、可動柱12の背面12b側に近い部分には、固定柱11の軸方向に連続する一対の軸受部11e,11fが形成され、この軸受部11e,11f間には、上記はしご用桟13の一端側が挿入され、これを回動可能に支持する支持軸18がかけ渡されている。この支持軸18は、一端にナット18aを締め付けることによって一対の軸受部11e,11fに固定されている。このナット18aを外すことによって、支持軸18を、軸受部11e,11fから取り外すこともできる。
したがって、この支持軸18によって、後で説明する軸受板23(
図2,3,5参照)を上記軸受部11eに固定することができる。
【0025】
一方、可動柱12には、上記軸受部11e,11fと対向する位置に、可動柱12の軸方向に連続する一対の軸受部12c,12cが形成され、この軸受部12c,12c間には、上記はしご用桟13の他端側が挿入され、それを回動可能に支持する支持軸19がかけ渡されている。
そして、
図2の収納状態では、可動柱12側の支持軸19が固定柱11側の支持軸18よりも上方に位置するようにはしご用桟13が折り畳まれている。つまり、はしご部Aの収納状態では、可動柱12が固定柱11に対して持ち上がって宙に浮いている。
【0026】
さらに、可動柱12には、上記軸受部12c,12cと直交する方向で、軸方向に伸びる一対の軸受部12d,12dが形成され、この軸受部12d,12d間に、上記防護柵部Bの横材14の一端側が挿入され、それを回動可能に支持する支持軸20がかけ渡されている。
また、上記柵用柱15はチャンネル状の長尺部材で、一対の側面15a,15aが、上記軸受部12d,12dと対向する位置で軸受部として機能し、この側面15a,15a間には、上記横材14の他端側が挿入され、それを回動可能に支持する支持軸21がかけ渡されている。
そして、
図2の収納状態では、柵用柱15側の支持軸21の方が可動柱12側の支持軸20よりも上方に位置した状態で、上記横材14が折り畳まれている。つまり、柵用柱15が、上記可動柱12に対して上方に持ち上がって宙に浮いた状態になる。
【0027】
一方、固定柱11の正面11bにはハンドルHが取り付けられているが、このハンドルHに固定された回転軸22を、固定柱11の正面11bに形成された軸孔11gに貫通させている。
この実施形態では、
図4に示すように、固定柱11の正面11bに、予め、間隔L2を保って複数の軸孔11gが形成されている。
また、この間隔L2を上記はしご用桟13と同等にするとともに、各軸孔11gをはしご用桟13の位置に対応させている。
【0028】
また、軸孔11gの近傍には、上記正面11bの外側に軸受部材24を固定するための止め孔11hも形成されている(
図4参照)。
上記軸受部材24は
図2に示すように、上記正面11bの外側に取り付けるハンドルHの回転軸22を回転可能に支持する筒状の軸受部24aと、取付け板部24bとからなる。この取付け板部24bが、上記止め孔11hを貫通するビスなどによって正面11bに固定されるようにしている。
【0029】
なお、
図1,2,4において、符号11iは、正面11bから鉤状に突出して軸方向に伸びる押さえ片であり、正面11bに上記取り付け板部24bを取り付ける際には、この押さえ片11iによって、上記取り付け板部24bの一方の縁を挟むようにしている。この押さえ片11iは必須ではないが、この押さえ片11iによって取り付け板部24bを押さえるようにすれば、上記止め孔11hの数を少なくすることができる。
【0030】
この実施形態は、上記のように固定柱11に予め複数の軸孔11gが形成されていることが最大の特徴である。そして、形成された複数の軸孔11gのうち、必要な個所の軸孔11gを選択してハンドルHを取り付けるようにしている。
図2,3は、特定の軸孔11gに、ハンドルHを取り付けた状態の軸孔11g付近であり、解除機構周辺の図である。
図2,3に示すように、上記回転軸22は、上記固定柱11の正面11b側からはしご用桟13が支持される軸受部11eに向かって順番に、スペーサ25,ピニオン26,オープンレバー27を貫通している。そして、上記ピニオン26及びオープンレバー27が、図示しないビスで上記回転軸22に固定され、これらが回転軸22と一体回転するようにされている。上記オープンレバー27は、避難用はしご装置の収納状態では、
図3に示すように、上記ハンドルHとともに固定柱11の軸線に沿って先端を上方に向けている。
【0031】
さらに、上記回転軸22の先端は、上記軸受部11eに固定された軸受板23で支持されている(
図2,3参照)。上記軸受板23は、
図5に示すように、回転軸22の先端を回転自在に支持する軸孔23aと、この軸受板23を上記軸受部11eに固定するための固定孔23bとが形成されている。この固定孔23bに、上記支持軸18の先端を挿入し、上記軸受板23を軸受部11eに固定するようにしている。
つまり、この実施形態では、軸受板23がこの発明の軸受部材であり、上記軸受部11eが、上記軸孔11gと間隔を保って対向する支持部である。
【0032】
また、
図2,3に示すように、上記スライド部材17には、フック部材6と、ラック部材28とが固定されている。
上記フック部材6は、
図9に示す従来と同じで、掛け止め部材7と相まってロック機構を構成するものである。
そして、
図2に示す状態では、フック部材6の凹部6bに掛け止め部材7の棒部材8が嵌り、固定柱11と可動柱12との密着状態が維持されて、このはしご装置の収納状態が維持されている。
なお、
図3中の符号29は、はしご用桟13を折り畳み方向に押し付けるばね部材である。
【0033】
さらに、上記ラック部材28は、
図6に示す棒状の部材であり、上記ピニオン26とかみ合うラック部28aと、その裏面側に一対の取り付け用の凸部28b,28cとが形成されている。そして、上記スライド部材17においてラック部材28を取り付けるべき位置には、上記凸部28b,28cが嵌る図示しない凹部が形成され、その凹部に上記凸部28b,28cを圧入することによってラック部材28が固定されるようにしている。ただし、ラック部材28側に凹部を形成し、上記スライド部材17側に、この凹部に嵌る凸部を形成してもよい。
なお、上記ラック部材28を取り付けるべき位置とは、ハンドルHの回転軸22に固定されたピニオン26にラック部28aがかみ合う位置である。
【0034】
次に、上記収納状態から、上記ロック機構が解除される過程を説明する。
まず、ハンドルHを倒すようにして
図3の矢印x方向に回すと、上記回転軸22がハンドルHと一体回転してピニオン26も矢印x方向に回転する。ピニオン26が回転すれば、これにかみ合っているラック部材28が上昇し、このラック部材28が固定されているスライド部材17も上昇する。さらに、上記スライド部材17の上昇に伴って上記フック部材6も上昇する。
フック部材6が上昇すれば、その凹部6bが掛け止め部材7の棒部材8からはずれ、ロック機構のロック状態が解除される。
【0035】
一方、上記回転軸22の回転とともに上記オープンレバー27も矢印x方向に回動し、
図2に二点鎖線で示した位置まで移動する。
オープンレバー27は、上記した回動過程で、その先端が柵用柱15に突き当たって柵用柱15を押す。この柵用柱15は、横材14を介して可動柱12と連結されているため、柵用柱15を押す力は、上固定柱11から可動柱12を離す方向の力として作用する。
このとき、上記したようにロック機構のロック状態は解除されているので、上記オープンレバー27で押された柵用柱15とともに、可動柱12が固定柱11から離れてはしご装置が展開する。
【0036】
つまり、上記ハンドルHの回転軸22とともに回転するピニオン26と、これにかみ合うラック部材28とで、上記ロック機構を解除する解除機構が構成されている。
このような解除機構は、ハンドルHごとに設けられている。そして、各階に対応させて取り付けられた複数のハンドルHは、回転軸22が連係した解除機構を介してひとつの上記スライド部材17と連結されている。そのため、いずれのハンドルHを操作しても、上記と同様にロック機構のロック状態を解除することができる。
【0037】
上記のように、可動柱12が固定柱11から離れる過程では、固定柱11の正面11bに接触していた上記柵用柱15が、上記固定柱11の正面11bから外へ出るため、防護柵部Bの収納状態における柵用柱15の位置を維持する押さえ力もなくなる。
そのため、防護柵部Bを展開することもできる。
特に、収納状態において、防護柵部Bの横材14が、鉛直線に対して角度を維持するように構成しておけば、上記固定柱11の正面11bによる柵用柱15に対する押さえ力がなくなった時点で、上記柵用柱15の自重が、横材14を回動させる力として機能し、防護柵部Bを自動的に展開させることもできる。
【0038】
なお、ハンドルHを操作してこの避難用はしご装置が展開状態になった後、ハンドルHを離すと、スライド部材17の自重と、上記した下方へ引っ張るばね部材のばね力とによって、スライド部材17が摺動範囲の下端位置に復帰する。上記スライド部材17が上記下端位置に復帰すれば、スライド部材17と一体的にラック部材28が移動し、このラック部材28がピニオン26を回転させて、オープンレバー27,フック部材6,及びハンドルHを、
図2に示す初期位置に復帰させる。
【0039】
また、
図1に示すように展開したはしご装置を収納状態に戻す際には、従来と同様に防護柵部B及びはしご部Aを折り畳みながら可動柱12を固定柱11側に移動させればよい。可動柱12を固定柱11に接近させる過程で、
図9に示すフック部材6の先端が
棒部材8を越えて、ロック機構が再びロック状態になって収納状態が維持される。
【0040】
この実施形態のはしご装置は、上記したように固定柱11の正面11bに、予め複数の軸孔11gが形成されている。
そのため、発注があったときには、軸孔11gの中から、このはしご装置を設置する建物の窓やベランダの位置に対応する軸孔11gを選択して、そこにハンドルH及び上記ロック解除機構を取り付けることができる。
具体的には、正面11bの外側で、選択した軸孔11gに合わせて上記軸受部材24を固定するとともに、軸孔11gを貫通させた回転軸22に、上記スペーサ25,ピニオン26及びオープンレバー27を固定する。
【0041】
また、回転軸22の先端を軸受板23の軸孔23aに挿入するとともに、固定孔23bに上記はしご用桟13を支持する支持軸18を挿入してナット18aを締め付け、軸受板23を軸受部11eに固定する。
これにより、回転軸22は、軸受部材24及び軸受板23の二か所で回動可能に支持される。回転軸22は、軸受部材24のみで支持することもできるが、この実施形態のように二か所で支持することによって、より安定的に支持でき、回転軸22ががたつくようなこともない。
なお、上記軸孔11gに回転軸22を挿入する前に、上記選択した軸孔11gに対応する上記スライド部材17の凹部に、上記ラック部材28を固定しておく必要がある。
【0042】
このように、この実施形態では、予め形成された複数の軸孔11g及びこの軸孔11gに対応する位置に形成されたスライド部材17の凹部を利用して、ハンドルHや解除機構を取り付けるようにしている。そのため、ハンドルH及び解除機構の位置変更を容易にできる。
例えば、ハンドルHなどを取り付けた避難用はしご装置を現場に運んでから、ハンドルHの位置が窓などの避難経路の位置と対応していなかった場合には、その場で、ハンドルHなどを取り外し、別の軸孔11gを選択して、ハンドルHやラック部材28を付け直すことができる。このように、ハンドルHなどを付け直す際に、孔開け作業が必要ないので、従来のように、ハンドルHの位置変更のために、はしご装置を工場へ持ち帰る必要がなく、工期が遅れたりコストがかかったりすることがない。
【0043】
さらに、上記実施形態では、回転軸22の先端側を支持する軸受板23を上記はしご用桟13を支持する支持軸18によって固定するようにしている。そのため、軸受板23を固定するため部品を改めて用意することなく、回転軸22を安定的に支持できる。
ただし、上記軸受板23は、予め、この発明の支持部である軸受部11eであって、上記軸孔11gに対応する位置に固定しておいてもよい。その場合には、ハンドルHが取り付けられない軸孔11gに対応する軸受板23は使用されないことになる。
ただし、上記軸受部材24のみで回転軸22を安定的に支持できれば、上記軸受板23を省略してもよい。
【0044】
さらに、この実施形態では、解除機構を構成するラック部材28も、取り付け用の凸部と凹部とによって、ハンドルHとともに、スライド部材17に簡単に取り付けることができるようにしている。そのため、ラック部材28の軸方向長さを、ピニオン26とかみ合う必要長さにして、必要個所のみに取り付けることができる。そのため、例えば全ての軸孔11gに対応する1本の長いラック部材を用いる場合と比べて装置全体の重量を軽くすることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、軸孔11gの間隔L2をはしご用桟13の間隔と一致させているが、この間隔L2は例えば窓やベランダなど、避難者が避難時に操作しやすい個所にハンドルHを取り付けることができる間隔であれば、特に限定されないし、等間隔にする必要もない。ただし、上記実施形態のように、はしご用桟13の間隔に合わせておけば、上記軸受板23をはしご用桟13の支持軸18を用いて固定することができる。さらに、はしご用桟13の間隔は、避難者が足を掛けて安全に避難できる程度の比較的狭い間隔で、非常時に避難路として利用する窓やベランダの開口高さよりも十分に小さい間隔である。そのため、避難者の手が届く範囲に、少なくとも1以上の軸孔11gを位置させることができる。すなわち、予め形成された軸孔11gを利用して、避難に最適な位置にハンドルHの位置を変更することができる。
【0046】
また、上記スライド部材17は、下端に連結された図示しないばね部材と重力とによって下方に引かれているが、スライド部材17は上方から下方へ押圧する手段を設けてもよいし、反対に上方へ付勢する力を作用させるようにしてもよい。
スライド部材17に上方へ向かう力を作用させた場合には、解除機構はラック部材28を介してスライド部材17を下方に移動させることによってロック状態を解除することになる。その場合には、
図9に示すフック部材6及び掛け止め部材7を上下反対に取り付けたり、掛け止め部材7をスライド部材17側に固定するとともにフック部材6を可動柱12側に固定したりすればよい。
なお、上記実施形態の避難用はしご装置は、防護用柵部Bを備えているが、防護用柵部Bは無くてもよい。