特許第6914160号(P6914160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914160
(24)【登録日】2021年7月15日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】延反方法及びそれに用いる延反装置
(51)【国際特許分類】
   D06H 1/00 20060101AFI20210727BHJP
   D06H 7/02 20060101ALI20210727BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20210727BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20210727BHJP
   B65H 45/103 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   D06H1/00
   D06H7/02
   B26D5/00 F
   B26D7/06 Z
   B65H45/103 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-185627(P2017-185627)
(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公開番号】特開2019-59585(P2019-59585A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】上山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】和田 英之
【審査官】 松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−169760(JP,A)
【文献】 特開2017−104957(JP,A)
【文献】 特開平03−216459(JP,A)
【文献】 特開2016−023077(JP,A)
【文献】 特許第2762217(JP,B2)
【文献】 特開2016−150822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00−7/20
B65H 16/00−16/10
B65H 23/18−23/198
B65H 26/00−26/08
B65H 43/00−43/08
A41H 43/00
B26D 5/00
B26D 7/06
D06B 1/00−23/30
D06C 3/00−29/00
D06G 1/00−5/00
D06H 1/00−7/24
D06J 1/00−1/12
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/10−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延反装置により原反から生地を延反テーブル上に積層しながらカッタでカットし、欠点センサにより生地の欠点を検出すると、前記カッタにより生地をカットすると共に、欠点がある不良パーツを補うため、延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層する延反方法において、
延反装置のマーカにより、前記不良パーツと、欠点の付近で生地をカットすることにより生じる不完全パーツ、及び延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツにマーキングすることを特徴とする、延反方法。
【請求項2】
前記欠点センサはラインセンサであり、生地の欠点自体を検出することを特徴とする、請求項1の延反方法。
【請求項3】
生地の欠点を欠点センサにより検出した際に、前記カッタにより生地をカットするカットラインを、延反方向下流側にシフトすると、不良パーツを補うための生地長を減らせるかどうか、積層体に対するパーツの配置を表すマーキングデータとカットラインとを、延反装置のコントローラが比較することにより判断し、
不良パーツを補うための生地長を減らすことができる場合、カットラインを延反方向下流側にシフトすることを特徴とする、請求項2の延反方法。
【請求項4】
前記カッタにより生地をカットするカットライン、及び不良パーツを補うために生地の積層を開始するラインと、前記積層体に対するパーツの配置を表すマーキングデータとを、延反装置のコントローラが比較し、マーキングする不良パーツと不完全パーツを前記コントローラが決定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの延反方法。
【請求項5】
生地の終端に達すると、不足するパーツを補うように、新たな原反の生地を延反方向に沿って積層体の中間から積層すると共に、前記終端により生じた不完全パーツと、積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツに、前記マーカによりマーキングすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの延反方法。
【請求項6】
原反から繰り出した生地を延反テーブル上に積層しながらカッタでカットし、欠点センサにより生地の欠点を検出すると、前記カッタにより生地をカットすると共に、欠点がある不良パーツを補うため、延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層する延反装置において、
前記不良パーツと、欠点の付近で生地をカットすることにより生じる不完全パーツ、及び延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツにマーキングを施すマーカを備えていることを特徴とする、延反装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は延反方法と延反装置に関し、特に生地の欠点に関係して生じる不完全パーツと不良パーツを、欠点のない正規のパーツから容易に識別できるようにすることに関する。
【背景技術】
【0002】
延反装置には2種類のものが知られており、特許文献1(特許2762217、図2参照)の延反装置では、延反テーブル上を原反を載せた延反機が走行する。そして延反機は原反から生地を繰り出しながら移動し、延反テーブル上を往復することにより生地を積層する。他の種類の延反装置では、特許文献2(特開2016-150822)の図2のように、延反テーブル上を前後進するベルトコンベヤが、生地を原反から繰り出し、延反テーブル上に積層する。これらの延反装置はいずれも、一定の長さにカットした生地を延反テーブル上に積層し、積層体は次の工程で裁断機により裁断され、パーツが取り出される。
【0003】
生地には傷、汚れ、色むらなどの欠点が含まれることがあるので、原反では欠点のある個所にタグ、テープ等が付けられている。延反装置の欠点センサが欠点を検出すると、カッタで生地をカットし、積層体の中間まで戻って生地を1枚積層し、欠点のあるパーツを補う。これに関して、特許文献3(特開平02-169760)の図3と特許文献4(特開昭63-275780)の図4は、欠点のある不良パーツを補うために積層する、生地長を最小にすることを提案している。
【0004】
欠点の処理に関する、他の先行技術を説明する。特許文献2の図19は、生地から欠点を含む部分をカットし、分離することを提案している。特許文献5(特開2017-104957)は、欠点を検出する毎に積層するのではなく、欠点のあるパーツを複数個分まとめて補うために、生地を1枚分、積層せずに単独で延反することを提案している(図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2762217
【特許文献2】特開2016-150822
【特許文献3】特開平02-169760
【特許文献4】特開昭63-275780
【特許文献5】特開2017-104957
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
欠点のあるパーツすなわち不良パーツは、正規のパーツと混じらないように取り除かなければならない。不良パーツ以外に、1枚分の延反の途中で生地をカットするため、不完全なパーツが生じる。また延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層するため、積層を開始する位置にも不完全なパーツが生じる。しかしながら、不良パーツあるいは不完全なパーツを、作業者が容易に識別できるようにした延反方法は、発明者の知る範囲では、提案されていない。
【0007】
この発明の課題は、不良パーツと不完全パーツを、正規のパーツから容易に識別できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の延反方法では、延反装置により原反から生地を延反テーブル上に積層しながらカッタでカットし、欠点センサにより生地の欠点を検出すると、カッタにより生地をカットすると共に、欠点がある不良パーツを補うため、延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層する。この発明の延反方法は、延反装置のマーカにより、不良パーツと、欠点の付近で生地をカットすることにより生じる不完全パーツ、及び延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツにマーキングすることを特徴とする。
【0009】
この発明の延反装置では、原反から繰り出した生地を延反テーブル上に積層しながらカッタでカットし、欠点センサにより生地の欠点を検出すると、カッタにより生地をカットすると共に、欠点がある不良パーツを補うため、延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層する。この発明の延反装置は、前記不良パーツと、欠点の付近で生地をカットすることにより生じる不完全パーツ、及び延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツにマーキングを施すマーカを備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明では、生地の欠点により生じる不良パーツのみならず、不良パーツを補うために、延反方向に沿って積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツにも、マーキングを施す。なお不完全パーツには、欠点の付近で生地をカットすることにより生じるものと、積層体の中間から生地を積層することにより生じるものとがある。マーキングのため、不良パーツと不完全パーツを、正規のパーツから容易に識別でき、後工程で不良パーツや不完全パーツを誤用することを防止できる。なおオーバーラップは、積層体の中間から生地を1枚積層することを意味する。
【0011】
好ましくは、欠点センサはラインセンサであり、生地の欠点自体を検出する。このようにすると、欠点の位置と範囲を正確に検出できるので、不良パーツとしなければならないパーツを減らすことができる。また生地をカットするラインを最適化でき、生地のロスを減らすことができる。
【0012】
好ましくは、生地の欠点自体を欠点センサにより検出した際に、前記カッタにより生地をカットするカットラインを、延反方向下流側にシフトすると、不良パーツを補うための生地長を減らせるかどうか、積層体に対するパーツの配置を表すマーキングデータとカットラインとを、延反装置のコントローラが比較することにより判断する。不良パーツを補うための生地長を減らすことができる場合、カットラインを延反方向下流側にシフトする。このようにして、不良パーツを補うための生地長を減少させる。
【0013】
好ましくは、カッタにより生地をカットするカットライン、及び不良パーツを補うために生地の積層を開始するラインと、前記積層体に対するパーツの配置を表すマーキングデータとを、延反装置のコントローラが比較し、マーキングする不良パーツと不完全パーツをコントローラが決定する。このようにするとマーキングするパーツを自動的に決定できる。
【0014】
好ましくは、生地の終端に達すると、不足するパーツを補うように、新たな原反の生地を延反方向に沿って積層体の中間から積層すると共に、終端により生じた不完全パーツと、積層体の中間から生地を積層することにより生じる不完全パーツに、マーカによりマーキングする。このようにすると、生地の終端に関連して生じる全ての不完全パーツを、正規のパーツと容易に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の延反装置の側面図
図2】実施例の延反装置の制御系を示すブロック図
図3】実施例の延反方法を示すフローチャート
図4】実施例での、生地のカットとオーバーラップ及びマーキングを示す図
図5】変形例の延反方法を示すフローチャート
図6】変形例での、生地のカットとオーバーラップ及びマーキングを示す図
図7】実施例での生地終端に対する処理を示すフローチャート
図8】実施例での、生地終端に伴うマーキングとオーバーラップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0017】
図1図8に実施例とその変形とを示す。図1は実施例の延反装置1の構造を示し、ベルトコンベヤ等を備える延反テーブル4上を、台車6を有する延反機2が走行モータ12により往復する。7は延反前の生地のロールから成る原反、8は生地を1枚ずつ所定長さにカットし積層した積層体である。コントローラ9は延反装置1を制御し、延反作業に関するデータをモニタ10に表示する。延反機2はコントローラ9及びモニタ10を内蔵するが、これらを延反機2の外部に設けても良い。また図1上部の白抜き矢印は、台車6の運動方向を示す。
【0018】
原反7から繰出ローラ14により生地13を繰り出し、コンベヤ15などにより搬送し、積層体8に積層する。欠点センサ16は生地13の欠点を検出する。例えば欠点センサ16が生地13の幅方向端部に付けられているタグあるいはテープ等を検出する場合、生地13の長手方向に沿って、欠点のある範囲の概要が判明するが、正確な欠点位置は不明である。また生地13の幅方向のどの位置に欠点があるかも不明である。
【0019】
生地13の幅方向に沿ったラインセンサ、カメラ等の光学センサを欠点センサ16とし、画像認識等により欠点を検出しても良い。この場合、生地13の長手方向と幅方向の双方について、欠点がある範囲が分かる。これ以外に、好ましくは終端センサ17を設け、生地13の終端を検出する。欠点センサ16がラインセンサの場合、欠点センサ16を終端センサ17に兼用しても良い。
【0020】
図1の左上に示すように、カッタユニット18はカッタ19とマーカ20とを内蔵し、カッタ19を進退手段21により生地13に対して進退させ、マーカ20を進退手段22により生地13に対して進退させる。マーカ20はフェルトペン、生地13にインクを噴射する装置、あるいはテープを貼り付ける装置等から成り、好ましくはカッタ19よりも原反7に近い側に設ける。なおマーカ20は、カッタユニット18内でカッタ19よりも原反7から遠い側に配置しても良い。またマーカ20をカッタユニット18とは別のキャリッジ内に配置し、キャリッジを生地13の幅方向に往復させても良い。カッタユニット18は、レール23に沿って生地の幅方向に移動し、例えば台車6の運動を一旦停止させ、幅方向に沿って生地13を切断する。
【0021】
欠点処理の場合、進退手段22によりマーカ20を下降させた状態で、カッタユニット18を生地13の幅方向に移動させる。このようにして、不良パーツ及び生地を中間でカットすることにより生じる不完全パーツにマーキングする。次いで進退手段21,22によりカッタ19とマーカ20を下降させた状態で、カッタユニット18を生地13の幅方向に再度移動させ、生地13をカットすると共に、生地13を途中から積層することによる不完全パーツにマーキングする。生地のカットとマーキングとを同時に行うため、マーキングはカットラインに平行なことが好ましく、例えば太線状にマーキングする。なおマーカ20によるマーキングと、カッタ19による生地13のカットは、別の工程で行っても良い。また不良パーツと不完全パーツのみでなく、生地の全幅にマーキングしても良い。
【0022】
延反機2は図1の左側へ前進した後、右側へ後退しながら、1枚分の生地24を延反してカットすることにより、積層体8を形成する。このため生地13は、図1の左から右へ延反される。60は次工程で用いる裁断機で、延反テーブル4に内蔵のベルトコンベヤにより積層体8は裁断機に移され、パーツを分離するため裁断される。裁断後の積層体はピックアップテーブルに移され、作業者がパーツをピックアップする。延反方向を図1の下部に示し、裁断機60側が延反方向の上流側で、原反7側が延反方向下流側である。
【0023】
延反装置の構造には、図1のタイプのもの以外に、特許文献2に記載のタイプがある。このタイプの延反装置も、生地の幅方向に移動するカッタユニットを備えている。そこで、
・ カッタユニットにマーカを設けると共に、欠点センサを設けて欠点を検出し、
・ 生地をカットする位置とオーバーラップを開始する位置、及びマーキングを施す不良パーツと不完全パーツを、実施例と同様に決定するコントローラを設ければ、
特許文献2のタイプの延反装置でも、この発明を実施できる。
【0024】
図2は延反装置1の制御系を示し、コントローラ9の指令により各部が動作する。走行ドライブ25は走行モータ12を制御し、繰出ドライブ26は繰出ローラ14とコンベヤ15を制御する。コントローラ9の指令により、カッタユニット18はカッタ19を下降させると共に、生地の幅方向に沿って移動する。欠点センサ16は傷、汚れ、色むら等の欠点、あるいは欠点の個所を示すタグ、テープ等を検出し、終端センサ17は生地の終端を検出する。また延反に関するデータはモニタ10に表示され、作業者はユーザ入力27から種々の入力ができる。
【0025】
コントローラ9はCPU28とマーキングデータのメモリ30等を備え、マーキングデータは積層体8に対するパーツの配置を示すデータである。CPU28は、センサ16,17からの信号と、マーキングデータとを用いて、欠点により生じる不良パーツを特定し、生地を途中でカットするカットラインを決定する。また生地のオーバーラップを開始する位置を決定し、不良パーツ、即ち欠点のあるパーツと、不完全パーツ、即ち途中でカットされ、全長分の長さのないパーツを特定する。そしてコントローラ9は、マーカ20とカッタユニット18を制御し、不良パーツと不完全パーツにマーキングする。このためパーツを積層した束を個々のパーツに分ける際等に、不良パーツと不完全パーツを正規のパーツから容易に識別できる。このため、不良パーツと不完全パーツが正規のパーツに混入することを防止できる。
【0026】
図3図4に、実施例の延反方法を具体的に示す。なお実施例では、判断はコントローラ9が行い、カット、マーキング等の処理は延反装置のハードウェアが実行する。ステップS1で欠点を検出すると、通常の延反作業から分岐し、欠点の処理を開始する。実施例では、図4の(1)に示すように、欠点センサにより生地の幅方向端部に付けられたタグ30を検出する。なお生地は図4の左から右へと積層体に降ろされ、原反7は図4の右側にある。なお延反方向は図4の左から右向きである。
【0027】
図4(1)は、タグ30を検出し、生地をカットすると共にマーキングを施した状況を示す。タグ30からは欠点の正確な位置は不明なので、タグ30の中心から生地32の長さ方向に沿って±dの範囲に欠点があるものとする。この範囲の延反方向上流側の境界をライン31'とし、下流側の境界をライン31とする。ライン31,31'で挟まれた範囲と一部でも重なるパーツは不良パーツである可能性が高い。そこでコントローラは、マーキングデータとライン31,31'とを比較し、不良パーツ33〜35を抽出し、マーカにより線状のマーク36をマーキングする(ステップS2)。実施例では、太線状のマーク36とするが、マークの種類、形状は任意である。さらに不良パーツ33〜35のみではなく、生地の全幅に対してマーキングしても良い。
【0028】
図4(2)は、1枚分の生地39をライン37から積層体8上にオーバーラップした状況を示す。マーキングデータを用い、不良パーツの中でも、延反方向に沿って最も上流側まで伸びている不良パーツ33,34を抽出し、不良パーツ33,34を補うように、オーバーラップを開始するライン37を決定する。そしてライン37をマーキングデータと比較すると、パーツの途中から始まるため不完全なパーツ38を抽出できる(ステップS3)。不完全パーツ38は、ライン31の延反方向上流側にありかつライン37と交わるパーツである。そこで、例えばライン31をカットラインとして生地をカットすると共に、不完全パーツ38にマーク36を設ける。次いで生地を繰り出し、ライン37から1枚分の生地39のオーバーラップを開始する(ステップS4)。なおライン31,31'の双方でカットし、生地中の欠点がある部分を取り除いても良い。この場合、ライン31'の延反方向上流側にあるパーツ33〜35が不完全パーツとなるので、不完全パーツ33〜35にマーキングする。
【0029】
なお図4(2)のパーツ40は完全であるが、1枚余分なパーツである。このようなパーツ40にはマーク36を設けても、設けなくても良い。また図3のステップS2とステップS3の順序を逆にし、CPUでの判断が終了した後に、ハードウェアの動作を行っても良い。
【0030】
欠点センサとしてラインセンサ等を用い、欠点の正確な位置を求める際の処理を、図5図6に示す。ラインセンサ等を用いると、図6(1)に示すように、欠点41の正確な位置と範囲が判明する(ステップS11)。欠点41を含まないように、生地をカットするライン43を仮に決定する(ステップS12)。ライン43でカットするとパーツ45,46が不完全パーツとなる。そこでカットするラインを延反方向下流側にシフトすると、不良パーツを補うための生地長が減少するかどうかを判断し、減少する場合は、例えばライン44へカットするラインをシフトする(ステップS13)。このステップでは、コントローラ9内で、カットするラインを仮想的に延反方向下流側へシフトさせると共に、カットラインの位置毎に不良パーツを補うための生地長を計算する。そして不良パーツを補うための生地長が最小となるカットラインを選択する。なおカットラインを下流側へシフトさせる範囲は欠点位置からの距離が0以上でかつ所定長以下などと制限する。また仮に不良パーツを補うための生地長が等しいカットラインが複数ある場合、ピックアップの手間を考慮し、不完全パーツの個数が少ないカットラインを選択する。
【0031】
欠点41の位置及びカットするライン44の位置をマーキングデータと比較すると、図6(1)の場合、パーツ42が不良パーツとなることが判明する。またライン43でカットすると、不良パーツ42の他に、不完全パーツ45,46が生じることが分かる。例えばライン44でカットすると、不完全パーツ45,46が発生せず、不良パーツを補うための生地長が最小になる。そこでライン44をカットラインとし、不良パーツ42を補うように、オーバーラップを開始するライン47を定める(ステップS14)。そこで、不良パーツ42にマーク36を設ける(ステップS15)。なおパーツ45,46が不完全パーツとなる場合、これらのパーツにもマーキングする。図6(2)に示すように、マーキングデータとオーバーラップを開始するライン47とを比較すると、不完全パーツ48,49が生じることが判明する。不完全パーツ48,49にマーク36を設けると同時に生地をカットし、次いで原反から生地を繰り出し、オーバーラップする(ステップS16)。なお図5のステップS14とステップS15は順序を逆にしても良い。
【0032】
マーキングは、生地の終端に対する処理にも応用できる。この処理を図7図8に示す。図8(1)に示すように、ライン50が生地の終端となることを検出したとする(ステップS21)。マーキングデータとライン50とを比較し、不完全パーツ51,52,53を抽出し、マーク36を設ける(ステップS22)。
【0033】
不完全パーツ51,52,53が延反方向の上流側に伸びる範囲を求め、この範囲をカバーするようにオーバーラップを開始する位置を、例えばライン54のように決定する(図8の(2))。するとパーツ55が不完全パーツになることが判明する(ステップS23)。そこで不完全パーツ55にマーキングを施し、新たな原反から生地57を繰り出し、ライン54からオーバーラップを開始する(ステップS24)。なおマーキングは、ステップS23の処理後に実行しても良い。
【0034】
実施例では以下の効果が得られる。
1) 不良パーツと不完全パーツにマーキングを施し、正規のパーツと識別しやすくできる。積層体8の裁断後にパーツを取り出すと、複数枚積層したパーツの中に不良パーツや不完全パーツが挟まっている。しかし不良パーツと不完全パーツはマーク36が設けられているので、正規のパーツから容易に識別できる。
【0035】
変形例では、さらに以下の効果が得られる。
1) ラインセンサ等により、生地の欠点自体を検出すると、欠点の位置と範囲を特定し、実際に欠点のあるパーツのみを不良パーツとして抽出できる。従って、生地のロスを少なくできる。
2) また生地をカットするラインを、欠点のある範囲から下流側にシフトさせることにより不良パーツを補うための生地長を減らせるかどうか判断すると、生地のロス(不良パーツを補うための生地長、即ちオーバーラップさせる生地長)をさらに少なくできる。
3) 欠点の位置から不良パーツが判明し、マーキングデータと生地をカットするライン及びオーバーラップを開始するラインとを比較することにより、不完全パーツが判明する。このため、マーキングを自動的に施すことができ、処理時間を短縮できる。なおマーキングするパーツの候補をモニタに表示し、作業者の承認後にマーキングしても良い。
4) 終端を検出した際に、不完全パーツ51〜53にマーキングを施すと、不完全パーツを正規のパーツから容易に識別できる。
【0036】
なお柄のある生地の場合、オーバーラップを開始する位置を、オーバーラップする生地の柄と、積層体の生地の柄が一致するように、定めればよい。実施例及び変形例では、延反装置1と裁断装置は別体である。しかし長い延反テーブル上で延反機が延反し、次いで同じテーブル上で裁断機が裁断するようにすると、延反装置と裁断装置を一体にできる。
【符号の説明】
【0037】
1 延反装置
2 延反機
4 延反テーブル
6 台車
7 原反
8 積層体
9 コントローラ
10 モニタ
12 走行モータ
13 生地
14 繰出ローラ
15 コンベヤ
16 欠点センサ
17 終端センサ
18 カッタユニット
19 カッタ
20 マーカ
21,22 進退手段
23 レール
24 1枚分の生地
25 走行ドライブ
26 繰出ドライブ
27 ユーザ入力
28 CPU
29 メモリ(マーキングデータ)
30 タグ
31 ライン
32,39 生地
33〜35 不良パーツ
36 マーク
37 オーバーラップを開始するライン
38 不完全パーツ
40 パーツ
41 欠点
42 不良パーツ
43,44 ライン
45,46 パーツ
47 オーバーラップを開始するライン
48,49 不完全パーツ
50 ライン(生地の終端)
51〜53 不完全パーツ
54 オーバーラップを開始するライン
55 不完全パーツ
56,57 生地
60 裁断機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8