(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の硬化型組成物は、(A)硫黄原子を含む置換基および少なくとも1個のアミノ基を有するトリアジン化合物と、(B)光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含み、プリント配線板用硬化型組成物として好ましく使用される。
【0015】
なお、本発明において、硬化型組成物とは、光硬化、熱硬化、またはその双方により硬化する組成物を意味する。
【0016】
[(A)トリアジン化合物]
本発明の硬化型組成物は、少なくとも1個のトリアジン環(1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン)、特に1個または2個、好ましくは1個の1,3,5−トリアジン(s−トリアジン)を含み、トリアジン環を構成する3個の炭素原子のうちの少なくとも1個が硫黄原子を含む置換基を有し、他の2個の炭素原子のうちの少なくとも1個が、好ましくは2個の炭素原子の双方がアミノ基を有しているトリアジン化合物を含有する。また、アミノ基は、更に低級アルキル基、特にC
1-C
3アルキル基により1又は2置換されていてもよい。
【0017】
本発明の硬化型組成物は、(A)トリアジン化合物を配合することにより、はんだ耐熱性や耐金めっき性といった塗膜強度に優れる。また加熱後であっても下地、特に導電回路金属のような導体層の防錆効果に優れ、密着性も良好な状態で維持される。
【0018】
本発明では、(A)トリアジン化合物として、150℃にて60分間加熱した場合の質量減少が10%以下の化合物を用いると好ましく、特に200℃にて60分間加熱した場合の質量減少が10%以下の化合物を用いると好ましい。
【0019】
このような(A)トリアジン化合物の例は、以下に記載のVT変性品1、2、3が挙げられる。
【0020】
また、(A)トリアジン化合物は、30℃において、後述の(B)光重合性化合物に対し、0.5質量%以上溶解することが好ましい。このようなトリアジン化合物の具体例は、以下に記載のVT変性品1、2が挙げられる。
【0021】
この他、本発明の硬化型組成物は、慣用の有機溶媒(アルコール、ケトン、エーテル、エステル等)及び他の添加成分に対して0.5質量%以上溶解することが好ましい。
【0022】
このような(A)トリアジン化合物の中でも、以下に記載のVT変性品2が特に好ましく使用される。
【0023】
本発明の硬化型組成物において、(A)トリアジン化合物は、加熱により熱硬化性成分と反応し、硬化塗膜の硬度の上昇に寄与し、さらに、はんだ耐熱性および耐金めっき性を向上させる。
【0024】
本発明では、下記一般式(I)で表される(A)トリアジンが好ましく使用される。
【0026】
式(I)中、
R
1はHまたはNH
2であり(但し少なくとも一方のR
1はNH
2を意味する)、
R
2はC
1−C
6アルキレンであり、
R
3はH、OH、OH−R
4(R
4が直鎖状または分岐状のC
1−C
6アルキレン、またはOHで置換された直鎖状または分岐状のC
1−C
6アルキレンを意味する)、またはCOOR
5(R
5は水素、もしくは直鎖状または分岐状のC
1−C
12アルキルを意味する)である。
【0027】
特に好ましくは、式(I)で表わされるトリアジン化合物のうち、
双方のR
1がNH
2であり、
R
2がC
1−C
3アルキレンであり、
R
3がOH−R
4(R
4が直鎖状または分岐状のC
1−C
3アルキレン、またはOHで置換された直鎖状または分岐状のC
1−C
3アルキレンを意味する)またはCOOR
5(R
5は水素、もしくは直鎖状のまたは分岐状のC
1−C
10アルキル)、特にCOOR
5(R
5はC
1−C
6アルキル)である化合物が用いられる。
【0028】
上記において、直鎖状または分岐状のC
1−C
6アルキレンとは炭素原子数が1〜6の直鎖状又は炭素原子数が3〜6の分岐状のアルキレン基であって、直鎖状アルキレンの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、およびi−プロピレン基を、分岐状アルキレンの具体例としては、2−メチルプロピレン基、テトラメチルエチレン基等を挙げることができる。また、直鎖状または分岐状のC
1−C
3アルキレンとは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基等を意味する。
【0029】
さらに、直鎖状または分岐状のC
1−C
12アルキルとは、炭素原子数が1〜12の直鎖状のアルキル又は、炭素原子数が3〜12分岐状のアルキル基であって、直鎖状アルキルの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n-ウンデシル基、およびn−ドデシル基を、炭素原子数が3〜12の分岐状のアルキルの具体的例としては、イソプロピル基、イソブチル基、secブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリーペンチル基、イソヘキシル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
【0030】
また、直鎖状又は分岐状のC
1−C
10アルキルとは炭素原子数が1〜10の直鎖状のアルキル又は、炭素原子数が3〜10分岐状のアルキル基であって、直鎖状アルキルの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基を、炭素原子数が3〜12の分岐状のアルキルの具体的例としては、イソプロピル基、イソブチル基、secブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリーペンチル基、イソヘキシル基、エチルヘキシル基等を挙げることができる。
【0031】
(A)トリアジン化合物は、150℃、60分間における質量減少が10%以下であることが好ましい。また、30℃において、(B)100質量部の光重合性化合物に対し、0.5質量部以上溶解されることが好ましい。さらに、(A)トリアジン化合物は、少なくとも一つのアミノ基を有することが好ましい。
【0032】
好ましい(A)トリアジン化合物の具体例は以下の通りである。
【0033】
[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−エチル)チオ]プロピオン酸2−エチルヘキシル(VT変性品1):
【0035】
[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−エチル)チオ]プロピオン酸メチル(VT変性品2):
【0037】
[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−エチル)チオプロピレングリコール(VT変性品3):
【0039】
トリアジン化合物(A)の配合量は、本発明の硬化型組成物100質量部中、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。配合量が0.1部以上で耐金めっき性向上およびはんだ耐熱性向上の効果が十分得られるようになる。一方、10質量部以下であれば、組成物の光硬化後に残存して硬化物の特性を低下させるおそれがない。また、10質量部を超えた配合量としても耐金めっき性およびはんだ耐熱性等の物性が更
に向上することもないため、経済的側面からも10質量部以下の配合量とすることが好ましい。
【0040】
[(B)光重合性化合物]
本発明の硬化型組成物は光重合性化合物(成分B)を含む。光重合性化合物とは、光照射により、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等により重合する化合物の総称であり、単官能、多官能(メタ)アクリレート等のラジカル重合性化合物、アニオン重合性化合物、およびエポキシ、オキセタン、ビニル化合物等のカチオン重合性化合物が含まれる。
【0041】
成分Bとして使用可能なアニオン重合性化合物の例としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−オクタジエンなどの共役ジエン、およびスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。これらのアニオン重合性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0042】
また、成分Bとして使用可能なカチオン重合性化合物の例としては、エチルビニルエーテル,トリエチレングリコールジビニルエーテル,トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ノボラック型エポキシ樹脂,エポキシ化油型エポキシ樹脂,脂環式エポキシ樹脂,脂肪族エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、アジペートビスオキセタン,キシリレンビスオキセタン等のオキセタン化合物が挙げられる。これらのカチオン重合性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記アニオン重合性化合物およびカチオン重合性化合物は、それぞれ単独または二種類以上を相互の混合物として使用することもできる。
【0044】
本発明ではラジカル重合性化合物を成分Bとして用いることが好ましい。さらに、所望の特性に応じて、アニオン重合性化合物、およびカチオン重合性化合物を適宜添加使用することができる。
【0045】
また、ラジカル重合化合物の中でも、単官能及び多官能の(メタ)アクリレート、特に水酸基を有する単官能及び多官能(メタ)アクリレート(水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いることにより、下地との密着性をさらに向上させる点で好ましい。
【0046】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタアクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0047】
(メタ)アクリレート化合物は、モノマーの他、オリゴマー等の低分子量の材料も使用され、具体的には分子量100〜1000の範囲、好ましくは分子量110〜700の範囲の材料が用いられる。
【0048】
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体的例としては、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品としてはアロニックスM−5700(東亞合成株式会社製の商品名)、4HBA、2HEA、CHDMMA(以上、日本化成株式会社製の商品名)、BHEA、HPA、HEMA、HPMA(以上、株式会社日本触媒製の商品名)、ライトエステルHO、ライトエステルHOP、ライトエステルHOA(以上、共栄社化学株式会社製の商品名)等がある。
【0049】
水酸基含有(メタ)アクリレートは1種類又は複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0050】
このうち、特に2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましく用いられる。
【0051】
本発明のプリント配線板用硬化型組成物は、上述の水酸基含有(メタ)アクリレートに加えて、水酸基を有さない公知の単官能又は多官能(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。特に2官能または3官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましく使用され、これらを添加することにより、プリント配線板用硬化型組成物における各成分の相溶性をさらに向上させることができる。
【0052】
水酸基を有さない2官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートなどのアルキレンジオールのジアクリレート、
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくとも何れか1種を付加して得たジオールのジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートなどのグリコールのジアクリレート、
ビスフェノールA EO付加物ジアクリレート、ビスフェノールA PO付加物ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジアクリレート、シクロヘキシルジアクリレートなどの環状基を有するジアクリレート、などが挙げられる。
【0053】
市販されているものとしては、ライトアクリレート1,6HX−A、1,9ND−A、3EG−A、4EG−A、(共栄社化学株式会社製の商品名)、HDDA、1,9−NDA、DPGDA、TPGDA(ダイセル・オルネクス株式会社製の商品名)、ビスコート♯195、♯230、♯230D、♯260、♯310HP、♯335HP、♯700HV、♯540(大阪有機化学工業株式会社製の商品名)、アロニックスM−208、M−211B、M−215、M−220、M−225、M−240、M−270(東亞合成株式会社製の商品名)などが挙げられる。
【0054】
これらの中でも、粘度及び相溶性の観点から、炭素数4〜12のアルキレン鎖を有するジオールのジアクリレート、特に1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートが好ましい。
【0055】
水酸基を有さない3官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレートが挙げられる。
【0056】
水酸基を有さない(メタ)アクリレート化合物は、25℃における粘度が5〜50mPa・s、特に5〜30mPa・sであることが好ましい。この粘度範囲では、水酸基を有さない(メタ)アクリレート化合物の希釈剤としての取り扱い性が良好となり、各成分を均一に混合することができる。その結果、塗膜の全面が基板に対して一様に密着することが期待できる。
【0057】
本発明の組成物においては、成分(B)として、ポリエン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。ポリエン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は水酸基含有(メタ)アクリレート、水酸基を含まない(メタ)アクリレート、その双方と共に用いてもよい。
【0058】
(メタ)アクリレート化合物のポリエン骨格は、例えばブタジエンまたはイソプレン、またはこれらの双方、特にブタジエンを繰り返し単位として用いた重合により形成されると好ましく、特に一般式(II)
【0059】
【化5】
(式中、nは10〜300を示す。)
で表わされる繰り返し単位から構成されることが好ましい。このような繰り返し単位のオレフィン性二重結合に起因して、プリント配線板用硬化型組成物に柔軟性が与えられ、基材への追従性が増し、良好な密着性が得られる。
【0060】
上記(メタ)アクリレート化合物のポリエン骨格は、上記一般式Iで表記される繰り返し単位が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0061】
さらに、(メタ)アクリレート化合物のポリエン骨格は、下記一般式(III)、
【0062】
【化6】
で表される単位を含んでもよい。
【0063】
ポリエン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の分子量は、一般に700〜15,000の範囲とされ、1,000〜12,000の範囲にあると好ましい。
【0064】
具体例としては、以下の材料が好ましく使用される。すなわち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを、2,4−トリレンジイソシアネートを介して液状ポリブタジエンのヒドロキシル基とウレタン付加反応させることにより得られる液状ポリブタジエンウレタン(メタ)アクリレート、
無水マレイン酸を付加したマレイン化ポリブタジエンに、2−ヒドロキシアクリレートをエステル化反応させて得られる液状ポリブタジエンアクリレート、
マレイン化ポリブタジエンのカルボキシル基と、(メタ)アクリル酸グリシジルとのエポキシエステル化反応により得られる液状ポリブタジエン(メタ)アクリレート、
液状ポリブタジエンにエポキシ化剤を作用させて得られるエポキシ化ポリブタジエンと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られる液状ポリブタジエン(メタ)アクリレート、
ヒドロキシル基を有する液状ポリブタジエンと、(メタ)アクリル酸クロリドとの脱塩素反応によって得られる液状ポリブタジエン(メタ)アクリレート、
分子両末端にヒドロキシル基を有する液状ポリブタジエンの不飽和二重結合を水素添加した液状水素化1,2ポリブタジエングリコールを、ウレタン(メタ)アクリレート変成した液状水素化1,2ポリブタジエン(メタ)アクリレート等である。
【0065】
市販品の例としては、NISSO PB TE−2000、NISSO PB TEA−1000、NISSO PB TE−3000、NISSO PB TEAI−1000(以上いずれも日本曹達株式会社製)、CN301、CN303、CN307(SARTOMER社製)、BAC−15(大阪有機化学工業株式会社製)、BAC−45(大阪有機化学工業株式会社製)、EY RESIN BR−45UAS(ライトケミカル工業株式会社製)などが挙げられる。
【0066】
ポリエン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の配合量は、組成物中に3〜70質量%、好ましくは10〜45質量%である。
【0067】
ポリエン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は1種類又は複数種類を組み合わせて用いることができる。
【0068】
(B)光重合性化合物の配合量は、組成物100質量部に対して、好ましくは50〜98質量部、より好ましくは60〜95質量部である。光重合性化合物の配合量が、50質量部以上の場合、相溶性がより良好となる。一方、配合量が98質量部以下の場合、インキの硬化速度の低下を抑えることができる。
【0069】
[(C)光重合開始剤]
(C)光重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば光ラジカル重合開始剤を用いることができる。この光ラジカル重合開始剤としては、光、レーザー、電子線等によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始する化合物であれば全て用いることができる。
【0070】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアルキルフェノン系、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;リボフラビンテトラブチレート;2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,4,6−トリス−s−トリアジン、2,2,2−トリブロモエタノール、トリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類又はキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2、3、4、5、6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2、6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン類などが挙げられる。
【0071】
これら公知慣用の光重合開始剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用でき、さらにはN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類などの光開始助剤を加えることができる。
【0072】
市販されているものとしては、イルガキュア261、184、369、651、500、819、907、784、2959、1116、1173、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG−24−61、イルガキュアTPO(以上、BASFジャパン株式会社製の商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業株式会社製の商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー株式会社製の商品名)、ロードシルフォトイニシエーター2074(ローディア社製の商品名)、ユベクリルP36(UCB社製の商品名)、エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B、ONE(フラテツリ・ランベルティ社製の商品名)等が挙げられる。
【0073】
(C)光重合開始剤の配合割合は、組成物全体の0.5〜10質量%の範囲が適当である。
【0074】
[(D)熱硬化成分]
本発明の硬化型組成物には熱硬化成分(成分D)を加えることができる。
【0075】
熱硬化成分(D)を加えることにより密着性や耐熱性が向上することが期待できる。本発明に用いられる熱硬化成分(D)としては、環状エーテル基又はチオエーテル基を有する熱硬化成分、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が使用することができる。特に好ましいのは、保存安定性に優れる点より、ブロックイソシアネート化合物である。
【0076】
上記の分子中に複数の環状エーテル基またはチオエーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基またはチオエーテル基のいずれか一種または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0077】
前記多官能エポキシ化合物としては、株式会社ADEKA製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;三菱化学株式会社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、ダイセル化学工業株式会社製のEHPE3150、DIC株式会社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成株式会社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業株式会社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDC−1312、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、YSLV−80XYビスフェノール型エポキシ樹脂、YSLV−120TEチオエーテル型エポキシ樹脂(いずれも東都化成株式会社製);三菱化学株式会社製のjERYL903、DIC株式会社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成株式会社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業株式会社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC株式会社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成株式会社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬株式会社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業株式会社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製NC−3000、NC−3100等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC株式会社製のエピクロン830、三菱化学株式会社製jER807、東都化成株式会社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成株式会社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製のjER604、東都化成株式会社製のエポトートYH−434、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬株式会社製EBPS−200、株式会社ADEKA製EPX−30、DIC株式会社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学株式会社製のjERYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂株式会社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成株式会社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学株式会社製ESN−190、ESN−360、DIC株式会社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC株式会社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂株式会社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業株式会社製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成株式会社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
【0078】
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
【0079】
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学株式会社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0080】
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等がある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
【0081】
これらの市販品としては、例えば、サイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(いずれも三井サイアナミッド株式会社製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(いずれも株式会社三和ケミカル製)等を挙げることができる。このような熱硬化成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
イソシアネート化合物は、1分子内に少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物である。イソシアネート化合物を加えることで、硬化性(硬化速度)および得られる硬
化物の強靭性を向上させることができる。このようなイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物、等が挙げられる。
【0083】
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
【0084】
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートおよび2,4−トリレンダイマー等が挙げられる。
【0085】
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0086】
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0087】
イソシアネート化合物は、保存安定性の観点からブロックイソシアネート化合物が好ましい。ブロックイソシアネート化合物は、少なくとも1つのブロック化イソシアネート基を有する化合物である。ブロックイソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
【0088】
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0089】
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
【0090】
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン株式会社製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業株式会社製)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(いずれも三井武田ケミカル株式会社製)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(いずれも旭化成ケミカルズ株式会社製)、TRIXENE BI 7982、同7950、同7951、同7960、同7961、同7990、同7991、同7992、同Aqua BI200、同Aqua BI220(Baxeneden Chemicals Limited社製)が等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子内に複数のイソシアネート基、またはブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
このような熱硬化性成分の配合量は、前記全組成物100質量部に対して、1〜30質量部が好ましい。配合量が1質量部以上であれば、十分な塗膜の強靭性、耐熱性が得られる。一方、30質量部以下であれば、保存安定性が低下することを抑制できる。
【0092】
本発明の硬化型組成物には、上記成分の他、必要に応じて、表面張力調整剤、界面活性剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくとも1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0093】
上記各成分を有する本発明の硬化型組成物は、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、カーテンコート法などの印刷方法に適用可能である。特に、インクジェット法に適用する場合、50℃における粘度が5〜50mPa・s、特に5〜15mPa・sが好ましい。これにより、インクジェットプリンターに不要な負荷を与えることなく、円滑な印刷が可能となる。
【0094】
本発明において、粘度は、JIS K2283に従って常温(25℃)または50℃で測定した粘度をいう。本発明の組成物は、常温における粘度が150mPa・s以下、又は50℃における粘度が5〜50mPa・sであることが好ましく、これによりインクジェット印刷法での印刷が良好に行われる。
【0095】
更に、本発明の硬化型組成物は、上記の組成によりインクジェット方式用のインキとして適用された場合、フレキシブル配線板に対してロートゥロール方式の印刷が可能である。この場合、インクジェットプリンター通過後に後述する光照射用光源を取り付ける事によってレジストパターンを高速で形成することが可能である。
【0096】
光照射は、紫外線又は活性エネルギーの照射により行われるが、紫外線が好ましい。
【0097】
光照射の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが適当である。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線なども利用可能である。更に必要に応じ、光照射後に加熱により硬化する。ここで、加熱温度は、例えば、80〜200℃である。かかる加熱温度範囲とすることにより、十分に硬化することができる。加熱時間は、例えば、10〜100分である。
【0098】
更に、本発明の硬化型組成物は、下地(導電回路金属のような導体層やプラスチック基材)に対し密着性に優れ、かつ、はんだ耐熱性、耐薬品性、鉛筆硬度、耐金めっき性、折り曲げ性等の諸特性に優れたパターン硬化塗膜を形成できる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味するものとする。
【0100】
実施例1〜8および比較例1〜4
表1に示す成分を、同表に示す割合(単位:部)にて配合し、攪拌機にて予備混合し、硬化型組成物を調製した。
【0101】
上記のようにして作製した硬化型組成物、及びその硬化塗膜について以下の性質を評価した。
【0102】
1.硬化型組成物の相溶性
実施例1〜8および比較例1〜4により得られた硬化型組成物を透明なガラスビンに封入した後1週間静置し、分離の有無を目視で確認した。評価の基準は以下の通りである。
【0103】
○:分離無く透明
△:分離は無いが濁りがある
×:分離が発生
測定結果を表1に示す。
【0104】
2.密着性試験
実施例1〜8および比較例1〜4により得られた硬化型組成物を30μmのアプリケーター(ERICHSEN社製)を使って銅張積層板上に塗布し、高圧水銀灯(ORC社製HMW−713)150mJ/cm
2にて硬化を行った。その後、150℃の熱風循環式乾燥炉にて60分間加熱処理を行った。作製したサンプルに対してクロスカットテープピール試験を実施した。評価の基準は以下の通りである。
【0105】
○:剥離なし
測定結果を表1に示す。
【0106】
3.鉛筆硬度(表面硬度)
上記2で得られた硬化塗膜を用いて、銅上での鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準拠して測定した。
【0107】
測定結果を表1に示す。
【0108】
4.耐金めっき性
市販の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行ない、上記2で得られた硬化塗膜に金めっきを行ない、硬化塗膜表面状態の観察を行った。評価基準は以下の通りである。
【0109】
○:全く変化が認められないもの。
【0110】
×:顕著に白化若しくは曇りが生じたもの。
【0111】
5.はんだ耐熱性
上記2の基板作製条件で得られた硬化塗膜を、JIS C−5012の方法に準拠し、260℃のはんだ槽に10秒間を所定の回数浸漬後、セロハン粘着テープによるピーリング試験を行った後の塗膜状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
【0112】
評価基準
3:3回以上浸漬後、塗膜に変化がないもの。
【0113】
2:2回浸漬後、塗膜に変化はないが、3回浸漬後に塗膜に剥離などの異常が見られた。
【0114】
1:1回浸漬後、塗膜に変化はないが、2回浸漬後に塗膜に剥離などの異常が見られた。
【0115】
0:1回浸漬後、塗膜に剥離などの異常が見られた。
【0116】
(参考)質量減少の測定(トリアジン化合物)
セイコーインスツルメンツ(SII)製EXSTAR TG/DTA6200を使用し、トリアジン化合物を10℃/分の条件にて25℃から150℃まで昇温し、150℃にて60分間保持した。トリアジン化合物の25℃における質量(トリアジン(25℃)(g))と、150℃にて60分後の質量(トリアジン(150℃にて60分保持後) (g))とを求めて、トリアジンの質量減少割合(%)を下式により求めた。
質量減少(%)=
トリアジン(25℃)(g)−トリアジン(150℃にて60分保持後)(g)×100
トリアジン(25℃)(g)
【0117】
【表1】
【0118】
表1中の成分及び略号の詳細は以下の通りである。
【0119】
[成分A]
トリアジン化合物1...[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−エチル)チオ]プロピオン酸2−エチルヘキシル(四国化成株式会社製)(150℃にて60分間保持したときの質量減少:1.7%)
【0120】
【化7】
【0121】
トリアジン化合物2...[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−エチル)チオ]プロピオン酸メチル
(150℃にて60分間保持したときの質量減少:1.4%)
【0122】
【化8】
【0123】
トリアジン化合物3...[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−エチル)チオプロピレングリコール(150℃にて60分間保持したときの質量減少:6.3%)
【0124】
【化9】
【0125】
[比較成分A’]
ビニルトリアジン....2,4−ジアミノ−6−ビニル−S−トリアジン(VT、四国化成工業株式会社製)(150℃にて60分間保持したときの質量減少:2.7%)
メタクリロイルオキシエチルトリアジン...2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン(MAVT、四国化成工業株式会社製)(150℃にて60分間保持したときの質量減少:21.6%)
【0126】
[成分B]
EO変性TMPTA...エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート
4-ヒドロキシブチルアクリレート(ラロマーLR8863、BASFジャパン株式会社製)
1,9−ノナンジオールジアクリレート...A−NOD−N(Kowa Europe GmbH社製)
【0127】
[成分C]
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン...イルガキュア1173(BASFジャパン株式会社製)
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド...イルガキュア819(BASFジャパン株式会社製)
【0128】
[成分D]
ジメチルピラゾールブロック3官能イソシアネート.....Trixene BI
7982(Baxenden Chemicals Limited社製、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体とジメチルピラゾール(DMP)を含むブロック共重合体)
ビフェニルジグリシジルエーテル....YX−4000(三菱化学株式会社製)
【0129】
表1に示されるように、本発明に係る実施例1〜8の硬化型組成物は、硬化型組成物の相溶性、UV硬化後のポリイミドおよび銅との密着性、鉛筆硬度、はんだ耐熱性、耐金めっき性のすべてにおいて良好な結果を示した。
【0130】
本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。