(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御手段は、報知手段による報知から所定時間が経過しても炎のはみ出しが継続しているときは、炎の外縁が前記輪郭より内側に位置するようにガス供給量を低下させる請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、加熱対象物からの炎のはみ出しを解消することにより、熱エネルギーの無駄を抑制し、また、炎が使用者に触れることを防止することで安全性を確保している。しかしながら、調理の際は、使用者が意図的に加熱対象物をずらしたり、他の調理機器が加熱対象物に触れて加熱対象物の位置がずれることもある。このような場合にバーナの火力を低下させると、調理性が低下することがある。本明細書は、安全性を確保しながら調理性に優れた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する加熱調理器は、バーナと、制御手段と、輪郭検出手段と、炎検出手段と、報知手段を備えていてよい。バーナは、ガスを利用して加熱対象物を加熱してよい。制御手段は、ガス供給量を調整してバーナの火力を制御してよい。輪郭検出手段は、加熱対象物の上方から加熱対象物の輪郭を検出してよい。炎検出手段は、加熱対象物の上方から加熱対象物の輪郭より外側に炎がはみ出ているか否かを検出してよい。この加熱調理器では、制御手段は、炎検出手段が加熱対象物の輪郭より外側に炎がはみ出していることを検出したときに、炎の外縁が加熱対象物の輪郭より内側に位置するようにガス供給量を低下させてよい。また、制御手段は、ガス供給量を低下させて炎の外縁を加熱対象物の輪郭より内側に位置させた後に再度炎検出手段が加熱対象物の輪郭より外側に炎がはみ出していることを検出したときは、ガス供給量を低下させることなく、報知手段に炎のはみ出しを報知させてよい。
【0006】
上記加熱調理器では、ガス供給量を低下させて炎のはみ出しを解消した後に再度炎のはみ出しが検出されたときは、ガス供給量を低下させない。炎のはみ出しを解消した後に再度炎のはみ出しが検出される現象は、多くの場合、バーナの火力が強過ぎることに起因せず、バーナに対する加熱対象物の位置がずれたことに起因する。そのため、このような場合、バーナの火力を維持した状態で報知手段を通じて使用者に炎のはみ出しが生じていることを報知することで、調理性が低下することを防止することができる。なお、炎のはみ出しを報知することにより、使用者は、必要に応じて手動でガス供給量(バーナの火力)を低下させたり、バーナに対する加熱対象物の位置を調整することができ、安全性も確保される。
【0007】
制御手段は、報知手段による報知から所定時間が経過しても炎のはみ出しが継続しているときは、炎の外縁が加熱対象物の輪郭より内側に位置するようにガス供給量を低下させてよい。炎のはみ出しがバーナに対する加熱対象物の位置がずれていることに起因するものであっても、炎のはみ出しが継続することは安全上好ましくない。そのため、このような場合、ガス供給量を低下させることにより、安全性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び
図2を参照し、加熱調理器2について説明する。
図1に示すように、加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6を備えている。天板6には、加熱対象物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する3つの五徳8a,8b,8cが設けられている。また、各五徳8a、8b、8cに対応して、各五徳8a、8b、8cに支持された加熱対象物を加熱するコンロバーナ10a,10b,10cが設けられている。また、各コンロバーナ10a,10b,10cに対応して、センサ12a,12b,12cが設けられている。
【0010】
互いに隣り合って配置されている各コンロバーナ10a,10b,10cには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ10aへのガス供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)が設けられている。コンロバーナ10aは、コンロバーナ10aにガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることによって点火する。コンロバーナ10aへのガス供給量を調整することにより、コンロバーナ10aの加熱量を調整することができる。また、コンロバーナ10aへのガスの供給が停止されることにより、コンロバーナ10aは消火される。コンロバーナ10b,10cは、コンロバーナ10aと同様の構造を有する。
【0011】
本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫20と、本体4の前面4aに配置されてグリル庫20を開閉するグリル扉22を備えている。また、本体4は、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の右側に設けられたコンロ操作部24と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の左側に設けられたグリル操作部26を備えている。なお、グリル庫20の内部には、グリル庫20内に収容した食材を加熱するグリルバーナ(図示省略)が設けられている。加熱調理器2では、本体4の前面4aと天板6の上面が、ユーザに対して露出する外面を構成している。なお、以下の説明では、「五徳8a,8b,8c」等、実質的に同じ構成の複数部品に関して共通する特徴を説明する場合、例えば、「五徳8」のように参照番号のアルファベットを省略して説明することがある。
【0012】
各コンロバーナ10(10a〜10c)に対応してセンサ12(12a〜12c)が設けられている。センサ12は、加熱対象物の存在を検出する。センサ12は、コンロバーナ10の上に加熱対象物が配置されると、その加熱対象物を検出することができる。コンロバーナ10の上に加熱対象物が配置されると、センサ12が加熱対象物によって押圧される。センサ12は、加熱対象物によって押圧されると、コンロバーナ10の上に加熱対象物が配置されたことを検出する。コンロバーナ10の上に加熱対象物が配置されていない場合は、センサ12が押圧されない。
【0013】
コンロ操作部24は、加熱調理器2の電源スイッチ40と、3つの加熱量操作部42a,42b,42cと、パネル操作部44を備えている。各加熱量操作部42a,42b,42cは、それぞれコンロバーナ10a,10b,10cに対応する。また、各加熱量操作部42a,42b,42cは、青色又は赤色に発光可能なLED発光部43a,43b,43cによってそれぞれ囲まれている。加熱量操作部42は、コンロバーナ10の点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ10の加熱量の調整を行うための操作部である。加熱量操作部42は、オルタネイト型のスイッチである。ユーザによって加熱量操作部42を消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下では、「点火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10が点火され、ユーザによって加熱量操作部42を点火位置から消火位置に移動させるための操作(以下では、「消火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10が消火される。点火位置とは、加熱量操作部42の前面が本体4の前面4aよりも前方に突出している位置であり、消火位置とは、加熱量操作部42が本体4内に収容されている位置である。また、ユーザは、加熱量操作部42が点火位置に位置している状態において、加熱量操作部42を時計方向又は反時計方向に操作することで、コンロバーナ10へのガス供給量を調整し、コンロバーナ10の加熱量(以下では「火力」と呼ぶ場合がある)を調整することができる。
【0014】
パネル操作部44は、表示部46と、加熱温度操作部48a,48bと、自動調理選択操作部50a,50bと、レシピ選択操作部54と、調理状態操作部56を備えている。表示部46には、コンロバーナ10の動作状態などが表示される。加熱温度操作部48は、コンロバーナ10によって加熱される加熱対象物の温度(例えば、180℃)を設定するための操作部である。自動調理選択操作部50は、コンロバーナ10を利用した自動調理モードによる調理を選択するための操作部である。レシピ選択操作部54は、自動調理モードで調理するレシピを選択するための操作部である。調理状態操作部56は、自動調理モードで調理される食材の状態、例えば、焼き加減などを調整するための操作部である。
【0015】
グリル操作部26は、加熱量操作部60と、パネル操作部62を備えている。加熱量操作部60は、青色又は赤色に発光可能なLED発光部61によって囲まれている。ユーザは、加熱量操作部60を操作することによって、グリルバーナの点火及び消火を行うとともに、グリルバーナの加熱量(以下では「火力」と呼ぶ場合がある)の調整を行うことができる。加熱量操作部60の構造は、コンロ操作部24の加熱量操作部42と同様である。
【0016】
パネル操作部62は、表示部64と、自動調理選択操作部66と、レシピ選択操作部68と、調理状態操作部70を備えている。表示部64には、グリルバーナの動作状態などが表示される。自動調理選択操作部66、レシピ選択操作部68、調理状態操作部70の機能は、グリルバーナに対応する操作部である点を除いて、それぞれ、自動調理選択操作部50、レシピ選択操作部54、調理状態操作部56と同様の機能を有する。
【0017】
図2に示すように、加熱調理器2の上方にはレンジフード30が設けられている。また、レンジフード30の各コンロバーナ10a,10b,10cに対応する位置に、それぞれカメラ80a,80b,80cが配置されている。なお、
図2は、コンロバーナ10a,10bに対応するカメラ80a,80bのみを示しており、カメラ80cの図示は省略している。カメラ80は、五徳8上に配置された加熱対象物(例えば鍋やフライパン)32を上方から撮影し、加熱対象物32の輪郭32aを検出する。また、カメラ80は、赤外線センサを備えており、加熱対象物32の周囲の温度も検出する。カメラ80は、加熱調理器2の一部であり、輪郭検出手段及び炎検出手段の一例である。加熱対象物32の周囲の温度を検出することによって、加熱対象物32からの炎のはみ出しの有無を検出することができる。カメラ80は、加熱調理器2が使用されている間、加熱対象物32の輪郭検出、及び、加熱対象物32の周囲の温度検出を継続的に行っている。
【0018】
図3は、加熱調理器2の制御構成を示している。加熱調理器2は、報知部90,制御部110及びメモリ120を備えている。報知部90は、
図1の表示部46,スピーカ(図示省略)等を通じて、使用者に炎のはみ出しが生じている等の情報を報知する。制御部110は、加熱調理器2の各構成要素の動作を制御する。制御部110は、制御手段の一例である。制御部110は、メモリ120に記憶されたプログラムに従って様々な処理を実行する。メモリ120は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成される。なお、メモリ120には、過去のコンロバーナ10の使用履歴(コンロバーナ10の消火操作が行われた時刻等)、制御履歴(ガス供給量を低下させ、火力の調整を行った等)も記憶されている。
【0019】
図4を参照し、加熱調理器2の制御部110が実行する火力調整処理について説明する。火力調整処理は、コンロバーナ10の炎が加熱対象物32からはみ出したことを検出し、コンロバーナ10の火力を低下させる(ガス供給量を低下させる)ための処理である。加熱量操作部42a、42b、42cのいずれかにおいて点火操作が行われ、コンロバーナ10a、10b、10cのいずれか点火されると、制御部110は、点火されたコンロバーナ10の火力を調整するために
図4に示す処理を開始する。すなわち、制御部110は、点火されたコンロバーナ10のそれぞれに対して
図4の処理を実行する。
【0020】
コンロバーナ10が点火されると、制御部110は、カメラ80で撮影したデータを読み込み、加熱対象物32の輪郭32aの外側にはみ出している炎の有無を検出する(ステップS2)。輪郭32aの外側にはみ出している炎が検出されない場合(ステップS2:NO)、輪郭32aの撮影及び輪郭32aの外側にはみ出す炎の検出を繰り返す。
【0021】
輪郭32aの外側にはみ出す炎が検出された場合(ステップS2:YES)、コンロバーナ10を点火してから最初に検出された炎のはみ出しか否かを判断する(ステップS4)。最初に検出された炎のはみ出しである場合(ステップS4:YES)、制御部110は、炎の外縁が加熱対象物32の輪郭32aよりも内側に位置するように、ガス供給量を低下させ、コンロバーナ10の火力を低下させ(ステップS6)、ステップS14に進む。ガス供給量を低下させた履歴は、メモリ120に記憶される。上記したステップS4において最初に検出された炎のはみ出しであるか否かの判断は、メモリ120からガス供給量の調整履歴を読み込むことによって判断することができる。
【0022】
最初に検出された炎のはみ出しでない場合(ステップS4:NO)、炎のはみ出しが生じていることを報知済か否かを判断し(ステップS8)、報知済でない場合(ステップS8:NO)、制御部110は、報知部90を通じて炎のはみ出しが生じていることを報知し(ステップS10)、ステップS14に進む。この場合、炎のはみ出しを報知するだけでガス供給量は低下させないので、コンロバーナ10の火力は維持される。
【0023】
ステップS8において報知済と判断された場合(ステップS8:YES)、報知後所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS12)。報知から所定時間が経過している場合(ステップS12:YES)、炎の外縁が加熱対象物32の輪郭32aよりも内側に位置するようにガス供給量を低下させ(ステップS6)、ステップS6に進む。すなわち、炎のはみ出しを報知してから間もない間(所定時間内)はガス供給量を調整せず、報知後一定の時間を経過した後(所定時間経過後)はガス供給量を低下させ、炎のはみ出しを解消する。一方、報知から所定時間が経過していない場合(ステップS12:NO)、ガス供給量は低下させずステップS14に進む。
【0024】
ステップS14では、コンロバーナ10が消火しているか否かを判断する。コンロバーナ10が消火している場合(ステップS14:YES)、上記処理を終了する。一方、コンロバーナ10が消火していない場合(ステップS14:NO)、ステップS2に戻り上記処理を繰り返す。すなわち、上記処理は、コンロバーナ10の点火中は繰り返し行い(ステップS14:NO)、コンロバーナ10が消火されるまで継続する(ステップS14:YES)。
【0025】
上記火力調整処理を行うことにより、炎のはみ出しが最初に検出されたときは、炎のはみ出しを解消する処理(ガス供給量を低下する処理)が行われ、安全性を確保することができる(ステップS4:YES,ステップS6)。通常は、この処理によってガス供給量が適値に調整されるので、再度炎のはみ出しは起こらない。しかしながら、加熱対象物32がずれてコンロバーナ10と加熱対象物32の位置が変化すると、ガス供給量が適値に調整された後でも、再度炎のはみ出しが起こることがある(ステップS2,ステップS4:NO)。上記加熱調理処理では、ガス供給量を適値に調整した後に再度炎のはみ出しが起こった場合、炎のはみ出しを報知するに留め、ガス供給量の調整は行わない(ステップS8:NO,ステップS10)。また、炎のはみ出しを報知してから所定時間を経過していない場合も、ガス供給量の調整は行わない(ステップS12:NO)。このように、一度ガス供給量が適値調整された後は、炎のはみ出しを検出しても直ぐにガス供給量を調整しないことにより、調理性を向上させることができる。
【0026】
また、上記火力調整処理では、炎のはみ出しを報知してから所定時間経過しても炎のはみ出しが解消されていない場合(ステップS12:NO)、一度ガス供給量が適値調整された後であっても再度ガス供給量を調整する(ガス供給量を低下させる)。炎のはみ出しが長時間に亘り継続することが防止され、高い安全性を確保することができる。なお、所定時間は、1〜5分の固定値に設定されており、一例として3分に設定されている。所定時間は、メモリ120に記憶されている。
【0027】
上記加熱調整処理では、炎のはみ出しを報知した後に再度炎のはみ出しが検出された場合、報知から所定時間が経過していた場合はガス供給量を低下させる例について説明した。しかしながら、炎のはみ出しを報知した後に再度炎のはみ出しが検出された場合は、報知からの時間に係らず、ガス供給量を調整しなくてもよい。すなわち、
図4のステップS12の処理は省略してもよい。最初の炎のはみ出しが検出されたときに既にガス供給量は適値に調整されているので、再度ガス供給量を低下させなくても一定の安全性を確保することができる。
【0028】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。