【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)一実施形態に係るシール装置は、
屋内側と屋外側とに亘って貫通孔が形成された壁部と、
前記屋内側及び前記屋外側に亘って前記貫通孔に挿通される挿通部材と、
前記壁部の内周面と前記挿通部材の外周面との間をシールするシール部材と、
前記シール部材より前記屋内側で前記シール部材に隣接して前記壁部の内周面又は前記挿通部材の外周面のどちらか一方に固定されたストッパと、
を備える。
本明細書で言う「壁部」とは、建物及びその他の構造物全般の外壁、床など、構造物全般の外部と内部とを仕切る仕切り壁をすべて含むものとする。
【0008】
上記(1)の構成によれば、地震などの外力が屋外側から付加され、上記シール部材にシール部材の接着せん断強さを上回るせん断力が屋外側から屋内側へ加わっても、上記ストッパがシール部材を支持してシール部材のせん断変形を抑制するので、シール部材が壁部の内周面又は挿通部材の外周面から分断するのを防止できる。また、上記ストッパは、壁部の内周面又は挿通部材の外周面のどちらか一方に固定されるので、シール部材が壁部と挿通部材との相対変位に追従して変形するのを阻害しない。これによって、シール部材はシール性能を保持できる。
【0009】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記ストッパは、前記壁部の内周面又は前記挿通部材の外周面の周方向に全周に亘って延在するリング形状を有する。
上記(2)の構成によれば、ストッパがリング形状を有するので、壁部の内周面又は挿通部材の外周面の全周でシール部材を支持できる。これによって、シール部材に対する支持力を高め、シール部材の分断防止効果を向上できる。
【0010】
(3)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記貫通孔の径方向に沿う面において、前記ストッパは、前記貫通孔の内周面と前記挿通部材の外周面との半径差の50%以下の領域に配置される。
上記(3)の構成によれば、上記ストッパは、貫通孔の内周面と挿通部材の外周面との半径差の50%以下の領域に配置されるので、シール部材が壁部と挿通部材との相対変位に追従して変形するのを阻害しない。これによって、シール部材はシール性能を保持できる。
【0011】
(4)一実施形態では、前記(1)〜(3)の何れかの構成において、
前記ストッパの前記シール部材に対向する面は、前記貫通孔の前記内周面又は前記挿通部材の前記外周面から離れる方向に向かって前記シール部材から離れる方向へ湾曲する面を形成する。
上記(4)の構成によれば、シール部材に対向するストッパの面が上記構成の湾曲面を形成しているので、壁部と挿通部材との相対変位によってシール部材が上記湾曲面にもたれ掛かっても、シール部材が損傷するのを抑制できる。
【0012】
(5)一実施形態では、前記(1)〜(4)の何れかの構成において、
前記ストッパは、
前記壁部の内周面に固定されたリング状の第1ストッパと、
前記挿通部材の外周面に固定されたリング状の第2ストッパと、
で構成される。
【0013】
上記(5)の構成によれば、ストッパが第1ストッパ及び第2ストッパで構成されるので、壁部の内周面側及び挿通部材の外周面側の両方からシール部材を支持できる。そのため、シール部材に大きなせん断力が付加されても、シール部材の破断や壁部の内周面又は挿通部材の外周面からの分断を効果的に防止できる。また、第1ストッパ及び第2ストッパの各々は、壁部の内周面又は挿通部材の外周面のどちらか一方のみに固定されるので、壁部と挿通部材との相対変位に対するシール部材の追従性を阻害しない。
【0014】
(6)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記ストッパは、前記ストッパの周方向に沿って分割された複数の分割片で構成され、
前記複数の分割片は、前記壁部の内周面又は前記挿通部材の前記外周面に締付具で固定される。
上記(6)の構成によれば、ストッパを複数の分割片で構成するので、ストッパの取り扱いが容易になり、かつ複数の分割片を締付具で固定するので、壁部の内周面又は挿通部材の外周面への取付け作業が容易になる。
【0015】
(7)一実施形態では、前記(6)の構成において、
前記締付具はボルト又はホースバンドで構成される。
上記(7)の構成によれば、締付具としてボルト又はホースバンドを用いることで、ストッパを簡易にかつ着脱可能に壁部の内周面又は挿通部材の外周面に固定できる。
【0016】
(8)一実施形態では、前記(1)〜(7)の何れかの構成において、
前記ストッパは前記壁部の内周面又は前記挿通部材の外周面に溶接される。
上記(8)の構成によれば、ストッパを壁部の内周面又は挿通部材の外周面に溶接することで、大きな強度でストッパを固定できる。
【0017】
(9)一実施形態では、前記(1)〜(7)の何れかの構成において、
前記ストッパは前記壁部の内周面又は前記挿通部材の外周面に接着される。
上記(9)の構成によれば、ストッパを壁部の内周面又は挿通部材の外周面に接着することで、大きな強度でストッパを固定できる。接着手段として、例えば、接着剤を用いて壁部の内周面又は挿通部材の外周面に接着する方法や、ストッパをこれらの面に圧入により固定する方法等がある。
【0018】
(10)一実施形態では、前記(8)の構成において、
前記壁部の内周面と前記シール部材との間に介在するスリーブを備え、
前記ストッパは前記スリーブに溶接される。
上記(10)の構成によれば、上記スリーブを例えば金属製など溶接により高強度で接合可能な材料で構成し、このスリーブにストッパを溶接することで、ストッパを高い強度で壁部の内周面に固定できる。
【0019】
(11)一実施形態では、前記(9)の構成において、
前記壁部の内周面と前記シール部材との間に介在するスリーブを備え、
前記ストッパは前記スリーブに接着される。
上記(11)の構成によれば、上記スリーブを例えば金属製又は樹脂製など接着により高強度で接合可能な材料で構成し、このスリーブにストッパを接着することで、ストッパを高い強度で壁部の内周面に固定できる。
【0020】
(12)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記ストッパは、前記ストッパの周方向に沿って分割された複数の分割片で構成され、
前記壁部の内周面と前記シール部材との間に介在するスリーブと、
前記スリーブに固着されたスタッドボルトと、
前記スタッドボルトに螺合可能なナットと、
を備え、
前記ストッパは、前記スタッドボルトと前記ナットとで前記スリーブに固定されるように構成される。
【0021】
上記(12)の構成によれば、ストッパをスタッドボルトとナットで壁部の内周面に配置されたスリーブに固定するので、ストッパを大きな強度でかつ着脱可能に固定できる。また、ストッパを複数の分割片で構成するので、ストッパの取り扱いが容易になる。
【0022】
(13)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記ストッパは、前記ストッパの周方向に沿って分割された複数の分割片で構成されると共に、前記複数の分割片は、前記壁部の内周面に配置されたとき、前記分割片の間にクサビ状の隙間が形成されるように構成され、
前記隙間に圧入するためのクサビ部材を備え、
前記複数の分割片で構成される前記ストッパは、前記隙間に挿入される前記クサビ部材によって拡径し、前記壁部の内周面を押圧するように構成される。
上記(13)の構成によれば、上記クサビ部材を用いることで、簡易にかつ着脱可能にストッパを貫通孔の内周面に固定できる。
【0023】
(14)一実施形態では、前記(13)の構成において、
前記壁部の内周面と前記シール部材との間に介在するスリーブを備え、
前記複数の分割片で構成される前記ストッパは、前記隙間に挿入される前記クサビ部材によって拡径し、前記スリーブの内周面を押圧するように構成される。
上記(14)の構成によれば、壁部の内周面とシール部材との間にスリーブを介在させ、複数の分割片及びクサビ部材をスリーブの内側面に接して配置することで、複数の分割片及びクサビ部材を安定して壁部の内周面に固定できる。
【0024】
(15)一実施形態では、前記(7)の構成において、
前記ストッパは、前記ストッパの周方向に沿って分割された複数の分割片で構成されると共に、前記複数の分割片の各々は、長手方向両端にフランジ部を有し、
前記複数の分割片が前記壁部の内周面に配置されたとき、前記フランジ部は、隣接する前記分割片の前記フランジ部と互いに対向するように配置され、
互いに対向する前記フランジ部の一方に形成されたネジ孔に螺合可能な押しボルトを備え、
前記複数の分割片の各々は、前記ネジ孔に螺合した前記押しボルトによって前記壁部の内周面を押圧するように構成される。
【0025】
上記(15)の構成によれば、締付具として押しボルトを用い、ストッパを構成する複数の分割片を壁部の内周面に押圧して固定することで、簡易かつ低コストでかつ着脱可能にストッパを固定できる。