(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のポリマーが、(1)1つ以上の疎水性基を含み、かつ(2)前記第1及び第2の単位とは異なる、第3の単位をさらに含む、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
前記露光されたフォトレジスト組成物層が、前記フォトレジスト組成物層の非露光部分を選択的に取り除く有機溶媒組成物を用いて現像されて、前記フォトレジストレリーフ像を提供する、請求項9に記載の方法。
【発明の概要】
【0007】
我々はここで、ネガティブトーン現像プロセスを含む、様々な用途において有用な新たなフォトレジストを提供する。
【0008】
より具体的には、好ましい態様において、(i)酸に不安定な基を含む窒素含有部分を含む第1の単位と、(ii)(1)1つ以上の疎水性基を含み、かつ(2)第1の単位とは異なる第2の単位とを含む第1のポリマーを含むフォトレジスト組成物が提供される。本フォトレジスト組成物はまた、1つ以上の光酸発生剤及び/または1つ以上の熱酸発生剤などの1つ以上の酸発生剤を好適に含む。
【0009】
ある特定の好ましい態様において、本フォトレジストは、追加のポリマー(第2のポリマー)を含み得る。第2のポリマーは、好適には、酸に不安定な基を含み得る。以下にさらに記載されるように、ある特定の実施形態において、第1及び第2のポリマーは、異なる表面エネルギーを有し得る。
【0010】
ある特定の好ましい態様において、第1のポリマーは、(1)1つ以上の疎水性基を含み、かつ(2)第1及び第2の単位とは異なる第3の単位をさらに含み得る。好適には、第2の単位及び第3の単位(存在する場合)の1つ以上の疎水性基は各々、3、4、5、6、7、8個以上の炭素原子を含む。
【0011】
好ましくは、リソグラフィ処理前、第1のポリマーの窒素含有部分は、リソグラフィ処理中に産出される酸の存在下で脱保護され得る保護アミンである。例えば、酸は、フォトレジスト組成物の被覆層の露光及び/または露光後ベーク処理ステップ中に酸を生成する、フォトレジスト組成物中に存在する1つ以上の光酸発生剤及び/または熱酸発生剤から
生成され得る。
【0012】
典型的には、そのような脱保護窒素は、リソグラフィ処理前の保護形態の同じ窒素よりもはるかに塩基性である。例えば、1)リソグラフィ処理前の窒素含有部分と、2)リソグラフィ処理中の酸の存在下での脱保護時の窒素含有部分との間のpKaの差は、好適には、1〜2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14以上であり得る。
【0013】
保護形態の第1のポリマー窒素含有部分は、本明細書内に開示されるように、リソグラフィ処理中に反応(例えば、開裂反応)し得るカルバメートまたはスルファメートなどの様々な基であり得る。
【0014】
ある特定の追加の好ましい態様において、フォトレジスト組成物の第1のポリマーにおいて、窒素含有部分を含む(i)単位は、疎水性基もさらに含む。例えば、保護窒素部分の酸に不安定な部分は、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の炭素を有する任意に置換された直鎖、分岐鎖、または環式アルキル、例えば、イソプロピル、t−ブチル、sec−ペンチル、メチルアダマンチルを含むアダマンチル、及び1−エチルシクロペンチルなどの疎水性基を含み得る。
【0015】
特に好ましい第1のポリマーは、以下の式(I)の1つ以上のモノマーの重合によって提供され得、
X
1−R
1−X
2−R
2−X
3 (I)
式中、X
1は、アクリレートまたはアルキルアクリレート(例えば、メタクリレート)などの重合性官能基であり、R
1は、任意に置換された直鎖、分岐鎖、もしくは環式脂肪族基または芳香族基であり得、X
2は、窒素などの塩基性部分であり、かつR
1の成分であり得るか、またはそれと一緒になり得(例えば、R
1とX
2とが結合してピペルジニル(piperdinyl)部分を形成し得る)、R
2は、カルバメートまたはスルファメートなどの酸に不安定な基であり、X
3は、任意に置換された直鎖、分岐鎖、もしくは環式脂肪族基または芳香族基である。R
2及びR
3は、酸に不安定な基を一緒に形成し得、例えば、R
2は、−C(=O)O−であり得、X
3は、t−ブチルなどの四級炭素を含み得る(故に、R
2及びX
3は、−C(=O)OC(CH
3)
3となる)。
【0016】
さらなる態様に従って、被覆基板が提供される。本被覆基板は、基板と、基板の表面を覆う本発明のフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0017】
依然として更なる態様に従って、フォトリソグラフィックパターンの形成方法が提供される。本方法は、(a)基板の表面上にパターン化される1つ以上の層を含む基板を提供することと、(b)本発明のフォトレジスト組成物の層をパターン化される1つ以上の層上に適用することと、(c)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン露光することと、(d)現像剤をフォトレジスト組成物層に適用し、それによってレジストレリーフ像を産出することと、を好適に含む。好適には、露光されたフォトレジスト組成物層は、現像前に、露光後ベークプロセスにおいて熱処理される。好ましい態様において、本フォトレジスト組成物の第1のポリマーの窒素含有部分の酸に不安定な基は、露光及び露光後の現像前熱処理中、反応を起こして、第1のポリマーに結合したアミンを提供する。
【0018】
好ましい態様において、フォトレジスト層の非露光部分は、パターン化される1つ以上の層上にフォトレジストパターンを残して、現像剤によって取り除かれる。パターン露光は、液浸リソグラフィによって、または代替的に、乾燥露光技術を使用して、実行されることができる。ある特定の態様において、インプラント及びEUVリソグラフィプロセスも好ましい。
【0019】
開示されたネガティブトーン現像プロセスによって形成される装置を含め、開示された方法によって形成される電子装置も提供される。
【0020】
窒素含有基または他の基のpKa値に関する本明細書における言及は、Taftパラメータ分析によって決定された値を指定し、そのような分析は、この分野において既知であり、J.Cameronet al.,「Structural Effects of Photoacid Generators on Deep UV Resist Performance」Society of Plastic Engineers,Inc.Proceedings.,「Photopolymers,Principles,Processes and Materials,11th International Conference,pp.120−139(1997)、及びJ.P.Gutthrie,Can.J Chem.,56:2342−2354(1978)において説明される。
【0021】
本明細書内で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、別途明白に、または文脈により、示されない限りは、1つ以上を包括する。
【0022】
本発明の他の態様は、以下に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
記載されるように、本発明のフォトレジスト組成物は、ネガティブトーン現像プロセスにおける使用に特に好適である。本発明の特に好ましいフォトレジスト組成物は、ネガティブトーン現像プロセスにおいて使用されるとき、1つまたは好ましくはそれ以上の改善された焦点ラチチュード及び露光ラチチュードと、線及びコンタクトホールなどの形が均一なレジストパターンと、低減された欠陥とを提供する。
【0024】
好ましい組成物において、第1のポリマーは、フォトレジスト組成物の被覆中に、レジスト被覆層の上方表面に向かって移動することができる。ある特定のシステムにおいて、これにより、第1のポリマーで実質的に構成された表面層を形成することができる。いかなる理論に束縛されることなく、第1のポリマーの窒素(塩基性)部分は、散乱光または迷光の制御に寄与し、それによって、コンタクトホールの欠如などのパターニング不良、ならびに線及び溝パターン形成の場合にはマイクロブリッジング不良の低減を可能にすると考えられる。露光及び露光後ベーク(PEB)後、レジスト被覆層は、有機溶媒を含む現像剤中などで現像され得る。有機現像剤は、フォトレジスト層の非露光領域及び露光領域の表面層を取り除く。本発明のフォトレジスト組成物の利益は、本組成物を乾燥リソグラフィまたは液浸リソグラフィプロセスにおいて使用するときに得られ得る。液浸リソグラフィにおいて使用されるとき、好ましいフォトレジスト組成物は、フォトレジスト材料の浸漬液中への移動(浸出)の低減、及び追加ポリマーのレジスト表面への移動の結果をさらに示し得る。有意に、フォトレジスト上にトップコート層を使用することなくこれを達成することができる。
【0025】
フォトレジストは、様々な放射波長、例えば、サブ400nm、サブ300nm、またはサブ200nmの波長で使用され得るが、248nm、193nm、及びEUV(例えば、13.5nm)露光波長が好ましい。本組成物は、電子ビーム(Eビーム)露光プロセスにおいてさらに使用され得る。
【0026】
本発明のフォトレジスト組成物は、好ましくは、化学的に増幅された材料である。好ましい実施形態において、本フォトレジスト組成物は、酸に不安定な基を含む1つ以上の第2またはマトリクスポリマー(第1のポリマーとは異なる)を含む。酸に不安定な基は、酸の存在下で容易に脱保護反応を起こす化学的部分である。フォトレジスト組成物の層の一部である第2またはマトリクスポリマーは、リソグラフィ処理中、具体的にはソフトベーク、活性化放射線への露光、及び露光後ベーク後、光酸及び/または熱酸発生剤から生成された酸との反応の結果として、本明細書に記載される現像剤中での溶解性の変化が起きる。これは、酸に不安定な基の光酸誘起開裂によって生じ、第2のポリマーの極性に変化を引き起こす。酸に不安定な基は、例えば、第三級アルキルカーボネート、第三級アルキルエステル、第三級アルキルエーテル、アセタール、及びケタールより選択され得る。好ましくは、酸に不安定な基は、第2のマトリクスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した第三級非環式アルキル炭素または第三級脂環式炭素を含有するエステル基である。そのような酸に不安定な基の開裂は、カルボキシル酸基の形成をもたらす。好適な酸に不安定な基を含有する単位は、例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−プロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−プロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、エチルフェンキル(メタ)アクリレート等、ならびに脂環式を含む他の環式及び非環式(アルキル)アクリレートなどの、酸に不安定な(アルキル)アクリレート単位を含む。アセタール及びケタール酸に不安定な基は、酸素原子と結合されるように、カルボキシル基またはヒドロキシル基などのアルカリ溶解性基の末端で水素原子に置換され得る。酸が生成されるとき、酸は、アセタールまたはケタール基と、アセタール型酸解離性溶解制御基が結合される酸素原子との間の結合を開裂する。例となるそのような酸に不安定な基は、例えば、米国特許第US6057083号、同第US6136501号、及び同第US8206886号、ならびに欧州特許公開第EP01008913A1号及び同第EP00930542A1号に記載される。また、糖誘導構造体であるアセタール及びケタール基も好適であり、その開裂はヒドロキシル基、例えば、米国特許出願第US2012/0064456A1号に記載されるものの形成をもたらす。
【0027】
248nmなどの200nm以上の波長で撮像するための好適な樹脂材料(本フォトレジスト組成物の第2のポリマーとしての使用のためを含む)としては、例えば、酸に不安定な基を含有するフェノール樹脂が挙げられる。この種の特に好ましい樹脂としては、(i)米国特許第6,042,997号及び同第5,492,793号に記載されるポリマ
ーなど、上に記載されるビニルフェノール及び酸に不安定な(アルキル)アクリレートの重合単位を含有するポリマー、(ii)米国特許第6,042,997号に記載されるポリマーなど、ビニルフェノールと、ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含有しない任意に置換されたビニルフェニル(例えば、スチレン)と、上に記載される酸に不安定な(アルキル)アクリレートとの重合単位を含有するポリマー、(iii)米国特許第5,929,176号及び同第6,090,526号に記載されるポリマーなど、光酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位、及び任意に、フェニルまたはフェノール基など芳香族の繰り返し単位を含有するポリマー、ならびに(i)及び/または(ii)及び/または(iii)の混合物が挙げられる。
【0028】
193nmなどのある特定のサブ200nm波長で撮像するための第2またはマトリクスポリマーは、典型的には、放射線の吸収力が高いフェニル、ベンジル、または他の芳香族基を実質的に含まない(例えば、15モル%未満)、好ましくは全く含まない。芳香族基を実質的または全く含まない好適なポリマーは、欧州特許公開第EP930542A1号、ならびに米国特許第6,692,888号及び同第6,680,159号に開示される。
【0029】
他の好適な第2またはマトリクスポリマーとしては、例えば、任意に置換されたノルボルネンなどの非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)の重合単位を含有するもの、例えば、米国特許第5,843,624号及び同第6,048,664号に記載されたポリマーが挙げられる。依然として他の好適なマトリクスポリマーとしては、欧州公開出願第EP01008913A1号及び米国特許第6,048,662号に開示されるような、重合無水物単位、具体的には、重合マレイン酸無水物及び/またはイタコン酸無水物単位を含有するポリマーが挙げられる。
【0030】
ヘテロ原子、具体的には酸素及び/または硫黄(しかし無水物以外、すなわち、本単位はケトン環原子を含有しない)を含有する繰り返し単位を含有する樹脂も、第2またはマトリクスポリマーとして好適である。ヘテロ脂環式単位は、ポリマー骨格に溶融され得、ノルボルネン基の重合により提供されるような溶融炭素脂環式単位、及び/またはマレイン酸無水物もしくはイタコン酸無水物の重合により提供されるような無水物単位を含み得る。そのようなポリマーは、国際公開第WO0186353A1号及び米国特許第6,306,554号に開示される。マトリクスポリマーを含有する他の好適なヘテロ原子基としては、米国特許第7,244,542号に開示されるような、1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素または硫黄)含有基、例えば、ヒドロキシナフチル基で置換された重合炭素環式アリール単位を含有するポリマーが挙げられる。
【0031】
193nmなどのサブ200nm波長及びEUV(例えば、13.5nm)の場合、第2またはマトリクスポリマーは、第2のマトリクスポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解率を制御するためのラクトン部分を含有する単位を含み得る。ラクトン部分を含有する第2またはマトリクスポリマーに使用される好適なモノマーとしては、例えば、以下が挙げられる。
【0033】
そのような第2またはマトリクスポリマーは、典型的には、マトリクスポリマー及びフォトレジスト組成物のエッチング耐性を高め、かつマトリクスポリマー及びフォトレジスト組成物の溶解率を制御するための追加手段を提供する、極性基を含有する単位をさらに含む。そのような単位を形成するためのモノマーとしては、例えば、以下が挙げられる。
【0035】
第2またはマトリクスポリマーは、上に記載された種類の1つ以上の追加単位を含み得る。典型的には、第2またはマトリクスポリマーのための追加単位は、ポリマーの他の単位を形成するために使用されるモノマーのために使用されるものと同じまたは類似した重合性基を含むが、同じポリマー骨格内に他の異なる重合性基を含み得る。
【0036】
好ましい態様において、第2またはマトリクスポリマーは、下に記載される、第2のポリマーと実質的に非混和性でなければならない第1または追加ポリマーよりも高い表面エネルギーを有する。表面エネルギーにおける違いの結果として、第2のポリマーの第1のポリマーからの分離は、スピン被覆中に発生し得る。第2またはマトリクスポリマーの好適な表面エネルギーは、典型的には、20〜50mN/m、好ましくは30〜40mN/mである。
【0037】
それに限定されないが、例となる第2またはマトリクスポリマーとしては、例えば、以下が挙げられる。
【0039】
本発明のフォトレジスト組成物における使用に好適な第2またはマトリクスポリマーは、市販されており、当業者によって容易に作製されることができる。第2のポリマーは、好適な現像剤溶液中で現像可能なレジストの露光した被覆層をレンダリングするのに十分な量でレジスト組成物中に存在する。典型的には、第2のポリマーは、レジスト組成物の全固形物に基づいて50〜95重量%の量で組成物中に存在する。第2のポリマーの重量平均分子量Mwは、典型的には、100,000未満、例えば、3000〜100,000、より典型的には、3000〜15,000である。上に記載された第2のポリマーのうちの2つ以上の混合物が、本発明のフォトレジスト組成物に好適に使用され得る。
【0040】
第1または追加ポリマーは、好ましくは、第2のポリマーよりも低い表面エネルギーを有する材料であり、第2のポリマーと実質的に非混合性でなければならない。このようにして、被覆プロセス中の適用されたフォトレジスト層のトップまたは上方部分への第1のポリマーの分離または移動が促進される。第1のポリマーの所望される表面エネルギーは、特定の第2のポリマー及びその表面エネルギーに依存するが、第1のポリマー表面エネルギーは、典型的には、18〜40mN/m、好ましくは20〜35mN/m、及びより好ましくは29〜33mN/mである。第1のポリマーは、被覆プロセス中にレジスト層の上方表面へ移動するが、レジスト層表面の直下に第1のポリマーと第2またはマトリクスポリマーとのいくらかの相互混合が存在することが好ましい。そのような相互混合は、迷光に起因して第2またはマトリクスポリマーの近くの暗領域内で生成される酸の低減または除去により、レジスト層内での表面抑制を軽減するのに役立つと考えられる。相互混合の程度は、例えば、第2またはマトリクスポリマー(MP)と第1または追加ポリマー(AP)との間の表面エネルギー(SE)の違いに依存する(ΔSE=SEMP−SEAP)。所与の第1またはマトリクス、及び第2または追加ポリマーにおいて、相互混合の程度は、ΔSEの減少と共に増大され得る。ΔSEは、典型的には、2〜32mN/m、好ましくは5〜15mN/mである。
【0041】
記載されるように、フォトレジスト組成物内で有用な第1または追加ポリマーは、複数の別個の繰り返し単位、例えば、2、3、または4つの別個の繰り返し単位を有するコポリマーである。
【0042】
第1のポリマーは、好ましくは、ケイ素を含まない。ケイ素含有ポリマーは、ある特定のエッチング液中で、有機フォトレジストポリマーよりも著しく低いエッチング率を示す。結果として、有機第2のポリマーをベースとするレジスト層の表面でのケイ素を含有する第1のポリマーの集合は、エッチングプロセス中のコーン不良を引き起こし得る。第1のポリマーは、フッ素を含有し得るか、フッ素を含み得ない。好ましい第1のポリマーは、フォトレジスト組成物を配合するために使用されるのと同じ有機溶媒(複数可)内で溶解できる。好ましい第1のポリマーはまた、ネガティブトーン現像プロセスに使用される有機現像剤中で、露光後ベーク(例えば、120℃で60秒間)時に溶解できる、または溶解性になる。
【0043】
記載されるように、第1のポリマーは、好ましくは、以下の式(I)に対応する1つ以上のモノマーから形成される第1の単位を含有し得、
X
1−R
1−X
2−R
2−X
3 (I)
式中、X
1は、アクリレート、またはメタクリレートなどのアルキルアクリレートなどの重合性官能基であり、R
1は、任意に置換された直鎖、分岐鎖、もしくは環式脂肪族基または芳香族基、好適にはC
1−15アルキルであり得、及び任意にフッ素化され得、X
2は、窒素などの塩基性部分であり、かつR1の成分であり得るか、またはそれと一緒になり得(例えば、R
1とX
2とが結合してピペルジニル(piperdinyl)部分を形成し得る)、R
2は、酸に不安定な基であり、X
3は、任意に置換された直鎖、分岐鎖、もしくは環式脂肪族基または芳香族基であり得る。
【0044】
重合性官能基X
1は、例えば、以下の一般式(P−1)、(P−2)、及び(P−3)より選択され得、
【0046】
式中、R
2は、水素、フッ素、ならびにフッ素化及び非フッ素化C
1〜C
3アルキルより選択され、Xは酸素または硫黄であり、
【0048】
R
3は、水素、フッ素、ならびにフッ素化及び非フッ素化C
1〜C
3アルキルより選択され、
【0051】
式(I)の例となる好適なモノマーは以下に記載されるが、これらの構造体に制限されない。これらの構造体の目的のために、「R
2」及び「X」は、R
2が、水素、フッ素、ならびにフッ素化及び非フッ素化C
1〜C
3アルキルより選択され、Xが酸素または硫黄であると定義される。
【0057】
好ましくは、第1のポリマーはまた、以下の一般式(I−1)に対応するモノマーから形成される1つ以上の追加の別個の単位(第2の単位)も含み、
【0059】
式中、R
2は、水素、フッ素、ならびにフッ素化及び非フッ素化C
1〜C
3アルキルより選択され、Xは酸素または硫黄であり、R
4は、置換及び非置換C
1〜C
20直鎖、分岐鎖、及び環式炭化水素、好ましくはフッ素化及び非フッ素化C
1〜C
15アルキル、より好ましくはフッ素化及び非フッ素化C
3〜C
8アルキル、ならびに最も好ましくはフッ素化及び非フッ素化C
4〜C
5アルキルより選択されるが、R
4は、好ましくは、液浸リソグラフィ内で使用されるときにより高い水後退接触角を提供するために分岐され、フルオロアルキル及びフルオロアルコールなどのハロアルキル及びハロアルコールのR
4置換が好適である。
【0060】
記載されるように、モノマー、ポリマー、及び他の材料の様々な部分は、任意に置換され得る(または、「置換または非置換」であると記述される)。「置換された」置換基は、1つ以上の利用可能な場所、典型的には、1、2、または3つの場所で、1つ以上の好適な基、例えば、ハロゲン(具体的には、F、Cl、またはBr)、シアノ、ニトロ、C
1−8アルキル、C
1−8アルコキシ、C
1−8アルキルチオ、C
1−8アルキルスルホニル、C
2−8アルケニル、C
2−8アルキニル、ヒドロキシル、ニトロ、C
1−6アルカノイルなどのアルカノイル、例えば、アシル、ハロアルキル、具体的にはCF
3などのC
1−8ハロアルキル、R及びR’が任意に置換されたC
1−8アルキルである、−CONHR,−CONRR’、−COOH,COC,>C=Oなど、によって置換され得る。
【0061】
式(I−1)の例となる好適なモノマーは以下に記載されるが、これらの構造体に制限されない。これらの構造体の目的のために、「R
2」及び「X」は、式I−1について上で定義される通りである。
【0066】
トップコート組成物に有用な例となる第1のポリマーとしては、以下が挙げられる。これらの構造体の目的のために、「R
2」及び「X」は、各R2が独立して、水素、フッ素、ならびにフッ素化及び非フッ素化C
1〜C
3アルキルより選択され、各Xが独立して、酸素または硫黄であると定義される。
【0068】
フォトレジスト組成物は、好適には、単一の第1のポリマーを含むが、任意に1つ以上の追加の第1のポリマーを含み得る。フォトレジスト組成物における使用のための好適なポリマー及びモノマーは、市販されており、及び/または、当業者により容易に作製されることができる。
【0069】
第1のポリマーは、典型的には、比較的少量で、例えば、フォトレジスト組成物の全固形物に基づいて0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。第1または追加ポリマーの容量は、例えば、フォトレジスト層内の酸発生剤の容量、第1のポリマー内の窒素含有基の容量、及びリソグラフィが乾燥型プロセスか液浸型プロセスかによって異なる。例えば、液浸リソグラフィのための第1のポリマー下限は、一般的に、レジスト成分の浸出を防ぐ必要性により決定される。非常に高い第1のポリマー容量は、典型的には、パターン劣化をもたらす。追加ポリマーの重量平均分子量は、典型的には、400,000未満、好ましくは3000〜50,000、より好ましくは3000〜25,000である。本発明のフォトレジスト組成物での使用のための第1のポリマーを作製するための好適な第1のポリマー及びモノマーは、市販されており、及び/または、当業者によって作製されることができる。
【0070】
本感光性組成物は、好ましくは、活性化放射線への露光時にフォトレジスト組成物の被覆層内で潜像を生成するのに十分な量で用いられる1つ以上の光酸発生剤(PAG)を含み得る。例えば、光酸発生剤は、好適には、フォトレジスト組成物の全固形物に基づいて約1〜20重量%の量で存在する。典型的には、化学的に増幅されたレジストには、より少ない量の光活性成分が好適である。
【0071】
好適なPAGは、化学的に増幅されたフォトレジストの分野において既知であり、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホン酸塩、ニトロベンジル派生物、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホン酸塩、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホン酸塩、及び2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホン酸塩、スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、ジアゾメタン派生物、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、グリオキシム派生物、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル派生物、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、ならびにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。そのようなPAGのうちの1つ以上が使用され得る。
【0072】
本発明のフォトレジスト組成物のための好適な溶媒としては、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル及び乳酸エチルなどの乳酸塩、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸エチルエトキシ、及びイソ酪酸メチル−2−ヒドロキシなどのプロピオン酸、メチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ならびにメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノンなどのケトンが挙げられる。上に記載される溶媒のうちの2つ、または3つ以上の混合物などの、溶媒の混合物が好適である。溶媒は、典型的には、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて90〜99重量%、より典型的には、95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0073】
フォトレジスト組成物のための他の任意の添加剤としては、例えば、化学線及びコントラスト染料、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度向上剤、感光薬などが挙げられる。そのような任意の添加剤は、使用される場合は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形物に基づいて0.1〜10重量%などの少量で組成物中に存在するが、充填剤及び染料は、比較的高濃度、例えば、フォトレジスト組成物の全固形物に基づいて5〜30重量%で存在し得る。
【0074】
本発明のレジスト組成物の好ましい任意の添加剤は、現像されたレジストレリーフ像の解像度を高めることができる添加塩基である。好適な塩基消光剤としては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバル酸アミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オン、及びtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イルカルバメートなどの、直鎖及び環式アミドならびにその派生物、ピリジン、及びジ−tert−ブチルピリジンなどの芳香族アミン、トリイソプロパノルアミン、n−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、及び2−(ジブチルアミノ)エタノール,2,2’,2’’−ニトリロトリエタノールなどの脂肪族アミン、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシレート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシレート、及びN(2−アセトキシ−エチル)モルホリンなどの環式脂肪族アミンが挙げられる。これらの塩基消光剤のうち、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン及びトリイソプロパノルアミンが好ましい。添加塩基は、好適には、比較的少量、例えば、PAGに対して1〜20重量%、より典型的には、PAGに対して5〜15重量%で使用される。
【0075】
本発明に従って使用されるフォトレジストは、概して、既知の手順に従って調製される。例えば、本発明のレジストは、好適な溶媒中、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルが好ましいが、乳酸エチルまたは乳酸メチルなどの乳酸塩、プロピオン酸、具体的にはメチルプロピオン酸、エチルプロピオン酸、及びエチルエトキシプロピオン酸、メチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル、トルエンまたはキシレンなどの芳香族炭化水素、または、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノンなどのケトンのうちの1つ以上にフォトレジストの成分を溶解することによって被覆組成物として調製され得る。フォトレジストの所望される全固形物容量は、組成物中の特定のポリマー、最終的な層の厚さ、及び露光波長などの要因に依存する。典型的には、フォトレジストの全固形物容量は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて1〜10重量%、より典型的には、2〜5重量%まで様々である。
【0076】
本発明は、フォトレジストレリーフ像を形成する方法、及び本発明のフォトレジストを使用した電子装置を生産する方法をさらに提供する。本発明はまた、本発明のフォトレジスト組成物で被覆された基板を含む新規製品も提供する。
【0077】
リソグラフィ処理において、フォトレジスト組成物は、様々な基板上に適用され得る。基板は、ケイ素または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅など、半導体などの材料であり得る。典型的には、基板は、単結晶ケイ素または化合物半導体ウェハなどの半導体ウェハであり、1つ以上の層、及びその表面上に形成されるパターン化構造を有し得る。パターン化される1つ以上の層は、基板上に提供され得る。任意に、下部の土台となる基板材料自体は、例えば、基板材料内に溝を形成することが所望されるとき、パターン化され得る。土台となる基板材料自体をパターン化する場合、そのパターンは基板の層内に形成されるとみなされるべきである。
【0078】
層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタニウム、タングステン、合金、そのような金属の窒化物もしくはケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン、またはドープされたポリシリコンなどの層などの1つ以上の導電層と、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、または金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層と、単結晶ケイ素などの半導体層と、それらの組み合わせとを含み得る。エッチングされる層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD、低圧CVD、もしくはエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリングもしくは蒸発などの物理蒸着(PVD)、または電気めっきによって形成され得る。エッチングされる1つ以上の層の特定の厚さ102は、材料及び形成されている特定の装置によって様々である。
【0079】
エッチングされる特定の層、フィルム厚、ならびに使用されるフォトリソグラフィ材料及びプロセスに応じて、フォトレジスト層が被覆されることになる層の上にハードマスク層及び/または底部反射防止膜(BARC)を配置することが所望され得る。ハードマスク層の使用は、例えば、非常に薄いレジスト層と共に、エッチングされる層が大きなエッチング深さを要する場合、及び/または特定のエッチング液のレジスト選択性が悪い場合に、所望され得る。ハードマスク層が使用される場合、形成されるレジストパターンは、次いで下部の層をエッチングするためのマスクとして使用され得るハードマスク層に転写され得る。好適なハードマスク材料及び形成方法は、当該技術分野において既知である。典型的な材料としては、例えば、タングステン、チタニウム、窒化チタニウム、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、オキシ窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、オキシ窒化ケイ素、及び窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層は、単一の層、または異なる材料の複数の層を含み得る。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成され得る。
【0080】
基板及び/または下部の層が、フォトレジスト露光中に著しい量の入射放射線を別途反射し、その結果、形成されたパターンの質に悪影響が及ぶ場合には、底部反射防止膜が望ましい場合がある。そのような被覆は、焦点の深さ、露光ラチチュード、線幅均一性、及びCD制御を改善することができる。反射防止膜は、典型的には、レジストが遠紫外線光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)またはArFエキシマレーザー光(193nm)に露光される場合に使用される。反射防止膜は、単一の層または複数の異なる層を含むことができる。好適な反射防止材料及び形成の方法は、当該技術分野において既知である。反射防止材料は、例えば、AR(商標)40A及びAR(商標)124反射防止材料など、AR(商標)商標の下でRohm and Haas Electronic Materials LLC(Marlborough、MA USA)により販売されているものなど、市販されている。
【0081】
上記の本発明の組成物から形成されるフォトレジスト層は、基板上に適用される。本フォトレジスト組成物は、典型的には、スピン被覆によって基板に適用される。スピン被覆中、本明細書内に開示されるように第1及び第2のポリマー両方を含むレジスト組成物において、フォトレジスト中の第1のポリマーは、典型的には上方表面直下の領域内の第2のポリマーと相互混合しながら、形成されたレジスト層の上方表面へ分離する。被覆溶液の固体容量は、利用される特定の被覆設備、溶液の粘度、被覆器具の速度、及びスピンの時間に基づいて、所望のフィルム厚が提供されるように調整され得る。フォトレジスト層の典型的な厚さは、約500〜3000Åである。
【0082】
フォトレジスト層は、次に、層内の溶媒容量を最小限にするためにソフトベークされ得、それによって、不粘着被覆を形成し、かつ層の基板への付着を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上またはオーブン内で実施され得るが、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度及び時間は、例えば、フォトレジストの特定の材料、及び厚さによって異なる。典型的なソフトベークは、約90〜150℃の温度、及び約30〜90秒の時間で実施される。
【0083】
フォトレジスト層は、次に、フォトマスクを介して活性化放射線に好適に露光され、露光領域と非露光領域との間に溶解性の違いを生み出す。フォトレジスト組成物を組成物のために活性化している放射線に露光することに関する本明細書における言及は、放射線がフォトレジスト組成物中で潜像を形成することができることを示す。フォトマスクは、レジスト層の領域に対応する光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域を有し、それぞれ、後続の現像ステップにおいて残され、取り除かれる。露光波長は、典型的には、サブ400nm、サブ300nm、またはサブ200nmであるが、248nm、193nm、及びEUV波長が典型的である。フォトレジスト材料は、電子ビーム露光と共にさらに使用され得る。本方法は、液浸または乾燥(液浸ではない)リソグラフィ技術において使用される。露光エネルギーは、典型的には、露光器具及び感光性組成物の成分によって、約10〜80mJ/cm2である。
【0084】
フォトレジスト層の露光に続き、露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上、またはオーブン内で実施され得る。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物、及び層の厚さに依存する。PEBは、典型的には、約80〜150℃の温度、及び約30〜90秒の時間で実施される。極性が切替えられた領域と切替えられていない領域(それぞれ、露光領域及び非露光領域に対応する)との境界(破線)によって画定される潜像は、フォトレジスト内に形成される。露光後ベーク中に脱保護された第1のポリマーの塩基性部分(例えば、アミン)は、迷光または散乱光が存在し得るフォトレジスト層の暗領域での極性切替えを防ぎ、垂直壁のある潜像をもたらすと考えられる。これは、暗領域内のPAGによって生成された酸の中和の結果である。結果として、それらの領域内の酸に不安定な基の開裂を実質的に防ぎ得る。
【0085】
露光されたフォトレジスト層は、次に、好適に現像されて、フォトレジスト層の非露光領域を取り除く。記載されるように、現像剤は、有機現像剤、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、及びそれらの混合物より選択される溶媒であり得る。好適なケトン溶媒としては、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適なエステル溶媒としては、例えば、メチルアセテート、ブチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、アミルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、及び乳酸プロピルが挙げられる。好適なエーテル溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びグリコールエーテル溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、及びメトキシメチルブタノールが挙げられる。好適なアミド溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。好適な炭化水素溶媒としては、例えば、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。加えて、それらの溶媒の混合物、または上に記載されたもの以外の溶媒と混合された、もしくは水と混合された列挙された溶媒のうちの1つ以上が使用され得る。他の好適な溶媒としては、フォトレジスト組成物に使用されたものが挙げられる。現像剤は、好ましくは、2−ヘプタノン、またはn−ブチルアセテートなどのブチルアセテートである。
【0086】
有機溶媒の混合物、例えば、第1及び第2の有機溶媒の混合物が、現像剤として用いられ得る。第1の有機溶媒は、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸及び乳酸エチルなどのヒドロキシアルキルエステル、ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの直鎖または分岐鎖C
5〜C
6アルコキシアルキルアセテートより選択され得る。第1の有機溶媒のうち、2−ヘプタノン及び5−メチル−2−ヘキサノンが好ましい。第2の有機溶媒は、ブチルアセテート、n−ペンチルアセテート、n−ブチルプロピオン酸、n−ヘキシルアセテート、n−酪酸ブチル、及び酪酸イソブチルなどの直鎖または分岐鎖非置換C
6〜C
8アルキルエステル、ならびに4−オクタノン、2,5−ジメチル−4−ヘキサノン、及び2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなどの直鎖または分岐鎖C
8〜C
9ケトンより選択され得る。第2の有機溶媒のうち、n−ブチルアセテート、n−ブチルプロピオン酸、及び2,6−ジメチル−4−ヘプタノンが好ましい。第1及び第2の有機溶媒の好ましい組み合わせとしては、2−ヘプタノン/n−ブチルプロピオン酸、シクロヘキサノン/n−ブチルプロピオン酸、PGMEA/n−ブチルプロピオン酸、5−メチル−2−ヘキサノン/n−ブチルプロピオン酸、2−ヘプタノン/2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、及び2−ヘプタノン/n−ブチルアセテートが挙げられる。これらのうち、2−ヘプタノン/n−ブチルアセテート、及び2−ヘプタノン/n−ブチルプロピオン酸が特に好ましい。
【0087】
有機溶媒は、典型的には、現像剤の総重量に基づいて90重量%〜100重量%、より典型的には、95重量%超、98重量%超、99重量%超、または100重量%の総量で現像剤中に存在する。
【0088】
現像剤材料は、任意の添加剤、例えば、フォトレジストに関して上に記載されるような界面活性剤を含み得る。そのような任意の添加剤は、典型的には、微量濃度、例えば、現像剤の総重量に基づいて約0.01〜5重量%で存在する。
【0089】
現像剤は、典型的には、スピン被覆によって基板に適用される。現像時間は、フォトレジストの非露光領域を取り除くのに効果的な期間であるが、5〜30秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で実施される。現像プロセスは、現像後に洗浄リンスを使用せずに実施され得る。この点において、本現像プロセスは、残留物のないウェハ表面をもたらすことができ、そのような余分なリンス工程を不必要にすることが分かっている。
【0090】
BARC層は、存在する場合、エッチングマスクとして選択的にエッチングされ、下部のハードマスク層を露光する。ハードマスク層は、次に、再びエッチングマスクとしてレジストパターンを使用して選択的にエッチングされ、パターン化BARC及びハードマスク層をもたらす。好適なエッチング技術、ならびにBARC層及びハードマスク層をエッチングするための化学は、当該技術分野において既知であり、例えば、これらの層の特定の材料に依存する。反応性イオンエッチングなどのドライエッチングプロセスが典型的である。レジストパターン及びパターン化BARC層は、次に、既知の技術、例えば、酸素プラズマ灰化を使用して基板から取り除かれる。
【0091】
以下の非限定的な実施例は、本発明の例示である。
【実施例】
【0092】
概評
第2のポリマー合成
以下のモノマーを、以下に記載されるフォトレジストポリマーの合成に用いた。
【0093】
【化11】
【0094】
実施例1:ポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)(MP−1)の合成
ECPMA(5.092g)、MCPMA(10.967g)、MNLMA(15.661g)、及びHADA(8.280g)のモノマーを、60gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に溶解した。このモノマー溶液を、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。PGMEA(27.335g)を、コンデンサ及び機械撹拌棒を備えた500mLの三つ口フラスコ内に装填し、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。続いて、反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソ酪酸)(0.858g)を、8gのPGMEA中に溶解し、その開始剤溶液を、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。開始剤溶液を反応フラスコ内に添加し、次いでモノマー溶液を、激しい撹拌及び窒素環境下で、3時間の期間にわたって反応器内に液滴供給した。モノマー供給が完了した後、その重合混合物を80℃でさらに1時間静置した。合計4時間の重合時間(3時間の供給及び1時間の供給後撹拌)後、その重合混合物を室温まで冷却させた。メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1634g)内で沈殿を行った。沈殿したパワーを、濾過、一晩の空気乾燥、120gのTHF中での再溶解、及びMTBE(1634g)内への再沈殿により収集した。最終的なポリマーを濾過し、一晩空気乾燥させ、かつ60℃で48時間真空下においてさらに乾燥させて、31.0gのポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)(15/35/30/20)コポリマー(MP−1)(Mw=20,120及びMw/Mn=1.59)を得た。
【0095】
実施例2:ポリ(MCPMA/OTDA/HADA)(MP−2)の合成
MCPMA(17.233g)、OTDA(13.695g)、及びHADA(9.108g)のモノマーを、60gのPGMEA中に溶解した。このモノマー溶液を、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。PGMEA(30.837g)を、コンデンサ及び機械撹拌棒を備えた500mLの三つ口フラスコ内に装填し、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。続いて、反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソ酪酸)(2.359g)を、8gのPGMEA中に溶解し、その開始剤溶液を、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。開始剤溶液を反応フラスコ内に添加し、次いでモノマー溶液を、激しい撹拌及び窒素環境下で、3時間の期間にわたって反応器内に液滴供給した。モノマー供給が完了した後、その重合混合物を80℃でさらに1時間静置した。合計4時間の重合時間(3時間の供給及び1時間の供給後撹拌)後、その重合混合物を室温まで冷却させた。MTBE(1694g)で沈殿を行った。沈殿したパワーを、濾過、一晩の空気乾燥、120gのTHF中での再溶解、及びMTBE(1694g)内への再沈殿により収集した。最終的なポリマーを濾過し、一晩空気乾燥させ、かつ60℃で48時間真空下においてさらに乾燥させて、28.535gのポリ(MCPMA/OTDA/HADA)(50/30/20)コポリマー(MP−2)(Mw=13,474及びMw/Mn=1.64)を得た。
【0096】
実施例3:ポリ(MCPMA/OTDA)(MP−3)の合成
MCPMA(17.234g)、及びOTDA(22.766g)のモノマーを、60gのPGMEA中に溶解した。このモノマー溶液を、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。PGMEA(30.837g)を、コンデンサ及び機械撹拌棒を備えた500mLの三つ口フラスコ内に装填し、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。続いて、反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソ酪酸)(2.359g)を、8gのPGMEA中に溶解し、その開始剤溶液を、20分間窒素をバブリングすることにより脱気した。開始剤溶液を反応フラスコ内に添加し、次いでモノマー溶液を、激しい撹拌及び窒素環境下で、3時間の期間にわたって反応器内に液滴供給した。モノマー供給が完了した後、その重合混合物を80℃でさらに1時間静置した。合計4時間の重合時間(3時間の供給及び1時間の供給後撹拌)後、その重合混合物を室温まで冷却させた。MTBE(1694g)で沈殿を行った。沈殿したパワーを、濾過、一晩の空気乾燥、120gのTHF中での再溶解、及びMTBE(1694g)内への再沈殿により収集した。最終的なポリマーを濾過し、一晩空気乾燥させ、かつ60℃で48時間真空下においてさらに乾燥させて、33.058gのポリ(MCPMA/OTDA)(50/50)コポリマー(MP−3)(Mw=13,109及びMw/Mn=1.80)を得た。
【0097】
実施例4:保護アミンモノマー(TBPMA)の合成
【0098】
【化12】
【0099】
スキーム1.TBPMA(N−t−BOC−ピペリジ−4−オルメタクリレート)の合成
tert−ブチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(50.0g、0.248モル)及びトリエチルアミン(104mL、0.745モル)を、0℃で窒素雰囲気下において、丸底フラスコ内で500mLの塩化メチレン中に溶解した。塩化メタクリロイル(28.33mL、0.298モル)を適加した。反応混合物をゆっくりと室温まで温め、この温度で一晩撹拌させた。
【0100】
反応混合物を、400mLの脱イオン水に移し、有機相を含水重炭酸ナトリウム及び脱イオン水で連続して洗浄した。収集した有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空内に濃縮した。
【0101】
実施例5:第1のポリマー1の合成
【0102】
【化13】
【0103】
スキーム2.ポリ(nBMA/iBMA/TBPMA)(10/80/10)_MK5466−45ポリマーの合成
一連のモノマー、n−ブチルメチルアクリレート(nBMA)(1.76g)、イソ−ブチルメチルアクリレート(iBMA)(28.22g)、及びN−t−BOC−ピペリジ−4−オルメタクリレート(TBPMA)(10.02g)を、室温で丸底フラスコ内で撹拌しながら32.667gのPGMEA中に溶解し、20分間窒素で脱気した。PGMEA(60.667g)を、コンデンサ及び機械撹拌棒を備えたJulabo反応器内に装填した。20分間窒素で脱気した後、Julabo反応器内の溶媒を80℃まで加熱した。他の丸底フラスコ内で、開始剤V601(7.06g)を、10.58gのPGMEA中に溶解し、20分間窒素で脱気した。この開始剤溶液を、Julabo反応器内にゆっくりと添加し、15分間撹拌した。次いで、モノマー溶液を、窒素環境下で激しく撹拌しながら、3時間にわたってJulabo反応器内に液滴供給した。モノマー供給が完了した後、その重合混合物を80℃で1時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却させ、次いで4:1v/vのメタノール:水溶媒混合物(1300g)に添加した。このようにして沈殿されたポリマーを、濾過、及び一晩の空気乾燥によって収集した。乾燥したポリマーを、90gのTHF中に再溶解し、4:1v/vのメタノール:水溶媒混合物(1300g)内で再沈殿させた。最終的なポリマーを濾過し、一晩空気中で、次いで真空下において50℃で24時間乾燥させ、25.32gのポリ(nBMA/iBMA/TBPMA)(8.7/82.1/9.2)コポリマー(MK5466−45)(Mw=6,009及びPDI=1.41)を得た。
【0104】
実施例6:フォトレジスト組成物の合成
フォトレジスト組成物を、以下の成分、PGMEA中の第2のポリマー溶液(20%)40.09g、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中のPAG−A溶液(1%)45.663g、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中のPAG−B溶液(2%)16.019g、メチル−2−ヒドロキシイソ酪酸中のWPAG溶液(2%)10.602g、PGMEA中の消光剤−A溶液(1%)10.695g、PGMEA中の第1のポリマー(5%)3.72g、PGMEA99.156g、ガンマ−ブチロラクトン29.07g、及びメチル−2−ヒドロキシイソ酪酸44.98gを混合することによって調製し、次いで、この混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルタで濾過する。本フォトレジスト組成物の第2のポリマー、PAG−A、PAG−B、WPAG、消光剤A、及び第1のポリマーは以下の構造体を有する。
【0105】
【化14】
【0106】
実施例7:追加の第1のポリマー
1)酸に不安定な基で塞がれた窒素部分を含有するモノマー、及び2)疎水性基を有するモノマーを異なる量で持つ一連の第1のポリマーを、上の実施例5に概して記載されるように合成した。合成された第1のポリマーの平均分子量は、5.5K〜6.1K、ほぼ2.6PDIであった。後退接触角(RCA)及びRmaxは、非常に類似しているか、参照ポリマーよりもわずかに良好であった。結果を以下の表1に示す。表1に示されるポリマーのNPMA単位は、−CH
2=CH(CH
3)C(=O)OCH
2C(CH
3)
3の重合基である。
【0107】
【表1】
【0108】
実施例9:リソグラフィ
HMDSで下塗りされたケイ素ウェハ300mmを、AR(商標)26N(Rohm and Haas Electronic Materials)でスピン被覆し、TEL CLEAN TRAC LITHIUS i+上に第1の底部反射防止膜(BARC)を形成し、その後に205℃で60秒間のベークプロセスが続く。
【0109】
実施例6のフォトレジスト組成物を、BARC層上にスピン被覆する。このように適用されたフォトレジスト層を、次いでソフトベークし、液浸リソグラフィシステム内で193nmの波長を有するパターン化放射線で撮像する。露光されたウェハを、90℃で60秒間露光後ベークし、次いで、およそ30秒間、n−ブチルアセテート現像剤を使用して現像し、フォトレジストのネガティブトーンパターンを得る。