特許第6913567号(P6913567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913567
(24)【登録日】2021年7月14日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】電動式インジェクションブロー成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/78 20060101AFI20210727BHJP
   B29C 49/02 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   B29C49/78
   B29C49/02
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-160709(P2017-160709)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-38152(P2019-38152A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】711011386
【氏名又は名称】株式会社タハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大輔
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−296849(JP,A)
【文献】 特開平03−002028(JP,A)
【文献】 米国特許第06284169(US,B1)
【文献】 特開2010−052201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/78
B29C 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形すべき中空状の成形品のネック部形状のキャビティを有する射出成形金型と押出ヘッドを同一軸線上に対向配置するとともに、前記軸線を挟んで対称的に半割り構造のブロー成形金型を配置し、
前記射出成形金型と前記押出ヘッドとを突き合わせて前記押出ヘッドから前記射出成形金型の前記キャビティに溶融合成樹脂を充填することによって前記成形品のネック部を射出成形し、
該ネック部を前記射出成形金型とともに前記押出ヘッドから離間させながら、前記押出ヘッドの一部を成すプランジャの上下運転の作用によって前記押出ヘッドから溶融合成樹脂を筒状に、かつ肉厚を変化させながら押し出して前記ネック部に連続したパリソンを形成し、
前記ブロー成形金型を前記射出成形金型に案内させつつ型締めして前記パリソンを挟み込み、このパリソン内に圧縮エアを吹き込むことにより前記成形品を成形する電動式インジェクションブロー成形装置において、
前記射出成形金型の運動が、縦軸を該射出成形金型の運動時間および横軸を該射出成形金型の前記軸線上における運動速度としたグラフにおいて前記射出成形金型の運動時間に基づいた曲線に則っており、
前記プランジャの運動が、縦軸を該プランジャの運動時間および横軸を該プランジャの前記軸線上における運動速度としたグラフにおいて前記プランジャの運動時間に基づいた曲線に則っており、
前記押出ヘッドを成す押出ダイの運動が、縦軸を該押出ダイの運動時間および横軸を該押出ダイの前記軸線上の位置としたグラフにおいて前記押出ダイの運動時間に基づいた曲線に則っており、
予め設定したプログラムによって前記プランジャ、前記押出ヘッドおよび前記射出成形金型の制御信号をそれぞれ独立して決定する制御装置と、
該制御装置によって前記プランジャ、前記押出ヘッドおよび前記射出成形金型のそれぞれを制御駆動する電動式の駆動装置と、
具備する、ことを特徴とする電動式インジェクションブロー成形装置。
【請求項2】
記射出成形金型の運動時間と前記プランジャの運動時間とが等しいよう調整されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式インジェクションブロー成形装置。
【請求項3】
記射出成形金型と前記プランジャの運動とが同時に開始するよう調整されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式インジェクションブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロー成形法の一つであるインジェクションブロー成形のための電動式インジェクションブロー装置に関し、特にインジェクションブロー成形装置を構成する射出成形金型、プランジャおよび押出ヘッドの運動制御機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形法(中空成形法または吹き込み成形法)にはダイレクトブロー成形法、プリフォームの延伸を行うインジェクションストレッチブロー成形法、シート成形法等の方法があり、さらにダイレクトブロー成形法とインジェクションストレッチブロー成形法との中間に位置付けられる成形法としてインジェクションブロー成形法がある。
【0003】
このインジェクションブロー成形法は、特許文献1に記載されているように、例えばボトル状の中空成形品の成形に際して、その中空成形品のネック部(口部)を押出ヘッドと突き合わせた射出成形金型で射出成形し、成形後のネック部を射出成形金型とともに押出ヘッドから離間させながらネック部に連続するパリソンを押出ヘッドからチューブ状に押し出し、続いてそのパリソンを半割り構造のブロー成形金型で挟み込んでエアブローすることにより、ネック部に連続するかたちで中空成形品の胴部を成形するものである。このインジェクションブロー成形法によれば、ダイレクトブロー成形法に比べネック部側に「ばり」が発生しない利点があるほか、予備成形体としてのプリフォームを成形するインジェクションストレッチブロー成形法に比べ射出成形金型がきわめて小さくて済む利点があるとされている。かかるインジェクションブロー成形法においては、一般的にパリソンを押出ヘッドから上向きに押し出すかたちを基本としている。
【0004】
インジェクションブロー成形法を具現する成形装置には従前、特許文献2に記載されている油圧式のものがあったが、この油圧式成形装置においては、押出ヘッドに相当するダイランドとダイボディを備えたダイと、プランジャを備えた押出装置と、射出成形金型に相当して押出プロセス中にダイから出現する管状プラスチック体を案内する、ダイと隣り合う初期位置からダイから離れる方向に運動できる取出ユニットとを有している。
【0005】
特許文献2記載の油圧式成形装置においては、取出ユニットの運動は取出ユニットのパス(位置)に亘って自由に調整可能な速度プロファイルに従って行われ、プランジャの運動はプランジャのパス(位置)に亘って自由に調整可能な速度プロファイルに従って行われ、ダイのダイボディの運動は取出ユニットのパスまたはプランジャのパスに亘って自由に調整可能な位置プロファイルに従い、ダイボディの運動が取出ユニットまたはプランジャの運動と同一時間継続して行われるように制御されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2685292号公報
【特許文献2】特許第4956264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる油圧式成形装置においては、プランジャおよび取出ユニットそれぞれの速度ならびにダイボディの位置の実際は、たとえば取出ユニットの運動経路に沿って複数のパスセンサを配置し、これらパスセンサからのパス信号が検出されて制御ユニットに送られ、制御ユニットが、管状体の壁厚をその長さに亘って調整するため、予め設定可能なプログラムに従ってダイボディ、プランジャおよび取出ユニットの運動を制御するという構造であった。そのため、これらパスセンサを設けるスペースが必要となり、成形装置におけるスペース配分の余裕性が狭まるという空間的問題、及び部品や配線のコストがかかるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、複数のパスセンサを設けることなく、電子的プログラムを配設し、その電子的プログラムを時間に関連して構成するようにして、パリソンおいて必要となる頻繁な肉厚変化を所要な精度をもって成形できる電動式インジェクションブロー成形装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成形すべき中空状の成形品のネック部形状のキャビティを有する射出成形金型と押出ヘッドを同一軸線上に対向配置するとともに、前記軸線を挟んで対称的に半割り構造のブロー成形金型を配置し、前記射出成形金型と前記押出ヘッドとを突き合わせて前記押出ヘッドから前記射出成形金型の前記キャビティに溶融合成樹脂を充填することによって前記成形品のネック部を射出成形し、該ネック部を前記射出成形金型とともに前記押出ヘッドから離間させながら、前記押出ヘッドの一部を成すプランジャの上下運転の作用によって前記押出ヘッドから溶融合成樹脂を筒状に、かつ肉厚を変化させながら押し出して前記ネック部に連続したパリソンを形成し、前記ブロー成形金型を前記射出成形金型に案内させつつ型締めして前記パリソンを挟み込み、このパリソン内に圧縮エアを吹き込むことにより前記成形品を成形する電動式インジェクションブロー成形装置において、前記射出成形金型の運動が、縦軸を該射出成形金型の運動時間および横軸を該射出成形金型の前記軸線上における運動速度としたグラフにおいて前記射出成形金型の運動時間に基づいた曲線に則っており、前記プランジャの運動が、縦軸を該プランジャの運動時間および横軸を該プランジャの前記軸線上における運動速度としたグラフにおいて前記プランジャの運動時間に基づいた曲線に則っており、前記押出ヘッドを成す押出ダイの運動が、縦軸を該押出ダイの運動時間および横軸を該押出ダイの前記軸線上の位置としたグラフにおいて前記押出ダイの運動時間に基づいた曲線に則っており、予め設定したプログラムによって前記プランジャ、前記押出ヘッドおよび前記射出成形金型の制御信号をそれぞれ独立して決定する制御装置と、該制御装置によって前記プランジャ、前記押出ヘッドおよび前記射出成形金型のそれぞれを制御駆動する電動式の駆動装置と、を具備する電動式インジェクションブロー成形装置である。
【0010】
かかる電動式インジェクションブロー成形装置によれば、複数のパスセンサを設けることもなく、電子的プログラムを配設し電子的プログラムを時間に関連して構成するようにしてパリソンおいて必要となる頻繁な肉厚変化を所要な精度をもって成形できる。
【0011】
さらに、前記電動式インジェクションブロー成形装置は、前記射出成形金型の運動時間と前記プランジャの運動時間とが等しいように調整されているものが望ましい。かかる構成によれば、例えば、パリソンの押出時間とパリソンの引き上げ時間が一致し、成形条件の修正をより効率化できる。
【0012】
さらにまた、前記電動式インジェクションブロー成形装置は、前記射出成形金型と前記プランジャの運動が同時に開始するよう調整されているものが好ましい。かかる構成によれば、成形がしやすいからである。例えば、パリソン押出の際、パリソン自体の薄肉化の不良を解消できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のパスセンサを廃止できるだけでなく、電子的なプログラムを時間に関連して構成することにより、パリソンにおいて必要となる頻繁な肉厚変化を所要な精度をもって成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る電動式インジェクションブロー成形装置の一実施の形態を示す概略断面図。
図2図1の装置のための制御装置を示すブロック図。
図3図2の制御装置による押出ダイの運動のためのプログラムフロー図。
図4図2の制御装置によるプランジャの運動のためのプログラムフロー図。
図5図2の制御装置による射出成形金型の運動のためのプログラムフロー図。
図6図2の制御装置による押出ダイの運動のダイヤグラムを示す縦軸を時間、横軸を位置値としたグラフ。
図7図2の制御装置によるプランジャの運動のダイヤグラムを示す縦軸を時間、横軸を速度としたグラフ。
図8図2の制御装置による射出成形金型の運動のダイヤグラムを示す縦軸を時間、横軸を速度としたグラフ。
図9図1の装置により成形された成形品を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るインジェクションブロー成形装置の一実施形態を、図1ないし図9に従って詳述する。
【0016】
このインジェクションブロー成形装置によれば、図9に示すような蛇腹状かつ中空状の成形品Wを成形できるようになっている。成形品Wは、小径な筒状のネック部W1と、ネック部W1に連続する大径の胴部としてのベローズ部W2を有している。
【0017】
このインジェクションブロー成形装置は、大別して、図1に示すように、溶融合成樹脂であるパリソンPの押出方向を上向きとした押出ヘッド1と、その上方に押出ヘッド1に対向配置した昇降動作可能な射出成形金型2と、射出成形金型2と押出ヘッド1との間に押出ヘッド1上方に配置したブロー成形金型3とからなる。
【0018】
射出成形金型2は、パリソンPに成形品Wの前記ネック部W1を形成するもので、押出ヘッド1と同一軸線上に配置し、マンドレル4とマンドレル4を挟んで水平方向に型締め・型開き動作が可能な半割り構造の一対の金型要素2a,2bを備えている。これら金型要素2a,2bは、図示を省略した駆動機構により型閉、型締および型開が行えるようになっている。射出成形金型2は、パリソンPに圧縮エアを送るエア供給路2cを形成している。
【0019】
押出ヘッド1は、上部円錐状のダイボディ5と、ダイボディ5内を昇降する上部円錐状の押出ダイ6とを備えている。ダイボディ5と押出ダイ6とは、それら間に環状の通路1aを形成し、通路1a上端に環状のダイ開口を形成し、押出ダイ6がダイ開口の断面変更のため、ダイボディ5に対して2個の第1サーボモータ7およびそれぞれの第1サーボモータ7に対応した第1ボールねじ機構8により駆動されて昇降動できるようになっている。これら第1サーボモータ7および第1ボールねじ機構8は、押出ダイ6、言い換えれば押出ヘッド1の駆動装置を構成する。押出ヘッド1の押出ダイ6にも、パリソンPに圧縮エアを送るエア供給路1bが形成されている。
【0020】
押出ヘッド1はまた、溶融合成樹脂POを前記ダイ開口から吐出するため、直線運動可能なプランジャ9を備えている。プランジャ9は、その上部を円錐状となし、環状の通路1a内の溶融合成樹脂POを前記ダイ開口に向かって押し上げるよう、プランジャ9に対して2個の第2サーボモータ10およびそれぞれの第2サーボモータ10に対応した第2ボールねじ機構11により駆動されて昇降動できるようになっている。これら第2サーボモータ10および第2ボールねじ機構11は、プランジャ9の駆動装置を構成する。
【0021】
ブロー成形金型3は、射出成形金型2と押出ヘッド1との軸線を挟んで対称的に配置されて、水平方向に型締め、型開き動作が可能な半割り構造の一対の金型要素3a,3bを備えている。これら金型要素3a,3bは、パリソンPに成形品Wのベローズ部W2を形成するようキャビティを形成している。これら金型要素3a,3bの各背後にはプラテン12が設けられて、これらプラテン12が、図示を省略した型締機構により型閉め、型締めおよび型開きが行われるようになっている。
【0022】
一方、射出成形金型2は、射出成形金型2に対して1個の第3サーボモータ13および第3ボールねじ機構14により駆動されて昇降動できるようになっている。これら第3サーボモータ13および第3ボールねじ機構14は、射出成形金型2の駆動装置を構成する。
【0023】
これら第1,第2,第3サーボモータ7,10,13および第1,第2,第3ボールねじ機構8,11,14からなる駆動装置の制御装置は、図2に示すように、操作者による操作される操作ディスプレイ20と、操作ディスプレイ20に接続したプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)21と、プログラマブル・ロジック・コントローラ21に接続したサーボコントローラ22とからなる。プログラマブル・ロジック・コントローラ21は、インジェクションブロー成形装置の駆動系統全体を電気的制御するものであり、その一部としてサーボコントローラ22を制御するようになっている。すなわち、プログラマブル・ロジック・コントローラ21とサーボコントローラ22は、プランジャ9、押出ヘッド1および射出成形金型2の制御信号を決定する制御装置として機能する。
【0024】
サーボコントローラ22は、第1サーボアンプ23に接続し、第1サーボアンプ23が押出ダイ6の駆動系統DDの一部を成す第1サーボモータ7に接続して、第1ボールねじ機構8を介して押出ダイ6を昇降動させるようになっている。
【0025】
サーボコントローラ22はまた、プランジャ9の駆動系統PDである第2サーボアンプ24に接続し、第2サーボアンプ24が第2サーボモータ10に接続して、第2ボールねじ機構11を介してプランジャ9を昇降動させるようになっている。
【0026】
さらに、サーボコントローラ22は、射出成形金型2の駆動系統MDである第3サーボアンプ25に接続し、第3サーボアンプ25が第3サーボモータ13に接続して、第3ボールねじ機構14を介して射出成形金型2を昇降動させるようになっている。
【0027】
図9に示した蛇腹状かつ中空状の成形品Wの成形開始時には、射出成形金型2は、押出ヘッド1と隣り合う初期位置にあり、ついでプランジャ9がプランジャ9の駆動系統PDによって溶融合成樹脂POを押出ヘッド1から吐出方向に駆動されることにより所定量の溶融合成樹脂POが前記ダイ開口を通して強制的に押出されるようになっている。この際、成形品Wのネック部W1が射出成形によって射出成形金型2の金型要素2a,2bのキャビティにおいてまず成形されるようになっている。
【0028】
成形品Wのネック部W1が成形された後、溶融合成樹脂POの押出が始まり、射出成形金型2がその駆動系統MDにより押出ヘッド1から離れる方向へ動き、パリソンPを形成するようになっている。
【0029】
溶融合成樹脂POの押出工程においては、成形品Wの胴厚に応じて前記ダイ開口の断面を変更するため、押出ダイ6がその駆動系統DDによってダイボディ5に対し動かされるようになっている。押出工程が終わると、パリソンPの端部は押出ダイ6がダイボディ5に寄りかかって切り離されるようになっている。
【0030】
これら工程を実施するための押出ダイ6、プランジャ9および射出成形金型2の運動のための制御プログラムは、プログラマブル・ロジック・コントローラ21に記憶されている。
【0031】
押出ダイ6の動作制御プログラムフローを図3に示す。図6に示される押出ダイ6動作の基準値曲線に則り説明する。この際、押出タイマの数値として例えば5秒がインプットされている。パリソンPの押出開始(ステップS11)と同時にパリソン押出タイマが開始した後(ステップS12)、押出タイマがカウントアップする0〜5秒の間、基準値曲線をなぞるよう動作を行う(ステップS13)。すなわち、押出タイマ開始直後(0秒)、押出ダイ6は基準値曲線の時間0秒に当たる位置−4mmに移動する。タイマ開始後1秒前後から下方向(−方向)へ移動し、タイマ開始後1秒後には−5mm位置に移動する。タイマ開始後2〜4秒時、基準値曲線に従い−4〜−6mm位置を交互に移動する。5秒後、−2mm位置に移動すると共に押出タイマがカウントアップ(ステップS14)し、パリソン押出動作が完了する(ステップS15)。
【0032】
プランジャ9の動作制御プログラムフローを図4に示す。図7に示されるプランジャ9動作の基準値曲線に則り説明する。この際、押出タイマの数値として例えば5秒がインプットされている。パリソンPの押出開始(ステップS21)と同時にパリソン押出タイマが開始した後(ステップS22)、押出タイマがカウントアップする0〜5秒の間、基準値曲線に則り動作を行う(ステップS23)。すなわち、押出タイマ開始後、プランジャ9は基準値曲線の時間0秒に当たる速度20mm/秒にて移動を開始する。タイマ開始後1秒前後から移動速度を増加し、タイマ開始後1秒後には25mm/秒にて移動する。以降も基準値曲線に従い速度を変化させ、5秒後、速度20mm/秒から速度ゼロとなり、押出タイマのカウントアップ(ステップS24)と共に停止し、パリソン押出動作が完了する(ステップS25)。
【0033】
射出成形金型2の動作制御プログラムフローを図5に示す。図8に示される射出成形金型2動作の基準値曲線に則り説明する。この際、押出タイマの数値として例えば5秒がインプットされている。パリソンPの引上開始(ステップS31)と同時にパリソン押出タイマが開始した後(ステップS32)、押出タイマがカウントアップする0〜5秒の間、基準値曲線に則り動作を行う(ステップS33)。すなわち、押出タイマ開始後、射出成形金型2は基準値曲線の時間0秒に当たる速度15mm/秒にて移動を開始する。徐々に移動速度が増加し、タイマ開始後0.5秒後には20mm/秒にて移動する。5秒後、速度20mm/秒から速度ゼロとなり、押出タイマのカウントアップ(ステップS34)と共に停止し、パリソン引上動作が完了する(ステップS35)。
【0034】
押出ダイ6、プランジャ9および射出成形金型2の運動のための基準値曲線は、図2に示したプログラマブル・ロジック・コントローラ21に記憶されている。それらの例を図6ないし図8に示す。
【0035】
図6のダイヤグラムが示すように、押出ダイ6の運動のための基準値曲線は、位置プロファイルP1として所定時間に亘って設定されている。すなわち、押出ダイ6は、所定時間に亘ってその位置が予め設定されている。
【0036】
一方、図7のダイヤグラムが示すように、プランジャ9の運動のための基準値曲線は、速度プロファイルP2として所定時間に亘って設定されている。すなわち、この速度プロファイルP2は、所定時間に亘ってプランジャ9の基準速度を表わしている。
【0037】
同様に、図8のダイヤグラムが示すように、射出成形金型2の運動のための基準値曲線は、速度プロファイルP3として所定時間に亘って設定されている。すなわち、この速度プロファイルP3は、所定時間に亘って射出成形金型2の基準速度を表わしている。
【0038】
射出成形金型2とプランジャ9との運動のための各速度プロファイルP3,P2は、自由に調整可能であって、互いに独立している。
【0039】
射出成形金型2とプランジャ9との運動のための各速度プロファイルP3,P2は、図7および図8に示すように、射出成形金型2の運動時間とプランジャ9の運動時間が等しいように調整してもよいが、また射出成形金型2の運動時間とプランジャ9の運動時間が等しくないよう調整してもよい。
【0040】
射出成形金型2とプランジャ9との運動のための各速度プロファイルP3,P2は、図7および図8に示すように、射出成形金型2とプランジャ9の運動が同時に開始するよう調整してもよいが、射出成形金型2とプランジャ9とは、同時に作動される必要もない。
【0041】
プランジャ9の速度プロファイルP2、射出成形金型2の速度プロファイルP3および押出ダイ6の位置プロファイルP1は、成形品Wの成形に当たり所望の胴厚分布が達成されるように調整される。
【0042】
次に、この実施形態による成形品Wの成形工程を説明する。
【0043】
まず、型締めした射出成形金型2の底面を押出ヘッド1の上端面に押し当て、押出ヘッド1側から射出成形金型2に対して溶融合成樹脂POを押し出して、金型要素2a,2bとマンドレル4とから形成される空間に溶融合成樹脂POを充填し、最初に図9に示した成形品Wのネック部W1を射出成形する。
【0044】
そして、成形されたばかりのネック部W1を射出成形金型2ごと上昇させながら押出ヘッド1のダイ開口から溶融合成樹脂POの押し出し動作を続けると、図1に示すように、ネック部W1に連続して所定肉厚のチューブ状のパリソンPを形成する。
【0045】
続いて、パリソンPをブロー成形金型3の金型要素3a,3b間に挟み込み、射出成形金型2を型閉および型締めした上で、押出ヘッド1のエア供給路1b、あるいは射出成形金型2のエア供給路2cからパリソンP内に圧縮エアを吹き込み、パリソンPを膨張させながら金型要素3a,3bのキャビティ面に密着させると、金型要素3a,3bのキャビティ面の形状を転写させるかたちで、先に成形したネック部W1に連続する形にて成形品Wの胴部としてのベローズ部W2を一体に成形する。エア供給路は成形品Wの形状に応じて選択することができる。例えば、ネック部W1が小径の場合、射出成形金型にエア供給路2cを設けることは困難のため、押出ヘッド1のエア供給路1bを使用する。
【0046】
この状態では、ネック部W1とベローズ部W2とからなる中間の成形品Wは、なおも押出ヘッド1側の溶融合成樹脂POに繋がったままであることから、射出成形金型2およびブロー成形金型3をそれぞれ型開き動作させるとともに、押出ヘッド1側の溶融合成樹脂POから切り離して中間の成形品Wを射出成形金型2およびブロー成形金型3から取り出す。
【0047】
ついで、中間の成形品Wのうちベローズ部W2の端部に付帯している非製品部領域である余剰部を、図示を省略したカッターにて切断除去することにより図9に示した蛇腹状の完成した成形品Wを製造する。
【符号の説明】
【0048】
1…押出ヘッド
2…射出成形金型
2a,2b…金型要素
3…ブロー成形金型
3a,3b…金型要素
5…ダイボディ
6…押出ダイ
7…第1サーボモータ(押出ヘッドの駆動装置)
8…第1ボールねじ機構(押出ヘッドの駆動装置)
9…プランジャ
10…第2サーボモータ(プランジャの駆動装置)
11…第2ボールねじ機構(プランジャの駆動装置)
13…第3サーボモータ(射出成形金型の駆動装置)
14…第3ボールねじ機構(射出成形金型の駆動装置)
21…プログラマブル・ロジック・コントローラ(制御装置)
22…サーボコントローラ(制御装置)
P…パリソン
W…成形品
W1…ネック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9