【実施例1】
【0018】
図1は、本発明が好適に適用された連続搬送式の熱処理炉12の概略構成を説明する斜視図である。熱処理炉12は、粉体状或いはペレット状の被処理材料10を収容すなわち載置した熱処理容器14を、Al
2O
3、SiCなどの耐熱性無機材料の焼結体である複数本の搬送ローラ16によって連続的に且つ直線的にそれぞれ搬送して、所定の炉内雰囲気下例えば不活性ガス雰囲気下で熱処理容器14内の被処理材料10を所定温度で熱処理するローラハースキルンである。なお、熱処理炉12は、
図1に示すように、熱処理炉12内に並列に且つ同間隔で配置された相互に同径の円柱状の搬送ローラ16と、搬送ローラ16をそれぞれ同期して回転駆動させる駆動装置(図示しない)と、を備えており、熱処理炉12では、搬送ローラ16上に配置された熱処理容器14が一方向すなわち搬送方向F1に搬送されるようになっている。また、被処理材料10は、例えば、電池材料であり、好ましくは、全固体電池の電極材料、リチウムイオン電池の電極材料である。
【0019】
例えば、熱処理炉12内では、
図1に示すように、連結具18によってそれぞれ連結された熱処理容器14が4つずつ搬送方向F1に搬送されるようになっている。なお、
図1に示す4つの熱処理容器14は、それぞれ同じ形状すなわちそれぞれ矩形箱状であり、4つの熱処理容器14は、それぞれ、ムライト・コーディエライト、ムライト、コーディエライト、アルミナ、スピネル、SiC、チタン酸アルミニウムなどの耐熱性無機材料の焼結体から構成されている。また、連結具18も例えば上記のような耐熱性無機材料の焼結体から構成されている。
【0020】
4つの熱処理容器14は、
図1に示すように、それぞれ、正方形状の底壁14aと、底壁14aの搬送方向F1側に立設された前壁(側壁)14bと、底壁14aの搬送方向F1とは反対側に立設された後壁(側壁)14cと、底壁14aの搬送方向F1に向かって右側に立設された右壁(側壁)14dと、底壁14aの搬送方向F1に向かって左側に立設された左壁(側壁)14eと、を一体に備えている。また、
図1に示すように、前壁14b、後壁14c、右壁14d、および左壁14eには、それぞれ、
図2に示すように熱処理容器14を多段積み(
図2では2段積み)した場合において熱処理によって被処理材料10から発生するガスを熱処理容器14内から排出する切欠14fが形成されている。なお、前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eの上面14gは、それぞれ、同じ平面内に形成されており、前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eの上面14gは、それぞれ、底壁14aに対して平行である。また、前壁14b、後壁14c、右壁14d、および左壁14eによって形成された熱処理容器14の4つの角部14hには、連結具18が熱処理容器14の角部14hに組み付けられた場合に、
図2に示すように連結具18の上面18aが前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eの上面14gと同じ平面内となるように、または、連結具18の上面18aが前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eの上面14gよりも底壁14a側に配置されるように、それぞれ切欠14iが形成されている。これによって、連結具18によって連結された熱処理容器14を好適に多段積みすることができる。なお、
図2は、
図1に示すように連結具18によってそれぞれ連結された熱処理容器14を例えば2段に積んだ状態を示す図である。
【0021】
ここで、
図1に示された4つの熱処理容器14を、熱処理容器14Aと、熱処理容器14Bと、熱処理容器14Cと、熱処理容器14Dと、にそれぞれ区別して、連結具18の構成を説明する。なお、熱処理容器14Aは、4つの熱処理容器14の搬送方向F1とは反対側に配置された一対の熱処理容器14のうちの搬送方向F1に向かって右側に配置された熱処理容器14である。また、熱処理容器14Bは、熱処理容器14Aに対して搬送方向F1に隣接する熱処理容器14である。また、熱処理容器14Cは、熱処理容器14Bに対して搬送方向F1に直交する直交方向(方向)F2に隣接する熱処理容器14、すなわち熱処理容器14Bに対して搬送方向F1に向かって左側に配置された熱処理容器14である。また、熱処理容器14Dは、熱処理容器14Aに対して搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する熱処理容器14、すなわち熱処理容器14Aに対して搬送方向F1に向かって左側に配置された熱処理容器14である。
【0022】
連結具18は、
図1、
図3、
図4に示すように、板状本体18bと、一対の第1係合突起(係合突起)18c、18dと、一対の第2係合突起(係合突起)18e、18fと、スペーサ突起18gと、を一体に含んでいる。なお、板状本体18bは、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの底壁14aよりも大きさが小さい例えば正方形状の板状部材である。また、一対の第1係合突起18c、18dは、板状本体18bの2つの角部18hから角柱状に突設され、熱処理容器14Aに形成された角部14hと熱処理容器14Bに形成された角部14hとに係合する。すなわち、第1係合突起18cは、熱処理容器14Aに形成された前壁14bと左壁14eとの間の角部14hに係合し、第1係合突起18dは、熱処理容器14Bに形成された後壁14cと左壁14eとの間の角部14hと係合する。また、一対の第2係合突起18e、18fは、板状本体18bの2つの角部18hから角柱状に突設され、熱処理容器14Cに形成された角部14hと熱処理容器14Dに形成された角部14hとに係合する。すなわち、第2係合突起18eは、熱処理容器14Cに形成された後壁14cと右壁14dとの間の角部14hに係合し、第2係合突起18fは、熱処理容器14Dに形成された前壁14bと右壁14dとの間の角部14hに係合する。つまり、板状本体18bに突設された一対の第1係合突起18c、18dおよび一対の第2係合突起18e、18fは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hに係合する一対と、一対の熱処理容器14A、14Bに対して搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Dの角部14hに係合する一対とで、合計4つの係合突起である。なお、
図3は、
図1に示された連結具18を拡大した拡大図であり、
図4は、
図3に示された連結具18を矢印A方向から見た図である。
【0023】
スペーサ突起18gは、
図4に示すように、搬送方向隙間形成部18iと、側方方向隙間形成部18jと、を有している。
図4に示すように、搬送方向隙間形成部18iは、搬送方向F1に直交する直交方向F2に角柱状に伸びる長手状であり、側方方向隙間形成部18jは、搬送方向F1に角柱状に伸びる長手状である。すなわち、スペーサ突起18gは、搬送方向隙間形成部18iと側方方向隙間形成部18jとが直交した突起である。
【0024】
搬送方向隙間形成部18iは、
図1、
図3、
図4に示すように、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hの間、および、一対の熱処理容器14A、14Bに対して直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Dの角部14hの間に、それぞれ挟まれるように、板状本体18bの一対の第1係合突起18c、18dの間と板状本体18bの一対の第2係合突起18e、18fの間とから突設されている。すなわち、搬送方向隙間形成部18iは、一対の第1係合突起18c、18dが係合する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hの間、および、一対の第2係合突起18e、18fが係合する一対の熱処理容器14C、14Dの角部14hの間に、それぞれ挟まれるように、板状本体18bの一対の第1係合突起18c、18dの間と板状本体18bの一対の第2係合突起18e、18fの間とから突設されている。このため、連結具18が
図1に示すように熱処理容器14A、14B、14C、14Dの角部14hに組み付けられると、スペーサ突起18gの搬送方向隙間形成部18iが搬送方向F1に隣接する熱処理容器14A、14Bの角部14hの間と搬送方向F1に隣接する熱処理容器14C、14Dの角部14hの間とにそれぞれ介在されて、熱処理容器14Aの前壁14bと熱処理容器14Bの後壁14cとの間と熱処理容器14Cの後壁14cと熱処理容器14Dの前壁14bとの間とに隙間すなわち搬送方向隙間S1が形成される。
【0025】
側方方向隙間形成部18jは、
図1、
図3、
図4に示すように、一対の熱処理容器14A、14Dの角部14hの間、および、一対の熱処理容器14B、14Cの角部14hの間に、それぞれ挟まれるように、板状本体18bの第1係合突起18cと第2係合突起18fとの間と板状本体18bの第1係合突起18dと第2係合突起18eとの間とから突設されている。すなわち、側方方向隙間形成部18jは、第1係合突起18cと第2係合突起18fとが係合する一対の熱処理容器14A、14Dの角部14hの間、および、第1係合突起18dと第2係合突起18eとが係合する一対の熱処理容器14B、14Cの角部14hの間に、それぞれ挟まれるように、板状本体18bの第1係合突起18cと第2係合突起18fとの間と板状本体18bの第1係合突起18dと第2係合突起18eとの間とから突設されている。このため、連結具18が
図1に示すように熱処理容器14A、14B、14C、14Dの角部14hに組み付けられると、スペーサ突起18gの側方方向隙間形成部18jが直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14Dの角部14hの間と直交方向F2に隣接する熱処理容器14B、14Cの角部14hの間とにそれぞれ介在されて、熱処理容器14Aの左壁14eと熱処理容器14Dの右壁14dとの間と熱処理容器14Bの左壁14eと熱処理容器14Cの右壁14dとの間とに隙間すなわち側方方向隙間S2が形成される。
【0026】
以上のように構成された熱処理炉12では、連結具18によって連結された4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dのうちの熱処理容器が蛇行しようとすると、熱処理容器14A、14B、14C、14Dに形成された角部14hが一対の第1係合突起18c、18dや一対の第2係合突起18e、18fに係合して熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の移動が規制される。また、4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間にスペーサ突起18gが挟まれることによって、4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の接近が規制されて、4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に搬送方向隙間S1および側方方向隙間S2が形成された状態で連結具18によって連結された4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dが熱処理炉12内で搬送される。なお、4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に隙間すなわち搬送方向隙間S1および側方方向隙間S2を形成させることによって、隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dとの間の温度差により発生する熱衝撃を好適に緩和することができると共に、隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14D同士のくっつきを好適に抑制することができる。
【0027】
上述のように、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、熱処理容器14A、14B、14C、14Dよりも小さい板状本体18bと、板状本体18bから突設され、熱処理容器14A、14Bに形成された角部14hと係合する一対の第1係合突起18c、18dと、板状本体18bから突設され、熱処理容器14C、14Dに形成された角部14hと係合する一対の第2係合突起18e、18fと、一対の第1係合突起18c、18dが係合する熱処理容器14A、14Bの間と一対の第2係合突起18e、18fが係合する熱処理容器14C、14Dの間とに挟まれるように、板状本体18bの一対の第1係合突起18c、18dの間と板状本体18bの一対の第2係合突起18e、18fの間とから突設されたスペーサ突起18gと、を含む。このため、熱処理容器14A、14B、14C、14Dが蛇行しようとすると、熱処理容器14A、14B、14C、14Dに形成された角部14hが一対の第1係合突起18c、18dや一対の第2係合突起18e、18fに係合して熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の移動が規制されるので、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの蛇行を抑制することができる。また、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間にスペーサ突起18gが挟まれることによって、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の接近が規制されて、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に搬送方向隙間S1および側方方向隙間S2が形成された状態で熱処理容器14A、14B、14C、14Dが熱処理炉12内で搬送されるので、熱処理後の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの分離が容易であり熱処理炉12内の雰囲気の循環が悪化することを抑制できる。
【0028】
また、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、一対の第1係合突起18c、18dと一対の第2係合突起18e、18fは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hと係合する一対と、搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Dの角部14hと係合する一対とで、合計4つの係合突起であり、スペーサ突起18gは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの間、および搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Dの間に、それぞれ挟まれるように、板状本体18bの前記4つの係合突起の間から突設されている。このため、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bと、搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Dと、の合計4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の移動が規制されるので、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの蛇行を、一つの連結具18によって、好適に抑制することができる。
【0029】
また、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、スペーサ突起18gは、搬送方向F1に隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に介在して搬送方向隙間S1を形成する搬送方向隙間形成部18iと、搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に介在して側方方向隙間S2を形成する側方方向隙間形成部18jとを有している。このため、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bと、搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Bと、の合計4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の接近が規制されるので、搬送方向F1に隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に搬送方向隙間S1が形成され且つ搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に側方方向隙間S2が形成された状態で搬送することができる。
【0030】
また、本実施例の熱処理容器14A、14B、14C、14Dの連結具18によれば、搬送方向隙間形成部18iは、搬送方向F1に直交する直交方向F2に長手状であり、側方方向隙間形成部18jは、搬送方向F1に長手状であり、スペーサ突起18gは、搬送方向隙間形成部18iと側方方向隙間形成部18jとが直交した突起である。このため、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bと、搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する一対の熱処理容器14C、14Dと、の合計4つの熱処理容器14A、14B、14C、14Dの相互の接近が規制されるので、搬送方向F1に隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に搬送方向隙間S1が形成され且つ搬送方向F1に直交する直交方向F2に隣接する熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に側方方向隙間S2が形成された状態で搬送することができる。
【0031】
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0032】
図5は、本発明の他の実施例の熱処理炉100の概略構成を説明する斜視図である。本実施例の熱処理炉100は、
図5に示すように、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bを搬送方向F1に搬送する点と、一対の熱処理容器14A、14Bを一対の第1連結具(連結具)102および第2連結具(連結具)104によって連結している点と、で相違しており、その他は、実施例1の熱処理炉12と略同じである。なお、一対の第1連結具102および第2連結具104は、実施例1の連結具18と同様の耐熱性無機材料の焼結体から構成されている。
【0033】
図5乃至
図7に示すように、第1連結具102は、板状本体102aと、一対の係合突起102b、102cと、スペーサ突起102dと、を一体に含んでいる。また、第2連結具104は、板状本体104aと、一対の係合突起104b、104cと、スペーサ突起104dと、を一体に含んでいる。なお、第1連結具102と第2連結具104とは同じ形状に形成されている。また、
図6は、
図5に示された一対の第1連結具102および第2連結具104の一方の連結具を拡大した拡大図である。また、
図7は、
図6の連結具を矢印B方向から見た図である。
【0034】
板状本体102aと板状本体104aとは、それぞれ、熱処理容器14A、14Bの底壁14aよりも大きさが小さい例えば長方形状の板状部材である。一対の係合突起102b、102cは、
図5乃至
図7に示すように、板状本体102aの2つの角部102eから角柱状に突設され、熱処理容器14Bに形成された角部14hと熱処理容器14Aに形成された角部14hとに係合する2つの係合突起である。なお、係合突起102bは、熱処理容器14Bに形成された後壁14cと右壁14dとの間の角部14hと係合し、係合突起102cは、熱処理容器14Aに形成された前壁14bと右壁14dとの間の角部14hと係合する。一対の係合突起104b、104cは、
図5乃至
図7に示すように、板状本体104aの2つの角部104eから角柱状に突設され、熱処理容器14Aに形成された角部14hと熱処理容器14Bに形成された角部14hとに係合する2つの係合突起である。なお、係合突起104bは、熱処理容器14Aに形成された前壁14bと左壁14eとの間の角部14hと係合し、係合突起104cは、熱処理容器14Bに形成された後壁14cと左壁14eとの間の角部14hと係合する。
【0035】
スペーサ突起102dは、
図5乃至
図7に示すように、搬送方向F1に直交する直交方向F2に角柱状に伸びる長手状の突起である。スペーサ突起102dは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hの間に挟まれるように、すなわち熱処理容器14Aに形成された前壁14bと右壁14dとの間の角部14hと熱処理容器14Bに形成された後壁14cと右壁14dとの間の角部14hとの間に挟まれるように、板状本体102aの一対(2つ)の係合突起102b、102cの間から突設されている。
【0036】
スペーサ突起104dは、
図5乃至
図7に示すように、搬送方向F1に直交する直交方向F2に角柱状に伸びる長手状の突起である。スペーサ突起104dは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hの間に挟まれるように、すなわち熱処理容器14Aに形成された前壁14bと左壁14eとの間の角部14hと熱処理容器14Bに形成された後壁14cと左壁14eとの間の角部14hとの間に挟まれるように、板状本体104aの一対(2つ)の係合突起104b、104cの間から突設されている。このため、一対の第1連結具102および第2連結具104が
図5に示すように熱処理容器14A、14Bの角部14hに組み付けられると、スペーサ突起102dとスペーサ突起104dとが搬送方向F1に隣接する熱処理容器14A、14Bの角部14hとの間に介在されて、熱処理容器14Aの前壁14bと熱処理容器14Bの後壁14cとの間に隙間S3が形成される。
【0037】
以上のように構成された熱処理炉100では、一対の第1連結具102および第2連結具104によって連結された一対の熱処理容器14A、14Bが蛇行しようとすると、熱処理容器14Aに形成された角部14hと熱処理容器14Bに形成された角部14hとが第1連結具102の一対の係合突起102b、102cや第2連結具104の一対の係合突起104b、104cに係合して一対の熱処理容器14A、14Bの相互の移動が規制される。また、一対の熱処理容器14A、14Bの間にスペーサ突起102d、104dが挟まれることによって、一対の熱処理容器14A、14Bの相互の接近が抑制されて、一対の熱処理容器14A、14Bの間に隙間S3が形成された状態で一対の第1連結具102および第2連結具104によって連結された一対の熱処理容器14A、14Bが熱処理炉100内で搬送される。
【0038】
上述のように、本実施例の熱処理容器14A、14Bの第1連結具102によれば、一対の係合突起102b、102cは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hと係合する2つの係合突起であり、スペーサ突起102dは、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの間に挟まれるように、板状本体102aの前記2つの係合突起の間から突設されている。このため、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの相互の移動が規制されるので、それら縦列する熱処理容器14A、14Bの蛇行を抑制しつつ、搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bを搬送方向F1に隣接する一対の熱処理容器14A、14Bの間に隙間S3が形成された状態で搬送することができる。
【実施例4】
【0041】
図10は、本発明の他の実施例の熱処理炉に設けられた熱処理容器114の構成を説明する斜視図である。本実施例の熱処理炉は、熱処理容器114の形状が実施例1の熱処理容器14の形状と異なっている点で相違しており、その他は、実施例1の熱処理炉12と略同じである。熱処理容器114は、
図1および
図10に示すように、実施例1の熱処理容器14から4つの角部14hを除いて前壁14b、後壁14c、右壁14d、左壁14eが取り除かれた形状となっている。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0043】
例えば、前述の実施例1の連結具18では、一対の第1係合突起18c、18dおよび一対の第2係合突起18e、18fがそれぞれ角柱状に突設されていたが、例えば、一対の第1係合突起18c、18dおよび一対の第2係合突起18e、18fをそれぞれ円柱状に突設させても良い。すなわち、一対の熱処理容器14A、14Bの角部14hや一対の熱処理容器14C、14Dの角部14hに係合することができるのであれば、一対の第1係合突起18c、18dや一対の第2係合突起18e、18fの形状はどのような形状であっても良い。また、スペーサ突起18gの搬送方向隙間形成部18iや側方方向隙間形成部18jは、それぞれ角柱状に伸びる突起であったが、例えば、搬送方向隙間形成部18iや側方方向隙間形成部18jをそれぞれ円柱状に伸びる突起にしても良い。すなわち、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に搬送方向隙間S1や側方方向隙間S2を形成させることができるのであれば、搬送方向隙間形成部18iや側方方向隙間形成部18jの形状はどのような形状であっても良い。
【0044】
また、前述の実施例1の連結具18のスペーサ突起18gは、搬送方向隙間形成部18iと側方方向隙間形成部18jとをそれぞれ有していたが、例えば、スペーサ突起18gは、搬送方向隙間形成部18iと側方方向隙間形成部18jとの一方を有しているだけでも良い。すなわち、熱処理容器14A、14B、14C、14Dの間に搬送方向隙間S1と側方方向隙間S2との一方の隙間が形成されることによって、熱処理炉12内の雰囲気の循環が悪化することを抑制できる。
【0045】
また、前述の実施例2では、一対の熱処理容器14A、14Bが一対の第1連結具102および第2連結具104によって連結されていたが、例えば一対の第1連結具102および第2連結具104の一方の連結具だけで一対の熱処理容器14A、14Bを連結しても良い。
【0046】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。