(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定機器が測定した測定データを処理するデータ処理プログラムを格納する記録部と、 前記記録部から前記データ処理プログラムを読み込み、データ処理をするプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサが、
測定データを取得するデータ取得処理と、
前記測定データに含まれる、前記測定データを測定したときの前記測定機器の状態を示す状態データが、予め記録された基準の範囲内であるか否かを判定するデータ判定処理と、
前記状態データが前記基準の範囲内である場合に前記測定データを記録するデータ記録処理と、
記録された前記測定データの中から事故発生と関連づける測定データの選択を受け付け、選択された前記測定データに識別子を付与する入力受付処理と、
取得した測定データが、前記基準の範囲内であり、かつ、前記識別子を付与された前記測定データと類似する場合に警告信号を出力する信号出力処理と、
を実行するデータ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本開示の実施例を説明する。なお、本開示の実施例は、後述する実施例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、後述する各実施例の説明に使用する各図の対応部分には同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0014】
[概要]
図1は、本開示の危険予知管理システムSを概念的に説明するための図である。危険予知管理システムSは、測定機器として機能するスマートデバイス1(クライアント)とデータを解析して危険予知を実行するデータ処理装置2(サーバ)とを備える。本開示の危険予知管理システムSは、作業員が工場や化学プラント等の作業現場で作業をしている間、潜在的な危険が顕現化しそうな場合に作業員に警告する。
【0015】
図1には、各種センサを備えるスマートデバイス1が、作業現場における複数の環境データを取得してデータ処理装置2に送信し、遠隔地に設置されたデータ処理装置2が取得したデータを解析して危険が顕現化しそうな場合に警告を発するまでの流れが矢印を用いて概略的に示されている。
【0016】
図1に示した例では、スマートデバイス1がカメラ、マイク、臭気センサ、温度計および湿度計を用いて、作業現場の画像データ、音データ、臭気データ、温度データおよび湿度データを環境データとして取得している。スマートデバイス1が取得した各データは、データ処理装置2に送信され、データ処理装置2内部にて処理される。
【0017】
データ処理装置2は、まずスマートデバイス1から取得したデータが作業現場の危険予測に利用できるデータであるか否かを判定する。具体的には、スマートデバイス1が環境データを取得した際の測定状態が基準に合致するか否か判定し、測定状態が基準に合致した場合は環境データをデータ処理装置2の内部に記録する。言い換えると、スマートデバイス1が目的のデータを正しく取得できている場合に、データ処理装置2は環境データを記録する。
図1には、データベースに蓄積された環境データのINDEXが示されている。INDEXとは取得したデータのID番号を示す。このID番号は、例えば、記録部に記録された順番で各測定データに対して付与される。
【0018】
データ処理装置2は、記録部に記録されたデータに基づいて標準データを作成する。標準データとは、例えば、作業現場に事故や危険が生じるおそれのない状態で取得されたと見做せるデータの平均値である。データ処理装置2は、標準データと乖離するデータをスマートデバイス1から取得した場合に、警告を通知する。
【0019】
上で説明した本開示のシステムは、平常時との違いを検知することによって、危険が顕現化する前に警告を発し、作業現場で作業員が事故に巻き込まれるのを防ぐことができる。以下に、本開示の危険予知管理システムSの構成を詳細に説明する。
【0020】
<実施例>
図2は、実施例に係る危険予知管理システムSのハードウェア構成を示すブロック図である。上述したとおり、危険予知管理システムSは、スマートデバイス1(クライアント)とデータ処理装置2(サーバ)とを備える。
【0021】
[スマートデバイスの構成]
スマートデバイス1は、例えば、スマートグラス、タブレット端末、自律走行ロボットまたは無人航空機等である。スマートデバイス1は、カメラ11、マイク12、湿度センサ13、温度センサ14、臭気センサ15、GPS(Global Positioning System)センサ16、ジャイロセンサ17、第1通信部18および警告装置19を備える。なお、スマートデバイス1がスマートグラスまたはタブレット端末である場合、点検員が、スマートデバイス1を用いて作業現場の定位置にて作業現場に関する環境データを取得する。
【0022】
カメラ11は、例えば、作業現場の点検員の指示に応答して画像データを取得することができる。作業現場には、装置、工具、材料および加工品等様々な物体が存在する。画像データには、上記物体が存在する場所、形状、色相、明度および彩度、等の情報が含まれる。
【0023】
マイク12は、例えば、作業現場の点検員の指示に応答して音データを取得することができる。作業現場には、ファンの音、ベルトコンベアの音、定期または不定期に装置が発する音等、種々の音が存在している。音データには上記の各音が含まれる。
【0024】
湿度センサ13は、例えば、作業現場の点検員の指示に応答して湿度データを取得することができる。作業現場には、蒸気を発する装置および液体を輸送する管等が設置されていることがある。湿度データには、装置が発する蒸気が異常に多いことおよび管から液体が漏れていること、等が反映されうる。
【0025】
温度センサ14は、例えば、作業現場の点検員の指示に応答して温度データを取得することができる。作業現場には、溶炉、ドリル、ベルトコンベア等、熱を発する種々の装置が設置されていることがある。温度データには、装置が過剰に稼働していること、装置の制御に異常があること等が反映されうる。
【0026】
臭気センサ15は、例えば、作業現場の点検員の指示に応答して臭気データを取得することができる。作業現場には、ガスを発する装置および気体を輸送する管等が設置されていることがある。臭気データには、装置が発するガスが異常に多いことおよび管から気体が漏れていること、等が反映されうる。
【0027】
GPSセンサ16は、点検員の環境データを取得する指示と連動して、環境データを取得するのと同じタイミングでスマートデバイス1の位置情報を取得する。スマートデバイス1が屋内にあり、GPSセンサ16から位置情報を取得できない場合は、例えば、複数の基地局から受信する電波の電波強度に基づいて位置情報を取得してもよい。
【0028】
ジャイロセンサ17は、点検員の環境データを取得する指示と連動して、環境データを取得するのと同じタイミングでスマートデバイス1の傾きまたは姿勢に関する情報を取得する。
【0029】
画像データ、音データ、湿度データ、温度データおよび臭気データのそれぞれは、例えば、作業現場の特定の位置において、スマートデバイス1が向けられた特定の方向に関するデータとして記録される。上記環境データは、カメラ11が取得する画像にQRコードなどの目印が入り込んだ場合に記録されてもよいし、GPSセンサ16およびジャイロセンサ17の示す値が特定の範囲内である場合に記録されてもよい。
【0030】
第1通信部18は、取得された画像データ、音データ、湿度データ、温度データ、臭気データ、位置データおよび傾きを示すデータをデータ処理装置2に送信する。また、第1通信部18は、データ処理装置2から危険に関する警告信号、起こりうる事故に関するデータ等、データ処理装置2で生成されたデータを受信する。
【0031】
警告装置19は、スマートデバイス1がデータ処理装置2から危険に関する警告信号を受信した場合に、警告を発する。警告装置19は、例えば、スピーカー、ディスプレイまたは発光装置等であり、アラームを鳴らす、危険に関するテキストデータを読み上げる、ディスプレイに表示するまたは点滅する等の動作をする。
【0032】
[データ処理装置の構成]
データ処理装置2は、第2通信部21、記録部22、および制御部23を備える。データ処理装置2は、第2通信部21を介してスマートデバイス1とデータを送受信する。
【0033】
記録部22は、例えば、一時的にデータを記録するRAM(Random Access Memory)および制御部23が実行するプログラムが格納されたSSD(Solid State Drive)を備える。SSDには、スマートデバイス1から受信した環境データ、後に説明する基準データおよび標準データも記録される。
【0034】
制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、記録部22に記録されたプログラムを読み込んで内蔵メモリ(図示せず)に展開し実行することによって、データ取得部31、データ判定部32、データ記録部33、入力受付部34、信号出力部35および標準データ生成部36として機能する。
【0035】
データ取得部31は、第2通信部21を介してスマートデバイス1から環境データを取得する。データ取得部31は、取得したデータをデータ判定部32に通知する。
【0036】
データ判定部32は、データ取得部31が取得した測定データに含まれる、測定データを測定したときの測定状態を示す状態データが、予め記録された基準の範囲内であるか否かを判定する。具体的には、測定データとは、上述の画像データ、音データ、湿度データ、温度データ、臭気データ、位置データおよび傾きを示すデータを意味し、状態データとは、画像データ、位置データおよび傾きを示すデータを意味する。
【0037】
つまり、データ判定部32は、状態データ(画像データ、位置データおよび傾きを示すデータ)に基づいて、スマートデバイス1が環境データを正しく取得できたか否か判定する。また、状態データには、測定時の天候または時期に関する情報が含まれてもよい。ここで、上記基準は、作業現場の危険予測をするのに十分な精度を保っていると考えられるデータ範囲を示し、実験的または経験的に決められる値である。
【0038】
データ記録部33は、状態データが基準の範囲内である場合にスマートデバイス1から取得した測定データを記録部22に記録する。つまり、記録部22には、特定の基準に基づいて取得されたデータが記録される。このデータを利用して異常検知または危険予測をすることにより、データ処理装置2は異常検知または危険予測の精度を向上させることができる。測定データは、記録部22内の収集データ履歴テーブル内に記録される。
【0039】
以下に、
図3を参照しながら、データ判定部32およびデータ記録部33の処理について説明する。
【0040】
図3は、データ判定部32が、データの適合性を判定し、データ記録部33が基準に適合するデータを記録部22に記録する処理のフローである。以下に、フローについて説明する。
(S301)
データ判定部32が、データ取得部31から画像データ、位置データおよび傾きを示すデータを取得する。
(S302)
データ判定部32が、取得した画像データが基準の範囲内か否かを判定する。具体的には、データ判定部32は、予め記録された見本となる画像データを記録部22から読み出し、当該画像データと取得した画像データとを比較し、その類似度が基準の範囲内であるか否か(画像が互いに類似しているか)を判定する。画像データが類似していれば、スマートデバイス1がおおよそ同じ位置、方向、傾きでデータを取得したことがわかる。画像データの類似度は、例えば、Perceptual Hash法などの周知の技術を用いて算出することができる。取得した画像データが基準の範囲内である場合、処理はS303に進む。取得した画像データが基準の範囲内でない場合、処理はS305に進む。
(S303)
データ判定部32が、取得した位置データが基準の範囲内か否かを判定する。具体的には、データ判定部32は、取得したGPSデータが特定のエリア内(基準の範囲内)に収まっているか否かを判定する。取得したGPSデータが基準の範囲内である場合、処理はS304に進む。取得したGPSデータが基準の範囲内でない場合、処理はS305に進む。
(S304)
データ判定部32が、取得した傾きを示すデータが基準の範囲内か否かを判定する。取得した傾きのデータが基準の範囲内であるか否かの判定後、処理はS305に進む。
(S305)
画像データ、位置データおよび傾きを示すデータの全てが基準の範囲内である場合、データ判定部32は、状態データが基準の範囲内であることをデータ記録部33に通知して処理を終了する。画像データ、位置データ、傾きを示すデータの何れかが基準の範囲内でない場合、データ判定部32は再びS301から処理をやりなおす。
(S306)
データ記録部33は、データ取得部31が取得したデータを記録部22に記録する。
【0041】
なお、画像データは撮像するときの天候や時期の影響を受けるため、上記基準は天候または時期ごとに設けられてもよい。その場合、データ判定部32は、スマートデバイス1が環境データを取得した際の天候または時期と合致する基準に基づいて、状態データが基準の範囲内か否かを判定する。天候または時期に関する情報は、例えば、データ処理装置2がweb上から取得してもよいし、あるいはデータ処理装置2のユーザによって入力されてもよい。
【0042】
入力受付部34は、記録部22に記録された測定データの中から事故発生と関連づける測定データの選択を受け付け、選択された測定データ(以下、事故データと称する)に識別子を付与する。例えば、事故データとは、事故が発生した直前に測定したデータである。事故データの選択は、例えば、データ処理装置2のユーザが、作業現場で事故が発生した際に、直前に記録された測定データをデータ処理装置2が備えるディスプレイ上で選択して実行される。なお、上記識別子は、例えば、事故データを示す測定データに1が割り当てられ、事故データでない測定データには0が割り当てられるバイナリデータである。
【0043】
データ処理装置2のユーザは、事故データを選択する際に、併せて発生した事故の内容および時期ならびに天候といった事故発生時の状況を登録することもできる。なお、事故データは、記録部22内の事故発生履歴テーブル内に記録される。また、事故発生時の状況は、記録部22内の事故分析管理テーブルに記録される。
【0044】
信号出力部35は、データ取得部31が取得した測定データが、上記基準の範囲内であり、かつ、事故データと類似する場合に警告信号を出力する。データ処理装置2は、第2通信部21を介してスマートデバイス1に警告信号を送信し、スマートデバイス1は、警告装置19から警告を発することができる。以下に、測定データが事故データと類似するか否かを判定する方法について説明する。
【0045】
(画像データ)
後に述べるように画像に含まれるオブジェクトごとに当該オブジェクトを特徴づける数値パラメータが算出できる。上記数値パラメータ同士を比較することによって、信号出力部35は測定データが事故データと類似するか否かを判定する。例えば、測定データから算出した数値パラメータが事故データから算出した数値パラメータを含む所定の範囲内である場合に、信号出力部35は、測定データと事故データとは類似すると判定する。
(音データ)
音の周波数同士を比較することによって、信号出力部35は測定データが事故データと類似するか否かを判定する。例えば、測定データの周波数が事故データの周波数を含む所定の範囲内である場合に、信号出力部35は、測定データと事故データとが類似すると判定する。なお、信号出力部35は、正確性を向上させるために音の強度を併せて比較してもよい。また、信号出力部35は、ノイズと考えられる特定の周波数を除去して測定データと事故データの類似性を判定してもよい。
(湿度データ)
信号出力部35は、例えば、測定データの湿度が事故データの湿度を含む所定の範囲内である場合に、測定データと事故データとは類似すると判定する。
(温度データ)
信号出力部35は、例えば、測定データの温度が事故データの温度を含む所定の範囲内である場合に、測定データと事故データとは類似すると判定する。
(臭気データ)
信号出力部35は、例えば、測定データの臭気の数値が事故データの臭気の数値を含む所定の範囲内である場合に、測定データと事故データとは類似すると判定する。
【0046】
信号出力部35は、データ取得部31が取得した測定データが所定の範囲内でない場合に警告信号を出力してもよい。その場合、警告信号は、スマートデバイス1に対してデータを再度取得するように促す内容となる。
【0047】
標準データ生成部36は、データ記録部33が記録した測定データに基づいて、平均的な測定データを示す標準データを生成する。つまり、標準データとは、危険がせまっていない平時に作業現場で測定しうる測定データであり、例えば、測定データの平均値である。標準データは、記録部22に記録された測定データから事故データを除いたデータの平均値としてもよい。事故データを除去することにより、標準データと危険が顕現化しうる際に取得した測定データとの差が大きくなり、データ処理装置2は危険予測の精度を向上させることができる。標準データは、記録部22内の平均値管理テーブルに記録される。
【0048】
測定データが画像データの場合、画像データの標準データは、例えば、以下のようにして生成する。まず、適当なアルゴリズムによって画像データの中からオブジェクト(物体)を抽出する。続いて、オブジェクトごとに、色相、明度および彩度の平均値を算出する。具体的には、オブジェクトを構成する各ピクセルに対応付けられた色相、明度および彩度の平均値を算出し、当該平均値をオブジェクトの色相、明度および彩度とする。つまり、画像データの標準データとは、画像に含まれるオブジェクトとオブジェクトを特徴づける三つの変数(色相、明度、彩度)との組み合わせに関するデータである。
【0049】
信号出力部35は、データ取得部31が取得した測定データが、基準の範囲内であり、かつ、標準データと類似しない場合に警告信号を出力する。即ち、データ処理装置2は、取得した測定データから作業現場が通常とは異なる状態にあることを検知した場合にスマートデバイス1に対して警告を発することができる。
【0050】
標準データ生成部36は、天候または時期ごとに標準データを生成し、信号出力部35は、測定データが、測定データを測定したときの天候または時期に対応する標準データと類似しない場合に警告信号を出力してもよい。スマートデバイス1が取得するデータは、天候や時期に影響を受ける。それ故、天候または時期ごとに標準データを生成することによって、危険予測の精度を向上させることができる。ここで、時期とは、例えば、暦を特定の日数で区分けすることによって決定される各区分を指す。
【0051】
標準データ生成部36は、例えば、データ記録部33が新しい測定データを記録した場合、標準データを更新する。例えば、標準データ生成部36は、データ記録部33が新しい測定データを記録した際に、追加された新しい測定データを含めた測定データの平均値を生成する。標準データを随時更新することにより、作業現場の異常とは関係なく経時的に変化する要素を標準データに取り組むことができる。例えば、物体の変色などが経時的に起きる場合は、標準データを更新することによって、危険予測の精度を向上させることができる。
【0052】
上で説明したことを、
図4を参照しながら再度説明する。
図4は、データ処理装置2がスマートデバイス1に警告信号を送信するまでのフローを概略的に示す図である。
図4には、記録部22内に作成された危険予知管理データベースが示されている。記録部22が保持する危険予知管理データベース内には、事故データと標準データとが記録されている。データ処理装置2のユーザは、危険予知管理データベース内に記録された事故データを参照しながら、過去に起こった事故の分析をする。ユーザは、事故の発生条件および事故データと標準データとの乖離度合い等を分析し、信号出力部35が測定データと事故データとの類似性を判定する際の判定条件に反映させる。上記のようにパラメータが設定されたデータ処理装置2は、標準データと乖離した測定データを受信した際に警告信号を出力し、スマートデバイス1に通知する。
【0053】
続いて、
図5〜8に、記録部22に記録された事故内容、測定データ、事故データ、標準データのデータ構造を示す。
【0054】
図5は、事故データの分析内容が記録された事故分析管理テーブルを示す。事故分析管理テーブルには、事故が発生した際の時期、天候、および事故内容が記録されている。信号出力部35は、例えば、事故分析管理テーブルに記録された事故内容をテキストデータや画像データとしてスマートデバイス1に通知することができる。スマートデバイス1のユーザは、警告を受けるだけでなく、具体的に起こりうる危険について上記データを参照して知ることができる。
【0055】
図6は、収集データ履歴テーブルのデータ構造を示す図である。収集データ履歴テーブルには、測定データのデータ項目が記されている。収集データ履歴テーブルの下位の階層には、画像INDEXテーブル、音INDEXテーブル、臭気INDEXテーブル、温度INDEXテーブルおよび湿度INDEXテーブルが配置されている。図中に示された数字Nは収録項目が複数あることを示し、数字1は収録項目が一つであることを示す。
【0056】
図7は、事故発生履歴テーブルのデータ構造を示す図である。事故発生履歴テーブルには、事故データのデータ項目が記されている。事故発生履歴テーブルの下位の階層には、画像INDEXテーブル、音INDEXテーブル、臭気INDEXテーブル、温度INDEXテーブルおよび湿度INDEXテーブルが配置されている。
【0057】
図8は、平均値管理テーブルのデータ構造を示す図である。平均値管理テーブルには、標準データのデータ項目が記されている。平均値管理テーブルの下位の階層には、画像INDEXテーブル、音INDEXテーブル、臭気INDEXテーブル、温度INDEXテーブルおよび湿度INDEXテーブルが配置されている。
【0058】
[データ処理装置の処理フロー]
図9〜
図13に、データ処理装置2が実行する処理のフローを示す。
【0059】
[画像データの処理フロー]
図9は、データ処理装置2が画像データに基づいて警告を発生するか否か判定する処理のフローチャートである。
(S901)
データ取得部31が、スマートデバイス1から画像データおよび状態データを取得する。
(S902)
データ判定部32が、取得した状態データが基準を満たしているか否か判定する。状態データが基準を満たしている場合、処理はS903に進む。状態データが基準を満たしていない場合、処理はS901からやりなおす。
(S903)
信号出力部35が、記録部22に記録された画像データおよび事故データから、画像を構成する物体および当該物体の色相、明度ならびに彩度を決定する。
(S904)
信号出力部35が、画像データと事故データとの類似性を判定する。画像データと事故データとが類似している場合、処理はS906に進む。画像データと事故データとが類似しない場合、処理はS905に進む。
(S905)
信号出力部35が、画像データが標準データの許容範囲内か否かを判定する。画像データが標準データの許容範囲内である場合、データ処理装置2は処理を終了する。画像データが標準データの許容範囲内でない場合、処理はS906に進む。
(S906)
信号出力部35が、警告信号を出力して処理を終了する。
【0060】
[音データの処理フロー]
図10は、データ処理装置2が音データに基づいて警告を発生するか否か判定する処理のフローチャートである。
(S1001)
データ取得部31が、スマートデバイス1から音データおよび状態データを取得する。
(S1002)
データ判定部32が、取得した状態データが基準を満たしているか否か判定する。状態データが基準を満たしている場合、処理はS1003に進む。状態データが基準を満たしていない場合、処理はS1001からやりなおす。
(S1003)
信号出力部35が、記録部22に記録された音データおよび事故データから、特定の周波数をカットした周波数を取得する。
(S1004)
信号出力部35が、音データと事故データとの類似性を判定する。音データと事故データとが類似している場合、処理はS1006に進む。音データと事故データとが類似しない場合、処理はS1005に進む。
(S1005)
信号出力部35が、音データが標準データの許容範囲内か否かを判定する。音データが標準データの許容範囲内である場合、データ処理装置2は処理を終了する。音データが標準データの許容範囲内でない場合、処理はS1006に進む。
(S1006)
信号出力部35が、警告信号を出力して処理を終了する。
【0061】
[臭気データの処理フロー]
図11は、データ処理装置2が臭気データに基づいて警告を発生するか否か判定する処理のフローチャートである。
(S1101)
データ取得部31が、スマートデバイス1から臭気データおよび状態データを取得する。
(S1102)
データ判定部32が、取得した状態データが基準を満たしているか否か判定する。状態データが基準を満たしている場合、処理はS1103に進む。状態データが基準を満たしていない場合、処理はS1101からやりなおす。
(S1103)
信号出力部35が、臭気データと事故データとの類似性を判定する。臭気データと事故データとが類似している場合、処理はS1105に進む。臭気データと事故データとが類似しない場合、処理はS1104に進む。
(S1104)
信号出力部35が、臭気データが標準データの許容範囲内か否かを判定する。臭気データが標準データの許容範囲内である場合、データ処理装置2は処理を終了する。臭気データが標準データの許容範囲内でない場合、処理はS1105に進む。
(S1105)
信号出力部35が、警告信号を出力して処理を終了する。
【0062】
[温度データの処理フロー]
図12は、データ処理装置2が温度データに基づいて警告を発生するか否か判定する処理のフローチャートである。
(S1201)
データ取得部31が、スマートデバイス1から温度データおよび状態データを取得する。
(S1202)
データ判定部32が、取得した状態データが基準を満たしているか否か判定する。状態データが基準を満たしている場合、処理はS1203に進む。状態データが基準を満たしていない場合、処理はS1201からやりなおす。
(S1203)
信号出力部35が、温度データと事故データとの類似性を判定する。温度データと事故データとが類似している場合、処理はS1205に進む。温度データと事故データとが類似しない場合、処理はS1204に進む。
(S1204)
信号出力部35が、温度データが標準データの許容範囲内か否かを判定する。温度データが標準データの許容範囲内である場合、データ処理装置2は処理を終了する。温度データが標準データの許容範囲内でない場合、処理はS1205に進む。
(S1205)
信号出力部35が、警告信号を出力して処理を終了する。
【0063】
[湿度データの処理フロー]
図13は、データ処理装置2が湿度データに基づいて警告を発生するか否か判定する処理のフローチャートである。
(S1301)
データ取得部31が、スマートデバイス1から湿度データおよび状態データを取得する。
(S1302)
データ判定部32が、取得した状態データが基準を満たしているか否か判定する。状態データが基準を満たしている場合、処理はS1303に進む。状態データが基準を満たしていない場合、処理はS1301からやりなおす。
(S1303)
信号出力部35が、湿度データと事故データとの類似性を判定する。湿度データと事故データとが類似している場合、処理はS1305に進む。湿度データと事故データとが類似しない場合、処理はS1304に進む。
(S1304)
信号出力部35が、湿度データが標準データの許容範囲内か否かを判定する。湿度データが標準データの許容範囲内である場合、データ処理装置2は処理を終了する。湿度データが標準データの許容範囲内でない場合、処理はS1305に進む。
(S1305)
信号出力部35が、警告信号を出力して処理を終了する。
【0064】
[実施例のまとめ]
上記のとおり、本開示のデータ処理装置2は、データ測定時の状態が特定の基準の範囲内である場合に取得した測定データを記録部22に記録する。このようにデータを選別することによって危険予測の精度を向上することができる。
【0065】
また、本開示のデータ処理装置2は、取得した測定データが上記基準の範囲内であり、かつ、過去の事故データと類似する場合に警告を発する。上記のようにデータを選別することによって、警告を発するタイミングが適切なものとなる。また、本開示のデータ処理装置2は、取得した測定データが上記基準の範囲外である場合に、データを測定しなおすよう警告することもできる。したがって、ユーザは、データ測定時に基準に適合したデータを取得することができる。
【0066】
また、本開示のデータ処理装置2は、取得した測定データが上記基準の範囲内であり、かつ、標準データの許容範囲内でない場合に警告を発する。この場合も同様に、上記のようにデータを選別することによって、警告を発するタイミングが適切なものとなる。
【0067】
<変形例1>
実施例の説明では、スマートデバイス1が警告装置19を有し、データ処理装置2は、スマートデバイス1に対して危険を通知する信号を送信した。しかしながら、警告装置19は、スマートデバイス1に内蔵されていなくてもよい。警告装置19は、例えば、データ処理装置2と通信可能な状態で作業現場に独立して存在してもよい。その場合、スマートデバイス1の重量を削減でき、スマートデバイス1の可搬性が高まる。
【0068】
<変形例2>
実施例の説明では、標準データ生成部36は天候または時期ごとに標準データを生成してもよいことを述べた。標準データ生成部36は、測定データの日付で重みづけをして標準データを生成してもよい。その場合、標準データ生成部36は、例えば、より直近に取得した測定データの重みが高くなるように重みづけをする。標準データ生成部36は、例えば、前日に取得した測定データの重みを0.5とし、二日前に取得した測定データの重みを0.3とし、三日前に取得した測定データの重みを0.2とした測定データの平均値を標準データとする。このようにすると、データ処理装置2は、より直近の作業現場のデータと比較して異常が発生しているか否かを判定することができる。つまり、状況が経時的に変化する作業現場の危険予測をする場合であっても、異常を過剰に検知するのを防ぐことができる。
【0069】
<変形例3>
実施例では、スマートデバイス1とデータ処理装置2とが互いにデータを送受信し、データ処理装置2がデータを解析する役割を担った。データ処理装置2が実行する処理は、スマートデバイス1が実行する構成であってもよい。即ち、スマートデバイス1がデータの測定と解析の双方を実行し、警告を発するか否か判定してもよい。
【0070】
<変形例4>
実施例の説明では、信号出力部35が測定データと選択された事故データとの類似性を判定した。信号出力部35は、測定データと複数の事故データとを順次比較して、類似する事故データが存在する場合に警告信号を出力してもよい。このようにすると、危険予測の精度が向上する。また、測定データと比較する事故データは、複数の事故データの平均値であってもよい。
【0071】
<変形例5>
データ処理装置2が通信するスマートデバイス1は一つに限らない。データ処理装置2は、複数のスマートデバイス1と通信し、何れかのスマートデバイス1から取得した測定データに基づいて警告信号を出力する場合、全てのスマートデバイス1に警告信号を出力する構成であってもよい。
【0072】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。