特許第6913711号(P6913711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913711
(24)【登録日】2021年7月14日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】野球又はソフトボール用バット
(51)【国際特許分類】
   A63B 59/56 20150101AFI20210727BHJP
   A63B 59/54 20150101ALI20210727BHJP
   A63B 59/51 20150101ALI20210727BHJP
   A63B 102/18 20150101ALN20210727BHJP
【FI】
   A63B59/56
   A63B59/54
   A63B59/51
   A63B102:18
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-94601(P2019-94601)
(22)【出願日】2019年5月20日
(65)【公開番号】特開2020-188863(P2020-188863A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】398040815
【氏名又は名称】ローリングス・スポーティング・グッズ・カンパニー・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】RAWLINGS SPORTING GOODS COMPANY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 悠貴
【審査官】 石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−119462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0219027(US,A1)
【文献】 特開2019−042149(JP,A)
【文献】 特開2005−305146(JP,A)
【文献】 特開2009−018155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63B59/50−59/59
A63B69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部、打球部、テーパー部、及びグリップ部を有するバット本体と、
第1の層及び前記第1の層の外側に位置する第2の層を含む板ばね部材と
前記板ばね部材を覆う弾性体とを備え、
前記打球部の少なくとも一部に凹部が設けられ、
前記板ばね部材は、前記凹部との間に空洞部を形成するように前記凹部を覆っており
前記板ばね部材の前記第1の層は、外周側に窪みを有し、前記第2の層は、前記第1の層の前記窪みに嵌め込まれており、
前記弾性体は、ポリウレタンからなり、前記弾性体のJIS C硬度は、87〜88である、野球又はソフトボール用バット。
【請求項2】
前記凹部が、前記打球部の中心軸線方向長さの少なくとも一部において、前記打球部の全周にわたって設けられ、前記板ばね部材が円筒形状を有する、請求項1に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項3】
前記板ばね部材の前記第1の層及び前記第2の層が、それぞれ金属、炭素繊維、ガラス繊維、又は樹脂を含む材料で形成されている、請求項1又は2に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項4】
前記材料が、チタン、βチタン、アルミニウム、スカンジウム、マグネシウム、ベリリウム、鉄、ステンレス、スチール、銅、インコネル、炭素繊維、ガラス繊維、樹脂、又は繊維強化プラスチックのいずれか1種または2種以上からなる、請求項3に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項5】
前記板ばね部材の前記第1の層は、炭素繊維からなり、前記第2の層は、βチタンからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項6】
前記板ばね部材が、前記打球部の軸線方向に連結された複数の板ばね要素からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項7】
前記板ばね部材が、10〜350GPaのヤング率を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項8】
前記板ばね部材が、0.01〜15.0mmの厚さを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項9】
前記凹部が、前記打球部の中心軸線方向全長にわたって設けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項10】
前記弾性体が、0.01〜15.0mmの厚さを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【請求項11】
前記弾性体が、円筒形状を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の野球又はソフトボール用バット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球又はソフトボール用バットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟式野球やソフトボール用のバットとして、近年、複合バットの研究が進んでいる。複合バットとは、金属、樹脂、ゴム、又は繊維強化プラスチック(FRP)等の材料を組み合わせて作製したバットを指し、旧来の木製バットや金属バットと比べて、材料選択や内部構造設計の自由度が高いことに特徴がある。
【0003】
打球速度を向上させること及び/又は打球の飛距離を伸ばすことを目的として、打球部に工夫がなされた複合バットが開発されている。例えば、特開2003−19236号公報(特許文献1)には、打球部に反発係数の高い弾性体を設けたバットが開示されている。また、特開2005−245943号公報(特許文献2)には、打球部に複数の弾性体の層を設けたバットが開示されている。
【0004】
これらのバットにおいては、打球のインパクトの際に打球部の弾性体が変形し、その復元力によりボールを押し返す効果がある。また、弾性体が変形する分ボールの変形が抑えられ、その結果、ボールの変形によるエネルギー損失が抑えられる効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−19236号公報
【特許文献2】特開2005−245943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような複合バットは、打球部に弾性体を備えたことで、旧来の木製バットや金属バットと比べて打球速度及び飛距離が確かに向上した。しかしながら、このような効果は弾性体を構成する材料(ポリウレタン等)の性質によるところが大きく、更なる効果を実現するためには構造的な限界があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、従来の複合バットと比べて打球速度及び飛距離が更に向上した複合バットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、先端部、打球部、テーパー部、及びグリップ部を有するバット本体と、板ばね部材とを備え、打球部の少なくとも一部に凹部が設けられ、板ばね部材は、凹部との間に空洞部を形成するように凹部を覆っている、野球又はソフトボール用バットが提供される。
【0009】
本発明の一具体例によれば、凹部が、打球部の中心軸線方向長さの少なくとも一部において、打球部の全周にわたって設けられることが好ましく、更に、板ばね部材が円筒形状を有することが好ましい。
【0010】
本発明の一具体例によれば、板ばね部材が、金属、炭素繊維、ガラス繊維、又は樹脂を含む材料で形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の一具体例によれば、上記材料が、チタン、βチタン、アルミニウム、スカンジウム、マグネシウム、ベリリウム、鉄、ステンレス、スチール、銅、インコネル、炭素繊維、ガラス繊維、樹脂、又は繊維強化プラスチックのいずれか1種または2種以上からなることが好ましい。
【0012】
本発明の一具体例によれば、板ばね部材が、炭素繊維及びβチタンの複合材料からなることが好ましい。
【0013】
本発明の一具体例によれば、板ばね部材が、少なくとも2層を含む複数の層からなることが好ましい。
【0014】
本発明の一具体例によれば、上記複数の層が、炭素繊維層及びβチタン層を含むことが好ましい。
【0015】
本発明の一具体例によれば、打球部の軸線方向に連結された複数の板ばね要素からなることが好ましい。
【0016】
本発明の一具体例によれば、板ばね部材が、10〜350GPaのヤング率を有することが好ましい。
【0017】
本発明の一具体例によれば、板ばね部材が、0.01〜15.0mmの厚さを有することが好ましい。
【0018】
本発明の一具体例によれば、凹部が、打球部の中心軸線方向全長にわたって設けられていることが好ましい。
【0019】
本発明の一具体例によれば、野球用又はソフトボール用バットが、板ばね部材を覆う弾性体を更に備えることが好ましい。
【0020】
本発明の一具体例によれば、弾性体が、ポリウレタン、発泡ウレタン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、又は熱可塑性エラストマーのいずれか1種または2種以上からなることが好ましい。
【0021】
本発明の一具体例によれば、弾性体が、0.01〜15.0mmの厚さを有することが好ましい。
【0022】
本発明の一具体例によれば、弾性体が、円筒形状を有することが好ましい。
【0023】
上述のとおり、本発明のバットは、打球部に板ばね部材を備え、打球部と板ばね部材との間に空洞部を設けている。このような構成としたことで、インパクトの際に板ばね部材が撓むことができ、撓んだばね部材の復元力によりボールを押し返すことができる。更に、インパクトの際に板ばね部材が撓む分、打球部に衝突したボールの変形が抑えられ、ボールの変形によるエネルギー損失が抑えられる。この結果、打球速度が向上し、ひいては飛距離を伸ばすことができる。
【0024】
本発明及びその多くの利点を、添付の概略図面を参照して以下により詳細に述べる。図面は、例示の目的で、いくつかの非限定的な実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のバットの外観。
図2】本発明のバットの側断面図。
図3】一実施例による板ばね部材の外観。
図4A図3の線A−Aに沿って切断した板ばね部材の断面図。
図4B図3の線B−Bに沿って切断した板ばね部材の断面図。
図5】変形例1によるバットの側断面図。
図6】変形例2による板ばね部材の外観。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に本発明によるバット1の一具体例の外観を示す。バット本体2は、先端部3、打球部4、テーパー部5、及びグリップ部6を備えている。バット本体2の材料は限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、又は金属の複合材料で形成されることが好ましい。
【0027】
図2は、本発明によるバット1の側断面図である。打球部4には凹部7が設けられており、凹部7を覆って板ばね部材8が取り付けられている。凹部7と板ばね部材8との間には、空洞部が形成されており、この空洞部の存在により、打球時に板ばね部材8が撓むことができる。
【0028】
図2に示す凹部7は、打球部4の中心軸線方向の一部の位置において設けられているが、打球部4の中心軸線方向の全長にわたって設けられていてもよい。また、図2に示す凹部7は、打球部4の全周にわたって設けられているが、打球部4の周上の一部にのみ設けられていてもよい。更に、凹部7の形状は図2に示す形状以外の形状であってもよい。
【0029】
凹部7の深さは限定されないが、0.01〜25.0mmの深さを有してよく、好ましくは、3.0〜5.0mmの深さを有してよい。板ばね部材8の厚さは限定されないが、例えば0.01〜15.0mmであってよく、好ましくは0.5〜2.0mmであってよい。凹部7と板ばね部材8との間に形成される空洞部の深さは、打球時に板ばね部材8が撓むことができる余裕があればよく、例えば0.01mm以上であればよい。凹部7の深さが小さい場合、空洞部が小さくなり、インパクトの際に板ばね部材8が十分に撓むことができなくなる可能性がある。反対に、凹部7の深さが大きい場合、打球部4の強度が低くなり、バット1の耐久性が不足する可能性がある。
【0030】
本実施例における板ばね部材8は、円筒形状であるが、凹部7を覆うことができれば他の形状でもよく、例えば多角筒形状や、複数の板を組み合わせた形状であってもよい。
【0031】
図3は、本実施例の板ばね部材8の一具体例を示す外観であり、図4A及び図4Bは、それぞれ、図3の線A−A及び線B−Bに沿って切断した板ばね部材8の断面図である。
【0032】
図3に示すように、本実施例の板ばね部材8は、軸線方向の一部において、第1の要素81の外側に第2の要素82が嵌め込まれた2層構造となっている。板ばね部材8は、例えば第1の要素81及び第2の要素82を一体成形することにより形成されてよい。
【0033】
第1の要素81及び第2の要素82は、例えばチタン、βチタン、アルミニウム、スカンジウム、マグネシウム、ベリリウム、鉄、ステンレス、スチール、銅、インコネル、炭素繊維、ガラス繊維、樹脂、又は繊維強化プラスチックのいずれか1種または2種以上から形成されてよく、好ましくは、第1の要素81は炭素繊維から形成され、第2の要素82はβチタンから形成されてよい。
【0034】
第2の要素82が嵌め込まれない部分における第1の要素81の厚さは、例えば0.01〜15.0mmであってよく、好ましくは0.5〜2.0mmであってよい。第2の要素82が嵌め込まれる部分における第1の要素81の厚さは、例えば0.01〜15.0mmであってよく、好ましくは0.5〜2.0mmであってよい。第2の要素82の厚さは、例えば0.01〜15.0mmであってよく、好ましくは0.5〜2.0mmであってよい。板ばね部材8は、全体として厚さが均一であることが好ましいが、厚さが不均一であってもよい。
【0035】
本実施例の板ばね部材8のヤング率は、第1の要素81及び第2の要素82の材料を変えることにより調整することができるが、例えば10〜350GPaであってよく、好ましくは、95〜115GPaであってよい。板ばね部材8は、ヤング率が高い場合、インパクトの際に撓み難くなる反面、一定の撓み量に対する復元力が強くなる。反対に、ヤング率が低い場合、インパクトの際に撓み易くなる反面、一定の撓み量に対する復元力が弱くなる。
【0036】
本実施例の板ばね部材8のロックウェル硬さは、例えば1〜200HRB又は1〜100HRCであってよく、好ましくは36〜40HRCであってよい。また、板ばね部材8の引張強度は、10Ksi〜1000Ksiであってよい。板ばね部材8は、ロックウェル硬さ及び引張強度の数値を高くすることで、強度を保ちつつ肉厚を薄くすることができ、その結果、板ばね部材8の撓み量が増え、反発力が高められる。
【0037】
(変形例1)
図5は、変形例1によるバットの側断面図である。板ばね部材8の外側には、円筒形状の弾性体9が例えば接着剤等により固定されている。弾性体9は、例えばポリウレタン、発泡ウレタン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、又は熱可塑性エラストマーのいずれか1種または2種以上から作製されてよく、好ましくはポリウレタンで作製されてよい。弾性体9のJIS C硬度は、例えば80以上としてよく、好ましくは85以上としてよい。また、用途により80以下としてもよい。なお一般に、2つの物体が衝突するとき、互いの硬度が近いほど両者の反発が強くなることが知られている。例えば、軟式野球ボールM号がJIS C硬度87〜88程度であることを考慮して、弾性体9のJIS C硬度を87〜88程度としてもよい。
【0038】
弾性体9は、0.01〜15.0mmの厚さを有してよいが、これに限定されない。また、弾性体9は円筒形状を有してよいが、これに限定されない。本変形例1は、弾性体9を設けること以外については、実施例1と同様である。
【0039】
変形例1においては、このような弾性体9を設けたことで、打球の際に一層の反発力を得ることが可能となる。更に、打球部表面の摩擦係数が向上し、ボールを捉え易くなる効果がある。
【0040】
また、変形例1においては、板ばね部材8及び弾性体9を別々の部材として設けているが、更なる変形例として、板ばね部材8及び弾性体9を例えば一体成形により1つの部材として設けてもよい。
【0041】
(変形例2)
図6は、変形例2による板ばね部材8の一具体例を示す外観である。本変形例2の板ばね部材8は、第1の要素81と第2の要素82とが打球部4の軸線方向に連結した構成を有する。板ばね部材8は、例えば第1の要素81及び第2の要素82を一体成形することにより形成されてよい。
【0042】
本変形例2による第1の要素81及び第2の要素82は、例えばチタン、βチタン、アルミニウム、スカンジウム、マグネシウム、ベリリウム、鉄、ステンレス、スチール、銅、インコネル、炭素繊維、ガラス繊維、樹脂、又は繊維強化プラスチックのいずれか1種または2種以上から形成されてよく、好ましくは、第1の要素81は炭素繊維から形成され、第2の要素82はβチタンから形成されてよい。
【0043】
本変形例2による第1の要素81及び第2の要素82の厚さは、例えば0.01〜15.0mmであってよく、好ましくは0.5〜2.0mmであってよい。板ばね部材8は、全体として厚さが均一であることが好ましいが、厚さが不均一であってもよい。また、板ばね部材8のヤング率、ロックウェル硬さ、及び引張強度は、実施例1と同様としてよい。本変形例2は、板ばね部材8以外の点については、実施例1と同様である。
【0044】
(変形例3)
本変形例3による板ばね部材8は、図示しないが、単一の要素から構成される。
【0045】
本変形例3による板ばね部材8は、例えばチタン、βチタン、アルミニウム、スカンジウム、マグネシウム、ベリリウム、鉄、ステンレス、スチール、銅、インコネル、炭素繊維、ガラス繊維、樹脂、又は繊維強化プラスチックのいずれかから形成されてよく、好ましくは、炭素繊維又はβチタンから形成されてよい。
【0046】
本変形例3による板ばね部材8の厚さは、例えば0.01〜15.0mmであってよく、好ましくは0.5〜2.0mmであってよい。板ばね部材8は、全体として厚さが均一であることが好ましいが、厚さが不均一であってもよい。また、板ばね部材8のヤング率、ロックウェル硬さ、及び引張強度は、実施例1と同様としてよい。本変形例3は、板ばね部材8以外の点については、実施例1と同様である。
【0047】
変形例1〜3のいずれの場合においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、各要素を構成する材料や形状についても、実施例1と同様に適宜調整してよい。
【実施例】
【0048】
次に、本実施例のバットを用いた試打テストの結果を示す。表1は、大学野球選手6名が、それぞれ20球の試打を行ったときの打球速度のデータである。本発明のバットとして、打球部に深さ5.0mmの凹部を設け、凹部を覆って厚さ2.0mmの板ばね部材を固定し、その外側に厚さ6.0mmのポリウレタンからなる弾性体を取り付けたバットを用いた。板ばね部材は、炭素繊維層の外側にβチタン層を嵌め込んだ2層構造を有し、βチタン層が嵌め込まれない部分における炭素繊維層の厚さは2.0mm、βチタン層が嵌め込まれる部分における炭素繊維層の厚さは、1.5mm、βチタン層の厚さは0.5mmとした。また、比較のため従来のバットとして、打球部に厚さ8.5mmのポリウレタンからなる弾性体を取り付けたバットを用いた。投球はソフトトスにより行い、打球速度の測定は、レーダーとカメラを組み合わせた野球打撃用トラッキングシステムを用いて行った。
【0049】
【表1】
【0050】
表1の[プレイヤー平均]を見ると、本発明のバットは、従来のバットの場合と比較して最大打球速度が126.9km/hから132.1km/hへと約4.1%向上している。このように、本発明のバットを用いることで、従来のバットよりも大きな打球速度が得られることがわかる。
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の原理と添付の請求の範囲の範囲内で種々の変更および修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0051】
1 バット
2 バット本体
3 先端部
4 打球部
5 テーパー部
6 グリップ部
7 凹部
8 板ばね部材
81 第1の要素
82 第2の要素
9 弾性体
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6