(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、遊技機を設置するための島設備の一実施形態について説明する。
図1に示すように、遊技システム10は、複数の島設備11を備える。島設備11は、遊技機の一例であるパチンコ遊技機12を設置するための設備(所謂、遊技島)である。島設備11には、複数のパチンコ遊技機12が水平方向に沿って並ぶように固定される。以下、パチンコ遊技機12が並ぶ方向を島設備11の幅方向D1と示し、鉛直方向を島設備11の高さ方向D2と示し、幅方向D1及び高さ方向D2と直交する方向(
図1の紙面と直交する方向)を島設備11の奥行方向D3と示す。
【0010】
ここで、パチンコ遊技機12の概略を説明する。パチンコ遊技機12は、遊技領域が区画された遊技盤と、発射ハンドルと、図柄を変動させる変動ゲームを表示可能な表示装置と、遊技領域に開口する入賞口への遊技球Bの入球を検知する各種のセンサーと、当該センサーによる検知結果に基づいて、各種制御を行う遊技制御装置と、を有する。パチンコ遊技機12は、発射ハンドルの操作に応じて発射された遊技球Bが始動入賞口へ入球すると大当り抽選を行い、当該大当り抽選において大当りに当選すると、変動ゲームにて大当り図柄を導出した後に大当り遊技を付与するように構成されている。また、パチンコ遊技機12は、島設備11から供給される遊技球Bを貯留する貯留部と、入賞口又はアウト口に入球した遊技球Bを排出する排出部と、を有する。
【0011】
島設備11は、遊技球Bを揚送する揚送装置20を備える。揚送装置20は、一例として、島設備11の幅方向D1における中央に配置されている。揚送装置20の詳細は後述する。島設備11は、揚送装置20によって揚送された遊技球Bが流入する上島内樋21を備える。上島内樋21に流入した遊技球Bは、幅方向D1の左右外側に向かって転動する(矢印Y1参照)。上島内樋21を転動する遊技球Bは、各パチンコ遊技機12の貯留部に供給される(矢印Y2参照)。島設備11は、複数のパチンコ遊技機12から排出される遊技球Bを受ける下島内樋23を備える。各パチンコ遊技機12の排出部から排出される遊技球Bは、下島内樋23に流入する(矢印Y3参照)。下島内樋23に流入した遊技球Bは、幅方向D1の内側に向かって転動する(矢印Y4参照)。そして、下島内樋23を転動する遊技球Bは、揚送装置20によって取り込まれ、島設備11の上部へ再び揚送される(矢印Y5参照)。
【0012】
また、島設備11は、遊技球Bを貯留する下島内タンク25,25を備える。詳しくは後述するが、下島内タンク25,25には、一例として、島設備11における余剰の遊技球B、及び別の島設備11から供給される遊技球Bが貯留される。また、島設備11は、遊技球Bを計数し、当該計数した遊技球Bを島設備11に返却する計数装置26を備えていてもよい。島設備11は、計数装置26によって計数された遊技球Bが下島内樋23に流入する構成であってもよく、下島内タンク25,25に流入する構成であってもよい。
【0013】
揚送装置20について説明する。
図2〜
図4に示すように、本実施形態の揚送装置20は、遊技球Bと研磨材(一例として粒状樹脂)とを攪拌しながら揚送することによって、遊技球Bの研磨と揚送とを同時に可能な研磨揚送装置として構成されている。揚送装置20の幅方向Dwは、幅方向D1に一致し、高さ方向Dhは、高さ方向D2に一致し、奥行方向Ddは、奥行方向D3に一致する。これに限らず、揚送装置20の方向Dw,Dh,Ddは、それぞれ方向D1〜D3に一致していなくてもよい。
【0014】
本明細書では、説明の便宜のため、幅方向Dwのうち、一の方向を左方向と示し、その反対方向を右方向と示す。同様に、高さ方向Dh(鉛直方向)のうち、重力方向を下方向と示し、その反対方向を上方向と示す。奥行方向Ddのうち、一の方向を前方向と示し、その反対方向を後方向と示す。なお、本実施形態の遊技システム10では、奥行方向Ddに沿って、複数の島設備11が併設されているものとする。
【0015】
揚送装置20は、遊技場の床面に固定されたベース28と、ベース28に立設された支柱29と、支柱29に支持された上部構造部30と、を有する。揚送装置20は、下島内樋23を転動する遊技球Bが流入する取込口(不図示)を有する取込部31を有する。揚送装置20は、緩やかに湾曲しながら上方向に向かって延在する揚送通路部材32を有する。揚送通路部材32は、取込部31から取り込んだ遊技球Bを上方向に向かって案内する揚送通路32aを形成する。揚送装置20は、揚送通路32a内に配設されたスクリュー(不図示)と、スクリューを回転させるモーター34と、を有する。揚送装置20では、取込口から取り込まれた遊技球Bは、揚送通路32a内にて粒状樹脂と混合され、スクリューの回転によって攪拌されながら、上部構造部30へ揚送される(矢印5参照)。上部構造部30は、幅方向Dwに沿って延びる四角箱状の筐体39を有する。
【0016】
図3に示すように、揚送装置20は、揚送通路32aを揚送されてきた遊技球Bと粒状樹脂とを分離する分離部36を有する。分離部36は、上部構造部30に設けられている。揚送通路部材32の上端部は、上部構造部30の分離部36内まで延在しており、揚送通路32aが分離部36内に開口している(
図3参照)。分離部36は、幅方向Dwにおける揚送通路32aの左右両側方において、それぞれ先端部を幅方向Dwの外側に向けるように設けられた分離樋36a,36aを有する。分離樋36a,36aには、幅方向Dwに沿って延在する複数のスリットが形成されている。分離樋36a,36aでは、粒状樹脂や遊技球Bから掻き落とされた汚れがスリットから落下する(矢印Y6a参照)。一方、揚送通路32aから流入した遊技球Bは、スリットから落下せず、分離樋36a,36aの先端部まで転動しながら通過する(矢印Y6b参照)。
【0017】
図5〜
図7に示すように、揚送装置20は、遊技球Bを貯留する上島内タンク38,38を有する。上島内タンク38,38は、上部構造部30を構成する筐体39の内部空間を、奥行方向Ddに沿って延びる2つの隔壁39bを用いて区画することによって、それぞれ形成されている。筐体39は、遊技球Bの通路を形成する部材の一例である。上島内タンク38,38は、少なくとも一部が上方向に向かって開口することによって、遊技球Bの流入口38aを形成している(
図5参照)。各分離樋36a,36aの先端部から落下する遊技球Bは、それぞれ流入口38aから上島内タンク38に流入する(矢印Y7a参照)。
【0018】
上島内タンク38,38の下端部には、それぞれ幅方向Dwの左右側方に向かって開口する流出口38bが形成されている(
図5参照)。各上島内タンク38,38の流出口38bには、上島内樋21がそれぞれ接続されている。上島内タンク38,38に流入した遊技球Bは、流出口38bから各上島内樋21へ供給される(矢印Y7b参照)。
【0019】
揚送装置20は、下島内タンク25,25へ送り出す遊技球Bを集合するための集合部40を備える。集合部40は、上部構造部30を構成する筐体39の内部空間を区画することによって、幅方向Dwにおける上島内タンク38,38の間の形成されている。本実施形態において、集合部40には、上島内タンク38,38から溢れ出る遊技球B(以下、単にオーバーフロー球と示す)の他、他の島設備11から供給される遊技球Bが流入する。
【0020】
図5及び
図7に示すように、集合部40は、案内管41を有する。案内管41は、オーバーフロー球を下方向に向かって案内するオーバーフロー通路41aを形成する。案内管41は、一例として、所定の可撓性を有するホース材であるとともに、螺旋状に金属線を埋め込むこと、及び螺旋状のリブを設けることの少なくとも一方によって補強されている。案内管41は、一例として、硬質塩化ビニル製のホースである。これに限らず、案内管41は、可撓性を有さない樹脂管であってもよく、金属管であってもよい。案内管41は、集合部40の後壁面40aに固定されている。案内管41の上端部は、開放されており、オーバーフロー通路41aが上方向に向かって開口している。
【0021】
図8に示すように、案内管41の下端部41bは、板状の封止部材42によって封止されている。また、案内管41には、当該案内管41の一部を奥行方向Ddに沿って貫通する開口部43が形成されている。開口部43は、一例として、奥行方向Ddから見たときに四角形状の孔であるとともに、下辺となる下端部43aが幅方向Dw(水平方向)に沿って延在している。これに限らず、開口部43は、五角形、六角形、又は円形の孔であってもよく、さらに側壁を奥行方向Ddとは異なる方向へ貫通するように形成されてもよい。また、開口部43は、複数形成されていてもよい。そして、開口部43の下端部43aは、案内管41の下端部41bから上方向に離間している。これにより、案内管41の下端側には、案内管41の側壁と、封止部材42と、によって、円筒状の空間である第1球溜部44が形成される。以下の説明では、案内管41のうち開口部43よりも下方の部分を第1係止部K1と示す。
【0022】
図7に示すように、揚送装置20は、上島内タンク38,38を区画する隔壁39bの上端部を乗り越えて溢れ出るオーバーフロー球を、案内管41の上端部(オーバーフロー通路41a)に案内するオーバーフロー案内樋46を有する(
図7参照)。オーバーフロー球は、オーバーフロー案内樋46によって案内管41の上端部(オーバーフロー通路41a)に案内されるとともに、オーバーフロー通路41aへ流入し、第1球溜部44(封止部材42)へ向かって落下する(矢印Y8a,Y8b参照)。
【0023】
図8に示すように、第1球溜部44に落下した遊技球Bは、第1係止部K1に係止され、上方向に積み重なる。そして、遊技球Bが開口部43の下端部43aまで積み上がった後には、さらに落下してきた遊技球Bが開口部43を通ってオーバーフロー通路41aの外へと流出する。このように、案内管41の上端部(オーバーフロー通路41aの入り口)は、遊技球Bの通路に含まれる特定の部分の一例であり、封止部材42の上面42aは、鉛直方向と交差する特定面の一例であり、案内管41のうち、第1係止部K1(開口部43よりも下方の部分)は、係止部の一例である。そして、第1係止部K1は、遊技球Bの進行方向における上記特定の部分よりも下流側であって、特定面のうち遊技球Bが落下する部分よりも下流側に設けられているといえる。
【0024】
揚送装置20は、奥行方向Ddのうち前方向に隣り合う他の島設備11から送り出される遊技球Bを受け入れる第1受入部50と、奥行方向Ddのうち後方向に隣り合う他の島設備11から送られる遊技球Bを受け入れる第2受入部60と、を有する。揚送装置20は、前方向に隣り合う他の島設備11へ遊技球Bを送り出す第1送出部(不図示)と、後方向に隣り合う他の島設備11へ遊技球Bを送り出す第2送出部(不図示)と、を有する。第1受入部50は、前方向に隣り合う他の島設備11が備える揚送装置20の第2送出部と、島渡樋49によって接続されている。第2受入部60は、後方向に隣り合う他の島設備11が備える揚送装置20の第1送出部と、島渡樋49によって接続されている。第1送出部は、前方向に隣り合う他の島設備11が備える揚送装置20の第2受入部と、島渡樋(不図示)によって接続されている。第2送出部は、後方向に隣り合う他の島設備11が備える揚送装置20の第1受入部と、島渡樋(不図示)によって接続されている。このように、揚送装置20は、隣り合う島設備11の間で、島渡樋49を介した遊技球Bの受け渡しを可能に構成されている。
【0025】
第1受入部50について説明する。
図5〜
図7及び
図9に示すように、第1受入部50には、第1受入空間50aが形成されている。第1受入空間50aは、筐体39のうち前方向に面する側壁39aと、当該側壁39aの後方に対向する隔壁39cと、左方向に面する側壁39aと、当該側壁39aの右方に対向する隔壁39bと、底板51と、天板52と、を用いて、左側の上島内タンク38内の空間の一部を区画することにより形成されている。筐体39のうち前方向に面する側壁39aには、奥行方向Ddに貫通する第1受入口50bが形成されている。第1受入口50bは、第1受入空間50aと外部とを連通する。第1受入口50bには、島渡樋49が接続されている。
【0026】
図9に示すように、底板51は、第1受入空間50aに面しており、且つ、高さ方向Dhから見たときに、幅方向Dwに沿って延在する四角形状の上面51aを有する。上面51aは、第1受入空間50aの底面でもある。第1受入部50は、第1受入口50bから落下する遊技球Bの衝撃を緩和するための第1緩衝部材53を有する。第1緩衝部材53は、四角平板状であって、上面51aに対応した大きさ及び形状であり、上面51aの全体を覆っている。
【0027】
隔壁39bには、当該隔壁39bを幅方向Dwに貫通する貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、第1受入空間50aと、集合部40の内部空間と、を遊技球Bが通過できるように連通する。貫通孔54は、一例として、幅方向Dwから見たときに、四角形状であるとともに、下辺となる下端部54aが奥行方向Ddに沿って延在している。これに限らず、貫通孔54は、五角形、六角形、又は円形の孔であってもよい。そして、貫通孔54の下端部54aは、底板51の上面51a、及び第1緩衝部材53の上面53aよりも上方に位置している。なお、貫通孔54の下端部54aは、隔壁39cに厚さがあるため、上方向に面する端面を構成している。
【0028】
第1受入部50は、貫通孔54の左側において、底板51から上方に突出する支持部55を有する。支持部55は、貫通孔54の下端部54aと同じ高さで、貫通孔54の下端部54aの左側に繋がるように広がる支持面55aを有する。第1受入部50は、端面をなす下端部54aと、支持面55aとを全体にわたって覆う補助緩衝部材56を有する。補助緩衝部材56は、四角平板状であって、幅方向Dwにおいて、下端部54aと支持面55aとに跨るように配置されている。以下の説明では、支持部55及び補助緩衝部材56を第2係止部K2と示す。
【0029】
補助緩衝部材56の上面56aは、第1緩衝部材53の上面53aよりも上方に位置している。第1緩衝部材53の上面53aから、補助緩衝部材56の上面56aまでの高さL1は、好ましくは、遊技球Bの直径(平均直径)の0.5倍を超えており、さらに好ましくは1倍を超えて2倍を超えない長さである。これに限らず、高さL1は、2倍を超えていてもよい。これにより、第1受入部50の底部には、四角箱状の空間である第2球溜部57が形成される。
【0030】
他の島設備11から送り出された遊技球Bは、第1受入口50bから第1受入空間50aへ流入し、底板51の上面51aへ向かって落下する(矢印Y9a参照)。そして、第2球溜部57へ落下した遊技球Bは、第2係止部K2に係止され、上方向に積み重なる。そして、貫通孔54の付近において、遊技球Bが補助緩衝部材56の上面56aまで積み上がった後には、さらに落下してきた遊技球Bが貫通孔54を通って集合部40へと流出する。このように、第1受入口50bは、遊技球Bの通路に含まれる特定の部分の一例であり、底板51の上面51aは、鉛直方向と交差する特定面の一例であり、第2係止部K2(支持部55及び補助緩衝部材56)は、係止部の一例である。第2係止部K2は、遊技球Bの進行方向における特定の部分よりも下流側であって、特定面のうち遊技球Bが落下する部分よりも下流側に設けられているといえる。第1緩衝部材53は、特定面の少なくとも一部を被覆する被覆部材の一例である。
【0031】
第2受入部60について説明する。
図5〜
図7に示すように、第2受入部60は、筐体39の右後角部分において、右側の上島内タンク38内の空間の一部を区画することによって、第2受入空間60aを形成している。筐体39のうち後方向に面する側壁39aには、奥行方向Ddに貫通する第2受入口60bが形成されている。第2受入口60bは、第2受入空間60aと外部とを連通する。第2受入口60bには、島渡樋49が接続されている。
【0032】
第2受入空間60aは、右側の上島内タンク38の後方において、右方から左方に向かって延びるとともに、左側の端部から折れ曲がって前方に向かって延びる。また、第2受入空間60aの底面61は、第2受入口60bの下方に位置する部分から左方に向かって下り、さらに左側の端部から前方に向かって下っている。そして、右側の上島内タンク38を区画する隔壁39bには、幅方向Dwに貫通する貫通孔62が形成されている。貫通孔62は、第2受入空間60aと、集合部40の内部空間と、を遊技球Bが通過できるように連通する。他の島設備11から送り出された遊技球Bは、第2受入口60bから第2受入空間60aへ流入し、底面61へ向かって落下する(矢印Y10a参照)。底面61に落下した遊技球Bは、底面61を転動し、貫通孔62を通って集合部40へと流出する(矢印Y10b参照)。
【0033】
図2及び
図4に示すように、揚送装置20は、集合部40にて集合された遊技球Bを下島内タンク25,25に分配する分配部70を有する。分配部70は、複数(一例として2つ)の分配ホース71と、分配ボックス74と、下島内タンク25,25に繋がる分配樋79と、を有する。分配ホース71,71は、高さ方向Dhに沿って延在するとともに、上端部が上部構造部30に固定されている一方、下端部が分配ボックス74に固定されている。分配ホース71,71は、集合部40の内部空間と、分配ボックス74の内部空間とを連通する分配通路72をそれぞれ形成している。2つの分配通路72,72は、それぞれ集合部40における内部空間の底面40bに開口する。なお、集合部40の底面40bは、周縁部から分配通路72,72に向かって傾斜している。
【0034】
図10に示すように、分配ボックス74は、前側壁74a、後側壁74b、左側壁74c、右側壁74d、底壁を構成する分配底板75、及び上壁74fを有しており、全体として四角箱状である。分配ボックス74は、遊技球Bの通路を形成する部材の一例である。分配底板75は、幅方向Dwから見たときにクランク状に屈曲した形状である。即ち、分配底板75は、前端部から後方に向かって延在する平面状の第1底部75aと、第1底部75aの後端部から下方に向かって延在する壁部75bと、壁部75bの下端部から後方に向かって延在する第2底部75cと、を有する。分配ホース71,71は、上壁74fのうち奥行方向Ddの前側に固定されている。分配底板75のうち、第1底部75aは、分配ホース71,71が分配ボックス74の内部空間に開口する分配開口部71aの鉛直方向下側(直下)に位置している。分配ボックス74は、分配開口部71a,71aから落下する遊技球Bの衝撃を緩和するための第2緩衝部材76を有する。第2緩衝部材76は、四角平板状であって、第1底部75aに対応した大きさ及び形状であり、第1底部75aの上面75dの全体を覆っている。
【0035】
分配ボックス74は、壁部75bに固定されている補助緩衝部材77を有する。ここで、緩衝部材53,56,76,77は、一例として、樹脂(ナイロン、ポリエチレン、及びポリプロピレンなど)であってもよく、ゴム(シリコンゴム、及び天然ゴムなど)であってもよく、これら複数の材料を組み合わせて形成されていてもよい。緩衝部材53,56,76,77は、遊技球の接触(衝突)によって、削れる又は凹む程度の硬さであるとよい。補助緩衝部材77は、幅方向Dwに沿って延在する四角平板状である。補助緩衝部材77の上端部77aは、幅方向Dwに延びる平面をなしており、第2緩衝部材76の上面76aよりも上方に位置している。つまり、補助緩衝部材77は、第2緩衝部材76よりも上方に突出する段部を形成している。以下の説明では、補助緩衝部材77の上端部77aを第3係止部K3と示す。第2緩衝部材76の上面76aから、補助緩衝部材77における上端部77aの端面(上面)までの高さL2は、好ましくは、遊技球Bの直径(平均直径)の0.5倍を超えており、さらに好ましくは1倍を超えて2倍を超えない長さである。これに限らず、高さL2は、2倍を超えていてもよい。これにより、分配ボックス74には、四角箱状の空間である第3球溜部73が形成される。
【0036】
また、左側壁74c及び右側壁74dの下端部には、幅方向Dwに貫通する分配孔78がそれぞれ形成されている。分配孔78は、左側壁74c及び右側壁74dのうち、第1底部75a及び補助緩衝部材77よりも後方であって、且つ第1底部75aよりも下方に形成されている。左側壁74c及び右側壁74dにそれぞれ形成された分配孔78は、分配ボックス74の内部空間と、2つの分配樋79内とを、それぞれ連通している。分配孔78,78には、それぞれ分配樋79が接続されている。
【0037】
図5〜
図7に示すように、案内管41、第1受入部50、及び第2受入部60から集合部40へと流入した遊技球Bは、底面40bを転動し、分配通路72,72へ流入する(矢印11参照)。分配通路72,72へ流入した遊技球Bは、当該分配通路72,72を下方に向かって落下する(矢印Y12参照)。
【0038】
図10に示すように、分配開口部71a,71aから分配ボックス74の内部空間内に落下した遊技球Bは、第3球溜部73へ流入し、補助緩衝部材77に係止され、上方向に積み重なる。分配開口部71a,71aの直下を中心として、遊技球Bが補助緩衝部材77の上端部77aまで積み上がった後には、さらに落下してきた遊技球Bが補助緩衝部材77を乗り越える(矢印Y13参照)。補助緩衝部材77を乗り越えた遊技球Bは、分配孔78,78を通って、分配ボックス74から分配樋79,79へと流出する(矢印Y14参照)。そして、遊技球Bは、下島内タンク25,25にそれぞれ流入する。このように、分配開口部71a,71aは、遊技球Bの通路に含まれる特定の部分の一例であり、第1底部75aの上面75dは、鉛直方向と交差する特定面の一例であり、第3係止部K3(補助緩衝部材77の上端部77a)は、係止部の一例である。第3係止部K3は、遊技球Bの進行方向における特定の部分よりも下流側であって、特定面のうち遊技球Bが落下する部分よりも下流側に設けられている。そして、第2緩衝部材76は、特定面の少なくとも一部を被覆する被覆部材の一例である。
【0039】
本実施形態の作用を説明する。
案内管41の作用に説明する。
図8に示すように、案内管41内のオーバーフロー通路41aを落下する遊技球Bは、第1係止部K1(開口部43よりも下方の部分)に係止され、上方に向かって積み上がる。即ち、第1球溜部44に遊技球Bが滞留される。このような状態において、遊技球Bがさらに落下してきた場合、当該遊技球Bは、すでに積み上がっている遊技球Bに衝突することになるから、封止部材42に直接的に衝突し難い。したがって、第1球溜部44に滞留する遊技球Bを緩衝材として作用させることができる。また、案内管41では、遊技球Bが落下するとき、その衝撃によって、既に滞留している遊技球Bと、新たに落下してきた遊技球Bとが入れ替わり得る。したがって、第1球溜部44に同じ遊技球Bがいつまでも止まり続ける結果、遊技球Bが摩耗したり、島設備11の全体として遊技球Bが不均一に使用されてしまうことを抑制できる。
【0040】
第1受入部50の作用について説明する。
図9に示すように、第1受入口50bから落下する遊技球Bは、第2係止部K2(支持部55及び補助緩衝部材56)に係止され、上方に向かって積み上がる。即ち、第2球溜部57に遊技球Bが滞留される。このとき、遊技球Bは、奥行方向Ddから見たときに、第1受入口50bの直下に位置する部分で最も高く積み上がり、当該部分から方向Dw,Ddに離間するほど低く積み上がる。本実施形態において、遊技球が落下する部分は、第2係止部K2から離間する。したがって、案内管41と同様、第2球溜部57に滞留する遊技球Bを緩衝材として作用させることができる。また、相対的に多くの遊技球Bが落下してくる部分において、より多層にわたって遊技球Bを滞留させ、滞留する遊技球Bによる緩衝能力を高めることが可能になる。
【0041】
ここで、第1受入口50bから落下してくる遊技球Bの球威が強い場合には、遊技球Bが飛び跳ねたり、滞留している遊技球Bに衝突して強く弾き飛ばしたりする等して、遊技球Bが滞留し難くなることも考えられる。これに対して、本実施形態では、第1受入口50bから落下する遊技球Bが衝突して第1緩衝部材53が削れる、又は、第1受入口50bから落下する遊技球Bが衝突して第1緩衝部材53が凹むことによって、第1受入口50bを落下する遊技球Bが滞留可能な滞留部の一例として、第1追加滞留部80が形成され得るようになっている。このため、本実施形態では、第2係止部K2による係止に加えて、第1追加滞留部80が生成されることによって、遊技球Bの球威が強いときであっても、遊技球Bを滞留させ易く、ひいては遊技球Bが積み上がり易くなる。さらに、第1緩衝部材53が大きく削れる、又は凹んでしまい、第1追加滞留部80が実質的に消失してしまうことも考えられる。このような状況であっても、依然として第2係止部K2が存在することから、遊技球Bを滞留させ、第1緩衝部材53の残部及び底板51の上面51aを覆うことができる。
【0042】
第2受入部60の作用について説明する。
図10に示すように、分配開口部71aから落下する遊技球Bは、第3係止部K3(補助緩衝部材77の上端部77a)に係止され、上方に向かって積み上がる。即ち、第3球溜部73に遊技球Bが滞留される。このとき、遊技球Bは、幅方向Dwから見たとき、及び奥行方向Ddから見たときに、分配開口部71a,71aの直下に位置する部分で最も高く積み上がり、当該部分から方向Dw,Ddに離間するほど低く積み上がる。本実施形態において、遊技球が落下する部分は、第3係止部K3から離間する。したがって、案内管41や第1受入部50と同様、滞留する遊技球Bを緩衝材として作用させることができる。また、相対的に多くの遊技球Bが落下してくる部分において、より多層にわたって遊技球Bを滞留させ、滞留する遊技球Bによる緩衝能力を高め得る。
【0043】
また、本実施形態では、第1受入部50と同様、分配開口部71a,71aから落下する遊技球Bが衝突して第2緩衝部材76が削れる又は第2緩衝部材76が凹むことによって、分配開口部71a,71aから落下する遊技球Bが滞留可能な滞留部の一例として、第2追加滞留部81が形成され得るようになっている。このため、本実施形態では、第2係止部K2による係止に加えて、第2追加滞留部81が生成されることによって、遊技球Bの球威が強いときであっても、遊技球Bを滞留させ易く、ひいては遊技球Bが積み上がり易くなる。さらに、第2緩衝部材76が大きく削れる、又は凹んでしまい、第2追加滞留部81が実質的に消失してしまうことも考えられる。このような状況であっても、本実施形態では、依然として第3係止部K3が存在することから、遊技球Bを滞留させ、第2緩衝部材76の残部及び第1底部75aの上面75dを覆うことができる。
【0044】
本実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態によれば、遊技球Bが係止部に係止されることによって、遊技球Bが落下してくる特定面が覆われうる。本実施形態では、係止部の一例として係止部K1〜K3を示した。このため、特定の部分から落下する遊技球Bは、特定面を覆う遊技球Bに衝突し、特定面に対して直接的に衝突し難くなる。したがって、特定面を保護できる。そして、係止された遊技球Bそのものを緩衝材として機能させ得ることで、緩衝材を定期的に交換するような手間がかからない。よって、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0045】
(2)本実施形態によれば、係止部K1〜K3によって係止された遊技球Bは、新たに落下してくる遊技球Bと置き換わり得る。このため、係止部K1〜K3によって係止された遊技球Bが、新たに落下してくる遊技球Bと衝突し続けることによって摩耗してしまうことを抑制できる。
【0046】
(3)また、本実施形態によれば、遊技球Bが係止部K1〜K3に係止され、そこに止まり続けることが抑制される。よって、島設備11として、遊技球Bの使用具合が不均一となってしまうことを抑制できる。
【0047】
(4)本実施形態によれば、遊技球Bが落下してくる部分において、遊技球Bが最も高く多層に積み重なることから、遊技球Bの落下距離を短縮できるとともに、落下の衝撃を好適に軽減できる。
【0048】
(5)本実施形態によれば、島設備11間の遊技球Bの受け渡し(所謂、島渡り)が行われる部分は、遊技球Bの流通量が多く、メンテナンスの頻度が高くなり易いところ、上述の第1受入部50の構成を採用し、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0049】
(6)本実施形態によれば、揚送した遊技球Bが貯留部(一例として上島内タンク38,38)から零れ出る部分は、遊技球Bの流通量が多く、メンテナンスの頻度が高くなり易いところ、上述の案内管41の構成を採用し、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0050】
(7)本実施形態によれば、遊技球Bを分配する部分(一例として分配ボックス74)は、遊技球Bの流通量が多く、メンテナンスの頻度が高くなり易いところ、上述の分配ボックス74の構成を採用し、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0051】
(8)本実施形態によれば、特定面を覆う被覆部材が削れる又は被覆部材が凹むことによって、遊技球Bが滞留する滞留部が形成されるように構成されている。本実施形態では、被覆部材の一例として第1緩衝部材53及び第2緩衝部材76を示し、滞留部の一例として、第1追加滞留部80及び第2追加滞留部81を示した。このため、特定の部分を落下する遊技球Bは、滞留部に滞留する遊技球Bに衝突し、被覆部材や特定面に対して直接的に衝突し難くなる。したがって、特定面を保護できる。そして、滞留する遊技球Bそのものを緩衝材としても機能させ得ることで、被覆部材を交換するサイクルを延長できる。よって、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0052】
(9)本実施形態によれば、被覆部材が過剰に削れる又は凹むときであっても、遊技球Bが係止部K1〜K3に係止されることによって、被覆部材が覆われうる。このため、特定の部分から落下する遊技球Bは、被覆部材を覆う遊技球Bに衝突し、被覆部材に対して直接的に衝突し難くなる。したがって、被覆部材を保護し、ひいては特定面を保護できる。そして、係止された遊技球Bそのものを緩衝材として機能させ得ることで、緩衝材を定期的に交換するような手間がかからない。よって、メンテナンスの負担を軽減できる。
【0053】
(10)本実施形態によれば、被覆部材は緩衝材であることから、特定の部分から落下する遊技球Bの衝撃を緩和し、特定面を好適に保護できる。
(11)本実施形態によれば、被覆部材が削れる又は凹むことにより形成される滞留部においても、遊技球Bが置き換わり得る。このため、滞留する遊技球Bが入れ替わらず、落下する遊技球Bと衝突し続けることによって摩耗してしまうことを抑制することができる。
【0054】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。なお、以下の説明では、本実施形態と異なる構成について詳細に説明する一方、本実施形態と同様の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0055】
・本実施形態において、島設備11は、係止部K1〜K3を備えたが、これに限らず、係止部K1〜K3のうち、任意に選択できる1つ又は2つを備えた構成であってもよい。また、島設備11は、係止部K1〜K3とは異なる係止部を備えてもよい。例えば、上島内タンク38,38の底面のうち、流入口38aから遊技球が落下してくる部分を囲う壁状の係止部を設けてもよい。本変更例では、流入口38aが特定の部分の一例となり、上島内タンク38,38の底面が特定面の一例となる。
【0056】
・本実施形態において、第1緩衝部材53及び第2緩衝部材76の両方を備えたが、これに限らず、一方又は両方を省略してもよい。本変更例の構成であっても、係止部K1〜K3によって遊技球Bを係止し、滞留する遊技球を緩衝材として作用させ得る。
【0057】
・本実施形態において、第2係止部K2及び第3係止部K3を備えたが、これに限らず、第2係止部K2及び第3係止部K3のうち一方又は両方を省略してもよい。このような構成であっても、第1追加滞留部80及び第2追加滞留部81が形成され得ることから、特定面を保護できる。
【0058】
・本実施形態において、封止部材42は、緩衝部材53,76と同様に、遊技球Bの衝突によって削れる又は凹むことにより遊技球Bの滞留部が形成され得るように構成された緩衝材であってもよい。また、封止部材42とは別に、封止部材42の上面を覆うように、緩衝材を設けた構成であってもよい。
【0059】
・本実施形態において、被覆部材の一例である第1緩衝部材53及び第2緩衝部材76は、緩衝材であったが、これに限らず、落下する遊技球Bによって削れる又は凹むことにより、それぞれ滞留部を形成可能であれば、緩衝材であることに限定されない。
【0060】
・本実施形態において、第1緩衝部材53及び第2緩衝部材76は、四角板状であったが、これに限らず、円形であってもよく、三角形や五角形であってもよく、また所定の厚さを有するブロック状であってもよい。また、第1緩衝部材53及び第2緩衝部材76は、当該緩衝部材が配設される空間を形成する壁や底と一体である構成であってもよい。
【0061】
・本実施形態において、第2係止部K2及び第3係止部K3は、補助緩衝部材56,77といった緩衝材を含んで構成されたが、これに限らず、緩衝材を含まない構成であってもよい。
【0062】
・本実施形態において、揚送装置20は、スクリュー式の揚送装置であったが、これに限らず、スプロケットを回転させて遊技球Bを圧送する押上式の揚送装置であってもよく、ベルトコンベヤーによって揚送するコンベヤー式の揚送装置であってもよい。
【0063】
・本実施形態において、島設備11は、揚送装置20を備えたが、これに限らず、揚送装置20を備えない遊技島であってもよい。
・本実施形態において、島設備11は、下島内タンク25及び上島内タンク38を備えたが、これに限らず、遊技球Bを貯留する貯留部を備えない構成であってもよい。
【0064】
・本実施形態において、島設備11は、複数の揚送装置20を有してもよい。また、複数の島設備11によって、1つの揚送装置20を共有する構成であってもよい。
・本実施形態において、島設備11に設置可能なパチンコ遊技機12の数は、任意に変更してもよい。例えば、島設備11は、1(単数)の遊技機を設置可能でもよい。
【0065】
・本実施形態において、遊技機は、パチンコ遊技機12であったが、これに限らず、遊技媒体として遊技球Bを用いる遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0066】
(1)前記特定の部分は、他の島設備から遊技球が供給される部分であるとよい。
(2)遊技球を揚送する揚送装置と、前記揚送装置が揚送する遊技球を貯留する貯留部と、を備え、前記特定の部分は、前記貯留部から遊技球が溢れ出る部分であるとよい。
【0067】
(3)前記特定の部分は、遊技球を分配する部分であるとよい。
(4)遊技機を設置するための島設備において、遊技球の通路を形成する部材を備え、前記遊技球の通路には、特定の部分が含まれ、当該特定の部分に到達した遊技球は、鉛直方向と交差する特定面に向かって落下するようになっており、島設備は、前記特定面の少なくとも一部を被覆する被覆部材を備え、前記特定の部分から落下する遊技球が衝突して前記被覆部材が削れる、又は、前記特定の部分から落下する遊技球が衝突して前記被覆部材が凹むことによって、前記特定の部分を落下する遊技球が滞留可能な滞留部が形成されるように構成されているとよい。