(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述した遊技機の施錠装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
遊技機6の施錠装置1は、
図1、
図6、
図7に示すように、遊技機6において用いられ、遊技機6は、外枠61と、外枠61に対して開閉可能に設けられた本体枠62と、本体枠62に対して開閉可能に設けられた前扉7とを備える。施錠装置1は、シリンダ錠2、第1施錠機構3、スライド機構3A、第2施錠機構4及び第3施錠機構5を備える。
シリンダ錠2は、前扉7に設けられており、鍵21による回動操作が可能なものである。第1施錠機構3は、前扉7の左右方向Wの側部701に配置されており、シリンダ錠2の操作を受けて本体枠62に対する前扉7の閉状態の施錠及び解錠を行うために上下方向Hにスライド可能である。
【0014】
スライド機構3Aは、
図2、
図3に示すように、前扉7の側部701に配置されており、シリンダ錠2の操作を受けて上下方向Hにスライド可能である。第2施錠機構4は、
図6に示すように、スライド機構3Aと係合して本体枠62の側部602に配置されており、外枠61に対する本体枠62の閉状態の施錠及び解錠を行うために、スライド機構3Aのスライドを受けて上下方向Hにスライド可能である。第3施錠機構5は、
図2、
図3に示すように、前扉7の下部702に配置されており、シリンダ錠2の操作を受けて本体枠62に対する前扉7の閉状態の施錠及び解錠を行うために左右方向Wにスライド可能である。
【0015】
以下、本形態の遊技機6の施錠装置1について詳説する。
(遊技機6の構成)
図7に示すように、本形態の遊技機6は、遊技盤621の遊技領域へ遊技球を発射して、パチンコ遊技を行うパチンコ遊技機である。遊技機6の外枠61は、木材、樹脂、金属等によって形成された枠形状を有しており、遊技場に設置される部位である。遊技機6の本体枠62は、遊技盤621、液晶表示装置、種々の制御装置等が配置される部位である。遊技機6の前扉7は、本体枠62の前面に配置され、電飾、演出等の意匠性が考慮された部位である。
【0016】
本形態において、前面とは、遊技機6に対して遊技者が対向する、遊技機6の前後方向Dの前側の表面のことをいい、裏面とは、前面と反対側の表面のことをいう。
図6〜
図9、
図11においては、前後方向Dの前側を符号D1によって示す。本体枠62に対する前扉7の閉状態の施錠又は解錠のことを、単に、本体枠62に対する前扉7の施錠又は解錠ということがある。また、外枠61に対する本体枠62の閉状態の施錠又は解錠のことを、単に、外枠61に対する本体枠62の施錠又は解錠ということがある。
【0017】
図1に示すように、前扉7は、ガラス板等の透明板722、及び透明板722の縁部を保持する枠体721を有する透明板ユニット72と、透明板722が配置される開口部711を有し、枠体721を支持する扉本体71とを備える。透明板ユニット72は、扉本体71に着脱可能に取り付けられている。第1施錠機構3、スライド機構3A及び第3施錠機構5は、扉本体71の裏面に設けられている。
【0018】
図示は省略するが、遊技球を貯留する球皿は、前扉7の前面における下部、言い換えれば、前扉7における、透明板ユニット72の配置箇所の下方位置に配置されている。前扉7における、球皿の配置箇所の側方には、遊技盤621の遊技領域へ発射させる遊技球の発射強度を調整するための操作ハンドルが配置されている。本体枠62に対して前扉7を開けたときには、球皿の裏面が開放され、球皿の周辺のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
(シリンダ錠2の構成)
図2、
図3に示すように、遊技機6の施錠装置1は、外枠61に対する本体枠62の施錠及び本体枠62に対する前扉7の施錠を行うものである。シリンダ錠2は、前扉7の前面において、鍵21を差し込むための鍵穴211を有する。また、シリンダ錠2の裏面には、鍵穴211に差し込まれた鍵21によって回動操作されるカム22が設けられている。カム22は、シリンダ錠2の回動軸に取り付けられており、カム22には、上側係止部221及び下側係止部222が上下方向Hに並んで設けられている。
【0020】
シリンダ錠2の鍵穴211及びカム22が定位置201にあるときには、本体枠62に対する前扉7の施錠及び外枠61に対する本体枠62の施錠が行われている。シリンダ錠2の鍵穴211に差し込まれた鍵21によって、カム22は、鍵穴211に鍵21を差し込む、遊技機6の管理者によって、定位置201から、第1回動方向C1と、第1回動方向C1とは反対側の第2回動方向C2とに回動操作される。
図4に示すように、カム22が第1回動方向C1に回動されたときには、第1施錠機構3及び第3施錠機構5による、本体枠62に対する前扉7の解錠が行われる。一方、
図5に示すように、カム22が第2回動方向C2に回動されたときには、スライド機構3A及び第2施錠機構4による、外枠61に対する本体枠62の解錠が行われる。
【0021】
(第1施錠機構3及びスライド機構3Aの構成)
図1に示すように、施錠装置1は、前扉7の扉本体71の側方(本形態では前扉7の裏面から見て左側の側方)に取り付けられた前扉ベース部材31を有する。前扉ベース部材31は、前扉7の扉本体71の側方における上下方向Hの略全長に亘って配置されている。
【0022】
図2に示すように、本形態の第1施錠機構3は、前扉ベース部材31に対して上下方向Hにスライドする第1スライド部材32を用いて構成されている。本形態のスライド機構3Aは、第2施錠機構4をスライドさせるために、第1スライド部材32を利用して構成されている。スライド機構3Aは、第1スライド部材32の一部として形成された押圧部323を有する。
【0023】
第1スライド部材32は、
図2に示すように、本体枠62に対する前扉7の施錠及び外枠61に対する本体枠62の施錠を行うための施錠位置301と、
図4に示すように、施錠位置301から上下方向Hの一方(本形態では下方)にスライドして、本体枠62に対する前扉7の解錠を行うための第1解錠位置302と、
図5に示すように、施錠位置301から上下方向Hの他方(本形態では上方)にスライドして、外枠61に対する本体枠62の解錠を行うための第2解錠位置303とにスライド可能である。
【0024】
図3に示すように、第1スライド部材32には、カム22の上側係止部221によって係止される上側被係止部321と、カム22の下側係止部222によって係止される下側被係止部322とが形成されている。本形態の上側被係止部321及び下側被係止部322は、上側係止部221及び下側係止部222がそれぞれ挿入される貫通穴として形成されている。
【0025】
図4に示すように、シリンダ錠2のカム22が第1回動方向C1に回動されると、上側被係止部321が上側係止部221によって係止されて、第1スライド部材32が施錠位置301から第1解錠位置302へスライドする。一方、
図5に示すように、シリンダ錠2のカム22が第2回動方向C2に回動されると、下側被係止部322が下側係止部222によって係止されて、第1スライド部材32が施錠位置301から第2解錠位置303へスライドする。
【0026】
図1に示すように、前扉ベース部材31と第1スライド部材32との間には、第1スライド部材32を施錠位置301に付勢するとともに、シリンダ錠2のカム22を定位置201に付勢する付勢部材35,36が掛け渡されている。付勢部材35,36には、第1解錠位置302にスライドした第1スライド部材32を施錠位置301に付勢する第1付勢部材35と、第2解錠位置303にスライドした第1スライド部材32を施錠位置301に付勢する第2付勢部材36とがある。各付勢部材35,36は、引張バネによって構成されており、それぞれ複数掛け渡されている。
【0027】
本形態においては、第1スライド部材32に、第1施錠機構3及びスライド機構3Aの機能を持たせている。そのため、第1スライド部材32を施錠位置301から第2解錠位置303へスライドさせるときには、このスライドによって本体枠62に対して前扉7が解錠されないようにする必要がある。
そこで、
図2、
図3に示すように、第1スライド機構3における、本体枠62に係合する部位には、第1スライド部材32に対して連結(係脱)可能な係合部材33が複数設けられている。そして、第1スライド部材32が施錠位置301にあるときには、係合部材33によって本体枠62に対する前扉7の施錠を行う。また、第1スライド部材32が第2解錠位置303にスライド(本形態では、上方へスライド)するときには、第1スライド部材32と係合部材33とが連結されないことによって係合部材33が移動せず、本体枠62に対する前扉7の施錠が維持される。
【0028】
図1に示すように、本体枠62の側部602には、第1施錠機構3による前扉7と本体枠62との施錠及び解錠を行うために、複数の第1被係合部622が上下方向Hに並んで設けられている。第1施錠機構3における、複数の第1被係合部622とそれぞれ係合する複数の第1係合部34は、フック形状を有しており、複数の係合部材33にそれぞれ形成されている。本形態の第1被係合部622は、本体枠62の側部602の上下方向Hに並ぶ3箇所に設けられており、第1係合部34は、前扉7の側部701の上下方向Hに並ぶ3箇所に設けられている。
【0029】
本体枠62に対して前扉7を安定して施錠するために、第1被係合部622及び第1係合部34は、本体枠62及び前扉7の上下方向Hにおける、上側の部位と下側の部位とそれらの中間の部位とに設けられている。複数の第1係合部34は、
図2に示すように、第1スライド部材32が施錠位置301にある状態において、複数の第1被係合部622に係合しており、
図4に示すように、第1スライド部材32が第1解錠位置302に向けて下方にスライドした状態において、複数の第1被係合部622との係合が解除される。
【0030】
本形態の第1施錠機構3は、前扉ベース部材31、第1スライド部材32、係合部材33及び第1付勢部材35によって構成されている。また、本形態のスライド機構3Aは、前扉ベース部材31、第1スライド部材32及び第2付勢部材36によって構成されている。
【0031】
(第2施錠機構4の構成)
図6、
図7に示すように、施錠装置1は、本体枠62の側方(本形態では裏面から見て左側の側方)に取り付けられた本体枠ベース部材41を有する。本体枠ベース部材41は、本体枠62の側方における上下方向Hの略全長に亘って配置されている。
本形態の第2施錠機構4は、本体枠ベース部材41に対して上下方向Hにスライドする第2スライド部材42を用いて構成されている。
図2、
図6に示すように、第2スライド部材42には、第1スライド部材32における押圧部323によって上方に押される被押圧部43が形成されている。第2スライド部材42は、外枠61に対する本体枠62の施錠を行うための施錠位置401と、施錠位置401から上方にスライドして、外枠61に対する本体枠62の解錠を行うための解錠位置402とにスライド可能である。
【0032】
図6に示すように、本体枠ベース部材41と第2スライド部材42との間には、第2スライド部材42を施錠位置401に付勢する第3付勢部材44が掛け渡されている。第3付勢部材44は、引張バネによって構成されており、複数掛け渡されている。
【0033】
同図に示すように、外枠61の側部601には、第2施錠機構4による外枠61と本体枠62との施錠及び解錠を行うために、複数の第2被係合部611が上下方向Hに並んで設けられている。第2スライド部材42には、複数の第2被係合部611とそれぞれ係合する複数の第2係合部45が設けられている。本形態の第2被係合部611は、外枠61の側部601の上下方向Hに並ぶ2箇所に設けられており、第2係合部45は、本体枠62の側部602の上下方向Hに並ぶ2箇所に設けられている。
なお、
図7は、説明のための便宜上の断面によって示す。そのため、同図における第2係合部45、第2被係合部611等は、実際の断面における見え方とは異なる。
【0034】
図6に示すように、外枠61に対して本体枠62を安定して施錠するために、第2被係合部611及び第2係合部45は、外枠61及び本体枠62の上下方向Hにおける上側の部位と下側の部位とに設けられている。複数の第2係合部45は、第2スライド部材42が施錠位置401にある状態において、複数の第2被係合部611に係合しており、第2スライド部材42が解錠位置402に向けて上方にスライドした状態において、複数の第2被係合部611との係合が解除される。
【0035】
なお、本形態の下側の第2係合部45は、第2スライド部材42に対して回動係合可能な係合部材46に設けられている。これにより、外枠61に対して本体枠62が解錠されたときに、第2被係合部611に対する下側の第2係合部45の係合が解除された状態が維持される。そして、下側の第2係合部45の係合が解除された状態が維持されることに伴って、第2スライド部材42が解錠位置402に維持される状態となる。これにより、第2被係合部611に対する上側の第2係合部45の係合が解除された状態も維持されることとなり、その結果、本体枠62が解錠された状態が一旦維持される。
【0036】
その後、外枠61に対して本体枠62を開けることが可能となる。これにより、遊技機6の管理者は、外枠61に対する本体枠62の解錠操作と、外枠61に対する本体枠62の開放操作とを段階的に行うことができる。また、解錠操作と開放操作とを段階的に行う工夫により、例えば、遊技機6の管理者は、鍵21から手を離して、前扉7に配置された操作ハンドル等を用いて、外枠61に対する本体枠62の開閉作業を行うことができ、その作業を容易にすることができる。なお、本体枠62が解錠された状態が一旦維持される構造は採用しなくてもよい。
本形態の第2施錠機構4は、本体枠ベース部材41、第2スライド部材42、第2係合部45、係合部材46及び第3付勢部材44によって構成されている。
【0037】
(第3施錠機構5の構成)
図1〜
図3に示すように、第3施錠機構5は、前扉7に対して左右方向Wにスライドする第3スライド部材51を用いて構成されている。前扉ベース部材31には、シリンダ錠2のカム22の上側係止部221に係止されて上下方向Hにスライドするスライド伝達部材52と、スライド伝達部材52のスライドを受けて回動し、第3スライド部材51を左右方向Wにスライドさせるための回動部材53とが配置されている。
【0038】
第3スライド部材51は、
図2に示すように、本体枠62に対する前扉7の施錠を行うための施錠位置501と、
図4に示すように、施錠位置501から左右方向Wにスライドして、本体枠62に対する前扉7の解錠を行うための解錠位置502とにスライド可能である。第3スライド部材51は、前扉7に設けられた案内部材512によって左右方向Wに案内されてスライドする。案内部材512と第3スライド部材51との間には、第3スライド部材51を施錠位置501に付勢する第4付勢部材54が掛け渡されている。第4付勢部材54は、引張バネによって構成されている。
【0039】
図3に示すように、スライド伝達部材52は、シリンダ錠2のカム22の上側係止部221によって係止されるよう、前扉ベース部材31における、第1スライド部材32に隣接する位置に配置されている。スライド伝達部材52は、
図2、
図5に示すように、第3スライド部材51を施錠位置301に保つための定位置503と、
図4に示すように、第3スライド部材51を解錠位置502にスライドさせるためのスライド位置504とにスライド可能である。前扉ベース部材31とスライド伝達部材52との間には、スライド伝達部材52を定位置503に付勢する第5付勢部材55が掛け渡されている。第5付勢部材55は、引張バネによって構成されている。
【0040】
図3に示すように、スライド伝達部材52には、カム22の上側係止部221によって係止される、貫通穴による伝達被係止部521が形成されている。また、スライド伝達部材52には、カム22の下側係止部222との干渉を避けるための逃げ穴522、及び回動部材53と係合するための伝達係合穴523も形成されている。なお、前扉ベース部材31には、カム22の上側係止部221及び下側係止部222との干渉を避けるための逃げ穴311が形成されている。
【0041】
スライド伝達部材52は、
図4に示すように、シリンダ錠2のカム22が第1回動方向C1に回動されるときには、カム22の上側係止部221によって、第1スライド部材32とともにスライドする一方、
図5に示すように、シリンダ錠2のカム22が第2回動方向C2に回動されるときにはスライドしない。回動部材53には、スライド伝達部材52の伝達係合穴523と係合する回動係合部531と、第3スライド部材51を押圧するための押圧突起部532とが形成されている。
【0042】
図1に示すように、本体枠62における、前扉7の下部702に対向する位置には、第3施錠機構5による前扉7と本体枠62との施錠及び解錠を行うために、第3被係合部623が設けられている。第3スライド部材51には、第3被係合部623と係合する第3係合部511が設けられている。本形態の第3係合部511は、前扉7の下部702における左右方向Wの中心部分に設けられている。第3係合部511は、
図2、
図5に示すように、第3スライド部材51が施錠位置501にある状態において、第3被係合部623に係合しており、
図4に示すように、第3スライド部材51が解錠位置502に向けて左右方向Wにスライドした状態において、第3被係合部623との係合が解除される。
【0043】
図4に示すように、シリンダ錠2のカム22が第1回動方向C1に回動されるときには、第1スライド部材32の上側被係止部321及びスライド伝達部材52の伝達被係止部521が、カム22の上側係止部221によって係止されて、第1スライド部材32が施錠位置301から第1解錠位置302へスライドするとともに、スライド伝達部材52が定位置503からスライド位置504へスライドする。そして、スライド伝達部材52のスライドを受けて、回動部材53を介して第3スライド部材51が施錠位置501から解錠位置502へスライドする。
【0044】
また、
図5に示すように、シリンダ錠2のカム22が第2回動方向C2に回動されるときには、第1スライド部材32の下側被係止部322がカム22の下側係止部222によって係止されて、第1スライド部材32が施錠位置301から第2解錠位置303へスライドする。このとき、スライド伝達部材52の逃げ穴522はカム22の下側係止部222によって係止されず、第3スライド部材51は施錠位置501に維持される。
本形態の第3施錠機構5は、前扉ベース部材31、第3スライド部材51、案内部材512、スライド伝達部材52、回動部材53、第4付勢部材54及び第5付勢部材55によって構成されている。
【0045】
本形態の施錠装置1においては、第1施錠機構3、スライド機構3A及び第3施錠機構5を、前扉7に集約して設けることにより、本体枠62におけるスペースの拡大を図っている。ただし、外枠61に対する本体枠62の施錠を行う第2施錠機構4は、本体枠62に設ける必要がある。そこで、本体枠62におけるスペースを極力広く保つために、第2施錠機構4を構成する第2スライド部材42を配置する構造に工夫をしている。
【0046】
具体的には、
図7に示すように、第2スライド部材42の前後方向Dの中心よりも前側に配置された第2スライド部材42の前側部分421は、第2スライド部材42の前後方向Dの中心よりも後側に配置された第2スライド部材42の後側部分422に比べて左右方向Wの外側に位置している。本形態の第2スライド部材42は、遊技機6の前後方向Dに沿った基準線Kに対して、1〜10°の角度θで傾斜して配置されている。また、第2スライド部材42の傾斜に合わせて、本体枠62の、第2スライド部材42が配置された側の側部602、及び本体枠ベース部材41も傾斜している。そして、第2スライド部材42の前後方向Dの前側に位置する部分ほど、左右方向Wの外側に位置している。
【0047】
第2スライド部材42の前側部分421が、後側部分422に比べて左右方向Wの外側に位置することに伴い、本体枠62及び本体枠62の遊技盤621の寸法は、左右方向Wの外側に拡大している。後側部分422に比べて前側部分421が左右方向Wの外側に位置する第2スライド部材42の構成により、遊技盤621の左右方向Wの配置スペースを極力拡大することができる。
【0048】
次に、本体枠62に対して前扉7を開閉する場合、及び外枠61に対して本体枠62を開閉する場合の施錠装置1の動作について説明する。
図7に示すように、本体枠62に対して前扉7が閉じられ、かつ外枠61に対して本体枠62が閉じられた状態においては、第1スライド部材32、第2スライド部材42及び第3スライド部材51のそれぞれが施錠位置301,401,501にある。そして、本体枠62の第1被係合部622に前扉7の第1施錠機構3の第1係合部34が係合するとともに、本体枠62の第3被係合部623に前扉7の第3施錠機構5の第3係合部511が係合して、前扉7が本体枠62に閉じられた状態が施錠される。また、外枠61の第2被係合部611に本体枠62の第2施錠機構4の第2係合部45が係合して、本体枠62が外枠61に閉じられた状態が施錠されている。
【0049】
図8に示すように、本体枠62に対して前扉7を開けるときには、
図4に示すように、遊技機6の管理者は、シリンダ錠2の鍵穴211に鍵21を差し込み、鍵21を第1回動方向C1へ回動させる。このとき、シリンダ錠2のカム22の上側係止部221が、第1スライド部材32の上側被係止部321を係止して、第1スライド部材32が施錠位置301から第1解錠位置302へスライドする。また、このとき、カム22の上側係止部221が、スライド伝達部材52の伝達被係止部521を係止して、スライド伝達部材52が定位置503からスライド位置504にスライドするとともに、スライド伝達部材52によって回動部材53が回動し、回動部材53によって第3スライド部材51が施錠位置501から解錠位置502へスライドする。こうして、本体枠62の第1被係合部622及び第3被係合部623に対する、前扉7における、第1施錠機構3の第1係合部34及び第3施錠機構5の第3係合部511の係合が解除されて、本体枠62に対する前扉7の解錠が行われ、管理者は、本体枠62に対して前扉7を開けることができる。
【0050】
本体枠62に対して前扉7が開けられた後には、第1スライド部材32は、第1付勢部材35の付勢力によって施錠位置301に戻り、第3スライド部材51は、第3付勢部材44の付勢力によって施錠位置301に戻り、スライド伝達部材52は、第5付勢部材55の付勢力によって定位置201に戻り、回動部材53は、第3スライド部材51及びスライド伝達部材52のスライドに伴って元の位置に回動する。
【0051】
次いで、本体枠62に対して前扉7を閉じるときには、前扉7の第1施錠機構3の第1係合部34が本体枠62の第1被係合部622に衝突して、第1付勢部材35の付勢力に抗して第1スライド部材32が第1解錠位置302に一旦スライドした後、施錠位置301に戻る。また、このときには、前扉7の第3施錠機構5の第3係合部511が本体枠62の第3被係合部623に衝突して、第4付勢部材54の付勢力に抗して第3スライド部材51が解錠位置502に一旦スライドした後、施錠位置501に戻る。こうして、本体枠62の第1被係合部622及び第3被係合部623に対して、前扉7における、第1施錠機構3の第1係合部34及び第3施錠機構5の第3係合部511が係合して、本体枠62に対して前扉7が閉じられた状態が施錠される。
【0052】
図9に示すように、外枠61に対して本体枠62を開けるときには、遊技機6の管理者は、シリンダ錠2の鍵穴211に鍵21を差し込み、鍵21を第2回動方向C2へ回動させる。前扉7は、本体枠62と一体的に移動する。このとき、シリンダ錠2のカム22の下側係止部222が、第1スライド部材32の下側被係止部322を係止して、第1スライド部材32が施錠位置301から第2解錠位置303へスライドする。そして、第1スライド部材32に設けられた、スライド機構3Aの押圧部323が、第2スライド部材42の被押圧部43を押し、第2スライド部材42が、施錠位置401から解錠位置402へスライドする。このとき、カム22の下側係止部222は、スライド伝達部材52の逃げ穴522内を移動して、スライド伝達部材52を係止しない。こうして、外枠61の第2被係合部611に対する本体枠62の第2施錠機構4の第2係合部45の係合が解除されて、外枠61に対する本体枠62の解錠が行われ、管理者は、外枠61に対して本体枠62を開けることができる。
【0053】
なお、外枠61に対して本体枠62が解錠された後には、第1スライド部材32は、第2付勢部材36の付勢力や第1スライド部材32の自重によって施錠位置301に戻る。このとき、上述した本体枠62の解錠状態の一旦維持構造により、第2スライド部材42が解錠位置402に維持されている。その後、外枠61に対して本体枠62を閉じる操作によって、第2係合部45と、係合部材46に設けられたリンク機構との連動動作により、解錠の一旦維持状態が解除される。そして、第3付勢部材44の付勢力を受けて第2スライド部材42が施錠位置401にスライドし、外枠61の第2被係合部611に対して、本体枠62の第2施錠機構4の第2係合部45が係合して、外枠61に対して本体枠62が閉じられた状態が施錠される。
【0054】
本形態の遊技機6の施錠装置1においては、本体枠62に対する前扉7の側部701の施錠を行うための第1施錠機構3と、本体枠62に対する前扉7の下部702の施錠を行うための第3施錠機構5とを、前扉7に配置している。そして、第1施錠機構3及び第3施錠機構5は、いずれも同じシリンダ錠2の操作を受けてスライドして、前扉7と本体枠62との施錠及び解錠を行う。これにより、簡単な構造上の工夫によって、本体枠62に対する前扉7の施錠を強固にし、前扉7を遊技機6の前方に引っ張るときに前扉7と本体枠62との間に形成される隙間を利用した不正行為に対して、前扉7の防犯性を高めることができる。
【0055】
また、遊技機6においては、前扉7の側部701の施錠を行う第1施錠機構3と、前扉7の下部702の施錠を行う第3施錠機構5とを、前扉7に集約して設けており、本体枠62には、第2施錠機構4が設けられるのみである。これにより、施錠装置1の配置によって、本体枠62における遊技盤621の配置スペースが縮小されないようにすることができる。
【0056】
それ故、本形態の遊技機6の施錠装置1によれば、遊技盤621の配置スペースを確保して、前扉7の防犯性を高めることができる。
【0057】
本形態においては、スライド機構3Aは、第1施錠機構3を構成する第1スライド部材32を利用して形成した。これ以外にも、スライド機構3Aは、第1スライド部材32とは別にスライドするスライド部材を用いて構成することもできる。
また、本形態の施錠装置1は、パチンコ遊技機6以外にも、アレンジボール遊技機、スロットマシン、又はその他の遊技機に用いてもよい。
【0058】
また、遊技機6においては、次の種々の構成を採用することもできる。
前述したように、前扉7は、透明板ユニット72と扉本体71とによって構成されており、本体枠62に対して前扉7を開けた状態において、扉本体71から透明板ユニット72を取り外したい場合がある。
図1に示すように、透明板ユニット72は、種々のロック機構74を介して扉本体71に取り付けられている。そして、扉本体71からの透明板ユニット72の取外しを容易にするために、ロック機構74の一部の機能を第1施錠機構3に持たせることができる。この場合、第1施錠機構3には、扉本体71の一方の側部701において、透明板ユニット72の枠体721に係合して、扉本体71に対する枠体721の保持状態をロックする係合ロック部37を設ける。また、扉本体71における、透明板ユニット72の枠体721の下部に対向する位置には荷重受け部75が設けられており、扉本体71の他方の側部701Aには、既存のロック部76が設けられている。
【0059】
この場合には、第1施錠機構3によって本体枠62に対する前扉7の施錠が解錠されたときに、透明板ユニット72の枠体721に対する係合ロック部37の係合状態が解除される。そして、扉本体71から透明板ユニット72を取り外しやすくすることができる。また、本体枠62に対して前扉7を閉じたときには、必然的に、係合ロック部37が、透明板ユニット72の枠体721に係合し、扉本体71に透明板ユニット72が保持された状態がロックされる。そのため、扉本体71に透明板ユニット72が保持された状態が、誤ってロックされないことを防止することができる。
【0060】
また、第1施錠機構3に設ける係合ロック部37は、ロック部76が扉本体71の両方の側部701,701Aに設けられた既存のロック機構74に対して、追加して設けることもできる。この場合には、扉本体71に対する透明板ユニット72の保持をより確実に行うことができる。また、第1施錠機構3を用いて、透明板ユニット72を扉本体71に確実に固定することにより、透明板ユニット72を扉本体71に対して故意に移動させて、異物を挿入可能な隙間を形成する不正行為を、より確実に防止することもできる。
【0061】
また、
図1に示すように、前扉7の扉本体71の裏面には、第3スライド部材51、スライド伝達部材52及び回動部材53を覆うカバー77を設けることができる。そして、カバー77の上面には、遊技球が流下せずに載置されてしまうことを防止するための傾斜面771を設けることができる。この傾斜面771は、前扉7の裏面における奥側から手前側へ下降傾斜する状態で設けることができる。カバー77を設けることによって、遊技球が不要に衝突して第3スライド部材51、スライド伝達部材52及び回動部材53が破損することを確実に防止することができる。
【0062】
また、
図7、
図10に示すように、本体枠62において、遊技盤621の後方に配置される制御装置(制御基板等)64を覆う裏機構カバー63には、外枠61に本体枠62が閉じられた状態において、裏機構カバー63に対して開閉可能な内カバー631を設けることができる。制御装置64は、遊技機6における種々の電子制御を行うためのものである。内カバー631は、制御装置64と対向する位置に設ける。裏機構カバー63は、通常、本体枠62に対して開閉可能に設けられている一方、外枠61に対して本体枠62を開けない限り開けることができない。これに対し、内カバー631によれば、外枠61に対して本体枠62が閉じられたままの状態において、内カバー631を開けて、制御装置64のメンテナンスを行うことができる。なお、内カバー631は、ヒンジ機構によって開閉可能にし、磁石等の吸着力を利用して、裏機構カバー63に対して閉じた状態を維持することができる。
【0063】
また、
図10、
図11に示すように、本体枠62の裏側の上部には、遊技球Bを貯留しながら整流させて、球送り装置66へ流下させるための球タンク65が配置されている。球タンク65は、遊技球Bを貯留する貯留部651と、貯留部651から流下する遊技球Bを整流するレール部652とを有する。そして、レール部652は、遊技球Bの流れの上流側からそれぞれの遊技球Bに加わる球圧によって遊技球Bが流れる勢いを利用して整流する形状にすることができる。
【0064】
具体的には、レール部652は、遊技球Bが流れる勢いを利用して、遊技球Bが2段に積まれるとともに1列に並ぶ状態で左右方向に流下し、その後、1.5〜2球分の球流路幅を有することによって、遊技球Bが、ほぼ2段積みになった状態を維持しながら下方向へ屈曲して流下する形状にすることができる。また、レール部652は、遊技球Bが下方向へ流下する過程においては、遊技球Bが、1段及び1列に並んで流れる状態に収斂する形状とすることができる。
【0065】
本発明は、本実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。