(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1圧力管及び前記第2圧力管にそれぞれ接続された2つの単接続導圧管、並びに、前記第1圧力管及び第2圧力管の両方に接続された1つの双接続導圧管の少なくとも一方と、
前記2つの単接続導圧管及び前記1つの双接続導圧管の少なくとも一方に接続された圧力計とを備えており、
前記気体供給手段は、前記2つの単接続導圧管及び前記1つの双接続導圧管の少なくとも一方を介して前記第1圧力管及び前記第2圧力管に圧縮気体を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の風速測定機。
前記2つの単接続導圧管及び前記1つの双接続導圧管の少なくとも一方において、前記圧縮気体が供給される箇所と対応する前記圧力計との間にそれぞれ配置された開閉弁と、
前記開閉弁を制御する弁制御手段とをさらに備えており、
前記弁制御手段は、前記気体供給手段により圧縮気体が供給されるときに前記開閉弁を閉状態にすることを特徴とする請求項4に記載の風速測定機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような環境試験装置において試験室内の風速を測定するための風速測定機は、幅広い温度帯及び湿度帯で風速を精度良く安定的に測定できるものであることが望まれる。このような観点から、ピトー管式の風速測定機を採用することが好ましい。
【0005】
しかしながら、ピトー管式の風速測定機を採用した場合に、氷点下で湿度を制御する環境試験を行うと、空気中に浮遊している霜や過冷却水がピトー管に当たってピトー管に霜が付く可能性がある。この霜により、ピトー管の圧力検知用測定孔が時間とともに塞がり、風速測定に大きな誤差が生じ、さらには測定不能となる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、風速を連続的に測定できる風速測定機及びこれを備えた環境試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の風速測定機は、ピトー管式の風速測定機であって、全圧がかかる第1測定孔が
形成された第1圧力管と、静圧がかかる第2測定孔が形成された第2圧力管と、前記第1
圧力管及び前記第2圧力管に圧縮気体を供給する気体供給手段とを備えて
おり、前記気体供給手段により供給される圧縮気体の温度は、0度未満である。
【0008】
この構成によると、気体供給手段により第1圧力管及び第2圧力管に圧縮気体を供給することで、第1測定孔及び第2測定孔に付着した霜を吹き飛ばすことができる。したがって、第1測定孔及び第2測定孔が霜により塞がるのを抑制できる。よって、風速を連続的に測定できる。
また、圧縮気体の温度が0度以上である場合には、第1圧力管及び第2圧力管に付着している霜が解け、第1圧力管及び第2圧力管の表面を流れて、別の箇所で再氷結する虞がある。上記の本発明の構成では、圧縮気体の温度が0度未満であるので、第1圧力管及び第2圧力管に付着している霜を溶かすことなく吹き飛ばすことができる。
【0009】
さらに、本発明の風速測定機では、前記気体供給手段を制御する供給制御手段をさらに備えており、前記供給制御手段は、前記第1圧力管及び前記第2圧力管に定期的に圧縮気体が供給されるように前記気体供給手段を制御することが好ましい。
【0010】
この構成によると、定期的に第1測定孔及び第2測定孔に付着した霜を吹き飛ばすことができる。よって、第1測定孔及び第2測定孔が霜により塞がるのを確実に抑制できる。
【0011】
加えて、本発明の風速測定機では、前記気体供給手段により供給される圧縮気体は、露点温度が測定空気の露点温度以下の空気であることが好ましい。
【0012】
この構成によると、気体供給手段が供給した圧縮気体により霜が付くのを抑制できる。
【0015】
また、本発明の風速測定機では、前記第1圧力管及び前記第2圧力管にそれぞれ接続された2つの単接続導圧管、並びに、前記第1圧力管及び第2圧力管の両方に接続された1つの双接続導圧管の少なくとも一方と、前記2つの単接続導圧管及び前記1つの双接続導圧管の少なくとも一方に接続された圧力計とを備えており、前記気体供給手段は、前記2つの単接続導圧管及び前記1つの双接続導圧管の少なくとも一方を介して前記第1圧力管及び前記第2圧力管に圧縮気体を供給してもよい。
【0016】
この構成によると、圧力計に接続される導圧管を利用して圧縮気体を供給することで、風速測定機の構成を簡易化できる。
【0017】
加えて、本発明の風速測定機では、前記2つの単接続導圧管及び前記1つの双接続導圧管の少なくとも一方において、前記圧縮気体が供給される箇所と対応する前記圧力計との間にそれぞれ配置された開閉弁と、前記開閉弁を制御する弁制御手段とをさらに備えており、前記弁制御手段は、前記気体供給手段により圧縮気体が供給されるときに前記開閉弁を閉状態にすることが好ましい。
【0018】
この構成によると、圧力計での計測に気体供給手段により供給された圧縮気体の影響が及ばないようにできる。
【0019】
また、本発明の風速測定機では、前記圧力計で計測された圧力を出力する出力手段をさらに備えており、前記出力手段は、前記気体供給手段により圧縮気体が供給されている間は、圧縮気体が供給される前に前記圧力計で計測された圧力を出力することが好ましい。
【0020】
この構成によると、気体供給手段により圧縮気体が供給されている間も継続して圧力の出力を行うことができる。
【0021】
本発明の環境試験装置は、上記のいずれかの風速測定機と、内部に被試験物が配置される試験室と、前記試験室内の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する空調機器とを備え、前記風速測定機は、前記試験室内の風速を測定するものである。
【0022】
この構成によると、風速測定機により試験室内の風速を連続的に測定できる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、気体供給手段により第1圧力管及び第2圧力管に圧縮気体を供給することで、第1測定孔及び第2測定孔に付着した霜を吹き飛ばすことができる。したがって、第1測定孔及び第2測定孔が霜により塞がるのを抑制できる。よって、風速を連続的に測定できる風速測定機を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
[環境試験装置100の構成]
まず、
図1〜
図3を参照しつつ本発明の一実施形態にかかる風速測定機1が備えられる環境試験装置100の構成について説明する。環境試験装置100は、被試験物10の雰囲気状態を所定の条件に沿って変化させる試験を行うものである。
【0027】
図1に示すように、環境試験装置100の略矩形形状を有する筐体である試験槽3の内部には、上下に延びる仕切り壁38が設けられている。試験槽3内の空間は、仕切り壁38により試験室4と空調室5とに仕切られている。試験槽3の上壁と仕切り壁38との間には上部孔38aが形成されており、試験槽3の下壁と仕切り壁38との間には下部孔38bが形成されている。したがって、試験室4と空調室5とは、上部孔38a及び下部孔38bを介して互いに連通している。試験槽3の外部には、作業者に情報を表示するためのディスプレイ8が設けられている。
【0028】
試験室4は、被試験物10を設置して試験を行うための空間である。空調室5には、送風機51、加湿器52、加熱器53、及び冷凍機の冷却器54が収容されている。加湿器52は空調室5内の空気を加湿するものであり、例えば超音波加湿器からなる。加湿器を容器内の水を内蔵ヒータで加熱して加湿するタイプのものとし、冷凍機の冷却器54の下に置く構成としてもよい。加熱器53は空調室5内の空気を加熱するものであり、例えばシーズヒータ等の電熱ヒータからなる。冷凍機の冷却器54は空調室5内の空気を冷却したり除湿したりするものであり、例えば蒸気圧縮式冷凍機、ペルチェ素子、スターリング冷却器、ヒートパイプ、ヒートレーン等を用いた冷却器からなってよい。
【0029】
試験室4から下部孔38bを通って空調室5に流入した空気は、順次、冷却器54、加熱器53、及び加湿器52によってその温度及び湿度が調整される。そして、所定の温度及び湿度となった空気が、送風機51により上部孔38aを介して再び試験室4に流入する。試験室4における上部孔38aの近傍には、温度と湿度との検出が可能な温湿度センサ41が配置されている。よって、送風機51によって試験室4に送られる空気の温湿度を検出することができる。なお、送風機51によって空調室5内の空気が試験室4に送り出されることで、試験室4内の空気が下部孔38bを通って空調室5内に流入する。こうして、試験室4と空調室5との間を空気が循環する。
【0030】
試験室4には、その一端部(
図1中右側端部)に被試験物10が取り付けられた略円筒状の風洞2が配置されている。被試験物10は、例えば自動車ラジエター等である。
図2に示すように、風洞2の被試験物10が取り付けられている側とは反対側の端部(
図2中左側端部)にはラス網21が取り付けられている。そして、風洞2内には、ラス網21が取り付けられている側の端部(
図2中左側端部)から順番に、送風機22、整流板23、第1圧力管24、及び第2圧力管25が配置されている。第1圧力管24及び第2圧力管25は、風速測定機1を構成するものである。
【0031】
送風機22は、風洞2の被試験物10が取り付けられている側とは反対側(
図2中左側)の空気を吸引して、被試験物10に向かって空気を送り出すものである。すなわち、送風機22により風洞2の内部には、
図2中左側から右側に向かう気流が発生する。整流板23は、風洞2の軸方向に平行な面を有する板で構成されている。
図3に示すように、整流板23は、風洞2の軸方向から見てX字型を有している。
【0032】
[風速測定機1の構成]
風速測定機1は、試験室4に配置された風洞2内の風速を測定するものである。風速測定機1はピトー管式であり、第1圧力管24及び第2圧力管25を備えている。
図2に示すように、第1圧力管24は風洞2内において上下方向に延びており、上下方向に並ぶ複数の測定孔24aが形成されている。測定孔24aは、
図2中左側の部分に形成されている。すなわち、送風機22により風洞2内に気流が発生されたとき、測定孔24aには全圧がかかる。第2圧力管25は、風洞2内において上下方向に延びており、上下方向に並ぶ複数の測定孔25aが形成されている。測定孔25aは、
図2中右側の部分に形成されている。すなわち、送風機22により風洞2内に気流が発生されたとき、測定孔25aには静圧がかかる。
【0033】
風速測定機1は、
図2に示すように、第1圧力計31、第2圧力計32、及び第3圧力計33をさらに備えている。第1圧力計31は、全圧がかかる測定孔24aが形成された第1圧力管24に第1導圧管35を介して接続されている。したがって、第1圧力計31では、全圧を計測することができる。第2圧力計32は、静圧がかかる測定孔25aが形成された第2圧力管25に第2導圧管36を介して接続されている。したがって、第2圧力計32では、静圧を計測することができる。第3圧力計33は差圧計であり、第1圧力管24と第2圧力管25とを接続する第3導圧管37に接続されている。第3圧力計33では、第1導圧管35の圧力(全圧)と第2導圧管36の圧力(静圧)との差から動圧を計測することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、測定誤差を補正するために、第3圧力計33で計測された動圧と、第1圧力計31で計測された全圧と第2圧力計32で計測された静圧とから算出される動圧との2種類の動圧を取得する。このような誤差補正を考慮しないのであれば、第1圧力計31及び第2圧力計32の2つのみ、又は、第3圧力計33のみを備えていればよい。
【0035】
図2に示すように風速測定機1は、エアコンプレッサ6をさらに備えている。エアコンプレッサ6からは第1配管61、第2配管62、及び第3配管63が延びている。第1配管61は、第1導圧管35に接続されている。第1配管61には、エアコンプレッサ6と第1導圧管35とを連通する状態と非連通とする状態とを切り換える電磁弁61aが設けられている。よって、電磁弁61aを開状態としてエアコンプレッサ6と第1導圧管35とを連通させることで、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気を第1配管61及び第1導圧管35を介して第1圧力管24に供給することができる。
【0036】
第2配管62は、第2導圧管36に接続されている。第2配管62には、エアコンプレッサ6と第2導圧管36とを連通する状態と非連通とする状態とを切り換える電磁弁62aが設けられている。よって、電磁弁62aを開状態としてエアコンプレッサ6と第2導圧管36と連通させることで、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気を第2配管62及び第2導圧管36を介して第2圧力管25に供給することができる。
【0037】
第3配管63は、第3導圧管37における第1圧力管24と第3圧力計33との間に接続されている。なお、第3配管63は、第3導圧管37における第2圧力管25と第3圧力計33との間に接続されていてもよい。第3配管63には、エアコンプレッサ6と第3導圧管37とを連通する状態と非連通とする状態とを切り換える電磁弁63aが設けられている。よって、電磁弁63aを開状態としてエアコンプレッサ6と第3導圧管37と連通させることで、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気を第3配管63及び第3導圧管37を介して第1圧力管24及び第2圧力管25に供給することができる。
【0038】
すなわち、エアコンプレッサ6と電磁弁61a、62a、63aとは、本発明の「気体供給手段」として機能する。以下の説明において、電磁弁61a、62a、63aを「コンプレッサ側電磁弁61a、62a、63a」と称することがある。
【0039】
第1導圧管35における第1配管61が接続されている箇所と第1圧力計31との間には、電磁弁35aが設けられている。第2導圧管36における第2配管62が接続されている箇所と第2圧力計32との間には、電磁弁36aが設けられている。第3導圧管37における第3配管63が接続されている箇所と第3圧力計33との間には、電磁弁37aが設けられている。電磁弁35a、36a、37aは、いずれも流路が連通する状態と非連通とする状態とを切り換えるものである。
【0040】
よって、電磁弁35aを閉状態にして流路を遮断することで、エアコンプレッサ6から送出されて第1導圧管35に流れ込んだ圧縮空気が第1圧力計31に流れないようにできる。また、電磁弁36aを閉状態にして流路を遮断することで、エアコンプレッサ6から送出されて第2導圧管36に流れ込んだ圧縮空気が第2圧力計32に流れないようにできる。さらに、電磁弁37aを閉状態にして流路を遮断することで、エアコンプレッサ6から送出されて第3導圧管37に流れ込んだ圧縮空気が第3圧力計33に流れないようにできる。以下の説明において、電磁弁35a、36a、37aを「圧力計側電磁弁35a、36a、37a」と称することがある。
【0041】
なお、図示は省略するが、風速測定機1には、エアコンプレッサ6に吸入される空気を除湿するための除湿器(図示せず)が設けられている。そのため、エアコンプレッサ6から第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される圧縮空気の湿度は、測定空気(試験室4内の空気)の湿度以下となっている。したがって、エアコンプレッサ6から第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される圧縮空気は、露点温度が測定空気(試験室4内の空気)の露点温度以下である。さらに、風速測定機1は、エアコンプレッサ6に吸入される空気を冷却するための冷却器(図示せず)を備えている。これによって、エアコンプレッサ6から第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される圧縮空気の温度を0度未満とすることができる。
【0042】
[コントローラ9の構成]
環境試験装置100は、コントローラ9(
図1参照)をさらに備えている。コントローラ9は、空調室5内に収容されている送風機51、加湿器52、加熱器53、及び冷却器54を備える冷凍機、風洞2内に配置されている送風機22、風速測定機1の第1〜第3圧力計31、32、33、圧力計側電磁弁35a、36a、37a、及びコンプレッサ側電磁弁61a、62a、63a、並びに、ディスプレイ8と電気的に接続されており、これら各部を制御するものである。コントローラ9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されており、これらの組合せにより、後に詳述するように、本発明に係る「供給制御手段」、「弁制御手段」、及び「出力手段」として機能する。
【0043】
コントローラ9は、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に定期的に供給されるようにコンプレッサ側電磁弁61a、62a、63aを制御する。具体的には、前回第1圧力管24及び第2圧力管25に圧縮空気を供給してからの経過時間が所定時間に達したときに、電磁弁61a、62a、63aを閉状態から開状態に切り換える。すなわち、コントローラ9は、本発明の「供給制御手段」として機能する。圧縮空気を供給する間隔は、最も霜の付きやすい温湿度での霜付き状態を確認し、風速測定に支障の出ない時間間隔を設定する。なお、第1圧力管24及び第2圧力管25への圧縮空気の供給は数秒間である。したがって、電磁弁61a、62a、63aを閉状態から開状態に切り換え、数秒後に開状態から閉状態に切り換える。
【0044】
さらに、コントローラ9は、第1圧力管24及び第2圧力管25に圧縮空気を供給する際に、圧力計側電磁弁35a、36a、37aを開状態から閉状態に切り換える。そして、第1圧力管24及び第2圧力管25への圧縮空気の供給が終了してから、圧力計側電磁弁35a、36a、37aを閉状態から開状態に切り換える。すなわち、コントローラ9は、本発明の「弁制御手段」として機能する。
【0045】
加えて、コントローラ9は、第1圧力計31、第2圧力計32、第3圧力計33で計測された圧力を出力してディスプレイ8に表示させる。第1圧力管24及び第2圧力管25に圧縮空気が供給されていないときは、第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を逐次ディスプレイ8に表示させる。そして、第1圧力管24及び第2圧力管25に圧縮空気が供給されている間は、第1圧力管24及び第2圧力管25への圧縮空気の供給が開始される直前に第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力をディスプレイ8に表示させる。すなわち、コントローラ9は、本発明の「出力手段」として機能する。
【0046】
ここで、
図4を参照しつつ、コントローラ9で行われる風速測定に関する処理手順の一例について説明する。かかる処理は、環境試験装置100で試験が行われている間に行われるものである。
【0047】
まず、第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を出力してディスプレイ8に表示させる(S1)。続いて、前回第1圧力管24及び第2圧力管25に圧縮空気を供給してからの経過時間が所定時間に達したか否かを判断する(S2)。経過時間が所定時間に達していないと判断した場合には(S2:NO)、S1に戻る。一方、経過時間が所定時間に達したと判断した場合には(S2:YES)、圧力計側電磁弁35a、36a、37aを開状態から閉状態に切り換える(S3)。
【0048】
S3において圧力計側電磁弁35a、36a、37aを開状態から閉状態に切り換えたことで、第1〜第3圧力計31、32、33で圧力の計測ができなくなる。そこで、圧力計側電磁弁35a、36a、37aを開状態から閉状態に切り換えた後は、圧力計側電磁弁35a、36a、37aを開状態から閉状態に切り換える直前に第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を出力してディスプレイ8に表示させる(S4)。
【0049】
次に、コンプレッサ側電磁弁61a、62a、63aを閉状態から開状態に切り換える(S5)。これにより、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される。そして、数秒間圧縮空気を第1圧力管24及び第2圧力管25に供給してから、コンプレッサ側電磁弁61a、62a、63aを開状態から閉状態に切り換える(S6)。さらに、圧力計側電磁弁35a、36a、37aを閉状態から開状態に切り換える(S7)。これにより、再度第1〜第3圧力計31、32、33で圧力の計測ができるようになる。その後、S1に戻る。
【0050】
以上のように、本実施形態の風速測定機1は、内部に被試験物10が配置される試験室4と、試験室4内の温度及び湿度を調整するための空調機器である加湿器52、加熱器53、及び冷凍機の冷却器54とを備えた環境試験装置100において、試験室4内の風速を測定するピトー管式の風速測定機である。風速測定機1は、全圧がかかる測定孔24aが形成された第1圧力管24と、静圧がかかる測定孔25aが形成された第2圧力管25と、圧縮空気を送出するエアコンプレッサ6と、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気を第1圧力管24及び第2圧力管25に供給する状態と供給しない状態とを切り換えることができる電磁弁61a、62a、63aとを備えている。したがって、電磁弁61a、62a、63aを切り換えてエアコンプレッサ6により送出された圧縮空気を第1圧力管24及び第2圧力管25に供給することで、測定孔24a及び測定孔25aに付着した霜を吹き飛ばすことができる。よって、測定孔24a及び測定孔25aが霜により塞がるのを抑制できる。これにより、環境試験装置100の試験室4内の風速を連続的に測定できる。
【0051】
また、本実施形態の風速測定機1では、コントローラ9が、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に定期的に供給されるように電磁弁61a、62a、63aを制御する。したがって、定期的に測定孔24a及び測定孔25aに付着した霜を吹き飛ばすことができる。よって、測定孔24a及び測定孔25aが霜により塞がるのを抑制できる。
【0052】
さらに、本実施形態の風速測定機1では、第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される圧縮空気は、露点温度が測定空気の露点温度以下の空気である。したがって、供給された圧縮空気により霜が付くのを抑制できる。
【0053】
加えて、本実施形態の風速測定機1では、第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される圧縮空気の温度は、0度未満である。圧縮空気の温度が0度以上である場合には、第1圧力管24及び第2圧力管25に付着している霜が解け、第1圧力管24及び第2圧力管25の表面を流れて、別の箇所で再氷結する虞がある。しかしながら本実施形態では、圧縮空気の温度が0度未満であるので、第1圧力管24及び第2圧力管25に付着している霜を溶かすことなく吹き飛ばすことができる。
【0054】
さらに、本実施形態の風速測定機1では、第1圧力管24に接続された第1導圧管35、第2圧力管25に接続された第2導圧管36、並びに第1圧力管24及び第2圧力管25の両方に接続された第3導圧管37と、第1〜第3導圧管35、36、37にそれぞれ接続された第1〜第3圧力計31、32、33とを備えている。そして、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気は、第1〜第3導圧管35、36、37を介して第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される。したがって、第1〜第3圧力計31、32、33に接続される第1〜第3導圧管35、36、37を利用して圧縮空気を第1圧力管24及び第2圧力管25に供給することで、風速測定機1の構成を簡易化できる。
【0055】
また、本実施形態の風速測定機1では、第1〜第3導圧管35、36、37において、エアコンプレッサ6からの配管である第1〜第3配管61、62、63が接続されている箇所と第1〜第3圧力計31、32、33との間に、電磁弁35a、36a、37aがそれぞれ配置されている。そして、コントローラ9は、圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に供給されるときに電磁弁35a、36a、37aを閉状態にする。したがって、第1〜第3圧力計31、32、33での計測にエアコンプレッサ6から送出された圧縮空気の影響が及ばないようにできる。
【0056】
また、本実施形態の風速測定機1では、コントローラ9が、第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を出力してディスプレイ8に表示させる。そして、コントローラ9は、圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に供給されている間は、圧縮空気が供給される前に第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を出力してディスプレイ8に表示させる。したがって、圧縮空気が第1〜第3圧力計31、32、33に供給されている間も継続して圧力の出力を行うことができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
例えば、上述の実施形態においては、第1圧力管24及び第2圧力管25に定期的に圧縮空気を供給する場合について説明したが、これに限定されるものではない。第1圧力管24及び第2圧力管25への圧縮空気の供給は不定期に行われるものであってもよい。
【0059】
また、上述の実施形態においては、エアコンプレッサ6から第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される空気は、露点温度が測定空気(試験室4内の空気)の露点温度以下であり、且つ、温度が0度未満である場合について説明したが、第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される空気の露点温度や温度はこれに限定されるものではない。すなわち、露点温度が測定空気の露点温度よりも高くてもよく、温度が0度以上でもよい。さらに、エアコンプレッサ6から空気以外の気体が送出されてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態においては、エアコンプレッサ6から送出された圧縮空気が、第1〜第3圧力計31、32、33に接続されている第1〜第3導圧管35、36、37を介して第1圧力管24及び第2圧力管25に供給される場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、第1〜第3導圧管35、36、37とは別に、エアコンプレッサ6と第1圧力管24及び第2圧力管25とを直接結ぶ配管を設けてもよい。
【0061】
加えて、上述の実施形態においては、第1〜第3導圧管35、36、37において、エアコンプレッサ6からの配管である第1〜第3配管61、62、63が接続されている箇所と第1〜第3圧力計31、32、33との間に、電磁弁35a、36a、37aがそれぞれ配置されている場合について説明したが、これらの電磁弁35a、36a、37aはなくてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態においては、コントローラ9は、第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を出力してディスプレイ8に表示させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、コントローラ9は、第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力を出力してプリンタで印刷させたり、記憶装置に記憶させたりしてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態においては、圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に供給されている間は、圧縮空気が供給される前に第1〜第3圧力計31、32、33で計測された圧力をディスプレイ8に表示させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、圧縮空気が第1圧力管24及び第2圧力管25に供給されている間は、これまでに第1〜第3圧力計31、32、33で計測された平均の圧力をディスプレイ8に表示させてもよい。
【0064】
さらに、上述の実施形態においては、環境試験装置100は温度及び湿度を調整するものであったが、温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するものであってもよい。
【0065】
加えて、上述の実施形態においては、風速測定機1が環境試験装置100に用いられていたが、風速測定機1は他の装置で用いられるものであってもよい。