(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記火炉側ブロック製造ステップ又は前記ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップの少なくとも一方は、前記一対のブロックのうちの少なくとも一方の前記接合部を切断代を有する形状に形成する切断代形成ステップを含み、
前記ボイラ本体形成ステップは、前記設置位置に設置された前記火炉側ブロックと前記ボイラ後部煙道側ブロックとの間隔に応じて前記切断代を切断する切断代切断ステップを含む、
請求項8又は9に記載のボイラの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態にかかるボイラの製造方法の一例を説明するための説明図である。
図2は、本開示の一実施形態にかかるボイラの構成を概略的に示す概略構成図である。
幾つかの実施形態にかかるボイラの製造方法1は、
図2に示されるような、ボイラ2を製造するための方法である。
【0013】
(ボイラ)
ボイラ2は、
図2に示されるように、ボイラ本体3を備える。ボイラ本体3の内部には、火炉21と、火炉21で生成された燃焼ガスを導く燃焼ガス通路(後部煙道)22とが形成されている。火炉21と燃焼ガス通路22は、ボイラ本体3の内部に設けられた仕切壁(火炉後壁)6により区画されている。仕切壁6の上部には、火炉21と燃焼ガス通路22とを連通させる火炉出口60が形成されている。
【0014】
図示される実施形態では、ボイラ2は、火炉21に燃料を供給するための燃料供給ライン23と、火炉21に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気供給ライン24と、をさらに備える。ボイラ2は、燃料供給ライン23を介して火炉21に供給された燃料に、燃焼用空気供給ライン24を介して火炉21に供給された空気を混同させ、上記燃料を燃焼させるように構成されている。燃料を燃焼させることで生じた高温の燃焼ガスは、火炉21を下方から上方に向かって流れた後、火炉出口60を通じて燃焼ガス通路22の上部に流入し、燃焼ガス通路22を上方から下方に向かって流れる。
【0015】
ボイラ本体3の火炉21や燃焼ガス通路22には、燃焼ガスの熱エネルギーを回収するボイラ伝熱管25が配設されている。図示される実施形態では、火炉21の下部領域E1および燃焼ガス通路22の第1領域E2の夫々には、燃焼ガスから回収した熱エネルギーによりボイラ2で発生した蒸気を加熱する過熱器管26、27(ボイラ伝熱管25)が配設されている。燃焼ガス通路22の第1領域E2よりも燃焼ガスの流れ方向の下流側(燃焼ガス通路22における下側)に位置する第2領域E3には、燃焼ガスから回収した熱エネルギーにより水を蒸発させる蒸発水管28(ボイラ伝熱管25)が配設されている。燃焼ガス通路22の第2領域E3よりも燃焼ガスの流れ方向の下流側(燃焼ガス通路22における下側)に位置する第3領域E4には、燃焼ガスから回収した熱エネルギーによりボイラ給水を加熱する節炭器管29(ボイラ伝熱管25)が配設されている。
【0016】
ボイラ本体3は、ボイラ水を流通させる炉壁管31と、炉壁管31の下端に接続された下部管寄せ32と、を含む。炉壁管31には、後述する
図3に示されるように、火炉前壁41の炉壁管411、仕切壁6の炉壁管62、ボイラ後壁51の炉壁管511などが含まれる。ボイラ2は、ボイラ水を蒸気と水分とを分離する蒸気ドラム11と、蒸気ドラム11にボイラ水を供給するように構成されたボイラ水供給ライン12と、蒸気ドラム11からボイラ本体3の下部管寄せ32にボイラ水を導くための降水管13と、ボイラ本体3の炉壁管31内において加熱されたボイラ水を蒸気ドラム11に導くための蒸発管14と、蒸気ドラム11においてボイラ水から分離された蒸気を蒸気の供給先に導くための蒸気送出ライン15と、をさらに備える。ボイラ水供給ライン12は、上述した節炭器管29を含んでいてもよい。また、蒸気送出ライン15は、上述した過熱器管26や過熱器管27を含んでいてもよい。ボイラ水は、水(液体状態のもの)に限定されるものではなく、水蒸気(気体状態のもの)を含んでいてもよい。
【0017】
ボイラ2は、蒸気ドラム11、降水管13、下部管寄せ32、炉壁管31および蒸発管14により構成されたボイラ水を循環させる循環回路を有する。図示される実施形態では、ボイラ2は、降水管13中のボイラ水の比重差から生じる循環力によりボイラ水を循環させる自然循環ボイラである。ボイラ水は、上記循環力により、蒸気ドラム11から降水管13、下部管寄せ32、炉壁管31および蒸発管14をこの順に流れた後に蒸気ドラム11に戻る。なお、本開示は、降水管13の途中に循環ポンプを設置した強制循環式のボイラにも適用可能である。
【0018】
(ボイラの製造方法)
図3は、本開示の一実施形態におけるボイラ本体の模式図である。
ボイラの製造方法1は、ブロック工法を用いてボイラ本体3を製造する。ボイラの製造方法1は、
図1に示されるように、ボイラ本体3が水平方向において二分割された一対のブロック4、5(
図2、3参照)のうちの一方のブロックである火炉側ブロック4を製造する火炉側ブロック製造ステップS1と、一対のブロック4、5のうちの他方のブロックであるボイラ後部煙道側ブロック5を製造するボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2と、火炉側ブロック4およびボイラ後部煙道側ブロック5を搬送する搬送ステップS3と、搬送ステップS3において搬送された一対のブロック4、5を設置位置に設置する設置ステップS4と、設置位置に設置された一対のブロック4、5の互いの接合部40、50同士を接合してボイラ本体3を形成するボイラ本体形成ステップS5と、を備える。ボイラの組立方法10は、
図1に示されるように、ボイラの製造方法1の設置現場ISにおけるステップである、設置ステップS4とボイラ本体形成ステップS5とを備える。
【0019】
火炉側ブロック製造ステップS1では、
図2、3に示されるような、火炉21を挟んで仕切壁6と対向する火炉前壁41を少なくとも含む火炉側ブロック4の製造が行われる。ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2では、
図2、3に示されるような、燃焼ガス通路22を挟んで仕切壁6と対向するボイラ後壁51を少なくとも含むボイラ後部煙道側ブロック5の製造が行われる。火炉側ブロック製造ステップS1およびボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2は、工場などの製造現場MSで行われる。製造現場MSで製造された火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5は、設置現場ISで製造された場合に比べて品質が向上する。なお、ボイラ後部煙道側ブロック5は、火炉側ブロック4とは異なる製造現場MSで製造してもよい。
【0020】
搬送ステップS3は、火炉側ブロック4を火炉側ブロック4の製造現場MSから設置現場ISに搬送する火炉側ブロック搬送ステップS3Aと、ボイラ後部煙道側ブロック5をボイラ後部煙道側ブロック5の製造現場MSから設置現場ISに搬送するボイラ後部煙道側ブロック搬送ステップS3Bと、を含む。搬送ステップS3(S3A、S3B)では、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5が搬送用機器により搬送される。上記輸送用機器には、一般道路などの道路を走行可能な貨物自動車(例えば、トラックやトラクターなど)、輸送船、輸送機(飛行機)などが含まれる。
【0021】
図示される実施形態では、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5は、貨物自動車に横置き姿勢で積載された状態で、貨物自動車の積載制限を超えない大きさに構成されている。火炉側ブロック4は、上記貨物自動車に横置き姿勢で積載され、設置現場ISに搬送される。ボイラ後部煙道側ブロック5は、火炉側ブロック4が積載された貨物自動車とは別の貨物自動車に横置き姿勢で積載され、設置現場ISに搬送される。
【0022】
設置ステップS4は、設置現場ISに搬送された火炉側ブロック4を火炉側ブロック4の設置位置に設置する火炉側ブロック設置ステップS4Aと、設置現場ISに搬送されたボイラ後部煙道側ブロック5をボイラ後部煙道側ブロック5の設置位置に設置するボイラ後部煙道側ブロック設置ステップS4Bと、を含む。設置ステップS4(S4A、S4B)では、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5がクレーンに吊り上げられて、縦置き姿勢で各々の設置位置に設置される。
【0023】
幾つかの実施形態にかかるボイラの組立方法10は、
図1に示されるように、火炉前壁41を少なくとも含む火炉側ブロック4と、ボイラ後壁51を少なくとも含むボイラ後部煙道側ブロック5と、からなる一対のブロックを設置位置に設置する上述した設置ステップS4と、上述したボイラ本体形成ステップS5と、を備える。上記の方法によれば、一対のブロック4、5を、各々の設置位置に設置後に、一対のブロック4、5の互いの接合部40、50同士を接合することで、ボイラ本体3を設置位置に形成できる。一対のブロック4、5は、ボイラ本体3が水平方向において二分割されたものであるため、例えばボイラ本体3が鉛直方向において二分割された場合に比べて、ボイラ本体3形成時の接合作業が簡単なものになる。ボイラ本体3形成時の接合作業を簡単なものにすることで、設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0024】
幾つかの実施形態にかかるボイラの製造方法1は、
図1に示されるように、火炉前壁41を少なくとも含む火炉側ブロック4を製造する上述した火炉側ブロック製造ステップS1と、ボイラ後壁51を少なくとも含むボイラ後部煙道側ブロック5を製造する上述したボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2と、上述した搬送ステップS3と、上述した設置ステップS4と、上述したボイラ本体形成ステップS5と、を備える。
【0025】
上記の方法によれば、工場などの製造現場MSで製造された一対のブロック4、5を、貨物自動車などの搬送用機器により設置現場ISに搬送し、各々の設置位置に設置後に、一対のブロック4、5の互いの接合部40、50同士を接合することで、ボイラ本体3を設置位置に形成できる。一対のブロック4、5は、ボイラ本体3が水平方向において二分割されたものであるため、例えばボイラ本体3が鉛直方向において二分割された場合に比べて、ボイラ本体3形成時の接合作業が簡単なものになる。ボイラ本体3形成時の接合作業を簡単なものにすることで、設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0026】
また、上記の方法によれば、ボイラ本体3を、火炉側ブロック4が火炉前壁41を含み、ボイラ後部煙道側ブロック5がボイラ後壁51を含むように分割することで、各ブロック4、5の構造の複雑化を抑制できるため、各ブロック4、5の製造が容易になり、各ブロック4、5の製造時間を低減できる。また、ボイラ本体3を、火炉側ブロック4が火炉前壁41を含み、ボイラ後部煙道側ブロック5がボイラ後壁51を含むように分割することで、各ブロック4、5の横断面方向(各ブロックの高さ方向に直交する方向)における大きさを小さくできる。各ブロック4、5の横断面方向における大きさを小さくすることで、貨物自動車などの搬送用機器により搬送できるため、各ブロック4、5の搬送時間を低減できる。
【0027】
幾つかの実施形態にかかるボイラ2は、
図2に示されるように、火炉21と、火炉21で生成された燃焼ガスを導く燃焼ガス通路22とが、仕切壁6によって区画されたボイラ本体3を備えるボイラ2であって、ボイラ本体3は、上述した火炉前壁41を少なくとも含む火炉側ブロック4と、上述したボイラ後壁51を少なくとも含むボイラ後部煙道側ブロック5と、を含み、火炉側ブロック4およびボイラ後部煙道側ブロック5の夫々は、互いを接合するための接合部40、50を有する。
【0028】
上記の構成によれば、一対のブロック4、5を工場などの製造現場MSで製造し、貨物自動車などの搬送用機器により設置現場ISに搬送できる。設置位置に設置された一対のブロック4、5の互いの接合部40、50同士を接合することで、ボイラ本体3を設置位置に形成できる。一対のブロック4、5は、ボイラ本体3が水平方向において二分割されたものであるため、例えばボイラ本体3が鉛直方向において二分割された場合に比べて、ボイラ本体3形成時の接合作業が簡単なものになる。ボイラ本体3形成時の接合作業を簡単なものにすることで、設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0029】
また、上記の構成によれば、一対のブロック4、5を、一方のブロック(火炉側ブロック4)が火炉前壁41を含み、他方のブロック(ボイラ後部煙道側ブロック5)がボイラ後壁51を含むように分割することで、各ブロック4、5の構造の複雑化を抑制できるため、各ブロック4、5の製造が容易になる。また、一対のブロック4、5を、一方のブロック(火炉側ブロック4)が火炉前壁41を含み、他方のブロック(ボイラ後部煙道側ブロック5)がボイラ後壁51を含むように分割することで、各ブロック4、5の横断面方向(各ブロックの高さ方向に直交する方向)における大きさを小さくできるため、各ブロック4、5の搬送が容易になる。
【0030】
以下、
図2に示されるように、ボイラ本体3の高さ方向(
図2中上下方向)における上側をUPとし、ボイラ本体3の高さ方向における下側をBOとする。ボイラ本体3の高さ方向に直交し、且つボイラ後壁51から火炉前壁41に向かう方向を前後方向X(
図2中左右方向)と定義する。前後方向Xにおいて、ボイラ後壁51に対して火炉前壁41が位置する側を前側FSとし、前後方向Xにおいて、火炉前壁41に対してボイラ後壁51が位置する側を後側BSとする。仕切壁6は、ボイラ後壁51よりも前側FSに位置し、火炉前壁41よりも後側BSに位置している。
【0031】
図3に示されるように、ボイラ本体3の高さ方向および前後方向Xに直交する方向を左右方向Yと定義する。左右方向Yにおいて、火炉前壁41の左端414に対して火炉前壁41の右端413が位置する側を右側RS(
図3中下側)とし、左右方向Yにおいて、右端413に対して左端414が位置する側を左側LS(
図3中上側)とする。
【0032】
図示される実施形態では、ボイラ本体3は、前後方向Xが長手方向となり、左右方向Yが短手方向となるように構成されている。
図3に示されるように、ボイラ本体3を長手方向において二分割することで、仮にボイラ本体3を短手方向において二分割する場合に比べて、各ブロック4、5の横断面方向における大きさを小さくできる。
【0033】
(ボイラ後部煙道側ブロックの形状)
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述したボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2で製造されたボイラ後部煙道側ブロック5は、上述したボイラ後壁51と、上述した仕切壁6と、ボイラ後壁51の右端513から火炉前壁41に向かって延在するとともに、仕切壁6の右端63に接続されたボイラ後部煙道側右壁52と、ボイラ後壁51の左端514から火炉前壁41に向かって延在するとともに、仕切壁6の左端64に接続されたボイラ後部煙道側左壁53と、を含む。ボイラ後部煙道側左壁53は、燃焼ガス通路22を挟んでボイラ後部煙道側右壁52と対向している。
【0034】
ボイラ後壁51および仕切壁6の夫々は、左右方向Yに沿って延在している。ボイラ後部煙道側右壁52およびボイラ後部煙道側左壁53の夫々は、前後方向Xに沿って延在している。図示される実施形態では、ボイラ後部煙道側右壁52は、仕切壁6の右端63よりも前側FSに突出する右壁側突出部520を含み、ボイラ後部煙道側左壁53は、仕切壁6の左端64よりも前側FSに突出する左壁側突出部530を含む。ボイラ本体形成ステップS5では、右壁側突出部520が火炉側右壁42の後端に接合され、左壁側突出部530が火炉側左壁43の後端に接続される。ボイラ後壁51、ボイラ後部煙道側右壁52、ボイラ後部煙道側左壁53および仕切壁6の夫々は、ボイラ本体3(ボイラ後部煙道側ブロック5)の高さ方向に沿って延在する複数の炉壁管511、521、531、61と、互いに隣接して配置された炉壁管511、521、531、61同士を繋ぐ複数のフィン512、522、532、62と、を含む。上述した炉壁管31は、炉壁管511、521、531および61を含む。
【0035】
上記の方法によれば、ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2で製造されたボイラ後部煙道側ブロック5は、ボイラ後壁51、仕切壁6、ボイラ後部煙道側右壁52およびボイラ後部煙道側左壁53により、その横断面形状が燃焼ガス通路22を囲む四角筒状になっているため、その剛性が高いものになっている。また、ボイラ後部煙道側ブロック5は、ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2においてボイラ後部煙道側ブロック5の内部に上述したボイラ伝熱管25(過熱器管27、蒸発水管28、節炭器管29)が配設されることが好ましい。ボイラ後部煙道側ブロック5の内部にボイラ伝熱管25を配設することで、ボイラ後部煙道側ブロック5の剛性をさらに高めることができる。ボイラ後部煙道側ブロック5の剛性を高めることで、ボイラ後部煙道側ブロック5の搬送時や設置時における変形を抑制できる。ボイラ後部煙道側ブロック5の変形を抑制することで、変形したボイラ後部煙道側ブロック5の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場ISにおける作業時間の長大化を抑制できる。
【0036】
(火炉側ブロックの形状)
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述した火炉側ブロック製造ステップS1で製造された火炉側ブロック4は、上述した火炉前壁41と、火炉前壁41の右端413から仕切壁6に向かって延在する火炉側右壁42と、火炉前壁41の左端414から仕切壁6に向かって延在する火炉側左壁43と、を含む。火炉側左壁43は、火炉21を挟んで火炉側右壁42と対向している。
【0037】
火炉前壁41は、左右方向Yに沿って延在している。火炉側右壁42および火炉側左壁43の夫々は、前後方向Xに沿って延在している。火炉前壁41、火炉側右壁42および火炉側左壁43の夫々は、ボイラ本体3(火炉側ブロック4)の高さ方向に沿って延在する複数の炉壁管411、421、431と、互いに隣接して配置された炉壁管411、421、431同士を繋ぐ複数のフィン412、422、432と、を含む。上述した炉壁管31は、炉壁管411、421および431を含む。
【0038】
図示される実施形態では、ボイラ本体3は、火炉前壁41、仕切壁6、火炉側右壁42、火炉側左壁43、右壁側突出部520、左壁側突出部530および火炉側天井壁44により、その内部に火炉21が形成されている。また、ボイラ本体3は、ボイラ後壁51、仕切壁6、ボイラ後部煙道側右壁52、ボイラ後部煙道側左壁53およびボイラ後部煙道側天井壁54により、その内部に燃焼ガス通路22が形成されている。
【0039】
上記の方法によれば、火炉側ブロック製造ステップS1で製造された火炉側ブロック4は、火炉前壁41、火炉側右壁42および火炉側左壁43により、その横断面形状がコの字状になっており、ボイラ後部煙道側ブロック5に組付けられることで、内部に火炉21が形成されるようになっている。この火炉側ブロック4は、一般的にボイラ後部煙道側ブロック5よりも前後方向Xにおける幅が大きく、輸送制限の制約を受けやすいが、上記の方法によれば、仮に横断面形状が火炉21を囲む四角筒状である場合に比べて、その横断面方向における大きさを小さくできるため、火炉側ブロック4の搬送が容易になる。また、仮に火炉側ブロック4の横断面形状を四角筒状にした場合には、ボイラ後部煙道側ブロック5の横断面形状がコの字状になる。この場合には、ボイラ後部煙道側ブロック5の横断面形状を四角筒状にした場合とは異なり、仕切壁6から燃焼ガス通路22に突出するラグ65(
図2参照)にボイラ伝熱管25を支持させることができなくなるため、ボイラ伝熱管25が姿勢を保つことが困難になる虞がある。また、ボイラ後部煙道側ブロック5の横断面形状を四角筒状にした場合に比べて、ボイラ伝熱管25が配設された重量の大きいボイラ後部煙道側ブロック5の強度の確保が困難になる虞がある。ボイラ伝熱管25をボイラ本体形成ステップS5において配設する場合には、ボイラ本体3形成時の作業時間の増大化を招く虞がある。火炉側ブロック4の横断面形状をコの字状にすることで、これらのデメリットを回避できる。
【0040】
図4は、本開示の一実施形態における火炉側ブロックを説明するための模式図である。
図4では、火炉側右壁42および火炉側左壁43を前後方向Xにおける前側FSから視た状態を概略的に示している。
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した火炉側右壁42は、火炉側ブロック4の高さ方向Zに沿って延在する上方延在部423と、上方延在部423の下端424から火炉側左壁43に向かって延在する炉底部425と、炉底部425の先端(左端)426から下方に向かって延在する下方延在部427と、を含む。上述した火炉側左壁43は、火炉側ブロック4の高さ方向Zに沿って延在する上方延在部433と、上方延在部433の下端434から火炉側右壁42に向かって延在する炉底部435と、炉底部435の先端(右端)436から下方に向かって延在する下方延在部437と、を含む。
【0041】
上方延在部433は、火炉21を挟んで上方延在部423と対向している。炉底部425、435の夫々は、上側UPに火炉21に面する炉底面425A、435Aを有する。下方延在部437は、火炉21の下方に形成された隙間21Aを挟んで下方延在部427と対向している。下方延在部427の下端428は、第1の火炉側下部管寄せ81に接続され、下方延在部437の下端438は、第2の火炉側下部管寄せ82に接続されている。
【0042】
上記の方法によれば、火炉側右壁42や火炉側左壁43は、上方延在部423、433、炉底部425、435および下方延在部427、437を含む折れ曲がり形状になっているため、その剛性が高いものになっている。このため、火炉側右壁42や火炉側左壁43を備える火炉側ブロック4もその剛性が高いものになっている。火炉側ブロック4の剛性を高めることで、火炉側ブロック4の搬送時や設置時における変形を抑制できる。火炉側ブロック4の変形を抑制することで、変形した火炉側ブロック4の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場ISにおける作業時間の長大化を抑制できる。
【0043】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、ボイラ2は、流動層ボイラからなる。火炉21の内部に流動砂を含む流動媒体を流動させる流動層21Bが形成される。火炉21に連通する上記隙間21Aを通じて火炉21から流動砂が抜き出される。炉底部425、435の夫々には、貫通孔425B、435Bが形成されている。ボイラ2は、これらの貫通孔425B、435Bを通じて、ボイラ2の外部から流動層21Bに流動媒体を流動させるための流動用空気が導入されるように構成されている。なお、本開示は、流動層ボイラ以外のボイラにも適用可能である。
【0044】
図5は、本開示の一実施形態にかかるボイラの製造方法の一例を説明するための説明図である。
図6は、火炉側ブロックの搬送方法の一例を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、上述したボイラの製造方法1は、
図5に示されるように、火炉側ブロック搬送ステップS3A(搬送ステップS3)よりも前に火炉側ブロック4に補強フレーム7を収容する補強フレーム収容ステップS6Aと、火炉側ブロック設置ステップS4A(設置ステップS4)よりも後に火炉側ブロック4から補強フレーム7を取り外す補強フレーム取り外しステップS6Bと、をさらに備える。補強フレーム収容ステップS6Aは、製造現場MSで行われる。補強フレーム取り外しステップS6Bは、設置現場ISで行われる。
【0045】
補強フレーム7は、
図6に示されるように、火炉側ブロック4の高さ方向に沿って延びる角筒状の筐体71と、筐体71の内部において筐体71の互いに対向する隅部同士を繋ぐ一対のブレース76、77と、を備える。筐体71は、第1辺72と、第1辺72に間隔をあけて配置される第2辺73と、第1辺72と第2辺73の端部同士を繋ぐ第3辺74および第4辺75と、を含む。火炉側ブロック4は、上述した火炉前壁41と、上述した火炉側右壁42と、上述した火炉側左壁43と、を含む。補強フレーム7は、火炉側ブロック4に収容される。火炉側ブロック4および補強フレーム7は、貨物自動車の荷台104に搭載されたときに、荷台104の上面105に補強フレーム7の第1辺72が配置され、補強フレーム7の第2辺73の上に火炉前壁41が配置されている。図示される実施形態では、荷台104に載せられた火炉側ブロック4は、火炉側右壁42や火炉側左壁43が火炉前壁41から下方に垂れ下がっており、火炉側ブロック4に荷台104の一部を収容するようになっている。この場合には、貨物自動車の荷台104と火炉側ブロック4を合わせた高さを小さくできるため、各法令で定める長さ/高さ/幅制限の条件を満たす事が可能となる。特にバイオマス燃焼ボイラを含むプラントは、燃料収集の都合上、搬送ルートに制約の多い山間部に建設を計画されるケースが多いが、ブロック化した場合であっても本発明のように火炉側ブロック4の横断面形状をコの字状とすることで、搬送ルート上の高さ制限の影響を軽減できるため、上記プラントの設置場所をより柔軟に決定することができる。
【0046】
上記の方法によれば、補強フレーム7は、筐体71と一対のブレース76、77を含むことで、その剛性が高いものになっている。火炉側ブロック4に補強フレーム7を収容することで、火炉側ブロック4の搬送時における変形を抑制できる。火炉側ブロック4の変形を抑制することで、変形した火炉側ブロック4の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場ISにおける作業時間の長大化を抑制できる。
【0047】
図7は、本開示の一実施形態におけるボイラ本体形成ステップの一例を説明するための説明図である。
図8は、本開示の一実施形態における下部管寄せの接合方法を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、上述したボイラ本体形成ステップS5は、
図7に示されるように、管寄せ接合ステップS51と、側壁接合ステップS52と、火炉側天井壁44とボイラ後部煙道側天井壁54とを繋ぐ天井壁接合ステップS53と、を含む。側壁接合ステップS52は、火炉側右壁42とボイラ後部煙道側右壁52とを繋ぐ右壁接合ステップS52Aと、火炉側左壁43とボイラ後部煙道側左壁53とを繋ぐ左壁接合ステップS52Bと、を含む。管寄せ接合ステップS51の後に側壁接合ステップS52(S52A、S52B)が行われるとともに、側壁接合ステップS52(S52A、S52B)の後に天井壁接合ステップS53が行われる。
【0048】
図8に示されるように、火炉側ブロック製造ステップS1で製造された火炉側ブロック4は、火炉前壁41の下端から仕切壁6に向かって延在する一対の火炉側下部管寄せ81、82を含む。ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2で製造されたボイラ後部煙道側ブロック5は、仕切壁6の下端が接続されたボイラ後部煙道側下部管寄せ91であって、火炉前壁41に向かって突出する一対の接続凸部911、912を有するボイラ後部煙道側下部管寄せ91と、を含む。管寄せ接合ステップS51では、一対の火炉側下部管寄せ81、82とボイラ後部煙道側下部管寄せ91の一対の接続凸部911、912との間を繋ぐことが行われる。
【0049】
上記の方法によれば、管寄せ接合ステップS51は、側壁接合ステップS52(S52A、S52B)よりも接合部40、50間の位置関係に高い精度が要求される。側壁接合ステップS52(S52A、S52B)は、天井壁接合ステップS53よりも接合部40、50間の位置関係に高い精度が要求される。ボイラ本体形成ステップS5中の各ステップ(管寄せ接合ステップS51、側壁接合ステップS52および天井壁接合ステップS53)を接合部40、50間に要求される精度が高い順に行うことで、各ステップにおける接合部40、50間の位置関係の調整作業にかかる作業時間を低減できる。これにより、ボイラ本体形成ステップ(S5)にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場(IS)における作業時間を低減できる。また、ボイラ本体形成ステップS5中の各ステップを接合部40、50間に要求される精度が高い順に行うことで、他の順で行う場合に比べて、ボイラ本体3の高品質化が図れる。
【0050】
(下部管寄せの接合方法)
図9は、本開示の一実施形態におけるボイラ本体形成ステップの一例を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、上述したボイラ本体形成ステップS5は、
図7に示されるように、一対の火炉側下部管寄せ81、82と、ボイラ後部煙道側下部管寄せ91の一対の接続凸部911、912との間を繋ぐ管寄せ接合ステップS51を含む。火炉側ブロック製造ステップS1は、火炉側ブロック4の一対の火炉側下部管寄せ81、82の間隔D2が、ボイラ後部煙道側下部管寄せ91の一対の接続凸部911、912の間隔D1と同じになるように調整する間隔調整ステップS8を含む。
【0051】
図8に示されるように、ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2で製造されたボイラ後部煙道側ブロック5は、仕切壁6の下端が接続された第1のボイラ後部煙道側下部管寄せ91と、ボイラ後部煙道側下部管寄せ91よりも後側BSに位置し、且つボイラ後壁51の下端に接続された第2のボイラ後部煙道側下部管寄せ92と、ボイラ後部煙道側右壁52の下端に接続された第3のボイラ後部煙道側下部管寄せ93と、ボイラ後部煙道側左壁53の下端に接続された第4のボイラ後部煙道側下部管寄せ94と、を含む。第3のボイラ後部煙道側下部管寄せ93および第4のボイラ後部煙道側下部管寄せ94の夫々は、第1のボイラ後部煙道側下部管寄せ91および第2のボイラ後部煙道側下部管寄せ92の夫々に接続されている。
【0052】
第1のボイラ後部煙道側下部管寄せ91および第2のボイラ後部煙道側下部管寄せ92の夫々は、左右方向Yに沿って延在している。第3のボイラ後部煙道側下部管寄せ93および第4のボイラ後部煙道側下部管寄せ94の夫々は、前後方向Xに沿って延在している。第3のボイラ後部煙道側下部管寄せ93は、第1のボイラ後部煙道側下部管寄せ91の右端913よりも前側FSに向かって突出する突出部931を含む。第4のボイラ後部煙道側下部管寄せ94は、第1のボイラ後部煙道側下部管寄せ91の左端914よりも前側FSに向かって突出する突出部941を含む。
【0053】
図8に示されるように、火炉側ブロック製造ステップS1で製造された火炉側ブロック4は、火炉側右壁42の下端に接続された第1の火炉側下部管寄せ81と、火炉側左壁43の下端に接続された第2の火炉側下部管寄せ82と、火炉前壁41の下端に接続された第3の火炉側下部管寄せ83と、を含む。
【0054】
第1の火炉側下部管寄せ81および第2の火炉側下部管寄せ82の夫々は、前後方向Xに沿って延在している。第3の火炉側下部管寄せ83は、左右方向Yに沿って延在している。第3の火炉側下部管寄せ83は、ボイラ後壁51に向かって突出する4つの接続凸部831、832、833、834を有する。
【0055】
上述した間隔調整ステップS8は、上述した一対の接続凸部911、912の間隔D1を取得する間隔取得ステップS8Aと、一対の火炉側下部管寄せ81、82の間隔D2が、間隔取得ステップS8Aで取得した間隔D1と同じになるように調整する調整ステップS8Bと、を含む。一対の火炉側下部管寄せ81、82の間隔D2が調整された後に、一対の火炉側下部管寄せ81、82がずれないように、一対の火炉側下部管寄せ81、82の間に少なくとも1つ(図示例では二つ)の仮ラグ86が設けられる。仮ラグ86の設置後に、一対の火炉側下部管寄せ81、82の前端811、821の夫々と、第3の火炉側下部管寄せ83の一対の接続凸部831、832の夫々と、が溶接により接合される。仮ラグ86により溶接時のねじれが抑制される。
【0056】
図8中のW1は、火炉側ブロック製造ステップS1において溶接される溶接部を示している。
図8中のW2、W3は、ボイラ本体形成ステップS5において溶接される溶接部を示している。溶接部W2は、溶接部W3よりも先に溶接される。なお、上述した仮ラグ86は、搬送ステップS3や設置ステップS4において設置したままにし、ボイラ本体形成ステップS5において取り外すことが好ましい。
【0057】
管寄せ接合ステップS51では、一対の火炉側下部管寄せ81、82の後端812、822の夫々と、ボイラ後部煙道側下部管寄せ91の一対の接続凸部911、912の夫々と、が溶接により接合される。上述した接合部40は、後端812、822を含み、上述した接合部50は、一対の接続凸部911、912を含む。
【0058】
一対の火炉側下部管寄せ81、82と一対の接続凸部911、912との接合部には切断代を形成できないため、一対の火炉側下部管寄せ81、82の夫々と一対の接続凸部911、912の夫々との間の位置関係に高い精度が要求される。上記の方法によれば、間隔調整ステップS8において一対の火炉側下部管寄せ81、82の間隔D2が、一対の接続凸部911、912の間隔D1と同じになるように調整することで、設置現場ISにおける一対の火炉側下部管寄せ81、82の夫々と一対の接続凸部911、912の夫々との間の位置関係の調整作業を低減できる。これにより、管寄せ接合ステップS51にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0059】
管寄せ接合ステップS51の後に、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5に第1の火炉側下部管寄せ81よりも右側RSに配置された第1の給水管84と、第2の火炉側下部管寄せ82よりも左側LSに配置された第2の給水管85と、が取り付けられる。第1の給水管84および第2の給水管85の夫々は、前後方向Xに沿って延在している。
【0060】
ボイラ本体形成ステップS5では、一対の給水管84、85の前端部841、851の夫々と、第3の火炉側下部管寄せ83の一対の接続凸部833、834の夫々と、が溶接により接合される。また、ボイラ本体形成ステップS5では、一対の給水管84、85の後端部842、852の夫々と、上述した一対の突出部931、941の夫々と、が溶接により接合される。火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5の設置や上述した管寄せ接合ステップS51により、一対の接続凸部833、834の夫々と、一対の突出部931、941の夫々と、の間の隙間が変化するため、一対の給水管84、85の接合部(前端部や後端部)における開先調整が困難になる虞がある。このため、給水管84、85の前端部841、851や後端部842、852、一対の接続凸部833、834、一対の突出部931、941の何れかに予め切断代AFを設けることが好ましい。
【0061】
(切断代)
幾つかの実施形態では、
図9に示されるように、上述した火炉側ブロック製造ステップS1又は上述したボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2の少なくとも一方は、一対のブロック4、5のうちの少なくとも一方の接合部40、50を切断代AFを有する形状に形成する切断代形成ステップS7Aを含み、ボイラ本体形成ステップS5は、設置位置に設置された火炉側ブロック4とボイラ後部煙道側ブロック5との間隔に応じて切断代AFを切断する切断代切断ステップS7Bを含む。
【0062】
図10は、切断代を説明するための説明図である。
図10に示されるように、一対の接合部40、50の一方には、互いの端面40A、50A間の隙間D3が設計上の隙間D4よりも短くなるような切断代AFが設けられており、一対のブロック4、5を設置位置に設置後の一対の接合部40、50間の位置関係に応じて切断代AFを削除することで、一対の接合部40、50間の位置関係の調整を行うことができる。
【0063】
上記の方法によれば、切断代切断ステップS7Bにおいて、設置位置に設置された火炉側ブロック4とボイラ後部煙道側ブロック5との間隔に応じて切断代AFを切断することで、一対のブロック4、5の互いの接合部40、50間の位置関係の調整を行うことができる。これにより、ボイラ本体形成ステップS5にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場ISにおける作業時間を低減できる。また、一対の接合部40、50間に所望の開先形状を得ることができるため、一対の接合部40、50間の溶接品質を向上できる。
【0064】
(脚部)
幾つかの実施形態では、
図9に示されるように、上述した火炉側ブロック製造ステップS1は、火炉側ブロック4を自立させるための脚部101を火炉側ブロック4に設ける火炉側脚部形成ステップS9Aをさらに含む。上述したボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2は、ボイラ後部煙道側ブロック5を自立させるための脚部102をボイラ後部煙道側ブロック5に設けるボイラ後部煙道側脚部形成ステップS9Bをさらに含む。すなわち、火炉側ブロック4およびボイラ後部煙道側ブロック5の夫々は、
図2に示されるように、各々を自立させるための少なくとも1つの脚部101、102を含む。
【0065】
図示される実施形態では、火炉側ブロック4は、火炉側ブロック4の前側FSを支持する少なくとも1つの脚部101Aと、火炉側ブロック4の後側BSを支持する少なくとも1つの脚部101Bと、を含む。複数の脚部101(101A、101B)は、下端が火炉側下部管寄せ8(81など)よりも下側BOに位置している。ボイラ後部煙道側ブロック5は、ボイラ後部煙道側ブロック5の前側FSを支持する少なくとも1つの脚部102Aと、ボイラ後部煙道側ブロック5の後側BSを支持する少なくとも1つの脚部102Bと、を含む。複数の脚部102(102A、102B)は、下端がボイラ後部煙道側下部管寄せ9(91など)よりも下側BOに位置している。
【0066】
上記の方法によれば、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5に脚部101、102を設けて、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5を自立させることで、火炉側ブロック4やボイラ後部煙道側ブロック5の設置作業の作業時間を低減できる。これにより、設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0067】
(側壁の接合方法)
図11〜
図13は、本開示の一実施形態における右壁の接合を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、上述したボイラ本体形成ステップS5は、上述した右壁接合ステップS52Aを含む。右壁接合ステップS52Aでは、ボイラ後部煙道側右壁52において最も前側FSに位置する第1の炉壁管521Aに接続された第1のフィン523と、火炉側右壁42の最も後側BSに位置する第2の炉壁管421Aに接続された第2のフィン45とを接合することが行われる。
【0068】
図示される実施形態では、
図11、
図12に示されるように、第1のフィン523および第2のフィン45の夫々は、ブロック4、5の高さ方向に長手方向を有する平板状に形成されている。第1のフィン523および第2のフィン45の夫々は、上述したフィン522、422の半分、又は半分よりも短い長さになっていてもよい。第1のフィン523は、ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2において、後端が第1の炉壁管521Aの前側FSに接続され、前端523Aが前側FSに向かって延在している。第2のフィン45は、火炉側ブロック製造ステップS1において、前端が第2の炉壁管421Aの後側BSに接続され、後端45Aが後側BSに向かって延在し、隙間を挟んで第1のフィン523の前端と対向している。
【0069】
図11に示されるように、第1のフィン523の前端523Aと第2のフィン45の後端45Aとの間の隙間C1が小さなものである場合には、第1のフィン523の前端523Aと第2のフィン45の後端45Aとを溶接により接合する。前端523Aと後端45Aとの間に溶接部Wが形成される。上述した接合部40は、第2のフィン45の後端45A(火炉側右壁42の後端)を含み、上述した接合部50は、第1のフィン523の前端523A(ボイラ後部煙道側右壁52の前端)を含む。
【0070】
図12に示されるように、第1のフィン523の前端523Aと第2のフィン45の後端45Aとの間の隙間C2が大きなものである場合には、丸棒などの上記隙間C2を閉塞する閉塞部材46を介して、第1のフィン523の前端523Aと第2のフィン45の後端45Aとの間を溶接により接合する。前端523Aと閉塞部材46との間、および後端45Aと閉塞部材46との間に溶接部Wが形成される。
【0071】
上記の方法によれば、右壁接合ステップ52Aにおいて第1のフィン523と第2のフィン45とを接合することで、火炉側右壁42とボイラ後部煙道側右壁52とを繋ぐことができる。このように右壁接合ステップ52Aにおける作業を簡単なものにすることで、右壁接合ステップ52Aにかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場ISにおける作業時間を低減できる。なお、上記の方法は、左壁接合ステップS52Bにも適用可能である。
【0072】
幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、上述したボイラ本体形成ステップS5は、上述した右壁接合ステップS52Aを含む。右壁接合ステップS52Aでは、ボイラ後部煙道側右壁52において最も前側FSに位置する第1の炉壁管521Aに連結フィン47の一端47Aを接合し、火炉側右壁42の最も後側BSに位置する第2の炉壁管421Aに連結フィン47の他端47Bを接合することが行われる。
【0073】
連結フィン47は、ブロック4、5の高さ方向に長手方向を有する平板状に形成されている。連結フィン47は、上述したフィン522、422よりも長くなっていてもよい。連結フィン47は、第1の炉壁管521Aと第2の炉壁管421Aとの間を閉塞するために、前後方向Xに対して傾斜するように配置されてもよい。第1の炉壁管521Aと連結フィン47の一端47Aとの間、および第2の炉壁管421Aと連結フィン47の他端47Bとの間に溶接部Wが形成される。
【0074】
上記の方法によれば、右壁接合ステップS52Aにおいて第1の炉壁管521Aに連結フィン47の一端47Aを接合し、第2の炉壁管421Aに連結フィン47の他端47Bを接合することで、火炉側右壁42とボイラ後部煙道側右壁52とを繋ぐことができる。この方法によれば、仮に火炉側ブロック4とボイラ後部煙道側ブロック5を設置位置に設置した後に、第2の炉壁管421Aが第1の炉壁管521Aに対して左右方向Yにずれている場合に、連結フィン47の他端47Bを一端47Aに対して左右方向Yにずれるように配置することで、第1の炉壁管521Aや第2の炉壁管421Aに連結フィン47を接合できる。このように連結フィン47により第1の炉壁管521Aと第2の炉壁管421Aとの間の位置ずれを許容できるようにすることで、設置現場ISにおける第1の炉壁管521Aと第2の炉壁管421Aとの間の位置ずれの修正作業を抑制できるため、設置現場ISにおける作業時間の長大化を抑制できる。なお、上記の方法は、左壁接合ステップS52Bにも適用可能である。
【0075】
(天井壁の接合方法)
図14および
図15は、本開示の一実施形態における天井壁の接合方法を説明するための説明図である。
図14では、ボイラ本体3を上側UPから視た状態を概略的に示している。
図15では、ボイラ本体3を右側RSから視た状態を概略的に示している。
幾つかの実施形態では、上述したボイラ本体形成ステップS5は、
図7に示されるように火炉側天井壁44とボイラ後部煙道側天井壁54とを繋ぐ天井壁接合ステップS53を含む。
【0076】
火炉側ブロック製造ステップS1で製造された火炉側ブロック4は、
図15に示されるように、火炉前壁41の上端415からボイラ後壁51に向かって延在する火炉側天井壁44を含む。火炉側天井壁44は、火炉前壁41の上端415に接続された前端448側に湾曲部449を有する。火炉側天井壁44は、
図14に示されるように、ボイラ後壁51から火炉前壁41に向かって延在する複数の第3の炉壁管441と、複数の第3の炉壁管441間を繋ぐ複数の第3のフィン442と、を含む。
【0077】
ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2で製造されたボイラ後部煙道側ブロック5は、
図15に示されるように、ボイラ後壁51から火炉前壁41に向かって延在するボイラ後部煙道側天井壁54を含む。ボイラ後部煙道側天井壁54は、
図14に示されるように、ボイラ後壁51から火炉前壁41に向かって延在する複数の第4の炉壁管541と、複数の第4の炉壁管541間を繋ぐ複数の第4のフィン542と、を含む。
【0078】
第3の炉壁管441の夫々は、第4の炉壁管541の夫々の前端面543に隙間を有して対向する後端面443を有する。第3のフィン442の夫々は、第4のフィン542の夫々の前端面544に隙間を有して対向する後端面444を有する。第3の炉壁管441の夫々は、第3のフィン442よりも後側BSに突出し、その後端面443が第3のフィン442の後端面444よりも後側BSに位置している。第4の炉壁管541の夫々は、第4のフィン542よりも前側FSに突出し、その前端面543が第4のフィン542の前端面544よりも前側FSに位置している。
【0079】
天井壁接合ステップS53では、第3の炉壁管441の後端面443と第4の炉壁管541の前端面543との間を接合した後に、第3のフィン442の後端面444と第4のフィン542の前端面544との間の隙間が閉塞される。上述した接合部40は、第3の炉壁管441の後端面443(火炉側天井壁44の後端)を含み、上述した接合部50は、第4の炉壁管541の前端面543(ボイラ後部煙道側天井壁54の前端)を含む。
【0080】
第3のフィン442又は第4のフィン542の少なくとも一方は、他方のフィンに隙間を有して対向する対向面(後端面444、前端面544)から切り込まれたスリット447を有する。図示される実施形態では、複数の第3のフィン442の夫々にスリット447が形成されている。
【0081】
上記の方法によれば、第3のフィン442や前記第4のフィン542にスリット447を形成することで、スリット447が形成されていない場合に比べて、第3の炉壁管441や第4の炉壁管541の可動域を広げることができるため、第3の炉壁管441と第4の炉壁管541との間の位置関係の調整作業にかかる作業時間を低減できる。これにより、天井壁接合ステップS53にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0082】
幾つかの実施形態では、
図14に示されるように、第3のフィン442又は第4のフィン542の少なくとも一方に形成された複数のスリット447のうち、左右方向Yにおける中央側に位置するスリット447Aの長さL1は、左右方向Yにおける両側(右側RS、左側LS)に位置するスリット447Bの長さL2よりも長くなっている。この場合には、スリット447Aよりも右側RSの部位と、スリット447Aよりも左側LSの部位と、を離隔させ易くなるため、第3の炉壁管441と第4の炉壁管541との間の位置関係の調整作業にかかる作業時間を低減できる。これにより、天井壁接合ステップS53にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0083】
幾つかの実施形態では、上述したボイラ本体形成ステップS5は、
図7に示されるように、上述した天井壁接合ステップS53よりも後に、火炉側右壁42および火炉側左壁43の夫々と火炉側天井壁44とを繋ぐ天井壁−側壁間接合ステップS54をさらに備える。つまり、火炉側ブロック製造ステップS1では、火炉側天井壁44の右端445と火炉側右壁42の間、および火炉側天井壁44の左端446と火炉側左壁43との間が接合されていない。天井壁−側壁間接合ステップS54において、火炉側天井壁44の右端445と火炉側右壁42の間、および火炉側天井壁44の左端446と火炉側左壁43との間が接合されるようになっている。
【0084】
ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2では、ボイラ後部煙道側天井壁54の右端545とボイラ後部煙道側右壁52との間、およびボイラ後部煙道側天井壁54の左端546とボイラ後部煙道側左壁53との間が接合される。また、図示される実施形態では、
図15に示されるように、ボイラ後壁51の上端515に左右方向Yに沿って延在する上部管寄せ58が設けられており、ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップS2において、上部管寄せ58にボイラ後部煙道側天井壁54の後端547が接続される。
【0085】
上記の方法によれば、天井壁接合ステップS53では、火炉側天井壁44が火炉側右壁42や火炉側左壁43に接合されていないため、上述した湾曲部449を有する火炉側天井壁44の可動域を広げることができる。火炉側天井壁44の可動域を広げることで、第3の炉壁管441と第4の炉壁管541との間の位置関係の調整作業にかかる作業時間を低減できる。これにより、天井壁接合ステップS53にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場ISにおける作業時間を低減できる。
【0086】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0087】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0088】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかるボイラの組立方法(10)は、
火炉(21)と、前記火炉(21)で生成された燃焼ガスを導く燃焼ガス通路(22)とが、仕切壁(6)によって区画されたボイラ本体(3)を備えるボイラ(2)の組立方法(10)であって、
前記ボイラ本体(3)が水平方向において二分割された一対のブロック(4、5)のうちの、前記火炉(21)を挟んで前記仕切壁(6)と対向する火炉前壁(41)を少なくとも含む一方のブロックである火炉側ブロック(4)と、
前記一対のブロック(4、5)のうちの、前記燃焼ガス通路(22)を挟んで前記仕切壁(6)と対向するボイラ後壁(51)を少なくとも含む他方のブロックであるボイラ後部煙道側ブロック(5)と、
からなる前記一対のブロック(4、5)を設置位置に設置する設置ステップ(S4)と、
前記設置位置に設置された前記一対のブロック(4、5)の互いの接合部(40、50)同士を接合して前記ボイラ本体(3)を形成するボイラ本体形成ステップ(S5)と、を備える。
【0089】
上記1)の方法によれば、一対のブロック(4、5)を、各々の設置位置に設置後に、一対のブロック(4、5)の互いの接合部(40、50)同士を接合することで、ボイラ本体(3)を設置位置に形成できる。一対のブロック(4、5)は、ボイラ本体(3)が水平方向において二分割されたものであるため、例えばボイラ本体(3)が鉛直方向において二分割された場合に比べて、ボイラ本体(3)形成時の接合作業が簡単なものになる。ボイラ本体(3)形成時の接合作業を簡単なものにすることで、設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0090】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)は、
前記ボイラ後壁(51)と、
前記仕切壁(6)と、
前記ボイラ後壁(51)の右端(513)から前記火炉前壁(41)に向かって延在するとともに、前記仕切壁(6)の右端(63)に接続されたボイラ後部煙道側右壁(52)と、
前記ボイラ後壁(51)の左端(514)から前記火炉前壁(41)に向かって延在するとともに、前記仕切壁(6)の左端(64)に接続されたボイラ後部煙道側左壁(53)と、を含む。
【0091】
上記2)の方法によれば、ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップ(S2)で製造されたボイラ後部煙道側ブロック(5)は、ボイラ後壁(51)、仕切壁(6)、ボイラ後部煙道側右壁(52)およびボイラ後部煙道側左壁(53)により、その横断面形状が燃焼ガス通路(22)を囲む四角筒状になっているため、その剛性が高いものになっている。ボイラ後部煙道側ブロック(5)の内部にボイラ伝熱管を配設することで、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の剛性をさらに高めることができる。ボイラ後部煙道側ブロック(5)の剛性を高めることで、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の搬送時や設置時における変形を抑制できる。ボイラ後部煙道側ブロック(5)の変形を抑制することで、変形したボイラ後部煙道側ブロック(5)の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場(IS)における作業時間の長大化を抑制できる。
【0092】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記火炉側ブロック(4)は、
前記火炉前壁(41)と、
前記火炉前壁(41)の右端(413)から前記仕切壁(6)に向かって延在する火炉側右壁(42)と、
前記火炉前壁(41)の左端(414)から前記仕切壁(6)に向かって延在する火炉側左壁(43)と、を含む。
【0093】
上記3)の方法によれば、火炉側ブロック製造ステップ(S1)で製造された火炉側ブロック(4)は、火炉前壁(41)、火炉側右壁(42)および火炉側左壁(43)により、その横断面形状がコの字状になっており、ボイラ後部煙道側ブロック(5)に組付けられることで、内部に火炉(21)が形成されるようになっている。この火炉側ブロック(4)は、一般的にボイラ後部煙道側ブロック(5)よりも前後方向における幅が大きく、輸送制限の制約を受けやすいが、上記の方法によれば、仮に横断面形状が火炉(21)を囲む四角筒状である場合に比べて、その横断面方向における大きさを小さくできるため、火炉側ブロック(4)の搬送が容易になる。また、火炉側ブロック(4)の横断面形状をコの字状にすることで、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の横断面形状を四角筒状にすることができるため、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の横断面形状をコの字状にしたときに生じうるデメリットを回避できる。
【0094】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記火炉側右壁(42)および前記火炉側左壁(43)の夫々は、
前記火炉側ブロック(4)の高さ方向に沿って延在する上方延在部(423、433)と、
前記上方延在部の下端(424、434)から前記火炉側右壁(42)および前記火炉側左壁(43)のうちの他方に向かって延在する炉底部(425、435)と、
前記炉底部の先端(426、436)から下方に向かって延在する下方延在部(427、437)と、を含む。
【0095】
上記4)の方法によれば、火炉側右壁(42)や火炉側左壁(43)は、上方延在部(423、433)、炉底部(425、435)および下方延在部(427、437)を含む折れ曲がり形状になっているため、その剛性が高いものになっている。このため、火炉側右壁(42)や火炉側左壁(43)を備える火炉側ブロック(4)もその剛性が高いものになっている。火炉側ブロック(4)の剛性を高めることで、火炉側ブロック(4)の搬送時や設置時における変形を抑制できる。火炉側ブロック(4)の変形を抑制することで、変形した火炉側ブロック(4)の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場(IS)における作業時間の長大化を抑制できる。
【0096】
5)幾つかの実施形態では、上記3)又は4)に記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記ボイラ本体形成ステップ(S5)は、
前記火炉側右壁(42)と前記ボイラ後部煙道側右壁(52)とを繋ぐ右壁接合ステップ(S52A)を含み、
前記右壁接合ステップ(S52A)では、前記ボイラ後部煙道側右壁(52)において最も前側に位置する第1の炉壁管(521A)に接続された第1のフィン(523)と、前記火炉側右壁(42)の最も後側に位置する第2の炉壁管(421A)に接続された第2のフィン(45)とを接合することが行われる。
【0097】
上記5)の方法によれば、右壁接合ステップ(52A)において第1のフィン(523)と第2のフィン(45)とを接合することで、火炉側右壁(42)とボイラ後部煙道側右壁(52)とを繋ぐことができる。このように右壁接合ステップ(52A)における作業を簡単なものにすることで、右壁接合ステップ(52A)にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0098】
6)幾つかの実施形態では、上記3)又は4)に記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記ボイラ本体形成ステップ(S5)は、
前記火炉側右壁(42)と前記ボイラ後部煙道側右壁(52)とを繋ぐ右壁接合ステップ(S52A)を含み、
前記右壁接合ステップ(S52A)では、前記ボイラ後部煙道側右壁(52)において最も前側に位置する第1の炉壁管(521A)に連結フィン(47)の一端を接合し、前記火炉側右壁(42)の最も後側に位置する第2の炉壁管(421A)に前記連結フィン(47)の他端を接合することが行われる。
【0099】
上記6)の方法によれば、右壁接合ステップ(S52A)において第1の炉壁管(521A)に連結フィン(47)の一端を接合し、第2の炉壁管(421A)に連結フィン(47)の他端に接合することで、火炉側右壁(42)とボイラ後部煙道側右壁(52)とを繋ぐことができる。この方法によれば、仮に火炉側ブロック(4)とボイラ後部煙道側ブロック(5)を設置位置に設置した後に、第2の炉壁管(421A)が第1の炉壁管(521A)に対して左右方向にずれている場合に、連結フィン(47)の他端を一端に対して左右方向にずれるように配置することで、第1の炉壁管(521A)や第2の炉壁管(421A)に連結フィン(47)を接合できる。このように連結フィン(47)により第1の炉壁管(521A)と第2の炉壁管(421A)との間の位置ずれを許容できるようにすることで、設置現場(IS)における第1の炉壁管(521A)と第2の炉壁管(421A)との間の位置ずれの修正作業を抑制できるため、設置現場(IS)における作業時間の長大化を抑制できる。
【0100】
7)幾つかの実施形態では、上記1)〜6)の何れかに記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記火炉側ブロック(4)は、前記火炉前壁(41)の上端から前記ボイラ後壁(51)に向かって延在する複数の第3の炉壁管(441)および前記複数の第3の炉壁管(441)間を繋ぐ複数の第3のフィン(442)を含む火炉側天井壁(44)を含み、
前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)は、前記ボイラ後壁(51)から前記火炉前壁(41)に向かって延在する複数の第4の炉壁管(541)および前記複数の第4の炉壁管(541)間を繋ぐ複数の第4のフィン(542)を含むボイラ後部煙道側天井壁(54)を含み、
前記ボイラ本体形成ステップ(S5)は、前記火炉側天井壁(44)と前記ボイラ後部煙道側天井壁(54)とを繋ぐ天井壁接合ステップ(S53)を含み、
前記第3のフィン(442)又は前記第4のフィン(542)の少なくとも一方は、他方のフィンに隙間を有して対向する対向面(444、544)から切り込まれたスリット(447)を有する。
【0101】
上記7)の方法によれば、第3のフィン(442)や前記第4のフィン(542)にスリット(447)を形成することで、スリット(447)が形成されていない場合に比べて、第3の炉壁管(441)や第4の炉壁管(541)の可動域を広げることができるため、第3の炉壁管(441)と第4の炉壁管(541)との間の位置関係の調整作業にかかる作業時間を低減できる。これにより、天井壁接合ステップ(S53)にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0102】
8)幾つかの実施形態では、上記3)〜6)の何れかに記載のボイラの組立方法(10)であって、
前記火炉側ブロック(4)は、
前記火炉前壁(41)の下端から前記仕切壁(6)に向かって延在する一対の火炉側下部管寄せ(81、82)と、
前記火炉前壁(41)の上端から前記ボイラ後壁(51)に向かって延在する火炉側天井壁(44)と、を含み、
前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)は、
前記仕切壁(6)の下端が接続されたボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)であって、前記火炉前壁(41)に向かって突出する一対の接続凸部(911、912)を有するボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)と、
前記ボイラ後壁(51)から前記火炉前壁(41)に向かって延在するボイラ後部煙道側天井壁(54)と、を含み、
前記ボイラ本体形成ステップ(S5)は、
前記一対の火炉側下部管寄せ(81、82)と前記ボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)の前記一対の接続凸部(911、912)との間を繋ぐ管寄せ接合ステップ(S51)と、
前記火炉側右壁(42)と前記ボイラ後部煙道側右壁(52)とを繋ぐ右壁接合ステップ(S52A)と、
前記火炉側天井壁(44)と前記ボイラ後部煙道側天井壁(54)とを繋ぐ天井壁接合ステップ(S53)と、を含み、
前記管寄せ接合ステップ(S51)の後に前記右壁接合ステップ(S52A)が行われるとともに、前記右壁接合ステップ(S52A)の後に前記天井壁接合ステップ(S53)が行われる。
【0103】
上記8)の方法によれば、管寄せ接合ステップ(S51)は、右壁接合ステップ(S52A)よりも接合部間の位置関係に高い精度が要求される。右壁接合ステップ(S52A)は、天井壁接合ステップ(S53)よりも接合部間の位置関係に高い精度が要求される。ボイラ本体形成ステップ(S5)中の各ステップ(管寄せ接合ステップS51、右壁接合ステップS52Aおよび天井壁接合ステップS53)を接合部間に要求される精度が高い順に行うことで、各ステップにおける接合部間の位置関係の調整作業にかかる作業時間を低減できる。これにより、ボイラ本体形成ステップ(S5)にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0104】
9)本開示の少なくとも一実施形態にかかるボイラの製造方法(1)は、
火炉(21)と、前記火炉(21)で生成された燃焼ガスを導く燃焼ガス通路(22)とが、仕切壁(6)によって区画されたボイラ本体(3)を備えるボイラ(2)の製造方法(1)であって、
上記1)〜8)の何れかに記載のボイラ(2)の組立方法(10)と、
前記火炉側ブロック(4)を製造する火炉側ブロック製造ステップ(S1)と、
前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)を製造するボイラ後部煙道側ブロック製造ステップ(S2)と、
前記火炉側ブロック(4)および前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)を製造現場(MS)から設置現場(IS)に搬送する搬送ステップ(S3)と、を備える。
【0105】
上記9)の方法によれば、工場などの製造現場(MS)で製造された一対のブロック(4、5)を、貨物自動車などの搬送用機器により設置現場(IS)に搬送し、各々の設置位置に設置後に、一対のブロック(4、5)の互いの接合部同士を接合することで、ボイラ本体(3)を設置位置に形成できる。一対のブロック(4、5)は、ボイラ本体(3)が水平方向において二分割されたものであるため、例えばボイラ本体(3)が鉛直方向において二分割された場合に比べて、ボイラ本体(3)形成時の接合作業が簡単なものになる。ボイラ本体(3)形成時の接合作業を簡単なものにすることで、設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0106】
また、上記9)の方法によれば、一対のブロック(4、5)を、一方のブロック(火炉側ブロック4)が火炉前壁(41)を含み、他方のブロック(ボイラ後部煙道側ブロック5)がボイラ後壁(51)を含むように分割することで、各ブロックの構造の複雑化を抑制できるため、各ブロックの製造が容易になる。また、一対のブロック(4、5)を、一方のブロック(火炉側ブロック4)が火炉前壁(41)を含み、他方のブロック(ボイラ後部煙道側ブロック5)がボイラ後壁(51)を含むように分割することで、各ブロックの横断面方向における大きさを小さくできるため、各ブロックの搬送が容易になる。
【0107】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載のボイラの製造方法(1)であって、
前記火炉側ブロック(4)は、前記火炉前壁(41)の下端から前記仕切壁(6)に向かって延在する一対の火炉側下部管寄せ(81、82)を含み、
前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)は、前記仕切壁(6)の下端が接続されたボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)であって、前記火炉前壁(41)に向かって突出する一対の接続凸部(911、912)を有するボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)を含み、
前記ボイラ本体形成ステップ(S5)は、前記一対の火炉側下部管寄せ(81、82)と、前記ボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)の前記一対の接続凸部(911、912)との間を繋ぐ管寄せ接合ステップ(S51)を含み、
前記火炉側ブロック製造ステップ(S1)は、前記火炉側ブロック(4)の前記一対の火炉側下部管寄せ(81、82)の間隔(D2)が、前記ボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)の前記一対の接続凸部(911、912)の間隔(D1)と同じになるように調整する間隔調整ステップ(S8)を含む。
【0108】
一対の火炉側下部管寄せ(81、82)とボイラ後部煙道側下部管寄せ(91)の一対の接続凸部(911、912)とを接合するためには、一対の火炉側下部管寄せ(81、82)の夫々と一対の接続凸部(911、912)の夫々との間の位置関係に高い精度が要求される。上記10)の方法によれば、間隔調整ステップ(S8)において一対の火炉側下部管寄せ(81、82)の間隔(D2)が、一対の接続凸部(911、912)の間隔(D1)と同じになるように調整することで、設置現場(IS)における一対の火炉側下部管寄せ(81、82)の夫々と一対の接続凸部(911、912)の夫々との間の位置関係の調整作業を低減できる。これにより、管寄せ接合ステップ(S51)にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0109】
11)幾つかの実施形態では、上記9)又は10)に記載のボイラの製造方法(1)であって、
前記火炉側ブロック製造ステップ(S1)又は前記ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップ(S2)の少なくとも一方は、前記一対のブロック(4、5)のうちの少なくとも一方の前記接合部を切断代を有する形状に形成する切断代形成ステップ(S7A)を含み、
前記ボイラ本体形成ステップ(S5)は、前記設置位置に設置された前記火炉側ブロック(4)と前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)との間隔に応じて前記切断代を切断する切断代切断ステップ(S7B)を含む。
【0110】
上記11)の方法によれば、切断代切断ステップ(S7B)において、設置位置に設置された火炉側ブロック(4)とボイラ後部煙道側ブロック(5)との間隔に応じて切断代を切断することで、一対のブロック(4、5)の互いの接合部間の位置関係の調整を行うことができる。これにより、ボイラ本体形成ステップ(S5)にかかる作業時間を低減でき、ひいては設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0111】
12)幾つかの実施形態では、上記9)〜11)の何れかに記載のボイラの製造方法(1)であって、
前記搬送ステップ(S3)よりも前に、前記火炉側ブロック(4)に補強フレーム(7)を収容する補強フレーム収容ステップ(S6A)をさらに備え、
前記火炉側ブロック(4)は、
前記火炉前壁(41)と、
前記火炉前壁(41)の右端(413)から前記仕切壁(6)に向かって延在する火炉側右壁(42)と、
前記火炉前壁(41)の左端(414)から前記仕切壁(6)に向かって延在する火炉側左壁(43)と、を含み、
前記補強フレーム(7)は、
前記火炉側ブロック(4)の高さ方向に沿って延びる角筒状の筐体(71)と、
前記筐体(71)の内部において前記筐体(71)の互いに対向する隅部同士を繋ぐ一対のブレース(76、77)と、を含む。
【0112】
上記12)の方法によれば、補強フレーム(7)は、筐体(71)と一対のブレース(76、77)を含むことで、その剛性が高いものになっている。火炉側ブロック(4)に補強フレーム(7)を収容することで、火炉側ブロック(4)の搬送時における変形を抑制できる。火炉側ブロック(4)の変形を抑制することで、変形した火炉側ブロック(4)の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場(IS)における作業時間の長大化を抑制できる。
【0113】
13)幾つかの実施形態では、上記9)〜12)の何れかに記載のボイラの製造方法(1)であって、
前記火炉側ブロック製造ステップ(S1)は、前記火炉側ブロック(4)を自立させるための脚部(101)を前記火炉側ブロック(4)に設ける火炉側脚部形成ステップ(S9A)をさらに含み、
前記ボイラ後部煙道側ブロック製造ステップ(S2)は、前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)を自立させるための脚部(102)を前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)に設けるボイラ後部煙道側脚部形成ステップ(S9B)をさらに含む。
【0114】
上記13)の方法によれば、火炉側ブロック(4)やボイラ後部煙道側ブロック(5)に脚部(101、102)を設けて、火炉側ブロック(4)やボイラ後部煙道側ブロック(5)を自立させることで、火炉側ブロック(4)やボイラ後部煙道側ブロック(5)の設置作業の作業時間を低減できる。これにより、設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0115】
14)本開示の少なくとも一実施形態にかかるボイラ(2)は、
火炉(21)と、前記火炉(21)で生成された燃焼ガスを導く燃焼ガス通路(22)とが、仕切壁(6)によって区画されたボイラ本体(3)を備えるボイラ(2)であって、
前記ボイラ本体(3)は、
前記ボイラ本体(3)が水平方向において二分割された一対のブロック(4、5)のうちの一方のブロックである火炉側ブロック(4)であって、前記火炉(21)を挟んで前記仕切壁(6)と対向する火炉前壁(41)を少なくとも含む火炉側ブロック(4)と、
前記一対のブロック(4、5)のうちの他方のブロックであるボイラ後部煙道側ブロック(5)であって、前記燃焼ガス通路(22)を挟んで前記仕切壁(6)と対向するボイラ後壁(51)を少なくとも含むボイラ後部煙道側ブロック(5)と、を含み、
前記一対のブロック(4、5)の夫々は、互いを接合するための接合部(40、50)を有する。
【0116】
上記14)の構成によれば、一対のブロック(4、5)を工場などの製造現場(MS)で製造し、貨物自動車などの搬送用機器により設置現場(IS)に搬送できる。設置位置に設置された一対のブロック(4、5)の互いの接合部同士を接合することで、ボイラ本体(3)を設置位置に形成できる。一対のブロック(4、5)は、ボイラ本体(3)が水平方向において二分割されたものであるため、例えばボイラ本体(3)が鉛直方向において二分割された場合に比べて、ボイラ本体(3)形成時の接合作業が簡単なものになる。ボイラ本体(3)形成時の接合作業を簡単なものにすることで、設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【0117】
また、上記14)の構成によれば、一対のブロック(4、5)を、一方のブロック(火炉側ブロック4)が火炉前壁(41)を含み、他方のブロック(ボイラ後部煙道側ブロック5)がボイラ後壁(51)を含むように分割することで、各ブロックの構造の複雑化を抑制できるため、各ブロックの製造が容易になる。また、一対のブロック(4、5)を、一方のブロック(火炉側ブロック4)が火炉前壁(41)を含み、他方のブロック(ボイラ後部煙道側ブロック5)がボイラ後壁(51)を含むように分割することで、各ブロックの横断面方向(各ブロックの高さ方向に直交する方向)における大きさを小さくできるため、各ブロックの搬送が容易になる。
【0118】
15)幾つかの実施形態では、上記14)に記載のボイラ(2)であって、
前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)は、
前記ボイラ後壁(51)と、
前記仕切壁(6)と、
前記ボイラ後壁(51)の右端(513)から前記火炉前壁(41)に向かって延在するとともに、前記仕切壁(6)の右端(63)に接続されたボイラ後部煙道側右壁(52)と、
前記ボイラ後壁(51)の左端(514)から前記火炉前壁(41)に向かって延在するとともに、前記仕切壁(6)の左端(64)に接続されたボイラ後部煙道側左壁(53)と、を含む。
【0119】
上記15)の構成によれば、ボイラ後部煙道側ブロック(5)は、ボイラ後壁(51)、仕切壁(6)、ボイラ後部煙道側右壁(52)およびボイラ後部煙道側左壁(53)により、その横断面形状が燃焼ガス通路(22)を囲む四角筒状になっているため、その剛性が高いものになっている。ボイラ後部煙道側ブロック(5)の内部にボイラ伝熱管を配設することで、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の剛性をさらに高めることができる。ボイラ後部煙道側ブロック(5)の剛性を高めることで、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の搬送時や設置時における変形を抑制できる。ボイラ後部煙道側ブロック(5)の変形を抑制することで、変形したボイラ後部煙道側ブロック(5)の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場(IS)における作業時間の長大化を抑制できる。
【0120】
16)幾つかの実施形態では、上記15)に記載のボイラ(2)であって、
前記火炉側ブロック(4)は、
前記火炉前壁(41)と、
前記火炉前壁(41)の右端(413)から前記仕切壁(6)に向かって延在する火炉側右壁(42)と、
前記火炉前壁(41)の左端(414)から前記仕切壁(6)に向かって延在する火炉側左壁(43)と、を含む。
【0121】
上記16)の構成によれば、火炉側ブロック(4)は、火炉前壁(41)、火炉側右壁(42)および火炉側左壁(43)により、その横断面形状がコの字状になっており、ボイラ後部煙道側ブロック(5)に組付けられることで、内部に火炉(21)が形成されるようになっている。この火炉側ブロック(4)は、一般的にボイラ後部煙道側ブロック(5)よりも前後方向における幅が大きく、輸送制限の制約を受けやすいが、上記16)の構成によれば、仮に横断面形状が火炉(21)を囲む四角筒状である場合に比べて、その横断面方向における大きさを小さくできるため、火炉側ブロック(4)の搬送が容易になる。また、火炉側ブロック(4)の横断面形状をコの字状にすることで、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の横断面形状を四角筒状にすることができるため、ボイラ後部煙道側ブロック(5)の横断面形状をコの字状にしたときに生じうるデメリットを回避できる。
【0122】
17)幾つかの実施形態では、上記16)に記載のボイラ(2)であって、
前記火炉側右壁(42)および前記火炉側左壁(43)の夫々は、
前記火炉側ブロック(4)の高さ方向に沿って延在する上方延在部(423、433)と、
前記上方延在部の下端(424、434)から前記火炉側右壁(42)および前記火炉側左壁(43)のうちの他方に向かって延在する炉底部(425、435)と、
前記炉底部の先端(426、436)から下方に向かって延在する下方延在部(427、437)と、を含む。
【0123】
上記17)の構成によれば、火炉側右壁(42)や火炉側左壁(43)は、上方延在部(423、433)、炉底部(425、435)および下方延在部(427、437)を含む折れ曲がり形状になっているため、その剛性が高いものになっている。このため、火炉側右壁(42)や火炉側左壁(43)を備える火炉側ブロック(4)もその剛性が高いものになっている。火炉側ブロック(4)の剛性を高めることで、火炉側ブロック(4)の搬送時や設置時における変形を抑制できる。火炉側ブロック(4)の変形を抑制することで、変形した火炉側ブロック(4)の形状の修正作業を削減できるため、上記修正作業による設置現場(IS)における作業時間の長大化を抑制できる。
【0124】
18)幾つかの実施形態では、上記14)〜17)の何れかに記載のボイラ(2)であって、
前記火炉側ブロック(4)および前記ボイラ後部煙道側ブロック(5)の夫々は、各々を自立させるための少なくとも1つの脚部(101、102)を含む。
【0125】
上記18)の構成によれば、火炉側ブロック(4)やボイラ後部煙道側ブロック(5)に脚部(101、102)を設けて、火炉側ブロック(4)やボイラ後部煙道側ブロック(5)を自立させることで、火炉側ブロック(4)やボイラ後部煙道側ブロック(5)の設置作業の作業時間を低減できる。これにより、設置現場(IS)における作業時間を低減できる。
【解決手段】火炉と、火炉で生成された燃焼ガスを導く燃焼ガス通路とが、仕切壁によって区画されたボイラ本体を備えるボイラの組立方法であって、ボイラ本体が水平方向において二分割された一対のブロックのうちの、火炉を挟んで仕切壁と対向する火炉前壁を少なくとも含む一方のブロックである火炉側ブロックと、上記一対のブロックのうちの、燃焼ガス通路を挟んで仕切壁と対向するボイラ後壁を少なくとも含む他方のブロックであるボイラ後部煙道側ブロックと、からなる一対のブロックを設置位置に設置する設置ステップと、設置位置に設置された一対のブロックの互いの接合部同士を接合してボイラ本体を形成するボイラ本体形成ステップと、を備える。