特許第6913863号(P6913863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913863
(24)【登録日】2021年7月15日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/56 20060101AFI20210727BHJP
   B65D 90/62 20060101ALI20210727BHJP
   E05F 1/02 20060101ALI20210727BHJP
   E05B 83/02 20140101ALI20210727BHJP
【FI】
   B65D88/56
   B65D90/62 A
   E05F1/02 A
   E05B83/02
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-62964(P2019-62964)
(22)【出願日】2019年3月28日
(65)【公開番号】特開2020-158196(P2020-158196A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】519111796
【氏名又は名称】増永 路人
(74)【代理人】
【識別番号】110002778
【氏名又は名称】特許業務法人IPシーガル
(72)【発明者】
【氏名】増永 路人
(72)【発明者】
【氏名】金 石潤
(72)【発明者】
【氏名】具 孟書
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第8550282(US,B1)
【文献】 独国実用新案第202006001025(DE,U1)
【文献】 米国特許第5094358(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00 − 90/66
E05B 83/02
E05F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後妻側に回動可能に連結されて上下方向へ開閉される開閉扉を有するコンテナであって、
前記開閉扉の閉鎖をロックするロック手段を備え、
前記ロック手段は、
係合体と、この係合体の一端に回動可能に軸支される振り子部材で構成され、
前記係合体は、
一方の端部が、前記コンテナを構成する底面壁の短手側の後妻側に回動可能に軸支され、他方の自由端部が、前記振り子部材を備え、かつ前記開閉扉の所定の位置に形成された係合部材と係合するよう、前方に突出形成された係合部を備えるように構成され
前記振り子部材は、
所要の重さを有し、かつその下端部が前記係合体の自由端部に回動可能に軸支され、前記コンテナが所定の角度傾いたときに後方に向かって揺動するよう構成されていること
を特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記振り子部材は、
前記コンテナが所定の角度傾いたときに搖動し、その揺動により生じた遠心力によって前記係合体が後方に回動してロックが解除されるよう、その重さが設定されたものであること
を特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記ロック手段は、
平行に離間対向した一対の側面視略コ字状の板状体と、これらの板状体の長手方向の一方の端縁に連結されかつ支軸の挿通孔と連通する円筒体と、他方の端縁に形成された挿通孔に軸支されかつ前記振り子部材と一体的に形成された支軸で構成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
さらに、前記底面壁の短手側の後妻側の下方に、前記開閉扉を開閉する開閉手段を備え、
前記開閉手段は、
前記コンテナの長手方向に沿って、前後方向に移動可能に配置される所要の長さのロッド主体と、このロッド主体の先端部に軸支される開閉部材とで構成され、
前記ロッド主体は、
その基端部において、前記ロッド主体の前後方向への移動を可能にする動力部材と連繋され、
前記開閉部材は、
その先端部が前記開閉扉に配設された係止部材と係合するよう構成され、基端部上面には、後方に至るに従って厚さが薄くなるよう傾斜面を形成したクサビ状の案内ガイドが設けられ、
前記ロッド主体の後方への移動によって、前記開閉部材の先端部が前記開閉扉に配設された係止部材から離反すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項5】
前記動力部材は、
前記ロッド主体の基端部と連繋するピストンロッドと、シリンダチューブと、前記ピストンロッドに固定され、かつ前記シリンダチューブ内を長手方向に移動可能なピストンヘッドと、前記ピストンヘッドによって仕切られるシリンダチューブ内の一方のシリンダ室に装填される圧縮ばねで構成されたものであること
を特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナに関するものである。
より具体的には、積載・貯蔵された被搬送物、特に粉粒体を、容易かつ安全に排出することを可能にするコンテナに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウッドペレットなどの粉粒体の搬送方法として、箱型のコンテナを利用したバルクコンテナによる搬送方法がある。
【0003】
このようなバルクコンテナによる搬送は、例えば、車両に搭載された箱型コンテナに内袋を設置し、この内袋に粉粒体を充填して搬送し、目的地において箱型コンテナを、傾斜装置を有する積載台上に搭載し、上記箱型コンテナを傾斜させ、傾斜時に上記内袋の下端となる位置に設けられた粉粒体排出口より粉粒体を排出させることによって行われる。
【0004】
このようなコンテナの一例が、特許文献1に開示されている。
【0005】
例えば、実開昭63−131992号公報(特許文献1)においては、スムーズに貨物を排出させることができ、その排出の際に側方から貨物がこぼれるおそれがなく、また貨物の排出作業を安全に行うことができるバルクコンテナが提案されている。
【0006】
このバルクコンテナは、リアパネルの下方に下端を回動自在に止着した開閉扉を設け、
該開閉扉の上方にウインチで巻取自在のワイヤーの端部を固定し、
上記開閉扉の側部とこれに対応する開口部の側部との間に貨物のこぼれ防止用キャンバスを設け、
さらに下端が床部の開閉扉側に回動自在に止着されて上記開閉扉を水平に開いたときに該開閉扉の内側面と床面とを掛け渡す案内板を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−131992号公報(実用新案登録請求の範囲,図1〜3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のバルクコンテナなどの粉粒体の搬送用の箱型コンテナは、後部の開閉扉を人力で開閉することを必要とするものである。
したがって、安全性の面において問題があった。
【0009】
前記特許文献1に記載されたバルクコンテナは、開閉扉の開閉を、その上方に設けられたウインチによるワイヤーの巻き戻しと巻き取りによって行うものである。
したがって、開閉扉の開閉に際しては、ウインチを操作することが必要となるので、開閉扉の開閉を円滑かつ容易に行うことができないおそれがあった。
【0010】
この発明はかかる現状に鑑み、積載・貯蔵された被搬送物、特に粉粒体を、容易かつ安全に排出することを可能にするコンテナを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の請求項1に記載の発明は、
後妻側に回動可能に連結されて上下方向へ開閉される開閉扉を有するコンテナであって、
前記開閉扉の閉鎖をロックするロック手段を備え、
前記ロック手段は、
係合体と、この係合体の一端に回動可能に軸支される振り子部材で構成され、
前記係合体は、
一方の端部が、前記コンテナを構成する底面壁の短手側の後妻側に回動可能に軸支され、他方の自由端部が、前記振り子部材を備え、かつ前記開閉扉の所定の位置に形成された係合部材と係合するよう、前方に突出形成された係合部を備えるように構成され
前記振り子部材は、
所要の重さを有し、かつその下端部が前記係合体の自由端部に回動可能に軸支され、前記コンテナが所定の角度傾いたときに後方に向かって揺動するよう構成されていること
を特徴とするコンテナである。
【0012】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のコンテナにおいて、
前記振り子部材は、
前記コンテナが所定の角度傾いたときに搖動し、その揺動により生じた遠心力によって前記係合体が後方に回動してロックが解除されるよう、その重さが設定されたものであること
を特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のコンテナにおいて、
前記ロック手段は、
平行に離間対向した一対の側面視略コ字状又は逆L字状の板状体と、これらの板状体の長手方向の一方の端縁に連結されかつ支軸の挿通孔と連通する円筒体と、他方の端縁に形成された挿通孔に軸支されかつ前記振り子部材と一体的に形成された支軸で構成されていること
を特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載のコンテナにおいて、
前記コンテナは、
さらに、前記底面壁の短手側の下方に、前記開閉扉を開閉する開閉手段を備え、
前記開閉手段は、
前記コンテナの長手方向に沿って、前後方向に移動可能に配置される所要の長さのロッド主体と、このロッド主体の先端部に軸支される開閉部材とで構成され、
前記ロッド主体は、
その基端部において、前記ロッド主体の前後方向への移動を可能にする動力部材と連繋され、
前記開閉部材は、
その先端部が前記開閉扉に配設された係止部材と係合するよう構成され、基端部上面には、後方に至るに従って厚さが薄くなるよう傾斜面を形成したクサビ状の案内ガイドが設けられ、
前記ロッド主体の後方への移動によって、前記開閉部材の先端部が前記開閉扉に配設された係止部材から離反すること
を特徴とするものである。
【0015】
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載のコンテナにおいて、
前記動力部材は、
前記ロッド主体の基端部と連繋するピストンロッドと、シリンダチューブと、前記ピストンロッドに固定され、かつ前記シリンダチューブ内を長手方向に移動可能なピストンヘッドと、前記ピストンヘッドによって仕切られるシリンダチューブ内の一方のシリンダ室に装填される圧縮ばねで構成されたものであること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかるコンテナは後妻側に回動可能に連結されて上下方向へ開閉される開閉扉を有するものであって、前記開閉扉の閉鎖をロックするロック手段を備えるもので、前記ロック手段は、係合体と、この係合体の一端に回動可能に軸支される振り子部材で構成され、前記係合体は、一方の端部が、前記コンテナを構成する底面壁の短手側の後妻側に回動可能に軸支され、他方の自由端部が、前記振り子部材を備え、かつ前記開閉扉の所定の位置に形成された係合部材と係合するよう、前方に突出形成された係合部を備えるように構成されている。
したがって、このコンテナによれば、コンテナが、その前妻側を上昇させることによって所定の角度に傾斜したときには、前記振り子部材が搖動し、その際に生じた遠心力によって、前記係合体が後方に搖動するので、この係合体と前記開閉扉形成された係合部材との係合状態が解除され、その結果、開閉扉のロックが解除される。
よって、このコンテナは、被搬送物の搬送後の排出を容易かつ安全に行うことを可能とするものである。
【0017】
前記コンテナにおいて、前記ロック手段を、平行に離間対向した一対の側面視略コ字状又は逆L字状の板状体と、これらの板状体の長手方向の一方の端縁に連結されかつ支軸の挿通孔と連通する円筒体と、他方の端縁に形成された挿通孔に軸支されかつ前記振り子部材と一体的に形成された支軸で構成することができる。
このような構成によって、前記振り子部材の搖動が、より確実に行われる。
【0018】
さらに前記コンテナには、さらに、前記開閉扉を開閉するため、開閉手段を具備させることができる。
前記開閉手段は、前記コンテナの長手方向に沿って、前後方向に移動可能に配置される所要の長さのロッド主体と、このロッド主体の先端部に軸支される開閉部材とで構成されたもので、前記ロッド主体は、その基端部において、前記ロッド主体の前後方向への移動を可能にする動力部材と連繋され、前記開閉部材は、その先端部が前記開閉扉に配設された係止部材と係合するよう構成され、基端部上面には、後方に至るに従って厚さが薄くなるよう傾斜面を形成したクサビ状の案内ガイドが設けられ、前記ロッド主体の後方への移動によって、前記開閉部材の先端部が前記開閉扉に配設された係止部材から離反するように構成されている。
したがって、この構成によれば、コンテナを、その前妻側を上昇させることによって所定の角度まで傾斜させるだけで、前記開閉扉の開閉を自動的に行うことができるので、前記開閉扉の開閉を安全かつ容易に行うことが可能である。
【0019】
前記コンテナにおいて、前記動力部材を、前記ロッド主体の基端部と連繋するピストンロッドと、シリンダチューブと、前記ピストンロッドに固定され、かつ前記シリンダチューブ内を長手方向に移動可能なピストンヘッドと、前記ピストンヘッドによって仕切られるシリンダチューブ内の一方のシリンダ室に装填される圧縮ばねで構成することができる。
このような構成によって、前記開閉扉を、被搬送物の重量と圧縮ばねの付勢力を利用して、安全かつ自動的に開閉することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明にかかるコンテナの後妻側の一例を示す正面図である。
図2図1に示すコンテナの後妻側に設けられるロック手段を示す説明図であって、(A)は、図1の領域Aの拡大図で、(B)は、(A)のC−C’断面図である。
図3図2に示すロック手段のロック機構を示す説明図であって、(A)は、コンテナが静置された状態にある場合を示すもので、(B)は、コンテナが、その前妻側を上昇させて、角度5°で傾斜した状態にある場合を示すもので、(C)は、前妻側をさらに上昇させて、角度7°で傾斜した状態にある場合を示すもので、(D)は、前妻側をさらに上昇させて、角度10°で傾斜した状態にある場合を示すものである。
図4図1に示すコンテナの後妻側に設けられる開閉手段を示す説明図であって、(A)は、図1の領域Bの拡大図で、(B)は、(A)のD−D’断面図である。
図5図4に示す開閉手段の開閉機構を示す説明図であって、(A)は、コンテナが静置された状態にある場合を示すもので、(B)は、コンテナが、その前妻側を上昇させて、角度5°で傾斜した状態にある場合を示すもので、(C)は、前妻側をさらに上昇させて、角度15°で傾斜した状態にある場合を示すものである。
図6】この発明にかかるコンテナにおける被搬送物の排出方法の一例を示す説明図であって、(A)は、コンテナの静置状態を示すもので、(B)は、コンテナを、その前妻側を上昇させて、角度10°で傾斜させた状態を示すもので、(C)は、前妻側をさらに上昇させて、角度15°で傾斜させた状態を示すもので、(D)は、前妻側をさらに上昇させて、角度35°で傾斜させた状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明にかかるコンテナの実施の一例を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
なお、この発明は開示された実施例にのみ限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内において種々改良することができるものである。
【0022】
図1は、この発明にかかるコンテナ1の後妻側の正面図である。
前記コンテナ1を構成するコンテナ主体1aは、特に図示しないが、上面壁と長手側の一対の側面壁と、妻側の一対の側面壁と、底面壁により細長形の箱形に形成されてなるもので、国際海上コンテナの基準であるISO(国際標準化機構)やCSC(コンテナの安全に関する国際条約)に適合するように構成されている。
このコンテナ1が車両に搭載される場合には、前記後妻側の側面壁は、後部側に位置される。
【0023】
後妻側の側面壁2は、図1に示すように、上部分2aと下部分2bとに分割されて、ヒンジ2cで連結され、下部分2bは、ヒンジ2cを介して外側(後方)へ折返し可能な開閉扉を構成している。
なお、図1において、上部分2aと下部分2bの上下長は、ほぼ1対1に設定されている。
【0024】
底面壁3の長手方向の後端部には、図1に示すように、前記開閉扉2bが不用意に開放されることがないよう、この開閉扉2bの閉鎖をロックするロック手段4が配設されている。
【0025】
前記ロック手段4は、図2に示すように、係合体4aと、この係合体4aの上部に回動可能に軸支される振り子部材41aで構成されるものである。
なお、図2において、符号7は、前記振り子部材41aが搬送中に不用意に揺動することを防止するためのストッパーで、これによって、開閉扉2bが搬送中に不用意に開放されることが防止される。
【0026】
前記係合体4aは、図2に示すように、一方の端部(図2において下端部)において、底面壁3の短手側の後妻側に支軸4cを介して回動可能に軸支されている。
他方の自由端部(図2において上端部)には、図2に示すように、前記開閉扉2bの所定の位置に突出形成された係合部材2dと係合するよう、内側(前方側)に突出形成された係合部4bが設けられると共に、振り子部材41aが回動可能に軸支されている。
【0027】
前記振り子部材41aは、所要の重さを有するもので、図2に示すように、その下端部が、前記係合体4aの自由端部に回動可能に軸支されたものである。
このような構成によって、前記振り子部材41aは、コンテナ1が、その前妻側を上昇させることにより所定の角度で傾斜したときに、支軸41bを中心として外側(後方)に向かって揺動する。
その際、前記振り子部材41aの搖動によって、遠心力が生じる。
したがって、この遠心力によって、前記係合体4aが支軸4cを中心として外側(後方)に搖動するので、この係合体4aと、前記開閉扉2bに形成された係合部材2dとの係合状態が解除され、その結果、開閉扉2bのロックが解除される。
【0028】
前記振り子部材41aについては、前記係合部材2dとの係合の状態(方法や強さなど)や前記振り子部材41aの揺動のしやすさなどにもよるが、振り子部材41aの搖動によって生じた遠心力によって、前記係合体4aが支軸4cを中心として後方に搖動するように、その重さなどが、設定されていればよい。
例えば、前記振り子部材41aを、おおむね前記係合体4a自体の質量に対して、所定の質量(例えば、前記係合体4aの質量の5分の2以上)となるように設定することによって、前記振り子部材41aの搖動により生じる遠心力を利用して、前記係合体4aの前記係合部材2dとの係合を解除することができる。
なお、この実施例においては、前記係合体4aの質量を、1.73kgとしたので、前記振り子部材41aの質量を、738gに設定している。
【0029】
かかる構成のロック手段4は、コンテナ1が静置されている状態(傾斜していない状態)では、図3(A)に示すように、底面壁3の短手側の後妻側に軸支された係合体4aの係合部4bと、開閉扉2bに設けられた係合部材2dとが係合し、コンテナ主体1aの後妻側の開口部を閉鎖する開閉扉2bをロックしている。
【0030】
この状態から、図3(B)に示すように、コンテナ1の前妻側を上昇させていくと、所定の角度で傾斜したときに、図3(C)に示すように、係合体4aの自由端部に軸支された振り子部材41aが、支軸41bを中心として後方側に搖動する。
したがって、この振り子部材41aの揺動によって生じた遠心力が、図3(D)に示すように、係合体4aを、支軸4cを中心として後方側に回動させる。
【0031】
前記係合体4aが後方側に回動すると、この係合体4aの係合部4bと前記係合部材2dとの係合が解除される。
よって、開閉扉2bのロックも解除される。
【0032】
なお、前記ロック手段4は、前記係合体4aを、その一端が前記底面壁3の長手方向の後端部に回動可能に軸支され、他端が前記開閉扉2bに形成された係合部材2dと係合すると共に、前後方向に揺動可能に軸支された振り子部材41aを備えるように構成することによって、前記係合体4aが前記振り子部材41aの揺動により生じた遠心力によって後方側に回動することができるものであれば、具体的な構成には特段の制限はないものである。
【0033】
この実施例において、前記ロック手段4は、図2に示すように、平行に離間対向した一対の側面視略コ字状の板状体と、これらの板状体の長手方向の一方の端縁に、支軸4cの挿通孔と連通するよう連結された円筒体と、他方の端縁に形成された挿通孔に軸支されかつ振り子部材41aと一体的に形成された支軸41bで構成されている。
このロック手段4は、その一端が、底面壁3の短手側の後妻側に形成された軸受け3b,3bに支軸4cを介して軸支されるよう構成され、他端に軸支されている前記支軸41bの下面を係合部として、これが開閉扉2bに突出形成された所要の長さの棒状体からなる係合部材2dと係合するよう構成されている。
【0034】
なお、図2において、前記係合体4aの上端部(自由端部)の前方側には、上方に突出形成された支柱42が設けられている。
この支柱42は、コンテナ1の静置状態(傾斜していない状態)において、前記振り子部材41aを支持するためのものである。
【0035】
前記開閉扉2bの所定の位置には、係止部材6が配設され、この係止部材6の下方の、底面壁3の短手側の後妻側には、図1に示すように、後妻側に開口する所要の大きさの空間部3aが形成され、この空間部3a内に、前記開閉扉2bの開閉を行う開閉手段5が配設されている。
なお、この実施例において、前記空間部3aは、前記短手側の中央に形成されている。
【0036】
前記開閉手段5は、コンテナ主体1aの長手方向に沿って、前後方向に移動可能に配置される所要の長さのロッド主体5aと、このロッド主体5aの先端部に軸支される開閉部材5bとから構成されるものである。
【0037】
前記ロッド主体5aの基端部は、このロッド主体5aの前後方向への移動を可能にする動力部材と連繋する。
なお、前記動力部材としては、前記ロッド主体5aをコンテナ主体1aの長手方向に沿って、前後方向に移動させることができるものであれば、具体的な機構には特段の制限はなく選択することができる。
【0038】
この実施例においては、前記動力部材として、図4に示すスプリングシリンダ51を使用している。
前記スプリングシリンダ51は、図4(B)に示すように、前記ロッド主体5aの基端部と連繋するピストンロッド51bの基端部にピストンヘッド51cを固定し、このピストンヘッド51cによって仕切られるシリンダチューブ51a内の一方のシリンダ室に圧縮ばね51dを装填したもので、コンテナ主体1aの長手方向と平行になるよう保持されている。
このような構成によって、前記開閉扉2bの開閉を、モータのような電動機を使用することなく、自動的に行うことが可能となる。
【0039】
図4(B)において、取り付けられた状態での圧縮ばね51dは、ピストンヘッド51cによって圧縮されており、ピストンロッド51bをシリンダチューブ51a内に引き戻す方向へ付勢している。
したがって、前記開閉扉2bは、後述するように、この開閉扉2bに配設された係止部材6と、前記ピストンロッド51bに前記ロッド主体5aを介して連結された開閉部材5bとが係合しているので、前記スプリングシリンダ51の付勢力によって、不用意に開放するおそれがない。
【0040】
一方、コンテナ1が、その前妻側を上昇させることにより、所定の角度で傾斜すると、ピストンロッド51bが、被搬送物の重量によってシリンダチューブ51aから引き出される。
【0041】
前記ロッド主体5aの先端部に支軸5dを介して軸支される開閉部材5bは、所要の長さの棒状体で構成されている。
なお、前記開閉部材5bの先端部には、前記係止部材6を係止するよう、頭部を有するボルト状のストッパー部材5eが装着されている。
【0042】
前記開閉扉2bの下端部には、前記開閉手段5と対応する位置において、全体が帯状の板材で形成された係止部材6が配設されている。
この係止部材6は、その下縁に、上方に所要の長さ切り欠いて形成された係止部6aを有し、この係止部6aが、図4(A)及び(B)に示すように、前記開閉部材5aと係合する。
【0043】
したがって、前記開閉部材5bは、前記ロッド主体5aの後方への移動によって、先端部が開閉扉2bに配設された係止部材6から離反し、ロッド主体5aの前方への移動によって再び元の位置に戻るように構成されている。
【0044】
すなわち、前記開閉部材5bは、常時は開閉部材5bとロッド主体5aを介して連繋したスプリングシリンダ51の付勢力によって、前方側(図4(B)において左側)に付勢されている。
したがって、前記ロッド主体5aと同様に、コンテナ主体1aの後妻側の開口部が開閉扉2bによって閉鎖されているときには、前記コンテナ主体1aの長手方向とほぼ平行状態に保持される。
【0045】
同時に、前記開閉部材5bの基端部上面には、後方(図4(B)において右側)に至るに従って厚さが薄くなるよう傾斜面を形成したクサビ状の案内ガイド5cが一体的に固着されるとともに、常時、前記案内ガイド5cの傾斜面と当接するピン部材3cが、空間部3a内の上面に固定されている。
【0046】
したがって、前記ピストンロッド51bが、前記圧縮ばね51dの付勢力に抗して、後方側に引き出されることによって、前記ロッド主体5aが前方に移動すると、開閉部材5bが備える案内ガイド5cの傾斜面が、前方から後方に向かって厚さが薄くなるよう形成されているので、開閉部材5bは、図4(B)に示すように、支軸5dを中心として下側、すなわち、開閉扉2bに配設された係止部材6から離反する方向に傾斜するよう構成されている。
【0047】
かかる構成の開閉手段5は、コンテナ1が静置されている状態(傾斜していない状態)では、図5(A)に示すように、コンテナ主体1a(詳しくはその底面壁3の短手側)の後妻側に配設された開閉手段5の開閉部材5bと、開閉扉2bに設けられた係止部材6とが係合し、コンテナ主体1aの後妻側の開口部は開閉扉2bによって閉鎖されている。
このとき、ロッド主体5aは、スプリングシリンダ51の付勢力によって、前妻側に付勢されている。
【0048】
この状態から、図5(B)に示すように、コンテナ1の前妻側を上昇させていくと、被搬送物の重量によって、スプリングシリンダ51が備えるピストンロッド51bが、前記圧縮ばね51dの付勢力に抗して、後方側に向かって徐々に引き出される。
したがって、このピストンロッド51bと連結されているロッド主体5aが後方側に移動し、図5(B)に示すように、開閉部材5bの基端部に固着されている案内ガイド5cがピン部材3cに沿って下方に移動する。
【0049】
同時に、前記ロッド主体5aの先端部に軸支された開閉部材5bは下方に押し下げられるとともに、スプリングシリンダ51の付勢力に抗して開閉扉2bの係止部材6から離れ、前記開閉部材5bと前記係止部材6との係合が解除される。
よって、開閉扉2bが開放される(図5(B)→(C))。
【0050】
一方、前記傾斜した状態にあるコンテナ1について、その前妻側を徐々に下降させていくと、圧縮ばね51dの付勢力によって、ピストンロッド51bが前方に引き戻されるので、このピストンロッド51bと連結されているロッド主体5aが前方へ移動し、ロッド主体5aの先端部に軸支された開閉部材5bを上方に引き戻す。
【0051】
前記開閉部材5bが上方に移動すると同時に、開閉扉2bがコンテナ主体1a側に引き寄せられ、前記開閉部材5bが、開閉扉2bに設けられた係止部材6の係止部6aと係合する。
よって、コンテナ主体1aの後妻側の開口部は、開閉扉2bによって閉鎖される。
【0052】
かかる構成からなる開閉装置によれば、コンテナ主体1aの後妻側の開口部の、開閉扉2bによる開放と閉鎖を、安全かつ自動的に実施することができる。
【0053】
この発明において、前記ロック手段及び開閉手段は、開閉扉に対して、それぞれ一又は複数、設けることができる。
【0054】
なお、図1において、コンテナ1は、前記開閉手段5を、前記底面壁3の短手側の後妻側中央に1つ設けると共に、前記ロック手段4を、前記開閉手段5の近傍に1つ設けるよう構成されている。
このような構成によって、コンテナ1を、昇降手段などを用いて前妻側を徐々に上昇させることによって、傾けていくと、所定の角度で、まずロック手段4による開閉扉2bのロックが解除され、その後、さらに傾けていくと、所定の角度で、開閉手段5によって自動的に開閉扉2bが開放される、という一連の工程が確実に行われることになる。
【0055】
かかる構成からなるコンテナ1によって、被搬送物の排出作業を、以下のようにして行うことができる。
【0056】
コンテナ1の所定の位置に、その前妻側の昇降を可能にする昇降手段(図示せず)を取り付ける(図7(A))。
【0057】
コンテナ1の前妻側を徐々に上昇させていくと、所定の角度に達したときに、ロック手段4の振り子部材41aが後方側に搖動する(図7(A)→(B))。
【0058】
前記振り子部材41aが後方側に揺動すると、この揺動により生じた遠心力によって、図7(B)に示すように、前記振り子部材41aが設けられている係合体4aも後方側に回動するので、係合部材2dとの係合が解除されることにより開閉扉2bのロックが解除される。
【0059】
なお、このコンテナ1において、開閉扉2bは、これに配設された係止部材6の係止部6aが前記開閉手段5の開閉部材5bと係合状態にあるので、この段階では、開閉扉2bは開かない(図7(B))。
【0060】
しかしながら、さらに前記コンテナ1の前妻側を徐々に上昇させていくと、被搬送物の重量によって、前記開閉部材5bが係止部6aから離反するので、前記係止部材6との係合が解除される。
したがって、図7(C)に示すように、開閉扉2bが開放される。
【0061】
しかるのち、前記コンテナ1の前妻側をさらに上昇させて、コンテナ1を、より大きな角度で傾斜させれば、コンテナ1内の被搬送物の全てを自重で排出させることができる(図7(D))。
【0062】
なお、この発明のコンテナは、ウッドペレットなどの粉粒体の搬送用として使用することが可能なものであるが、通常の貨物の搬送も当然可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明のコンテナを構成するロック手段及び/又は開閉手段は、コンテナの傾斜と被搬送物の重量によって、安全かつ自動的に、容易に扉を開閉することを可能にするもので、あらゆるコンテナに利用することができるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 コンテナ
1a コンテナ主体
2 後妻側の側面壁
2a 上部分(側面壁)
2b 下部分(開閉扉)
2c ヒンジ
2d 係合部材
3 底面壁
3a 空間部
3b 軸受け
3c ピン部材
4 ロック手段
4a 係合体
4b 係合部
4c 支軸
41a 振り子部材
41b 支軸
42 支柱
5 開閉手段
5a ロッド主体
5b 開閉部材
5c 案内ガイド
5d 支軸
5e ストッパー部材
51 動力部材(スプリングシリンダ)
51a シリンダチューブ
51b ピストンロッド
51c ピストンヘッド
51d 圧縮ばね
6 係止部材
6a 係止部
7 ストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6